知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(第4回)



  1. 日時 : 平成25年4月19日(金)14:00〜16:00
  2. 場所 : 知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 妹尾会長、相澤委員、足立委員、荒井委員、大渕委員、岸委員、杉村委員、西山委員、本田委員、渡部委員、柳生参考人、奥山オブザーバー、山田オブザーバー
    【事務局】山本大臣、内山事務局長、山根次長、作花次長、畑野参事官、木村参事官、安田参事官
  4. 議事 :
    (1)開  会
    (2)知的財産政策ビジョン(案)について
    (3)知的財産推進計画2013骨子に盛り込むべき事項(案)について
    (4)閉  会


○妹尾会長 皆さん、こんにちは。ただいまから「知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(第4回)」会合を開催させていただきます。本日は、御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。
 本日は、知的財産戦略担当の山本大臣が御参加の予定ですが、少しおくれていらっしゃるということなので、開始させていただきたいと思います。
 それでは、本専門調査会で審議すべき今回の知的財産戦略ビジョン(案)と知的財産戦略本部に提言する知財計画2013の骨子に織り込むべき事項の取りまとめに向けた議論を行うということが会合の目的であります。本専門調査会としては、きょうが取りまとめに向けた最後の議論になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、奥村委員、高橋委員から御欠席との連絡をいただいております。それから、知財戦略本部員からは、山田本部員と奥山本部員に御出席いただいています。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、2つある議題のうちの最初のほうです。知的財産政策ビジョン(案)についての取りまとめであります。先週、ワーキンググループの取りまとめが行われましたけれども、その案について御議論をお願いしたいと思います。
 まず最初に、事務局からの説明ということで、安田参事官、どうぞよろしくお願いいたします。

○安田参事官 まず、配付資料について確認させていただければと思います。資料1から5、それから参考資料1を席上に配付してございます。
 なお、資料1には、別紙の形で1枚だけ、資料1別紙ということで、パテントボックスに関する資料が配付されております。
 それから、資料3につきましては、各委員のみでございますけれども、見え消しバージョンの資料も配付してございます。
 それから、資料5につきましては、本日御欠席の奥村委員の提出資料になります。
 参考資料1につきましては、過去の議論で使用したファクトでございます。本日の御議論の参考としていただければと思います。
 資料の抜け等ございましたら、お申し出いただければと思います。
 それでは、知的財産政策ビジョンの報告をしたいと思います。資料1をご覧ください。80ページ以上の大部になっております。
 競争力強化・国際標準化専門調査会とコンテンツ強化専門調査会のもとに設置されました知的財産政策ビジョン検討ワーキンググループにおきまして、最終回であります先週金曜日、4月12日に御議論された知的財産政策ビジョン(案)になります。資料1でございますけれども、4月12日の議論で使用したものと内容的には同じものとなってございます。本ビジョンの案につきましては、本日の御議論、それから前回12日の御議論、それから先日、17日に行われましたコンテンツ専門調査会における御議論を踏まえまして、最終的な取りまとめにしたいと思います。
 それでは、本ビジョン(案)について簡単に御説明したいと思います。
 まず、「はじめに」のところでございます。
 全体を通じた情勢認識ということで、最初の文章でございますけれども、冒頭に長い伝統と豊かな文化、そして幅広い分野の最先端技術を有する我が国は、知的財産をその強みとして世界のリーダーシップを取って行くべきであるということで、知財を強みとして世界のリーダーシップをとるといったことを打ち出してございます。
 そして、第3パラグラフになりますけれども、知財を強みとした世界のリーダーシップをとっていくために、その土台となる知的財産システムを、我が国が知財先進国としてイニシアチブを取って構築していくことを記載してございます。
 (1)、これまでの総括でございます。第1パラでございますけれども、我が国は、2002年に総理大臣自ら知的財産立国を宣言して以降、知的財産基本法の施行や50本以上の関連法の改正、それから知的財産本部の設置など、省庁横断の体制を構築して重要な政策課題に取り組んできたということでございまして、特に競争力強化の観点でございますけれども、大学における知的財産本部の設置を通じた産学連携の強化、それから知的財産高等裁判所の設置、任期付審査官の大量採用による特許審査期間の短縮化などが大きな成果として挙げられると思います。
 一方で、先ほど申し上げましたとおり、新興国各国のプレゼンスの向上、それからビジネスのグローバル化、知的財産政策の前提となる社会情勢が急激に変容しているということでございます。そのため、知的財産政策の一部については更なる踏み込み、あるいは方針の再検討を含めて、必要な施策を打っていく必要があるというのが総括でございます。
 続きまして、(2)産業に関する情勢認識でございます。デジタル・ネットワーク時代の到来や経済のグローバル化に伴いまして、ビジネスモデルが根本から様変わりしたということでございます。勝ち組企業が従来の事業モデルの「改善」だけでなく、事業モデルそのものを創造・転換する「イノベーション」を競争力の源泉としているということを踏まえまして、企業は自らの事業に即した戦略的な知財マネジメントを構築して、知的財産を最大限活用しながら事業活動を推進していく必要があるといった認識でございます。
 それから、(3)でございます。特許制度導入当初を想定いたしました、製品を少数特許で排他的に独占するビジネスモデルといったものが、今や多数の特許が使われている製品の増加により、その前提は大きく崩れている点。それから、ものづくりとコンテンツが分野横断的に複雑に絡み合う今日の産業の構造に対応するといった点から、多種多様な知財マネジメントを支える知的財産制度が求められているという認識。
 また同時に、グローバル化に伴いまして、国家間の知的財産分野の制度間競争が起きているという認識でございます。
 そういった認識から、我が国の知的財産政策の検討に際しましては、国内の法的整合性に留まることなく、産業財産権と著作権といった従来の政策分野の分類法を越えるとともに、科学技術政策や文化政策などとの融合を図りながら、知的財産政策の検討を行うといった必要性について記載してございます。
 最後、(4)でございます。こういった情勢認識を踏まえまして、本ビジョンでは4つの柱を軸に施策を展開しまして、我が国の国際競争力の強化を目指すとしてございます。
 第1の柱が、産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築。第2の柱が、中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援。この2つが競争力強化関連の柱でございます。
 それから、コンテンツ強化関連でございますけれども、第3の柱、デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備。第4の柱、コンテンツを中心としたソフトパワーの強化といったことでございます。
 後ほど、第1の柱、第2の柱について簡単に御説明したいと思います。
 とりあえず、私のほうから、「はじめに」の紹介を終わりにさせていただきたいと思います。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 全体としての御説明をいただきました。これについての議論をしていきたいのですが、ちょうど山本大臣がお着きになりましたので、御挨拶を賜りたいと思います。

○山本大臣 短く御挨拶させていただきたいと思います。安倍内閣で知財戦略担当をやっております山本一太でございます。本調査会に御参加いただいて議論していただいている皆さんに、まず感謝を申し上げたいと思います。
 知財の競争力強化というのは、コンテンツの強化と並んで、成長戦略の大きな柱の一つにしていかなければいけないと考えております。いつも内山さんのほうから、いろいろと細かくレクをいただいていまして、特許審査官のアジア新興国への派遣とか、職務発明制度の見直しとか、中小企業へのサポート料金の減免とか、たしかそういうことをここでもいろいろ御議論いただいていると思っていますが、ぜひ活発な御議論をいただいて、安倍内閣の知財ビジョンにしっかり織り込んでいただいて、これをぜひとも成長戦略の一つに位置づけていただくように、私のほうからもしっかりバックアップさせていただきたいと思います。
 あと、いろいろな委員会とか専門調査会に出て、大体、しゃべって、はい、さようならだったのですけれども、8つの顔を持つ大臣なのですが、きょうは日程を調整しまして、四、五十分、皆さんの議論をここで座って聞かせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いします。
 あと、最後の最後に、コンテンツ振興立国宣言。もちろん知財の競争力強化とか標準化も関係があるのですが、安倍総理にそれをやっていただきたいとあちこちで申し上げているので、総理みずからがコンテンツ振興とか知財ということで日本の国をさらに立て直していくという、昔の金大中大統領の文化大統領宣言ではないですけれども、そういう宣言を発信していただくような仕組みを、例えばこの知財戦略ビジョンの中でつくるとか、そういうことも大臣としてあちこちで訴えておりまして、皆さんにもぜひその構想をバックアップしていただければと思います。
 以上、一言だけ御挨拶させていただきます。ありがとうございました。

○妹尾会長 どうもありがとうございました。山本大臣、しばらくいてくださるということなので、ありがたいと思います。
 それでは、私はこのビジョンのほうの座長を、中村先生と共同座長をさせていただきましたので、安田参事官の説明に少し補足させていただきます。
 1つは、これは先日の資料そのものだったので、まだそのところの審議内容が十分織り込まれているわけではありません。なので、今、事務局がその作業を続けている最中という御理解をしていただきたいというのが、多分事務局も言いたい点だろうと思います。
 もう一つは、中身には私は触れません。個人的に、私はもっとラジカルにすべきだと思っていますが、それをやっているとビジョンそのものの取りまとめがおくれますので、今回ここで一旦置きたい。ただし、この10年の総括と今後の10年の見通し、10年タームでは、もう立ち行かないというぐらいの世界の加速状況だという認識を我々は持っていますので、この10年ビジョンが10年間続くというわけではなくて、この後、適宜ローリングをすべきであると考えております。
 恐らく、これは事務局との相談になると思いますけれども、それを毎年の計画の中に織り込むか、あるいはビジョン自体を、例えば3年で見直すような必要に応じた調整にするか、その見直し条項を入れるかどうか。その点の調整をまだしている最中であるという御理解をしていただきたいと思っています。
 なお、これをお読みいただくと、全体として用語の統一や何かがまだです。重要なことは、用語が統一されているか、されていないかというより、概念がしっかり整理されているかどうかということなので、そこのところは私と中村座長のほうで事務局と相談しながら、最後、詰めていくという状況になっています。その点を少し補足させていただきます。
 それでは、全体としての説明をしていただいたのですが、この後の第1の柱、第2の柱について具体的な説明を、参事官のほうから引き続きしていただきたいと思います。それでは、お願いします。

