第5回 知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会

  1. 開 会 : 平成22年3月26日(金)15:00〜17:00
  2. 場 所 : 内閣府庁舎別館2階 知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 妹尾会長、相澤(英)委員、出雲委員、江幡委員、大渕委員、上條委員、
    岸委員、久夛良木委員、佐々木委員、佐藤委員、高柳委員、西山委員、
    野元委員、福島委員、山本委員、渡部委員
    【事務局】 近藤事務局長、内山次長、戸渡次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開 会
    (2) 「知的財産推進計画2010(仮称)」骨子に盛り込むべき事項(案)
    (知的財産による競争力強化・国際標準化関連)について
    (3) 閉 会


○妹尾会長
 皆さん、こんにちは。ただいまから、知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会の第5回会合を開催させていただきます。
 年度末、本当に立て続けで、皆さんにもスケジュール調整その他でお手数をかけていますけれども、ご多忙のところご参集いただきまして、本当にありがとうございます。
 きょうはいわば取りまとめ、1回目の区切りをやる会であります。今までの議論を踏まえて、新たな知的財産推進計画の骨子(案)に盛り込むべき事項の取りまとめに向けて議論をするというのが本日の目的になります。
 前回、皆さん大変熱心にご議論いただいたので、目標設定の部分について十分言い尽くせなかった点があるのかなと思っておりますけれども、その辺に留意しつつ取りまとめに向けて議論していきたいと思っています。
 きょうが骨子(案)の取りまとめの最後の議論になりますので、その点をぜひ踏まえて進めていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。
 本日、津村政務官はご欠席ということを伺っております。それから相澤益男委員、荒井寿光委員、迫本淳一委員、中村伊知哉委員はご多忙のためにご欠席ということで、ご連絡をいただいております。
 それでは、「知的財産推進計画2010」、まだこれは仮称の段階ですけれども、その骨子に盛り込むべき事項についてということで議論に入りたいと思います。
 まず今回、第5回の本専門調査会の進め方ですけれども、論点ごとに目標設定部門を中心に取りまとめに向けてご議論いただきたいと思います。目標設定そのものがここで確定するというわけではないんですが、目標設定についてどういうふうに進めるかということが骨子に例示書きその他がされますので、それの取りまとめでございます。
 それでは、資料全体の確認と前回の議論を踏まえて、事務局が修正した資料について説明をお願いいたします。修正がし切れているか、その辺をごらんいただければと思います。
 それじゃ、高山参事官から資料についてご説明をお願いいたします。

