コンテンツ強化専門調査会(第7回)議事録



  1. 日 時 : 平成24年3月7日(水)10:00〜11:55
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【担当大臣政務官】
    大串博志 内閣府大臣政務官
    【委 員】
    中村会長、末吉副会長、大多委員、角川委員、久夛良木委員、佐藤委員、
    杉山委員、谷口委員、吉羽委員、里中本部員、中島本部員、中山本部員、
    三尾本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、上田次長、芝田次長、木村参事官、筬島企画官
    【担当府省】
    内閣官房国家戦略室  小田企画調整官


○中村会長
 おはようございます。ただいまから「コンテンツ強化専門調査会」第7回会合になります。今日も朝早くからお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
 前回の会議では知財計画2012の骨子に盛り込むべき事項の素案について、委員の皆様からいろいろ御意見をいただきました。本日、前回の意見を踏まえまして関係各省とも調整を行い、整理した骨子案について御議論をいただければと思います。
 今日は大ア委員、川上委員、別所委員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、知的財産戦略本部員から里中本部員、中島本部員、中山本部員、三尾本部員に御出席をいただいております。
 また、本日は10時50分ごろをめどに、大串大臣政務官がお見えになる予定となっております。
 恐縮なんですけれども、私は本日所用がございまして、40分ほどでこの会議を退室させていただきたいと思っております。退室後は末吉副会長に議事進行をお願いしたいと思います。
 まず冒頭、近藤局長にごあいさつをいただきたいと思います。

○近藤局長
 おはようございます。今日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 この会合ももう7回目になりまして、できれば今回、次回辺りでとりまとめをしたいと考えているところであります。
 全体の計画といたしましては、3月末に向けて骨子をとりまとめるということで日程の調整をしておりまして、最終週あるいはその前の週辺りに知財本部会合を開催したいということで今、調整をしているところでございます。
 いよいよ第4コーナー、野球で言うと8回表裏ぐらいのところに来ていますので、ひとつよろしくお願いいたします。しっかりと我々も受け止めてまとめていきたいと思いますので、よろしく御審議のほどお願いをいたします。ありがとうございました。

○中村会長
 ありがとうございます。
 では、知財計画2012の骨子に盛り込むべき事項について議論を行います。骨子に盛り込むべき事項の案について、事務局から説明をお願いします。

○木村参事官
 それでは、まず資料の確認からさせていただきたいと思っております。
 議事次第に続きましてA3の紙でございますが、本調査会といたしまして知的財産推進計画2012骨子に盛り込むべき事項の主要施策でございます。
 資料2でございますが、本専門調査会としておまとめいただきます骨子に盛り込むべき事項の案でございます。
 資料2につきましては、前回までの議論を踏まえまして修正したものを見え消しで書いたものも、併せて机上に配付させていただいているところでございます。
 資料3は前回もお配りさせていただきましたが、知財計画2012の骨子素案の総論部分につきまして抜粋したものを配付してございます。
 参考資料1は前回及び前々回の会議でいたしました論点整理の案でございます。
 参考資料2は前回御議論いただきました主な意見でございます。
 参考資料3は今後のスケジュールということでございまして、本日も含めましてあと2回ということで、知財計画2012の骨子の盛り込み事項もおまとめいただくということで考えているところでございます。
 資料番号を振ってございませんが、席上に知財計画2012策定に向けた意見募集の結果についてということで、資料を配付させていただいております。著作権制度とかプロバイダ責任でありますとか人財育成、クールジャパンの推進などなど、さまざまな御意見をいただいているところでございます。本日配付しております骨子に盛り込むべき事項案に反映させていただいておるところでございます。
 なお、知財計画2011の進捗状況につきましての評価、これまでどのような成果があったのかということについての○×△の表でございますが、これは現在、関係府省と精査しているところでございますので、次回の会議でお配りさせていただければと考えているところでございます。
 それでは、引き続きまして資料1につきまして御説明申し上げたいと思います。専門調査会として骨子に盛り込むべき事項案の主要施策でございます。A3横長の紙でございます。
 骨子案に掲載している施策はどれも重要なものばかりでございますが、優先順位がわかりにくいのではないかという御意見もいただきましたので、ハイライトになる4つの施策を取り上げたものでございます。
 1点目がデジタル化、ネットワーク化の関係でございまして、社会経済の変化に柔軟に対応した著作権をめぐる環境整備ということでございます。電子書籍やクラウド型サービスといった新たなビジネスチャンスが生じる中で、著作物の創作、公正な利用と適切な保護のための環境整備というものが求められる中で、今後クラウド型サービスの環境整備など、著作権制度の整備を図っていくということや、インターネット上のコンテンツ侵害対策と正規配信を総合的に推進するといったことでございます。
 2点目が電子書籍の本格的な流通促進ということでございまして、その利便性で将来の知的活動のスタイルを大きく変え得る可能性のある電子書籍でございますが、出版デジタル機構といったコンソーシアムが形成されるなど、国内外での動きや加速しているところでございますが、民間事業者の協同の取組への支援あるいは出版者への権利付与といったことについて、検討が重要であるということでございます。
 3点目がクールジャパンの関係でございますが、海外展開の成功事例を創出しようということでございます。中国、インド、インドネシアといったアジアの新興国を中心に海外展開の成功モデルを創出するということと同時に、本年2月から本格的な活動を開始しておりますコンテンツファンドの株式会社のANEWでございますが、世界市場をねらったコンテンツの企画開発を行うということで、海外展開の成功事例を生み出していくということでございます。
 4点目がインバウンドの推進でございます。海外ロケ誘致は観光へのインパクトが大きくて、大きな経済効果も期待されるということでございますが、ワンストップでロケ誘致を支援する相談窓口の支援や、海外ロケ撮影誘致を先導的に実施する札幌コンテンツ特区の重点推進を図るというものでございます。
 こういったハイライトのある施策ということでございますが、コンテンツ強化専門調査会といたしまして骨子に盛り込むべき事項案の全体像につきましては、資料2をごらんいただければと思います。こちらは資料の文章と前回からの修正箇所を見え消しで書いているものがございます。見え消しの資料を見ていただきまして、前回との修正箇所について概略を御説明申し上げたいと思います。
 まず情勢認識でございます。1ページ目の一番下のところでございますが、前回御議論いただきました中で新ビジネスの環境整備ということがあるわけでございますけれども、それだけではなくて新ビジネスあるいは新市場をつくっていくんだという意気込みを記載したといったところでございます。
 2ページ、下から2段落目のところでございますが、デジタル化・ネットワーク化への対応の遅れというものが、リアルのコンテンツの展開にも深刻な影響を与えるという御意見を踏まえまして、文章を追加したところでございます。
 同じく2ページ目の最後のところから3ページ目にかけてでございますが、委員からIT戦略との連携の重要性を御指摘いただいたところでございます。IT戦略本部の事務局とも調整いたしまして、知財本部とIT戦略本部との連携の重要性の指摘をしておるところでございます。
 3ページ目の下から3段落目でございますが、クールジャパンの市場規模自体は限定的であるかもしれないが、日本製品をはじめとするより大きな需要をもたらすことに触れてございます。
 次に、具体的な施策についてでございます。5ページ目以下になりますが、各施策例は前回もお示しさせていただいたところでございますけれども、担当府省名を具体的に追加いたしまして、だれがどのように施策を進めていくのかということを明記しておるところでございます。
 5ページ1.の最後の段落でございますが、前回も御議論で著作権法やプロバイダ責任制限法についてはコンテンツ技術のために適切な制度になっているか、継続的に見ていく必要があるのではないかという御指摘もあったことも踏まえまして、インターネットサービスプロバイダによるコンテンツ侵害に対する継続的な取組を進めるという表現を追加してございます。
 9ページ1.の最後の段落になります。こちらのクールジャパンのところでございますが、こちらにつきましてはクールジャパンの積極的な情報発信があるという御意見をいただいたところでございます。これを踏まえましてロンドンオリンピックでありますとか、いわゆる観光ダボス会議といった国内外のイベントを活用したり、あるいはクールジャパンのポータルサイトといったものを積極的に活用して、クールジャパンの発信について進めていくんだというところを追加してございます。
 10ページ、インバウンドの推進でございます。3つ目のポツの「また」以下のところでございます。中段ぐらいのところでございますが、インバウンドについては観光を主に書かせていただいたところでございますけれども、それだけではなくてビジネス面でのインバウンドも重要ではないかという御意見をいただきました。それを踏まえまして国内外のコンテンツ産業事業者の誘致といった表現を追加してございます。
 11ページの最初のところを修正してございますが、こちらにつきましては農林水産物や食品の模倣品の対策ということでございまして、地方公共団体でありますとか農林水産団体が参加しておりますコンソーシアムの取組を支援するといったことを追加してございます。
 12ページ、最初のポツでございますが、公共物のデザインにクールジャパンを感じさせるデザイン需要の創出を記載しておったわけでございますけれども、関係府省と調整いたしましたが、検討体制がまだ必ずしも十分ではないということでございまして、引き続き検討するということでございまして、今回は削除させていただいてございます。
 前々回御議論がありました、デジタルネイティブ世代によるデジタルダボス会議という御提案もいただいたところでございますが、各省と調整したところでございますけれども、現時点において実施が難しいかなといったところもございまして、現時点において記載しないというものでございます。
 骨子に盛り込むべき事項につきましては概略は以上でございますが、本日配付しております資料3についての総論部分でございますけれども、ご覧いただきたいと思います。骨子素案の総論部分でございます。
 これは前回若干触れさせていただきましたが、知財本部にはコンテンツの強化専門調査会と競争力強化・国際標準化専門調査会という2つの調査会が設けられておりまして、それぞれの調査会でおまとめいただいた提言を踏まえて、政府として知財計画2012をまとめる予定でございます。
 その骨子のまとめに当たって、両調査会の提言を踏まえてまとめていくものでございまして、本日はその総論部分を抜粋して御紹介しておるものでございます。総論にございましては知財戦略全般についての現状認識と、10年間を振り返ってみて、知財本部のこれまでの取組がどういったものだったのかということについて記述するとともに、今後の知財戦略の方向性を示しておるところでございます。その上で各論といたしまして国際競争力強化に資するような2つの知財総合戦略の1つとして、この専門調査会の提言を反映させていただきまして、日本を元気にするコンテンツ総合戦略として推進していきたいと考えておるところでございます。この総論部分につきましては別途企画委員会で議論されることになるところでございますが、これにつきましても御意見をいただければ幸いでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○中村会長
 ありがとうございました。
 この調査会は今日を含めあと2回でございまして、次回の会合で先ほど局長からもお話がありましたように、骨子に盛り込むべき事項をとりまとめる予定であります。それを受けて知財戦略本部会合で2012の骨子が決定するという運びでございまして、今日はこの資料2の骨子に盛り込むべき事項案について、しっかりと議論をしていただければと考えております。
 先ほど近藤局長から、今日は8回裏という話がありました。今日の議論を経て9回表の攻撃がなければ、次回9回裏はしゃんしゃんとなるんですが、いつもこの会議は延長戦に突入しそうな勢いがありますので、おさまるといいなと思っておりますが、今日は大詰めでございます。
 今、説明がありましたように皆さんからの意見、議論を踏まえての修正が行われました。各省との調整もしていただいておりますし、1月16日から2月6日にかけてパブコメが行われまして、それも一部くみ上げたと聞いております。ですので、今日は文言レベルで結構ですので、ここをこう直せという御意見までいただければと考えております。
 議論の進め方ですが、資料3の骨子素案の総論部分の内容も参考にしていただいて、2つのテーマ、デジタル化・ネットワーク化関係とクールジャパン関係の2つに大きく分けて進めたいと思います。
 まず前半、デジタル化・ネットワーク化関係、資料2で言うと8ページまで、情勢認識も含めて議論をいただければと思いますが、御意見のある方は挙手をお願いいたします。

