知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(第7回)



  1. 日時 : 平成23年2月25日(金)16:30〜18:00
  2. 場所 : 知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 妹尾会長、荒井委員、出雲委員、江幡委員、小川委員、岸委員、佐々木委員、
    高柳委員、西山委員、野元委員、福島委員、山本委員
    【事務局】 近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、原参事官、山本企画官
  4. 議事 :
    (1)開  会
    (2)「知的財産推進計画2010」進捗状況について
       (知的財産による競争力強化・国際標準化関連)
    (3)「知的財産推進計画2011」骨子に盛り込むべき事項(案)について
       (知的財産による競争力強化・国際標準化関連)
    (4)閉  会


○妹尾会長
 それでは、ただいまから知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会の第7回会合を開催いたします。
 本日は、急な日程調整にもかかわらず、ご多忙のところ、それから花粉が飛び交う中ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 前回、皆さんから柱立てについてもっと抜本的に改善ができるのではないかというご提案をいただいて、急遽事務局に苦労をしていただいて、それを議論する会合を今日設けました。ということで、急なことだったのでご参集、大変ご苦労多かったと思います。ありがとうございます。
 本日は、まず知的財産計画の2010の進捗状況評価について事務局から説明を受けます。その後で「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項の案について、議論を深めていきたい、こういうふうに思っております。先ほど申しましたように、急な日程調整だったのでどうしてもご都合のつかない方がいらっしゃいました。相澤英孝委員、相澤益男委員、大渕委員、久夛良木委員、迫本委員、佐藤委員、中村委員、渡部委員からのご欠席の連絡をいただいております。ただ、この忙しい中3分の2以上の皆様にご参集をいただけたことは本当にうれしい限りです。どうもありがとうございます。
 では、最初に、まず近藤事務局長にごあいさつをいただきたいと思います。

○近藤局長
 今日もお忙しい中お集まりいただきまして本当にありがとうございます。いよいよこの知財計画も3月の末に骨子を出すという腹づもりでありますので、あと1カ月弱でございます。相当なペースでやっていきたいと思っておりまして、これまでも本当にご支援をいただいているのですけれども、さらにもう一汗皆様方にかいていただきたい、こんなふうにお願いをする次第でございます。今日も本当に急に日程を決めたにもかかわらずこのようにご参集いただいて、心から感謝をいたします。よろしくご審議のほどお願いいたします。
 ありがとうございました。

○妹尾会長
 それでは、配布資料の確認をまずしたいと思います。原参事官、よろしくお願いいたします。

○原参事官
 それでは、議事次第の後ろに資料をつけてございますけれども、ご確認をいただければと思います。
 資料1ですけれども、「知財計画2010」の進捗状況の暫定版ということでございます。これは後ほど事務局からもご説明をいたしますけれども、現在関係省庁と調整を進めているところでございまして、本日は公開の会議ということでもございますので、席上のみ、委員の方の机上のみの配布とさせていただいておりまして、しかも会議終了後に、恐縮ながら回収をさせていただきたいと考えてございます。
 それから、資料2は枝番が3つございますけれども、2−1、こちらはこの専門調査会としておまとめをいただく「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項の案の構成を示したものでございます。1.我が国の知財システムの競争力を強化する、2.我が国の生み出す知の活用を促進する、それから、3.知財戦略を支える人材を育成・確保するという、3つの柱からの構成ということになってございます。それから、枝番の2ですけれども、この専門調査会としておまとめをいただく「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項の案でございます。前回までのご議論を踏まえまして事務局で作成をしたものでございます。これは後ほどご説明を申し上げます。
 それから、2−3でございますけれども、政府としてまとめます「知財計画2011」骨子、その素案の総論部分を抜粋したものでございます。これにつきましては、今事務局内で検討中のものでございます。こちらにつきましても、委員の皆様の机上配布のみとさせていただいております。知財本部の下には、本専門調査会と、それからコンテンツ強化の専門調査会、2つの専門調査会が設けられております。それぞれの調査会でおまとめをいただいた提言を踏まえまして、政府として「知財計画2011」骨子、これを3月にまとめるという予定でございますけれども、両者の提言を踏まえた骨子(素案)につきまして、ご参考までにお示しをしているということでございます。
 続きまして、資料3でございます。今後のスケジュールについてまとめたものでございますけれども、次回3月7日で「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項をおまとめいただきたい、このように考えてございます。お忙しいところまことに申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、参考資料が1つございますが、前回第6回の専門調査会でいただきました主な意見ということでございます。さらに、机上配布のみでございますけれども、本日相澤英孝委員から資料を提出いただいてございます。時間の都合もございまして資料番号をつけるところまで至ってございません。相澤先生からもご了解いただいておりますが、本日は机上配布ということにとどめさせていただいております。 資料は以上でございます。よろしいでしょうか。

○妹尾会長
 よろしゅうございますか。それでは何かあったら事務局にお願いいたします。 では、早速ですけれども、「知財計画2010」の進捗状況について、説明をお願いしたいと思います。上田次長、お願いいたします。

○上田次長
 資料の1をごらんいただきたいと思います。「知財計画2010」、先生方におまとめいただきました。これの進捗状況の確認というのは事務局としましても大変重要な仕事だと認識しております。
 それでは、資料1に従って説明申し上げたいと思います。
 先ほどお話し申し上げましたように、本件につきましては、現在関係の府省と調整中でございます。また、本日の会議は公開の場でございますので、資料は席上配布とさせていただき、会議終了後に回収させていただきたいと思います。また、同様の理由によりまして、個別の事項につきましてご質問やご関心のある事項がございましたら、直接事務局にお問い合わせいただきたいと思います。この公開の場での言及は控えさせていただきたいと思います。
 それでは、内容につきましてご説明いたします。1ページが全体の状況とこれまでヒアリングもしていただきました課題の多い事項の個別の進捗状況を示したものでございます。2ページ目以降が個別の状況を示したものでございまして、工程表で2010年度中に実施するとしていた具体的取り組み、2010年度末までの具体的な取り組み状況、2011年度以降の具体的な取り組み予定、その評価、今後の課題を示しております。
 1ページにお戻りいただきたいと思います。全体の状況についてご説明申し上げます。まず、評価基準でございますが、「知財計画2010」の工程表において、2010年度中に実施するとしていました具体的な取り組みにつきまして、各府省から進捗状況の報告をさせました。それに基づきまして、現時点での進捗状況を踏まえて、知財事務局として評価したものでございます。○が達成、△がおおむね達成しているがさらに進める必要がある。×が未達成の3段階で評価しております。この専門調査会におきまして、4回にわたり各府省からヒアリングしたこともあり、おおむね順調に進捗してきていると理解しております。しかし、おおむね達成している△とされた事項はもちろんのこと、達成○とされた事項につきましても今後の課題等につきましては「知財計画2011」に反映し、さらにしっかり取り組んでいくことが必要と考えております。個別の事項につきましては、先ほど申し上げましたように事務局にぜひお問い合わせをお寄せいただければと思います。
 以上でございます。

○妹尾会長
 このことについては、今の事情があるということをお含みおきいただきたいと思うんですが、何かございますか。

○荒井委員
 こういう形で、いつもレビューをしながら進めていくということは大変いいことだと思うんです。PDCAというか、あるいはレビューをして進めていくということだと思うんですが、達成したかどうかということの評価について、多分ここの場はリザルトオリエンテッドというか、結果がちゃんと出た、ないし実績として上がったのかというのを評価基準にして、確かに昨年つくったときには、検討するとか、結論を得るということでやったわけですが、その趣旨はよく勉強しましょうということよりも、何とかそれをさらに具体的な手段として日本の知財システムがよくなる。あるいは知財全体の競争力が高まるようになっているかという、そういう結果でさらに見ていただいて、そうすると、どの項目か言ってはいけないということですね。余り言いませんけれども、見てみると、多分昨年つくったときに比べて、国際競争、国際情勢は大変厳しくなった、激変した。先週の特許庁の話にしても、各府省からの話にしても、想定している以上に国際状況は動いている。こういうことをもっと一層やらなければいけない。それから大学の現場とか中小企業の現場を見れば、当時思っていた以上に厳しくなっていると思うんです、技術の競争にしても、知財の競争にしても。そういうことですから、本当に成果が出たのかとか、あるいは本当に制度として導入されたのかという観点で一段と見ていただいて、本当に87%も達成しているというのがどうも実感と合わないような気がするんです。これはやっておられる方は一生懸命やっているのはまことにそのとおりだと思うんです。あるいは各府省においては100%一生懸命やっているということだと思うんですが、しかし、本当に中小企業の施策にしても、あるいはいろいろな国際協力にしても、達成したというところまでいっているんだろうかというのを非常に疑問に思いますので、ぜひこれを精査するに当たっては、本当の手段として導入されたのかという目で見ていただいて、そしてその導入された手段が中小企業あるいは大学の現場まで届いているのかというような目で見ていただいて、ぜひ各府省に対して一層奨励、エンカレッジしてやっていただくことをお願いしたいと思います。
 これは希望でございまして、精神的にはみんな達成すべく努力しているのはそのとおりだと思いますが、ただ、本当の現場を見てみると、今度の2010の計画に基づいてやっぱり変わったなというところまでまだきていませんので、ぜひそこまでいくように叱咤激励というか、励ましていただければありがたいという、希望でございます。

