コンテンツ強化専門調査会(第9回)議事録



  1. 日 時 : 平成23年4月26日(火)15:00〜17:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【担当政務官】
    阿久津幸彦 内閣府大臣政務官
    【委 員】
    中村会長、大多委員、角川委員、久夛良木委員、末吉委員、杉山委員、別所委員、吉羽委員、中島本部員、中山本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、芝田次長、安藤参事官、奈良参事官、内藤企画官




○中村会長
 それでは、若干遅れて来られる方がおられるようですけれども、定刻がまいりましたので、ただいまから「コンテンツ強化専門調査会」第9回会合を開催いたします。
 本日は御多忙のところ御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず初めに3月11日に発生いたしました東日本大震災におきまして、亡くなられた方々と御遺族の皆様に対して深くお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 ここで、今回の震災により尊い命をなくされた方々の御冥福をお祈りいたしまして、哀悼の意を表すために1分間の黙?を捧げたいと思います。申し訳ありませんが、御起立いただければと思います。それでは、黙祷をお願いします。黙祷。 (黙祷)

○中村会長
 黙祷を終わります。御着席ください。どうもありがとうございました。
 本日はまず3月末に持ち回りで開催されました知的財産戦略本部会合の報告を行いまして、次に知的財産推進計画2011に盛り込むべき事項(案)について議論を行いたいと思います。
 本日、阿久津大臣政務官は御公務の関係で後半から御出席いただけると伺っております。
 最初に知的財産戦略本部員に異動があったようですので、御紹介をいたします。佐藤辰彦さんが任期満了に伴いまして本部員を退任されて、新たに本部員に就任されました太陽国際特許事務所所長の中島淳さんが今回からこの専門調査会にオブザーバーとして加わっていただいております。よろしくお願いいたします。
 中島本部員から一言いただけますでしょうか。

○中島本部員
 御紹介いただきました中島淳でございます。
 日本の知財戦略で大変重要なコンテンツ専門調査会に参加させていただくことをありがたく存じております。途中からの参加でございますけれども、今後皆さんと同じように対応できますように進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中村会長
 よろしくお願いします。
 次に、本日は大ア委員、佐藤委員、谷口委員、川上委員から御欠席との連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして、先ほど御紹介いたしました中島本部員のほかに中山本部員にも御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、まず近藤局長からごあいさつをいただきたいと思います。

○近藤局長
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 この専門調査会は実は3月11日の直前まで会合をたくさん開いておりました。3月7日に競争力の調査会、3月10日にコンテンツの調査会、3月11日のまさに震災前の午前中に標準化のタスクフォースといったところを全部終了して、いよいよとりまとめに向けてと思った瞬間にこの大震災だったわけでございます。
 今回の震災で多くの方が亡くなられ、多くの方が被害に遭われたわけでございます。心からお見舞いを申し上げたいと思います。恐らく今日の委員の先生方、あるいは会場におられる皆さんの関係者の方、御友人の中にも被災された方がたくさんおられると思います。心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 おかげさまで、競争力、コンテンツ、標準化のタスクフォース、いずれも議論を3月11日の直前までに大体こなしておりましたので、私どもは3月17日に企画委員会、3月末に知的財産本部を持ち回りで開催いたしました。
 持ち回りというのは、普通ですと本部会合を開くんですけれども、それを開かずに決裁をもらうという方法でございまして、実務的には会を開く方が楽なぐらい、全部の大臣と全部の本部員の決裁をもらって回らないといかぬので大変なんでありますが、それをやったところでございます。
 こういう状況の中ではございましたけれども、総理、官房長官ともに丁寧でいらっしゃいました。総理はこのとりまとめに対して委員の皆さんが本当によくまとめてくれて、こういうとりまとめができたことに対しての感謝の言葉を述べておられました。その上で、これからの日本には知的財産、こういうものこそが大切になるんだという御発言をいただいたところでございます。後ほどまた資料で御説明、御報告をさせていただきたいと思います。
 本日は東日本大震災を受けまして、知財計画2011の中で、とりわけクールジャパン施策の見直しを中心にどういう対策をするのかといったこと、クールジャパンが未来に向けた創造的復興に役割を果たすと考えているものですから、こういうときだからこそクールジャパンをしっかりやっていこうということで御指導いただきながら、議論を進めていきたいと思っているところでございます。
 日本が再び立ち上がり、知的財産を活用して世界で輝けるように、震災への対応も含めてしっかりとした知財計画をつくっていきたいと思っておりますので、御審議のほどよろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。

○中村会長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。
 まず東日本大震災に関する状況について事務局から説明をいただいた上で、知的財産戦略本部会合の結果について報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○奈良参事官
 それでは、御説明いたします。
 説明の前に事務局の人事異動につきまして御紹介いたします。当事務局の上田次長でございますけれども、担当審議官といたしまして原子力災害対策本部に併任をされまして、当面そちらの業務に専念しているところでございます。したがいまして、本日も欠席をさせていだたいておるところでございます。
 資料を確認させていただきたいと思います。議事次第をごらんいただきたいと思います。配付資料は資料1〜3、参考資料1〜7まででございます。
 議事次第の下でございますけれども、資料番号を打ってございませんが、東日本大震災について状況を示したもの、特にクールジャパンへの影響についてという2つの資料が配付されているかと思います。
 それから、今回まだ各省と調整中のものがございまして、席上の委員の皆様限りあるいは要回収とさせていただいているものが幾つかございます。
 資料1でございますけれども、知的財産推進計画2011骨子に追加を検討すべき事項(討議用)の1枚紙。
 それから、2011に盛り込むべき事項(案)でございます。
 今回、これにつきまして御意見をいただければと思っております。
 資料3でございますけれども、2011の工程表ということで、具体的にいつ何省が何をするかということを示したものでございます。これにつきましても、各省と調整中でございまして、会議終了後に回収をさせていただければと思っております。
 参考資料1でございますが、今後のスケジュールでございます。
 参考資料2が、前回のこの会議での主な意見でございます。
 参考資料3が、昨年2010のフォローアップ、評価でございます。これも年度が上がりまして、現在、各省と最終の調整をしているところでございます。大変恐縮ですが、これも後ほど回収をさせていただければと思っております。
 参考資料4が、おまとめいただきました2011骨子の概要。
 参考資料5が、2011骨子の本体でございます。
 これにつきましては、公表前でございますので、先生方限りとさせていただければと思っております。
 参考資料6が、この専門調査会でおまとめいだたいた骨子に盛り込むべき事項でございます。
 参考資料7が、クールジャパン推進に関するアクションプラン(案)ということで、これにつきましても、現在、関係府省と調整しているものということで、会議終了後に回収させていただければと思っております。
 大変恐縮ですが、赤字の資料につきましては、会議終了後そのまま席上に置いていただければ助かります。よろしくお願いいたします。
 それでは、私から東日本大震災の関連の状況と、知財計画2011の骨子をおまとめいただきましたので、その概要につきまして、御報告をさせていただきたいと思っております。
 まず横長の「東日本大震災について」という資料をごらんいただきたいと思います。
 1枚開けていただきまして、地震の回数あるいは人的被害、避難者の状況をお示ししたものでございます。
 2ページ目にまいりまして、震度の分布というところでございますが、左側の方を見ていただきますと、日本全国にわたりまして地震が分布をしている。場所によっては非常に高い震度を示していることがおわかりいただけるかと思います。
 3ページ目でございます。津波の状況でございます。左側は日本全国に津波、高いところで3mから10mということで、到達しているという状況がおわかりいただけるかと思います。
 右側の方は震源地からの津波の到達時間であります。日本付近では3時間以内、南米には21時間以内に到着していることがおわかりいただけるかと思います。
 4ページをごらんいただきたいと思います。これは国土交通省が公表している資料でございます。交通の復旧状況でございます。実線で書いてあるのが運行可能な部分、点線のところが運休あるいは通行不可の部分でございます。かなり復旧をしてきていると思いますけれども、JR東日本によりますと、特に新幹線はこの週末には新青森−東京間が全線開通するという情報もございます。
 5ページにいっていただきますと、震源付近の原子力発電所の状況でございます。女川、福島第一、福島第二、東海第二でございます。震災後直ちに自動停止をし、安全に停止をしています。
 6ページをごらんいただきたいと思います。原発関係の活動状況でございます。右側の方にございますのが、防衛省、自衛隊、警察、海上保安庁、消防庁、医療関係、厚生労働省という関係機関が一体となって、あるいは総動員で活動をしているという状況でございます。
 7ページでございます。放射線に関しますモニタリングの状況です。これは日々更新をしているところでございますけれども、その状況について示したものでございます。括弧の数字がモニタリングポイント番号でございまして、その下に書いてある数字が放射線量でございます。
 8ページでございますけれども、御参考に日常生活における放射線量を示したものでございます。
 9ページをごらんいただきたいと思いますけれども、政府の指揮系統関係でございます。内閣総理大臣を本部長といたしまして、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部という2つの本部が設置をされ、それぞれ被災者の生活支援に対することも実施をし、また全府省、地方の関係機関、公共機関、こういったところと連携をして体制を組んで取り組んでいるところでございます。
 10ページからは、災害に関する情報あるいは政府の動きにつきまして、詳細に記したものでございます。
 13ページからは、原子力に関する状況ということで、これまでの経緯等につきまして記したものでございます。これにつきましては、後ほどごらんいただければと思います。
 もう一つの資料でございますけれども「東日本大震災によるクールジャパンへの影響について(各省HP公表資料から構成)」という資料でございます。特にクールジャパンに関連する食、観光、工業製品に対する影響を示したものでございます。これも各省がとりまとめたものでございます。
 まず1枚めくっていただきますと、食に関しまして、厳しい国が若干ございます。@の日本のすべての食品につき輸入停止あるいは証明書を要求している国は、ごらんのような国がある状況でございます。
 2ページ目にまいりまして、一部の食品ではありますけれども、輸入停止または証明書を要求し、更にほかの品目の全部または一部につき全ロット検査、一定の単位ごとに必ず検査する、こういうことをしている国がございます。
 3ページにまいりまして、Bのところは一部の食品について輸入停止または証明書を要求しているところでございます。
 Cといたしまして、サンプル検査など検査を強化しているところがあるということでございます。
 以上のような状況でございます。
 5ページにまいりまして、観光に関する状況ということで、訪日外国人旅行者数の推移でございます。2010年度は861万人ございました。2011年3月は、昨年の同時期、同月と比べますと、半減をしているという状況でございます。
 6ページにまいりますと、それを国別に示したものでございます。真ん中の欄が3月の状況、右側の欄が1月から3月の累計でございます。ごらんいただいたように、かなり幅が大きくなっている国もあるという状況でございます。
 7ページでございますけれども、工業製品あるいは鉱工業製品に関するものでございます。これにつきましても、このように一定の検査を実施している国があるという状況でございます。
 このようなことでございますので、これに対応するような施策も今回是非盛り込みたいと考えているところでございます。
 次にもう一つ、おまとめいただいた2011の骨子につきまして御説明をしたいと思います。資料は参考資料4の1枚紙をごらんいただきたいと思います。本体の方は参考資料5でございます。
 先ほど近藤事務局長から御説明していただきましたけれども、前回は3月10日にこの専門調査会を開催いたしました。それを踏まえた骨子を作成し、3月17日に企画委員会、3月末に本部会合という形でまとめさせていただいたところでございます。御協力本当にありがとうございました。それが参考資料5であります。
 参考資料4の1枚紙で簡単に御説明をさせていただきたいと思います。今回の知財計画2011でございますけれども、グローバルネットワーク化時代の新しい挑戦を支える4つの知財戦略を立てております。そのうちBCにつきまして、この専門調査会で御提言いただいたことを盛り込んでいるところでございます。
 まず1つ目の戦略でございますが、国際標準化のステージアップ戦略でございます。2010年度におきましては、知財計画2010に基づきまして、ごらんの7分野におきまして、国際標準化戦略を策定したところでございますけれども、今後更にその実行、検証を進めながら、併せまして基盤的施策を追加、拡充いたしまして、その実行を推進するということをやっていきたいと考えているところでございます。
 大きな2つ目の戦略で、知財イノベーション競争戦略でございます。各国の知財システムが激しい競争にあるわけでございますけれども、そのような中で、我が国の知財システムの魅力を高めていく。そして、アジア、世界で活用されるような環境を整備する。こういう施策をやっていきたいということでございます。
 下にまいりまして、最先端のデジタル・ネットワーク戦略でございまして、デジタル・ネットワーク化の先端を切り拓き、日本の経済成長につなげるという趣旨でございます。具体的には電子書籍の促進、あるいは国立国会図書館など過去の知的資産のデジタル活用、デジタル・ネットワーク化の基盤整備ということで、例えばクラウドコンテンツサービスに関する法的リスクの解消、またグローバルな著作権侵害対策の強化、二次創作の促進や若手クリエーターの育成といった創作基盤の強化を図っていきたいと考えております。
 Cのクールジャパン戦略でございますけれども、我が国のクールジャパンを推進いたしまして、日本の経済成長につなげていくということでございます。発掘・創造、発信、拡大、そのための基盤整備、こうしたクールジャパンの推進サイクルの加速あるいは強化を図っていきたい。そのためにそれぞれのフェーズにおきまして、施策を打っていきたいと考えているところでございます。
 今回、更にこの震災がございまして、このような厳しい時期だからこそクールジャパンで日本を元気に、地方を元気に、そうしたことも考えていきたいと思っているところでございます。
 今回の施策につきまして、御意見をいただければと思っております。
 最後でございますけれども、参考資料3につきましては、昨年2010のフォローアップ、評価でございます。年度が上がりましたので、現在、評価の最終チェックをしているところでございます。本日は会議終了後回収させていただきますけれども、とりまとまりましたら、御報告をさせていただきたいと思っております。また、個別のところで関心事項がございましたら、個別に御説明をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございました。
 ただいまの報告に対して、御質問等はありますでしょうか。