○久夛良木委員
 7ページのクラウド型サービスのための環境整備ですが、ここに書いてあることには全く異論はありません。現在の著作権制度ではうまく対応できていなかったところを何とかしてほしいということでありますから、担当省庁としてそこに文科省と書いてあるのは、それはそれで非常に結構だと思うんです。
 ただ、ここには文科省だけでいいのかという問題があるかと思います。以前、クラウドサービスについての調査をしたことがあるんですけれども、法的には一見大きな障害はないものと解釈することはできるものの、具体的なサービスとしてさらに突き詰めていくと、一定の懸念も残る。例えば、クラウドを外部に委託した場合、委託先のクラウドに対するコントロールが委託元から十分に行えるのか、クラウドですからそこからさらに先に再委託をする場合もあるわけですけれども、再委託先のクラウド全体の運用に関する監視がうまくいっているかどうか等々、コンプライアンス上の懸念点が残ることになり、結局、我が国ではクラウドサービスそのものの構築が、著作権上の懸念もあり、安心して進められない、という状態になってしまっているのではないでしょうか。
 そうなってまいりますと、これは文科省だけの問題だけではなくて、総務省も係る部分もかなり大きいのではないかと考えております。知的財産を守るということだけではなく、新ビジネス、新市場への創出に資するクラウドの振興という点からも、是非総務省の方にも頑張っていただきたいと考えております。

○中村会長
 ありがとうございます。
 角川委員、どうぞ。

○角川委員
 文化庁の有識者の審査会による結論が書かれている資料を拝見しました。著作権法上としては「クラウド上の利用」についての問題点はない。契約で済ませばいいという結論だったと思います。私はそれがとても不十分に思えます。著作権法の歴史をたどるとデジタル化の問題が起こったことがあります。1990何年のWIPOでの議論のときにデジタル化は特別な現象ではない。単にアナログ著作物をデジタルに置き換えたに過ぎないという結論で見過ごしてしまったんだと思うんです。
 今回またクラウドあるいはソーシャル化という問題についても、同じように旧来の著作権法でいいんだという書き方をされていることに私は大きな危惧をおぼえたのです。本当にそれでいいのかなと。
 つまりそれはどういうことかと言うと、著作者から見るとIT技術とそのサービスの進化によってどんどん著作物の利用のされ方が変わっているわけです。1990年代の侵害というのは流通における小売店、B to Bのところで侵害が多く行われたと認識しております。例えばビデオなども違法なコピーをしたレンタルビデオ店が全国に15,000店あって、98%が違法だったとか。ですからそれはB to Bであれば警察が強化して、排除すればいいという状況が生まれていたわけです。21世紀はB to C、つまりユーザーの側に著作権違反が生まれているんだと思うんです。違反の行為の主体が変わってきているのです。それだけにナーバスになります。ユーザーが少年であれば、少年にそういうふうな著作権法を振りかざしていいのかどうか、いろんな問題が起こっていると思うんです。そういう問題に目をつぶって著作権の利用のあり方の見直しでいいと言ってしまう。旧来の著作権法でいいと言ってしまうのは乱暴な気がするんです。
 この間も著作権団体の人たちと話をしていたんですけれども、1990年代にはそういう違法ビデオについては、著作権法がビジネスモデルとして非常に大きな力を発揮してくれたが、21世紀に入ったら著作権法は建前としてあるから、あとは好きにやりなさいというふうな感じになってきていて、必ずしも従来の著作権法が、著作者を守っているわけでもないんです。勝手にやりなさいという。
 もっとさかのぼると、1970年代までは著作権法はあってないようなごときのもので、著作者の保護のために有効に働いていませんでした。「新法」ができてようやく著作権法は機能した、私はそう思っているんです。著作者とか事業者を育成するんだと思うんですけれども、それをもう21世紀になったら著作権法はそういうところから離れて、自由にやりなさい、それでいいですよ。あとは契約でやればいいんですよと言うのでは、非常に私には心もとない。著作者が途方に暮れてしまう状況が生まれてくるのではないかという危機感を持っております。
 そこで著作権法は非常に複雑なものですから、それを抜本的に改革するのは難しいということもわかっておりますので、1つはやはり知財本部が機能する余地が大きいんだと思うんです。
 それはどういうことかと言うと、例えばクラウド上は著作権は問題ないと言われますけれども、御存じのとおりAmazonが日本にやってくると、Amazonストアからあらゆるプラットフォームにひとたび許可すると流れていきます。ですから、どんな端末にでも1回許諾すれば著作物が流れていくという環境が生まれてしまうんですけれども、従来で言うと例えば今の出版界の一部の方なんかでも3つの端末まではいいが、3つ以上は嫌だよとか4つ以上は嫌だよとか、非常にアナログ的なことが堂々と言われているんです。ですけれども、具体的に端末フリーになったら一度コンテンツを許諾すれば、プラットフォームAmazonに許諾すれば、全部のプラットフォームに、つまりiPadにもiPhoneにもiPodにもゲームのハードにもスマートテレビにも流れてしまうわけです。そう考えただけでも5つあるわけです。それでメーカーが重なれば×4とか×10になるわけです。
 そういう環境を知財本部が海外からやって来た事業者に対して構わないと思うのか、あるいは国内の事業者がそれをしようとするとだめと言うのか、その利用の仕方がわからないんです。悪くすれば海外の事業者は構わないけれども、国内事業者は認めないとか、そういう環境になってしまうわけです。ですから、そこについて国内の事業者が不利にならないように配慮するのが知財本部の役目なんだと思うんです。そうすると著作権法がその役割をしないのであれば、私は知財本部がそれを明確にすることを提案します。実は知財本部の「今までの成果」が資料3にありますけれども、8つと書かれています。ここに書かれていないことに「コンテンツ促進法」というものを知財本部がつくったんです。
 このコンテンツ促進法というものは、著作権法が変わり得ないところを法的に支援してあげることができる法律。基本法ですから精神法みたいなものなんですけれども、このコンテンツ促進法には総務省が関わり合って、インターネットの利用についても明言されております。今のコンテンツ世界展開におけるデジタル・ネットワークの推進をもう一回、そういう視点で見直したり、クールジャパンの海外展開という点で見直してみると、コンテンツ促進法の改定というのが非常に有効かもしれないと思っているんです。そこら辺をもう一回、あるいは今年度間に合わなければ来年度の課題にしていただきたいと思いました。

○中村会長
 ありがとうございます。
 中山本部員、どうぞ。

○中山本部員
 ただいまの角川委員の指摘は非常に重要だと思います。これはクラウドを超えて著作権全体の問題だと思います。
 この会議では理解されておりますが、この会議の外に行きますとデジタルの影響なんていうのは大したことないという意見が結構強い。あんなものは宴に躍らせるだけであって、酔いがさめたら、ちゃんと正気に戻ったら昔と変わらないのだというような意見が、かなりまかり通っていることは間違いないと思います。
 例えばこの会議で、先ほどのフェアユースについての規定を設けるべきだというのを書きましたけれども、これは文化庁の審議会に行きますと、実を捨てて名をとったような改正案になっている。それが今度法制局に行くと実も名も捨ててしまったようなものになっている。どんどん細かいところは下に行けば行くほどいじくられ、ここで決めたことが骨抜きになっている。したがって、もっとこの審議会で角川委員がおっしゃったようなことをちゃんと議論して、下の方までちゃんと下してほしいと思っています。

○中村会長
 ありがとうございます。
 資料1で、骨子に盛り込むべき事項(主要施策)というものを改めてつくっていただいたんですけれども、いの一番に著作権というものが出てまいりまして、何年議論しても著作権が本丸という位置づけをここで改めて明確にしてもらっているんですが、パブコメがたくさん寄せられていまして、それを拝見しても、人財育成とかクールジャパンの施策については、政府に対してやれという意見がほとんどなんですけれども、著作権については意見が対立するものが非常に多くて、どう扱うか。ここでどう扱うかと非常に依然悩ましい話なんですが、しかし、先ほど角川委員がおっしゃったように去年と今年でまた場面が全然変わっている。マルチスクリーンでクラウドでソーシャルという方向にメディア自体が大きく変わっているので、そこでまた改めて、ここにも注記が書いてありますように、社会経済の変化に柔軟に対応した著作権をめぐる対応整備ということで、毎年それがメインテーマになり続けるのかしれませんけれども、ここできちんと議論をして、それで先ほどお話がありますように、関係省庁とか下に下していくというやり方が必要なんだろうと思います。
 そういう面では私もそれに賛成でございまして、知財本部、このコンテンツ調査会がきちんとしたメッセージを出していくことが引き続き必要だと思いますので、もしその辺りも付言すべきことがありましたら、お願いいたします。