○近藤局長
 ありがとうございます。今おっしゃった点はまことにそのとおりだと思うんです。ただ、この計画は2010の計画をつくったときに、2010年度にここまでいく、2011年度にここまでいく、2012年度にここまでいくと決めているわけです。その段階で、例えば今お話のあったここについて検討して結論を得るということになっていた場合に、本当はもっと先までいかなければいけないけれども、一応審議会で結論まで出したということであれば、やはりそれは○にしてやらないと、実際に、それで本当に達成し切れていないから、本当は完全にその目的を達成し切れていないから政策目的的にいうと○ではないんだけれども、もともと約束したところは○にしてやらないと、これは各省にとってもここでコミットすることがすごく怖いことになってしまうんです。これはもともと○×△をはっきりつけるぞというのは、去年この計画をつくるときから私が申し上げた。それから、×をつけたところはリスト化して、総理のもとで各閣僚に謝らせるぞと言って各省をここまで引っ張ってきた計画なものですから、ここに未達成はないと、我々は思っております。各省が努力をした結果ではありますので、本当に全部片がついていないけれども、もともと約束したことは達成できたというところは一応大体○にさせていただいて、その上でさらにこの表のところにも右側に、備考の欄に引き続きこういうことをしようとか、さらには2011の計画をつくるときに2010でここまできたものをさらに加速化してこうやろうではないかというのを書き込んでいく、こんな頭の整理をさせていただきたいと思っています。 ただ、ご指摘のとおり、私たちが今暫定版で○をつけているのは甘いじゃないか。これは、△じゃないかとか、△とつけているのは甘過ぎて×ではないかというご指摘があれば、それはそれでまたご相談をしたいと思います。これは我々にも言い分があるし、それから各省にも言い分があるので、委員の先生方からのお話も伺って、最終版をつくりたい。したがって、これが一旦ここの場で出ますと○になっていたのが×になったとか、△だったのが○になったとか、いろいろなことで混乱をするので、今日は席上だけの配布、こういう形にさせていただいているわけでございます。ぜひよく見ていただいて、ご指示をいただいて、また個別にそこはご相談をさせていただきたい、こんなふうに考えているわけであります。

○妹尾会長
 これについて、どうしてもという方はいらっしゃいますか。これは何回目か、当初のときに、2010の進捗状況の評価をどうするかということで、私が発言させていただきました。細かくではないですけれども、おおむね3点あったと思います。第1は何かといったら、目標を達成するということについて、環境の変容があっても目標を動かさなくてよかった時には、これは評価としては達成かどうかという判断ですね。ただし、達成については○×ではなくて、まだまだ工夫の余地があって松竹梅だとか、ABCはあり得るだろうと思います。
 それから、今、荒井委員がおっしゃられたように、環境の急激な変化あったから目標を変えざるを得なかったという事情の場合もあろうかと思います。それは正当化できればこれはもちろん認める。その上で達成できたかどうかというのが、恐らくこれの次の段階になる。次のさらにあるのは、目標が変化したから達成ではなくて、目標は変化しなかったけれども、環境変容によって未達成もやむを得なかったということもあります。ですから、これらについて、もう少しきめの細かいものは必要だと思います。これらの点についてはこの中の文章の備考の欄その他で見ていただければということかと思います。
 それから、第2点は何かというと、これはどうしても結果評価になるので、成果評価になりにくいんです。だから、アウトプット評価なのか、アウトカム評価なのかということなので、実施したからよかったということです。例のアリバイ研修ではしようがなくて、アリバイ研修はしたかもしれないけれど本当に成果は上がったのかということになるわけです。この辺はアウトプット評価とアウトカム評価の目標設定の文言の工夫について、今後我々はもっと改善の工夫をしなければいけないということがあろうかと思います。
 3点目は何かというと、これは単なる成績ではなくて、いわば成績というのは次の学習のためのものですから、これを評価している中から何が学べたかが問われます。また、評価手法自身についても学びがなければいけないわけなので、今後多分事務局と我々とで評価その方法論自身も実は研究していかなければいけないということかと思っております。それを我々がやれたときに、初めて府省に対してもう少し建設的な指示ができるのではないかと考えております。
 このような点について、何回か前のときに、2010の評価について私は発言をさせていただきました。これらの観点でもできましたらチェックをしていただければと思います。

○近藤局長
 1つだけ言い忘れました。この結果は3月の末に予定をしております知財本部のときに出しまして、その結果はもちろん公表いたします。3月末の知財本部での公表までは取扱注意でやろうと思っております。

○妹尾会長
 それでは、よろしゅうございますか。そういう形で、もし何かありましたぜひ事務局にご指摘をいただければと思います。
 それでは、引き続きまして「知的財産推進計画2011」の骨子に盛り込むべき事項(案)についてということになろうかと思います。それではまた事務局からご説明をお願いします。