○近藤局長
 少し補足をさせていただきますと、今、御紹介をしたのは3月末にまとめた骨子の概要であります。今日お配りした専門調査会としての2011に盛り込むべき事項(案)を今から御審議いただいて、そこで幾つか追加をいたします。勿論それを盛り込んで最終的なものをつくる、こういう二段構えでございます。したがいまして、例えば今の時点のところに震災関係でどう立ち直っていくのかとか、クールジャパンをどうするのかというのはまだ書いてございません。資料2の後で勿論説明はさせていただきますが、2011に盛り込むべき事項(案)のところで追加をしたものを御審議いただいて、進めていくということでございます。
 先ほどの大震災の関係の資料の中で、私の聞き方が悪かったのかもしれませんけれども、原子力問題で大体自動停止をしたというところで、やや安定したという表現があったような気がするんですが、御承知のように、福島の1号機から3号機の状況は完全には安定しておりませんし、4号機については使用済み燃料プールのところが確定しておりませんので、そこは引き続き対応をしている。奈良さんの説明で、私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、少し補足をさせていただきたいと思うところでございます。
 ありがとうございました。

○中村会長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 後ほどの討論のときに、今の部分に戻っていただいても結構ですので、ひとまず今お話のあった計画2011の話もお伺いしましょう。知的財産推進計画2011に盛り込むべき事項についてなんですけれども、これも資料がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