○近藤局長
 今、角川さんから話があったとおりだと思うんです。どうしたらいいのかなというのを実はずっとこの2年間ぐらい思っているんですけれども、恐らく著作権法で片付く話というのが全部でないんです。
 時代が変わって世界がボーダレスになって、今までならペットボトルを5個売ったら1個10円儲かって50円なんて時代ではなくて、これを瞬時に12億個売ったらみたいな議論になるネットワークの威力。それから、社会がどんどん変わっている中で著作権法も勿論大きなファクターなんですけれども、著作権法で全部片付けようと思うのがそもそも誤りなんです。
 ちょっと自戒の念を込めながら言うと、やはりこれはIT本部と一緒にやらないと本当はだめだと思うんです。これは前から言っているんですけれども、申し訳ないですが、実際には全然うまくいっていなくて、なかなかできていないんです。文部省の人たちも正直言って私はよく頑張っていると思うんです。中山先生から頭の固い法制局という話も何回もありますけれども、これも延々と頑張って、最後は法制局の法制次長も法制局の長官のところに行こうかなんて私たちが言っていて、文部省できないなら私たちも行くかという話もずっとやっていたんですが、ちょっとそろそろこの辺でもう一回今のようなことを本気で考える仕組みをしないと、TPPにも対応できないんです。それで悩んでいます。
 本当に私もそちらに行って言いたいぐらいなんですけれども、そちら側に行かせてもらったら余裕がなくてもっと激しく言ってしまうと思うんですが、どうしたらもう少し政府全体で考えられるかを議論します。今年にはしんどいんですけれども、今後の問題として、前も言いましたけれども、IT本部も残念ながらたくさん優秀な人がいるんですが、IT本部は私のカウンターパートの局長がいないんです。私自身が昔、IT本部をやっていたこともあるので、もう10年前ですけれども、そのときにも私がトップだったんです。10年前の私ですから今の木村さんのように偉くないぐらいの参事官だったですけれども、そう思うと歯がゆい気持ちを今、改めて思いながら、しっかりと受け止めてこれからどんなふうに考えていけるのか、我々の中でも議論し、IT本部も形式的には副長官補の佐々木豊成さんという方がIT室長ですから、佐々木さんのところとも相談をしながらじっくり考えます。済みません、十分な答えになっていませんけれども。

○中村会長
 中山本部員、どうぞ。

○中山本部員
 私も実は40年以上著作権法を研究してきましたけれども、実はこの問題、この会議で扱っている問題については、局長おっしゃるように著作権法が本丸ではないのです。著作権法を仮にうまく処理したとしても、それはデジタルの発展の足を引っ張らないというだけのことであって、どうやってデジタルを発展させていくかというのは著作権法の問題ではない。もっと大きな問題なわけです。
 したがって、私も先ほどクラウドのところで文科省だけではなくて総務省も入るべきだと言ったのは、まさにそういう意味であって、文科省は著作権法で足を引っ張るのはやめてください。総務省はもっと頑張ってクラウドの普及に努めてくださいという趣旨であって、この会議では著作権法は勿論大事だけれども、それを超えた議論をしていくべきではないかと思っております。

○中村会長
 ありがとうございます。
 そういう意味では今回、資料2の2ページ下の方にデジタル化・ネットワーク化への対応の遅れはコンテンツの海外展開にも深刻な影響を与える云々の文言が盛り込まれ、今回、2つの柱の1つとしてデジタル化・ネットワーク化が出てきている。つまり知財の戦略、知財の政策からネットワーク化、IT政策に踏み込むという姿勢を我々としても明確に見せているということと、3ページ目の上の方に要約と言うんでしょうか、知財本部とIT本部の連携を図る。これも政府部内の調整で結構この文言を入れるということでも大変だったと聞いておりますけれども、でも我々から見たら当然のことでありまして、もっと強く書いてもらってもいいということでありましょうから、そういったメッセージもこちらから出していくということに今回したいと思います。クラウドなんてまさにそうですね。

○角川委員
 中村先生が推進されている慶応大学における子どもとインターネットの会、正式には何て言うのでしょうか。これが6万人集まった。

○中村会長
 ワークショップコレクションですね。

○角川委員
 その中でデジタルえほんのコンテストがあって、私もその選考委員の1人として杉山さんと一緒にさせていただいたんです。iPadを使ったデジタルえほんの応募が自作が300本ぐらいありました。アイデアが300本ぐらいあって、600本ぐらい出てきたはずです。
 その中で私が非常に感銘を受けたのは、絵本の世界がこれで一変するのではないか。紙の絵本と全く違う世界をつくっているんです。それは中村先生が一番御存じのはずですけれども、あのうち原作の絵本を使った応募というのは3割もなかったような気がします。恐らく7割以上がボーンデジタルで、つまり紙の絵本をiPadにつくり変えたのではなくて、全くiPadから新しい表現をもった絵本が生まれている。そこに電通もデジタルハリウッドも日販や出版社も応募しているんです。
 また、素人の人が応募していって非常に面白いと思ったのが、奥さんが絵を描いて御主人が技術をつけているんです。そのときに私は、これはなかなか著作権の処理では大変だなと思ったんです。絵のところは従来の著作者が関係しますけれども、そこに音が入って、テキストが入って、絵が入って、技術が入っているとなると、著作物のかたまりなんです。そう思われませんでしたか。これは大変な、だけれども、出きあがったものは面白いんです。
 「ちょんちょんちょん」という作品がありましたけれども、「ちょんちょんちょん」というのは3歳児の子どもが触るとどんどん絵が変わっていく。その中にピアノが出てきて、子どもがピアノを自然に覚えてしまうんです。iPadでピアノができてしまうというのは従来のピアノメーカーは大変なことだなと思っています。それから、iPadでパソコンのキーボードが出てきて、ちょんちょんと触っているうちにパソコンを覚えてしまう。これは私は新しいコンテンツの創造につながっているんだと思うんです。
 今までは、杉山さんからもボーンデジタルについてもっと早くしろと何回も出たのを覚えているんですけれども、あの威力を初めて目の当たりにしました。映画、音楽、出版物という従来どおりの伝統的な、これは私はテレビまで含めて「グーテンベルク的著作物」と言っているんですけれども、これからiPadが出てから全く新しい端末が新奇な著作物をつくっていくというものに対しても、政府が支援するというのを是非入れていただきたいなと思いました。これは本当にすごい力を持っていると思いました。ちょっと御自身のお話も聞かせていただきたいんですけれども。

○中村会長
 ありがとうございます。
 少し補足解説をいたしますと、デジタルえほんアワードという賞を我々のグループで勝手につくりまして募集をかけてみたところ、非常に思いがけない数の応募がありまして、それはデジタルの作品であれば何でもいいですよということで問いかけてみたんですけれども、タブレット端末あるいはスマートフォン向けの作品が非常に多く、しかも今、委員がおっしゃったように、既存のアナログのコンテンツをデジタルに置き換えるというものではなくて、全く新しい形のコンテンツが続々と生まれつつある。
 しかも、それをつくっているのがしっかりした企業であったり、単なる個人であったり、いろんな参加者がいるということがやってみて明らかになった。それも先ほど申し上げましたようなメディアの環境ががらっと変わっているということの表れになっていて、それを例えば著作権であるとか制度的な支援ということで考えると、さあどうして扱ったらいいかねというぐらいのものが今、続々と生まれてきているというのがわかったということかと思います。ありがとうございます。

○末吉副会長
 急遽代打をさせられておりますが、よろしくお願いいたします。引き続きまして御意見を伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
 今、角川委員からお話があったので、杉山委員も今の話の流れで一言お願いできますか。

○杉山委員
 私は絵本のコンテストについて感想を述べさせていただくと、確かに大手広告会社の方とかが応募したんですけれども、みんな個人でやっているんです。ですから会社が終わって土日とかで新しいやり方をやってみようということで、なかなか多分大手の会社とか出版社の方もそうでしたけれども、結構早くこの動きに気が付いた人が社内を説得するより、とにかくせっかくコンテストがあるからプロトタイプをつくって出してみようという感じだったんです。ですからそういうトライがすごく面白くて、全く素人の人が触ってみて楽しいから、触ってやっている感じから発想しているんです。角川委員がおっしゃるように。
 本をデジタル化したらこうなるよという発想では全くない、新しい環境というか、そういう新しい道具に触発されてストーリーとかキャラクターとか、世界観が出ているということをすごくおっしゃっているんだと思うんですけれども、なので私も一貫して言っているんですが、生まれたときからパソコンがあったという世代に若い人たちがなっているので、ですからそういう人たちの発想というのはすごく違うんです。多分、我々が見ているのと違うように世界が見えていると思うんです。
 でも、どうしても国でやると今回のANEWもそうなんですけれども、やはり映画とかそういうこれまでの王者のメディアに行くんです。でも、確かにハリウッドの映画は稼いでいるが、でも世界全体の流れはもうそちらではない。それはずっと1990年ぐらいから研究者たちはきっと大変なことが21世紀は起きると言っていたわけだけれども、この5年間ぐらいのソーシャルメディアの動きではっきりしていると思うんです。政治までひっくり返っている国がどんどん出てきているのを見れば、これはちょっとしたものでは全くないというか、これからの人間社会がデジタルコミュニケーションという上に全員住んでいる。その上においては皆さんがよくお分かりのように国だったりとか、各国の法律というのはなかなかそのとおりにはならないことばかり起きるという状態だと思うんです。
 一番私が残念なのは、日本は技術もあるしすごい人たちもいるし、クリエーターもいるから、この世界を明らかにリードできるんです。やれば絶対に。要素がそろっている。なのに、いろんな規制でできないということがすごい悔しいんです。もう少し違う国に生まれて、それであればまだまだ先進国からいろいろ勉強しなきゃという感覚を私たちも持てると思うんですけれども、全部そろっているのに何でできないのか。その悔しさなんです。この世界に来たら、ここで走れれば本当だったらアメリカとも対等以上にいけるのではないかという感覚を持っているわけなんですけれども、そこを何とかひっくり返したいという感じで一生懸命委員をやらせていただいていますが、だからそういう気迫がこういうものにだんだん込められていきたいなというか、それです。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。久夛良木委員、どうぞ。