○高山参事官
 それでは、ご説明させていただきますが、まず説明に先立ちまして資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の下にあります資料1が、本日取りまとめていただきます本調査会の報告書になりますが、「知的財産推進計画2010(仮称)」ですが、この骨子に盛り込むべき事項について(案)というものであります。それから、資料2、こちらは相澤英孝委員からご提出いただいた資料になります。それから、参考資料1、これは前回第4回の本専門調査会において出されました主な意見をまとめさせていただいたものであります。それから、参考資料2というのは、先ほどご説明しました資料1、今回の取りまとめに向けた資料に皆さんのご意見がどのように反映されているのかということがわかるように、少し整理をさせていただいたものであります。それから、参考資料3、横長の紙ですが、こちらが討議用の資料ということになります。それから、参考資料4は、その目標指標例についてどういう考え方でつくっているのかというものをまとめたものになります。資料の過不足等は、ございませんでしょうか。
 よろしければ、資料1をご説明させていただきたいと思います。
 まず、前回の専門調査会の場で津村政務官から「等」とか「など」という言葉は全部取るというお話がありましたので、そういうのを取る修正をまずはさせていただいております。一番最初、現状認識というところから入りますが、ここでは日本国内の市場のこともちゃんと考えようよというご提案がありましたので、下の2行目ですが「国内市場を活性化しつつ、海外においても激しい国際競争を勝ち抜いていく必要がある」ということで、国内市場の活性化というところにも触れさせていただきました。
 1枚めくっていただきまして2ページですが、2ページの一番下のところであります。今、まさに知的財産戦略が重要なんだということを書き込もうじゃないかというご意見がございましたので、一番下のところ、現在の閉塞感を打ち破り経済成長を達成するために知を生かす知的財産戦略が重要なのであるというふうに書き込ませていただきました。
 もう1枚めくっていただきまして3ページですが、ここには短期、中期、特に短期、中期というものの定義がよくわからんというご指摘がありましたので、それについて書き加えさせていただきました。
 それから、4ページ目です。
 4ページ目は枠囲いの中に、日本の物づくりメーカーというのは海外で物を売ってもうけるということが主眼なんだと、知的財産を売ってという技術貿易というようなものはそんなに大きな目標にすべきではないのではないかというご指摘がありましたので、技術貿易収支のほうは取らせていただいております。
 続いて、第5ページですが、真ん中以下、具体的な施策を並べております。この中で、だれが担当するのかがわからないというのは困るという、これもまた政務官からのご指摘がありましたので、担当省庁を括弧書きで後ろに付すということをさせていただいております。
 それから、6ページですが、6ページ真ん中よりも下のところ、目標指標例です。検証可能な書き方にしろというご指示をいただいております。例えば、(イ)というのは競争力強化戦略を策定・実行する、こういうものが策定されていたか、実行されていたかということは後からも検証可能ではないかと思っております。
 それから、(ロ)とか(ハ)は数値の目標を入れるということで、これも検証がしやすいような形にさせていただいております。
 それから、7ページ目です。
 7ページ目の上のほうにある目標指標例ですが、ここは適切な評価方法やそれから規格・基準といったようなものの国際標準を獲得していこうというものです。件数で何件というふうにやると、そこが数値目標化すると余り中身がないものまでとりにいってしまうんではないかということで、ここはこういうような国際標準は具体的にとられたかどうかというところを検証すればいいのではないかという趣旨でございます。
 続いて、8ページです。
 一番上のところですが、植物品種保護制度の共通基盤整備というところで、UPOVとかそれから東アジア植物品種保護フォーラムのことについても触れるべきというご指摘がございましたので、この項目を加えさせていただいております。それから、目標指標例のほうは数値を入れさせていただいております。
 それから、8ページから9ページにかけてのところなんですが、(ハ)という目標指標例は最終的に共通基盤を整備するというようなあいまいなものになっていますが、その中に具体的にそれがちゃんと行われているかどうかというのを見るために、例えば新規加盟国が得られたかどうか、それから審査方法の共通化が行われているかどうか、審査データの相互利用開始というのが要は開始されたかどうかというふうに個々の施策ごとに見ていくようにすれば、具体的にそれが行われたかどうかというのが検証できるのではないかという趣旨で、例としてその中に書き込ませていただいております。
 それから、10ページ以降が、我が国のすぐれた技術を生かした世界に通用する新規事業を創出するという項目になりますけれども、11ページです。真ん中辺、相談窓口、支援体制の整備というところで、ワンストップ窓口を全国に整備するというふうに書かれていたところ、妹尾会長のほうから、ここはこの中でちゃんと的確に対応できる人材も一緒に育てなきゃいけないだろうということで、窓口の整備だけですと短期なんですが、その中でちゃんと人材の育成をするということで短期・中期という形でここは書きかえさせていただいております。
 続きまして、12ページです。
 目標指標例のところ、(イ)、(ロ)は数値の目標が入っておりますが(ハ)です。知的財産マネジメントというのをベンチャー・中小企業の中に浸透させるということで、このままだとちょっとわかりにくいぞというご指摘があったところですが、現在うまく浸透していないのではないかというふうに言っていらっしゃる方々の根拠は、基本的にはアンケートの結果を見ると、1%とか2%しかこういうものをちゃんと考えていますという人がいないというところが大きな根拠になっておりますので、そういうようなアンケート結果から浸透度合いを把握するということしかないのではないかというふうに考えております。
 続きまして、13ページです。
 大学の産学連携力の向上というところの2つ目のポツです。研究者が研究に専念できるように支援人材を置きましょうということで、前回、政務官のほうから山中教授のパワーポイントを提示されて、こういうことが大事じゃないかと、ここを特に短期でやれというご指示をいただいたところですので、ここを短期でやるように書きかえをさせていただいております。
 それから、そのページの一番下のところですが、今まで仮出願という言い方をさせていただいておりましたが、出願フォーマットの自由化ということで書きかえさせていただいております。また、これの時期も次のページになりますが、中期から短期へということで短期というふうに期間を変えさせていただいております。
 ここの下の目標指標例ですが、共創するような場を構築する。これは構築できたかどうかということを見れば、事後的に検証可能なのではないかというふうに考えております。(ロ)と(ハ)は数値の目標を入れております。
 それから、このページの一番下のところですが、職務発明制度のことについても継続的に情報収集や評価を行うということをやるということで、職務発明制度について書き加えてくれというご意見がありましたので、ここで加えさせていただいております。
 それから、その一番下のところですが、権利の安定性を向上させる観点からというところですが、次のページに入ります、蒸し返しの問題とかダブルトラックというものを含めて特許庁と裁判所の関係のあり方についての整理を行っていこうということで書かせていただいております。
 それから、一番最後の目標指標例ですが、この(ロ)のあたりも権利の安定性を向上させるというふうにただ書くだけだと何だかよくわからなくなるというところですが、例として例えば検討が行われたかどうか、また、その検討結果に応じて必要な措置が講じられたかどうかということは事後的に検証可能ではないかというふうに考えております。
 私のほうからは以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 それでは、議論に移りたいと思うんですが、まず最初に、恐縮ですけれども資料1の14ページ、それから15ページにかかっていますけれども、ここをちょっとごらんいただきたいと思います。
 前回、大変なご議論をいただきましたいわゆるダブルトラック問題に関してなんですけれども、これまで事務局のほうに私のほうから指示を出したのは、議論を可視化してくれと、論点を可視化して整理してくれというふうに言っておりました。
 皆様にご議論いただいたんですけれども、当初予定よりもすごく深い議論、それから広がる議論になりましたので、いわば私はパンドラの箱を開けたんじゃないかというふうに評させていただきました。パンドラの箱を開けると全部が飛び出してきて、最後に希望が残るという有名な話があるんですが、希望を残したいと思いますので、どうこれを処置したらいいかなというふうに考えました。
 さらに皆さんのご議論を伺ってくると、単なる論点の整理、可視化だけでは済まないと、むしろこれは問題の構造化そのものをしないといけないなというふうに考えました。私も一応、問題学の専門家でございますので、問題の構造化が必要だなというふうに思いまして、その上でこれはかなり専門的な知見の必要な分野だということがよくわかりましたので、この専門調査会の趣旨から言うと、その細かいところまで入って専門的な議論をするのはいかがなものかというふうに思います。
 これは私からのご提案なんですけれども、一度、制度を所管官庁の省庁のほうで専門的な検討を行っていただき、それで、さらに問題があるようであれば別途、本調査会で議論を行うという形で進めさせていただくのがいいんではないかなというふうに思いました。この会の趣旨でいきますと、やはり専門のご議論は専門家の先生方に委ねて進めていただくというのがよろしいのではないかということで進めさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