○奈良参事官
 先ほど近藤事務局長から御説明がありましたように、3月末ということで骨子をまとめましたけれども、最終的には東日本大震災を踏まえた追加事項を追加いたしまして、最終的な盛り込むべき事項、また知財計画ということでつなげていきたいと考えているところでございます。今日はこのことについて御意見を伺いたいと思っております。
 資料は資料1と資料2、一番最後の参考資料7で御説明させていただきたいと思います。
 まず資料1をごらんいただきたいと思います。大変簡単ではございますけれども、議論用に1枚用意をさせていただきました。厳しい状況にある今だからこそ、知的資産を活用して世界に輝いていけるようにクールジャパンを強力に推進する必要があると思いますし、また復興に向かう日本の姿こそがまさにクールジャパンだと考えておりまして、このための施策を進めたいと考えております。
 ブランドイメージの回復や復旧ということでございます。食、環境、こういった低下したイメージをどのように回復させていくのか。
 また、復旧に関しまして、クールジャパンに関連する施策として、中小企業支援でありますとかあるいは文化資源・観光資源の復旧、こういったことを進めていかなければいけないのではないか。
 更なる創造的復興という観点でいえば、復興についての情報をどのように海外に対して発信していくのか。
 それから、被災地あるいは我が国の復興に関しまして、例えば関係者の要望、被災地の意を踏まえながらでございますけれども、拠点の整備といったようなクールジャパン関連施策としてどのようなことが考えられるか。例えばこのような視点で御意見をいただければと思っております。
 次に一番最後にございます参考資料7をごらんいただきたいと思います。クールジャパン推進に関するアクションプランということで、今これは関係省庁で議論している最中のものでございますけれども、委員の皆様に御紹介させていただきたいと思います。まだ調整中のものということで、バックシートの方は大変恐縮でございますけれども、御了承いただければと思っております。
 昨年10月でございますけれども、クールジャパンの推進に関します関係省連絡会議を立ち上げまして、3月にとりまとめを行ったところでございますが、東日本大震災を踏まえて見直しを行いたいと考えております。現在、関係府省が集まりまして、議論を進めているところでございます。途中経過ではございますけれども、その内容につきまして、御紹介をさせていただきたいと思います。これに幾つか修正あるいは更なる施策が盛り込まれる予定になっているところでございます。
 赤字のところが修正部分でございますけれども、まず1ページ、2ページをめくっていただきまして、今回クールジャパンの推進に際しまして、特に日本の復興を加速させるためにクールジャパンの推進が重要だということ。また、日本をただ単に戻すということではなくて、新しい未来、社会を創造するものではなくてはいけないということ。それから、未来に向けた創造的復興においてクールジャパンというものが大きな役割を果たす。また、国民が相互扶助の精神を持って取り組む姿こそが、まさにクールジャパンであるということで、こうしたプロセスを積極的に発信していくことが重要であるということを書いてございます。厳しい状況にある今だからこそ、クールジャパンを官民一体となって強力に推進する必要がある。こういう理念で考えているところでございます。そして、そのための施策の見直しというものを考えているところでございます。
 3ページ以下が具体的な施策でございます。それぞれの中に施策を盛り込んでいるところでございます。震災関係も幾つかこの中に一緒に書いてございますけれども、今日はわかりやすいところで、19ページをごらんいただきたいと思います。震災に関するものだけ取り出しまして、一覧に整理をさせていただいているところでございます。これにつきまして、御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず大きく2つに分けております。直ちに着手する施策と、21ページ以降の今後の復興に向けた施策、大きく2つに分けているところでございます。
 直ちに着手する施策につきましては、食、観光、ものづくり、文化資源・観光資源・情報通信基盤の復旧、こういった事柄を書いてございます。
 食に関するイメージの回復のところでは、安全確保ということで必要な検査機器あるいは検査体制の整備・充実でありますとか、公的な産地証明のための枠組みの構築あるいは外国の当局に対する働きかけ、また安全に関します適切な情報発信、不適切な報道があった場合への対応というものを在外公館を通じて行う。更には検査のために輸出業者が負担する費用の軽減を講じていきたいと考えているところでございます。
 20ページにまいりまして、観光でございます。正確な情報発信というものが非常に重要なわけでございます。それぞれの受け止め方に関する分析を行いながら、正確な情報発信を行うということ。そして、新たな観光ルートの開発も含めまして、訪日旅行の回復を図っていくということ。それから、これにつきましても、適切な情報発信、また不適切なものへの対応もしっかり行っていきたいと考えております。
 (3)といたしまして、ものづくり支援ということで、クールジャパンを支える中小企業支援の充実でございます。今回の被害は大変甚大であったということで、被害も全国に及ぶということで、全国を対象に考えているところでございますけれども、被災中小企業対策ということで、債務保証でありますとか融資の償還期間延長、また事業に対する補助、金利の引き下げ、こういったきめ細かな施策を行っていきたいと考えているところでございます。これに関しましては、昨日、競争力に関します専門調査会がございましたけれども、こうした事柄は是非取り組んでほしいという意見がございました。
 ものづくりに関しましても同様でございますが、適切な情報発信、不適切なものへの対応、輸出業者が負担する費用の軽減といったことも図っていきたいと考えております。
 (4)でございますけれども、クールジャパンを支える文化資源・観光資源・情報通信基盤ということで、伝統芸能を含む文化財、文化施設、社会教育施設をはじめとする文化資源・観光資源。また、今回の震災におきまして、公共図書館というものが大きな役割を果たしております。これにつきましても、出版社あるいは権利者の皆様の多大な協力を得て実現をしたものでございますけれども、被災地に対しましてファックスや電子メールで送信するような情報提供でありますとか、読み聞かせあるいは被災を受けていないところからの移動図書館のサービス、こういった図書館の取組は非常に大きな役割を果たしているところでございますので、こうした取組を更に促進したいと考えております。
 更には有線放送施設あるいは地域のネットワーク施設、こういった情報通信基盤の速やかな復旧を行いたいと考えているところでございます。
 今後の復興に向けた施策というところでございますけれども、情報発信につきましては、まさに復興の姿こそがクールジャパンでありますので、それを情報発信することが必要でございますし、コンテンツ、食、ファッションをはじめとして、更には日本の技術力といったところも併せて情報発信していく必要があると考えております。
 まずは国内外のあらゆるメディアを活用いたしまして、情報発信すること。それから、国内イベントにつきまして、被災地域あるいは関係者の要望も踏まえつつということでございますけれども、被災地域での開催ということにも配慮していく必要があるだろう。更には国内のさまざまなイベントで復興メッセージというものを発信していくことが必要ではないか。具体例といたしまして、幾つか例を掲げております。
 Bといたしまして、外国での事業あるいは海外でのイベント、こういったところで日本の復興について情報発信していくということでございます。これも具体例を幾つか掲げさせていただいております。
 それから、あらゆる機会・手段を活用して発信しようということで、我が国の有力な人、影響力のある人を海外に派遣して発信をする。あるいは逆に海外のメディアとか影響力のある著名人を招聘する。それから、海外事業者を招聘したり、あるいはコンテンツ、観光、食に関しましては、例えば海外において出展をすることで安全性をアピールする。こういう取組を進めていきたいと思っております。
 23ページでございますけれども、さまざまな教育関係のプログラムがございます。こういった教員の交流を通じて発信をしていきたいと思っております。
 最後の被災地域の復興という観点でいいますと、クールジャパン関連施策を実施する際、被災地域の要望を踏まえということになりますけれども、復興に資するように配慮するということで、具体的な施策を講じる際にその地域に十分配慮していくことが必要ではないかと思っております。
 また、ビジネスイベント等の誘致も今後必要になってくると思います。
 中期的な支援策といたしまして、クールジャパンの発信拠点の整備というものも必要かと思います。
 更にはクールジャパンの関連事業を通じての雇用創出、観光イベントへの支援強化、こういったことを図っていきたいと考えているところでございます。
 以上の施策につきましては、関係省庁が集まりまして検討中でございますけれども、まずできることはすぐやる、また将来的なことも含めて今から考えて是非進めていきたいと思っているところでございまして、委員の先生方からも御支援をいただければと考えております。
 最後に資料2に戻っていただきたいと思います。資料2がコンテンツ専門調査会としておまとめいただく、盛り込むべき事項の最終の案でございます。ただいま申し上げました政府におけます検討も踏まえまして、最終的な提言案をこのようにしてはどうかということで事務局からの御提案でございますけれども、赤字が追加する案でございます。
 1ページ目につきましては、情勢認識のところに今回の震災を受けてのクールジャパン推進の重要性を記載してございます。
 しばらく飛びまして、10ページまで飛んでいただきたいと思います。クールジャパンの推進のところで、趣旨を更に詳しく書いてございます。未来を創造するものでなくてはならないということ、それに大きな役割を果たすということ、国民が相互扶助の精神を持って取り組む姿がまさにクールジャパンだ、これを積極的に発信することが必要だということを記載させていただいております。
 具体的な施策としては、先ほどの検討中の施策を幾つか盛り込ませていただいておりますけれども、例えば14ページでございます。クールジャパンの情報発信のところでは、さまざまな機会を通じまして、海外に対し復興に関する情報発信を行うということを追加してはいかがかと考えております。
 15ページでございます。人気を拡大することの前提といたしまして、まず日本ブランドに対するイメージの回復を早急に図ることが喫緊の課題でございますので、その取組には直ちに着手する必要があるということを書いてございます。
 具体的な施策といたしまして、17ページからでございますけれども、ブランドイメージの回復ということで、食に関する安全体制、観光に関する正確な情報発信、支援強化、日本製品に対するイメージの回復、在外公館を通じた海外への働きかけ、こうしたことをやっていきたいと考えております。
 最後の基盤整備のところでございますけれども、これも少し飛んで恐縮ですが、19ページにいっていただきたいと思います。クールジャパンを支える中小企業への支援、さまざまな資源の速やかな復旧、公共図書館の取組の促進、クールジャパンの施策の実施に当たり被災地の復興に資するような配慮をする、こういったことを書いているところでございます。
 以上でございます。
 繰り返しになりますけれども、政府としては、直ちにできることは直ちに、また将来の総合的な復興に向けた施策も是非実施をして、今から考えていきたいと思っております。
 本当に最後でございますけれども、1つ補足でございます。資料3をごらんいただきたいと思います。資料がちょっと厚くて大変恐縮なんですが、資料3が2011の工程表でございます。2011に書かれる項目につきまして、いつ、だれが何をやるということを書く作業をしているところでございます。現在、調整中でございまして、個別の事項についての説明あるいは意見交換はこの場では控えさせていただきたいと思っておりますが、内容について御関心のある事項、意見につきまして、個別に先生方に御説明させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 大変長くて恐縮でございますけれども、私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○中村会長
 ありがとうございました。
 追加すべき事項の方向性として、震災への対応としてクールジャパン戦略を改定する必要があるということで、主に資料1の1枚紙をもとにしながら、最後に説明いただいた資料2の事務局案を見ていただきながら議論をしていただくということかと思います。
 言ってみれば3月10日の平時に議論をしてきたものを、有事に至ってどのように見直すのかということかもしれませんけれども、議論の場としては、今日と次回のあと1回でまとめるという段取りだそうでございます。
 今、政府としても被災地への対応、復旧といったものに手いっぱいかと思いますので、今回の事態をきちんと見極めて長期的な対策を打つというのは、今回は時間が足りないかもしれませんけれども、現時点でここに盛り込むべき思いのようなものは盛り込んでおけばよいのではないかと考えているところです。
 そういうことで、震災や復興に対する思いなどでも結構ですので、意見、コメント、質問などがあればお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

○角川委員
 「クールジャパン」と言うと全てが許されるような感じがして、クールジャパンというキーワードがひとり歩きしているような気がしてしようがないんです。悪く言うと、抽象化するためのキーワードみたいに思えるのです。日本の信頼を戻すために海外でクールジャパンの施策を行うというのはまだわかるんです。ただ、東日本の復興のためにこそクールジャパンが必要だと言われても、どうしたらいいのか。委員の中にイメージが湧くかどうか。逆にお聞きしたい。国内と国外ではクールジャパンの受け止め方、施策が全く変わってくるのではないかと思います。そこら辺のことをもっと具体的に言わないと、この場限りの、この時限りの作文で終わってしまうような予感がしてならないんです。

○中村会長
 その辺りはいかがでしょうか。どうぞ。

○別所委員
 今回の東日本大震災の海外での受け止め方が原因になって、さまざまな国々の観光規制があったり、食料に対する規制、ここにいただいた資料にあるようなことが起きているとしたら、大半は情報災害だと思います。つまり日本がどういうふうに海外に今回の災害の状況を伝えていっていたのかということが明確になっていない。
 よくテレビでも言われていることかもしれないですが、角川委員がおっしゃったようなクールジャパンを発信していく上でも、非常に皮肉なのはオーソライズというか、エスタブリッシュメントというか、国の機関であるとか公式の見解が世の中に出てもだれも信じなくて、ツイッターで流れているような情報が信じられるという現実があります。まさにここの知財でインターネットとかITとか電子書籍とか、最先端の知的財産あるいは情報を考えていこう、国の方針でやっていこうというときに、残念ながら悲劇と一緒にはっきり明確にわかったわけで、クールジャパンにしても、私たちの知財を世界に向けて発信するための情報機関というんでしょうか、そういったものが明確になっていない。スポークスマン、はっきりと顔の見える形、しかも、エスタブリッシュメントされた、オーソライズした人が声を上げれば上げるほど、その人が言っていることがうそに聞こえるという現実を踏まえて、どう情報整理などをするべきかということが大前提にあるような気がいたします。でないと、幾らその背後にすばらしい政策や言葉が躍っていても、結局伝わらないのではないかと私も危惧をします。
 多分これは国のレベルでいうと外務省になるという話なのか、知財に関してもどういう情報、コミュニケーター、スポークスマン、アンバサダー、何でもいいんですが、どういうふうに組み立てていくのかを明快にしない限りは、復興と絡めてクールジャパンを語るのは被災地に対してもかなり危険があるとも思いました。

○中村会長
 いかがでしょうか。どうぞ。

○吉羽委員
 個人的な体験みたいなところをお話することになるんですけれども、今、別所さんがおっしゃったように、情報災害という意味では近隣の諸国の報道などは相当強烈なものでした。実は3月末にイタリアのボローニャにブックフェアで行ってきて、その後4月の中旬に台湾へ行ってきているんです。いろいろと聞かれるのは、あちらでの報道と私らの感じているところはかなりのギャップがある。勿論被災地の皆さんは本当に大変な状況にあるんですけれども、日本中全体にそういう状況であるととらえられているというのは、情報の部分での相当大きな伝わり方の誤解はあるんだろうと感じました。
 その部分の訂正というのはなかなか難しいんですけれども、幾つかの話があって、現地でNHKのBSなどを見ていると、割と普通の番組を普通に流していたりして、逆に言うと何事もなかった感じが強調されていて、これも不思議な違和感があったと思いました。
 まとまりがなくて申し訳ないんですけれども、ボローニャの方はブックフェアをやっていまして、うちも社内的には時節柄とりやめる、とりやめないという議論もあったんです。ただ、ブースのスペースもかなり大きなものを確保しているので、行く人数は十数人から3人に減らして行きました。
 それから、角川さんもよく御存じだと思いますけれども、児童書をやられているところは出展するところなんですけれども、結局出ている会社は講談社と学研さんと偕成社さんの3つだけで、ブース出展などはおやめになったところも随分あったと聞いています。行って、まずほかの日本の出版社さんに感謝されたのは、来てくれなかったら日本は相当だめなのではないかという信号になってしまっただろうということで、そういう見本市みたいなところに出展することで、日本の多くの部分は普通に動いていることのアピールみたいな部分は非常に重要だと思ったのが1つあります。
 あと、我々はコミックのライセンスとか児童書のライセンスなどが多いわけなんですけれども、ヨーロッパにしろ、台湾にしろ、普通に本は新しくライセンスをされて出ていくわけです。コンテンツは抽象的なものなので、放射能汚染もないので、そういった意味でのビジネス部分、知的財産に関わる部分というのは大きな影響はありませんでした。勿論人的にいろいろと大変な部分はありますけれども、対外的にはむしろ普通に動いていたというのは印象としてありました。
 それから、私らが行って、ある種日本は大丈夫だというメッセージを発しに行ったような部分も半分ぐらいあるわけです。ジャンプが1号出なかったりとか、紙の手配の問題とか、インクがないということで、出版のロット自体はやはり減らざるを得ない部分がありましたけれども、雑誌は部数が減っても出ていくことでコンテンツの供給はきちんとされるので、今後海外での出版が地震によって影響も受けることもないんだというビジネス部分でのメッセージを伝える役割もあったと思いました。
 逆に、我々が現地に行っていろんなビジネスの打ち合わせをしてくることによって、次のカウンターで今度は日本でミーティングをやろう、そのついでにディズニーランドに行ったことがないから行きたいみたいな話が出てきて、例えばテーマパークであるとか、イベントなどがきちんと動き始めているんだということも、どれぐらいきちんと伝わっているのかというのは逆に思うわけなので、情報発信の中で間違いの部分を正すということが1つあるんだけれども、もう一つ積極的に楽しいことがいっぱい日本の中でも動いているし、是非これに来てくださいというポジティブなアピールをうまく出していってほしいということは、行った経験も含めて感じているところです。先ほどのお話にも通じるかもしれませんけれども、アピールの仕方みたいなところに注意しながら、なるべくポジティブなところの強調ができればいいのではないかと思いました。