○原参事官
 それでは、お手元に資料2−1、2−2、2−3をご準備いただければと思います。
 「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項(案)というものが資料2−2でございます。知財本部のもとに設置されております本専門調査会、それからコンテンツ強化の専門調査会、この2つの専門調査会でそれぞれ骨子に盛り込むべき事項の案というものを提言として取りまとめていただくことになってございます。今お手元にございます資料の2−2、こちらは本専門調査会での盛り込むべき事項(案)の取りまとめに向けまして議論のベースとしていただく原案のイメージというものでございます。この後、委員の皆様にご検討いただきたいと考えてございます。これにつきましては、今回及び次回の専門調査会での議論を経まして、当専門調査会で最終的に取りまとめていただきます「骨子に盛り込むべき事項」、これのご提言、それから同じようにコンテンツ強化専門調査会からのご提言、これをあわせて政府として「知財計画2011」の骨子、これをまとめるというふうに予定をしているところでございます。
 それでは、資料2−1、2−2でございますけれども、こちらをごらんいただけますでしょうか。資料2−1、こちらは先般、前回の専門調査会で、骨子に盛り込むべき事項の柱立てにつきまして、もう少し見直したほうがよろしいのではないかというご提言も受けまして、今般三本柱ということで整理をし直したものでございます。前回の専門調査会では柱を5本立てておりました。具体的に申し上げますと、国際標準化の戦略的活用、それからグローバル対応の知財システムの構築、3番目に大学の「知」を活用したビジネス成功事例の創出、4といたしまして、中小企業のすぐれた技術からの世界に通用する事業創出、それから、最後5番目といたしまして、人材育成・確保を含むインフラ整備、こういうふうにしておりましたけれども、知財の活用という観点をぜひ盛り込むべきではないかというご意見、ご提言を受けまして、今般資料お手元の2−1に示しております構成、こういう形でまとめさせていただいたところでございます。
 1.の我が国の「知財システム」の競争力を強化する、こちらにつきましては前回のグローバル化対応の知財システムの構築というものと基本的には同じでございます。それから、3.こちらの人材育成・確保というところにつきましては、前回最後の項目として立てておりました人材育成・確保を含むインフラ整備というところの人材に関する部分、これを柱にしてございます。前回、国際標準化、大学の「知」を活用したビジネス事例の創出、それから中小企業の支援といった、こういった項目をまとめまして今般の2.我が国の生み出す「知」の活用を促進する、こういう形で柱立てをさせていただいたということでございます。その2.の(1)、(2)、(3)につきましては、先ほど申し上げましたような項目、これを小項目として立てているということでございます。
 このそれぞれの柱の関係につきましては、1枚おめくりいただきますと、「参考」がございますけれども、盛り込むべき事項(案)の全体イメージということでございまして、我が国の知財システムの競争力の強化、それから人材育成・確保により知財インフラを整備していこうということで、1枚前の項目で申しますと1.と3.、これを知財インフラ整備というふうに位置づけまして、こうした知財インフラの整備を進めながら、さらに総合的な知財マネジメントを実践することによってグローバルな事業を創出していこう。その際の活用という側面、我が国の生み出す「知」の活用の促進ということで、企業、中小、大学において「知」の活用を促進していくとまとめているところでございます。一番上の部分ですが、このようにしてイノベーションを促進することによって産業競争力の強化につなげていこう、こういうような整理をさせていただきました。
 それでは、資料2−2でございますけれども、こちらにつきまして、前回の専門調査会でお示ししました資料との関係、これをメインにご説明をさせていただきたいと思います。
 前回は国際標準化と競争力強化と、資料を二本立てにしてございましたけれども、今般それを一本化いたしました。それで、柱立てを先ほど申し上げました構成に示した三本にして再編成したものでございます。それに伴いまして、現状認識につきましては一本化をしたということで、1ページの最後の項目のところで、前回の国際標準化に関する現状認識、この要素を盛り込んでいるところでございます。
 それから、1ページおめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、先般は盛り込んでおりませんでしたけれども、成果イメージということで真ん中にございますけれども、基本的には「知財計画2010」のものをしっかりと進めていくということで書いてございます。それから、目標指標につきましては、現在「知財計画2010」にあります項目をベースに精査をしているという状況でございます。
 それから、1.につきましては、先ほど申し上げました我が国の「知財システム」の競争力強化という柱を立てております。その下に盛り込んでおります小項目、これは前回のグローバル化対応の知財システムの構築というものと基本的には同じになってございます。
 それから、5ページ、こちらに移っていただきますと、先ほど申し上げました2番目の柱、我が国の生み出す「知」の活用を促進するということで、情勢認識を書き直してございます。最初の○につきましては、先般の資料のうち国際標準化関連のものに記載してございました事項、これをまとめてこちらに盛り込んでございます。
 見出しだけごらんいただきたいと思いますが、6ページの(1)が国際標準化の関連で、(イ)としてまとめているところでございます。
 それから、次の7ページから8ページにわたり(ロ)といたしまして、技術流出防止のための環境整備といったところも今般「知」の活用という観点でまとめさせていただいているところでございます。
 8ページでございますけれども、施策例、この2つ目に「営業秘密の課題を具体的に改善するための支援」ということで施策例がございますけれども、こちらにつきましては事務局の中でも検討いたしまして、実際に専門家として支援をいただく組織といたしまして「『弁護士知財ネット』の協力を得て」という文言を加えてございます。
 それから、8ページの一番下(2)中小企業支援に関わる施策例の最初でございますけれども、こちらにつきましては、特許庁から前回ご説明をいただきました施策展開、「国際知財戦略」も踏まえまして、グローバル展開に必要な知財関連情報を集積したデータバンクの構築、それから海外知財プロデューサーによる支援といったところを盛り込んでございます。
 それから、9ページ、先ほどと同様でございますけれども、(ロ)の最初の施策例で、実際に支援をいただく専門家関連の団体ということで、「弁護士知財ネット」、それから「日本弁理士会」を含む関係支援組織から派遣される専門家、という文言を盛り込んでございます。
 それから、(3)といたしましては、大学の「知」の活用という項目を盛り込んでございまして、以下、先般の、大学の知を活用した成功事例創出と同じでございます。11ページに移っていただきまして、今般、3.知財戦略を支える人材の育成・確保ということでまとめた部分でございます。その(1)として、前回のあるいはそれ以前のご議論も踏まえまして、グローバル・ネットワーク時代の知財人材育成プランを確立するということで、施策例として、「知財人材育成プランの確立」ということを盛り込んでございます。
 それから、もう1ページおめくりいただき、12ページでございますけれども、こちらはちょうど真ん中になりますが、「グローバル・ネットワーク時代に対応した弁理士の養成」というところを新規に盛り込んでいるほか、それから、その下でございますけれども、「弁理士の知財マネジメント能力の向上」ということで、継続研修の活用も含め、知財マネジメント能力を強化する取り組みを推進するというような書き方にさせていただいています。
 以上、簡単ではございますが、先般の資料から今般どういう構成に変えたかというところについて簡単にご説明申し上げました。
 あと、「知財計画2011」骨子素案というものを資料2−3として示してございますけれども、こちらとの関係についても若干触れさせていただきたいと思います。2つの専門調査会での議論と並行いたしまして、現在事務局におきましてこれまでのご議論に基づいて政府としてまとめる「知財計画2011」骨子の素案について検討を進めております。未だ検討中ということでございますので、委員の皆様に配布は限定させていただいておりますけれども、この「知財計画2011」骨子素案を資料2−3としてお配りさせていただいているところでございます。全部で6ページの構成でございますけれども、この資料2−3は骨子素案全体のうち、目次に相当する部分、それから第1部の総論部分、こちらを抜粋をしたものでございます。この素案の総論につきまして、特に競争力強化、国際標準化に関する項目といたしまして、例えば2ページ目になりますけれども、グローバル・ネットワーク時代の到来、それからグローバル・イノベーションの進展を受けて、より高度で総合的、戦略的な知財マネジメントが求められるようになっているということ、それから、各国の知財制度もさらなる協調が求められるとともに、激しい、厳しい制度間競争にさらされているということを盛り込んでございます。
 それから、3ページになりますけれども、これまでの歴史は日本が新たな価値を生み出す力を有することを物語っており、日本が先導し、世界に貢献できる、そういう分野が多いといったことなどに言及をさせていただいた上で、最後5ページでございますけれども、知財本部として推進をしていく4つの戦略のうち、当専門調査会に関係する部分として、第1の戦略、「国際標準化のステージアップ戦略」、それから第2の戦略として「知財イノベーション競争戦略」というふうに位置づけているところでございます。
 この骨子素案につきまして、もしご意見がございましたら、ぜひ事務局にお寄せいただければと考えてございます。
 この資料2−3の冒頭、1ページをごらんいただきますと、総論部分の後に各論、それから工程表、さらに参考資料として「知財計画2010」全体の実施状況、これらを加えまして「知財計画2011」骨子素案の全体ができ上がる、こういうつくりになっていることがおわかりいただけるかと思います。こちらの専門調査会でご議論をいただいて取りまとめていただきます「骨子に盛り込むべき事項」の内容につきましては、この資料2−3の第2部各論の部分に盛り込まれるということになります。
 それから、「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項、こちらは先ほどご説明をいたしました資料2−2でございますけれども、こちらの柱立てと、それから今ごらんいただきました資料2−3の各論部分の項目立てとの関係についてでございます。資料2−2の柱立て、こちらは先ほど申し上げましたとおり前回でのご議論、これを受けまして今般新たに提案させていただいたものでございます。3つの柱、すなわち、1.といたしまして我が国の知財システムの競争力強化、2.といたしまして我が国が生み出す「知」の活用促進、それから3.として知財戦略を支える人材の育成・確保、このような3本で整理をしてございます。そして、2.の我が国の生み出す「知」の活用というものの中に、国際標準化戦略というものを位置づけているわけでございます。 他方で、資料2−3でございますけれども、「知財計画2011」骨子の素案、こちらの各論の項目のうち本専門調査会に関連いたしますものは、第1に「国際標準化のステージアップ戦略」、それから第2に「知財イノベーション競争戦略」、こういうふうに整理をしております。言いかえますと、「国際標準化戦略」を強調させていただいているわけでございますけれども、これは、この国際標準化が新成長戦略における非常に重要な柱の一つであるとともに、総理を初めとして政務のご関心が非常に高いということもございます。「知財計画2010」において位置づけられていたのと同様に、この「知財計画2011」の骨子でも主要な柱の一つとして位置づけて強調していく、こういう趣旨でございます。 それから、最後でございますけれども、「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項、資料2−2と、それから「知財計画2010」、こちらとの関係について、簡単にご説明いたします。「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項においては、「知財計画2010」に対して新たに追加をすべき項目、あるいはさらに深掘りをして実施すべき項目を掲載しているところでございます。最終的に「知財計画2011」をまとめるに当たりましては、「知財計画2011」に盛り込むべき事項には記載されておりませんけれども、昨年の「知財計画2010」に記載がありまして、継続してしっかりと実施をしていくべき事項、これも盛り込むということで、2011の計画をつくり上げていきたい、こういうふうに考えているところでございます。 以上、簡単ではございますけれども、ご説明申し上げます。