○安田参事官 それでは、まず第1の柱、7ページでございます。産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築でございます。このビジョンのつくりでございますけれども、基本的に各施策につきまして、まず現状の認識を示しています。ここでは、海外における知的財産権取得の支援ということでございまして、ASEAN、インドなどの新興国の重要性についてうたってございます。
 続きまして、構成の説明ですけれども、9ページ、現状に続きまして、課題というのがございます。アジア新興国においては、審査体制の整備が不十分であるといった課題。
 それから、それに呼応しまして、取り組むべき施策といったことで、10ページにあり、これの施策が幾つかあるということでございます。簡単に紹介しますと、アジア新興国の審査プラクティスをつくるために、審査官を相当規模で派遣するということ。
 下のほうでございますけれども、WIPOとの連携を強化して、日本の影響力を高めるといった施策が記載されてございます。
 続きまして、(2)、11ページに、海外におけるエンフォーメントをちゃんとするための施策ということで、以降、取り組むべき施策についてのみ簡単に紹介させていただきます。
 12ページ、海外に出ていった中小・ベンチャーをどう応援するかということでございまして、一気通貫でグローバル展開の支援をするということ。それから、現地大使館やジェトロなどの体制強化をして、知財活動の支援を一層充実させるということになっております。
 それから、(3)、14ページ以降になりますが、FTA、EPAの知的財産の保護が達成できるように働きかける。あるいは参加表明いたしましたTPPにつきましても、国益にかなう最善の結果を追求するといったことが記載されております。
 それから、17ページ、職務発明につきましても随分御議論がございました。ここにつきましては、「例えば」と4行目にありますけれども、法人帰属や使用者と従業者との間の契約に委ねるなどといったことで、ある程度方向性を定めた形の記載をしてございます。
 19ページは、審査体制の強化。ASEAN展開や、質を高める、それから、期間管理もするということでございますので、そのための審査体制の維持・確保を強化するという施策でございます。
 それから、営業秘密のところでございますけれども、こちらは22ページの最初のほうで、営業秘密侵害の立証責任の軽減の検討。
 それから、営業秘密侵害行為によって不正に製造された商品の水際措置を研究して、必要な措置を講ずるといったことが記載されてございます。
 それから、(4)適切な権利行使の在り方につきましては、25ページでございます。こちらも重要な課題だということで、権利行使の実態調査等を含め、継続的に検討を行って、必要な措置があれば講ずるということでございます。
 それから、(5)紛争処理でございますけれども、こちらは28ページの上のほうにあります。知財紛争が非常にグローバル化していることを踏まえまして、知財システム全体の他国における制度の調査・分析を行う。必要であれば措置を講ずるということでございます。
 それから、(6)国際標準化・認証への取組の強化ということでございまして、これは30ページの上にあります。
 まず、我が国の優位性を発揮できる新たな産業分野につきましては、戦略的に国際標準化をとっていく。それとともに、認証体制の相互の連携を含めました国内の認証機関の強化。それから、海外の認証機関との連携といったことを打ち出してございます。
 (7)産学連携でございますけれども、32ページになります。
 まず、最初の中小・ベンチャーとの連携を促す取り組みを検討するということ。
 それから、今、行っております、4つ目のポチでございますけれども、評価指標について、国による政策ツールとしての活用を図っていくということ。前回、専門調査会で議論がございましたけれども、一歩踏み出した記載をしてございます。
 3ポツ、人材育成でございます。これの取り組むべき施策は36ページに記載してございます。
 人材育成、いろいろな国を見ますと、政府系機関がしっかりやって、周りの民間機関を育てていくといった状況でございますので、日本も政府系機関が中心となって、世界を舞台に活躍できる知財人材を育成することとしてございます。
 飛ばしまして、38ページ。これは2つ目の柱でございまして、中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援ということでございます。
 取り組むべき施策は38ページの下でございます。再掲になりますけれども、海外に出ていった中小・ベンチャーをしっかり応援する。権利化から活用まで一気通貫で応援するといったことが再掲されてございます。
 (2)、料金減免でございますが、これはかなり踏み込ませていただきました。40ページでございます。中小企業、それから大学など公的機関については、広く減免対象とする制度に見直すということでございます。
 それから、ちょっと飛びまして、(4)知財総合支援窓口の強化につきましては、44ページでございます。総合支援窓口の席に座っているだけではなくて、企業訪問も含めて新規相談者の開拓をする。
 それから、総合支援窓口で、知財が今まで取り扱っていなかった著作権とか不競法などの相談にも応じるということ。
 最後、45ページの3つ目のポツでございますけれども、知財だけじゃなくて、いろいろな経営課題に対しても相談に来られた場合、ネットワークを強化することによって経営課題に対応するところにつないであげて、なるべくワンストップで相談できる体制を築いていくといったことでございます。
 最後、(5)、中小・ベンチャーの活性化でございまして、46ページの最初でございます。地域の企業に対して審査官が取り組むこととして、権利取得と権利活用に関する相談などのサービスを受けやすい体制を構築するといったことでございます。
 これがざっと流しましたが、第1、第2の柱の概要でございます。
 続きまして、先ほど紹介しました、資料1の別紙がございます。これは、前回のパテントボックスについての検討ということがございまして、これをこの場でどう取り扱うかといった御議論をしていただければと思います。民間企業の研究開発の促進のための支援策の例示の一つとして、パテントボックスがあります。パテントボックスというのは、特許権などから生ずる所得の税制優遇措置ということで、特許を活用する企業にインセンティブを付与するといった制度でございます。
 裏の2ページ目で、取り組むべき施策ということで、パテントボックスを含めた諸外国の制度や取り組みを調査・研究しつつ、導入効果、導入の際の企業の負担など、さまざまな要素を検討するといった記載としてございます。このパテントボックスの取り扱いについては、後ほど御議論いただければと思います。
 長くなって恐縮でございますけれども、資料2でございます。これは前回、第4回、最終回となりますけれども、ビジョン検討ワーキンググループにおける主な意見でございます。
 最初の「はじめ」にということで、10年間を見据えたということであるけれども、適宜見直しをしたらどうかといったことでございます。これは、そのように対応する。
 それから、グローバルと言っているけれども、アジアにフォーカスし過ぎているということで、アジアだけじゃなくて、いろいろなところも検討しているわけでございますが、そういった問題意識を「はじめに」の中で記載しようと思っております。
 それから、競争力関係ということで、下のほうにありますけれども、ACTAの重要性。それから、産官学連携の知財ファンドの活用の仕方。それから、世界で闘える知財人材の活躍ということでございますが、それぞれこちらの対応方針にあるような形で対応させていただければと思います。
 裏をめくっていただきますと、中小・ベンチャー、同じようなことでございますけれども、「更に」という文言を削除し、またシンプルな言葉を使ったらどうかということでございます。こちらは後ほど紹介しますけれども、既に2013推進計画のほうには、そのような変更をしているところでございます。
 それから、パテントボックス制度について、検討するという程度の記載はすべきということでございまして、これはまさに先ほどのお話でございます。
 最後でございます。非常に長くなって申しわけありませんけれども、本日、欠席の奥村委員からの資料について簡単に紹介させていただきたいと思います。2枚紙でございまして、ビジョンについての意見になります。
 ビジョンの目標が10年先の日本の姿が見えるようにするほうがわかりやすいのではないかということで御指摘いただきまして、10年後の日本・世界を見たときにどうなっているか。多くのベンチャー企業、中小企業が活発に活動しているということでございます。そういった状況を踏まえますと、新興国を含めた海外市場で事業展開しようと考える人材の育成こそが重要だと。この人材というのは、特定の専門性だけの人材だけでは足りない、すそ野を広くする、多くの専門家を輩出することがイメージされるということでございます。
 下のほうに行きまして、3分の1ぐらいのところでございますけれども、せっかくのビジョンですので、10年後のMBA取得者数等、人材育成ターゲットを設定するのがわかりやすいという御提案でございます。
 それから、日本国内で技術革新・イノベーションが発生しやすい環境をつくる必要があるということで、1ページの一番最後のところからでございますけれども、研究開発税制を含めた事業税制の改良、職務発明の改正。職務発明につきましては、下のアンダーラインがありますけれども、企業活動における職務発明の全ての権利が原始的に使用者に帰属するルールを明確にすることと御指摘いただいております。
 それから、最後、司法のことでございますけれども、今は訴訟が少ない。これ自体は別に悪いことではないのですけれども、特定の裁判官に訴訟案件が集中する体制をとったらどうかということ。あるいは、知財専門の裁判官の育成について、力を入れていくべきではないか。裁判官にノウハウが蓄積されるような運用の仕方があるのではないかといった御指摘をいただいているところでございます。
 以上でございます。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 今のビジョンですが、座長としてもう少し補足させていただくと、これは2002年に小泉政権のときにつくられた知財立国の時代は、いわば権利起点型の知財立国だったのですが、当然産業の中でということなので、今回はできるだけ活用起点型に寄せているところが重要な点だと思います。もちろん、知財そのものの制度的な側面は相当あるのですけれども、知財政策が自己目的化してはいけないので、産業政策の一環だということをできるだけ反映できたらなということがあります。これがどこまでできていたかは別でありますけれどもね。
 もう一つありますのは、2本の柱についてちょっと補足させていただきます。2本の柱の背後にある考え方は、1つは、先進国連携によって、新興国の知財先進国化を加速するということがあります。もう一方では、そうは言いながら、先進国が新興国との連携を個別にタッグを組もうという流れもありますから、新興国の日本型知財先進国化を促進して、相対的な優位性を保つというところが、この背後の考え方としてあるというコンセプトをぜひ御理解いただきたいと思います。ただ、それが実際の政策として書き得ているかどうかというのは、これはまた別です。
 もう一つ、中小企業については、中小企業イコール国内、大企業イコール海外という昔の輸出型モデルから、もう脱却しないと、グローバル経済の中で中小も大企業も頑張るという形ですから、そこへできるだけ知財政策的に寄せられればいいねということが根底にあることを御理解いただければと思います。
 それでは、早速皆さんからの御意見を伺いたいと思います。恐縮ですが、挙手をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。それでは、荒井委員、お願いします。