○相澤(英)委員
 取りまとめには反対ではないという趣旨です。ただし、方向性を定めずに検討を審議会任せにするという決定の仕方をすると、棚晒しになってしまう可能性があるので、その点には留意していただきたいということです。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 相澤委員から今の結論自身が後々検証可能なような形で進めてくれと、こういうことかと思います。それに留意して、事務局のほうできちっと見ていただければと思います。
 渡部委員。

○渡部委員
 同じ趣旨ですけれども、必ずやはりその専門性ということも確かにあるんですけれども、基本的にユーザー視点で審査、審判、裁判が的確に行われているかということを評価するということは、むしろ専門性ではない観点も必要だと思いますので、特に裁判に関してはそういう面もありますから、必ずやはりレビューをここでもう一回やるということが必要かと思いますので、その点はご理解いただければ。

○妹尾会長
 なるほど。ありがとうございます。
 前回、このダブルトラック問題をなぜ問題と見るかということに関しては、渡部委員を初めとして、これはやはり知財を扱っている中小企業を初めとして活性化をすると、産業振興という観点を忘れてはいけないということでは皆さん一致していたと思います。その観点は専門調査会としては当然リクエストしたいところだというふうに受け取って、その観点で議論いただいて、その後はレビューをここでするということを踏まえたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の議論にいきたいと思うんですが、資料1、先ほど高山参事官が説明してくださった資料1に関して、総論としての現状認識と目標がありますよね。1から3ページ目です。ここのところで修文あるいはつけ加えがありました。その後に、論点ごとの認識と課題、それから個別の施策例と、それから明朝体で書かれている目標指標例という構成になっています。
 きょうは総論としての現状認識と目標の部分、すなわち1から3ページの部分、それから2として企業等の事業活動云々というところ、4ページから8ページです。それから、我が国のすぐれた技術を生かした新規事業の創出云々という9ページ以降の部分の3つに分けて議論をしたいと思います。つまり、資料1自身が3つの構成になっているというのをご確認いただきたいんですけれども、これを3つに分けて議論します。
 一応、もう一回くどいように確認しますけれども、目標指標例は、これはあくまで例示ですので、ここで書いたからそれが目標になるというわけではないというふうに思ってください。結論を出さなきゃいけないものではなくて、4月以降もあわせて作業が進みますし、策定のいろいろなご議論が引き続き行われる予定ですので、あまり細かいところには入らずに、もちろんこの例は問題があるとか、あるいはこういう目標があるよとか、そういう議論は結構ですしもちろんありがたいんですけれども、作業手順的にはそういう位置づけできょう議論するということを、ぜひご確認いただきたいと思います。
 それじゃ、最初に1ページから3ページ、現状認識及び目標について、ご意見のある方いらっしゃいましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。1ページから3ページで何かございますか。
 これは全体の現状認識です。この現状認識が違うとか、これはミスリードになるとかですね。それから3ページ目、前回、指摘のあった短期、中期ということがよくわからないということはここに最初から明文されていますので、お願いいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、1ページから3ページはこれで骨子(案)に持っていくということでご了解いただきたいと思います。
 それでは、4ページ以降のいわば第1部ですね。
高柳委員お願いいたします。

