首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸
 トップ > 会議等一覧 > 知的財産戦略本部 > デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会


デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会(第8回)
議事録

  1. 日時:平成20年10月14日(火)10:00〜12:00
  2. 場所:知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者
    【委員】 中山会長、上野委員、大渕委員、上山委員、北山委員、苗村委員、中村委員、宮川委員
    【参考人】 椎名参考人、亀井参考人、久保田参考人、桑子参考人、丸橋参考人、高杉参考人、畑参考人
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • 参考人ヒアリング
    • (1)権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入
        ・社団法人日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター 運営委員 椎名 和夫
      (2)ネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化
       (@)コンテンツの技術的な制限手段の回避に対する規制の在り方について
        ・社団法人電子情報技術産業協会 著作権専門委員会委員長 亀井 正博
        ・社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事・事務局長 久保田 裕
       (@@)インターネット・サービス・プロバイダの責任の在り方について
        ・社団法人テレコムサービス協会 サービス倫理委員長 桑子 博行
                           同 サービス倫理副委員長 丸橋 透
        ・社団法人日本レコード協会 事務局長 高杉 健二
                        同 情報・技術部部長 畑 陽一郎
    • デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について
    • (1)コンテンツの流通促進方策
      (2)権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入
      (3)ネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化

○中山会長 それでは、ただいまから第8回のデジタル・ネット時代における知的財産制度専門調査会を開催いたします。
 本日は、ご多忙中のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前半におきまして権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入と、ネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化に関する参考人ヒアリングを行い、後半におきまして、ヒアリングの内容等も踏まえて、現在までの検討事項全般についての議論を進めてまいりたいと思います。
 まず、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入につきまして、参考人からのヒアリングを行います。
 日本版フェアユース規定の導入につきましては、第5回、第6回の2回にわたり議論をちょうだいしたところでありますけれども、本専門調査会といたしまして、報告書をまとめるに当たり、本事項に密接に関係する権利者の方々の御意見を聞くべきではないかと考えております。また、権利者の方々からも意見を伝えたいというご要望がございましたので、本日は、関係著作権者、著作隣接権者7団体を代表いたしまして、社団法人日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター運営委員の椎名様をお呼びしております。
 それでは、椎名様、よろしくお願いいたします。

○椎名参考人 芸団協実演家著作隣接権センターCPRAの椎名和夫と申します。座ってお話をさせていただきます。
 中山先生からもお話があったんですが、本日は10月1日付で知財本部あてに要望書を提出させていただいた権利者7団体を代表して、本調査会におけるフェアユース規定導入の検討に対する権利者の考え方についてお話を申し上げたいと思います。
 まず、おめくりいただきまして、資料の1−1でございますが、はじめにということで、第4回ですか、この調査会のネット権の話のときにも、こちらに伺いましてお話をさせていただいたんですが、その際にもお話ししたんですが、ネットでのビジネスが進まなかったり、流通が進まなかったりすることの理由として、「著作権」が原因であるとする主張は多分に恣意的でありまして、むしろビジネスの持つ構造的問題を隠蔽しようとする意図から用いられることが多かった結果、著作権の保護を緩和すれば、ビジネスが進むといった考え方が多く述べられることになったというふうに思います。
 著作権の役割は終わったなどという言われ方もするんですが、一方で、メディアがシフトして、どのような形の利用がされたにせよ、権利者にとっては著作権が重要なインセンティブとなっている事実は見逃すべきではないと思います。
 ネットの登場を契機として、様々なビジネスモデルが転機を迎えて、徐々に構造変化が起こりつつある現時点で、いたずらに権利そのものを弱めたり制限する形で著作権法をいじったり、それに代わる法律をつくったりすることよりは、まずはビジネスモデルそのものの変化を促すような施策がとられることが先決ではないかというふうに考えます。
 悲しいかな、現状を見ますと、私的録音録画補償金制度の関連や、ネット権、ネット法の制定に関する件、フェアユースの件もしかり、明らかに著作権の「保護」を緩和させようとする議論がめじろ押しであるわけですけれども、緩和に伴って権利者が失う利益については、全く言及がされていないに等しいという状況がございます。こういう状況は、知財計画に掲げる、「創造」「保護」「活用」のバランスという観点からすれば、著しくバランスに欠けた状況と言わざるを得ないと思います。
 おめくりいただいて、また、この調査会において出てきた話として、個別列挙の厳格さがビジネスの障害、あるいは参入障壁となっているとの指摘もされているんですが、そこで言うビジネスとは一体何のビジネスなのかということなんです。恐らくは、ネットにコンテンツを流すことを中心としたビジネスであろうと考えられるんですが、一方で、権利者も著作権をよりどころとしてビジネスをしております。コンテンツを流通させるビジネスにとって、著作権もしくは著作権使用料は、背負うべきリスクであって、場合によっては障害と主張できなくもないわけですけれども、他方、著作権は権利者にとって重要なインセンティブであって、かつエンターテイメントも一つの産業でございます。
 こうした利害構造がある以上、両者のバランスに配慮することが極めて重要であるというふうに考えています。この調査会では「国益」という言葉も登場しておりますが、国益にとって、エンターテイメント産業が通信や流通産業に劣後するかのごとき価値観があるのだとすれば、それは我々にとって、とても深刻な問題であるというふうに考えています。
 この議論の経過の中で、権利者が意見聴取をされないまま結論が下されようとしていた点から考えても、その危惧はぬぐい去りがたいと言わざるを得ないんでございますが、これらの点をまず指摘させていただいた上で、以下、フェアユース規定の導入に関する権利者サイドからの意見を申し述べたいというふうに思います。
 めくっていただいて、3ページ目です。
 権利者の権利が制限されるべきフェアな利用というものが存在することについては、権利者も異論はなく、その一般規定についても、法律論として検討の余地があることについては理解をしております。しかし、一方で権利者は以下の重大な懸念を持っております。
 まず、いわゆるフェアユースで解決できるとされた「常態化しているカジュアルな権利侵害」とは別に、ネット上において「権利者に不利益をもたらすような権利侵害」、これが大規模にやっているものもあれば、極めて私的な規模でやっているものもありますけれども、これは私的複製の問題と同じように、総体として権利者にかなりダメージを与えるような権利侵害、これが日常的に蔓延しておりまして、フェアユース規定の導入により、これらが意図的に混同される懸念があると思います。
 ネット上でのモラルというのは、実に多岐にわたっておりまして、あらゆるコンテンツは無償であるべきとの主張すら見ることができるわけですけれども、こうした状況下においてフェアユース規定を導入すれば、フェアユースを標榜するフリーユースが蔓延して、この無法状態に一層拍車がかかるとの見方が権利者としては一般的です。
 こうした懸念を裏づけるものとして、昨今の報道等の傾向を見るに、知財本部におけるフェアユース規定の検討について、あたかも自由利用の領域を拡大する検討であるかのように受け取られている観がございます。
 また、ネットにおいて違法に流通しているコンテンツの量は、正規流通を上回る勢いでありまして、この資料につきましては、後ほどレコード協会さんが提出される資料の2ページ目ぐらいに入っておりますので御覧いただきたいと思いますが、これら違法なものに対するネット上でのルールづくりがまだ未整備であるということもありまして、こういうものに対して必ずしも十分に対応し切れていない現状がございます。
 また、ネット上のコンテンツは無償であるべきとの価値観まで存在する中で、もし一般規定を導入すれば、権利者サイドにリスクが集中することは明らかであります。現状は違法と判断される利用でも、フェアユースを標榜した場合、司法の判断によってしか解決できないこととなる結果、無法状態が放置され、権利者にさらなる負担を強いることになると思います。ひいては、コンテンツ業界の活力を大きくスポイルする懸念があると思います。
 おめくりいただいて4ページ目ですが、少なくとも本調査会において、早急に対応するべき課題として挙げられたものについて、個別に権利制限規定を設ける検討は、まだ十分に行われていないと思います。議事録を拝見したところ、その点に関連する議論が第2回にあったと理解しておるんですが、以後、第4回がネット権のことということで、第5回からフェアユースの議論が再開されて以降は、個別か一般かという論点はあったんですけれども、その対象とするものが早急に対応するべき課題からは離れて、かなり広義の利用一般に関するネットビジネスの振興施策といった趣の議論に変容しております。権利者の権利を制限すれば、コンテンツを利用したり、利用させることでビジネスを行う者にとってのリスクが軽減される結果、そうしたビジネスの振興につながることは自明でございますが、その前に権利者への影響や権利者とのバランスの観点からも、議論されるべきであると思われるんですけれども、これまでの議事録を一生懸命拝見したんですが、不思議なほど、そうした議論を見ることはできませんでした。
 そういう観点から、この際「早急に対応するべき課題」にいったん立ち戻って、それらに関する個別の権利制限規定の導入について検討を行っていただいた上で、一般規定の導入については、できれば権利者も加えていただいた形でさらなる慎重な検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○中山会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
 では、私から一つよろしいですか。アメリカで、御存じのとおりフェアユースの規定があるわけですけれども、それによってそのように権利者に著しい損害というのは見受けられるのでしょうか。

○椎名参考人 フェアユースが逆に経済効果を生んでいるとかというお話も伺っているんですが、現状の日本において、個別列挙している状況の中で、この中で、今の状況の中でフェアユース規定を導入した場合に、我々が申し上げたような懸念があるということを申し上げています。アメリカの状況はわかりません。

○中山会長 アメリカのほうが日本よりも裁判官の法創造の機能は高いと思うんですけれども、しかもアメリカも個別規定をいっぱい持っています。したがって、アメリカはある程度日本の先例になると思いますが、仮にフェアユースをつくっても、アメリカほど裁判官が自由にやってくれるという保証もない。つまり、アメリカより低いレベルでの法創造になると思うんですけれども、それでもやはりそんな懸念が大きいですか。

○椎名参考人 アメリカは裁判社会というふうなことが言われておりまして、何事も裁判で解決するというふうな習慣が根づいているというふうにうかがっていますが、日本のコンテンツビジネスサイドの感覚から言うと、例えば非常に細かな事例を一つ一つ裁判で解決していかなければならないということは、まず裁判所に持ち込んだときに、こんなの費用対効果でやらないほうがいいですよと逆に言われてしまったりするような土壌もあるようで、それはアメリカと日本の裁判風土の違いということもあるいはあるんではないでしょうか。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 どうぞ。