○荒井委員 11ページから海外における知財活動支援、それから13ページに通商協定を活用して円滑化を図るという方向はいいのですが、今、日本の中小企業も大企業も、アジアを初め、各地でにせものの被害に遭っていますので、これを単に、例えば11ページ、12ページにあります権利をとるときの応援だけじゃなくて、15ページの上のほうに書いてありますが、相手の国の裁判所、警察、税関がしっかり取り締まってくれるという働きをやる。
 それから、それに必要な法制度の支援、人材の育成をするということをもう少しはっきり書かれたほうがいいのではないかと思います。これは、今、切実な問題になっていますから、交渉でやるだけじゃなくて、具体的に応援してやる。相手の裁判所、警察、税関をもう少し明示して、しっかり応援する。結果として、日本企業のいろいろな知的財産が守られるというように、もう少しはっきり書いていただいたほうがいいのではないかと思います。それが1点目。
 2点目は、25ページから(5)紛争処理機能の強化ということで、知財は単に権利をとるだけじゃなくて、しっかり活用して、今、座長がおっしゃったように、そういうものを活用型モデルにしていくときに、1つは、権利が保護されるということが活用されるために一番基本として大事だと思います。26、27に日本にはいろいろ問題があるのだということを書いてあるのですが、28ページに行くと、取り組むべき施策が、必要な措置を講ずるということで、非常にあいまいになっています。
 いや、そうじゃなくて、これは世界中でどこの国で保護してもらったら一番いいかとか、そのこと自身は、その国でビジネスを起こすとか、いろいろな拠点にするという経済活動に直結していることですから、これは単に法律の運用ということじゃなくて、経済活動とも直結する、国家にとっては非常に大事な点だと思います。しかも、28ページの施策が、まず当事者間の和解から入って、それから裁判官に行って、それから特許庁や裁判所で解決する。これは順番が逆なので、最後はきちんと裁判所で守ってくれるということがあった上で、初めて裁判和解あるいは当事者間の和解が合理的になるのです。
 そうじゃないと、これは最初からとりあえず話して和解したらどうだと言ったら、中小企業とか弱い人は負けてしまうのです。だから、結局、みんなだめなので、ちょっと順番を変える必要があるのではないかということと。
 特許庁による解決というのは、ちょっと不思議な感じがする。特許庁は解決する場所じゃないので、裁判所が出てきて、それから裁判外があって、それから当事者間で和解、その他の当事者間の紛争処理ということの知財紛争処理システム全体の向上を図るというように、タイトルと同じように変えたほうがいいと思います。これは、必要な措置を講ずるというのは非常に問題があると前に書いているわけですから、解決をしっかり国家として打ち出すということを、ぜひ政府としても出していただいたほうがいいと思います。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。今の点は、確かに極めて重要なことなのですが、今の点に関して御意見がある方はいらっしゃいますか。相澤委員、お願いします。

○相澤委員 訴訟に関する統計の公表に問題があると思います。知的財産高等裁判所が創設されて、勝訴率がどのように変化したのか、損害賠償額がどのように変化したのか、制度の実効性に関わる統計が公表されていないので、改善されているのかいないのかはっきりしません。荒井委員が指摘されましたが、10年たって、法制度が十分に整備されたという根拠は明らかではないと思います。
 荒井委員がおっしゃられた途上国対策のところで、相手国が守らないときにどうするかということについては、通商協定や投資保護協定などで紛争解決手続をつくって、それにより問題を解決することを考えていく必要があります。国際経済法的なルールをきちんとつくるということが必要だと思います。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 あわせて、今の論点について何か御意見、いかがでしょうか。長澤委員。

○長澤委員 意見なのですが、先ほどの荒井委員の話の中に関連して、実態だけ申し上げますと、ブラジルとタイの2つの国は非常に審査が遅いです。ひどい場合は、二十数年たってやっと着手する。権利がエクスパイアしているということも起きます。情報として、タイは13年ぐらい、権利化で必要になっていまして、ブラジルの場合はもっと遅い。どこかに警告状を出さないと審査してくれないという実態があるということを、皆さんでシェアしていただきたい。
 あと、法律の問題については、また別途話をしたいと思います。

○妹尾会長 ありがとうございました。
 今の点で事務局から何か。

○安田参事官 まず、通商協定等の記載ぶりについて、もう少し踏み込んで書けないかということにつきましては、関係省庁あるいは妹尾会長と相談しながら考えさせていただきたいと思っております。
 それから、紛争機能の書きぶり、順番が逆だという話につきましては、おっしゃるとおりでございまして、検討させていただければと思います。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。はい。

○畑野参事官 1点だけ。特許庁の解決がおかしいのではないかという御指摘について、事実関係だけでございますけれども、これは特許庁の審判制度で一部、当事者同士の解決を図るという仕組みがあるものですから、それを意図して書いているものでございます。

○妹尾会長 聞こえなかったので、マイクを。

○畑野参事官 失礼いたしました。28ページのところでございます。特許庁・裁判所による解決などの知財紛争処理システムのところの、特許庁による解決というのはどういうことかという御質問がございました。これは、特許庁における審判制度によって当事者同士の解決を図るということがあるものですから、それを念頭に記述したものでございます。

○妹尾会長 では、大渕委員、お願いします。

○大渕委員 議論を聞いていますと、ちょっと混戦している感があって、先ほどのような具体的な取り組むべき施策の前に、問題点があることを前提に、どこに問題点があるかがはっきりしないままやっても、これは抽象的に書かれていますから、取り組むべき施策としては、こういう形で必要な措置を講ずると幅広に書かれているのですけれども、もう少し明確にすべしというと、どこが問題かというと、件数が少ない、勝訴率が低いという話は、このペーパーの25ページから26ページに配慮して書かれている。
 データ的なことが書いてあって、他方で諸要因に左右される可能性があるということで、今までここでも、数だけで決まる話ではありませんよと述べられたことを踏まえた上で、あとは情報発信が少ないとか、件数とか商取引ではない、別の話のところにもう少し工夫すべしと配慮されていますので、問題がある点は、今までの議論では件数や勝訴率だけの話ではないということで、どなたかも言われたとおり、個別の事件で国際的に体験されている実務家の方などから、我が国の知財競争はむしろうまくいっているのではないか。
 発信力とかは今後工夫することがありますけれども、件数とか、そういうものだけではないよということが出ているので、後ろのところはそういうところも踏まえた上で工夫されて、発信力、その他も含めた上で必要な措置となっているので、問題点があるよというのは、いろいろな御意見はあるかと思いますが、ここでの議論では全体的には出ているところかと思いますので、余りここから大きく変えるというと、このペーパーは今までの議論の蓄積で、あるときにはデータ云々。だけれども、それだけで決まるものではありませんという、トータルな形である程度の認識があったものを反映しているものなので、ここは多少の字句の話は別として、基本線が変わるような話ではないのではないかと思っております。

○妹尾会長 ありがとうございます。いずれにしろ、ここのところでは、もう少し具体的に踏み込むとか順番とか修文でかなりカバーできるところがありますので、それは事務局にちょっと工夫してもらいたいと思います。
 ほかに何か、これ以外の論点で。足立委員、お願いします。

○足立委員 まず初めに、職務発明制度のあり方については、これは法人に帰属すると記載していただきまして、前回のワーキンググループでもお礼を言いましたけれども、そういう意味で大変よい修正だと思っており、改めてお礼申し上げます。
 ところで、このパテントボックス制度につきましては、前回のビジョンとワーキンググループのときにも申し上げており、ここは指摘を踏まえて関係省庁と対応について検討するとなっており、議論する機会をつくっていただいて大変ありがたいと思っています。経団連といたしましても、同制度の税制の将来的な導入を強く期待しているところでありまして、知財ビジョンの中で、このことについては何か言及していただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。この制度は、知的創造サイクルの拡充と円滑化に資する制度であり、我が国の成長に欠かせない制度であると思っております。
 ただし、資料1の別紙の中にありますように、各国で導入している制度は国によってまちまちですし、また税制の形もまちまちになっておりますから、我が国がどのような制度を導入すべきかについては、経団連としても詳細を煮詰めてまいりたいと思っております。次年度の税制改正において導入すべきと主張しているわけではございませんが、今後5年、10年間の先を見据えると、このパテントボックス制度というものは、中小企業を支援し、またベンチャー企業を育成していく上でも大変重要な制度だろうと思います。
 我々経団連としても、今後、我が国らしい制度の研究を進めてまいりたいと思いますので、政府としても、この点についてもぜひ検討する旨を書き込んでいただきたいということをお願いしながら、このパテントボックス制度についての意見とさせていただきます。
 よろしくどうぞお願いします。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 今のパテントボックス制度そのものについて、委員の方で御意見は。長澤委員。