○妹尾会長
 この柱立てについて、原さんは少し考え直したほうがいいというご指摘を受けて少し考え直したとおっしゃっているんですけれども、そうではなくて、抜本的に考え直せといったら抜本的に考え直してくれたということだと思います。五本柱を三本柱に組みかえた。大変なご作業だったと思います。かなりすっきりしたのではないかと思うんですが、ここの柱立て自体について、何かご意見があれば。

○福島委員
 前回の調査会では色々な方からご意見があったと思いますが、今回の資料は非常にすっきりした形で纏まっていて、私の目線から見ても非常に理解し易い、流れのある構成に仕上がったと思っています。大きな流れはこれで良いと思いますが、前回の調査会で十分にお話しできなかった追加情報が1点だけありますので、この点をご検討いただきたいと思います。
 弊社はグローバル知財を取得するときに、PCT制度を活用させていただいています。現在でもグローバルに展開する出願案件の75%以上は制度を利用しており、今後はこの数字以上に活用したいと考えています。先日、知財協から原稿編集のため頂戴したデータ中に、1つだけショックな情報がありました。PCT出願における国際調査において日本特許庁を受理官庁とした国際調査で先行事例を調べていただいた場合に、国際調査報告では日本特許庁から先行事例は無いという調査結果があった後に、今度はその出願を日本、アメリカ、ヨーロッパへ各国展開します。そして、国際調査と同じ日本特許庁に展開して審査いただきますと、審査案件の中からかなりの割合で新たに先行事例が新規性あるいは進歩性という観点で見つかっています。アメリカに展開して審査いただきますと日本よりも大幅に大きな割合で先行事例が見つかり、ヨーロッパに展開して審査いただいた場合にも日本よりも大きな割合で新規性や進歩性に関する先行事例が見つかっているというデータがありました。このようなデータの裏には色々な事情があると思いますが、やはり調査精度を上げるという観点からは少し課題があると認識しています。
 このような課題認識から申し上げたいことは、数年前から特許庁で業務システム最適化計画を推進していただいていると思いますが、近年の色々な事情からこの計画がやや停滞していることにも繋がると考えています。弊社のような出願人の立場からすれば、このシステム最適化計画の中で色々議論されていたサーチツールや機械翻訳のようなものが民間に開放されて我々が利用できれば、出願人自身もより質の高い調査や内部検討が進められると思います。このようなシステム最適化計画自体の加速と、その成果物をユーザーへ公開、開放していただければ、必要であれば料金を取られてもいいと思いますが、質の向上に繋がる部分があると考えます。今日の議論の流れにおいては、特にインフラとして人材に着目されていると思います。勿論、人材育成は非常に大事なことですけれども、同時に推進計画2010の議論のときにもお話しましたように、韓国特許庁がITインフラにかなり莫大な投資やリソースシフトをして近代化を進めてきたという状況の中で、こういった視点から日本の特許庁の更なる投資も含めた近代化の必要性についても、少しフォーカスして議論いただければと思った次第です。

○妹尾会長
 今のお話、かなりショッキングな話ですけれども、これは調べましょう。システム最適化といっているときに、何の最適化というのはあると思うんです。局所最適なのか、全体最適なのか。今のお話は特許庁の内部における最適化ということではなくて、むしろ日本全体としての全体最適を考えようというご提言だと思います。今のお話、もう一つ見ると、3番のことよりも、むしろ1番の特許の安定性を向上させる体制を整備するというところのニュアンスのほうが強く感じられるんですが、そこのところで事務局に検討してもらうということでよろしいでしょうか。

○上田次長
 検討します。大事な点だと思いますので、今の先生おっしゃったところで、特許庁ともよく議論したいと思いますけれども、確かに全体のシステム最適化であり、そういう視野の中で特許庁のシステムというのをしっかり、それから、それを早く整備していくということもあると思いますので、それについては、どういう表現が適切か、よく検討してみたいと思います。

○妹尾会長
 ご指摘ありがとうございました。ほかに項目立てで。

○佐々木委員
 私もこの3項目で非常にわかりやすいと思います。特に1番の知財システムの競争力強化というのは、これはそのまま我々のところにも各企業にももちろん当てはまる話で、非常にわかりやすい。その中で、先ほどの2010年の振り返りのときに近藤局長は大変厳しいお言葉をおっしゃったんですが、私はこの知財戦略本部の機能自体の強化がまさに日本の知財システムの強化の一番上にきてもいいんじゃないかという、何らかの形でそういうふうな位置づけをしたらどうでしょうかというのが一つ。
 それと、それぞれのところで可能かどうかで、後でご議論いただければいいんですが、1つは人材育成のところで、ちょっと不思議だなと思って実はずっと黙っていたんですけれども、発明協会で幅広く少年少女発明クラブ、かなり苦労して運営されているんですが、そこは極めて資金難で困っているやに聞いています。かなりの少年少女がいろいろなところで発明クラブの活動をしていますし、一番頂点は全国発明表彰で恩賜発明賞等々あるんですけれども、大体企業からしか出ない。その一番下を支えている、大分先の人材育成になるかもしれませんけれども、発明協会のサポート等がもし入れられれば本当に裾野の広い人材育成強化になるんじゃないかなというのが一つと。
 それと、これは実施、「知」の活用のところに入ると思いますけれども、日本発のベンチャーを育成する。そのベンチャーの育成のためにいろいろな手を打つという中に、これも課題で結構ですので、即座に私もいい案が浮かびませんので、再三申し上げていますけれども、実施をする発明、発明を特許にして、即座に実施をして、日本で事業を起こすという、そのアクティビティというか、それ自体に何らかの手厚いサポートが与えられるようにすれば、これは日本国内からもベンチャーは出やすいですし、世界の英知を集めることにつながっていく可能性が高いので、日本をベンチャーのインキュベーシションのような方向にもっていくということも中にはありますので、その辺も何らかの形で入らないかというところと。
 それと最後に、人材育成のところですけれども、知財人材、弁理士、弁護士を高度化するというのもさることながら、もうちょっとそこの参入障壁を低くしたらどうか。つまり、弁理士、弁護士を資格要件ではなくて、能力要件のようにしたらどうか。弁護士法、弁理士法で厚く保護された業を弁護士さん、弁理士さんが行えるだけではなくて、もうちょっと広く人材が知財ビジネスサポート等あるいは知財で困られているところに厚く手を貸してあげられるような方向で、たくさんの人材が入ってくれば必然的に質は上がると思いますので、そういう方向でも検討したらどうかなというのが4点目です。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。

○福島委員
 先ほどのように非常に厳しくプラン自体をローリングしていくというような、余り国では行われていないように我々はそういう印象が非常に強いので、企業でもまだまだ甘いところがありますけれども、非常にプランを厳しくローリングしていくというのが物すごく重要だと思いますので。この本部がフレキシブルに、これはターゲットが違ったということがあれば即座にそれを変えて、方向を変えていけるような、その機能自体がまさに日本の競争力の一番の元になってもいいんじゃないかと思います。

○妹尾会長
 組織論的にいえば、学習先導ができるかということですね。各府省の学習を我々がリードできるようなところになれば良いわけで、事務局自体ではなくて、我々全員がそこのリーダーシップをとれるようにしたいと思います。 人材育成のところで少年少女発明クラブの活動の支援ということがあったんですけれども、少年少女のこういう発明サポートは発明協会がもちろん頑張っていますけれども、ほかにいろいろ弁理士会もやっていますし、いろいろなところがやっていらっしゃる。弁護士会もやっていますし、知財協もやっていますし、いろいろなところがやっていますので、そういうところ全体に手厚くということが多分あろうかと思います。 あとの2点については、これはすぐここに具体的に話を書ける話ではないので、課題提起、問題提起という形で受けとめさせていただければと思います。ありがとうございます。 項目立てについて、小川委員お願いします。