○高柳委員
 6ページの中ほどに専門家を育成するとか、目標指標例で育成する(400人)、増加させる(150件)と、こういう指標例が書いてございますけれども、この育成するとかいうのはハウツーとか、どういうふうにして育成するかは、それぞれの監督官庁というか、ここで経産省とか、こういうところが具体的なことは考えろということですか。

○妹尾会長
 この書き方の一番後ろに所轄の省庁が書かれているということは、それぞれの分野でそれぞれの官庁が考える責任を持って、そして後で検証可能なように策定と実行をやると、こういうことです。事務局、それでよろしいですね。

○高柳委員
 そうしますと、例えば育成する400人、育成の研修を何回かやりましたと、こういうことで、後ろのほうにもこれはまた対象になっていますけれども、人材育成とか強化とかいう言葉が五、六カ所出てまいります。妹尾会長はご専門ですからよくおわかりだと思いますけれども、人材というのは一朝一夕にできるものじゃないわけですね。繰り返し企業のほうで5年、10年かけて、やっと1割、2割育つかどうかという。この期間に、研修は何回もできますね。ですから、省庁が育成のために研修会をこれだけやりましたでお茶を濁すということがないような、何か検証のエンドポイントといいますか、そういうものがあれば好ましいなと、あるいはそういうふうにしないと、一生懸命やりました、結果はわかりませんというようなことになりはしないかと。それをちょっと危惧いたしますので。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 人材育成の専門家としては、大変うれしい応援演説をいただいたと思います。これは、よく人材育成というと、結果評価しかしないというのがあるんですね。こういうのは全部、結果評価と成果評価というのを分けないといけないと思います。要するに、研修を何回やったという結果評価で押し上げをしては困る。これは必ずその研修の結果何が起こったかという、こういう成果が得られたというところに、これはアウトプット評価とアウトカム評価という違いがあるんですけれども、そこまで至るような仕掛けをするんですけれども、ここの中で書き込むかどうかはかなり難しいんですが、これは工夫が要るということですよね。これはぜひ、人材育成のような何となくみんなだれも反対しないけれども、だれも検証ができないという形ではまずいので、ここら辺は各省庁に今後4月以降の議論でやっていただきたいと思います。大変いい指摘をいただきました。ありがとうございました。
 ほかに、いかがでしょうか。

○福島委員
 7ページの低コストかつ効率的なグローバルな権利取得という点について意見を述べさせていただきたいと思います。2回前の調査会で韓国特許庁のお話を少しさせていただきましたが、これが1番目の施策の中にありますシステム構築を含めた環境整備という表現で少し盛り込まれていると思っていますが、もう少し踏み込んだ表現の施策をお願いしたいと思います。当社の実態からしますと、年間四、五千件の日本出願をグローバル展開していますが、外国出願のコストという視点から考えますと、翻訳に一番費用がかかります。具体的には外国特許庁に支払う費用の1.5倍程度の翻訳費用が必要になります。特に、中国特許の出願には多額の費用が必要となります。その理由は、技術者や発明者が中国語を理解できませんので、社内では日本語や英語から中国語に翻訳した後、もう一度日本語や英語に戻して、誤訳の有無を確かめるような二度手間が必要となり、これによって莫大な費用が発生します。この視点から、施策に記載されたシステムという表現の中で是非とも機械翻訳のようなもう少し具体的内容を盛り込んでいただき、これをできれば政府主導で進めていただくととともに、民間にも開放していただくような仕組みがあれば、結果として海外出願を低コストかつ効率的に加速できる施策になるものと考えています。
 また、後半の内容とも関連すると思いますが、例えば大学の方々には、このようなシステムが無料で利用できるような仕組みも有効と考えていますので、このような翻訳システムについてもう少し具体的に掘り下げた議論を進めていただければ、目標指標とも整合するものと考えています。