○北山委員 椎名さんが心配されているような面がないわけではないというふうに私は初めから思っているんですが、確かにこの会は、当初からフェアユース規定ありきということで何か議論が出発しちゃったように思うんですけれども、しかしその議論の中で、私が言っていたんですが、私はフェアユース規定自体は導入してもよいという結論なんですけれども、その導入については制限つきだと。つまり、これからも発生するいろいろな事態に対しては、できるだけそれに対しては、個別的な権利制限規定をどんどん新しくつくっていって、そういう新しい規定をつくることについての努力は怠るべきではないということが第1点ですね。
 それから、第2点は、フェアユース規定を設けた場合には、よくこの議論の中でも比較される民法の離婚の原因規定について、「配偶者に不貞な行為があったとき」等の個別具体的な規定があっても、実際は「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」という一般規定での審理に裁判が流れちゃって、非常に不都合な面が発生すると。したがって、フェアユース規定を設けた場合も、それと同じような事態になって、個別具体的な権利制限規定があっても審理がフェアユース規定、どんな事案でもすぐフェアユース規定に飛びついて、それを中心とした審理に流れちゃって、非常に審理が冗漫になっちゃう可能性が十分にあると。そういう事態の発生は避けるべきであるという意見にも十分に留意しながら、その上で、そうは言っても、新しい技術等が発生した場合には、それに立法が間に合わない期間対応するためにはフェアユース規定があれば有益であろうと、そういうように私は制限的な考え方なんですけれども、そういう考え方でも、権利者と利用者との間の調和ということは図られないでしょうかね。

○椎名参考人 フェアユースありきとおっしゃったところが、我々もやはりそこにひっかかっている面がありまして、レジュメ等を拝見しますと、早急に解決すべき課題というふうに入っていきながら、話がいきなりシフトしていってしまった経緯の中で、権利者が発言するチャンスもなく推移してきてしまったということについては、その流れに一言やはり申し上げたいということがあります。早急に解決すべき課題であるからには、早急に解決すべきだと思うんですね。やはり一般規定の導入ということは、広く利害関係者も含めて話をいろいろした上で、お決めいただくのがよろしいと思っています。一般規定そのものは法律の選択の仕方としてはあるんだと思っておりますが、やはり、おっしゃるとおり決め方になると思うんですね。その中に、やはりできれば権利者も参加させていただきながらお話をしていきたいなというふうに思っています。
 2回ですか、3回ですか、それくらいの検討の中でフェアユース規定ありきで話が進んでしまうのは、我々にとっては不本意だということでございます。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 もう一つ、3ページの下のほうに、「フェアユースを標榜した場合、司法の判断によってしか解決できない」とありますけれども、フェアユースを主張しようが、しまいが、トラブルが起きたら司法でしか解決できないので、フェアユースができたらこういう懸念があるというのは、ちょっとおかしいと思うんですけれども。

○椎名参考人 個別規定に該当せずに違法と判断される場合には、迅速に警察等が動くようなことになるのに対して、利用者がフェアユースを主張した場合は、結局は裁判による解決になってしまうようなことと理解しているんですが、それは違いますか。

○中山会長 では、それは現場に詳しい上山先生、どうぞ。

○上山委員 その認識は違うと思います。フェアユースがあろうとなかろうと、事前交渉で譲歩により解決策を合意できる場合以外は、現状であっても、司法の場で解決するしかありません。だからこそ、現状でもたくさん訴訟が起きているわけですね。

○椎名参考人 だから、恐らくは裁判に行くケースが多くなるんではないですかね。

○中山会長 そんなに裁判となる事件がありますか。

○椎名参考人 それはわからないですけれども。

○中山会長 どうぞ、北山委員。

○北山委員 フェアユース規定をもし設けた場合に、権利者側で心配されているのは、例えば今まで黒だったのが白になっちゃうというような、ざっくばらんに言えば、そういうことを心配されているんじゃないかというように推測するんですけれども、そういうことは、仮にフェアユース規定を設けたとしても、発生しないと思う訳です。今の設けない状態でも、白は白、黒は黒であって、裁判所は、権利者を保護すべき事案では権利者を保護する、利用者を保護すべき事案では利用者を保護する、それは総合的な利益考慮を働かせてそれをやってるわけで、その根本には社会良識というものがあると思うんですけれども、それに十分のっとった上で、個々の事件について、裁判所は判断を下してきているというように思いますので、その点は余り心配していただかなくても大丈夫ではないか、日本の裁判所を信頼していただいて大丈夫なのではないかというふうに思います。

○椎名参考人 議事録を拝見すると、一般規定の定め方として、攻撃的なのか、防御的なのか、というような選択についていろいろ述べられていたように思いますが、いずれにせよ我々の理解としては、個別権利制限の列挙というのは、個別の権利制限を定めるときに、一定のコストをかけて法律をつくるわけですよね。それが、フェアユース規定の導入によって裁判の場にその重心が移るということは、当然ながら裁判のコストが、利用者、権利者にかかってくるということで、現状、権利者が抱えているいろいろな違法対策の問題に加えて、こういったコストが権利者に乗ってくるんだろうなという理解のもとで、やはり混乱が起きるのではないかという懸念を持っているわけです。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、上野委員。

○上野委員 日本版フェアユースをめぐりましては、確かにいろいろな報道がなされておりまして、これを見る限り、利用者と権利者の両面から誤解のようなものがあるように思われます。つまり一方では、このフェアユースの規定ができると、新たに様々なビジネスが可能になるといったような見方が見受けられますし、他方で、権利者サイドにおきましては、フェアユースの規定ができたら非常に大きな権利制限になってしまうのではないかといった懸念があるようであります。その意味では、今後検討を進めていく際には、実際にどういう規定にするのかということにつきましてあらかじめ慎重に検討しておくことが必要だと思いますし、またそういったことについて誤解があるようなら誤解を招かないようにする努力が必要だろうと思います。
 ただ、これは結局のところ、どのような一般条項をつくるか、そしてこれをどのように適用するかという問題に尽きるのではないかという気もしております。
 この点、椎名参考人からは、この専門調査会におけるこれまでの議論においては、この問題について権利者とのバランスの観点から議論するということが、不思議なほどなされてこなかったという御指摘がございました。ただ、むしろ著作物等の保護と利用のバランスを図るためにこそ一般条項を設けるという認識だったのではないかと思います。
 これは私個人の考えかもしれませんけれども、従来、著作権法上の権利制限規定は極めて厳格に解釈されてまいりました。これは起草者もそうですし、従来の通説もそうですよね。そこで、保護と利用のバランスを図るためにこそ一般条項が必要なのではないかということが議論されてきたのではないかと思います。もちろん、このような考え方に対しましてはご異論もあり得るところだろうとは思いますけれども、そもそもバランスの観点から議論されてこなかったという御指摘は当たらないのではないかというふうに私は思います。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、上山委員。

○上山委員 権利者と利用者とのバランスという観点で言うと、我が国の特徴はやはりカラオケ法理だと思うんですね。その点で、フェアユースを導入して、より妥当な方向にバランス調整を図るべきではないかといった問題意識も、この場で活発に議論されたことだと思います。

○中山会長 バランスの問題は当然の前提で、バランスを欠いてもいいというのは、恐らくこの場ではそういう考え方は全くないと思います。どこでバランスをとるかという議論はあるけれども、バランスを無視しているという議論はないと思いますが。

○椎名参考人 実際にコンテンツビジネス、コンテンツサイドでやっている者の実感としてこれらの懸念がある、ということが、少なくともこれまでの議事録には出てきませんので、そういう意味でお話し申し上げる必要があったと思いますし、一般規定をどういうふうにつくるかというところ以前の問題として、やはり早急に解決すべき課題というのを拝見しますに、もちろん個別にはいろいろあるんでしょうけれども、少なくとも権利者が反対する内容ではないよな、というふうなところがあって、そこから一足飛びに、先ほども出ていましたフェアユースありきというふうな話になっていったところに、若干違和感があります。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 よろしいでしょうか。
 では、ここで権利制限一般規定に関するヒアリングは終了いたします。
 ありがとうございました。

○椎名参考人 ありがとうございました。

○中山会長 続きまして、ネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化に関するヒアリングを行います。
 違法対策につきましては、前回、ご議論をちょうだいしたところでございますけれども、新たな規制の必要性等についても、論点として示されていることから、前回の資料で示された論点について、関係する業界及び権利者の方々からのお考え方を伺いたいと思います。
 まずは、技術的な制限手段の回避行為に対する規制の在り方について、電子機器を製造する立場を代表いたしまして、社団法人電子情報技術産業協会から御意見を伺います。
 本日は、同団体から、著作権専門委員会委員長の亀井様をお呼びしております。なお、亀井様は富士通株式会社知的財産権本部本部長代理でもいらっしゃいます。
 それでは、亀井様、よろしくお願いいたします。

○亀井参考人 JEITAから参りました亀井でございます。
 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。では、座ってさせていただきます。
 お手元、資料1−2に、JEITAとしてのコンテンツの技術的な制限手段の回避に対する規制の在り方について、意見をまとめさせていただいております。
 こちらの専門調査会でご議論されております技術的な制限手段という概念は、これは私どもの意見書も同じでございますが、著作権法に言う技術的保護手段、それから不競法に言う技術的制限手段でございまして、微妙に違いがございますが、それらを総称するものとして、ここでは述べております。
 まず、1でございますが、基本的な考え方をまとめております。
 前回、配布、公表されております資料1、本日参考資料として配布をされておりますが、その論点の個別的な意見に先立ちまして、まず基本的な考え方を述べさせていただきます。
 デジタル化・ネットワーク化が進展する中で、著作物を含むコンテンツを、意図せざる利用等から技術的に保護することが、コンテンツのクリエイター及び提供事業者等、関係の協会にとっては非常に重要であるということは、論をまたないというところでございます。いわゆるWIPO著作権条約において、技術的保護手段の回避規制にかかる義務、あるいは著作権管理情報の改ざん等の規制にかかる義務、規定されたことというのは、重要性を裏打ちするものと解しております。
 しかしながら、技術的な制限手段の回避を法的に規制するに際しましては、その規制がもたらす様々な影響にも目を向けて、具体的制度設計は言うに及ばず、そもそも規制の導入の是非から慎重に検討することが不可欠であるというふうに考えております。
 この点につきましては、平成11年に両法が改正されておりますが、とりわけ不正競争防止法の改正に際して、産業構造審議会の報告書で示されております問題解決のための市場ルールづくりには、かえってコンテンツ提供業者の利益や利用者の利便性を損なったり、情報技術の進展を阻害したりすることのないように配慮するとされている。その結果、必要最小限の規制内容にとどめるとした考え方を示されておりますけれども、引き続きこの点は、今日においても妥当しているというふうに考えてございます。
 情報通信技術が進展・普及する中で、様々な情報機器を通じて国民が情報を取得・獲得する機会を確保することの重要性・必要性も高まっております。技術的な制限手段、とりわけアクセス・コントロールというものを回避規制するということが、情報へのアクセスを技術的にコントロールする行為を法が奨励することになると。そのことの妥当性をよく検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
 このような認識と前回の法改正時に示された基本的な考え方を前提といたしますと、コンテンツの技術的な制限手段の回避に対する規制の在り方をそもそも今の時点で検討することが必要かどうかについては、現在生じているとされる被害に対する現行制度の優位性を見きわめた上で、十分慎重に判断することが必要であると考えております。
 次に、前回資料1、1−3において、技術的な制限手段への回避にかかる問題について「現状等」というところでまとめられておりますので、それについてコメントをさせていただきたいと思います。
 資料に示されております例を拝見いたしますと、まずその1は、現行の法制度下で継続中の民事訴訟の実例が挙げられておりまして、最終的な判断が待たれるということで、現行の不競法の規律が実効的でないという判断がいまだなされたわけではないというふうに考えます。
 それから、2点目の例につきましては、現行の法制度による対応が相当程度可能であるというふうに考えられるものでありますし、最後の一つにつきましては、サービスの方向性を述べてあるということで、現状何らかの被害が生じているというものではないというものでございます。したがいまして、現行法制度以上の規制が必要であるかという評価には、これらの例をもってはなかなかふさわしくないんではないかというふうに考えられます。
 現行法制度で対応が不十分であるという確定的な評価が今出ていないというにもかかわらず、あるいはそのように評価するために必要な被害実態というものが取り上げられていない中で、規制を強化すべきではないかという方向性を提起するということが、適切ではないんではないかというふうに思われます。
 3番目、立法検討の際に留意していただきたい点としてまとめてございます。これは、既に前回の議事録を拝見いたしますと、こちらの専門調査会におかれまして、委員の皆様から指摘されているところでございますけれども、重ねて申し上げておきたいと思います。
 アクセス・コントロールの回避を規制することが、情報へのアクセスを技術的にコントロールする行為を法が奨励するということの妥当性、いわゆる「知る権利」の確保との関係については、とりわけ慎重に検討がなされるべきだというふうに考えております。また、事業者間の公正な競争の確立を目的とする不競法において、回避行為自体を規制の対象とすることの当否、あるいは著作物へのアクセスを排他的権利とはしていない著作権法において、アクセス・コントロールの回避行為を規制の対象とすることの当否など、根本的な課題に留意をしていただくという必要があると思います。
 なおでございますが、仮に不競法においての規制を考えた場合に、さきの当専門調査会で提言されました我が国の科学技術進展を目指した観点から、リバース・エンジニアリングを認めてはどうかというご提言がございました。これは、さきの文化審議会著作権分科会の場でも、中間まとめとして報告をされておりますが、こういったリバース・エンジニアリングにかかる権利制限、あるいは同様に研究開発における権利制限といったもの、あるいは今、直前の話題にございました包括的な権利制限といった著作権法で許容される利用行為というものが、不競法の規制によって事実上できなくなる可能性があるということについても、配慮が必要であると考えております。
 最後に、結論でございますが、以上からいたしますと、技術的な制限手段、とりわけアクセス・コントロールの回避規制に関する新たな立法の必要性の有無につきましては、被害があると主張されている事象に対して、現行制度がどの程度有用かを適切に見きわめる必要があるというふうに考えます。仮に、新たな法的措置を検討する場合であっても、知る権利であるとか、法律により許容されている他の行為への影響というものも考慮して、十分慎重に検討をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。