○久夛良木委員
 話題を変えて7ページの下の方に「プラットフォームの環境整備」という項目があります。そこに「地上放送の完全デジタル化などに伴い」という件が3行ほどあると思うんですが、言葉が足りないのか、意味するところがいま一つ不明だなと思うことがある。どういうことかと言うと、「スマートテレビについて実証実験を通じて我が国が主導して技術規格を標準化」とありますが、スマートテレビというのがどういう定義でここに書かれているのか。例えば既存の放送がデジタル化されて、それがそのままインタラクティブなスマートテレビに進化していくという集合論で考えておられるのだとしたら、ちょっと定義が小さいかなと思っています。
 恐らくスマートテレビとは何かというのは、現時点で完全に決まっているわけではなくて、委員の方々がおっしゃったように、例えばスマートフォンのように、既存の携帯電話を大きく超えて、そこにiPadをはじめとする様々なスマートフォン群が誕生したのと同じように、スマートテレビにも今後の可能性としてさまざまなことが起こってくるわけで、そういった意味からすると、地上放送のデジタル化というのはその中の重要ではあるが、恐らく部分的なものになっていくだろうと思うわけです。
 そういった中で「我が国が主導して技術規格を標準化し」(短期・中期)という指針も書いてあるのですけれど、そこに総務省としか書かれていない。恐らくこれだけでは足らないのではないか。先ほど委員の方々が言われたようなことも含めて、重要な要素が欠けているんだと思うんです。
 例えば、スマートフォンに関して、我が国は主導的な役割を国際的に担えなかったという現実がある。次なるネットワークの進化形として、恐らくはスマートテレビにおいても似たようなことが起こるのではないかという蓋然性がどうも感じられるという中で、何が欠けていて、今、世の中の最先端がどこに向かっているのかというのを、よくみんなで共通の認識を持って、その中で我々が仕掛けられるところ、我々がコントリビューションできるところを見つけていく。かつ、コンテンツ側としてはそういった新しいメディアの特性を活かした、より斬新なサービスであるとか新たなエンターテイメント領域を生んでいくというのを、どうやって助けていくかということが大事だと思うので、この3行の記述を是非とももう少しそういった趣旨も含めて増やしていただきたいと思うのと、今の趣旨からすると総務省だけでも恐らく足りなくて、例えば経産省の方も是非入っていただきたいなと思いますし、更にはIT戦略本部との連携等も必要になってくると思います。
 以上です。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。角川委員、どうぞ。

○角川委員
 先日、通信キャリアの人とスマートテレビとスマートフォンの関係についてお話を聞いていたんです。今、アメリカではゲームはパッケージゲームの売上と、インターネットゲームとソーシャルゲームの合計が同じになったんです。やはりソーシャルゲームとインターネット、ネットワークゲームの進化が進んでいまして、そのときにスマートフォンから入ったソーシャルゲームを、実際にはスマートテレビで見て対戦ゲームをするようになると言うんです。
 ですから、恐らく先ほどのデジタルコンテンツとアナログコンテンツの流れから言うと、スマートイノベーションの中で従来のグーテンベルク的コンテンツが流れる比率というのは5割ぐらいで、あとの5割はオリジナルのデジタルコンテンツが流れているんだというイメージを持たなければいけないと思うんです。そういう意味で今、久夛良木さんがおっしゃったとおり技術規格ではなくて、ここでは技術規格を含むどうやって新しいコンテンツをそこで創造するかということを知財本部で訴えるべきではないか。そういうふうに理解してもらいたいのです。そういうふうな文章に変えていただいたらいかがなのかなと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。三尾本部員、どうぞ。

○三尾本部員
 ここの先ほどから話題になっている3行なんですけれども、私の理解なんですが、今、開発されているスマートテレビ、地上波とデジタルを自由に切り替えることができるテレビのことを指していると思うんです。
 それは今ちょっとアメリカなんかでも開発されていて、入ってきそうな感じになっているんですけれども、日本だとまだプロトタイプができていない状態で今、開発中の状況なんです。ハードのところの技術規格を標準化して、その標準化に従った形で世界に向けて進めていく、国内外の普及を促進することによって主導的な地位を保つという意味で書かれているのではないかと思うんです。そういった意味であくまでプラットフォームなんです。
 なのでこの表現がここにあるのが正しいかどうかというのは別なんですけれども、ここに書いてある3行というのはすごく大まかなコンセプトという意味ではなくて、今、進められているスマートテレビというものに対する技術規格の推進ということ、技術的な問題が、それがひいてはコンテンツの流通に広がっていくことになると思うんです。
 スマートテレビというのが非常に大きなデバイスだと私は思っていまして、自由に切り替えすることは勿論できますし、地上波という非常に幅広い視聴者が見るデバイスなので、物すごく大きな起爆剤になると思うんです。それがスマートフォンやiPadやゲームやいろいろなところから切り替えられて、コンテンツの流通が自由にできるということで、大きな画面で見るということは、今は結構若い人たちは既にやっていますね。テレビを使ってそういう画面を見ているというのは通常なんです。それがもう少し本当にコントローラーで自由に切り替えすることができる。地上波を見ていてすぐにネットに切り替えられる。
 例えばCS、BSというボタンがありますけれども、その中の1つにデジタルというものができて、そこを押せばすぐに切り替えられるという、そういう特殊なテレビを今、開発しているという、そういった意味の記述だと思うんです。なので、そういった意味では総務省になってしまうのかなと。この表現がいいかどうかわかりませんけれども、ここに書いてあるのはそういう意味ではないかと思います。

○末吉副会長
 久夛良木委員、どうぞ。

○久夛良木委員
 そういうふうにスマートテレビというものを理解されている方たちがいらっしゃることに、少なからず危惧を感じているということなんです。そういうものは世界では、およそスマートテレビとは言わない。テレビで地上波が観られてインターネットにもつながるシステムというのはスマートテレビでも何でもなくて、それはテレビという既存商品の拡張でしかない。
 テレビでネットにもつなげることのできるインターネットテレビというのは、既に10年前から出ているわけです。最新の技術規格そのものを標準化してプラットフォームにするという見方もあると思いますが、プラットフォームと言ったら今は技術規格だけではなくて、コンテンツを自由に利用する仕組みであるとか、決済の仕組みとか、さまざまなものをひっくるめてプラットフォームと呼ぶようになってきている。今になっても、まだそういうふうな認識でいると、およそ1年、2年程度ではなくて、ひょっとしたら10年ぐらいこの国は世界の最先端から取り残された議論をしているのではと思われてしまう。私が一番危惧するのは、ここでそういう風にも読めてしまうという点です。
 これは定義の問題だと思うんですが、スマートテレビというのは決してそういったものではなくて、先ほど、角川委員はすごく優しく地上放送というのは将来50%程度になってしまうのではとおっしゃいましたが、恐らくそれよりもゼロが1つ取れるかもしれないくらい、今までにないコンテンツやサービス群が続々と生み出されていくことになるのではないか。スマートテレビは、そのぐらいの勢いがあるものになり得ると思うんです。
 例えば、今の例えばスマートフォン上で、一体何%の時間を皆さんが通話機能をお使いでしょうか。半分も電話機として使っておられないと思うんです。ネットワーク検索をする時間は、全体の何%でしょうか。多分、かなりの時間をスマートフォン上で生まれた新しいサービスを楽しむことに使っておられるのではないでしょうか。クラウド上のサービスという言い方になると思いますが、これらクラウド上のサービスと、スマートフォン、スマートテレビが今年中にも融合し始める可能性がある。どこかのプロトタイプがどうのこうのではなくて、まさに具体的な商品群が、新たなコンテンツやサービスを伴って出てくるわけです。それはひょっとしたら仮称iTVと言われるかもしれませんし、アンドロイドテレビ群かもしれない。
 そうしたときにこういったような認識ではとても間に合わないということと、そもそも今、気がついたのは、言葉の定義としてみんな違うスマートテレビを見ているのではないかという危惧があり、こういった政府の文章の中に一旦スマートテレビと書かれてしまうと、恐らくそれだということで、みんなでそこに向かってしまいがちなことが過去あるので、そうではないもっと広いスコープがあり得るということが是非わかるように、記述していただきたいと考えています。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 木村参事官、どうぞ。

○木村参事官
 失礼いたします。事務局の方からお話しさせていただきます。
 ここの文章でございますが、いろいろな御議論をいただいたところでございまして、まさしくスマートテレビについてインターネットも見られるようなテレビという、かなり技術的なところに力点を置いて、技術規格を標準化できればというような、まさしく総務省が考えていることで書いておったわけでございますが、そういうものよりもう少し広くとらえて書けないかということを、先ほどの御指摘で経産省とかありましたが、関係省庁と話をしてもう少し文章を新しいコンテンツの創造という観点から書けないかということを、検討させていだければと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。

○久夛良木委員
 ワーディングなんですけれども、3ページ「また、クールジャパンの海外展開については、それ自体の市場規模は限定的であるかも知れないが」のパラグラフですが、そこで最先端の日本製品とのみ書いてあるんです。是非ここにサービスというものも、一緒に加えて書いていただけたらいいかなと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

○角川委員
 同じところで「それ自体の市場規模は限定的であるかもしれない」というのは余計なのではないでしょうか。私はこの間も申し上げたように、日本コンテンツとアプリはGoogle、YouTubeに聞きますと世界第2位だと言われているんですから、そんなに自分を卑下しないでいただきたいんです。世界第2位の占有率があると言われている日本が、更に存在価値を高めるためにという期待をお願いいたします。更に製品だけではなくて、今、久夛良木さんがおっしゃったようにサービスを入れていただきたいと思います。コンテンツもです。