○妹尾会長
 なるほど。ありがとうございます。
 福島委員がこの前紹介された、韓国は一気にこういうような調査を通じて、ある種の知的財産に関する知的財産を構築している。この状況に対して日本は一体どうするんだということですが、国を挙げてやる以上は、国のそういうような機械翻訳、特に韓国は機械翻訳がすごいですから、それに対抗するようなことはないだろうかと。
 これはどうでしょうね。この段階で例示で組み込むことは難しいかな。それともう一つは、情けない話なんですけれども、予算はできるだけ使わないようにという政務官の施策上の指示があるという、これは何か覆さないといけないかという話ですけれども。
 そうですね、これは確かに必要だと思いますけれども、今ここの中に入れるかどうかはまた大変な調整が入るので、議事録に残して、4月以降の中で今見たような具体的な案をもう一度テーブルに載せていただくということでよろしゅうございますか。

○福島委員
 はい、わかりました。

○妹尾会長
 では、今のアイデアをぜひ検討したいと思います。
 今の周辺で何かご議論があれば。
 それでは、高柳委員。

○高柳委員
 先ほどの意見に関連いたしまして、私も前に述べさせていただきましたけれども、中国、韓国、日本とか、英語で出願して、将来的にはそういう翻訳しなくても済むような、少なくともアジア圏で、あるいはこれは五大陸でもいいと思いますけれども、そういう方向を目指してハイウエーの相互乗り入れとか、そういうことが将来的には望ましいんじゃないかなというふうに思いますので、それはすぐに予算を使うということでもございませんし、医薬、バイオなんかもやっぱり中国、翻訳だけで1ページ1万円かかります。我々のほうは200ページとか300ページの、そういう明細書がございます。それだけで200万、300万かかってしまいますね。先ほどのダブルチェックなんていうことになりますと、莫大な費用が1件でもかかりますので、英語による出願で相互に利用し合うというような制度も将来的には目指すべきではないかなという考えです。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今のご提案は、機械翻訳で解決しようということもあるかもしれないけれども、そもそもその問題を発生させない、問題を解消しようというやり方で中期的にやるべきではないかと、こういうご提案だと思います。ありがとうございます。
 それに関して、はいどうぞ、お願いします。

○相澤(英)委員
 今、高柳委員のご指摘でありますけれども、日本語による特許出願は、中小企業を含む多くの日本人にとって、非常に大事な技術情報データベースになっています。日本国の特許出願のデータベースは非常に重要なものでありまして、これを英語による出願、英語による特許にすることには、私は反対です。これは日本の技術基盤を危うくするものであると思います。
 その点と同じ箇所です。繰り返しになりますけれども、8ページの特許の海外出願比率ですけれども、外国へ出すのは賛成でありますが、日本の特許出願件数が減って外国だけ増えても意味がないので、パーセントではなくて件数のほうが適切ではないかと思います。それから審査ハイウエーについても件数であるべきだと思います。
 それから次の(ハ)のUPOVですが、これは例えば幾つ増やすというような見える数字にすると明確になると思います。
 それから、ACTAの見込みはわからないんですけれども、ある程度実現可能性のあるものを中心にまとめていくことがよろしいのではないかと思います。ACTAが短中期と書いてあるんですけれども、象徴的なものとしての条約だけつくるということではなくて、中身のあるものを締結するというのは難しいのではないかと思います。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今、一番最後のことなんですが、外務省を初めとして各省庁がこれは書いているということはやるのだとおっしゃっていると受け取ってよいのではないかと思うんですけれども。

○相澤(英)委員
 反対しているわけではないですけれども、できるのですかという質問です。

○妹尾会長
 事務局、いかがでしょうか。

○内山次長
 ACTAにつきましては、日本がイニシアチブをとりながら、米国と一緒になりながら、これに参加するEUを初めとする各国地域と交渉しておりまして、事務的には各国とも2010年中、ことし中に妥結をしていきたいという強い意思のもとに今、交渉をしております。
 そういった意味では、ここに掲げている外務省を初めとして各省とともに、これについては積極的に取り組むというところでございます。
 そういう意味で短期、そしてまた締結だけではなくて、その後、主要国・地域への加盟国拡大等々をしっかりやっていきたいということで、中期というのもあわせて書き込ませていただいているわけでございます。