○中山会長 ありがとうございました。
 引き続きまして、権利者の立場を代表して、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会から御意見をちょうだいしたいと思います。
 本日は、同団体から専務理事かつ事務局長の久保田様にお越しをいただいております。それでは、久保田様、よろしくお願いいたします。

○久保田参考人 ソフトウェア著作権協会の久保田でございます。
 今日は、このような貴重な時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
 それでは、座ってさせていただきます。
 初めに、当協会は生まれ落ちたときから、ソフトウェアというデジタルで、なおかつネットで流通する、そういったコンテンツをつくってきております。協会設立から23年たっておりますが、生まれ落ちたときから、違法コピー、違法流通との戦いをしている団体であります。
 「はじめに」についてお話をさせていただきます。
 当協会は、会員企業の多くはコンテンツを創作し販売することで、ビジネスを展開しております。そのうち、ゲーム産業の場合、ゲームソフトの販売方法として、丸1ディスク、メモリーカード等の記録媒体にコンテンツを複製しパッケージソフトとして流通させる。丸2オンライン販売・配信等ネットワークを介してコンテンツを流通させる、この2つに大別されるわけです。上記丸2はもとより、丸1のパッケージ系の流通の場合におきましても、コンテンツの複製はデジタル方式でなされておりまして、そのままでは海賊版作成が容易に行うことができるという状況であります。また、ゲームソフトメーカー及びゲーム機のハードメーカーは、できるだけ複製等を防御・無効化する様々な対策を行ってまいりました。ここには書かれていませんが、88や98、16ビット、8ビットのコンピューターの時代には、まさにゲームメーカーがつくっても、つくってもコピーされると。また、コピープロテクションをかけても、かけても解除されてしまうと、こういう戦いをしてまいりました。
 これにつきましては、著作権法で手当てができたことから、いわゆるコピーツールというものが販売されなくなったのも現実、事実であります。
 そのうち、技術的対策としまして、正規パッケージの記録媒体からのみゲームソフトが起動するよう、記録媒体及びゲーム機器にアクセス・コントロール技術、技術的制限手段を実装しております。これは、パソコンのようにどこでもコピーできてしまうというような状況から、先ほど88、98のお話をしましたけれども、任天堂さんのような、いわゆるプラットフォームをつくって、その上でソフトウェアを稼働するようにすれば、ハードウェア機器とソフトウェア機器との相性の中で、かなり防御ができるのではないかということがありまして、ゲーム業界自身は非常に著作権との関係があるんですが、パソコン系のソフトウェアをつくることをやめました。その結果、任天堂を中心とするプラットフォームを固定させておいて、その上でパッケージが稼働する。このことによって、違法コピーから自分たちのコンテンツを守ろうと、こういう動きになったわけです。その結果、残念ながら今、パソコン系のソフトウェアでパッケージで出ているというのは、いわゆる美少女ソフト系のソフトであったりするものが多いということになります。
 続きまして、一方、この技術的制限手段を回避する「マジコン」や「Modチップ」と呼ばれる機器・製品が市場に流通してまいりました。これはまさにアクセス・コントロールをしている技術を解除してしまうような装置なんですけれども、こういうものが出回ったことと、WinnyなどのP2Pファイル共有ネットワークが伸長したことによりまして、いつでも、どこでも、いわゆるコンテンツの違法にアップロードされたデータがダウンロードできる。そして、そのダウンロードしたものについて、何らかの機能をかぶせて、こういうプラットフォーム系でも稼働してしまうような、そういった回避技術が出てきたわけです。結果、ユーザーは常にネットから違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードし、ここにつきましては、私的使用目的の複製という概念がありますから、そのダウンロードについては、合法というのが一般的な回答だと思いますが、それをユーザーが行い、そしてこの「マジコン」といったツールを使って自由に遊ぶというのが現状です。
 ここには書かれていませんが、1カ月前に協会が取材を受けた読売テレビの報道によりますと、大阪では小学校1年生の子供たちが、この任天堂のソフトを遊ぶためにほとんどマジコンを使っているというようなテレビ報道もされているところであります。
 続きまして、技術的制限手段の回避による被害の実態例ということであります。
 まず、インターネット上での任天堂のDSソフトの違法流通の実態について御説明したいと思います。
 NDSソフトのデータは、海外のサイトに、著作権者の許諾なく大量にアップロードされております。任天堂株式会社の調査によりますと、このような違法アップロードが確認されたサイトの例は、以下のとおりで、このうちサイト上にダウンロード表示がある7サイトを見ただけでも、2007年末時点で、累計1億回以上のダウンロードが行われていることが確認されております。
 また、当協会は、2008年8月10日の23時から、翌11日の22時59分までの24時間におきまして、Winnyネットワークに対応した調査ツールを使用しまして、同ネットワークにおいて、違法に流通しているNDSソフトの情報を取得し、分析しました。その結果が以下となっております。
 まず、NDSソフトと思われるファイル数及びNDSソフトの本数ですが、27万5,979ファイルというデータが出ております。Winnyで違法に流通するNDSソフトの中には、ファイル圧縮技術等を利用して、1ファイルの中に50種類以上のNDSソフトを詰め合わせているものが存在するため、これは何が言いたいかというと、1ファイルで1著作物だという意味ではないということです。詰め合わせられていると思われるNDSソフトの本数を算出しましたところ、違法に流通していると思われるNDSソフトは185万7,988本でした。詰め合わせも含めますと、現在、国内で販売されているNDSソフトのすべてのタイトルがダウンロード可能な状態になっているということが確認されました。これは、いつでも、どこでもユーザーがこのNDSソフトが違法にアップロードされたものをダウンロードすることが自由にできるという状況だということです。それもすべてということです。
 我々が調べたところによりますと、2,500本のタイトル数が上がっていまして、現状、日本語対応になっているNDSソフトが1,000本、残りの1,500本は、ハングルであったり、英語でつくられている任天堂のソフトなんですけれども、こういうものもすべてアップロードされているという状況です。
 その結果、被害額の相当額なんですけれども、59億4,556万1,600円と。これは、任天堂さんに確認しまして、平均小売価格が3,200円だということで計算をしております。この額は、2007年の日本国内のNDSソフト出荷額1,314億5,900万円の約4.5%に当たります。もちろん、これが常に365日を掛けると1年間の被害額になるわけではなく、ネット上につながっている端末、コンピューターと言っていいんでしょうか、ノードと我々は呼んでおりますけれども、それは端末がぶら下がっているところから、いつでも、どこでもそれだけの数がダウンロードできる状況にあったという数字ですので、1年分掛けたからといって、1年間の被害が出るわけではありません。
 続きまして、マジコンのほうの流通についてお話をさせていただきます。
 マジコン、これはマジックコンピューターの略称だそうですが、ゲームソフト等に施した技術的制限手段を回避する機能を持ち、複製したゲームソフトの使用を可能にするツールとして、90年代から市場に出現しました。ゲームソフトのデータを複製したメモリーカードを挿入、またはデータを内部メモリーに複製したマジコンを、携帯用ゲーム機器に接続することで、ゲーム機器、ゲームソフトに施したアクセス・コントロールを回避します。
 これは、今、資料のほうは回っていますか。そんな簡単なものなんですけれども、実際、それを解析するために、非常にお金がかかるというふうに言われております。現在、このマジコンは、ゲーム専門店等の店舗で販売されているほか、インターネットオークションにも数多く出品されておりまして、だれでも容易に入手することが可能となっております。
 2008年10月9日にインターネットオークションの最大手である「Yahoo!オークション」にて「マジコン」をキーワード検索しましたところ、3,483点の出品が確認されております。
 また、情報のほうなんですけれども、マジコンの使用方法を詳細に解説するインターネット上のウェブサイトがあり、またコンビニエンスストア等で入手できる雑誌等においても、マジコンの紹介のみならず、ゲームソフトのデータをどのようにダウンロードするか、ウェブサイト等もあわせて紹介されている実態があります。
 本屋に行きますと、いろいろとそういった技術的な指南をするような雑誌や本がたくさん出ておりまして、そこには必ず掲載されておるという状況です。
 3番目としまして、現行法における対策例です。
 マジコン及びNDSソフトのデータの違法流通による被害に対しまして、権利者である任天堂株式会社及び当協会加盟のゲームソフトメーカーは、現在、以下の対策を行っております。
 まず、著作権法に基づく対策。NDSソフトの著作権者として、違法アップロードサイトの運営者及びデータが蔵置されたISP等に対して、アップロード行為の差止要請を行っておりますが、特に、海外サイトにおいては、運営者が意図的に対応しない事例や、ISPによってデータが削除された場合においても、直後に運営者によって別のISPのサーバにデータが蔵置し直され、イタチごっこになる例が頻発しております。協会自身は、今の著作権法で違法にアップロードするアップロード行為について著作権の規制がありますから、まずは徹底的に違法アップロードについて対応しようということで活動してきております。
 続きまして、P2Pファイル共有ネットワークへの違法アップロードに対しましては、2003年に刑事告訴を行い、任天堂株式会社の携帯用ゲーム機器、ゲームボーイアドバンス用ゲームソフトのデータを違法にアップロードした者が逮捕・起訴され、有罪判決を受けた事例があります。
 しかしながら、P2Pファイル共有ネットワークにおける違法アップロードの行為者の解明に当たりましては、行為者の身元の特定の困難さ、これはP2Pファイル共有ネットワークによっては、利用者の匿名性を確保する技術が採用されていることや、民間による調査では、利用者について、アクセスプロバイダが付与したIPアドレスを得ることが身元特定の限界でありまして、さらに個人を特定する情報を得るためには、その都度、ISP等に対して、発信者情報開示請求を行う必要があり、著作権者にかかる労力や時間的・経済的負担が過重なことがございまして、P2Pファイル共有ネットワークによっては、ファイルの分散、アップロードやほかの利用者を介した送受信等、アップロード行為そのものの秘匿性も高める機能が実装されているものも少なくないため、有効な違法アップロード抑止策が見出せないのが実情であります。その結果、違法アップロード行為が蔓延しているというのが実態です。
 なお、現行の著作権法では、無許諾で他人の著作物をアップロードした者のみが違法行為者であることから、P2Pファイル共有ネットワーク利用者の圧倒的多数を占める「単にダウンロードする者」に対しては、何ら法的な責任を追及することができません。
 続きまして、不正競争防止法に基づく対策です。任天堂株式会社及びソフトウェアメーカー54社は、NDS用のマジコンを輸入・販売している複数の業者に対し、これは不正競争防止法では、流通しか抑えられないということがございますけれども、複数の業者に対しまして、不正競争防止法違反に基づき、輸入・販売行為の差止訴訟を2008年の7月に提起しております。現在、訴訟中であります。
 訴訟提起につきまして、任天堂株式会社のニュースリリースは、「インターネット上の違法アップロードサイト等から入手した本来ニンテンドーDS上では起動しないはずのゲーム・プログラムの複製物が、起動可能となるため、当該機器の輸入・販売等の行為により、当初およびソフトメーカー各社は極めて大きな損害を被っており、到底見過ごすことのできない」被害を受けていることを指摘しております。
 最後に、まとめに入らせていただきます。「マジコン」等の技術的制限手段を回避する装置について、不正競争防止法違反を根拠に対策を行う場合、同法2条1項10号が、技術的制限手段の効果を妨げる機能「のみ」を有する装置・プログラムを規制の対象として規定している点が、大きな争点となっております。つまり、アクセス・コントロールの回避以外の機能も有する「マジコン」が流通した場合には、不正競争防止法を根拠とした対策が困難になるという可能性があります。
 そこで、不正競争防止法の「のみ」要件につきましては、現在、提起されている訴訟の結果をかんがみつつ、現状の「マジコン」等の機器類の機能面のみならず、このような機器類の主たる利用目的が何であるかという点が、このような機器類の流通によってじゃっ起されている違法アップロード行為の規模などの実態面も十分に勘案されて見直しをしていただくことを希望しております。
 また、現在の不正競争防止法では、技術的制限手段の回避手段の提供については、刑事罰が規定されておりません。損害賠償・差止請求によって、被害を事後的に回復することのみならず、提供行為の予防・抑止のためにも、刑事罰の付加についてあわせてご検討いただけるよう、希望しております。
 なお、説明しましたとおり、「マジコン」の流通によって生じるゲームソフトメーカーの「被害」の本質は、ゲームソフトの販売機会を逸することであります。そのため、不正競争防止法による規制を強化するだけではなく、例えば違法にアップロードされたデータ等のプログラムの著作物について、違法であると認識しつつダウンロードする行為を、著作権法30条の権利制限規定から除外することも当協会では喫緊の課題としているところであります。
 また、不正競争防止法で規定されている「技術的制限手段」の見直しに当たっては、現在、著作権法で規定されている「技術的保護手段」との関係を念頭に置いた検討がなされていく必要があるとも理解しております。
 当協会としましては、著作権法ほかの知的財産制度との関連・バランスをかんがみつつも、実効性ある侵害対策当を担保し、著作権者等の権利の的確な保護を実現するためのさらなる法制度の見直しを強く希望する次第です。
 以上であります。