○長澤委員 パテントボックス制度については、弊社もいろいろ検討しております。弊社の場合は、輸出に関しては小さいものが多いわけですが、大きいものを作っているところは、これはかなり深刻な話になっていると思います。弊社でもどんどん大きい複写機も作っておりまして、そういうものは現地生産を始めようじゃないか。そうすると、ロイヤリティーベースのライセンスを現地の会社に出さなければならないというケースが少しずつ増えています。日本の国自体、今、BtoBの商売が増えてきており、大手電機メーカーもそういう動きをしていますので、この問題は足立委員が言われているように真剣に考えていただきたいと思います。
 特に、自動車業界とか鉄道業界は、日本で作って輸出するわけにはいかないわけで、当然現地に工場を建設し、ライセンスを出すことになります。日本の税制でいくと40%の法人税が取られるということになりますが、外国に行くと優遇税制もあり、さらに税金そのものが安いこともあり、そうすると、タックスヘイブンの法律に触れない程度に低額の税率のある国に日本の企業のブランチができて、そこにライセンスを出していくことになり、日本にとっては余りよくないと思いますので、一言だけ発言させていただきました。

○妹尾会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。はい。

○相澤委員 反対するわけではないのですが、我が国の法人税が高いということにそもそもの問題があるのであって、この部分だけ軽減税率をやることが税制上いいかどうかも考慮すべきではないかと思います。問題の本質は、我が国の法人税率が非常に高いということにあるのではないかと思います。

○妹尾会長 特に大臣に聞いていただきたい部分だったかと思いますけれども、そこまで全体の大きい話かどうかは別にして、今、長澤委員が御指摘になられたとおり、日本が従来の80年代モデルのBtoCから、現在はBtoBに変わっているというところが産業構造上の非常に大きい問題で、今、機械系の例が上がりましたけれども、恐らく素材系でも、これは大変大きな課題だろうということはあると思います。その辺も含めて、省庁のほうはどう考えているか、これは石塚室長にちょっと。

○経産省石塚室長 皆様方のお話されたとおり、法人税の中の、特にR&Dを促進するための税の仕組みについては、先ごろの緊急経済対策の中で一部拡充をさせていただいているところでございます。
 よって、今、直ちにパテントボックス税制を26年度要求するというのは、かなり現実性が低いだろうと思っております。しかながら、足立委員あるいは長澤委員が非常に強い要望をお示しになられ、あるいは足立委員から経団連としても研究を進めたいという非常に心強い御発言もあり、また日本にふさわしい姿というお言葉を賜りましたところ、そのような点を含めて、導入ありきということではありませんが、少し検討してまいりたいと思っているところでございます。
 その前提で若干申し上げますと、きょう配付していただいている資料では、狭い意味の研究開発促進のためという仕組みを考えましょうということになっておりますが、その点について考えてみると、例えばルクセンブルグの税制などは、狭義の研究開発促進税制とは言えない部分があります。他方で、経団連様からの2月19日の提言では、このパテントボックス税制につきまして、狭義の技術的な特許だけではなくて、商標や意匠も検討の対象に含めるようにとされており、まさにブランド投資とかデザイン投資といったものまで視野を広げるという御指示もありました。先ほど妹尾会長から知財活用サイクルというお話もありました。とすると、R&Dの促進とともに、知財の活用サイクルの促進のためにという位置づけで、少しこの税制について研究させていただくという形で、今後、事務局と細かい文言について御相談させていただければと思っております。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 足立委員、いかがでしょうか。はい。今のようないろいろな観点がありますけれども、いずれにせよ検討しておくに足る事項であると思いますので、それをきちんと織り込ませていただいて、すぐにという話ではないですけれども、可及的速やかに、これ自体についての研究をしていくということで合意したいと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 長澤委員。

○長澤委員 この話は、先ほど相澤先生がおっしゃったように、法人税の問題と、それからR&Dの優遇税制という問題がありまして、もしパテントボックス税制を導入するとした場合に、R&Dの優遇税制がなくなるよと脅されてしまいますが、それでは困ります。R&Dの投資の方が知財の収入より多いのは当然でして、それだけ御配慮願えればと思います。

○妹尾会長 それは確かに御懸念かと思います。わかりました。その辺を幅広に受けとめていただいて、検討させていただきたいと思います。
 ほかにイシュー、皆さんのほうからこのビジョンについて。2013の当面の話は、後でやります。このビジョンについて、何か皆さんのほうから御意見は。渡部委員、お願いします。

○渡部委員 個別のことというより、冒頭御説明いただいた、このビジョンの性格の話なのです。これは今後見直していくのだということを御説明されていましたので、そのとおりだと思いますが、特にビジョン全体を見ていますと、現状認識あるいは課題ということはかなりいろいろ議論されて、しっかり書けていると思うのですが、それぞれの取り組むべき施策のところになると、非常に小粒で終わってしまっている印象がございます。多分、それは今現在考えて、すぐ着手できるものということで、多分ここはそういう意味で書かれていると思いますので、この部分については、それこそ毎年更新していくべきものだと。
 具体的には、先ほど司法のところで国際発信は「期待する」と書いてあるだけで、括弧書きもない状態です。10年間期待しつづけるということでは絶対ないと思いますし、産学連携のところも、総合科学会議と一緒にやります。これも10年間、総合科学会議と一緒にやるという枠組みだけではないと思いますし、人材育成については、前回も御指摘させていただきましたけれども、結果的に経産省の施策がほとんどになっています。人材育成ですから、当然学校あるいは文科省も含めて、あるいは企業内でもやっているものをグローバルにいかにしっかりやるか、全体の話として受けとめられていないといけないのですけれども、施策だけ見ているとそういうふうには見えない。
 ここは、意味合いが多分ビジョン全体とは違うのだということを、前文のところに、更新をどんどんやっていくのだという性格の文章にぜひしていただきたいと思います。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおり、施策の段階になると、今のようなところが見え隠れする部分がありますので、その辺はきちんと書かないと、期待して終わってしまうことになりますので、そのところは安田参事官、どうしましょう。

○安田参事官 まさに御指摘のとおりだと思います。10年でこの施策をどうしていくかということでございますけれども、見直しもしていくということでございますし、毎年出る推進計画、2013、2014、2015といったところに落とし込めるものについては、新たに落とし込んでいきたいと思ってございます。

○妹尾会長 ありがとうございます。いずれにせよ、この全体のビジョンと毎年のローリングをする計画との関係づけについて、もう少しきちんと言及をしないと、ミスリードをする場合があるので、そこのところは少し工夫していきたいと思います。
 ほかに皆さんから御指摘。相澤委員、お願いします。

○相澤委員 グローバル化の中における日本の制度の果たす役割は、一つの軸ではないかと思います。例えば、特許権についても、アメリカの場合には、アメリカ市場に影響があるようなことに対して知的財産権の効力を及ぼしていくという制度があります。グローバル化の中にあって、外国の法制度支援や外国法をどうするかという問題の中に、アメリカがとっているように、製品の流通に対する日本の法制を整備することによって、流通に影響を与えていくということもあるのではないかと思います。

○妹尾会長 今のことで御意見はいかがでしょうか。確かにグローバルの中でという位置づけで考えないといけないのですが、今のももう少し工夫の余地はあるかなと思います。
 それでは、奥山本部員。

○奥山本部員 その点につきまして、前回のワーキンググループでもちょっと申し上げたのですけれども、現在、例えばテゲルンゼーグループというのがございますし、B+というのもあって、それもしぼみつつありますが、どういうことかというと、いろいろな国が自分たちの興味というか、制度調和の方向性が同じ人たちが集まって成功して何かを実現していくという動きが現在あるわけです。
 それは非常に重要だと思っていまして、先ほど申し上げたテゲルンゼーとかB+以外にも、バンクーバーグループといって、大英帝国系の国が集まってやっているのもありますし、これから10年を考えると、そういう取り組みを積極的にやっていかなければいけなくて、これまでの流れでやってきたWIPOもWTOも結構ですし、五極もいいのですけれども、そこからもう一歩踏み込んだものをやっていって、その進んだ体制を低開発国というか、後進国に広めていくという視点も非常に大事だと思っています。
 そこで、TPPも、そういう議論をして、より知財の保護を強めるような方向性の議論をする一つのフォーラムになるのではないかと期待していますので、そういったことをどこかに入れておきたいなということは強く感じます。
 以上です。ありがとうございます。

○妹尾会長 ありがとうございます。前回の政策ビジョンのときにも私、申し上げたのですけれども、新興国、3年たったら先進国という加速状況であります。発展途上国、5年たったら新興国になる。この中でどう考えるかということでありますから、先ほど相澤委員がおっしゃったグローバルの中での法制度、その他、あるいは今、奥山本部員が言われた影響力の問題を、そのぐらいのタームで少し強調したいと思います。修文については、事務局のほうで御苦労いただければと思います。
 このビジョン関係で、ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
 そうしたら、このビジョンについては、コンテンツも含めてですので、これは中村伊知哉座長と私とが事務局と一緒に御相談しながら、最終的に取りまとめる。そして、反映できる長期的なものについては、計画の前提にさせていただくみたいな形をとりたいと思います。もちろん、あっ、いけないと後で思われる方は、ぜひ事務局ないし私のほうに御連絡を早急にいただければと思います。
 それでは、ビジョン(案)についての修文ですが、私と一部かかわりますけれども、中村共同座長に一任をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)