○相澤(英)委員
 特に、反対ではありません。

○高柳委員
 私も、今ちょっと補足。先ほどの英語の件ですけれども、日本語の出願を否定するということでなくて、1回英語の翻訳をすれば外国出願はそれで済ませたいという意味です。外国出願の場合は必ず英語には翻訳するわけですが、さらに中国語、韓国語とかのコストをかけまいということです。英語を1回翻訳、これは仕方がないです。でも、最初から英語という意味ではございません。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今のは、先ほどの議論がちょっと補足されたので、相澤委員もよろしいかと思います。

○福島委員
 今のご意見の補足ですが、翻訳以前の問題として出願制度の課題として見た場合、例えば内国人は母国語で、外国人は英語でという切り分けをすれば、今ご提案された仕組みとも整合するものと理解しています。また、このような出願制度は、日本だけでなく諸外国においても同様な課題であると思います。

○妹尾会長
 わかりました。
 今の話、ただ内国人とか外国人という言い方はちょっといろいろ問題がありますので、どちらの言語でもということかと思います。
 山本委員お願いいたします。

○山本委員
 3ページに戻っていいですか。すみません。3ページの目標のところですが、上から3行目のところですが、「ベンチャー・中小企業、大学を含め我が国の「知」を生み出す能力を最大限有効活用し」と記載されていて、これではもうベンチャー・中小企業、大学は「知」を満たす能力は既にあって、それを有効活用すればいいという感じにちょっと読みとれる雰囲気もあるので、すごく細かい話ですが、私は「ベンチャー・中小企業、大学を含め、我が国の「知」を生み出す能力を最大限活性化し、世界に通用する事業に結びつける」とか、そういう表現に変えたほうが、中小企業やベンチャー、大学も活性化すべきというのが後で出てくるので、そちらになじむんではないかと思っています。細かいニュアンスで、申しわけありません。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 ニュアンスは多分そのとおりです。例えば、生み出す能力をさらに高めつつ、その成果を最大限有効活用した世界に通用する事業を生み続けるとか、そういう趣旨ですね。もし山本委員の趣旨にご賛同いただければ、確かにそうだと私も思いますので、今程度の修文はぜひやらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 渡部委員。

○渡部委員
 8ページの途上国の知的財産環境整備のところですけれども、これはエンフォースメントとキャパシティ・ビルディングは車の両輪で、こういうのを施策として取り込んでいただくのはいいんですけれども、ちょっと細かいところですが、日本での研修経験者と書いてあるんですが、これは別に日本という場所でやることが重要ではなくて、恐らく日本の機関が実施するんだと思いますので、そこを修文していただくのが1つと、これは恐らく、こういうのは割に目標指標例になじむので、学会で実はこういうのをネットワークの目標値を掲げてやったことがありますが、残念ながら目標未達でしたが、これは目標値を掲げてもいいのかなと思いますので、その点をご検討いただければと思います。

○妹尾会長
 はい、わかりました。
 今、渡部委員が言われた、これは確かに日本でのと言うと、日本におかれて行われた研修という意味に読めてしまいますので、今の程度の修文はしましょう。それから、目標値は今回書かなくても4月以降ということでよろしいですか。4月以降にそれを織り込むことにしたいと思います。
 いかがでしょうか。西山委員。

○西山委員
 すみません、私も山本委員の後に続こうと思ったんですがタイミングを逸してしまったので、実は3ページのほうに戻って、少々すみません。やはり同じ3行目に関してです。ベンチャー・中小企業、大学というくだりです。さっきの議論にもあったように、個人の育成、それからイノベーションがどこで起こっているのかという議論がさっきあったわけですけれども、ベンチャーの前にまず個人という1ワードが含まれてしかるべきだというふうに、まず思います。
 それから、知が生み出される現場というのは必ずしも国内にあるわけではないので、大事なのは我が国がそれによって益を得ることであって、海外であったとしても知を我が国が取り込むというところに主眼が置かれるべきであって、そこをどう表現するかというのは具体的な例はないんですが、要は最大限有効活用するんだとするならばその仕入れといいますか、知の仕入れの部分にも言及して、個人がもし知を海外で生んで国内の企業はそれを取り込むことができるならば、それも取り込めるような施策としていくべきというような趣旨も加えたほうがその後いいのではないかというふうに。

○妹尾会長
 西山委員、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、そこで言われている個人というと、ついついこういうコンテクストの中だと個人発明家というふうにとらえられてしまう可能性があるんですね。西山委員の今までのご議論を聞いていると、むしろそうではなくて、生活者だとか消費者だとか、そういう知をもっと取り組みましょうよという趣旨かなと思うんですが、その辺をちょっと確認させていただくと。

○西山委員
 特に、隔てておりません。と申しますのは、個人発明家であってもいいですし、研究者であってもいいと思うんですね。要は、今回の施策をどこまで広げるのかという枠組の話だと思っています。