○中山会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
 どうぞ、中村委員。

○中村委員 まず、JEITAの亀井さんに。私、状況をよくわかってないものですからお伺いしたいんですけれども、コンテンツを保護するという目的のための手段として、法的な措置というのは、一手段でしかないと私は思っているんですが、制限回避することに対する法的な規制について懸念を表明しておられるんですけれども、だとすれば、どのようにすればいいかということをお聞きしたいんです。この問題を解決しようとするアプローチとしては、ほかにどのようなものがあって、JEITAさんではどのような取組をなさっておられるのかということがもしあればお聞かせください。

○亀井参考人 このような問題というふうに御質問いただいたんですが、それがまず何であるかというところが、分解してみる必要があるのではないかと思います。違法流通が問題であるのか、個人が行うダウンロードが問題であるのか、個人が例えば暗号なら暗号を解くところが問題であるのか、それによって法律がどこを抑えるのかということの検討も変わってくると思います。
 それから、実際に、仮に違法複製物が蔓延する、技術的手段が有効に働かないという問題があるということであれば、それはやはり技術が解決するということしか多分ないんだろうと思います。そこで、次のイノベーションというものが生まれるというふうに期待しております。
 お答えになったかどうかわかりませんが。

○中村委員 では、仮に違法流通が問題であるとして、それは技術のイノベーションが解決していくものであると、そういうことでよろしいんですか。

○亀井参考人 違法流通が問題であれば、現状の法制度が、著作権法が、著作物であればかなり有効に機能する。ただし、執行の問題、あるいは海外にサイトがある場合にどうするかという基本的な問題はずっと残ったままでございますけれども、その問題とこの技術的な制限手段の回避に関する規制ということは、関係はかなり遠いんではないかというふうに理解しております。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、上山委員。

○上山委員 久保田様に2点お聞きしたいと思います。
 2ページに、被害額の見積もりで4.5%に相当する違法ダウンロードがあるという記載がありますけれども、違法ダウンロードがなくなった場合にその需要がすべて純正製品の販売に向かうとは考えられないんですが、その点については、一体どの程度の分量をお見積もりになっているのでしょうか。
 それから2点目の質問ですが、3ページの下に、P2Pを使ってダウンロードする場合に権利侵害を問えないということが書かれていますけれども、各ノードにファイルが届いてキャッシュができると公衆送信可能な状態になるので、その点で、著作権侵害を問えるという考え方もあるかと思いますが、その点についてのご認識はいかがでしょうか。

○久保田参考人 まず1つ目は、とても難しい質問でありまして、しかしながら、今日の椎名さんのお話を聞いていたのですが、実態としてつかめばつかむほど、違法な実態でコンテンツが流通しているという状況は、もう皆さんもネットワークをお使いならわかると思うんですね。それがすぐにビジネスになるかどうは別にして、少なくともこの数字以上の被害があるということはご認識いただけると思うんですね。
 特に、今、日本が知的財産立国だとか、コンテンツ立国だとかを標榜しつつも、海外で外貨を稼いでいるのはゲームソフトが中心なわけでありまして、そういうものがこのデータから見ても、2,500上がっているうちの1,000が日本向けで、あと1,500は海外のもので、そういう海外向けにつくったものも違法サイトにアップロードして、自由にダウンロードできているという状況から言うと、本当にきちんと著作権制度を機能すれば、我が国はまさに世界のコンテンツ立国と言うに足りる国になり得るだろうというふうに思います。数字は、ちょっと勘弁していただきたいんですが、最低でもこういう状況だというふうに考えてください。
 2つ目のほうですが、基本的にここに書いたのはP2Pの技術といってもたくさんありまして、WinnyとかShareとかCabosとかいろいろございますが、少なくとも先ほどの先生が御指摘になった技術であればアップロードで問えるだろうと。実際は、ダウンロードで使っている人たちは、もちろん初期設定の段階で知らずにWinnyのネットワークに入ってくるというのは、先生おっしゃったように、アップロードにも荷担しておりますから、抑えられると思いますが、これはまたいろいろ賢いやり方といいますか、技術等が本やネットで普及しますと、ダウンロードだけパーミッションといいますか、その機能だけを使うということになりますと、完全に合法的に使えるようになるのではないかと。ですから、そちらのほうを意図して書きました。
 よろしいでしょうか。

○中山会長 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、上野委員。

○上野委員 それでは、久保田参考人と亀井参考人に一つずつお伺いしたいと思います。まず久保田参考人にお伺いしたいんですが、確かに最近のインターネットにおきましては、違法な流通が蔓延しているのは事実だろうと思います。もちろん、先ほども御指摘がありましたように、資料にある「被害相当額」というものと法的な意味における損害額というものの意味の違いはひとまずおくといたしましても、そういう状況は確かにあろうかと思います。
 ただ、本日の資料4ページ目の「まとめ(要望)」のところに書かれていることを拝見いたしますと、例えば、新たな規制が必要であることの理由といたしまして、今後、「アクセスコントロールの回避以外の機能も有する『マジコン』が流通した場合には」というふうに述べられており、何となく仮定の話として論じられているような気がしなくもありません。もともと、いわゆる「のみ」品をめぐる解釈論からいたしましても、社会通念上、他の用途がなければよいと解されており、ほかに用途があれば直ちに「のみ」品ではなくなるというわけではないと思います。そうすると、仮定の話はともかくとして、現状では、現在の不競法でも足りているということになりはしないでしょうか。
 ただ、これは今、マジコンが係争中であるため、現行法でもいけると言いながら、他方では現行法では足りないと言わなければならないお立場だから、やむを得ずこのような表現になっているのかなというふうにも推察いたします。
 ただ、そうだといたしましても、この最後のページに書いておられるご要望の具体的内容につきまして、刑事罰を設けてほしいというのはわかりますし、あるいは「のみ」要件をある程度緩めてほしい、あるいは削除してほしいということもわかるわけですが、それ以上のご要望の具体的内容についてお伺いできればと思います。つまり、先ほどJEITAからも問題点の指摘がありました回避行為それ自体を規制の対象にすること、特にユーザーを含めて対象にすることについてはいかがでしょうか。資料によりますと、ユーザーによるダウンロードを違法化することも「喫緊の課題」としておられるわけですから、ユーザーがアクセス・コントロールを回避してゲームをプレイする行為も規制の対象にすべきだとお考えになっておられるのかについて、もし具体的なお考えがありましたらお伺いできればと思います。
 それから、今度は亀井参考人に対して、これは質問というか意見なんですけれども、先ほどの資料でいろいろと指摘されている問題点は、私もそのとおりではないかと思います。
 ただ、このように回避行為それ自体の規制を議論する際に、しばしば「知る権利」との関係が指摘されるわけですけれども、ここで言われている「知る権利」というものの根拠であるとか、あるいは内実といったものは必ずしも明らかでないように思われます。特に、マスコミに対してとか、あるいは政府に対してということであれば、「知る権利」というものもイメージしやすいのですけれども、例えば、アクセス・コントロールの回避を伴うゲームのプレイといったものがどれほど「知る権利」として保護されるべきものなのかということにつきましては、今後まだ検討が必要なのではないかと思います。「知る権利」と言えば済む問題ではないのではないかという気がしております。
 以上です。