○末吉副会長
 ほかにいかがでしょうか。細かい点でも大きい点でもどうぞ。

○里中本部員
 そんな細かいことではなくてイメージなんですけれども、今ちょっと話に出ました、何かと自信のなさというのが守りの雰囲気に表れていると思うんです。どうしてこんなに守ることばかり考えるのかなと。攻めなければいけないみたいなことは一応書いてはあるんですけれども、既存のむしろ欧米型のいろいろなものに対抗するためにしなければいけないとか、まず相手ありきから出発しているような気がするんです。
 本当に自信を持つんだったら、過去を教訓としながら私たちは自分たちの国の文化にもっと自信を持ち、文化と連動した企業とかいろんな事業、そういうことまで想像力を働かせて、一体となって堂々と、高らかに見せなければいけないと思うんです。
 例えばクールジャパンのサービス、いきなり話が柔らかくなって申し訳ありませんが、物すごい柔らかくなりますが、例えば一例としましてメイド喫茶があります。あの発想というのは何だか日本の中でも一般人から見ると、一般人という言い方をすると一般人でない人がいるみたいで差別発言みたいですけれども、一部のオタクの変な文化みたいに無視していた人もいると思うんですが、ああいう自由な発想をして、それを商業行為にしてしまうという辺りのパワーが、特定の限定された、最初は秋葉原だったと思うんですけれども、ここでなら許されるという聖域の中で認められた若者文化の1つだと思うんです。
 これが知らない間に世界中に広まっておりまして、中国の奥地でもメイド喫茶があって、そこでは日本語が使われていて、お客さんが行くと「お帰りなさいませ、旦那様」と日本語で言うわけです。メニューにも熱燗とかあったりしてわけわからないんですけれども、アメリカでもメイド喫茶があるわけです。そこでは日本のキャラクターのコスプレ風の、しかし明らかにメイドとわかるような形で接客をしているわけです。
 では、これを日本のコンテンツだから何らかの権利をと言ったって取れないわけなんです。では、登録しておけばいいかと言うと、そんなのはちょっと登録に馴染まない。このように結果的にはお金にならないけれども、日本への憧れと理解を深めるという、そういうものはたくさんあるわけなんです。そのときにセットとして発想しないと、結局、商業的にも有利な立場に立てないと思うんです。
 本当にこれまで、今コンテンツとここで言っていますけれども、コンテンツとIT戦略本部との連携を今ごろ言うようでは物すごく遅いなと。これはほかの産業、農業、漁業、車からすべてに至って連動していると思うんです。日本という国をどう見せたいかにつながっていると思います。
 今、問われているのは、ちょっと話が変わってしまうかもしれないので申し訳ないんですけれども、福島です。あれに対して我が国が総力を結集してどう取り組んでいるかということを積極的に見せることによって、日本の技術への信頼性というものをかえって深めていくことができるのではないかと期待しているんです。
 日本の新しい産業のように見えて、これまでの技術の集結であるロボットとか、あるいは放射性廃棄物の水の透過膜の開発とか、いろいろ企業が頑張っているわけです。それをどんどん投下して、今日はこれにチャレンジしてみましたとか、こういうロボットを生みましたということは、かえって日本の技術力への信頼を高めると思うんです。
 ただ、これまでの発想ではそれで失敗したらかえって恥をかく、あるいは信頼を損なうと思われるでしょうが、あれだけの大事故に対してうまくいかないのが当たり前と踏んで、ロボットが1mでも進めば、やったと偉そうに胸を張って言ってしまうような、厚かましい自信が必要なのではないかと思っています。
 何かと遠慮深過ぎて、いやいやおっしゃるほどではございませんとか、全部100%を目指して120%になって、やっと世界に向けて発表するという奥ゆかしさは、世界のほとんどの国になじまないし、理解されません。
 よく中国の人たちから、はっきり言ってくれないと付き合いづらくて仕方がないと言われます。日本人は物を言わない、怒らない、はっきり言わない、遠慮する、思いやっているかもしれないけれども、漢民族には真意を察するとか遠慮というのは何のことだかよくわからないと言われます。
 日本の男性の皆さん、どうか余り遠慮せずに思ったことは言っていただきたいし、特に政府にはお願いしたいと思います。私たちの常識で、こう言えばこれぐらいまで理解してくれるだろうというのは全く世界に通じません。やはり民族がいろいろとせめぎ合って言語が揺れ動いた民族間においては、言葉の裏なんて考えていると滅んでしまったわけです。私たちはこれまで幸運だったかもしれません。幸運ゆえのガラパゴスになってしまったのかもしれませんが、このデジタル戦略におきましても21世紀、日本が取り残されてはいけないというのではなくて、憧れとか驚きを持って、それを産業につなげようというような取組でやっていただきたい。
 韓国が経済危機のときに取り組んだのが、資源なしに売り込める産業、それに国が力を入れたわけです。それを喜んでいた業種は発展しませんでした。それをチャンスととらえて、その資本をどんどん新規開発につぎ込んだ分野は成功しました。みんなが一体となりました。テレビドラマを売り込むときに、まずそのテレビドラマの脚本とか俳優とか演出などもそうなんですけれども、そのドラマだけを売るのではなくて、それを再生するビデオ、それを映すテレビ、それが一体となって政府が中国などに乗り込むときに、主演俳優などを先頭に立てて乗り込むんです。まず憧れからかき立ててというところです。
 中国の家電製品売り場に行きますと、韓国製のテレビ画面はすべてK-POPとか韓国ドラマを映しています。それをセットにして売り込んでいるわけです。日本のテレビはおとなしいんです。物すごく上品に風景とか映しているんです。もうそういう発想ではなくて、わかってくれというのではなくて「もっと知りたい?ならおいで」ぐらいの感じで取り組んでいただきたいなと思います。ですから、もっと積極的に自信を持って取り組めるような雰囲気、別にだからここの文言そのものをどうのこうの細かいことではないんですけれども、是非お願いしたいと思います。
 新しいことに取り組んでいる人、例えばテレビでも機器だけに特化して申し上げますと、紙同然の画面があるわけです。開発されているわけです。それに対して国がどれほど後押ししているのか。どんな大画面でも丸めて運べてどこでも観られるというのは、機材としては大変魅力的ですが、それに組み込むソフトも一体となって考えて、メイドインジャパンというか、ジャパンコンテンツとして食も含めて売り込んでいただきたい。
 先ほど福島の話をしましたが、せっかく食が世界に広まってきているのに、放射能汚染の風評被害で日本からの輸入がストップしている国がたくさんあるわけです。大変もったいないことで、農家の人たち、あるいは流通も含めて大変痛手です。だからそこに積極的に取り組んで、我が国のすべての力を結集して福島に取り組んでいるんだということを見せられるような形で、演出という意味ではありませんが、いい形でどんどん見せていって、それが食にもつながっているという想像力を働かせて、取り組んでいただければ嬉しいと思います。
 長くなって失礼いたしました。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 お忙しい中、大串大臣政務官がお着きになりました。まずごあいさつを一言お願いします。

○大串大臣政務官
 遅れて到着して大変申し訳ございませんでした。知財戦略を担当させていただいております政務官の大串でございます。
 コンテンツ強化専門調査会の先生方には、これまで精力的な御議論をいただいていまして本当にありがとうございます。
 皆様方の意見を経て、あと1回の開催になろうかと思いますけれども、知財戦略のフォローアップと、2012の知財戦略に向けてのタマ込めをさせていただければと思う次第でございます。
 私は別途、国家戦略の方も担当する政務官でございまして、国家戦略会議の方も運営させていただいておりますが、その中で国家戦略として何を日本の強みとして押し出していくかというのが、大きな課題になっております。その中でよく日本の強みと一般的な言葉でいわれるんですが、これはかなり詰めて考えなければならないなと思っておりまして、日本の強みは例えばものづくりも強みですし、コンテンツも日本の強み。そのときに一般的に強みのみならず、世界的なコンテキストにおける強み、すなわち相対的な強みというものを非常に敏感にといいますか、かつ、変化も早いものですから考えていかなければいけないと痛感します。
 そういった中で、長年においてものづくりを日本の強み、そういった意味で相対的にも強みのある強みだということだと思いますけれども、これだけある意味先進国化して、単位当たりの労働費用も高くなった日本において、ものづくりという柱に加えてもう一つ、知的インプットの高いコンテンツといったものを相対的に強みの高い分野として世界的に売り込んでいくというのは、この先進国日本においては避けて通れないし、最大限の資源を投入していかなければならないのではないかと思っています。
 特に今般31年ぶりに貿易収支が赤字になったという結果もありました。これはリバウンドする可能性はあると思っていますけれども、さはさりながら、トレンドで見ると一般的な物の輸出だけで食える日本ではない可能性があります。そういった中で本当に相対的に強みのある分野をどこに置くのかということに関しては、今回議論いただいているコンテンツの分野は極めて重要な分野だと思っております。
 先生方には大変な御尽力をいただいてありがとうございますという感謝の言葉をいま一度申し上げさせていただいて、更なる議論をお願いできればと思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 せっかくの機会でございますので、今、資料2の前半でいろいろ御議論を承っているんですが、もう少し全体的にコンテンツ強化という点について、政務官あと20分ぐらいお時間がおありのようなので、ここで皆様方からもう一度御意見を承りまして、政務官によく御理解をいただくという機会にしたいと思います。いかがでございましょうか。

○角川委員
 国家戦略会議でクールジャパンを扱うということが新聞に報道されているんですけれども、私は知財本部こそ国家戦略会議だと思っているんです。知財本部が国家戦略会議でないからこそ、国家戦略会議を別につくらなければいけないというイメージに受け止めてしまって、私は知財本部こそクールジャパンを扱っているので、改めて国家戦略本部がなぜクールジャパンを扱い、では知財本部はどうしたらいいのかということの調整を是非していただいて、私たちが加わって知財本部の委員がわかりやすいように、戸惑わないようにしていただきたいというのがまず最初のお願いです。
 それから、国家戦略としてクールジャパンを扱うというのは非常にいいことだと思います。私も国際収支が赤字になったというのは非常に危機感を持っていて、こんなことが続いていたら日本の国債は暴落するのではないかという危機感を持っておりまして、そうすると日本の国の破綻ですから、そういった点でこのコンテンツもコンテンツエコノミーとして、輸出を強化していくことをお願いしたいと思いますし、その裏付けが知的財産権だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。

○大串大臣政務官
 御意見ありがとうございます。
 国家戦略会議というのは、ある意味横串的に国家戦略という観点から政府内のいろんな行政分野を議論するという建てつけになっているものですから、これを去年10月に始めたときも、いろんな行政分野との重複といいますか、ダブりがないようにというのは非常に腐心して建てつけを考えました。
 その結果どういうふうにしたかと言うと、御案内のように知財戦略は戦略本部でも議論していただいておりますので、これ以外に各府省で、司司でやっていただいているものもあります。ですからどういうふうに統合したかと言うと、ここでの議論を第一線での議論を一番尊重して、この議論の成果を取り込ませていただく。こういった形にしました。ですから国家戦略会議の方で何か例えばオーバーライドして議論するとか、そういうことではなくて、国の全体的な優先順位づけみたいなものは大枠で考えるけれども、第一線での議論をきちんと受け止めさせていただくという建てつけにしたのが、全体的な取組でありました。ですので、まさにこちらは戦略本部ですから、戦略本部での議論をしっかりいただきたいと思います。
 後者の点は全く、先ほど私もあいさつで述べましたように、大事だという単なる言葉ではなくて、危機感として私も感じています。経済財政の分野も担当していますので、そのダイナミズムを見ると非常に危機感があります。ですので、まさにコンテンツを日本の相対的な強みとして認識して、より強く、まさに国家戦略的な観点から優先的にやっていくということが大事なんだろうと思います。