○妹尾会長
 個人という言葉を入れるかどうか、これはちょっと難しいことがありますが、今、要するに企業、法人だろうが個人だろうがみんなして我が国の知を吸収しましょうよと、そういうことかと思います。ここでこれだけ書けば、ただ強調しているのはベンチャー・中小企業、大学を含めと書いてあるので、これが特にという例示になっているというふうに受け取らせていただきたいなというふうに一方で思います。
 ただ、知をたくさん取り込みましょうという、取り込む仕掛けを入れましょうというのは確かにそうなので、具体的に、こういう文章はどうかというのがございますか。

○西山委員
 今そこは議論になっていますが、一案としてはそこの間に個人を入れるというのが私の一案であったわけですが、それがもしもその「含め」というところに含まれるということであるならば、海外からもというのは例えばいかがでしょうか。

○妹尾会長
 我が国の知の生み出し能力というのは我が国の国民だけではなくて、海外の知も取り組んでという、そういうことですね。なるほど。
 これはちょっと検討させていただくということで、よろしいでしょうか。確かにそういうご指摘、日本がいかにもクローズでやっているという印象があるので、そこに海外からの、各国とも海外の知を取り込むことに熱心でありますから、我が国もそこはやりましょうと、そういうことかと思います。

○西山委員
 例えば、育成という話がさっき出ていましたけれども、場合によっては海外から調達ということでもあり得るわけです。実際、効果を得る方法があるならばそれは何も国内でなくても、ほかから持ってくるということもあるわけで、そこにこのニュアンスを入れるかどうかでその後の施策は大いに変わってくると思っております。

○妹尾会長
 わかりました、ありがとうございます。
 今のところを少し見ていきます。ただ、ここに書かれなくても今のニュアンスは、これは議事録に残りますから、今後そういうところでの施策のご提言をぜひいただきたいと思います。ありがとうございました。
 岸委員。

○岸副会長
 ちょっと私が不勉強なのかもしれないんですが、事務局の方にまず確認をさせていただきたいと思うんですが、5ページの一番下の競争力強化戦略の策定実行のための基盤の整備というところがありますね。そこに、アジア諸国とのパートナーシップに基づく共同研究開発プログラムを云々とある。さらにその下に、アジア地域における標準化とその的確な認証に向けて組織的に取り組むと書いてありますね。これは具体的にはどういうことが動いていて、実際どういうものが2010年度中にでき上がるかというのは、何か見えているものはあるんでしょうか。

○高山参事官
 具体的に何か見えているかと言われると、まだちょっと不透明なところもたくさんございます。パートナーシップに基づくといったときに、それは例えば各国の大臣同士がこれを一緒にやろうねというのもパートナーシップに含まれると思っておりますし、そういうような一緒に進めていこうという約束のもとの共同研究開発プログラムというものが、2010年度中にこういうのをやろうよという話が生まれてきて、その先で構築されていくというようなことを意識しております。

○岸副会長
 それで、最近実は国際標準化担当、企業の方と話す機会があって、彼らにあなたたちは今何をしてほしいのと聞いたんですね。37兆円の税収に44兆円の国債を出している日本の現状で、お金はつかないよと。お金がつかないで何かできますかと聞いたら、それはきょうのこれに関する結論なんですが、彼らが異口同音というまではないんですけれども言ったのは、ISOとかIECとかあるいはITUのアジア本部を誘致してほしいと彼らは言うんですね。つまり、デジュール標準はヨーロッパと我々は固定観念で持っているわけですね。国際連名下でできたので、みんなジュネーブにあるし、デファクトがアメリカでデジュールはヨーロッパという固定観念がある。だけど、標準化の出口を考えたら、恐らくものになって出ていくときは人口だと思います。今、ヨーロッパは27カ国、1国1票で27カ国持っているけれども人口で言うと2億数千万、アジアだったら日本、韓国、中国、インドを合わせれば25億、このマーケットがあるアジアに何で国際標準化機関さえないのかという彼らの思いがあるわけですね。
 前も申し上げたけれども、リーマンショックの後、3回行っていたのが2回にされるとか、ビジネスクラスがエコノミーになったりとか、時差との闘いもこれあり、仮にアジアにそれらの本部、支部だと弱いのかな、そういうのがあればアジアの中でフェース・トゥー・フェースのコミュニケーションが図れて、今おっしゃったやや見通しがないこのプログラムとか、的確な認証に向けて組織的に取り組むというようなことも、かなりフェース・トゥー・フェースでできるようになるんじゃないか。その根っこから変えないと、幾らこういうお題目を唱えて、も幹事国数は結局5番目というのは全然変わらないし、そのあたりは割と国際標準化担当の本音。本部を誘致しろ、それはさっき相澤先生の実現可能かなんて言われると私も自信がなくて中期、あるいは長期になっちゃうのかもしれませんが、今、APECの議長は日本、アメリカですか、両方がやっているのかな。そういう時期にAPECでまず声を出すとか、あるいはきょう津村政務官はおられないので欠席裁判になってはいけないのかもしれないけれども、すぐれて政治の問題だなという感じはするんですが、少なくともアジア本部の誘致ぐらいはぜひお書きいただきたいなというのが、私ではなくて国際標準化担当の本音でありました。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 会長として申し上げたいのは、ぜひ3回目ぐらいに言っていただくと大変よかったというふうに思います。今からこれに入れるのは、大変難しい話ですよね。でも、おっしゃることは大変賛同します。確かに、国際標準戦略をやる以上は国際標準の本部を誘致するというのは大変大きな話だと思うんですが、これを今回書き込むのは難しいけれども、4月以降検討というか、長期的な話としてそれを話題に出すのは可能ですよね。
 近藤事務局長。