○中山会長 それでは、久保田さん、お願いします。

○久保田参考人 総論として、協会設立以来、法と電子技術と教育でこのネットワーク社会で安心・安全な情報の流通ということを目指して、その一つとして著作権保護をやってきたわけなんですけれども、先ほど亀井さん言われたように、電子技術の部分というのは非常に重要になっているし、課金と連動するようなことで対応できるものもたくさんあると考えています。
 そういう中では、この技術の中身の問題というのは非常に、我々、法律からアプローチしている人間は苦手なところなんですけれども、そういう中で、のみ要件とか、専ら要件とか、非常に悩ましく、平成11年に議論したときも、結局、私自身は、ガイドラインというんですか、メルクマールというんですか、のみだとこっちに入って、専らだとということについても、結局はよくわからなかったということがありまして、そういう意味では、非常に乱暴な言い方ですが、法は解釈ですから、アプローチをしたときに、比較的だれでもわかるようなレベルで、そういった行為なり、実態というものを把握できる範囲のものをまず抑えていっていかなければと。本当に細かい継続についての部分というのは、わからなくても、きちんとそれで課金と連動していれば、情報が安心に、安全に流通していればいいという状況であれば私はいいと思っています。
 これが、先ほどのところで言うと、具体的にどんなことかということなんですが、非常に漠然としていることと、ちょっと今回、ヒアリングの時間が非常に短く、このあたりというのは、やり始めると、技術論争の部分も出てきますので、もしお時間がいただけるのであれば、我々の会員会社さんの中には、ソニーコンピューターさんやマイクロソフト、そのほかプラットフォームを形成しているところかありますので、もう少し詰めたところで対応したいと思います。
 それからもう一つのほうは何でしたっけ。

○上野委員 回避行為それ自体に対する規制ですね。例えばユーザーがアクセス・コントロールを回避してプレイする行為ですとか。

○久保田参考人 そこにつきましては、現在、著作権審議会のほうにおきましても、我々は私的使用の規制の例外事由の中に、プログラムを入れてほしいというようなことをお願いしておりまして、ここが抑えられていくと、確かに実効性の問題はあると思いますけれども、私的な領域でのユーザーの行う、違法複製物と知ってそのまた複製する行為や、違法サイトと知ってダウンロードするような行為ですけれども、そういったところに対して、規範として直面するような状況になれば、この問題は別にしても、不正競争防止法的なアプローチは別にしても、もう少し対応ができるのかなと。
 もう1点は、先ほども何度も言いましたけれども、当協会としては、今ある違法アップロード、アップロードに対して、できる限り対応して、それでもだめだという状況が今ここ数年で、特にWinnyのネットワークなんかを見ても、幾ら啓発をしても、刑事手続を行っても変わらないということから、仕方なくといいますか、ダウンロードについても、これは我々の保護が及ばないとまずいというふうに考えております。
 よろしいでしょうか。

○上野委員 ダウンロードは複製行為ですから、それを著作権法上違法とすべきと主張されているのはわかるんですけれども、アクセス・コントロールを回避してプレイする行為自体については、特に何もおっしゃっておられないということでしょうかね……。

○久保田参考人 プレイして回避。

○上野委員 わかりました。特にそこまで含意されていないということでしたら結構です。

○中山会長 亀井さん、もし何かありましたら。

○亀井参考人 上野先生がおっしゃるとおりと思っております。ただ、ここでや はり私ども気にしておりますのは、コンテンツというものには、種々様々なものがあって、何でもアクセス・コントロールをかけるという世の中が、本当に到来したとすると、それは非常にやはりいろいろなバランスということが必要になるだろうという点を気にしているところでございます。
 以上でございます。

○中山会長 ほかに何か。
 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 ここで、技術的な制限手段の回避行為に対する規制の在り方に関するヒアリングは終了いたします。
 ご両名にはありがとうございました。
 それでは、引き続きましてプロバイダの責任の在り方についてヒアリングを行います。
 まず、プロバイダ事業者の立場を代表いたしまして、社団法人テレコムサービス協会からの御意見をちょうだいしたいと思います。
 本日は同団体から、サービス倫理委員会の桑子様、サービス倫理副委員長の丸橋様をお招きしております。
 なお、桑子様はAT&Tジャパン株式会社通信渉外部長、丸橋様はニフティ株式会社法務部長でもいらっしゃいます。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○桑子参考人 テレコムサービス協会の桑子でございます。
 これから副委員長の丸橋とともに対応させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、通信業界ということで、本日お招きいただいておりますけれども、私どもテレコムサービス協会は、いわゆる旧第2種の電気通信事業者が約300社集まっている団体でございます。それから、この通信業界はご案内のとおりテレコムサービス協会以外に旧1種の団体である電気通信事業者協会、それから地方のプロバイダを中心とする日本インターネットプロバイダ協会、日本ケーブルテレビ連盟の4団体からなっておりまして、昨今インターネットの急速な拡大に伴いまして、様々な違法・有害に関係する事案等も増えておりまして、基本的にはこの4団体が一緒になりまして、いろいろと検討を進めているという状況でございます。そういった観点で、本日は通信業界全体を踏まえて、簡単に御説明させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 まず、1ページをおめくりいただきますと、プロバイダ責任制限法ということで書いてございますが、これは十分先生方にとりましてはご案内かと思います。この法律に基づきまして、権利侵害の対応を進めているという状況でございまして、2ページ、3ページにありますように、権利侵害情報の削除に対しての対応、それから発信者情報の開示請求に対しての対応ということで進めているところでございます。
 また、4ページにございますように、この法律に関しましては、具体的な対応に関して、いわゆる自主的な取組として、この4ページにございますように、電気通信関係の業界団体だけでなく、著作権関係の業界団体、商標権の業界団体、その他ということで集まりまして、こういった協議会を設けて、これまでに下にありますとおり、著作権のガイドラインとか、名誉棄損・プライバシーのガイドラインや発信者情報開示関係のガイドラインを含めまして取りまとめ、公表させていただいてきているという形でございまして、基本的にはこのガイドラインに基づいて、事業者等において対応いただいているという形をとっております。
 5ページがこのガイドラインについて簡単にお示ししたものでございまして、例えば著作権関係のガイドラインにつきましては、プロバイダ責任制限法が施行されました平成14年5月の時点で、ここにありますように主に権利者からのプロバイダ等への削除の要請に対しての手順とか様式等をガイドラインとして取りまとめ、そして信頼性確認団体という考え方をこのガイドラインのスキームの中に盛り込んで対応してきているという形でございます。
 例えば、JASRACにおかれましては、平成20年8月末までに32万5,000件の削除の要請があり、そのほとんどが削除等の措置が行われているところでございます。
 現在、このプロバイダ責任制限法のガイドラインにおきましては、6ページにございますように、先ほども触れたとおり著作権関係についての信頼性確認団体という考え方、このスキームをガイドラインの中に盛り込んで、例えばJASRACが確かに権利侵害があるとして判断したものにつきましては、プロバイダ等において速やかに削除等の手続を進めるというスキームの中で対応しているという形でございまして、現在までに信頼性確認団体としては、この6ページにあるような状況になっているというところでございます。
 それから、7ページですが、これは実際の対応の1つの例でございまして、JASRACのケース、先ほどの32万5,000というものを取りまとめたものでございまして、これまでに国内のプロバイダ298社に対して通知し、そして290社が対応して未対応が8社という形になっている。また、サイト数についてはその右にあるような状況になっているという形でございます。
 それから、特に例えばJASRACのケースで言いますと、下のほうにございますように、現在は音楽データ等とともに、歌詞というものがかなり権利侵害の実態として出てきているという状況でございます。そして、こうした状況につきましては、著作権の場合につきましては、そのガイドライン等検討協議会の中にあります著作権関係ワーキンググループを3カ月に一回ほど定期的に開催しておりまして、関係者が一堂に会して運用状況、そして問題点についての意見交換を定期的に現在行っているという形で対応させていただいているところでございます。
 以上、現在のプロバイダ責任制限法の著作権を中心にする運用実態について簡単に触れさせていただきましたが、最後に8ページから9ページにかけまして、今回のISPの責任の在り方に関して、報告書等にあります内容に関しての意見を業界の立場で述べさせていただきたいと考えております。
 まず、8ページでございます。2001年にプロバイダ責任制限法をいろいろ検討する際、総務省、文化庁、それぞれにおいてノーティスアンドテイクダウンの導入も含めて検討を進めてきたところでございますが、ISPの責任の在り方についての議論が行われたわけですが、最終的には裁判制度の違い等にかんがみ、ノーティスアンドテイクダウンの導入は適当ではないとの結論に至り、現在のプロバイダ責任制限法が立案された、施行されたというふうに考えております。
 また、損害賠償責任の範囲を見直すべきとの主張については、何らかの取り決めをしている場合など、一定の要件を満たすものを免責するという議論はあり得ると考えておりますが、現行法に問題があるという話ではなくて、現在業界を中心に取組んでおります自主的取組をさらに促進する方法はないかという視点での議論だと理解しております。また、法的な課題、免責要件や効果の規定の仕方など、見直しに当たって検討すべき課題は多いと認識しております。
 また、法の対象が明確であるべきというのは、私ども業界としてもそのとおりだというふうに考えております。ただ、現在米国においてもバイアコムとかユーチューブ等がDMCAの対象となるか否かについて訴訟していると聞いておりますが、いずれにしろどのような法をつくったとしても、ある程度は法の線引きの問題は残ってしまうものというふうに考えております。ISP団体としては、特段現行のプロバイダ責任制限法の条文が問題であるというふうに考えているわけではございません。
 最後、9ページでございます。技術的な対策手段をとるべきとの主張でございますが、この点に関しましては、法律で具体的な義務を規定し、幅広くISPにそのような義務を課すことは難しいと考えております。
 冒頭、プロバイダの業界団体4団体という話をさせていただきましたが、4団体に加盟している事業者は比較的中小を含めまして、大手の事業者が中心でございます。ご案内のとおり、電気通信事業者の登録数は1万社を超えているわけで、なかなかその辺の実態は把握できていないというのが現状でございます。
 また、実際にこうした権利侵害にかかわっている事業者はプロバイダだけではなくて、サイトの管理者等、多数現実にはいるわけでございます。そうした意味において、広く義務を課すということは非常に難しいのではないかというふうに考えております。技術について、またこの業界については、ご案内のとおり非常に変化が激しい、そして進歩が激しいところでございます。
 それから、著作権についてのみ法律上、特別な扱いをすることが望ましいかどうかという点についても議論の余地があるものと考えております。
 立法後はプロバイダ責任制限法に基づきまして、先ほどご紹介したとおり、各種のガイドラインが作成されているところでございまして、定期的にISPと権利者団体で話し合いの場を持っておりまして、様々な情報交換を行っている状況でございます。ある意味では、この問題に関しては現在各種ガイドラインに基づいた運用、自主的な取組が行われているわけですが、今後もこの自主的な取組をさらに促進するということが望ましいのではないかと考えております。
 これらを踏まえると、プロバイダ責任制限法の改正よりも、むしろ現行の枠組みの延長線上で、各事業者の自主的取組を広げていくことを検討していくことが現実的であると考えております。したがいまして、ISP事業者団体としては、制度改正を望むものではなくて、現行の制度で十分責任の明確化は達成できている。そして、今後ともさらにその取組を進めていくことが望ましいと考えているというところでございます。
 私のほうからの説明は以上でございます。