○小川委員
 今の佐々木委員と関係しますけれども、国の全体の競争戦略をやるという意味では、この内閣官房のスタッフ力をもっともっと強化することが重要です。全体最適を担うスタッフ集団として内閣官房が常にパワフルでないと21世紀の日本の復権は難しい。余りやり過ぎると問題なのは十分承知していますが今の日本にとっては、全体最適の徹底こそがはるかに重要であると思います。文書にどう書くかはお任せしますが、スタッフの強化ということをお書きになったほうがいいと思います。
 皆さんおっしゃったように、3つの、三本の柱の章立てで、非常によくできている。直感的にも非常にわかりやすいですし、皆さんのご尽力に大変感謝したいと思います。ただ、人材の育成の12ページ、13ページを見ますと、ここには企業側の人材育成について言及がありません。企業については佐々木さんや福島さんなど企業人に任せておけばいい、ということなのでしょうか。といいますのは、特許は企業が圧倒的な数を生み出しています。しかしながら現在の日本で「知」を使う「知」が最も求められているのは企業ではないでしょうか。技術で勝ち、圧倒的に多くの特許を出願登録していてもグローバルビジネスで勝てなくなっているのが、日本企業ですので。知財と産業競争力の問題の大部分が企業の中で起きているのです。ですから、企業の中の知財人材のマインドを変えていくか、あるいはそういう人たちを教育するということが、現在の日本という国の知財戦略が直面する課題だと思いますので、企業内の知財人材育成について文言として入れていただいたほうがいいのではないかと思います。
 3番目、10ページにSBIRがございます。これは前にも申し上げましたけれども、今回多段選抜方式というのを新しく導入していますが、今までは何がだめで、これを入れるとどういうことが期待されるかということをご説明いただくとありがたい。

○妹尾会長
 1番のリーダーシップのところは置いておいて、2番の、確かに企業内人材育成についてもう少し触れたほうがいいという問題提起をいただいたということですね。それから、SBIRについてはもう少し説明をするというのは、ここの中でご説明をしたほうが良いということでしょうか。

○小川委員
 今までが違っていて、今回はこうするからこんな成果が期待できる、ということを理解させていただけないかというご質問です。

○妹尾会長
 では、そのこと自体について。安藤参事官、お願いします。

○安藤参事官
 10ページのところです。「日本版SBIR」という制度があります。「日本版」というと一般的に本家とは違って換骨奪胎された場合が多いのですが、99年にできました。各省庁が中小企業向けに出している既存補助金について、「日本版SBIR」制度に登録すれば、中小企業投資育成会社の特例、日本政策金融公庫の低利融資、信用保証協会の特例が受けられるという、いわゆる中小企業金融支援3点セットを上乗せするという仕掛けです。事業化段階をサポートする観点で、開発は補助金で支援しておいて、事業化を金融支援するということです。しかし、このモデルはあくまで中小企業型のモデルであって、山本委員もおいでですが、本来のベンチャーは、先ほどもご議論がありますように、発明のシーズから如何に急速に事業展開をしてグローバルに闘っていくのかが大事です。その際には、長年じっくり実績を積み重ねて、融資いわゆるdebt financeで徐々に伸ばしていく中小企業タイプでは非常に時間がかかりますが、そうではなくて、最近の世界のクリーンテクベンチャーやその他のベンチャー企業を見ましても、大量のequity financeを受けて、短期間に急速に事業展開していきます。ここが非常に大事なわけですが、日本の状況とは非常に大きなギャップがあります。イノベーションのプロセスでは、死の谷、ダーウィン海、いろいろな話がありますが、特に、シーズからエクイティを受けるところ、ゼロステージやスタートアップというところは、非常に不確実性が高いものですから、一般的には民間の資金、投資が受けられないということになります。
 そこで、アメリカ政府は1982年にSBIR(Small Business Innovation Research)という仕組みを創りました。各省庁で1億ドル以上の研究開発予算を持っているところは、そのうち2.5%をベンチャーに振り向けることを強制する仕組みを創り、かつ、三段階支援にしています。最初は、各省庁がテーマを出します。いろいろなベンチャーに相応しい先端的なテーマを提示します。こういうものが欲しいということをアイデアとして出します。そして、応募させ、第一段階の支援はF/Sとなります。審査を通りますと、6カ月で1,000万円ぐらいのお金を渡して、単に技術だけではなくて、技術とマーケット、technology & marketをきちんと見て、どのようなビジネスプランを書くのかということやらせます。一段階目を通りますと、次は、試作品を作らせます。75万ドルを渡して、2年間やらせる。試作品ができてきますと、絵に描いたアイデアも、このように具体化できるのかということが明確に見えてきます。これだったら事業化できる、という判断がつくようになります。三段階目には補助制度はありません。支援スタイルは二通りあって、まず、その省庁が政府調達をして「最初の買い手」となり、購買代金によって「次」へのファイナンスにつなげていきます。政府調達しない場合には、ベンチャーキャピタルに紹介していきます。NASAや国防総省は調達系でいきますが、エネルギー省では調達するわけにまいりませんので、ベンチャーキャピタリストにつなげていきます。本家のSBIRは、こんな仕掛けです。シーズを具体化、見える化するという、民間では対応できないパブリック・ドメインの部分で、政府が強力にサポートしています。かれこれ年間2,000億円ぐらいの資金をベンチャー向けに、アメリカ政府は出しております。日本では、形だけの「日本版SBIR」に登録された既存補助金が400億円ですが、全く機能していないというのがベンチャー関係者からの率直な評価です。こうした観点から、本格的な多段階式のSBIRを導入すべきということを盛り込ませていただいております。この問題意識は、総合科学技術会議での議論にもありまして、第4期科学技術基本計画の中にも盛り込まれようとしています。それと平仄を合わせて、こちらにも盛り込んではどうかというご提案でございます。

○小川委員
 新しく出てくるベンチャー企業にとっては非常にやりやすくなるでしょうね。期待しております。ありがとうございました。

○妹尾会長
 今のお話は先ほどの佐々木委員の3番目の指摘と関連してくることだと思うので、それのご理解だというふうに、よろしくお願いをします。
 ほかに項目立てで。

○出雲委員
 項目立てで1つと、もう一つ、今福島委員がおっしゃったことで一つ、2つお話しさせていただきたいんですが、まず1つ目の項目立てについて、2.の(1)のロに技術流出防止のための環境を整備する。この中では主に会社の中での技術者の営業秘密に対する意識の向上ですとか、社外に非常に重要な情報を持った人材の流出を防ぐための営業秘密管理をいろいろと指導啓発するという内容が記載されていると思うんですけれども、これと同じくらいに重要だと思うのが3.の中にない。つまり、大学の技術情報を流出を防止するために学生の発明についてどう取り扱うのか。もしくは大学の研究室や教授の学界発表において企業との共同研究の秘密情報を流出を防止するための環境整備も同様に重要なことだと思いますので、この1.のロの中に含まれている技術流出防止のための環境を整備すると枝番のロの中に入っているのは非常にすばらしいことだと思いますので、この技術流出防止とここに記載する場合には、企業からの流出も防止し、かつ大学やその他の場所からの流出についてもそれぞれのいずれかの場所で防止について十分な配慮や努力をしている。そういうことがわかる項目になっていないと、最近は東大も随分意識が低くて、物の盗難が多いみたいなことが新聞の記事にも取り上げられておりましたけれども、ことほどさように企業よりも恐らく十分な配慮がなされておりませんので、1.のロで記載がある場合には、大学についても注意喚起していただけるような章立て構成だとよりメッセージが伝わるんじゃないかと思ったので、その構成について一言申し上げさせていただきました。
 もう一つ、福島先生と、先週西山先生がおっしゃっていたことに関わるんですけれども、当社も我々これからPCTを出させていただくんです。2月までの間であれば先行文献調査の弁理士事務所でかかる費用を特許庁が立て替えで補助してくれるというのがあるので、私ども2月中にいろいろ先行文献、類似の特許と各国での新規性、類似特許がないかの調査を行って、PCTこれから出願するんですけれども、これが今福島先生がおっしゃったような非常に不安定な状況だというのは私非常に驚きました。ですので、なおさらなんですけれども、西山先生が前回特許庁の審査請求の手数料ですとか、さまざま値下げと原資の関係についてご質問されて、原資があるから値下げするというお話しだったんですけれども、そこに本当にニーズがあるのかどうかはぜひ注意深く検討していただきたい。特許を実際に取得して、ライセンスフィーの収入がある、特許で何かメリットがある、特許について非常に真剣に考えているベンチャー企業や大企業は、本当に審査請求の手数料の値下げ、減免を望んでいるのか。私は個人的な考えも入ってしまうんですけれども、そんなものは望んでいないと思うんです。それよりも、先行文献の調査のデータベースの拡充と、早期審査とスーパー早期審査並みの早い審査請求とその後の特許査定か拒絶査定を早く取得を目指している人にお返事をいただくほうがはるかに重要なことだと思っていますので、値下げに充てるよりも、文献の充実や、今、福島先生がおっしゃっていた民間開放、同じデータベースにアクセスできるのでしたら、我々もしっかり先行文献調査をして早期審査にかけることができるようになりますので、この部分について、ぜひ、ちょうど今日は福島先生と前回西山先生がおっしゃっていた内容に私もプラスして、広くアンケートをとると値下げ、減免についての要望が多分70%とか、一番多く出てくるとは思うんですけれども、本当に過去に特許で何かライセンスフィーがある大学発のベンチャー企業なり大企業が、それを最初に求めているのか。それよりも権利の安定性と迅速性についても十分ご配慮いただけるとありがたい。2点目はお願いでございます。