○妹尾会長 ありがとうございます。それでは、私と中村座長と事務局とで話をしたいと思います。

○山本大臣 済みません、ぎりぎりなので、一言だけ。
 皆さんの御議論を聞かせていただいて、大変参考になりました。
 先ほどもちょっとありましたけれども、全体の10年ビジョンと毎年計画の位置づけ。私の頭の中でもややわからないところがあるので、そこをぜひきちんとやっていただいて、できれば全体ビジョンのほうはやや過激にしていただくのがいいのではないかと思います。

○妹尾会長 よろしいですか。どうもありがとうございました。
 では、大臣が過激にとおっしゃっているので、多少過激にさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、残りの時間、2つ目の議題に移りたいと思います。まさに直近の知財計画2013骨子に織り込むべき事項の取りまとめ。すなわち、これは骨子というのがこの先出てきますけれども、そこへ織り込む事項で取りまとめをしたいということです。この知財政策ビジョンを実現するための1年目の行動計画という位置づけになりますので、そこを踏まえてお含みおきいただいた上での議論を進めてまいりたいと思います。
 それでは、事務局のほうからお願いします。

○安田参事官 資料3になります。委員限りでございますけれども、見え消し版がございます。そちらのほうが前回からの差分ということで、わかりやすいかと思いますので、見え消しバージョンを用いて説明したいと思います。
 まず、具体的な施策は5ページから始まります。赤で修正したところが修正点でございまして、技術的な修正も含めて、全て赤になっております。
 ポイントを申し上げますと、第1の下のほうで、特許審査ハイウェイの拡大を載せてございます。これは、産業競争力会議との連携ということでございます。
 それから、めくっていただきまして、6ページでございます。審査体制の強化について、なぜ審査体制が強化されなければいけないのか。いろいろサービスをふやすということでございますけれども、その中に国際特許出願が増加するということとか、外国文献調査対象を拡大するということを追加してございます。
 それから、7ページ、(3)でございます。これは先ほどのビジョンでも御説明いたしましたけれども、TPPの記載を加えてございます。
 それから、8ページ、職務発明制度の在り方につきましては、ビジョンでも検討しておりまして、例えば、法人帰属や従業者などとの契約。これは雇用関係にない学生の扱いについても検討を進めていくといった趣旨で、「など」を加えてございます。「など」を入れたことによりまして、ビジョンにも「など」という方向で変更する予定でございます。
 それから、9ページ、グローバル意匠制度、グローバル商標制度で幾つかございますが、画像デザインの意匠の保護対象拡充。これは、今年、意匠・商標の法改正を予定しておりましたけれども、どうやら今回の通常国会では改正されないことになりそうだということでございます。官房としても、これをしっかり押していって、改正されるようにという趣旨から、意匠・商標の法改正について記載してございます。
 それから、法改正じゃない、赤ポツの2つ目、画像デザインの下ですけれども、意匠に係る審査基準、これはASEANとかに展開して出ていくということであれば、当然、英語化することは当たり前ということでございますし、5ポツ目、商標についても審査基準を英語化といっことを載せてございます。
 それから、パブコメで出ておりましたけれども、次の証明商標のあり方について検討する。
 それから、登録後に識別力を喪失した登録商標の取消制度の導入についても検討するといったことでございます。
 続きまして、12ページ、国際標準でございますけれども、ビジョンでは非常に概念的に、我が国のすぐれた技術との標準をとっていって、しっかり認証するといったことが書かれておりましたけれども、2013におきましては、国際標準化・認証の取り組みは始まってばかりで、しっかり定着させなければいけないという趣旨から、たくさん盛っています。その中でも、新たに追加されたJISの高機能化。それから、研究開発・基準認証一体化プログラムにつきましては、産業競争力会議との連携といったことで、こちらの項目も取り上げているということでございます。
 それから、13ページは、前回の調査会において本田委員から御指摘がございましたけれども、評価結果、評価をしっ放しじゃなくて、政策ツールとしてしっかり活用を図ることを記載してございます。
 それから、下の中小・ベンチャーの連携。これは、渡部委員から御指摘がありましたけれども、中小・ベンチャーとの連携が大事ということでございますので、それについても記載してございます。
 それから、一番下でございますけれども、闘った結果、負けてしまったら何にもならないということでございまして、世界を舞台に活躍できるといった、これは前回の村井委員からの指摘でございます。
 それから、15ページの最初の総合支援窓口の変更につきまして。これはコンテンツの部分も同じような記載がございまして、そちらと同じような記載ぶりの修正でございまして、内容的な変更ではございません。
 それから、真ん中ぐらいにあります弁理士試験制度及び研修制度の見直しということでございます。これは、パブコメと奥山本部員の御指摘がございまして、中小企業の知財活動を総合的に支援する能力の確保やグローバル対応能力の確保の観点から、弁理士試験制度、研修制度の見直しといった記載を入れてございます。
 それから、16ページは人材育成のところでございますけれども、こちらもビジョンは、国や政府系機関が中心となって取り組むという記載しかなかったということでございますけれども、2013につきましては、昨年、人材育成プランといったものをつくって、しっかり取り組んでいく必要性があるということでございます。
 16ページの施策につきましては、前回、渡部委員のほうから、この施策は全て経産省のものばかりではないかという御指摘がございましたので、文科省さんのほうもお知恵を出していただきまして、山口大学が全ての学科で知財教育を必須化したといった、その事例を参考にしつつということでございまして、そういった事例を見ながら自主的に取組を進めていくことを促すという記載を加えてございます。
 それから、17ページ、中小・ベンチャーに対する料金減免制度の見直しということで、荒井委員から御指摘いただきまして、前回大分直したところでございますけれども、もう少し修文したほうがいいのではないか。シンプルにという話がございましたので、その趣旨にかなうように変更してございます。更にイノベーションの促進に資する分かり易い減免制度とすべく、中小企業、及び大学などの公的研究機関を広く減免対象とする制度の見直しに向けた検討を進めるという記載としてございます。
 それから、下のところでございますけれども、前回、高橋委員から御指摘がございました技術の目利きが非常に重要だということでございましたので、そのような記載を加えてございます。
 それから、18ページの上のほうは再掲です。知財総合支援窓口でございますので、説明は省略いたします。
 次のところ、地域の活性化ということで、審査官などから権利取得、権利活用に関する相談などのサービスを受けやすい体制を構築するための具体的方策を策定する。これは、ビジョンと対応した記載となってございます。
 19ページ、弁理士試験制度、及び研修制度、これは再掲ですので、説明を省略させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 以上、説明をいただきましたけれども、これは2013としての直近の課題を中心に取りまとめたものですが、今のような修文がなされていますが、まだまだ御意見もあろうかと思います。いかがでしょうか。荒井委員、お願いいたします。

○荒井委員 今の資料の17ページ、(2)中小・ベンチャー企業に対する料金減免制度の見直し。方向を非常にはっきりしていただいて、非常によかったと思います。お礼申し上げますが、ビジョンのほうの40ページは、取り組むべき施策で、中小企業、及び大学などの公的研究機関も広く減免対象とする制度に見直すと、はっきり書いてあります。こちらの17ページは、見直しに向けた検討を進めるということなので、ぜひビジョンと同じようにはっきりして、そしてみんなで努力していくことがいいのではないかと思いますので、最後の結論のところだけちょっと直していただきたいというお願いでございます。

○妹尾会長 事務局。

○安田参事官 御指摘、ありがとうございます。ビジョンの中では、10年ということで、できる部分だと思うのですけれども、こちらの2013につきましては、お気持ちはよくわかるのですけれども、短期あるいは中期といったことで、こういった大幅な拡充ができるかどうか、まだまだ見えないところがございますので、こういった書きぶりになっていることを御理解いただければと思います。

○妹尾会長 局長。

○内山局長 今の御指摘のところは、計画の工程表をこれからしっかりつくることになりますので、その中で担当省庁も含めて議論して、当然のことながら、できるだけ速やかに事が運ぶように一生懸命努力するということでございます。それで御容赦いただきたいと思っております。

○妹尾会長 経産省、何かありますか。はい。

○特許庁桂課長 中小企業の減免について、いろいろな御要望があることは重々承知しておりますので、御要望も踏まえて、推進計画2013については今年度やれることをしっかりさせていただきたいと思います。

○妹尾会長 局長が工程表を出すとおっしゃっていますので、それを期待したいと思います。
 相澤委員。

○相澤委員 中小企業にとっては意匠と商標が非常に重要なのですが、意匠と商標についてはどのようにするということなのですか。この文面からは明確ではないと思います。

○妹尾会長 どちらへ振ったほうがいいですか。特許庁。

○特許庁桂課長 どういったところにニーズがあって、どういったところをやれるのかということも含めて、検討させていただきます。ただ、どの分野をやれますと現時点で具体的に申し上げられないので、御容赦いただきたいと思います。

○妹尾会長 安田さん。

○安田参事官 今の相澤委員の御指摘は、料金減免に関する意匠・商標はどうなのだという御指摘だと思いますけれども、そこについても、先ほど桂課長から御回答ありましたけれども、ニーズを踏まえながら検討させていただければと思います。

○妹尾会長 ありがとうございます。当然、荒井委員が言われたのは、それも含めてというお話ですね。
 ほかにいかがでしょうか。はい。

○柳生参考人 参考人の柳生です。
 まず、職務発明制度のところは、先ほどのビジョンと同様に赤線で加えていただいた部分については、大変ありがたいので、これはお礼申し上げたいと思います。
 コメントがありますのは、隣の9ページのグローバル意匠制度・商標制度の構築の部分なのですが、こちらの経緯は、私は両方とも産構審の委員として参加させていただいていまして、実際に今期、促進するということでありました。この中で一番大事なのは、意匠につきましては画面デザイン、商標につきましては、いずれも報告書になっていますけれども、新しいタイプの商標と、その下の地域ブランドの部分であると思います。それ以外の部分は果たしてここに書く必要があるのか、私自身は疑問に思っています。
 実際、小委員会の中でもいろいろな議論があった項目まで加えてございますので、本専門委員会の趣旨からしても、列挙すること自体、大事な項目が薄まってしまうのではないかという懸念を持っています。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。今の柳生参考人の御発言に何か。