○中山会長 丸橋様はよろしいですね。
 ありがとうございました。
 続きまして、権利者の立場から、社団法人日本レコード協会から御意見をちょうだいしたいと思います。
 本日は同団体から事務局長の高杉様、情報技術部部長の畑様にお越しいただいております。
 では、よろしくお願いいたします。

○高杉参考人 日本レコード協会の高杉と申します。隣が畑でございます。
 今日は意見表明の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、座らせていただきまして、資料に沿って御説明をさせていただきます。
 まず、1枚めくっていただきまして、1ページを御覧いただきたいと思います。こちらが当協会が行いました違法な音楽配信の利用実態の調査をまとめたものでございます。真ん中に違法音楽ファイルの推定ダウンロード数をまとめております。
 まず、ピンク色の部分ですけれども、ファイル交換ソフトを利用した違法な音楽ファイルの推定ダウンロード数として、これは昨年の調査でございますが、6,300万曲と推定をしております。この調査は6年前から私どもとコンピュータソフトウェア著作権協会さんが中心になって行っておりまして、今年も7回目を実施する予定でございます。
 これに対応する正規の有料音楽配信の市場でございますけれども、昨年で3,500万曲、パソコン向けの有料音楽配信がそういう実績でございます。
 隣が携帯電話向けの違法サイトからの推定のダウンロード数でございまして、こちらにございますとおり3億9,900万曲、約4億に達しようとしております。今着うた、あるいは着うたフルと言っております、有料の携帯電話向け音楽配信は非常に伸びておるわけでございますけれども、それでもまだ正規の配信の規模を超える違法なサイトの実態があると私どもは認識しております。
 それから、下のほうの囲みでございますけれども、これは携帯電話により違法な音楽配信を利用するユーザーの実態調査を昨年の11月に行っております。こちらに書いてありますとおり、10代の利用が極めて高いという実態がございますのと、利用するユーザーの罪悪感が非常に薄いということが結果として出ております。
 このように、違法な音楽配信の実態が非常に深刻であると私どもは認識しておりまして、これに対して私どもは様々な対策を今とっておるところでございます。
 具体的には2ページを御覧いただきたいと思います。
 私どもの主な取組をまとめたものでございますけれども、左側に携帯電話向けでございますけれども、エンフォースメントをまとめております。
 まず、違法にアップロードされた音楽ファイルの削除要請ですが、これは2006年から行っており、既に20万ファイル以上実施しております。そして、大量に、あるいは繰り返し行う、違法な音楽ファイルのアップローダーに対しては、告訴等の法的措置をとっております。昨年、岩国で実際逮捕者も出たという状況でございます。
 それから、違法な音楽ファイルの入手方法、これをどのようにユーザーが認知するかといいますと、ネットサーフィン等でそういう情報を知るのが一番多いのでございますけれども、このように雑誌で違法なサイトが紹介されているということがございまして、このような書籍を出すことについて、私どもも当然やめろというふうに言えないわけでございますけれども、今の違法な音楽ファイルの流通の実態を説明しまして、今後の発行等については十分留意していただきたいと、出版社に要請しております。
 そして、その下ですが、技術的な対策としましては、特にこれも携帯電話向けでございますけれども、3キャリアさんのご協力を得まして、違法な音楽ファイル根絶のための取組を今進めておるところでございます。
 そして、このようなエンフォースメントとか技術的対策のほかに、右側にまとめておりますけれども、ユーザーの意識づけといいますか、広報・啓発活動等が私どもは非常に重要と認識しております。今年もアーティストを使った広報・啓発キャンペーンを行っておりますし、正規のレコード音源等の配信サイトを識別するために「エルマーク」の導入を進めております。エルマークについては、レコード関係のサイトへの網羅はほぼ終わったと認識をしておりますけれども、今後映画等の他業界にも導入をお願いしたいと考えております。
 次に、3ページから具体的な本論に入らせていただきます。
 ここに携帯電話向けの違法音楽配信の実態ということで、掲示板サイトを利用した利用の実態をまとめております。
 真ん中にリクエスト用のスレッドとありますけれども、ここにユーザーが何というアーティストの何という曲が欲しいということを載せるわけでございます。これに対しまして、その曲を持っているユーザーがレスポンス用スレッドのほうにファイルを張りつけるという形でやりとりが行われているわけでございます。
 リクエストしたユーザーは、このレスポンス用スレッドにアップロードされた音楽ファイルをダウンロードすることにより欲しい曲を入手することになります。
 このようなプロバイダ責任制限法制定時には存在していなかった掲示板を利用した違法な音楽ファイルの利用が急増していると私どもは認識をしております。
 次の4ページに、具体的にアップロード、ダウンロード等の流れをまとめたものを記載しております。
 左側に投稿するユーザー、あるいはファイルを取得するユーザーの絵がございますが、右側にプロバイダが書いてあります。
 まず、右上の掲示板サーバの運営事業者、これがプロバイダでございます。このプロバイダは掲示板の場所を、掲示板を開設したい人に提供しているわけでございます。この掲示板サーバ運営事業者は主に広告収入によって事業を行っております。その下に掲示板の開設者がおります。この掲示板開設者の運営する掲示板に、先ほど示しました違法な音楽ファイルが張りつけられているということでございます。
 本来であれば、私どもが削除要請する際に、掲示板開設者のほうに削除要請するのが直接的ではありますけれどもアドレス等がわかりません。私どもが削除要請する場合には、掲示板サーバの運営事業者に対して削除要請をし、掲示板サーバ運営事業者が実際の掲示板開設者に対し削除を促す、あるいはそれに応じなければみずから削除をするという流れが一般的でございます。
 最後に、このような違法状態を改善するために、私どもとしては2点、5ページで意見を申し述べたいと考えております。
 1点目でございます。こちらに囲ってありますとおり、一定のプロバイダに対して、侵害行為を防止する技術的措置を合理的な範囲で講じることを義務付け、この義務の履行をプロバイダ責任制限法による免責を受ける要件とすべきである、というのが私どもの意見でございます。
 ご承知のとおり、プロバイダ責任制限法は、プロバイダに対して侵害を防止するための措置の導入を求めておりません。プロバイダは権利者から削除要請があったら、それに従って削除をするのが義務であります。しかし、削除といいますのは、侵害の拡大防止でございまして、侵害の予防といいますか、抑止にはつながりません。削除は、事後的に侵害の拡大を防止する効果を果たすという点で意味がございますけれども、それだけですと、このように膨大な違法な音楽ファイルが入手できる実態は改善されないと私どもは考えております。
 権利者側の削除要請に要する負担も非常に耐えがたいものでございます。海外では、参考資料でつけさせていただいておりますけれども、プロバイダに対して侵害防止措置の導入、あるいは違法行為を繰り返すユーザーのアカウント停止等を義務付ける立法等も見られるところでございます。そうした例も参考にしながら、我が国においてもプロバイダの責任の在り方を再検討する必要があるのではないかと私どもは考えております。
 なお、念のため補足いたしますけれども、このような侵害行為を防止する措置を講じたプロバイダであっても、仮にそのプロバイダが発信者に該当する場合については、その責任を免ずるものではございません。発信者に該当する場合には、当然ながら発信者として当該違法流通について責任を持つ立場にあると私どもは考えております。
 それから、2点目でございます。これは発信者情報の開示請求手続の見直しでございます。権利者が違法な音楽ファイルをアップロードしている者に対して権利行使する場合、実際、損害賠償請求等を私どもも行ってまいりましたが、当該者の住所、氏名を確認するにはプロバイダを通じてしかできないわけでございます。しかし、現行のプロバイダ責任制限法は権利者からその要請があった場合に、発信者にその意向を確認しなければいけないという法制でございます。そして、発信者が開示にノーと言った場合には開示をしないというのが一般的なプロバイダの対応でございます。したがって、私どもは損害賠償請求等の権利行使に当たって、訴訟を起こさなければいけないということでございます。
 通常は、大体三月ぐらいでプロバイダのほうでログ自体が消去されてしまいますので、ログの保存の仮処分と発信者情報開示請求訴訟をするということでございます。私どもも過去2度行っておりますけれども、結局相手方を特定するのに最低半年はかかってしまう。その後に、事後的な救済である損害賠償請求をせざるを得ないというのが現行の発信者情報開示請求手続きの問題点でございまして、私どもとしては、この手続の簡素化を図っていただきたいと考えております。
 このような違法な音楽ファイル、違法な著作権侵害物の流通につきましては、一義的には権利者といいますか、被害者が当然対処すべきことでございまして、私どももそれなりのシステム投資、マンパワーを使って行っておりますけれども、限界がございます。権利侵害によって、コンテンツ産業が大きな影響を受けているとすれば、それは社会的な損失として、権利者と利用者の間に介在するプロバイダに相応の責任を負っていただきたいと考えているものでございます。
 以上でございます。

○中山会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問、あるいは御意見ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、中村委員。

○中村委員 テレサ協の桑子様に、先ほどJEITAの亀井様にお伺いしたのと同じようなことを伺いたいんですけれども、法律の改正よりも各事業者の取組を広げるということをおっしゃっておられるんですが、そうした自主的な取組を促進するための具体的な方策を何か進めておられることがあれば、そしてその有効性についてどのようにお考えかということをお聞かせ願えればと思います。