○角川委員
 もう一つお願いしたいのは、私たちはTPPで知財が扱われるだろうと聞いております。是非TPPにおける知財の在り方はどういうことかということを、知財本部に正式に投げかけてほしいんです。近藤さん、そこら辺についてはどうですか。私はその方がいいと思うんです。そういうことをしていただくと知財本部の在り方がきちんと本部員にもわかってくると思うんです。御存じのとおり本部長は内閣総理大臣ですから、そこのところを是非TPPの問題についても、TPPのone of themではなくて、知財は大事な分野だということで、知財本部に投げかけていただくことをお願いしたいと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 杉山委員、どうぞ。

○杉山委員
 この場では何度も出ているんですが、知財の世界的な扱いというのはほとんどデジタル上で行われるわけです。ですから今年なんかもIT戦略本部と知財本部が分かれているということが非常によくないんです。本当に困っています。これを統合していただかないと、全部サービスでもコンテンツでも何でもネットワーク上なんです。仕組みから何から。最後は人間がやることはあるかもしれないけれども、サイバーを制さないと国は亡びるだけなんです。ですからIT戦略本部と知財本部はせめて一緒にしていただかないと、深い議論ができないです。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかいかがでしょうか。吉羽委員、どうぞ。

○吉羽委員
 いつも隣にいらっしゃる別所委員がいらっしゃらないので、よくおっしゃっていることを代弁させていただきたいんですけれども、やはりスピード感のお話、コンテンツ戦略の中で顔が見えるということ。前回もお話ししましたけれども、大統領が映画産業を売り込みに行くということをやっている大国が片一方にあるわけです。日本もリーダーの方がコンテンツ戦略を持って、海外に対して是非とも海賊版の対策もそうですし、コンテンツのセールスそのものもそうなんですけれども、是非ともアピールしていっていただきたいと思いますし、そういったことが当然国内の報道にも返ってくるし、知財本部がいろいろとそういったコンテンツの競争力の強化に対して力を入れているんだというのは、リーダー自身がおやりいただくということが最も強いんだろうと思いますので、そういった部分で是非とも引っ張っていっていただきたいと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員
 知財の主要政策のところでは、2の項目にソフトパワーを強化するというのが出ておりまして、先ほど来の論議の中でもコンテンツをつくる力についても、潜在的な国際競争力というのは非常に高いという話が出ています。
 是非御理解いただきたいのは、この中でも成果としてのANEWですとか札幌のコンテンツ特区が記載されておりますが、現実的に外貨を獲得し、更にコンテンツをつくる力を強化する上ではボトルネックになっている部分というのは、実はさまざまな規制の部分というのが現場を苦しめているということを御理解いただければなと思います。新たな予算を投下する云々ということだけではなく、現行の規制を緩和していくだけでも国際競争力を強化することができ得るのだということを、是非御理解いただき、1つ種がまかれていますコンテンツ特区であるとかという部分に関してもさまざまな形で論議を深め、また御支援をいただければなと、こういう機会ですので申し上げます。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 大多委員、どうぞ。

○大多委員
 これも私なりにずっと言っていることですけれども、とにかくいろんなことがあると思いますが、総花的にならないで、今回何をやるんだということ。知的財産推進計画2012をこれだけ議論して、結局人にしゃべるときに何なのと言ったときに、コンテンツの世界展開をさせるデジタル・ネットワーク社会の基盤を進めるって覚えられないんです。こういうことで全部書いてあることに対しては、いつも私は全部が推進されれば素晴らしいことだということに対しては何の異存もないんですが、どれが前回も言いましたけれども、メインディッシュで、サイドディッシュで、デザートなのかということで、少なくともそのハイライト部分をどうやって国民に知らしめるのかというところが弱いし、そこに対して何となく大体同じように置いておかないとまずいんですよという感じがどうも漂うんです。
 今回だったら、第1だったら先ほどから杉山委員が言っているようなボーンデジタルの人たちに対して、こういうことでこういうお金を使うという何か具体的なものが踊らないと、逆に新聞の記事にもならない。記事としても余り面白い記事にならないような気がするんです。こんなことを始めたんだというところの打ち出しを、せっかくこれだけみんなでいろいろ考えてきているわけなので、その辺は私はある程度の独断と偏見と言ったらあれですけれども、その辺は私はせっかく今日政務官がいらっしゃるので言いたいのは、いろいろあるけれども、これなんだよというのを、そうではなかった人に対しては何だよそれが一番かよと言われるかもしれませんが、その辺の差別はつけていかないと、何か見えないというまま終わってしまうのは嫌だなと思っているので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 中山本部員、どうぞ。

○中山本部員
 この場では産業政策という観点からいろいろ知的財産を扱っているわけです。各委員皆さんデジタルのことを非常に詳しく知っていて、それなりの方針を出すのですけれども、これが下の官庁の審議会に行きますと骨が抜かれて、更に法制局に行きますと小骨も抜かれて原形をとどめないことがままあるわけでありまして、是非その辺は政治力を発揮してやっていただきたいと思います。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。中島本部員、どうぞ。

○中島本部員
 別の機会にも申し上げたのですが、私どもは今これでコンテンツ強化の専門調査会、もう一つは競争力強化、合せて知財推進計画を毎年出している。今年も5月か6月になるのかわかりませんが、そこに向けて一生懸命やっているわけでございます。けれども、推進計画ができましたらこれは立派な国家戦略なわけですが、発表の仕方、先ほど来から顔が見えるという形で、本部長は総理大臣なわけですから、総理大臣か石田担当大臣なのか大串政務官なのかわかりませんけれども、是非記者会見をして、これが国の戦略であるということを見える形で発表していただく。ただ単に首相官邸のホームページに載るという形ではなくて、是非見える形で国民に示していただきたい。そうすることによって知財ワールドの人たちの活力というのは、なお一層強くなると思いますので、是非よろしくお願いいたします。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 そろそろお時間だそうでございますが、何か一言あれば最後に。

○大串大臣政務官
 御意見ありがとうございます。
 TPPに関しては私は担当の政務官なんですけれども、御案内のように各国との関係で情報を集めに行っています。どうも私が見ているところによると、まだどうも各国間の議論もまちまち。一応年内にまとめると9か国言っていますが、本当にどのくらい進んでいるのかよく見えないところがあります。恐らく議論が進むに従ってもう少し各国の利害関係なり意見の大きさもわかってくると思いますので、これはおっしゃったように知財の分野がTPPにおいては大きな関与分野だということは、政府の中でも、私は党の経済連携プロジェクトチームの議論にも政府から参加していますが、そこでもはっきりみんな認識して、情報がない、今のところまだ各国の態度が決まっていないものですから、そういう意味で情報がまだ精査されていない中ですけれども、日本の立ち位置をどうするんだということで侃侃諤諤の議論があります。
 ですからこれは相手国のある話ですから、相手国の情報の生成のされ方、彼らのスタンスの固まり方を踏まえながら、日本として言っておかなければいけないことは言っておかなければいけない。そのときには戦略本部ですから、戦略本部の皆さんにもいろいろな意見をいただきながらというふうに思います。
 IT本部、知財本部の問題です。これは実は私は科技の担当の政務官も実は1か月前までしていて、交代してしまったんですけれども、1か月ぐらい前までやっていて、今度は科技の総合科学技術会議を科学技術イノベーション戦略本部として、改組してアップグレードしております。
 その中の議論として、政府の中からもITと知財一緒にという議論も俎上に上げたことがありました。ところが、一方でITは別だという議論も結構あったんです。そういう議論の中で今のところ御案内のようにIT本部と知財本部を別々につくっておりますが、少なくとも同じ政務三役の下で持っているというのは、おっしゃったように融合性の非常に高い分野だという認識も私たちはあります。ですので、できる限り内閣官房及び内閣府という1つの組織の中で、政策の融合なりを図れるようにしていきたいと思います。問題意識はよくわかります。
 先ほどからスピード感、これは前回の議論のときにもいただきましたし、顔の見えるということも前回の議論のときにもいただきました。それはもっともなことであります。コンテンツですから発信が非常に重要だというところもありますので、これはかねてからもいただいている御意見でございますので、万端に取り組んでまいりたいと思いますし、規制の改革は行革も担当しているので、今の意見もよくわかります。
 総論では政府の中で行革をやるんだ、規制改革をやるんだと言っても、各論ではなかなかまだ各省いろんな意見があるところがあります。ただ、その中での一歩ではありますけれども、札幌コンテンツ特区は今回認められて足を踏み出しました。この成果を1つの契機として実りを広げていければなと。特区というのは特区で終わらせるのではなくて、特区で得た成果を全国的に展開してできないかということを考えることがかぎでありますので、そういった視点で頑張っていきたいと思います。
 ほかの政務三役とも話しているんですけれども、エッジを立てるときには政治的な折衝なり何なりを、政治としてもリスクをとってやっていかなければいけないということを、まさに今日も大臣とも議論してきたところでございました。エッジを立てるということは私たちも常に配意しながら、そのためには政治的な折衝をきちんとやっていくという思いでやっていきたいと思います。
 本当にいろいろ御意見ありがとうございます。私もなかなか議論に参画できなくて大変恐縮に存じますが、逐一議論のフォローアップは私自身させていただいております。そういう中で最大限の成果を2012の中で出し、かつ、発信し、実行できていけるように頑張ってまいりたいと思いますので、今度ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

○末吉副会長
 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 残り30分ぐらいになってまいりましたので、これまでのところは資料2の8ページぐらいまでを中心として御議論いただいておりますが、9ページ以下、クールジャパンにつきましても御意見をいただきながら残り30分使ってまいりたいと思います。