○中村会長
 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○大多委員
 今の吉羽委員からポジティブなメッセージを発するというのは、私もすごくそう思っていまして、前回の会のときにまだまだ日本は売り込む力が足りない、でも、追いついて韓国や中国に負けない力はあると私は思っているので、いろいろとしゃべらせていただきましたけれども、とにかくテレビの方もNHKさん、民放をはじめ、こういう厳しい状況の中でいわゆる海外展開、デジタル展開というのは最優先事項でやり始めているわけです。
 これからこの震災の影響で、例えば経済的な影響で制作費が減っていくとかそういうことになっていくと、番組の質などいろんなものに影響が出るかもしれませんけれども、現状ではテレビで、例えばバラエティーが止まったとか、ドラマの撮影ができなくて、放送に間に合わないので、今回は休止するみたいなことは起きておりません。これがいいかどうかはともかくとして、例えばドラマにしても、今、放送されている連続ドラマ、各局さんいろいろ放送していますけれども、恐らく震災後に撮影されたものが今テレビで放送されているわけです。海外の方は、あれはどういうふうに撮影しているのかと思っている人もいるかもしれませんけれども、まさに震災後にいろんな工夫をして撮って、特に東京でロケをやっているわけです。沖縄にも来ないという海外の方がいらっしゃるようですけれども、東京でロケをやって、東京で食事の支援をやって、当たり前のように日本を代表する俳優さんたちがそこで食べて、芝居をしているわけです。それが逆にうそくさいと見る方もいるかもしれないけれども、そういうことではある意味復興のアピールにもなるかもしれない。
 それから、今こそ日本のコンテンツは元気です、もともとそれをもっとやらなければいけないからこういう会議が開かれているんだと思いますけれども、震災のことを1つのきっかけにというのは非常に難しい部分がありますが、私はここがある意味チャンスだと思っていて、先ほど吉羽さんが言ったように、見本市に日本が来なかったら心配だったということもあるわけで、引き続き各局を見ていますと、震災後もアジア、ヨーロッパにいろんな売り込みに行っております。そういう中でいろいろなことを聞かれているようですけれども、まだ番組はつくれているんだみたいな反響の中で、何の問題もないということで、いい意味でのセールストークというか、そういうものも入れているという話も聞きましたので、ここはいいポイントだと私は考えております。
 ちょっと話が長くなるんですけれども、このところ、民放各局の海外戦略部隊の人たちの話を幾つか聞くことができたんですが、今ここで震災について話すあれはないのかもしれないんですけれども、この間、例えばMIPという国際見本市がフランスのカンヌでありました。韓国はやはりすごかったそうです。フロアを取っている大きさが全然違う。よく聞いてみれば、国が非常に応援してくれてやってもらっている。テレビ各局は行かない局もありましたし、行ってもフロアが違うとか、最初から負けている感じなんです。別にお金を国に支援してほしいから言っているわけではないんですけれども、1ブース出すのに数百万なんです。500万以下ですけれども、数百万かかる。韓国勢を見ていると、あれは多分数千万かけてやっているのではないかという広さということで、ここ数か月の間でも韓流は強いということ。いわゆる売りに行くわけです。これは前回話しましたけれども、ドラマでいうと1話を2万とか3万でしか買っていただけない国がたくさんあるわけで、いわゆる出張費とか宿泊費などを入れたら、逆ざやになっていく中でもやろうではないかということでやっていますけれども、そういう実態は全然変わらない。
 それから、いろんな情報を提供していく上でも、これは私も初めて聞いたんですけれども、ジャパン・コンテンツ・ショーケースというものがあって、日本のいろんなコンテンツの情報をやっているんですが、これはほとんど更新されないで、古い情報が残ったままになっていることがあるようです。月間で4,000というのはほとんど見られていないに等しいんですけれども、そういうものが平気で残っている。韓国はどうかというと、コリア・スタディというものがあって、連日更新をしていて、海外向けのポータルとしていろんなバイヤーが見たりということで利用されているとか、このところを聞いていっても大分差があるんだという思いがしました。
 まさに先ほどの観光客のビジット・ジャパンという観点から見ても、日本はまだ元気でコンテンツもつくっているし、最新の作品がこういう形でやっている、安全ですということも二重の意味で言えるので、もっとこういうことをちゃんと言っていかなければいけないということを感じております。
 ついでに言ってしまいますけれども、ベトナムなどに行った人間の話ではやはりドラマが強い。ドラマがヒットすることで歌が売れる。更にグッズが売れるみたいなことだそうです。ドラマに出てくる車が例えばヒュンダイだと格好いいとか、イ・ビョンホンが見ていたらあのテレビがほしいとか、非常につながっていくわけです。だから、うまい言い方だと思ったのは、国を挙げてプロダクトプレスみたいなことをやっている状況があって、これはちょっと大げさだと思いましたけれども、ベトナムではLGとかサムスンの家電製品が非常に多いというのは、そういう影響が強いのではないかという報告も受けて、なるほどだと思いました。韓国の方たちの売り込みや中国の人たちの売り込みから比べると、クールジャパンと言っていてもまだまだ弱いということを、ここのところ改めていろいろ話を聞きましたので、御報告します。
 そういった意味でも、クールジャパンと復興を重ねるのは危険だと思いますけれども、いい意味でとらえれば、ここが1つのきっかけになるのではないかという気はしております。

○中村会長
 ありがとうございます。
 今のお話を伺っていまして、イラク戦争のときのMIPを見に行ったことがあるんですけれども、そのとき日本だけが出展を中止していて、出兵している国はみんな出しているのに日本だけ何で来ないんだみたいなことがありまして、ひょっとすると、そういうムードというのはずっと続いているのかもしれないです。ですから、自粛ムードといいますか、そういったものをこれからちゃんと打ち解いていって、元気を出していくのが非常に大事だと思っています。
 そこで、資料1をごらんいただくと、この中にはイメージの回復、復旧、復興という文字がありますので、それが大事だというのは恐らく皆さんの合意がとれると思うんですけれども、その中で角川委員がおっしゃったクールジャパンにそれを全部くっつけるのはどうかといいますか、クールジャパンを強調し過ぎという面は皆さんのイメージとしてあるのかもしれないです。その辺りを議論いただければと思います。ここでは全てクールジャパンの推進に当たりとか、クールジャパンの発信としてというくくり方をしておりますが、そういった進め方でよいのか。恐らく資料2の施策の中に盛り込んでいくべき事項にはクールジャパンのところに整理していくものが多いと思いますけれども、全体のとらえ方はどうかというのが1つあろうかと思います。
 それから、別所委員がおっしゃったことも非常に大事で、コンテンツ政策としての情報戦略といいますか、インテリジェンスに近いところです。国としてどういう情報をどう発信していくのかということを施策としてうまく整理するのは今回難しいかもしれませんけれども、大事だということをここに盛り込んでいくべきかどうか。それは先ほど吉羽委員や大多委員がおっしゃったポジティブなところをどう出していくかという乗せ方かもしれません。その辺りももう少し意見がありましたら、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。

○角川委員
 きっかけを提言して、皆さんにいろいろ発言していただいたのでよかったと思います。私は昨日北京から帰ってきたんですが、クールジャパンといって、食をクールジャパンに入れるのはかえって危険だと思います。クールジャパンを食の安全と言うのであれば、食の安全をこういうふうにするからクールジャパンと言っていいですという定義が必要です。この時期に食を含めて海外に日本のクールジャパンをアピールするのは非常にリスクが高くて、かえって食が入っているために間違ったメッセージがいってしまう危険を感じます。
 現実に昨日もNHKでの風評に関する番組は、香港で日本のレストランが倒産していって、これは風評被害だというんだけれども、その風評をつくっているのは実はNHKかもしれないんです。例えば先ほど国際放送と吉羽さんがおっしゃっていたけれども、私は北京でNHKの国際放送を見ていたけれども、日本が風評だということで言うのであれば、NHKの国際放送こそが、今、日本はこういうところにあるんだということを、1日のうち1番組はそれを意識した番組を流してもらいたいんです。「日本はだめだ」といった番組を流しておいて、海外の日本レストランの苦境は風評被害だというのは、NHKの人が自分がメディアとしての結果を全く理解していないのではないかと思うんです。ですから、私が思うのは、国際放送で何百億円というものを今NHKが使っているわけです。NHKが何百億円使っている国際放送、これは小泉内閣のときに始まって、たしかこの知財でも取り上げたはずです。その効果があったのかどうか、そういうことも検証したいぐらいなんです。
 そういうことの流れでいうと、コンテンツのクールジャパンを海外で展開するのであれば、カンヌ映画祭というのはいい場です。あるいはカンヌが早いのであれば、秋のモントリオール映画祭。そこで日本は大きなブースをつくって、今、大多委員がおっしゃったような韓国に負けないようなブースの大展開を意図的にやってみることが必要だと思いますし、CoFestaを東京でやる必要はないんだと思います。東京国際映画祭は東京でやりますし、映画祭と都市の関係は非常に重要ですから、東京国際映画祭を北京に持っていけというむちゃなことをやっているわけではないんですけれども、少なくともCoFestaを北京に持っていっていいわけです。これがコンテンツのクールジャパンだと私は思います。
 筋論として、日本は国内の原発の問題をどうとらえるかということをまず政府にきちっと決めてもらって、それに応じて、私たちが知財で討論するというのが順序です。それがないままだと、先ほどから出ているように、クールジャパンという意味もわからないままに、定義もあやふやなままにクールジャパンという言葉だけが作文で躍るということになってしまうんだと思います。そこら辺はなかなか言いにくいでしょうけれども、事務局が知財として東日本大震災を取り上げるのであれば、きちっとしていただきたいと思います。