○妹尾会長
 今の、まさに血の出るようなご発言だと受けとめます。技術流出については、この書きぶり、大学のほうもぜひというのは非常に良いご指摘だと思いますし、この辺の書きぶりは工夫できそうですね。どうですか。

○原参事官
 出雲委員ご指摘の最初の点につきましては、わかりにくい書き方になっているかもしれませんけれども、10ページをごらんいただきますと、「大学における普及啓発」、これは大学の「知」の活用というところに整理しておりますけれども、営業秘密の保護についてしっかりと普及啓発を行うというのも入れてございます。こういったところを必要に応じて再掲することも含めまして、対応を検討させていただきたいと思います。

○妹尾会長
 工夫で多分もっとわかりやすくなると思います。2つ目のものについては、ご指摘は、安くすることもあるかもしれないけれども、安価よりも安定、あるいは迅速、効率性よりも効果性を見てほしいということのご指摘だと思います。これについては特許庁その他と相談をしていただくようにお願いします。

○近藤局長
 さっきの福島さんがおっしゃった30%、65%という数字を聞いて、私は非常にショックを受けています。まずそこの事実関係を含めてよく見て、何かどこかで多分計算方法にも若干何か違うような気もしますが、とにかく質が遅れているのでは話にならないので、その辺は特許庁と相当真剣にやります。今年の計画にどこまで書けるかわかりませんが、もしこういう実態があるのであれば、これは早急に直さなければいけない項目ですから、何かちゃんとやるようにいたします。

○妹尾会長
 金額的な減免的効率性よりも、まず使う方々の効果性を考えなければいけないというご指摘は、全くそうだと思いますので、これはぜひ検討していただきたいと思います。 西山委員、お願いします。

○西山委員
 出雲委員からの指摘にも呼応する形で、できれば佐々木委員の指摘にも呼応したいんですが、数値化という点について一つ発言させていただければと思います。まず、原参事官が発言された2−1の2ページのこのピラミッドのようなストラクチャーです。この3つがあって目標が達成できるという構造もしくはフレームワークと呼んでいいと思うんですが、これは非常にいいと思います。まずこのフレームワークは今後もずっと使う、しばらく。これを議論のフレームワークにして、この件はここですというディファレンスが常にずっとあるようにしていくと議論がぴしっとおさまっていくので、フレームワークはずっと崩さない。せっかく皆さんいいとおっしゃっているわけですから、これはずっと使う。 その上で、佐々木委員がおっしゃっていた人材が、例えば100万人いて、競争力強化が1ポイント上がるんだとするならば、5ポイント上げるためには人材何倍いなければいけないのかとか、人材は100万もかわらなくて5ポイントを上げなければいけない場合は、先ほどおっしゃったようなエクイティファイナンスをして、金の力でスピードアップをするとか、もしくは外部の知の財を50%ふやしてイールドを上げるということに。イールドは一定で成果を上げるようにするのかとか。モデリングをぜひこの上に追加されたらいいと思うんです。 実は、この議論の中で必要なデータは全部出ていると思います。恐らく、皆さんの知見を集めれば何がキーとなるドライバーになるのかということも実ははっきりしていると思います。人材の数と制度と歩どまりです。あとはキャピタルによるスピードです。時間をお金で買うというエクイティファイナンスの効果、これをこの中にぶち込むと、2020年までに中小企業の、例えば輸出を10兆円から14兆円にする。人口が伸びないところ、伸びているところに中小企業、最も我が国の産業で雇用が多いところから輸出できるようにするということによって産業力を強化するというふうにいっているんだったら、ここの部分のインパクトが最大化になるようなパラメーターとドライバーをどのくらいふやすといいのか。もしも財源が限られているならば値下げで財源を減らすんじゃなくて、精度をアップして、インパクトを大きくするという議論がより細かく毎回毎回議論がなされるようになると、非常にプロダクティブで、生産性の高い議論が今後できるようになると思います。 したがって、数値化ということについて発言をしたわけですけれども、このフレームワークを使う。それから既にデータとして出てきていることもちゃんと盛り込んで、ドライバーが何かを決めた上で、この目標が、今これは成果イメージということになっていますし、2010年と随分先の話になっているので、2010年、11年、13年という短期的に、では何ポイントずつ上げていって、どこをドライバーにするのかということを話し合っていけば、随分この会議の中身が変わってくるように思います。ぜひご検討いただければと思います。

○妹尾会長
 フレームワーク、三本柱、これは事務局が大変ご苦労されたのが大分評価されているので良いのですが、数値化のところは今回どこまでという話はかなりきつい部分があると思うのですが、どこまでできるか、どうでしょうか。問題提起はもちろんよくわかります。ただモデリングは下手にするとひとり歩きするので、少し精査をしたいというところもあろうかと思います。課題として事務局で検討していただくことにしたいと思います。
 高柳委員、お願いします。

○高柳委員
 中身について、例えば今中国、北京でJETROに年間3,000件の質問が、大企業、中小企業からくるそうです。そういう意味では、中小企業、企業側を単にマネジメントのいろいろなお手伝いをするだけではなくて、実際現場で起こっていることがどういうことなのか。いろいろな質問に対する回答をされているわけですから、分類、分析して、そういうのを、例えば中国における技術移転、いろいろな進出のときのガイドラインをつくるということも非常にこの趣旨にかなうんじゃないかと思います。
 それから、もう一つは、例えば中国の技術移転法、これはよその国の法律ですからこれについて干渉するわけにはいかないんですけれども、例えば技術輸出といった場合にすべての第三者特許について保証するということが法律で定められて、それによって実例でもいろいろな損害賠償をくらった相当な被害を受けた企業もいるわけです。そういうのを、中国あるいは訴訟のいろいろな制度もそうでしょう。これのグローバルスタンダート化を官民挙げて、あるいは日本だけではなく、欧米の力もかりながら、その国のインターナショナルなグローバルスタンダード化、制度をグローバル化していくというところに国として働きかけるというところが、環境整備や活用促進に資するのではなかろうかと思います。そういうところも、なかなか難しいですけれども、日本はかつて、つい最近でも模倣品対策のために中国にミッションを派遣して、官民挙げていろいろやったと思うんです。相手の国の制度を変えるのは難しいんですけれども、いろいろなことを通じて働きかけるということは引き続き努力をしていくべきではないかなと思います。

○妹尾会長
 JETROの件については、JETROさん自身も随分やられていると伺っていますので、それをこういうところでもバックアップできれば良いと思いますし、2番目のことはまさに我が国の知財システムの競争力を強化する中で先導していきたい話ではないかと思います。ありがとうございます。