○相澤委員 この部分に関して、1点いいですか。

○妹尾会長 はい。

○相澤委員 意匠のほうは報告書になっていないので、最終的なまとまりはわからないのですけれども、1年繰り越しになったところで、もう少し前向きの方向で検討していただけないでしょうか。意匠登録出願数が最盛期の半分になっています。この時代、デザインというのは国際市場において非常に重要であって、日本においても重要なのに、意匠登録出願が半分になっているというのは重要な問題です。そこを踏まえて施策を講じていただきたいなと思います。
 日本のマーケットは成熟してきて、商標の重要性が高まっているのに出願は減っています書き方なので、会長にお任せしたいと思います。審査基準を英語化するということをここに書く必要があるのかと言われると、はてなと思われる方はいらっしゃるのではないかと思います。

○妹尾会長 これ、難しい問題で、書かないとしかられるし、書くと薄まると怒られるし、事務局とともに我々が悩む問題だと思いますが、今の御意見は賜った上で、少し検討させてください。当然、書かなければ。
 杉村委員、お願いします。

○杉村委員 柳生参考人から御指摘がありました意匠制度・商標制度のことでございますが、確かに幾つか細かい事項が記載されております。こういう事項も含めまして、国際的な制度調和という観点と、ユーザーのニーズを反映する観点の両者を視野に入れた制度設計を行なっていただければいいのではないかと思っております。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 長澤委員。

○長澤委員 意匠とか商標については、産業界でもかなり議論が白熱しまして、基本的には国益につながるような法改正にしていただきたいと考えています。ただ、ハーモナイズのためだけにやるということはやめてほしいと思っています。もちろんハーモナイズというのは大事で、国際的に認められるような制度である必要は十分存じ上げておりますが、他の国がやっているからということだけで、これを入れようというのは問題だと思います。
 それから、先程相澤委員がおっしゃった数の少なさというのは、どちらかというと意匠権とか商標権というのがどの程度権利行使ができるかというところが、今、そんなに広くないのではないかと思っています。つまり、意匠出願した形そのままの製品に対してのみしか権利行使できないということに関係しているのではないかと考えています。そのために、権利行使できる範囲を拡充するということであれば、非常によくわかると思いますし、逆に模倣業者には権利を取ってほしくないわけでして、その辺の調和のとれた、国益に合った制度設計をぜひお願いしたいと思います。

○妹尾会長 ありがとうございます。ハーモナイズで、みんなで渡るから怖くないというところまで行くのと同時に、日本の競争力としての観点を忘れないようにという皆さんの御意見だと思います。法的な意味だけではなくて、制度的に日本が競争優位に立つために、西山委員がこの前おっしゃっていたことがありますね。あれで何か補足ありますか。

○西山委員 デザインをかんがみてなのですけれども、今は発言を控えておきます。

○妹尾会長 何があったのかな。わかりました。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。渡部委員。

○渡部委員 8ページの確認なのですけれども、職務発明制度の在り方のところで、上の括弧の職務発明制度の在り方、それから下の大学などの学生の発明の適切な取扱い、括弧が2つあるのですけれども、経済産業省とついているのは下だけになっていますが、これは一体として読むのでしょうか。というのはどういう意味かというと、上で職務発明制度の在り方で、例えば契約に委ねると言ってしまうと、下の自由発明の議論は関係なくなってしまうかもしれないわけです。だから、これはあえて一緒に検討すると言っているのか、それとも上はどうせ時間がかかるから、下はまた別にやると言っているのか、その辺の関係を確認したい。

○妹尾会長 それでは、安田参事官。

○安田参事官 見え消し版の8ページの職務発明制度の在り方の、最初の括弧の5行目でございます。これは経済産業省で、既定路線です。それから、下の大学などの学生の発明の適切な取扱いの促進というところにつきましても、ガイドラインをつくっておりますのは経済産業省で、そこが担当していくことになっております。真ん中、点があって見づらいのですが、1ポツなのです。インデントで下がっていますけれども、2つしかないです。

○渡部委員 ということは、これは別の施策ということですね。

○安田参事官 そうです。

○渡部委員 もし別だとすると、大学のことも制度を考えるときに考えてもらう。それは、この中に入っているということなのですね。わかりました。それが1点と。
 あと、人材育成のところで、経産省ばかりなのでと私が言ったので、文科省と相談しましたということなのですが、こういう項目は、私は重要だと思うのです。自主的な取り組みを進めていくことを促すと、まずはこれで十分だと私は思います。大学にとっては、これは大変なことで、山口大学、阪大も少しやっているのだけれども、こういう取り組みは人材育成では非常に重要で、こういうものを促していくことで、最終的にそれを制度化するという流れは非常に現実的だと思います。
 そういう意味で言うと、例えば初等・中等教育でも、今、学習指導要領に著作権は入っているのだけれども、発明というのは位置づけられていないわけです。でも、そういうものを自主的にやっている人たちはたくさんいて、とても苦労しながらやっているし、グローバル知財人材育成でも、専門職大学院で皆さんでサマースクールを実施したりとか、そういうものを応援する段階では、大きな予算は必要ないので、できるだけ促すという文章でエンカレッジしていただきたい。幅広にぜひ検討していただきたいと思います。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。この人材育成について、経産省主体で文科省がというのは、先ほどのビジョンのときにも渡部委員の御指摘があったと思います。ここでもそうなのですけれども、文科省から何かありますか。里見さんに聞いていいのかどうか。

○文科省里見課長 初等・中等教育までかかわりますと、私どもの課の所管からは外れておりますが、いろいろな形でイノベーション人材の育成というところに文部科学省が役割を果たすべきという御意見だと承りまして、できる範囲でやらせていただきたいと思います。

○妹尾会長 渡部先生がおっしゃるとおり、エンカレッジして頑張っていただくということをもう少し強調したい。
 私も一委員として申し上げると、創出・発明について理系での教育は非常に進展している。それから、法科系で権利化についての教育も進展している。ただし、先ほどから言っている活用に関して、経営系での知財活用についての教育はほとんどなされていないということが、私は大変問題だと思います。
 創出・発明と権利化についての人材育成だけではなくて、我々は今、産業政策として、あるいはビジネスモデルと知財マネジメントのかかわりとして、人材育成をどう見ていくかということがありますので、そういう経営系を初めとした人材育成、知財をビジネスモデルの中で活用できる、産業政策の中で活用できる人材育成についても、ぜひ経産省も文科省ももっと御感心を持っていただけたらありがたいなと思います。これは、先ほどのビジョンの話でもそうですし、2013のほうでもそうかと思います。ごめんなさい、座長から一委員として発言させていただきました。

○相澤委員 関連して、いいですか。

○妹尾会長 相澤委員。

○相澤委員 渡部委員から予算もかからないしというお話もあったのですけれども、教える人も必要で、これには予算がかかります。教育を推進するためには、教える人もつくらなければいけないというコメントをつけ加えさせていただきます。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 奥山本部員。

○奥山本部員 この人材育成の点についてなのですが、一つの取り組みとして参考にしていただきたいと思うのは、弁理士会が国立高専機構と協定を結んで、弁理士がお手伝いして知財教育を進めるという取り組みもございますし、先ほど渡部先生のほうから阪大ということがあったのですが、徳島大でも実際に明細書を書くようなコースがきちんとカリキュラムに組まれている。そういう事例を広げていっていただきたいなと思います。

○妹尾会長 ありがとうございます。という権利化の人材はたくさん育ちつつあることは喜ばしいことだと思いますが、活用人材をどうにかしたいというのが我々の大きな。相澤先生がおっしゃるように、予算がそこにも欲しいということを申し添えておきたいと思います。
 ほかの問題で、本田委員、お願いします。

○本田委員 今、知財の権利化人材とか活用人材という話があったかと思うのですが、創出する人材という視点でいきますと、ビジョンの中では、大学などのすぐれた研究成果という言葉があるのですけれども、すぐれた研究成果を生み出していくという視点でいきますと、若手の研究者をどう育成するかという視点も織り込んでいただければと思っております。
 奥村委員、御欠席で書面が届いているかと思うのですが、太字で2ページ目に書いてありますように、前回も私、発言させていただいたかと思うのですが、日本から海外へ留学する研究者が減っているというのは、これは将来的に10年とかいうスパンで見ていくと、何か大きな影響が出てくるのではないかと思っていますので、ビジョンの中ですぐれた研究成果を維持するという視点からいくと、早目に手を打たないといけない視点かと思います。どこの項目に入れるかということはあるのですけれども、産学官連携・機能強化の視点でもいいのですが、グローバル研究者の人材育成みたいな視点も織り込んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 これについて、安田参事官。

○安田参事官 御指摘のとおりだと思います。2013には明確でないのかもしれませんけれども、例えばビジョンの中で、具体的施策までは至っていませんけれども、そういった問題意識はしっかり認識しているところでございまして、はじめにの第3パラグラフの2行目になりますが、創造性と戦略性を持った人材や社会風土を育んでいくことが求められているといった問題意識を持ってございます。そういった問題意識を2013にどう入れるか、例えば前文のところにもう少しはっきり書くといった問題意識で、具体的な施策のところで、例えば2014とかに政策を打つということが考えられるかと思います。

