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知的財産による競争力強化専門調査会
ライフサイエンス分野プロジェクトチーム会合(第3回)
議事要旨

日 時 2007年10月18日(木)15:30〜17:30
場 所 知的財産戦略推進事務局会議室
出席者 長岡委員(主査)、石川委員、田島委員、辻村委員、前田委員
(事務局)松村次長、山本参事官、平岩参事官

ライフサイエンス分野プロジェクトチームにおける調査検討報告書(案)について議論。委員から主な意見の概要は以下のとおり。

【全体】
「パテントフロンティアの開拓」は技術分野を問わなくても良いものであろうから、本調査会全体で何を期待するのか分かるようにイメージを明確にしてはどうか。
ライフサイエンス分野では特許は非常に重要な役割を果たしているので、このコンテクストの中で、「パテントフロンティアの開拓」は、むしろライフサイエンスのイノベーションを特徴づける概念として使うという考え方もある。
一製品一特許と言い切るのは、誤解を与える可能性がある。
ライフサイエンス分野は基本特許が重要。
基本特許の取得が重要なことは言うまでもないが、周辺特許の取得も重要。
保護の点に重点が置かれているが、特許権の活用の在り方の点についてももう少し議論すべきであったかも知れない。例えば、一般に倒産や吸収合併のリスクが高いとされるベンチャー企業とのライセンス契約の保護の安定化も重要。
やや医薬に偏っている印象がある。
【基礎研究の戦略的重点化】
既存の技術のちょっとした改良発明ではなく、基本特許を取得し事業化に近づけるために、基礎的な研究の連続性という視点をもって最新の研究成果を十分に活用して特許発明に結びつけることが重要。
ナノテクノロジー、計測機器、精密機器技術は、まさに日本が得意。ライフサイエンスとこのような技術の融合分野はまさに取り組むべき。医工連携が重要。
ユニークなだけでは基本特許にならないので、出願の前後段階で基本特許の見分けは困難。
出願の前後段階で基本特許の見分けは困難だが、経験を積んでその評価能力が向上するという面もある。
【研究開発に不可欠なリサーチツールの医療の促進】
ライセンスの相場観を形成するには、実態を見えるようにすることが極めて有効なので、データベースの構築は重要。
「ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針」は国内の特許に対してのもの。欧米の特許のライセンス活動の円滑のため、「遺伝子関連発明のライセンス供与に関するOECDガイドライン」を国際間で活用することも取り組むべき。
【基礎研究成果の円滑な事業化】
トランスレーショナル・リサーチという橋渡し研究は極めて重要。
特許の質の向上は重要。そのためには、評価の仕組みをしっかりと作ることが重要であるが、誰がどのように評価するかが問題。
大学で特許出願自体を自己目的化している傾向があるのは、2年前に言われていたこと。現状は異なるのではないか。ただし、特許は、件数ではなく質が重要と言うことは重要。
市場性等の情報を持つTLOは受託研究や共同研究を促進できる立場にあるが、取り扱った際に、大学は研究資金を得られるが外部にあるTLOにとっては何の収入にもならない。
外部にあるTLOの場合、受託研究や共同研究の取扱いについての貢献を認めて、例えば大学から資金的な支援をするということもあり得るが、各大学が工夫することではないか。
アメリカにおいても、TLOはライセンス収入だけでは採算困難であり、大学はTLOの受託研究などの触媒の活動を評価して支援する。日本でも、TLOがそのような役割を担い、それが報われるシステムの構築が非常に重要。ただし、日本ではTLO等ができたばかりで、存在理由をきちんと確立していく過程。まだ、政府の支援も重要。
ライフサイエンス分野では目利き人材の確保が重要。知的財産本部・TLOの人材の育成だけでなく、育てた人材をいかに継続的に雇用するかという観点も重要。
【国際展開の促進】
東アジアにおける新植物品種の保護の制度の充実化は非常に重要であり、是非推進すべき。
植物新品種の侵害に対処するためには、DNA鑑定技術の開発促進が必要。また、産地判別のためには、DNAの鑑定技術に加えて、微量元素の分析技術の開発促進も重要。
植物品種の保護については、米国が世界と調和するように取り組んで欲しい。
初期段階のベンチャー企業にとっては、海外での特許の取得費用は大きな負担。特許に特化した助成金の支援は是非して欲しい。融資でも良い。
【存続期間の延長】
薬事法上の医療機器には、医療材料、生物材料も含まれる。その点も踏まえて、医療機器についても一言触れるべきではないか。
医療機器についてももう少し細かく記載して欲しい。
安全の審査は薬事法と農薬取締法だけに限らないので、もう少し大きな観点で事例があっても良いのではないか。
期間延長のところは、タイトル自体が「医薬、農薬以外への対象の拡大」であるので、特に薬に限定した話ではなく、具体例については現状の規制との関係で延長制度の在り方自体も特許権の効力との関係もあってかなり深い検討が必要であるので、報告書案のままでよいのではないか。
文言も含めて、現在の案に賛成。
【先端医療技術の保護】
医療方法の特許保護のニーズがある点をもっと書いて欲しい。例えば、イノベーション25においても、国家目標として再生医療や遺伝子治療の研究を推進することとなっている。
日本においては用途発明の保護の在り方についての議論が不足している。用途という点で見直すことによって道が開かれるのではないか。
現在の報告書案の内容に賛成。今後、特許保護の対象とならずに困っている実例が具体的に挙がってくれば、再検討もあり得る。
欧州特許庁の審決T1020/03は、審査基準には引用されていないが、審決に従って多数の特許が登録されている。また、当該審決を引用した審決も出されている。