○桑子参考人 なかなかインターネットの世界はご案内のとおり、非常に関係者が多岐にわたるということで、この辺の対策が難しいのが現状でございますが、例えばファイル共用ソフト、P2Pを悪用した著作権侵害という案件につきましては、警察庁の総合セキュリティ対策会議において私も参加させていただき、昨年1年間議論してきまして、そうした中で著作権者といわゆるプロバイダが実際に自主的な取組を検討する協議会をつくったらどうかという御指摘がございまして、今年の5月12日にファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会という検討の場を設けて、現在P2Pファイル共有ソフト、具体的にはWinnyですが、それを悪用した著作権侵害に対して、プロバイダと権利者側が協力して何ができるかということを技術的な観点を含めて検討しているというような取組も進めております。
 そういった形で、この問題に関しては自主的な取組を引き続き推進していきたいということと、何はともあれ、実際に一番問題なのは、発信者といいますか、実際にそれを使っている利用者でもあるわけでございますから、ネットの問題についてはもう少し権利者、プロバイダだけでなくて、すべての関係者に具体的な取組を進めていく必要があるのではないかということで、今後そのような取組が重要と考えでいるところでございます。

○中山会長 よろしいですか。
 ほかに何かございますか。
 どうぞ、大渕委員。

○大渕委員 ありがとうございます。
 それでは、確認的な色彩の強いお尋ねですが、テレコムサービス協会様にお伺いできればと思うんですが、このお出しになっておられるパワーポイントで言いますと8ページから9ページのあたりにかけてで、8ページの一番最後のあたりにISP団体としては特段現行法の条文が問題であると考えているわけではないと、その真上でどのような法をつくっても、ある程度は法の線引きの問題は残ってしまうものと、これは一般論としてそのとおりだと思うんですが、それで9ページのほうでは、制度改正を望むものではなくて、現行の制度で十分責任の明確化は達成できていると考えているということなんですが、ちょっとここで議論されている点とフェーズが異なることかなという気もするんですが、ISPの責任の明確化というのは、いろいろリクエストがあるところかと思うんですが、ここでおっしゃっているのは、現行の制度で責任の明確化は達成できていると、まさしくここに書いておられるようなご認識だということで理解してよろしいわけですか。

○桑子参考人 先生御指摘のとおり、一般的な議論を8ページでは書かせていただいたという形でございまして、後ろのほうでその明確化をという観点は、この中にもございますけれども、通信の部分は非常にその変化が激しい。そういった意味においては、個々のケースを具体的に明記したとしても、多分陳腐化といいますか、どんどん変わっていくであろう。そういった観点におきましては、自主的な取組を推進するということがそのテンポを考えると適切ではないかというのが私どもとしての考えでございます。

○中山会長 ほかに何かございませんでしょうか。
 どうぞ、上山委員。

○上山委員 高杉さんにお聞きしたいんですけれども、資料の後ろに他国の立法や判例もありますが、これを拝見すると、基本的には違法行為を行っている者として捉えられているのはアップロード・ダウンロードを行う本人であって、プロバイダ自身が責任を負う、侵害の主体であるという立場の例はないように見受けられます。一方で、先ほど、「発信者」に該当する場合には、その責任を免責するという立場はとらないということをおっしゃいましたが、多分それはカラオケ法理のプロバイダ責任制限法3条1項但書の適用を受けないという判例法理を今後とも維持すべきであるというお立場だろうと思うんですけれども、そうしますと外国の法制度とのバランスといいますか、一方では発信者がかなりの場合侵害主体に当たるという我が国の判例法理を前提としつつ、さらに一定の技術的措置を講ずることを義務付けるという形になるかと思うんですけれども、そういう理解でいいのでしょうか。

○高杉参考人 ちょっと法律論は詳しくなりますと、当然私もお答えできませんけれども、一般的にカラオケ法理がいい、悪いというふうに私どもは考えておりませんで、今権利者側として、結果的にプロバイダを発信者として権利主張しなければ責任を問えないので、発信者として訴えているという実情があるわけでございますよね。ですので、カラオケ法理の妥当性等については、それは御専門家の方にご議論していただければよろしいかと思うんですが、一般論としては、一般的には直接的な侵害行為者しか差止請求ができないという解釈になっておるわけでございますから、そういう法制がある以上は規範的に侵害行為者を解釈する一つの法理論としてカラオケ法理が果たしてきた役割はあると認識をしております。

○上山委員 もう1点別の質問ですけれども、冒頭のページに正規のダウンロードよりも違法ダウンロードのほうが圧倒的に多い、倍ぐらいあるという数字が出ていますが、この点についてさっきも別の質問をしましたけれども、違法ダウンロードが排除された場合に、どれほどが正規の購入に向かうとお考えでしょうか。
 この質問の背景は、タダだからやっている、お金を払うんだったら買わないよというユーザーも多いでしょうし、その点に着目して一つのビジネスモデルとして成功したのがiPodだということもよく言われておりますが、違法ダウンロードが今たくさんあるから、それをとりあえずたたくということだけで本当にいいのか、その点についていかがお考えでしょうか。

○高杉参考人 この違法ダウンロードなかりせば、有料音楽配信がどれだけ伸びるのかというところは非常に難しいところでございまして、先生御指摘のとおり、タダだから使っているというユーザーも多数あるわけでございます。ここの部分につきましては、30条1項の改正によりまして、違法サイトからのダウンロードが違法化されれば、相当数はカバーされるであろうと認識をしております。
 現在、有料音楽配信というのは毎年3割近く伸びてはおりますけれども、少なくとも本来であればもっと伸びるはずであるというふうに考えておりますし、違法ダウンロードをとりあえずたたくということだけでいいのか、といわれますけど、有料音楽配信を利用しているユーザーとの公平の観点もございますので、少なくともこういう実態がある限りは、違法な利用者に対しては的確な対応をしなければいけないと考えております。
 ちょっとお答えになっていないかもしれません。

○中山会長 ほかによろしいでしょうか。
 どうぞ、宮川委員。

○宮川委員 私のほうから桑子様に御質問なんですが、日本はISP、あるいは通信事業者の方と権利者の方が話し合いをしながら、あるいはルールをつくりながら進められておられるようで、外国のように大きな裁判が頻発しているというわけではないように見受けられるんですが、皆様のような立派なガイドラインを守るような団体に加盟している方がいらっしゃると思いますが、ガイドラインを守らない、いわゆる協会外の方やルールを守らない方たちの問題点について何か御指摘を受けることはないのかどうかをお伺いしたいと思います。

○桑子参考人 まさにある意味で私どもはISP、プロバイダの業界は今、先生の御指摘のようなものを受けるケースが非常に多いです。一概にISP、プロバイダといっても、こうした業界団体の取組に参加して、ガイドラインをしっかりと守りながら、善良な取組を行っている事業者もおりますけれども、一方でそういったものを全く無視している事業者、それから実際は電気通信事業者以外でいわゆるサイトの管理者、掲示板の管理者等も多数あるわけでございまして、大半の問題はその部分にあるというふうに私は理解しております。ですから、そうした意味において、なかなか私どもプロバイダ、それから権利者側だけの取組では解決できない問題でもあるというふうに考えております。

○宮川委員 ありがとうございました。

○中山会長 以上でよろしいでしょうか。
 ちょっと予定も詰まっておりますので、プロバイダ責任の在り方に関するヒアリングはこれで終了いたします。
 桑子様、丸橋様、高杉様、畑様、ありがとうございました。
 続きまして、先ほどのヒアリング等を踏まえまして、デジタル・ネット時代における知財制度の在り方全般に関する議論を行いたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。