○吉羽委員
 文言も含めて3点ほどあるんですけれども、10ページ、インバウンドの推進の一番下のポツの「コンテンツ産業事業者の誘致を促進」なんですが、せっかく入れていただいたんですけれども、やや抽象的で、もう少し具体的に書けないのかなということは思いました。
 多分2つのことが一遍に書かれていて、前回別所委員がおっしゃられたように海外からのコンテンツ産業の優れた人財等々を日本に連れてきてというようなお話と、若干後ろの方に特区の話とが混ざっているのかなと思うんですけれども、焦点がぼけていて、まず先ほど来出ている規制の話もありますが、日本人及び海外のクリエーターたちが、日本の中でさまざまな創造活動を起こしやすいような規制の緩和であったり、税制の優遇であったりとか、何かもう少し具体的に踏み込めないのかというのを1つ感じています。
 同じ10ページのその下にある地理的表示保護制度の導入の話で、GIの話は結構なんですけれども、私たちが今、直面しているのは商標の問題。資料3には知財の話の中に商標の話が出てくるんですけれども、具体的に申し上げると今、我々の出版物として女性誌、ファッション誌がアジアでは非常に競争力を持って受け入れられているんです。中国、香港、台湾、マレーシア、シンガポールといったところに広がりつつあるんです。
 これが広がっていくと何が起きるかと言うと、そこに掲載されているファッションブランドであるとか、さまざまなメーカーさん、クライアントさんがそこに商圏を広げることができてきて、かつ、日本の国内でもかなり女性誌のブランドを利用したイベントであるとか、通販まで広がってきているんですけれども、肝心の誌名商標というのは海外で押さえられてしまっていて、それを自由に使えないという問題が生じてきています。Appleの話がありましたので、かなり中国における商標の話がクローズアップはされているんですけれども、恐らく私たちのところだけではなく、いろいろなところで知財に絡む商標というものが係争というか、争議になっている部分があるのではないかと思います。
 この辺そのGIの話は一時期報道でも随分クローズアップされて、ブランドイメージの保護という話がありましたけれども、従来からの商標もブランドイメージの保護という点では、まだまだ整備が必要なのではないかと思っています。
 3点目、12ページの一番下のところの「クリエーターによる学校訪問を通じて」云々。これは大分前にもお話をしたんですけれども、文科省さんが芸術文化表現と言ったときに、余りサブカルのところに積極的ではないような印象を持っておりまして、もう少しリアルタイムなメディア芸術も含めてというようなところを、きちんとうまく表現として盛り込めないのかなと感じております。
 以上です。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 芝田次長、どうぞ。

○芝田次長
 何点か御指摘をいただいたので、文章の変更を含めて参考にさせていただきたいと思います。
 何点か申し上げたいと思っていて、第1点目は政務官がいらっしゃる前に里中先生から縷々御指摘をいただきましたけれども、韓国がやってきたように我が国もコンテンツを先頭に立てて、それとものづくりですとか、食、サービス、観光も含めて融合的な戦略を展開していくというのは、3ページにもコンセプトとして書き込みましたけれども、各府省に活かされています。
 実際にも経済産業省でクールジャパンを総合的に推進するという事業が既に始まっていますけれども、その中でのコンセプトは今、里中先生が御指摘いただいたような形で融合的にやっていくというふうになっておりますし、内閣官房としてその辺は我々も各府省に声をかけて、連携を図りながら進めるようにしていきたいと思っていますというのが1点目です。
 2点目は今、御指摘をいただいた話ですけれども、規制緩和とか税制とか具体的に書けないかという御指摘がございました。これは実際に事項を挙げようと思うと各省の名前を書き込まないといけないので、恐らくかなりハードルは高いと思いますけれども、当たってはみたいと思いますが、何らかの形でそういう精神がどこかに書き込めるように、少なくともやってみたいと思います。
 商標の問題もいただきましたけれども、これはよく問題になっております。これは特許庁、経済産業省の方でも、従来より例えば日中の二国間協議の場でこの問題を指摘して、審査を厳しくしてもらうということは既に行われていて、中国もソフトで生きていくという道をこれから探っていかなければいけないということで、最近少し体制が変わってきているというふうに受け止めています。中国になぜか九谷焼というのが商標登録されていたりして、我々も大変困っておりますけれども、その辺の審査はかなり厳しくなっていると理解しております。
 もう一つは今の同じお話の中で、女性誌の中でいろんなものづくりですとか、いろんなものをプロモートしていくという話もありましたけれども、これは一言申し上げたいのは、今、内閣官房自身が音頭をとってやっております海外広報の中で、中国の著名な女性誌の中でそういった日本の「かわいい」というコンセプトを売り込む中で、日本の化粧品を含めていろんなものをプロモートすることも現に実施しておりますので、ちょっと申し添えさせていただきたいと思います。
 いずれにしろ、今いろんないい御指摘をたくさんいただきましたので、できるだけこの文章に反映できるようにしたいと思っています。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 久夛良木委員、どうぞ。

○久夛良木委員
 札幌のコンテンツ特区の話が出ていて、これはこういうふうに盛り込まれたので非常にいいと思っているんですが、これはインバウンドをもっと増やそうという期待があっての話だと思うんです。今年の議論にはなじまないと思うので来年以降の話になると思うんですが、我々が今、議論しているネットワーク空間という中で、多様なコンテンツの発展とかインキュベーションをもっと加速しようと考えるのであれば、そこに一案として「サイバースペースの中の特区」というものの創設も考えられるのではないかと思うんです。
 一気にいろいろな規制緩和をすると、さまざまな議論も必要ですし、勿論、調整も必要になるのでそれなりに時間がかかる。そういうふうに時間がかかっていると、世界の最先端にますます遅れていくという中で、1つの方法論として、例えば国内の特定のサーバーであるとか、官民が力を合わせてここでやってみようという特区的に指定されたある環境で、言ってみれば規制や従来のしがらみを外してみる。ちょっと大胆な言い方かもしれませんけれども。ひょっとすると、そこで我々が考えつかないようなすごいサービスやコンテンツ群がどんどん生まれてくるかもしれない。
 もちろん、サーバ等の設置場所が限られていますから権利処理もどちらかと言うとしやすいのかもしれない。問題が起きたら、今後どういうふうに上手に権利処理をしたらいいのかとか、もしくはここはやり過ぎてはいけないなというように、やってみて初めて判る感覚というものが、そこで醸成されるのではないかとも考えているので、勿論今年は無理だと思いますが、来年以降、そういった可能性についての是非も議論していただきたいと考えております。
 以上です。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。大多委員、どうぞ。

○大多委員
 先ほどちょっと話にも出ましたけれども、ANEWというAll Nippon Entertainment Worksの話になると、何となく盛り上がっているんだか盛り上がっていないのかよくわからないような感じで、私はいつもこれを応援していると1人寂しい感じにもなってしまうときがあるんですが、先ほども杉山委員から出たように、いかにも映画とかテレビの作品に投資する、王者のかつてのレガシーメディアのものに投資するということも古いのではないか。正しい意見の1つだと全く思います。
 私はANEWというのがどういうことをやろうとしているのかわかりませんけれども、数十億の金があるということであるならば、このコンテンツの企画開発は当たり前ですけれども、映画やテレビに勿論特化するものではないと思いますし、今、まさにデジタルの分野ではたくさんのコンテンツ、これは映画会社、テレビ局がやっているコンテンツとは全く別の普通のいわゆる一般の方のコンテンツで非常に面白いものがありますけれども、一方で例えばアメリカのリドリー・スコットという非常に高名な監督がやっているYouTube上にたくさんの一般の方たちの投稿の中から、ある1日だけを切り取ったものを編集してつなぎ合わせて音楽をつけて「Life In A Day」という、これはある映画祭で賞を取りましたが、そういうようなものも生まれています。日本の3.11に合わせて今年の3.11の映像をみんなでYouTube上で集めて、またリドリー・スコット監督が編集するというような試みもあるんです。非常に今までのテレビドラマであるとか、映画というのと全く違ったジャンルの非常に面白いコンテンツも今、生まれ始めていますので、その辺に対するある意味での支援みたいなことも大事かなと思います。
 それと先ほどから、私も以前、韓国のテレビ局の人がまさに昭和40年代の総合商社のように、今度は南米に支社をつくる、オーストラリアに支社をつくる、アメリカやヨーロッパだけではないような、非常に強くいろんな仕事に当たっているんですけれども、そういうものはなかなかやはり今、日本人は先ほど里中本部員が言ったように弱いというか、印象が薄いなというのが彼らの話を聞いて思うんですけれども、一方で、ただデジタルという今、ボーンデジタルの人たちからすると別に韓国の方たちや中国の人たちのNOはNOと言うところとは全く別の次元で、自分たちのやりたいことは世界に発信できるんだという非常に自由な感覚を持っている人たちが山ほどいて、そこに優秀なクリエーターも多分眠っているというか、もういるんだと思うんです。
 そういう点で言うと、ビジネスの世界では非常に今、日本の方たち、日本人は何となく厳しい面がありますけれども、つらい面もあるのかもしれませんが、デジタルのところには全く違う空間が、そしてクリエーターたちが広がっていると思うので、そんなにある分悲観することではない。ということは、そちらのデジタルのクリエーターたちを圧倒的に支援することが、日本の新しい道なのかなと思うんです。
 私たちの世代で言うとまさに映画やテレビというものがありますけれども、デジタルのコンテンツについてはまだまだ卑下するものでもないし、そういうような勇気を持ってつくっていけば、あっという間に世界で日本はこの分野は強いねという何かが生まれると思うので、その辺を見据えて何かやっていった方がいいなというふうに改めて思いました。
 資料1の骨子に盛り込まれる文言ではないと思いますけれども、クールジャパンを推進し、ソフトパワーを強化するのに今後取り組むべき事項というところに、中国、インド、インドネシアなどアジアの新興国を中心に、と書かれていますが、中国やインドは私は新興国だとは思っていないんです。何でこういう認識なのかなと私なりにはそういうふうに思いました。先ほどの限定的な市場規模といったようなものと同じような、これはまた別の意味で違和感を持ったので、一応付け加えさせていただきます。
 以上です。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員
 今、大多さんからも御発言があったANEWの件なんですけれども、資料編の中ではANEWに関しては、コンテンツの海外展開を支援する会社と記述があります。この会議での成果としてのANEWという発言も今まで何度か局長含めありました。
 その段階では、たしかこれはファンドというニュアンスが非常に強かった。ファイナンスの部分のところでハリウッドであるとか莫大な投資をしてくるところに対して、日本のコンテンツというのはどう向き合っていくのかというところで論議をされていたように思います。その部分というのがANEWというものの実態が見えないものですから、いささか心配になっているところもあります。CEOがまずハリウッドの政策を既に担当した方であったりとか、今まで我が国で残念ながら繰り返されてきたことは、ジャパンマネーを利用してハリウッドがいかに更に力を上げていくのかということが、残念ながら80年代含めて構造的に何度も何度も行われてきました。今回それと同じようなことがあってはいけないなと。
 逆に、映画やテレビだけでなくていいと思うんです。御発言にあったとおり日本がこれから世界で通用するようなコンテンツをつくっていく仕組みの中で、ANEWというものがどういう機能をしていくかというのは、いずれかのタイミングで御説明をいただいた方がいいのかなと思いました。
 また、記述に関して確認したかったのは、海外展開を支援する会社ですよねということを改めて確認したいと思い、発言させていただきました。