○山本委員
 みんなが賛成した後に、賛成ではないという意見を言ってしまうのかもしれません。西山委員のぶれないというご意見には賛成ですが、私は必ずしもぶれないことがいいとも思わないです。世界の情勢が変われば臨機応変に対応することも必要だと思っています。
 2点ありますが、1つは、前回の会議でも強い特許という議論はされています。この1番の(2)で、特許の安定性を向上させるという言葉はあるのですが、前回荒井委員からもたしか強い特許でなければだめなのではないか。今日ご欠席ですが、相澤委員からも強い特許についての見解が示されています。特許侵害訴訟の低い勝訴率で、低い損害賠償率では弱い権利となる。私は一つ一つの特許の侵害訴訟とか知財高裁の判決を見ているわけではないので、損害賠償率や勝訴率が高ければいいものかどうかというのは何ともいえませんが、強い権利にならなければ本当に世界をリードできるんだろうかという疑問があります。
 例えば中国が3倍賠償をやってロシアが3倍賠償やったら、3倍賠償が世界のディファクトになりますね。そうすると、日本が低い損害賠償率であれば、ジャパンバッシングが起こってからガラパゴスになるという危険性があるのではないかと思っています。だからといって3倍賠償にしましょうというのを提言しているわけではないですが、本当に強い権利ということについて議論が抜けているのではないでしょうか。特許の安定性ということで書かれていますが、ここに書かれているのは、特許審査のクオリティを高くしましょうとか、多言語で対応しましょうというような話であって、強い権利にしていくという大変重要なことが抜けているのではないだろうかと思っておりまして、そこは皆さんのご意見をお聞きしたいところです。
 今申し上げたことは一番重要な私のポイントですが、もう一つは私の仕事は産学連携なので、一応資料2−2の9ページのことについても言及をさせていただきます。ずっと前から大学知財本部とTLOの再編強化というのがございますが、今日ご欠席の相澤委員からも出ていたのは、知財本部とTLOの在り方を考えなさいという話でした。私は評価指標という話もしておりましたけれども、結局評価指標というのは在り方を考えることであるので、再編・強化というと単純にリストラや、どっちかつぶすとかいう議論でしかないような気がしています。そろそろこの言葉を変えて、やはり見出しの威力というのは強いですから、大学知財本部・TLOのあるべき姿を検討し、それの評価指標をつくるというのを見出しにしていただいた方が、その結果再編されてもいいですし、そちらが主であるべきではないかと思っています。
 それと、先ほどJETROの話がありましたけれども、大学の「知」を活用したグローバルな成功事例と見出しではあるんですが、グローバルという割には国際出願支援しか入っていないので、前回の資料の中でもいろいろな関係機関との協力みたいな、JETROとの協力という話も議論されているわけなので、そういった部分も表現として入れていただいたほうがよいのではないか。
 SBIRは大賛成で、こういうことをどんどん推進していったほうがいいと思います。
 あと一点あるのは、医療イノベーションで議論されているのは、いわゆる死の谷というのを埋めるためのファンクションを何かつくれるんじゃないか。アメリカだったらベンチャーがリスクをとってやっているところを、例えばバイオの世界でいえば、それを機関としてつくれるのではないかというような議論もしております。そちらはまだ余り詰まっていないので、ここに入れる段階ではないかもしれませんのでもしかすると次年度かもしれませんが、検討の中に入れていきたいなと思っています。場の構築という、ファジーな言葉で終わることが多いので。
 以上です。

○妹尾会長
 確かに9ページの下の再編強化が自己目的ではないということは、相澤委員も、渡部委員も、山本委員も繰り返しておっしゃっていたことなので、それが十分反映し切れていないので、この辺は少し再検討をしていただいて、趣旨に沿うようにしましょう。つい自己歩きをしてしまうというところがあるので、これは良いご指摘をいただいたと思います。おっしゃるとおりだと思います。
 その前の安定性なのか強い権利なのかというのは、我々は産業競争力としてこれを議論している立場ですので、産業競争力上強い権利ということの話を盛り込む話でこれはいきたいように思うんですが、そこの部分について。荒井委員。

○荒井委員
 ぜひ4ページのところには審判とか裁判、こういうのも含めて全体の日本の特許システムを立派なものにするという面を出していただいたらいいかもしれません。
 項目だけということで中身はまた別途ということですが、4ページの(2)の2つ目、多言語対応の外国語特許文献の検索システムの整備ということですが、日本語以外の特許文献を日本語で網羅的に検索できる環境整備をするというと多分機械翻訳か何かのイメージではないかと思うんですが、多分相当また誤訳が出てきたり何とかするので、こういうのがいいのか。もっと国際的に力をあわせてやるという、国際協力というか、国際的にやっていって質を上げる。安定性を高める。それからさっきのように漏れをなくすとか、何かちょっと、コンピューターを使うのももちろん大事ですけれども、国際協力をもっともっとみんなで力を合わせてやっていくということを前に出されたらどうかと思います。
 個別の項目はありますけれども、これはまた別の機会ということですので。

○妹尾会長
 今一緒にお話しいただいても構わないと思うんですが、今のご指摘は、要するにこの文言がWHATではなくて、HOWまで決め込んでいるけれども、それでいいのかというご指摘だと思います。今のようなやり方だってあるじゃないか。趣旨は、これは一体どういうことなんだということをもう一回考えてくれという、そういうご指摘だと思いますので、HOWに走り過ぎている書きぶりであるのは確かだと思います。
 続いて。

○荒井委員
 簡単に、項目だけ。3ページの国際共同審査の実施、こういうことでぜひやっていただきたいんですが、国際協議の推進とか、あるいは4ページの、ぜひこれは、安定性の向上や、質を上げるためにもなるのだというので、ぜひ両方の連携をしていただいたらいいと思います。4ページの4.の(2)。それからもう一点は、世界標準の特許分類の構築ということですが、みんなで構築するのか、そうではなくて、前回の話のように、もうECLAにアメリカがのって、それが実質米欧間のものになっているのであれば、あとは日本のFIに足りない部分だけのせて、むしろ早く国際標準をつくるという典型的なケースではないかと思いますので、その辺色彩を出して、ECLAにいかに日本が足りない部分を加えて、世界の標準を特許分類をつくるのに貢献するかという表現のほうがいいんじゃないかと思います。
 それから、9ページの中小企業の特許関係を書いていただいているわけですが、3つ目には対象となる中小企業の範囲の大幅な見直しということではなくて、むしろ対象となる中小企業の範囲の限定をやめるとか、そういうことをぜひ書いていただきたいということです。
 全体を通じて、さっきの評価のこともあって、私どもはぜひ各府省にも一生懸命やっていただくのを希望するわけですが、できるだけ具体的に、最後に第一線というのでしょうか、日本じゅうの現場が具体的によくなるようなところまで、そういうところはハウを具体的に書いていただきたいと思います。

○妹尾会長
 この標準に関してはまさに標準戦略的にどう考えるかという話ですね。標準間競争でガチンコをやるのか、相手の標準にのってこちらがつけ加える戦略をとったほうが得なのか、標準戦略としてもう一回見直しをしてほしいというご指摘だと思います。ありがとうございます。
 江幡委員。

○江幡委員
 資料2−1の参考のこの図については非常にわかりやすいと思いますが、1つだけコメントがあるとすると、産業競争力の実現というのは目標でありながらも、常に循環するものであって、産業競争力の実現によって人材育成がさらに促進されてくるし、また人材育成の促進によってさらに競争力強化が図られるというような循環が見えると、この図の目的がよくわかるのではないかと思います。
 また、先ほどから特許庁でのPCTの審査に関連する問題が指摘されていますけれども、特許庁の審査官と話をしていると、ノルマ至上主義による疲弊感というのも多少感じないわけではございません。特許庁にもますます良い人材が入ってくるような、そういう存在であり続けてほしいと期待を込めて思っております。
 それから、知財人材の一つである、司法の分野の弁護士も同様でして、元々はロースクールによって多彩な人材が入ってくること、技術分野の経験を持つ方であるとか、企業での経験のある方が入ってくることが期待されていたのですが、最近の厳しい環境の中で、現実としては、企業出身者などのさまざまなバックグラウンドの方がロースクールへ入学し、弁護士になっていくというパターンが減りつつあるようで、ロースクールの本来の目的とは違う方向に進んでしまっているようです。常に循環するものでありますので、知的財産の分野がより魅力のある分野であり続けなければ、いい知財人材というのは望めないかと思います。
 裁判の場面での権利の安定化については、権利が単に強ければいいのかというと、必ずしもそうとはいえないとは思いますが、知財司法システムが魅力あるもので、ユーザーが使いたいと思うようなものでなければならないというところは共通した問題意識ではないかと思いますので、それがどういう形で果たされるべきなのか、現状のままでいいのかということは検討していく必要があるのではないかと思います。 以上です。

○妹尾会長
 今おっしゃられた知財司法システムというのは、まさにここでかぎ括弧つきで知財システムをやっている根幹の一つであるという認識でありますから、競争力を強化すると同時に、魅力度を強化するということだろうと思います。
 それから、今のポンチ絵のところが循環が見えるような形というのは、これは何をおっしゃっているかというと、要するに学習するスタイルにしろということだと思います。その意味では山本委員が先ほど固定するなと言われたのと同じで、学習フィードバックを回せということですね。終わったから良いということではありません。決して西山委員と意見が違っているわけではないと思うので、そういう形で理解をさせていただければと思います。
 ちょうど時間があと5分になってしまったのですが、項目立ての話……