○関事務局次長 それでは、資料2と3、それから参考資料を御覧いただきたいと思います。
 論点としては3つあるわけでございますけれども、前回の会議ではネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化、本日参考資料としてお配りをしてございますけれども、これについて整理したペーパーを出させていただきました。
 したがいまして、本日はそれ以外の2つの論点、資料2のコンテンツの流通促進方策、それから資料3、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入についてということにつきまして、今までに出された御意見でございますとか、ヒアリングの際に出されました御指摘等を踏まえまして、整理したものということで御説明をさせていただきたいと思います。
 資料の構成は前回お示しをしました違法コンテンツ対策の強化と同じ構成にしてございまして、問題の所在、それから現行制度等の説明、それから現状がどうなっているのか、さらに諸外国の動向がどうなっているのかといったことを記述した上で、最後に論点という形でお示しをしてございます。
 以下、順次御説明申し上げます。
 資料2、コンテンツの流通促進方策についてということでございますけれども、1が問題の所在でございます。
 ここに書いてございますように、コンテンツの流通でございますけれども、特に放送・映画等の動画コンテンツの流通が十分に進んでいないというのがその現状ではないだろうか。その原因といたしましては、ビジネスモデルが成立していない。あるいは違法コンテンツが氾濫している等々の様々な要因が指摘されているわけでございますけれども、大きな要因の一つといたしましては、権利処理が煩雑であるということが挙げられておるわけでございます。こういったことを踏まえますと、コンテンツの権利処理コストを低減し、ネット上でのコンテンツの流通を促進するための法的対応の可能性について検討を行う必要があるのではないだろうかということでございます。
 続きまして、2は現行制度でございますけれども、ここは大きく著作権法上の制度、それから著作権等管理事業法に基づく権利の集中管理の制度、それから最近の自主的な取組ということで書いてございます。
 (1)が著作権法上の制度で、丸1が映画、それから丸2が放送事業者の一時的固定、それから丸3は権利者不明の場合の裁定制度、それぞれについて書いてございます。
 丸3の裁定制度につきましては、これはあくまでも著作権についての制度でございまして、2ページ目の冒頭に書いてございますように、実演・レコード等の隣接権につきましては、裁定制度は導入されていないという現状にあるわけでございます。
 それから、2ページの括弧は権利の集中管理事業でございますけれども、これもご案内のように一任型と非一任型がございますけれども、一任型については著作権等管理事業法の規制を受けるということになってございます。一任型につきましては、文化庁への登録、使用料規程の届け出が必要でございまして、正当な理由がなければ著作物等の利用の許諾を拒むことはできないと規定されてございます。
 現状といたしましては、管理事業者数、それからそこに委託する人数、そういったものは増加している傾向にございます。
 それから、非一任型、これは管理事業法の規制の対象外でございますけれども、これについても行われているということでございます。
 それから、(3)が民間における取組ということでございますけれども、丸1が契約ルールの形成ということで、映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会におきまして、放送番組における出演契約ガイドラインが策定されたということでございます。
 それから、丸2は権利者不明の場合への対応ということでございますけれども、芸団協と放送事業者等の合意に基づきまして、放送番組を二次利用する際に、その実演家が不明の場合の暫定的な措置といたしまして、芸団協のCPRAが不明者の調査を行って、使用料を3年間預かるとともに、放送事業者のほうは不明者が判明しない場合でも二次利用を進めるという取組が現在実施されてございます。
 それから、丸3がコンテンツ情報の整備ということでございますけれども、ここは2つのことを書いてございます。
 1つ目が経団連の呼びかけによって、既に実施をされておりますジャパン・コンテンツ・ショーケースの運用が既に開始されているということでございます。
 それから、もう一つは権利者団体との取組といたしまして、権利者情報に関するデータベースといたしまして、創作者団体ポータルサイトが現在整備されつつあるということで、これは来年からの運用ということを目途にして今進んでいるということでございます。
 それから、丸4が許諾コード方式の策定ということでございまして、デジタル技術を用いて権利情報でございますとか、利用実績を把握する方式の策定が進んでおるということでございまして、電通において考案されまして、今年の2月、国際的にも承認されたという状況を書いてございます。
 続きまして、3の現状でございますけれども、(1)がコンテンツの分野ごとの権利処理の状況ということでございまして、3つの分野について書いてございます。
 丸1がレコードでございます。レコードにつきましては、著作権法上の特別な措置はないわけでございますけれども、原則として製作段階からその後の利用も含めた契約が行われている。その結果といたしまして、実演家の権利はレコード製作者に周知をされているというのが一般的でございます。
 それから、また音楽の著作権につきましては、一任型の集中管理が進んでおりますので、こういったことがありますので、ネット配信に伴う権利処理につきましては、特段大きな問題はないという状況にあるわけでございます。
 それから、丸2の映画でございますけれども、映画につきましては、ワンチャンス主義がございますので、実演家の権利はその後の利用については働かないというふうに制度設計がされておるわけでございます。
 また、原作・脚本等の著作物につきましても、製作段階からその後の利用も含めた契約が行われているものがございます。また、そういった契約がない場合でも、管理事業者から許諾を円滑に得られることが多いということで、ネット配信に伴う権利処理についてはおおむね問題がないという状況にあるわけでございます。
 それから、3番目、放送番組でございますけれども、放送番組につきましては、一部のものを除きますと、製作段階においてその後の利用も含めた契約はほとんど行われてきていないということでございます。また、権利情報の整備ということにつきましても、最近のものはともかくといたしまして、過去のものにつきましては整備されていない場合が多いということでございます。したがいまして、放送番組を二次利用するということにつきましては、まず権利情報を調査して、その上で権利者から改めて許諾を得るという必要が生じるわけでございます。
 具体例といたしまして、NHKの例を引いてございますけれども、本年末、12月を予定してネット配信の作業を進めておられるわけでございますけれども、現実問題として権利処理が大きな負担となっているということでございまして、具体的にはそのページの下に書きましたような注の1で書きましたような主要な権利者団体等とは合意が成立をしているということでございますけれども、それら以外の分野、集中管理が進んでいない分野でございますとか、契約ルールが確立されていない分野につきましては、現に許諾を得られないケースがあるということでございます。
 それから、その下の(2)は文化審議会における検討の状況でございまして、現行の裁定制度の運用改善にとどまらない新たな制度が提案されているということでございます。
 それから、4は国際的な動向ということで、アメリカ、イギリス、フランスの例をそれぞれ書いてございます。
 こういったことを踏まえまして、最後の論点でございますけれども、2つ掲げてございます。
 1つ目が集中管理の拡大や契約ルールの確立など、契約を促進する実態面での環境整備の必要性についてどう考えるのかということ。それから、もう一つがネット上でのコンテンツの流通を促進するための法的対応の必要性についてどう考えるのかということでございます。
 なお、その下の参考につけてございますのは、第4回、6月25日のこの会議におきまして提案された案、4つございますので、それを掲げてございます。
 それから、続きまして資料3につきまして御説明をさせていただきます。
 権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入についてということでございます。
 まず、1が問題の所在ということでございますけれども、現行の著作権法は個別具体の事例に沿って権利制限の規定を定めるという個別列挙になってございますので、これらの規定に該当しない行為につきましては、仮に権利者の利益を不当に害しないものであっても形式的には違法になってしまうと。こういった現状を踏まえまして、技術の進歩や新たなビジネスモデルの出現に柔軟に対応できる法制度とするために、権利者の利益を不当に害しない公正な利用であれば許諾なしに利用できるようにする、そういった権利制限の一般規定を設けることが必要ではないだろうかということでございます。
 それから、2の現行制度でございますけれども、ここは3つ書いてございますけれども、1つ目が30条から50条までに個別の規定が列記されているということでございます。その大半につきましては、著作隣接権についても準用されておるところでございます。
 それから、第2段落では著作者人格権の権利制限についても触れてございますけれども、ここに書いてございますのは、同一性保持権の権利制限につきましては、一般的な規定が置かれているということでございます。
 それから、最後に現在文化審議会において検討中の権利制限規定の玉をここに列記してございます。
 続きまして、3の現状でございますけれども、(1)が裁判例ということでございます。
 実際の運用、裁判例におきましては、権利制限規定に直接的には該当しないような利用であっても、著作権法上の規定を柔軟に解釈すると、これは複製の規定でございますとか、権利制限規定を柔軟に解釈するといったようなことで、適法とする例が見られたわけでございます。
 下にその注といたしまして、2つ書いてございますが、例えば上の書と照明器具カタログ事件につきましては、カタログの中に雪月花という書が写っていたんだけれども、それはその背景的なものにとどまっていて、創作的な表現部分、書としての美的な要素を感得できないので、それは複製には当たらないといったような形で柔軟な解釈をして適法としたということでございます。
 しかしながら、こういったものにつきましては、明文の規定がないということになりますと、法的安定性を欠くのではないかといった御指摘でございますとか、あるいは次のページ、2ページでございますけれども、形式的には違法となってしまいますので、企業のコンプライアンスの観点等々からすると、問題ではないだろうかという御意見があるわけでございます。
 それから、(2)でございますけれども、情報通信技術の発達を踏まえた新しい技術やサービス等々がどんどん発生をしておるわけでございますけれども、そういったことを背景にして考えますと、現行の限定列挙による方式については、こういった課題があるのではないだろうかということでございます。
 2つ掲げてございますけれども、1つ目が近年の技術革新のスピードを考えれば、すべての場合を個別の限定列挙で規定することはできないのではないだろうか。その結果として、新しい技術やサービスへの萎縮効果をもたらしているのではないだろうか。
 それから、2つ目がネット上の写真・動画への写り込み、あるいはウェブページの印刷など、権利者には実質的な不利益を与えていないにもかかわらず、形式的に見れば違法な行為というのが爆発的に増えているのではないだろうかということでございます。
 4は国際的な動向ということでございまして、アメリカ、イギリス、国際条約の例を引いてございます。アメリカにつきましては、ご案内のような一般規定107条というのが冒頭に定められていると。その条文の中には、4つの法令要素が掲げられているということをここに書かせていただいております。
 それから、3ページにいっていただきまして、3ページの(2)はイギリスでございますけれども、イギリスの著作権法では特定の目的を有する公正利用(フェア・ディーリング)に該当すれば侵害とならないという規定があるということでございます。
 それから、(3)国際条約でございますけれども、冒頭はベルヌ条約9条2項でございまして、いわゆるスリー・ステップ・テスト、特別な場合ということ、それから通常の利用を妨げないということ、それから著作者の正当な利益を不当に害しないというスリー・ステップ・テストによる権利制限が認められているということをご紹介してございます。
 それから、4ページにいっていただきまして、4ページ、今の項目の最後につきましては、TRIPS協定、WCT、それからWPPTの各条約についても引用してございますけれども、そこでも同様にスリー・ステップ・テストが明記されていると。ただ、ベルヌ条約との違いということで申し上げれば、ベルヌ条約は明文上は複製権のみが対象になっているのに対しまして、これらの条約ではすべての支分権が対象になっているということでございます。
 こういうことを踏まえまして、論点でございますけれども、2つ掲げてございます。
 1つ目が権利者の利益を不当に害しないと認められる一定の範囲で、公正な利用を包括的に許容し得る権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入の必要性についてどう考えるのか。
 それから、2つ目が仮に一般規定を導入した場合に留意すべき事項といたしまして、個別規定と一般規定の関係の在り方でございますとか、一般規定に掲げるべき考慮要素をどう考えたらいいのかということを掲げてございます。
 長くなりまして恐縮でございますが、以上でございます。

○中山会長 ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。
 この問題は従来議論してきたところでありますけれども、追加的に御意見があればと思います。
 時間も大分押しておりますので、進めていきたいと思いますけれども、内容が多岐にわたっておりますので、幾つかに分けて議論をしていただきたいと思います。
 まず、1番目はコンテンツの流通促進方策について、資料2に関して御意見をちょうだいしたいと思います。特に論点に関して御意見をちょうだいしたい と思いますけれども、何かございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 御意見がないようでしたら次に進みたいと思いますけれども、2番目の権利制限の一般規定の導入について議論をしていただきたいと思います。先ほどのヒアリングも踏まえまして、資料3の特に論点につきまして御意見をちょうだいしたいと思います。
 何か御意見がございましたら。
 よろしいでしょうか。
 御意見がなければ次に進みたいと思いますけれども、最後に3番目のネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化についての議論をちょうだいしたいと思います。これもヒアリングを踏まえまして、参考資料に示されている論点について御意見をちょうだいできればと思います。
 参考資料の14ページの下のほうです。
 これもよろしいでしょうか。
 全体を通じて何か御意見ございましたらお願いしたいと思いますけれども。
 どうぞ、上野委員。

○上野委員 では、ほかの方が発言を考えておられる間に、非常に細かい点ではありますけれども、最後の参考資料の9ページ目の下のところで、プロバイダに対する義務に関する記述のところで一つだけ確認させていただきたいと思います。
 9ページの下のところに「論点」として2つございますけれども、その1つ目は先ほどから話題になっておりますように、「特定のプロバイダには、標準的なレベルの技術的な侵害防止措置の導入を義務付けるべきではないか」ということでしたけれども、ここにいう「義務付け」というのはどのようなものなのでしょうか。
 これは大きく分けて2つあるように思います。一つは、例えば何か業法的に一定のプロバイダに義務を課すということ、もう一つは、プロバイダ責任制限法上の免責を受ける条件としてこういう要件を課すということです。この点、ちょうどこの脚注9でアメリカ著作権法が引用されていることからしますと、「義務付ける」ということで念頭に置かれているのは後者の意味なのかも知れないのですが、後者のようなものが法的な意味での「義務」といえるかは疑問ですので、本当にこれを後者の意味で理解してよろしいのか、それとも、この点も今後の議論に委ねられているということなのか、事務局のほうに確認させていただければと思います。

○関事務局次長 そこはどのような制度を設計するのかということによって、決まってくる問題であろうかと思っております。一応、この論点の書き方といたしましては、上のほうに技術的な措置の義務付けを書きまして、下のほうの丸といたしまして、技術的な侵害防止措置を講ずるということを含めて、免責事由を明確化するというふうに整理をしておるつもりでございます。

○中山会長 よろしいでしょうか。
 ほかに何かございましたら、全般を通じてでも結構でございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日までの議論ですべての検討事項について一応議論が出尽くしたと思います。今後につきましては、事務局と相談いたしまして、これまでの議論の結果を報告書案として取りまとめまして、次回の会合で報告書案についてさらに検討をしていただければと思っております。
 それでは、予定の時間がちょうどまいりましたので、本日の会合はこれで閉会といたします。
 次回の第9回は10月29日、水曜日、10時30分から、本日と同じ知財事務局会議室で開催する予定であります。
 本日はありがとうございました。