○末吉副会長
 この点は一言いいですか。

○芝田次長
 今日は仏滅なのでよく当たるんですけれども、ANEWについては実を言うとちょっと裏話であれなんですが、今日も来ていただいて、皆さんの声を直接聞いてもらえないかなと思ったんですけれども、ちょっと残念ながら日程の調整ができておりません。できるだけそういう機会をつくっていただけるように、また申し入れてみたいと思います。
 おっしゃるとおり、コンテンツの海外展開を支援する団体だと我々も認識しておりますので、皆さんの意向がよく反映されるような運営になりますように、そういう機会をできるだけ設けるようにしたいと思います。

○末吉副会長
 済みません、運営というのは勝手にやるんですか。株式会社なんですけれども、そこのコントロールというか、そこを御心配されているんだと思うんですが、そこは牽制が十分働くという理解でよろしいんですね。

○佐藤委員
 今ちょっとここで発言するべきなのかどうかと思ったんですが、今日ANEWさんが当社に訪ねて来られるので、同じ話を聞こうと思っております。ただ、説明を簡単にいただいたところでは、牽制の機能が十分に働いているというふうには見えなかったので、今、末吉さんが御発言されたとおり、ここでも一応議事録に残しておくべきではないかと思い、発言をしました。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 近藤局長、どうぞ。

○近藤局長
 仏滅の日というのは仏様が仏様になった日なので、決して悪い日ではないのです。たくさん発言ができることを喜ばなければいけないわけであります。
 ANEWのことはどうも、もともとこういうものをつくろうではないかということを言い始めたとき、私が局長なんです。私はもう実は2年半前にでき上がっているぐらいのつもりだったのが、なぜかずっと延び延びで、どんどん小さくなってこんなんなったんで、当初の私の頭の中にあったものとは全くどうも違うものになってしまうのではないかと心配しながら見ているという意味では、佐藤さんと同じような気持ちを持って見ています。
 ただ、そうは言いながらも国の出資をした機関からお金を出し、国のために、日本のためにやるという仕組みでつくっていますから、ある程度の独自性を担保しながらも、役所が一件一件中身をどうこうと言うのではなくて、ただ、日本の産業が発展するように物事を持っていくという仕組みにできるような仕組みにしてくれているはずだと思います。
 これは今日、来てもらって1回説明してもらおうという企画もしたんですが、なかなか日程がうまく調整できなかったので、あるいは4月に入るかもしれませんし、この専門調査会の形になるのか、そうではないのかもれませんが、一度また来てもらって話をじっくりとみんなで聞いてみる。こんなことも考えなければいけないと思います。
 額の方も思ったより大分、当初考えていたよりも小さくなっているので、そんなにすごい額ではなくて、幾つかむしろプロジェクトを絞りながらやっていくのかなと思っていました。我々の方も引き続きしっかりウォッチをしていきたいと思っています。

○末吉副会長
 ありがとうございます。

○大多委員
 何で佐藤さんも私もANEWについて聞いているかというと、このクールジャパンに関して言うと、先ほど言いましたけれども、この中のハイライトが何なのかというときにもし人にしゃべれる、もしくは先ほど言ったように記事になるかもしれないという点で言うと、ANEWというのは映画やテレビ作品という、これだけだとそんなの中国や韓国はとっくにやっていると言われるかもしれませんが、先ほど言ったようにデジタルコンテンツとかそういうものも含めて、これだけのことを国がやるというのはある意味、非常にメインディッシュになりやすいものだと思うので、こだわって言っているのと、それから、今日ここにいらっしゃれないということですけれども、まだ始まったばかりで何でそんなに忙しいのか。今日、佐藤さんのところに行くので忙しいのかもしれませんが、そんなに忙しいんだということはすごいお金とすごい人が動いているのかなと思わせますけれども、そうではないと思うので、是非1回ここに来ていただいた方がいいような気もしています。そういう意味で私は何回か発言いたしました。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 どうぞ、お待たせしました。

○三尾本部員
 私はこの間、ANEWを訪問してまいりました。私が専務理事をやっていますエンタメネットの若手の弁護士を使ってもらえないかなと思って売込みに訪問させていただいて、そのときに、ANEWの今後の方向性についてお話を聞いてきたので、少しだけ紹介できたらなと思うんです。
 正確かどうかわからないんですけれども、そのとき聞いたお話だと、日本の映画を中心としたコンテンツ、これは既存のコンテンツではないかと思うんですが、それを全世界に向けて売り込んでいくということを最初にやりたいとおっしゃっていて、そのためにハリウッドのプロデューサーの配給のネットワーク、全世界にハリウッドは映画の配給ネットワークを持っていて、それでハリウッドのビジネスは成功しているわけですが、そのネットワークを利用して日本の映画を全世界に売り出すということを考えているとおっしゃっていました。そのためにハリウッドの力を借りてやっていきたい、まずそこを成功事例をつくるべく最初に実施することを考えているとのことでした。ほかにも検討してはいるが、とりあえずまず成功事例をつくることが大事ではないかと考えているとおっしゃっていました。
 残念ながら、若手の弁護士はなかなかそこに入り込む余地はなさそうだったので、また更に別の企画があった場合にお声を是非かけてくださいと、こちらの方ではいつでも待っているし、十分にいい若手の弁護士を送り出しますよという話をして帰ったんですけれども、そういうことでした。ちょっと前の話なので、今回新しい代表が決まって方向性が変わっているかもしれませんが、何か月か前にお話ししたときはそのようにおっしゃっていました。

○末吉副会長
 ありがとうございました。
 ちょっと心配な内容な気がいたしますけれども、ほかにいかがでございましょうか。

○中島本部員
 前にもお願いしたのですが、第1の施策、第2の施策は全く別で切り離してということではなくて、相互に関連をすることによって相乗効果が出るということです。特に観光とかいう具体例を挙げますと、そういうものにデジタルツール、スマートフォン、先ほど来お話があるスマートテレビ等を使うと、飛躍的に観光価値が上がるというふうに思っております。どこかに書いていただいたのかもしれませんけれども、ちょっと読み切れませんでしたので、3ページ辺りか11ページ辺りになるのか、そこら辺にはそういう相乗効果をねらったというふうなことが表れるとありがたいということでございます。

○末吉副会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。角川委員、どうぞ。

○角川委員
 コンテンツ特区に札幌が指定されたということがこの間、映画製作者連盟の会議で経済産業省から説明があったときに、やはり札幌だけでは非常に使いにくいんです。映画会社のトップの1人は札幌で西部劇なんかやるんだったらば札幌でもいいかもしれないけれども、それ以外に札幌では何を映画会社は持っていけるんだろうという素朴な意見でした。
 やはり日本映画は今は非常に時代劇がブームですが、そういうものをつくるときにはインフラというものが必要なんです。ですから時代劇で言えばやはり京都市、京都府ということになるんですけれども、それ以外にも伝統的な基盤を持っている都市もありますので、札幌に限らずに、札幌だけというのが一点効果主義みたいなもので、札幌さえ挙げておけばコンテンツ特区をつくったんだぞというふうな感じになるんですが、やはり3〜5か所ぐらいを政策的に特区にしていただいて、映画製作を志す人から見るとチョイスの幅を持たせてもらいたいと思うんです。是非お願いしたいと思います。

○木村参事官
 今、御指摘いただいた点はまさしくそのとおりでございまして、今回も札幌コンテンツ特区だけではなくて、新たな特区の形成支援も書かせていただいておりますが、まさしく京都府、京都市の方で今、御指摘いただいたような、京都が拠点となったそういう取組を進めていきましょうということで現在、検討されているところでございまして、実際に特区として支持されるかどうかまだ決定していないと聞いているところでございますが、同じくそういう札幌だけではなくて、京都でもそういう核となってそういうことを進めていこう。今、検討がなされていると聞いているところでございます。

○末吉副会長
 どうぞ。

○杉山委員
 特区絡みなんですけれども、たまたま私たちも大学を特区でつくらせていただいたことで知っているんですが、基本的に特区は1年運用してみて、さしたる問題が出なければ直ちに全国に展開するという精神だったように思うんですけれども、これは引き継がれているんでしょうか。もともと特区というのはその法律のモデルとしてやってみて、結局いいことが起きたら直ちに全国に展開するという精神だったと思うんです。是非そういう考えでやってほしいと思います。

○末吉副会長
 これはそういう理解でよろしいんですか。

○木村参事官
 総合特区の制度でございますけれども、全国展開を前提とする構造改革特区とは異なりますが、地域のそういう先導的な取組を進めていこうということでございますので、それが非常に優れたものであるということであれば、また委員御指摘のような全国への波及ということについても、また検討されるものと考えてございます。

○末吉副会長
 よろしくお願いします。
 ほかにいかがでございましょうか。今日はこんなところでございますか。よろしいですか。
 ちょっと時間より早いんでございますけれども、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、本日の会合はこれで終了させていただきます。まだまだ御意見等がおありになろうかと思いますけれども、本日いただきました御発言以外にも御意見がございましたならば、後ほど事務局までお寄せいただきたいと思います。
 最後、事務局から連絡事項があれば、どうぞ。

○木村参事官
 次回は3月13日、来週火曜日の10時からでございますが、本日の御意見を踏まえまして修正しました知財計画2012の骨子に盛り込むべき事項につきまして、とりまとめいただくと予定しているところでございます。よろしくお願いいたします。

○末吉副会長
 どうもありがとうございました。