○妹尾会長 これは多分難しいのは、総合科学技術会議のほうの話と、ここでの話のつながりをどうするかということなのですね。総科のほうは、もちろんそっち側が主なので、産業側とのリンケージという側面がありますので、全面的に書くのではなく、そのリンクに触れられればいいなと思っています。ありがとうございます。
 ほかに、杉村委員。

○杉村委員 8ページから9ページの国際的な知財の制度間競争を勝ち抜くための基盤整備の(2)審査基盤の整備についてでございますが、9ページの一番上に、審査体制の整備・強化として、中国語や韓国語を含む非日本語特許文献の比率の急増と、これに伴う外国特許文献を日本語で検索可能な環境の整備が挙げられております。
 この箇所で記載することがふさわしいかどうかわかりませんが、知財推進計画のどこかの箇所に、この環境整備ででき上がった成果を審査官だけが享受するのではなくて、審査官と全く同一の検索システムを民間にも広く公開していただいて、出願人側が外国特許文献を意識した出願戦略の構築が可能となり、海外特許の経過情報を考慮した権利侵害対応を図れるような民間における環境の整備というものも必要ではないかと思っておりますので、この点も盛り込んでいただきたいと思っています。
 それと、15ページのグローバル知財人材育成・確保における世界の舞台で活躍できるグローバル人材育成についてでございます。中ほどに、「弁理士試験制度及び研修制度の見直し」を入れていただきまして、ありがとうございました。研修制度でございますけれども、現在、弁理士会におきましては、実務経験が不足する弁理士に対する研修の拡充を図るための研修内容の見直しを行っていると聞いておりますので、特にこの研修制度の見直しに際しましては、このような弁理士会の自主的な活動にも配慮した検討をお願いしたいと思っております。
 これに関連いたしまして、奥村委員が御提示された配付資料の中で、専門人材の10年後の人材育成のターゲットを設定するような記載がございました。特に「人数」というのは、どうしても数字だけがひとり歩きしやすいものでございますので、知財業界全体のバランスも考慮し、「人数」の明示については慎重に取り扱っていただきますよう、御配慮をお願いしたいと思います。
 以上です。

○妹尾会長 これはどうしますか。桂課長。

○特許庁桂課長 まず、外国語特許文献の日本語翻訳をユーザーにも提供するということでございますけれども、実際、私どももそういった方針で取り組みを進めているところでございます。現在、中国の特許文献抄録を日本語にするという事業をスタートしておりますけれども、昨年度より、中国語の和文抄録は既にIPDLで公開しているところでございます。今後、中国語も含めて続けてまいります。その際、ユーザーにも使っていただけるようなシステムの構築も行ってまいりたいと思います。
 それから、弁理士の研修のところにも少し言及させていただきます。昨年度、弁理士制度の見直しについての調査研究でアンケートなどをさせていただきました。その結果、今の推進計画の骨子案に書いていただいているようなニーズである中小企業への支援やグローバルのビジネス活動を知財面で支援する人材が不足しており、そのような面で弁理士への期待が高いということも強くあるようでございます。弁理士会が今やられている研修の見直しの取り組みなども考慮し、審議会を立ち上げて検討していきたいと考えております。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 長澤委員、お願いします。

○長澤委員 研修制度と試験制度を見直しましょうということと中小企業の知的財産活動を総合的に支援する能力の確保ということが、今一つ、ぴんときません。試験制度をどうする、研修制度をどうすることによって、中小企業の活動を総合的に支援することになると考えられているのかというのを質問させていただきたいと思います。

○妹尾会長 どうでしょう。桂さん。

○特許庁桂課長 試験制度、研修制度を今後どう具体的に見直していくかというのは、今後の審議会の中でいろいろな課題を出して検討していくべき事項でございます。
中小企業につきまして、知財に関する中小企業支援の取り組みは総合支援窓口などを通して、研究・開発担当者の指導だけでなく、普及・啓蒙をさせていただいております。また、具体的に技術をどう守っていくのかというマネジメントの面でも、サポートできる人材が絶対量として不足しているのではないかという問題意識を持ってございます。
 そういった点で、知財の専門家である弁理士により活躍いただくことの意義は、非常に大きいのではないかと思っておりますので、弁理士制度を考える上で、試験・研修も含めて、このような観点を認識しているということです。

○相澤委員 関連。

○妹尾会長 相澤委員。

○相澤委員 ここの表現ぶりが、試験制度・研修制度という2つに限っているから、今の御質問が出てくるのだと思います。弁理士制度全体を見直す中で、中小企業のことも考えていくのだということでないと、話がつながらないのではないかと思います。試験と研修だけでは、中小企業との関連が不明確になってしまいます。試験制度・研修制度以外の、業務範囲とか、その他のことを含めて制度全体を検討することによって、中小企業にも対応していこうという趣旨だと理解していますので、限定しないほうが良いと思います。

○妹尾会長 難しいですね。

○杉村委員 関連です。

○妹尾会長 みんな関連という手の挙げ方を覚えて。

○杉村委員 相澤委員がおっしゃいましたように、ぜひ業務範囲も含めた弁理士制度全体の見直しというところに変えていただきたいと希望いたします。

○長澤委員 関連。

○妹尾会長 長澤委員。

○長澤委員 歯に衣着せずに申し上げますと、弁理士試験をいたずらに難しくしてほしくないと思います。というのは、これから多くの若い人が弁理士試験を受けるわけです。弊社にも30人以上の弁理士がおりますが、奥村委員のペーパーにも書いてあるように、ある意味玉石混交でございます。玉石混交を研修によって立派な人材に育てるというのは賛同できるのですが、奥村委員が書いているように、もともと少数精鋭を選択しても、現実的には精鋭ばかりではないという点はまさにそのとおりだと思いますので、裾野を広くして山を高くするという考え方をぜひとっていただきたいと思います。

○妹尾会長 これは制度自身の議論をする場所ではないので、今後の特許庁での弁理士制度の見直しに反映していただきたいのですが、この専門調査会の流れから言うと、権利化ありきの人材ではなくて、それに携わっている方が活用までウイングを広げていただくことが極めて重要だと考えております。ですから、弁理士の方がそれに携わろうとされているのか、されていないのかわかりませんけれども、そういう期待があるということは大きいことかと思います。
 最初に権利化ありきで中小企業を指導されては、これはとんでもない話になりますので、活用ありきで権利化をどう位置づけるかということが極めて重要なので、そういうことも踏まえて制度の見直し等について御検討いただけたらと思いますが、ここの2013そのものにそれを書くかどうかというのは、書きぶりをもう少し工夫しないと、中小企業と合わないねという御指摘はたしかなので、そこは事務局に御苦労していただきたいと思います。
 それでは、次のイシューに移らせていただきます。奥山本部員。

○奥山本部員 関連していない事項。単に素朴な質問なのですけれども、地理的表示というのはここには入らないということでいいというお考えですか。別に入れてくれと言っているわけじゃなくて、検討されたのでしょうかという。

○妹尾会長 はい。

○安田参事官 競争力強化専門調査会ではなくて、コンテンツ強化専門調査会の一つの施策として、地理表示事案については取り扱ってございます。

○妹尾会長 これ、木村さんのほうから何かフォローはありますか。

○木村参事官 地理的表示の保護制度につきましては、ビジョンの中にもちょっと書かせていただいておるところでございます。地域ブランドの確立、ビジョンの68ページの最初のポツでありますけれども、我が国の地理的表示の保護制度について、GI制度を導入し、輸出促進を図るという御議論をいただいた上で書いたところでございます。

○妹尾会長 これは2013自身ではどういう扱いになる。

○木村参事官 2013の骨子の中にも同様の表現を記入しているところでございます。

○妹尾会長 これはどうしたらいいのだろう。そのまま置いておいていいか、こちら側で再掲あるいは調整するか。ここに書いてあるということで御了解が得られれば。

○奥山本部員 結構です。済みません、質問だけです。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに。時間も押していますが、きょう御発言のない委員が何かございましたら、今のうち。ということは、御発言がないのは岸委員、ふだんは熱弁ですが、きょうはおとなしい。

○岸委員 今、GIの話が出たのですが、漏れ伝わるところによると、今度のTPPでポイントになるのではないかという議論もあるのですが、その辺、いかがでしょう。この間の日米で話が出たようにも聞こえているのです。ということは、2013に書くべきかという話になるのではないかと思いますが。

○妹尾会長 これは難しいところだけれども、木村参事官。

○木村参事官 TPPにつきましては、我が国は交渉にまだ具体に参加しているわけではございません。そういう現状だと思っております。交渉内容が明らかになってくる中で、具体的にどういう対応をしていくのか、協議の進捗の状況を踏まえながら、その対応を各省と考えていこうということで、現時点の知財計画あるいはビジョンには、今の時点では書きにくいところなのかなと思ってございます。

○妹尾会長 ということでよろしゅうございますか。この問題を表に出せるかどうかということもいろいろあろうかと思って、その辺は事務局も苦労されていると思います。私は、岸委員が多分標準化のお話をされるのではないかと推測していたのですが、かわりに私がさせていただきます。
 12ページで標準化の話が、あるいは基準認証の話が出ています。もちろんこれはいいことなのですが、この書きぶりを強めていくと、また標準化が自己目的になるのではないかというおそれがちょっとありまして、あくまで標準化はオープン、クローズのビジネスの中でどう標準をうまく使うかという話というのが1点あります。
 すなわち、ビジネスモデルの中での標準化を活用するということで、これを位置づけるような工夫を少ししていただきたいというのがあります。そうしないと、標準をとったら、それで目的達成という話になってしまうと、産業競争力強化という意味での国際標準化が薄まるのではないかと思うので、それが1つあります。それを私が言い出してしまうととまらなくなってしまうので、あれですが。
 もう一つ、この背後にあるのは、国内で規格化したものを輸出モデルでISOに持っていくという話なのですが、そもそもグローバルを前提にしますから、グローバルを前提にしてJISをどうするかという観点で高機能化を図らないと、JISをつくってから、さあ、頑張ってISOに持っていこうでは、もう立ち行かないという認識が我々の中にあるので、そのところも少し考えていただければなと思うのですが、経産省としては何かございますか。