○西山委員
 先ほど検討という言葉を妹尾会長が使われたんですが、やはりモデル化、数値化のところでもう一つ強い希望を述べさせていただきますと、佐々木委員が先ほどローリングをしながらどのくらい改善があったのかを可視化していくべきだというコメントを発言されたと思うんですが、モデル化をする、もしくは数値化をすることの意味合いというのは、それを金科玉条のこれをやっていないじゃないかということではなくて、ある仮説を立てて、これに基づいて試してみたらよくなったとか、だめだったということがわかったので、モデルそのものを変えるのか、もしくはこのパラメーターをさらに強化するようにするのかということがわかるようにするということだと思いますので、せめてこれをモデル化するということが難しいんだとするならば、我々企業でいうと予算です。利益を達成するために、コストを下げるのか、売り上げを上げるのか。売り上げを上げるのはどのセグメントでやるのかということを、時系列と項目ごとに分けて、ベンチマークを立てて、他社とか、やっていくというのは物すごく大事なよう気がします。ベンチマークなり、目標がきちんと書かれるようになってきたら、議論が物すごくぐっと深くなってくると思うんです。タスクフォースでやられている部分もあると思うので、詳しくこの分野でこうで1位という話はここではできないのを知った上での話なんですが、せめてそういう議論がなされるようになったときに、何かまた違う次元の議論がまたできるようになるんじゃないかなということを思って述べました、検討以上のことがもしもされれば、ぜひと思っています。

○妹尾会長
 僕は検討という言葉で申し上げたんですけれども、今のお話も要するに学習するということだと思います。ファーストループなのか、セカンドループなのか、サードループなのかというフィードバック論の基本なので、そこのところをモデル化するということについては、ある段階までで一つ一つ詰めていきたいと思います。それはおっしゃるとおりだと思います。ただ、余りエンジニアリング的になってしまうと自己目的化してしまうので、企業の場合、個々の事業の場合は良いのですけれども、政策的な場合にはそこがかなり難しい部分があるかと。そこでちょっと僕は慎重になったということだと思います。

○西山委員
 最後に。と申しますのは、どうしてもここは知財システムといったといったときに特許によりがちな議論になっているんじゃないかという気がしています。実はけさある大手中国IT企業の社長と会談をしていたんですが、びっくりしたのは、彼らアメリカで成功した企業のビジネスモデルをクローンが生まれてくるようなテンプレートをサーバーにのせて無料で配布するビジネスをやっているんです。いろいろなプレプレーナーがそれを見つけて、デッドコピー、すなわち本当に全く同じ中国版の企業がたくさん出てくるようになったらそれを売却させるみたいなことをやって、安く買って高く売ることを仕掛けているんです。特許もへったくれもなくて、確かに知財なんです。うまくいっているモデルをただで仕入れてただで配ってたくさん試させて、安く仕入れて高く売るということをやっているんですが、ここには特許の「と」の字も何もないんです。しかし、確実に知財は生かしているし、知財をお金に変えてはいるんです。すべてトラフィックは中国のサーバーに集まってくるんです。これはあるモデリングをして、ここに外から引っ張ってくることをしなければいけないという議論をするには、そういったものも盛り込めるような土壌を議論につくっておかないと、この議論からごそっと抜け落ちてしまうような気がするんです。そうこうしている間にどんどん本当にお金を稼げる知財はそういうことをやっている人たちのところにいってしまいますので、ぜひそれが酌み取れる議論のフレームワークにして活用していただければというのが趣旨です。

○妹尾会長
 ちょうど時間になりそうなんですが、当初全体項目立てのことを伺ってそれから各内容の項目を一つ一つあらおうかと思ったんですけれども、皆さん項目立てと中身を全部言ってくださったので、ちょうど時間ぐらいになりました。まだご指摘されたい部分もおありかと思います。それは早急に事務局ないし私に言っていただければと思います。次回が取りまとめになりますので、それまでに議論できるところは議論し、それから書き込めるところは書き込むし、それから課題としていただくところはいただくということで少し整理をさせていただきたいと思います。全部が全部拙速をできるわけではないので、その辺のあんばいを見ながらぜひ言い足りなかったことについてはご指摘をいただきたいと思います。ただ、この席上でまだ何か、ここでとにかくもう一回言っておきたいということがおありでしたらぜひ。

○野元委員
 具体的な項目ではないんですけれども、「知」の活用というときに、アメリカで今起こっているのは、ご存じのようにパテントトロールが物すごく多くて、特に日本企業はどんどんターゲットになっています。私も非常に訴訟に悩まされているんですけれども、それは知財の活用といえば活用なんだけれども、活用の仕方を特許法の精神なんか全くなくなって、間違っていると思うんです。だから、我が国でも事業の撤退、再編がある中においては、取った特許を本来の事業運営で使わなくなって、別な使い方をするということもぼつぼつと出てきつつあるんです。だから、知の活用を促進する、これはいいんですけれども、このベースとしては、やはり産業の健全な成長という、そういうもとにやらないと、何のためにやっているのかということになりますので、どこかの国みたいにならないためには、我々はそういうような考えを持つということはどこかやはり持っておかなければいけない。
 以上です。

○妹尾会長
 恐らく、今ご指摘の部分はまさに知財計画の2011の骨子の中で、今文章が、素案が皆さんのお手元にあると思いますけれども、そういうところの中のトーンとして反映されるというふうに思います。健全なる、しかし、したたかな競争力を持ちたいということが我々の願いであります。
 それでは、事務局から何か、全体で何か皆さんにお伝えしたいこと。

○上田次長
 ありがとうございます。今日は大きな方向性、問題意識、それから各論までいろいろご指摘いただきまして感謝申し上げます。そういう中で、できるだけ次回に向けて反映できるところは反映していきたいと思います。各論のところで、例えば荒井委員から具体的に特許のところなどでこういうふうにやったほうがいいんじゃないかというご指摘をいただきました。そこに限らないんですが、これは事務局がまだ関係省庁と十分議論している。彼らが同意したものでもございません。これは例えば山本委員が9ページのところで再編強化の中身のところの文章、2011年のところの指標の話もありますが、これもまだ関係省庁と意思統一ができているものではございません。我々は今日いただいたご意見を関係省庁にも伝え、そういう中でできるだけ、一方では最初の議論に戻りますが、やはり2011年の計画を立てるということは、できるだけそれが実施される計画になっていく。そういう意味では関係省庁とも意思統一、いつまでに何をやるかというところをできるだけそこについてはしっかり調整させていただきたいというふうに考えておりますので、そういう意味では次回までそういう作業を続けさせていただきたいと思います。

○妹尾会長
 全体の状況をぜひご理解いただきたいと思います。この項目立ての文言、それから中身の文言、それぞれご意見まだまだおありかと思いますけれども、事務局ないし私にお寄せいただければと思います。私自身もちょっと心配しているのは、先ほど原さんがちゃんと説明してくださったんですが、この構成と、それから骨子の素案のところの関係性なんです。例えば知財マネジメントを駆使できるような知を最大限に活用するというところに、むしろ国際標準化を軸としてみたいな文言が入ったほうが、実はすんなり我々のこの専門調査会としては意見が骨子の中で滑り込みやすいのではないかとか、そういう配慮も実は必要なわけです。その辺は事務局に引き続き検討していただこうと思っております。皆さんからまたご指摘があればぜひ早目にお寄せいただきたいので、よろしくお願いをいたします。去年もそうだったんですけれども、最後のあたりになると皆さんの熱がぐっと上がってきて盛り上がるんですけれども、そのときには時間が足りないみたいなことがあります。余談ですけれども、来年は少し早目にエンジンをかけるようにしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、予定の時間を超えてしまって恐縮なんですけれども、本日の会合はここで閉会したいと思います。次回以降のスケジュール、ご紹介をいただきたいと思います。

○原参事官
 次回、第8回の専門調査会になりますけれども、3月7日月曜日午後2時から4時で開催させていただく予定でございます。次回の会合で「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項、これを取りまとめさせていただければと、こういうふうに予定をしてございますので、どうぞ引き続き委員の皆様にはよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○妹尾会長
 それでは、本日はご多忙のところ、花粉が飛び交う中、どうもありがとうございました。これで終了したいと思います。