○別所委員
 今、カンヌ映画祭のことで思い出したんですけれども、先日この会議でも私が発言しましたが、私が参加したシンガポールのエリック・クー監督のTATSUMIという劇画、アイズナー賞を海外でも取っていらっしゃる漫画家の方を題材にして、私は声の出演で参加したんですが、これはカンヌのある視点という部門に入りました。私はある事情があって行けないというあいまいな表現でカンヌに行けないことを配給を通じて現地に伝えました。そうしたら、やはり向こうの反応というのは、フランスは非常に冷静に日本のことを見ていたんですけれども、大震災のせいか。今、私はレ・ミゼラブルという違う舞台に出ているので行けないんですけれども、日本の情報発信というのは非常に奥ゆかしくて、諸事情によりとか、いろいろありましてという言い方を相手、海外に伝えてしまうので、私も反省しました。具体的な理由があって行かない場合や海外との連携を取れないものは、明快な理由をはっきり言わないと、国内でもそうでしょうけれども、海外の人は大きく存在している原発の問題や大震災が理由で海外に来られないとか、そちらへ行くのは危ないと、憶測にどんどん増発してしまうんだという経験を実感しました。
 それから、角川委員が言った映画祭の話で、手前みそで悪いんですが、私たちもショートフィルムの映画祭を6月に計画していて、やるか、やらないか非常に議論をしましたが、結果的に開催します。海外の方々にそのことをお伝えしたときに、喜んで行きたいという方々が映像作家にもたくさんいらっしゃったので、こういった方々を6月には日本に招聘して、東京は安全だし、少なくとも日本の全体がおかしなことになっているのではなくて、冷静に動いているということを実感していただきたいと思っています。
 ですから、クールジャパンという言葉がどうかは議論があるでしょうけれども、今はプレイフォージャパンとかいろんな言葉が世界中に躍っているわけですが、国としてクールジャパンの先にある日本の新しいリビルトなのか、新しいクリエイトする力を世界に発信するんだということを明快に打ち出して、私も角川委員が言うように、カンヌ映画祭は非常にいい場だと思います。サルコジ大統領も日本にいらっしゃったんですから、パイプが菅総理に明快にあるのであれば、大統領にすぐ言って、カンヌ映画祭に日本のアイコンになる人間を送るから、カンヌ映画祭のオープニングやクロージングで一言しゃべらせてくれというのが、映像コンテンツの深い発信を世界中にあっという間にする力になると思いますし、そこに例えば俳優の先輩の渡辺謙さんやそういう方が行くのも手でしょうし、そういった場をうまく活用するような具体的な方策をとって、前進してほしいと思います。
 あと、議論として、私は観光庁の仕事に関わっているので申し上げると、毎回言っているんですけれども、日本にようこそでお呼びする仕事と、世界に発信する両方をしっかりコミュニケーターとアンバサダーを分けて、それを統括するのが、私はいつもわからなくなってしまうんですけれども、知財本部なのかあるいはそれはやはり外務省になるのか、経産省になるのか、文部科学省になるのか、その辺はばらばらに解きほぐされていってしまうんですけれども、もっとそれを体系的に束ねるコントロールタワーがあるのであれば、そこをしっかりやらない限りはいつまで経ってもばらばらで、情報があちこちに薄く、それぞれの思惑で出るという、外から見ると、失笑を買うような状況にあることは変わらないのではないかと思います。

○中村会長
 どうぞ。

○芝田次長
 幾つか御意見をいただきましたので、事務局側の考え方も少し述べさせていただければと思います。
 確かに震災前までに考えていたクールジャパンというのは、コンテンツとか食とかファッションなどを一緒に売り出したいと構想していたわけですけれども、ある意味風評被害等も含めて少しマイナスのところからスタートしなければいけなくなったという認識を持っています。
 その部分の対応として、参考資料7で先ほど見ていただきましたけれども、19ページに書いてありますように、まずイメージの回復といった場合にも表層的なイメージの回復だけではなくて、実態として安心してもらえるような材料を出していかなければいけないだろうということで、19ページの(1)の@から始まっておりますが、しっかりした安全というものを日本自身が証明していこうということで、放射性物質の検査の体制をしっかりするとか、あるいは産地証明といったものを公的に出すとか、こんなことをまずやっていこうではないかと考えています。そういう意味では、この部分は以前考えていたようなクールジャパンとして食を売り出すということではなくて、まず元のところまで戻そうという努力をしなくてはいけないと考えています。
 直ちに着手することが一段落ついた後のこととして、21ページからの今後の復興に向けた施策を考えておりまして、例えば21ページの2の(1)の@にございますように、日本の復興キャンペーンの実施をしようということで、この中では大々的なキャンペーンをやろうと思っておりますけれども、復興メッセージも盛り込んだロゴマークをつくっていこうではないか。新しいメッセージを出していこうではないかとか、こんな展開をしていきたいと考えています。
 そういう意味では、角川先生が御指摘になったように、食などを一緒にやるのは難しいのではないかという趣旨だと思いますけれども、まずは元のところに戻して、それから一体的な展開もできるだろうと考えております。
 それから、今、海外での映画祭等いろいろと御意見をいただきましたけれども、これは海外のあらゆる機会を活用してメッセージを発信していこうということでございますので、具体的な名前がどの程度こなせるのかどうかを含めて、検討課題にさせていただければと思います。
 そういう意味では、クールジャパンというタイトル自体は施策をまとめるための1つの表題として、今、使っておると御理解いただければありがたいと思います。永遠にクールジャパンということで海外に出していくと肯定的に考える必要はないと思いますので、新たなロゴとか考える段階でいろいろ工夫することもあろうかと思っております。
 以上です。

○中村会長
 いかがでしょうか。
 これまでは海外に向けてどのような情報発信をしていくのか、クールジャパンに絡めての議論が多かったんですけれども、一方で国内に向けてはどうかということもあろうかと思います。
 資料1の2つ目の○は、被災地の復旧に関してクールジャパン関連施策として何かあるのか。中小企業支援の充実等々と書いてあります。
 4つ目の○もそうです。被災地域のクールジャパン推進拠点の整備などもありますし、ここには書いていないんですけれども、震災を受けた後のコンテンツ業界の打撃をどのように復旧、復興していくのかということも我々が考えておかなければいけないかもしれません。
 その辺りで何か意見、コメント等があればお願いいたします。角川委員、どうぞ。

○角川委員
 例えば事務局に「特区」の設定を東北の県で実施するという計画はありますか。コンテンツ特区を東北に設定して、そこを基準にクールジャパンの国内振興を図るという計画があるかどうかをお聞きしたいです。

○奈良参事官
 今後の復興に向けて、今、復興構想会議で議論がされております。この中でもアイデアとして復興特区というものも出ておりまして、片山総務大臣からもそれはいい考えだという前向きな御答弁があったところでございます。これも被災地等の要望を踏まえてということになると思いますけれども、知財本部としてどこまで担げるかというところはあろうかと思いますが、復興構想会議あるいは関係の事務局、同じ内閣官房でございますので、そういったことをしっかり調整してやっていきたいと思っております。

○中村会長
 そういうふうに言うと、復興対策は復興構想会議で全体をまとめていくのに対して、知財本部といいますか、この会合というのは、我々からこうした方がいいのではないかという意見をお出しいただいたら、そこから復興構想会議の方に入れ込んでいく、そういうふうに考えてよろしいんですか。もしそういうルートであれば、皆さんの考えをいろいろお出しいただいて、例えば強力なコンテンツに関する特区を東北に持っていくべきではないかという意見があるとすれば、それを提出しておくことになろうかと思いますが、そう考えておいてよろしいですか。

○角川委員
 そういうことであれば、ジャストアイデアにすぎないんですけれども、今、アニメーションは京都アニメーションが非常に元気です。その次に富山のアニメーションの会社が非常に元気なんです。ですから、東北にアニメをつくるファンドを設定して、そのファンドを使うんだったら東北に出かけていって、そこに人材を集めて、「アニメーション特区」をつくるというアドバルーンを上げるのはいかがでしょうか。実際にそこで応募するところがどういうものかというイメージはまだありませんけれども、非常に有力だと思います。そういう具体的なことをクールジャパンとして考えられないと、例えば委員にただ丸投げして考えろと言っても、むしろ困ってしまうので、そういうことも含めて事務局がまず机上でつくってもらって、それを委員に聞いていくという作業もあっていいのではないでしょうか。

○安藤参事官
 ありがとうございます。
 会長からお話がございましたが、復興構想会議の方にこの会からインプットするのかというと、必ずしもそうではありません。なぜかといいますと、知財本部自体が総理をベッドとし、全閣僚が入り、また有識者の本部員の方々で構成されています。ある意味知財政策に関する最高の機関でございます。したがって、その関係機関としての専門調査会でしっかりと御議論いただいたものを関係省庁にどういう形で実行できるのか。復興構想会議自体はアドバイザリーボディという位置づけ、勿論総理も出ておられますし、今の状況の中で非常にプライオリティはあるのかもしれませんが、アイデアを考える議論の場でございますから、実行の部隊はむしろ私ども知財本部あるいはその事務局を通じて、各省庁と何ができるのかを進めていくことが必要だと思っております。
 角川委員からの御提案ということでもございますので、関係省庁とどういうことができるのか、現時点で直ちにどの県でどうという話は全くございませんが、他方で特区法案も国会で審議が進んできておりますし、そうした中でどういうことができるのか、ネタ探しのところから含めて、知財事務局でも努力をしてみたいと思います。
 ありがとうございます。