○経産省土井課長 おっしゃるとおりで結構だと思いますので、適宜修文いただければ。

○妹尾会長 ありがとうございます。ということで、事務局、ちょっと申しわけないけれども、修文をお願いいたします。
 ほかに。杉村委員、お願いします。

○杉村委員 11ページの紛争処理機能の強化のところでございます。先ほどのビジョンの議論とも関連いたしますが、大渕委員のほうからも御発言がございましたように、訴訟の件数とか勝訴率だけではかれるものではないと思っております。奥村委員が提示された配付資料にも記載されていますように、米国におけます懲罰的賠償制度である三倍賠償やディスカバリー制度の我が国への導入については、好ましいかどうかということについて、私も個人的には疑問だと思っております。制度の最大の利用者であるユーザーの声に十分に配慮して、慎重に取り扱うべきではないかと思います。法体系が異なるアメリカの制度をそのまま日本に導入するというのは、慎重にしたほうがいいのではないかと考えております。
 それと、奥村委員のペーパー中の裁判官についての記載ですが、実務家の立場からの意見といたしましては、知財事件も民事事件の一つでございますので、一般民事を多数取り扱った裁判官が知財事件も取り扱っていただきたいと考えております。確かに知財特有の専門性という点はありますが、これはほかの医療事件や税務事件などと同様に、必要に応じて調査官や専門委員を活用していただく制度になっておりますので、現在もうまく機能しているのではないかと思います。米国のCAFCでも、取り扱う事件のうち、知財事件は約3割しかございません。CAFCのレーダー長官も、知財事件を取り扱う裁判官というのは、他の事件もきちんと多数経験すべきであると御発言されております。

○妹尾会長 これについては、法務省のほうから何かございますか。

○法務省高松参事官 裁判官のことですので、法務省が何かを申し上げるというのもふさわしくないのかもしれませんが、聞いておりますところでは、今、杉村委員、おっしゃいましたとおり、知財は非常に専門性が重視される分野ではあるものの、一般の民事事件を多数取り扱うことで視野が広がるという構造もあるものですから、その両面に配慮した専門的な育成に努めていると伺っておりまして、御意見のとおりの実情ではないかと思っております。

○妹尾会長 相澤委員。

○相澤委員 三倍賠償とか損害賠償の充実は、必要だろうと思っています。ディスカバリーについては、我が国はアメリカの英語のディスカバリーに十分対応できています。日本語のディスカバリーは、英語のディスカバリーに比べれば、翻訳も考慮すれば、はるかに負担が少ないと思います。どこまでディスカバリーを充実するかという問題はありますけれども、例えば、営業秘密を侵害したことを立証するためには、相手方の情報を持ってこなければ、こちらの秘密情報を使っているかは、わかりません。そのためには、ディスカバリーは重要です。なお、経済問題は基本的に民事で処理すべき問題であり、営業秘密を刑事的手続するのは、例外的な場合であると思います。

○妹尾会長 わかりました。長澤委員、今の件ですね。はい。

○長澤委員 この問題というのは、コモンローの国の法律がいろいろあって、ディスカバリーがあったり、プリビレッジがあったりするのですけれども、一つ一つ国益につながるかどうかをぜひ考えていただきたい。私は基本的には、日本でそういう制度を考える場合には、どちらかというと我々がやっているような輸入品への権利行使を行うという観点ではこういう制度があったほうが望ましい面があるかと思います。
 一方では、我々が輸出するもの、国内で製造して販売するものは、今度は被告の立場になりますから、全く逆のことが起こる。どちらが重いかということをぜひ検討してもらいたいと思います。現状だと、我々日本人同士が交渉しますと、非常に行儀よく交渉するのですが、海外には行儀が悪い人たちもいらっしゃって、その方たちに訴えられるという懸念の方が若干大きいと思っています。
 特に、アメリカで今、日本のメーカーは耐えているという意見がありましたが、本当に何とか耐えているわけでありまして、弊社もかなりの数の訴訟抱えておりますが、もっと多い会社もあります。特に電機やIT系は非常に訴訟が多くなっています。その中でディスカバリーというものがあって、そのコストとプリビレッジのコストが非常に高くて、和解額がある程度の額になってきたら、これはのまざるを得なくなるという弊害が明らかに出ています。原告はそのお金で、また次の特許を買ってきて我々を訴えるということが頻繁に起きているわけです。ですから、この制度の日本上陸については、私は非常に慎重に考えております。
 以上です。

○妹尾会長 ありがとうございます。
 柳生さん。

○柳生参考人 私もディスカバリー制度の導入には慎重であるべきという立場での発言ですけれども、実際には特許権者として我々は経験していますけれども、特許権者側の負担がすごく大きいのです。長澤委員もおっしゃいましたように、どちらに立つかということも当然ありますが、まさに奥村さんが書かれているように、結果として余りにも手続や費用が莫大であるために、アメリカでの訴訟をためらうようなこともあり得るわけですから、いずれにしても、この制度の導入は極めて慎重であるべきだというのがユーザーとしての気持ちです。

○相澤委員 ちょっと補足していいですか。

○妹尾会長 相澤委員。

○相澤委員 日本が制度をどうしようと、アメリカのディスカバリーはなくなりません。ですから、アメリカで日本企業が訴えられるという事態は変わらないわけで、日本で日本語で日本の訴訟手続をどれだけ利用できるかということが論点だと思います。

○妹尾会長 大渕委員。

○大渕委員 先ほど出ていた知財事件をやるにも一般民事が必要だというのは、まさしくこの点をあらわしているかと思いますが、日本国特許法というのは、ほかの日本国の民法とか、トータルとして一つの制度をなしていて、他方でアメリカ法、英米法とも言われますけれども、イギリスとまた違って、アメリカ特有の体系をなしておりますので、一部分だけ切り離してくると、どうしてもトータルのバランスが崩れてきますので、アメリカの制度を見るなら、ディスカバリー以外の制度もトータルに視野に入れた上で、日本国の法制にうまく入ってくるのかというのと。
 それから、先ほどあったように、原告に有利だったり、国民に不利だったり、立場も変わりますので、そういうあたりを全部理解しておく必要。法体系と、抽象論ではなくて、実際に当てはめてみたら、言語の問題だけじゃなくて、企業の問題等々、多々あるかと思います。そこも空中戦じゃなくて、ディスカバリーと1行で書いてありますけれども、大論点で、制度全体にかかるようなところなので、この部分をアメリカ法に全部変えてしまうぐらいの覚悟は必要と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう民事訴訟制度全体をアメリカ型に変えるぐらいの覚悟を持ってする必要があるかもしれないという点も含めて、要するにトータルとして見る必要があるということだけは十分念頭に置いておいていただければと思います。

○妹尾会長 さっき大臣がラジカルにとおっしゃったので、そっち側までいくかというのですが、これは2013の議論なので、ちょっとそこまではということなのですが。さあ、どうしましょう。これは極めて難しいのだけれども、この書きぶりで、はい。

○相澤委員 ディスカバリーの話が出て、反対という意見が出たので、賛成だという意見を申し上げました。

○妹尾会長 そういうことで、2013自身としては、ここは申しわけないですけれども、置いておかせていただくということにさせていただきたいと思います。今のような論点があったというのは承知したいと思います。
 それでは、時間が押し迫ってきましたけれども、この取りまとめについて、ほかに何かありますか。いかがでしょう。西山委員、さっきとまってしまったけれどもね。

○西山委員 2013については、もういただいているので。

○妹尾会長 それから、山田本部員、御発言がなかったですけれども、よろしゅうございますか。
 あるいは、きょう、府省から見えている皆さんのほうから何かお伝えしたいことはございますか。いいですか。下手にしゃべるとまずいねというお話でしょうか。
 それでは、知的財産推進計画2013骨子に織り込むべき事項ということで、これになります。骨子そのものは、またこの先、作業が進みますので、このとおりがそのまま丸々というわけにはいかない点は御理解ください。
 それから、きょう議論いただいたところで修文が必要なものについては、事務局に少し御苦労いただくことになろうかと思います。
 それから、ほかに皆さんのほうから、まだ、そういえばということがございましたら、早急に事務局ないしは私のほうにお伝えいただければと思います。よろしゅうございますか。それでは、きょうの議論を踏まえて、そういう扱いにさせていただくということで、この後は私が会長として事務局と相談しながら取りまとめを進めるということで、御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○妹尾会長 よろしゅうございますか。それでは、その方向で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、きょう、予定の時間より、何と早目に終わるという異例の展開になりました。何かありましたら、またお寄せください。
 それでは、事務局のほうから何か連絡事項はありますか。

○安田参事官 本日は、どうもありがとうございました。本日いただいた御提言を踏まえまして、ビジョン、それから2013につきまして必要な修正をしまして、今後、本部会合に提出したいと思っております。
 それから、次回の専門調査会でございますけれども、仮置きで6月5日ということで調整してございます。正式に決まりましたら、改めて御連絡いたしたいと思います。
 以上でございます。

○妹尾会長 ということで、次回は一応6月5日で仮予定をしていただくことになろうかと思います。
 局長、最後に何か。よろしいですか。
 それでは、これで本日は閉会したいと思います。長時間、どうもありがとうございました。