○中村会長
 コンテンツに関する特区のアイデア、構想というのはこれまでも随分議論してきましたし、映画を誘致するような話もいろいろ議論してきましたけれども、そのようなアイデアのうち、地元が望み、具体的に構想できるようなことがあれば、非常に有力なタマにはなろうかと思います。ほかにも被災地に対する復旧、復興策としての知財政策、コンテンツ政策もあろうかと思いますし、日本全体を見通した後、震災後の日本経済を考えたときに、知財戦略として改めて考えておかなければいけない事項があれば、お出しいただければと思います。
 1つお出ししますと、先日、文部科学省で学校教育の情報化に関する懇談会がありました。それも震災前に議論していたことの最後のとりまとめの間に地震があったものですから、もう一度見直さなければいけないという議論だったんですけれども、被災地で子どもたちの教科書が水で流れてしまったり、校務の情報が流れてしまったことがあった。それをかんがみると、やはり教科書や教材のようなコンテンツをいかに早くデジタル化しておくのか、クラウドに置いておくのかというのは、もっと早くやらなければいけないのではないかという議論もあったりしたんですけれども、それもある種コンテンツ政策、知財政策として考えておかなければいけないことだと思います。
 今回の震災後にもう一度これまで我々が議論してきたようなことを見直して、早めるべきところとか、もっと重要視すべきところもあるのではないかという気がしております。これは感想だけです。
 どうぞ。

○杉山委員
 まさに会長がおっしゃるとおりで、例えば私が思ったんですけれども、震災後にボランティアの方が随分被災地に入って、写真のアルバム等を探して、家族の皆さんに返してあげるということですけれども、近未来を考えれば、家族の写真もすべてクラウドにずっとありますので、物理的に失われてもいつでも見られる。ネットがつながるところへ行けば見られる。これも知財です。ですから、そういうことを考えたときに、日本の場合、震災は常に起きるわけです。常に順番に起きていくという特性がございます。
 ちょうどちょっと前にネット関連のカンファレンスがありまして、そのときにツイッター社の技術の人が来て、3.11のあの瞬間から日本中のツイッターのトラフィックがあったか、また世界とトラフィックがあったかというアニメーションを見せていただいたんですけれども、残念ながら、あっという間に東京と大阪とかその辺がわっとなって、その辺から海外とラインがどんどんできてものすごい量になっていくんですが、被災地は真っ黒なんです。被災地はどうしても全てが倒れてしまっているから、知財の本当の行ったり来たりのインフラというのはデジタルに移ってしまっているわけです。
 何か国で被災のところに行って、例えば飛行船みたいなものでもいいんですけれども、すぐにネットへのアクセスが可能になるような特別なものまできちっと開発する。今すぐやれというわけではないんですけれども、知財が本当に大事であるという国にするためには、民間が全部鉄塔を直して、アンテナを1本1本立てて直していくまでに間に合わないんです。瞬間的にできるようなものを国で持っていて、被災地に一発でネットを仮に立ち上げていくみたいなものがすごく必要だと思いましたし、例えば皆さんがタブレットみたいなものをどんどん持つようになっていけば、先生がおっしゃったように教育の材料は全部クラウドにあれば、すぐに子どもたちに授業を開始できますから、やるべきことは幾らでもあります。それはものすごく思っています。

○中村会長
 どうぞ。

○角川委員
 日本は北海道開発とか沖縄の支援ということで、既に行政として地域振興についての方法論を身につけています。ですから、今、沖縄でコンテンツ支援のためのいろんな諸施策、あるいはコンテンツだけではなくて通信インフラの整備を随分沖縄で展開しています。そういうことを参考にして、今度の東北6県の共通、その地域で何をしたらいいかというのはすぐに絵が描けると思います。
 例えば角川でもデジタル化の会社を沖縄につくって、40人雇用したんですけれども、それに対しては20人、半分の人件費を3年間支援するとか、より具体的に出ていますから、それを利用してそういう会社をつくれるわけです。ですから、通信というのは東京でサービスを受けるのも、北海道や沖縄でサービスを受けるのも地域を選ばないんです。そういう面で、沖縄でされたコンテンツ関係あるいは通信、インターネットサービスプロバイダーの育成だとか、そういうものもこの6県で支援していく。採用については面倒を見ていくということを早急にまとめて、それを私たちに投げ出されたらどうですか。私たちは相当応えられることもあると思います。

○中村会長
 今、コンテンツ、知財に限らずネットワークの整備のところの話、ハードのところの話も出ましたけれども、そのようなことでも結構です。
 どうぞ。

○吉羽委員
 前回も多分同じことを申し上げたんですけれども、特区の話も必ず地域の要望を受けてという話が出るんですが、例えば原発は国の政策として特定の地域につくったわけです。ここで再三申し上げているクラウドサーバーは海外にどんどん逃げていっているところを何とかしなければいけないのではないかとか、映画のロケーションの話などもありましたけれども、知財本部として幾つか共通して出ている問題意識みたいなことがポイントとしてあったと思うんですけれども、それを国の政策として災害地、被災地の復興の一助になるような形で何とかできないかとか、そういうようなことを逆に具体的な案として出していただきたいと思います。
 なるべく現場から挙げてほしいというのは気持ちとしてはわかるんですけれども、このテーマだったら、どこの地点が自分たちのニーズに合って、地理的なロケーションも含めてうまくいくのではないかという両方のかみ合わせでうまく進めないと、結局特区と言っても、すごく小ぢんまりとしたものにまとまっていってしまうのではないかという危惧が何度かしているので、この辺りを是非積極的に進められるような組立てをしてほしいと思います。

○中村会長
 今、御指摘があったように、この調査会はこれまでクラウドのこともありました。それから、人材育成、研究開発、そういったテーマもいろいろあって、今この短い期間にどれを東北のどこにというところまではいかないかもしれないですけれども、そういったものを総合的に東北地方にできればということは書けるのかもしれないです。
 ほかにもしそのようなことや何でも結構ですので、あればお出しいただければと思います。
 あるいはメディアの構造としても、例えばこれまでここでいろいろ議論してきた放送番組をネットでどう配信するかということについても、地震直後テレビがUstreamで世界的に配信されて、地震から2週間後、世界のUstreamのユーザーが倍に増えたと聞きます。それぐらい世界の方々がネットで日本のテレビを見たがっていたということですとか、ラジオのIPサイマル配信のradikoもエリア限定を解いて、日本中の人がラジオを聞けるようにした。結局テレビは3月末、radikoは4月11日に元のポジションに戻っていますけれども、そういったことも地震を契機に1つやってみたということは、我々知財本部として進めようとしてきたことが1つ動いたということがあります。
 これを契機にということはできないかもしれませんけれども、これから進めるようなことはないものでしょうか。これは今回の知財計画にどう入れるかという話ではなくて、我々は震災から何を学ぶかという考え方をまとめておく機会かと思います。
 どうぞ。

○大多委員
 今回の震災で、皆さん御承知のとおり、被災した瞬間の安否確認に結局最後つながったのはツイッターとフェイスブックであります。海外サーバーの問題とかいろいろありますけれども、一番頼りになったのはそこだったわけです。会社によっては全社員フェイスブックに強制加入ということも始まっていますけれども、インターネット網が強いということが立証された以上、ただ、あれは東京の直下型が起きようが何しようが、フェイスブックとは何という方たち、お年寄りは最後それが命綱になるかもしれないと言われても、何からどうやっていいかさっぱりわからない。最後は携帯がつながらない、メールがいかないとなると思うんです。それすらもできないかもしれないわけで、その辺のことをどうするのかということです。
 先ほどありましたが、各局の緊急特番があったときにUstreamをやりました。あの裏話をしますと、Ustreamをやる上で、フジテレビの場合は結局あそこに配信する最終的な承認とか、いろんな作業をフェイスブックでやったんです。電話も何もつながらない。そして、Ustreamで配信をした。それが世界に流れていく。
 これは話がまた元に戻りますけれども、海外の方に向けて風評被害、先ほど北京でテレビを見ていたら何事もなかったことのようになっていた、あれは日本人向けの放送ですから、日本の人は見ています。海外の人はインターネットで見るわけで、インターネットに向けて、テレビ局が例えば日本は今こういう状態です、東京はこういう状態ですというのは、海外の人が見るのはネットだと思うんです。そのネットにどうやって、今の正しい日本の姿を映し出すのかみたいなこと、番組をネットに流せばいいだけのことなのか、ちょっと今日の時点では結論がないんですけれども、今度はネットを使ってどうやって日本の正しい姿を見てもらうかということを考えなければいけないと思っております。

○中村会長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○杉山委員
 基本に戻るような話をするんですけれども、クールジャパンという言葉の中で、一人ひとりの海外のファンのことを考えると、若い子が例えばNARUTOとかONE PIECEとか、あるコンテンツをただ好きなだけというところから始まっているわけです。それが割と大勢いる。それから、先ほどおっしゃったみたいに、1本2万円とか3万円で売ってしまったものの、主要な国ではないようなところでも流れているものを見て大好きになっているとか、そういうところなんです。それを地球規模で見てみると、すごい人数がいて、それなりに1つのコンテンツに対する愛着も非常に強い。非常に強い人は日本まで来て、例えば京都アニメーションまで訪ねに行くということが実際に起きている。そういうことをうまくネットワークしたり、多分ファッションが好きな子もいますから、そういうものを組み合わせてきちっと固まりとして見せていけば、もっと国としていいことがあるのではないかというのが出だしだったと思います。
 民間に任せるというのが1つの流れになっていたとは思うんですけれども、日本の民間放送があちらに出ていくのであれば、日本の場所で見せたら関連が見えるとか、これは民間に任せておくのではなくて、日本に対して強い気持ちを持った外人の人も含めて、勿論日本人もたくさん大好きなんですけれども、そういうことを考えさせることによって国益が上がるというのがもともとの知財戦略のはずなんです。ですから、そこをもっと考えていかないと、いつものごとく韓国のドラマにたくさん韓国の家電が映っているから売れてしまうみたいな話は、何度も繰り返してここでみんなで言ってきたと思うんです。だから、いかに組み合わせるか。一つひとつ、フジテレビさんはどうなんですかとか、そういう問題ではないと思うんです。やはり組み合わせて、いかに効果的な場所でパフォーマンスをしていくとか、見せていくか、そういうところにもう一回戻らないといけないと思います。
 護送船団みたいなものが余りにも強過ぎるということで、20年間とか30年間でばらけてきたと思うんですけれども、知財に関してはもう一回そこをやらないと、国際的な流れの中で、日本というのがどんどん小さな存在になってしまって、いわゆるコンテンツの産業の人だけではなくて、製造業の人にも非常に大きく関わってしまう。だからこそ、知財はものすごく重要だということをもう一回思い出さなければいけないような気がします。

○中村会長
 どうぞ。

○吉羽委員
 今のお話を受けてなんですけれども、出版業界も20年、30年前というのは、フランクフルトの世界最大のブックフェアであるとか、先ほどのボローニャもそうなんですけれども、結構な数の版元さんが出て来られていた。日本の国内の出版業の景気も悪くなかったから、コストがかかってもいいでしょう。まだ成長している産業という中で、コスト割れしても、ヨーロッパで日本の出版物を紹介するというのはちょっと格好いいみたいなこともあります。そういった時代が結構長かったんですけれども、97年をピークに日本の出版業界がどんどん右肩下がりになっていく中で、よけいなコストはかけていられないということもあり、弊社なども規模は小さくしていって、出展をとりやめられるところも結構出たりとか、現地側のオペレーションに任せて日本人は余り出ていかないとか、そういうふうに移ってきたという流れがあります。
 逆に韓国はビジネスベースでいったら、絶対に赤字だと思うんです。だけれども、韓国の4,000万人、5,000万人ぐらいのビジネスでは、自分たちのビジネスが食べていけないということをよく承知しているので、国を挙げてというスタンスが相当前面に出てくる。
 日本は国内のマーケットが小さくなっているから、本当は海外に出ていかなければいけないのに、コスト意識が強くなって、海外に縮小して出ていってしまうという悪循環が起きているような気がするんです。コンテンツ政策で日本の知財を出さなければいけないというところなんだけれども、民間ベースで見ていくと、どうしてもそういうコスト意識の方が強いので、圧倒的に見た目のプレゼンテーションの格好よさとか、コストをかけている感で韓国に負けているというのが多分実態だと思います。
 中国が同じようにものすごく大きなブースを既に構えていますし、更に大きなブースを構えていきながら、アジアの覇者としてコンテンツ業界でも出てくると思うんです。そこに日本のクールジャパンという言葉が上滑りせずに出ていくためには、やはり実態としてのプレゼンテーションみたいなことがすごく重要ではないかと思います。

○中村会長
 大多委員がおっしゃったように、対外的にはネットあるいはソーシャルサービスを使って戦略的に出ていく。これはこれまで我々も議論してきたデジタルネットのところに力を入れましょうというのを海外にも、もう一つつけ加えましょうということだと思いますし、同時に、今、杉山委員と吉羽委員がおっしゃったように、具体的に外に出ていく施策を打って、国にもきちんとコーディネートしてもらう。具体的な場としては、先ほどお話にでていますようなカンヌもあれば、CoFestaをどう扱うかということもあるでしょうし、7月に行われるJapan Expoのパリもあるかもしれません。その辺りもターゲットを決めて、紙ベースの話ではなくて、実際に動くというのが求められているような気がします。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○芝田次長
 若干話が元に戻るんですが、少し御意見を伺いたいと思っておりますのは、今回、震災対応ということでクールジャパンを見直す中の1つのコンセプトとして、海外のメディアで、当初、日本人の忍耐力とか相互扶助の精神とか評価する論調もございました。そういった精神性というか、そういうものもある種世界に発信していく価値があるのではないかということで、精神性の上に復興していく姿そのものを外に発信していくことも大事なのではないかと考えているんです。それが嫌味になってはいけないわけですし、プレゼンの仕方があるのか、あるいはそういう考え方自体を皆さん方はどういうふうに思われるのか、もし御意見があったら伺わせていただきたいと思います。

○中村会長
 いかがでしょうか。難しい問いですね。

○角川委員
 個人的な意見なんですけれども、「頑張ろう日本」というのはよくないと思うんです。現地の人たちも頑張ろうという言葉は聞きたくない。現地の人以外の人から言われたくないという気持ちはよくわかります。
 それから、日本人が非常に抑制された行動をとったということは、そのときに評価されているのであって、今はもう評価の対象になっていないと思います。ですから、そういう日本人の一面のよさみたいなものを拡大して、何もしなくても日本人は優秀なんだみたいな、最近のACの広告を見ていると、何か異様な、ドイツのゲルマン民族は優秀なんだみたいなものと間違えてしまうんです。だから、「黙っていても優秀なんだ」ではないんです。見事に復興したときに初めて優秀なんです。ACのあれを見ていると、日本人を間違った方に連れていっていると思って、嫌でしようがないんです。あなたに言われたくない。これは知的な人というのは、みんなそう思っているのではないかと思います。
 例えば東北のどこかで見本市をやるとか、昔日本がやったことです。一番大きなことは、こういう言い方をして誤解されると危険なんですけれども、今回の東北の被災者の数を見ても、中国の四川の災害の被害者から見れば何分の一なんです。だけれども、中国があれでだめになるとだれも思わなかったわけです。日本はそこが非常に誤解されて伝わってしまっているわけです。ですから、その延長でいえば、東北見本市でもいいですし、日本見本市をきちっとお金を出して東北のどこかでやる中で、先ほど私が申し上げたように、東北の雇用とか東北のコンテンツ振興のために使うならばこのファンドを使ったらいいんだ、そのためには東北の県の人たちを活用するとか、あるいは足りない部分は他県から持っていくというビジョンを描くことだと思います。
 これは私の個人的意見が半分ぐらい入っています。

○中村会長
 どうぞ。

○別所委員
 我慢という言葉が今回海外で大きく報道されて、また更に日本でも繰り返されましたけれども、そういう評価というのは海外の方がいろんな形でしたのであって、私たちが我慢強い民族であるとか、忍耐強いとか、ある特定の抽象的な感情に訴える言葉で国家的なレベルで訴えるべきではないと私も思います。それがクールジャパンとまぶされてといいますか、ミステリアスジャパンみたいなことで出ていってしまうと非常に危険だと思います。
 具体的に国がやるべきことや私たちがやるべきことは、前向きになるためには、何日間で何が復旧したとか、より具体的な能力だと思います。それが世界に評価されて、日本という国は体系立ってすごいことをやるという評価になって、彼らがそれを具体的な形容詞にするわけであって、私たちが具体的な美しい国日本とか、豊かな才能のあふれる国日本とか、そういうことを言ってしまうと、角川委員がおっしゃるように、ふわふわとしたことをスローガンで訴えているように思います。
 私がこういうことを言うと怒られるのかもしれないんですけれども、ACの広告が連発されている時期というのは、どうして日本のメディアはそうならざるを得ないルールになっているのか、そのルールづくりがいつから始まったのか、あるいは自粛とは何なのかと個人的にも考えさせられましたが、それを否定できない、あるいは言ったら非国民であるような、またタブーが知財を語る上でも存在してしまう、20世紀が積み重ねた戦後の日本の形を否定してはいけないというような、それは既得権益だったり、既得の概念だと思うんですけれども、そこを乗り越えた、先ほど言ったような具体性だと思います。新幹線はいつまでに復旧した、すごい能力だと思います。そのことや人々がどういうふうに結集して何をやったということをもっと体系立てて、国が広報官を立ててアピールをする。そのことが一番重要だと思いました。

○久夛良木委員
 地震は、例えば何十年とか何百年の間に溜まった地殻のひずみが一定の限界を超えたときに突如としてリリースされて大きな災害となるわけですが、決して悪いことだけではなくて、それにより蓄積されたひずみがノーマライズされ、リセットされるという効果もある。それと同じことが今回様々な領域で起ころうとしていて、多分我々の意識の中に「まだまだ来ない」と思っていたこととか、「来るにしても当分先の話だ」とか、「来たとしても何とかなる」と思っていたものが意外とそうではないということにみんな気がつき始めたんだと思います。これは大変な災害ではあるけれども、また大きなチャンスでもある。例えば先の大戦での敗戦という経験は我が国にとっても大変な災害だったわけですが、その後に日本がものすごい勢いで力強く復興していったとか、そういったことを考えると、これは本当にポジティブな意味でチャンスでもあるととらえてもいいと思います。
 被災された東北地方の方も、周囲から大変だ大変だと毎回言われ続けるよりは、我々が頑張って未来の日本をつくるんだというくらいの意気込みもあるんだと思うわけで、それをどれだけみんなで助けてあげられるかというのはとても大事だと思います。例えばアーティストの方々も、今回浦沢直樹さんが被災地に飛んでいってサイン会をされていますし、日本から逃げ出すばかりではなく、この時期に海外から著名なアーティストが来日して幕張でコンサートをやるとか、そういったことをどんどんやってもらって、それをネットとかいろんなもので届けられるわけですから、もっといろんなところで「元気な日本」をアピールしても良い。「クールジャパン」ではなくて、「ホットジャパン」でいいと思います。そうして「明るい日本」をどんどん我々がプロデュースし、演出して、みんなでサポートしていけたらいいと思っています。
 これから夏場は節電しなければいけないとか、操業を止めろとか、会社を休めとか、いろんな場面で国民の活動を抑えようとする提案が多方面でみられますが、そうではなくて、逆の方向のメッセージも投げられないかと思うんです。ついこの間まで冬の枯れ草だったようなところが、今見ると早くも春の雑草が伸びていますし、南の島でも災害があると、その後にマングローブとかいろんなものが生えてくるんです。雑草は強いですから、そういったところで助けてあげられる仕組みを、勿論国も民間もメディアも含めてみんなでやっていけたらと思います。
 今日の資料を見ていると、ちょっと寂しくなってくる記述も見受けられる。震災対応を強調する余り、これから耐乏生活を強いるみたいなニュアンスがある。そうではなくて、コンテンツによる競争力強化をテーマに我々は議論を重ねているわけですから、コンテンツの力でみんなを元気にするぐらいのところを盛り込めたらいいと思います。

○中村会長
 ほかにいかがでしょうか。お願いいたします。

○中島本部員
 今のお話に関連するんですが、自粛というのは、何が適正な自粛で、何が過度な自粛なのかよくわかりませんけれども、かなり各地でお祭りとかイベントがキャンセル、中止になっている。5月のゴールデンウィークもかなりいろんなお祭りが中止になっている。せっかくクールジャパン、観光で人を集めようと思っても、お祭りとかイベントがないのでは、人が来ようがないということで、アクセルを踏んでいる片方ではブレーキを踏んでいるような感じになっているわけです。
 日本の場合、先ほどのようなデリケートな雰囲気があって、だれしも決定力を持ちたくない。いろいろ話していると、やめておこうかということにどうしてもなってしまう。それに対して、推進計画はどういう言及をするのか、またはそういうことを言及はしないけれども、指導するのか、どんなルールをつくるのか。これは今後半年、1年と、政府も公式な会合は自粛とか、皇室も余り顔を出さないということになり得るような気がするんですけれども、そこら辺のところは正式に3か月で終わりとか余り聞いた話がないので心配しているんですけれども、そこら辺はどんなものなのか、ちょっと気になりました。

○中村会長
 どうぞ。

○芝田次長
 今のお話を聞いていて、十分にまだメッセージが伝わっていないかもしれませんけれども、4月11日でしたでしょうか、総理が記者会見で自粛ということは必ずしもいいことではないというメッセージをお出しになりました。
 あと、私の知っている範囲では、観光庁の長官と文化庁の長官は文書にして関係機関に、簡単に言うと、もう自粛はやめよう、それは日本経済あるいは東北の経済の振興にも役に立つんだという趣旨で、紙のメッセージを出したという経緯がございます。
 これは引き続きやっていかなければいけないと、今、御意見を聞いていて思った次第です。

○中島本部員
 その一方では、まだまだそういうことが民間で進んでいるということは、言う前にやめたのか、そこら辺はどうなのかわかりませんけれども、実際にはこのゴールデンウィークなどでも楽しみにしていたお祭りがなくなったとか、随分いろんなことがありますので、いま一度そこら辺をきちんとやっていただければと思います。

○中村会長
 どうぞ。

○近藤局長
 今の御指摘を聞いていて、おっしゃるとおりだと思う一方、なかなか難しくもあるということで、どうしようかと思っているんですが、確かに原子力がすっきりと片づかない、いつまで経っても余震がある、どうも気持ちがあれしない、これはどうしたらいいのかということを我々も悩みながらやっているんですけれども、今日の御指摘をずっと聞いていると、1つはもうちょっとクールジャパンのところは明るく希望が持てるように示していけということ、それから、総論をいっぱい書くより1つでもいいからぴしっとやって元気になったというのが見えるようにしろということ、外国向けのPRと国内向けに元気を出してやってというのはちゃんと分けて考えろ、今こんなことを私は感じていたところであります。
 今日は詳細に説明するつもりもありませんが、今日の資料の参考資料7の17ページの(5)のところに、クールジャパンの文化人、芸術家のネットワーク形成とか、こういうネットワークを形成する会議をやっていったらどうかとか、こういうこともこれからいろいろ考えていきます。ただ、正直申し上げて、各省もまだ十分に回復し切れていない、あるいはそこまでは思いが至っていない状況なものですから、もう少し時間をいただきながら、今、御指摘をいただいたようなことを各省とも調整をして、できるだけ明るくなれるように、前向きになれるように、もうちょっとやってみたいと思います。
 それから、この知財計画は勿論知財計画であり、ここで決めようとしているクールジャパンで扱った案はどこかの段階で1回決めますけれども、それを決めたら全部終わりで、あとはやりませんというわけではないので、これからもこれをリバイズしながら、もっと前に向けてやっていきますから、そのときそのときでできることはしっかりとやっていく。
 歯切れがよくないんですけれども、そんなことでしょうか。できたら私もこちら側ではなくて、そちら側に座っていろいろなことを言いたかったと思いながら、聞いておりました。済みません。

○中村会長
 どうぞ。

○久夛良木委員
 失われた10年とか20年と言われていますが、今回のことをきっかけに一気に未来に向けて10年、20年加速して、日本はまた大復興を遂げてしまったと言われるぐらいの振興策、策でなくてもいいですから、みんなでそういうムードになるように盛り上げたいと思っています。
 以上です。

○中村会長
 冒頭のところは、そのようなニュアンス、イメージが出せるようにしたいんです。
 どうぞ。

○角川委員
 これは私が映画産業にいるからそういうことを言うのではなくて、1つ聞いてもらいたいんですけれども、6月ごろには日本は少し元気な形になると思っていたんです。ところが、ここで夏場の節電ということで、夏もまた自粛ムードが広がっていくと思います。恐らく秋口まではだめなのではないかというのが私の意見、気分です。きっとそういう方が多くいらっしゃるのではないかと思います。ですから、夏の節電というのが、また1つ重くのしかかっているんです。
 一方で、経産省から映連に説明があった日、つまり500kW以上の設備を持っているところは25%カットしてくださいと言った夜には、もう新聞では15%に下がっているんです。映画でいうと、シネコンはほとんど500kWですから、25%カットしろということになっているんです。夏は館内の温度を28℃にしろというので、既に3年間ぐらい、映画は28℃に設定しようということでクーラーを効かせているんです。ここでまた25%カットしろというと、映画館に行ったらかえって暑くてひっくり返ったから、もう行きたくないという話なんです。今、実際にどうしたら25%カットして夏場の節電を乗り切るかと考えていて、出てきているのは、1週間のうち水曜日と木曜日の2日間シネコンを閉めようという話です。思い出していただきたいんですけれども、昔クーラーが効かない時代は、涼しい思いをしようと言って映画館に行ったものです。ところが、公平の原理というので、映画館が水曜日と木曜日の2日間を休んでしまったら、気合いが入らないというか、私はあそこまでやらなくてもいいのではないかと思います。
 それは映画館ではなくて、もっと違うものでも結構です。例えば東京ディズニーランドとかUSJみたいなところは、やはり元気にやってもらいたいんです。そういう国民の思いを公平の原理ではなくて、めり張りを効かせた節電ということを政府は言わないと、観光庁、文化庁が紙ぺら1枚を回して元気を演出しましょうと言ったところで、国民には伝わらないです。そういう演出を1つ考えてもらいたいと思います。
 私たちが真剣に考えているのは、お盆休みのときに2日間休んだらどうなってしまうんだろう。やはりお盆休みはフルにやりたいとか、だったら、今度7月と9月は3日間休まなければいけないとか、そういうところで何か盛り上がらない話ばかり今やっているんです。そこら辺は公平の原則ではなくて、めり張りを効かせた計画をつくらないと、元気な日本というのは国内からも起こらないと思います。これは検討していただけるように、よろしくお願いしたいと思います。

○久夛良木委員
 電力不足で昼夜を問わず照明が点かなくなって、それはそれで今まで明る過ぎたところはかえって風情を感じるようになりましたが、京都や大阪に行くと何も変わらないという良さがあって、東京に戻ってくると、品川駅も含めて真っ暗ですごく寂しくなりました。しかも、我々日本人は東京タワーが大好きですから、東京タワーを見て真っ暗だと本当に国全体が暗くなったような気がするんです。でもこの間、東京タワーの照明がLEDに変わって点灯し始めたように、こういうときは本当にチャンスだなと思います。照明が一気にLEDに移行するだけで新たな経済が回りますし、かつ熱も出なくなるので冷房効果も高い。夏場の電力消費抑制も大分楽になるのではないかと思います。このように、ポジティブかつ具体的な助けになるような施策をどんどん出していただきたい。まさに千載一遇のチャンスだと私は思っていますので、政府も是非後押しをよろしくお願いします。

○中村会長
 我々としては、できるだけそういうメッセージを出していくことにしましょう。何としてもここでムードとか空気を変えたいと思いますし、自粛を自粛するということです。それを知財計画に書き込むのを待っている時間はないかもしれないので、個人的にはそういったことをツイッターとかフェイスブックとかミクシーにつぶやいていこうと思っております。
 ほかによろしいでしょうか。よろしゅうございますか。
 貴重な意見をいただきまして、どうもありがとうございました。後半はかなりポジティブに盛り上がってまいりましたので、今日いただいた意見以外にもまだ意見があるかと思います。後ほど事務局までお寄せいただければと存じます。
 それでは、閉会に当たりまして、阿久津大臣政務官からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿久津大臣政務官
 今日は胸がすっとしました。感性で生きていらっしゃる先生方の意見が自分の意見と同じだったことがわかって、自分だけ間違っているのではないか、この感覚は間違っているのではないかとずっと思ってきました。
 実は私は内閣府政務官で防災の方も担当しておりまして、仙台の政府現地対策本部に11日の発災後14日から行っていましたから、ほとんど向こうに行っておりまして、珍しく東京に帰ってきたという感じなんですけれども、現地の方々の思いというのは、まさに今日個人的な意見として角川さんから口火を切っていただいた皆さんの御意見とほとんど同じです。だれも自粛なんて言っていないし、だれも我慢強いことがいいことだとは思っていないです。私は皆さんにも是非発信をしていただきたいと思うし、我々一人ひとりもきちっと世界に飛び出していく、日本中に飛びだしていくぐらいのつもりで発信をして、この機運を変えていかない限り、日本の立直りがどんどん遅れていくのではないかと思えてしまっています。
 最初は冷静でよかったと思うんですけれども、2番目の段階で自粛ムードに入ってしまって、それがまだ続いてしまっていて打ち破れていない。今こそ日本の底力あるいはクリエイティビティというか、私たちは潜在的にいいものを持っていると思うので、それを自信を持って発信していきたいと思います。
 祭りの問題ですが、実は私の地元の八王子祭りも中止になってしまったんです。これは信じられないことで、復興をテーマにして祭りをやればいいのであって、先ほど久夛良木さんが大きなチャンスとおっしゃったんですけれども、そのとおりです。ただ、大きなチャンスと言うと、こんな時期にこれをチャンスにするのかと後ろ指を指されそうなことがあって恐くて言えない。これも悪い現象をどんどん積み上げてしまっている。
 宮城県の村井知事がおっしゃったことが非常に新鮮に思えてならないんですけれども、今度の連休は何されるんですかとおっしゃった後、県の職員も国からサポートで来てくださっている方々も家族で是非旅行してもらいたい。宮城県の中にもいい温泉がいっぱいあるし、もっと楽しみがあるのではないか。少し休んでそういうこともやっていただいて、消費してもらいたい。とにかく動いてもらいたいということをおっしゃいました。最も真っ当な意見で当たり前のことですけれども、当たり前ではなくなっている現実をこれから私たちは力を合わせて打破していかなければならない。
 勿論、人類史的な出来事だと思います。これを受けてクールジャパンは未来に向けて創造的復興に大きな役割を果たしていかなければならないと思いますし、クールジャパンを一層強く推進していく、ある意味ではチャンスともとっておりますので、日本が再び立ち上がって知的財産を活用して世界で輝けるよう、震災の対応も含めしっかりとした知財計画2011を策定してまいりますので、委員の方々にはこれからもなお一層の御支援をよろしくお願いいたします。
 本当に今日は胸がすかっとしました。ありがとうございます。(拍手)

○中村会長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。

○奈良参事官
 ありがとうございました。
 次回でございますが、5月13日の金曜日午後2時から午後4時まで、この場所で開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、赤字の要回収となっている資料は、大変恐縮ですが、そのまま机の上に置いていただければ大変ありがたく存じます。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

○中村会長
 それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。