○近藤事務局長
 もちろん議論するのは可能ですが、私どもの今のこの考え方は、今こういったことも含めて経済産業省、総務省、国土交通省でどういうものについてどういうようにやって標準化を進めていこうかというプログラムをつくれと、こういう宿題を出すんです。この宿題を出した上で、それは経済産業省なり総務省なり国土交通省がこれから例えばアジアにどういうブランチをつくるのか、すみません私は不勉強でアジアにどういう支部がどこにあるのかよく知らないんですけれども、そういったことをもうちょっとしっかりとやっていこうじゃないかと。
 あるいは、ISOの会長というのは実は日本の人が時々なっているんですよね。これもほとんど知られていない。こういったことも含めて、もう少しどうやって標準化をやろうかというのを本気で取り組み始めてもらう。現実問題としてどんなことができるかということを、経済産業省に考えろというのを去年のうちから随分言いまして、年明け早々から経済産業省の局長と審議官と担当課長ぐらいがアジアの国々を相当回って意見を聞いてきております。
 ほかにもAPECベースというんでしょうか、例えばあのインドネシアにつくったエリアでもこういった議論をしようと、こんなことも大分議論が始まっておりますので、今ご指摘のようなことも含めて、これから方向性を出してもらう。我々はこれをまた見ながら、経済産業省にどういう計画でやっていくのかというのを出してもらって、それをまたフォローしながら、今までじゃ足りないというような注文もまた出していく、こんなことだろうと思います。議論を引き続き続けていきたいと思います。

○妹尾会長
 相澤委員。

○相澤(英)委員
 そういう企画は反対しているわけではありませんけれども、一生懸命とやったあげく、コンペティターの中国に持っていかれたら何にもならないので、注意を要すると思います。中国とかあるいはインドも競争力が増しています。アジアに持ってきたけれども、そっちに持っていかれたのでは何のことはない、かえって、不利になるおそれもあると思います。その点は留意していただければと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。  今の話をもう少し一般化すると、国際標準取得のための環境整備は何かと、こういう話だと思います。個々の企業が頑張る、個々のフォーラムが頑張るだけではなくて、それをやる、今、要はジオポリティカルな環境その他を整備しようという、こういうご提案だと思います。これは大変重要なことだと思いますので、これは引き続き議論したい。ただし、恐縮ですけれども、議事録に載せて4月以降の議論をさらに進めていただくし、関係省庁、所轄庁にはそれを検討していただこうと、こういうことだと思いますが、関連あるところで。
 山本委員。

○山本委員
 それで言えば6ページですか、アジア地域における標準化とその的確な認証に向けて組織的に取り組むと書かれているので、別にこの中での議論というふうにとらえればいいのではないかと考えております。

○妹尾会長
 なるほど。

○山本委員
 その際は、また別途ということでよいのではないかと思いますが。

○妹尾会長
 そうすると、ここの中で例えば国際標準機関の誘致だとか、そういうものが織り込まれてくると、こういうことですね。ありがとうございます。大変いいフォローをしていただきました。
 上條委員。

○上條委員
 ちょうど5ページ、6ページあたりのお話になっていましたので、関連質問とコメントをさせて頂きたいと思います。5ページの下から2ポツ目に「問題解決型、実証実験型の研究開発において標準化を一体的に推進する」というくだりがございますが、その際、「差異化領域における知的財産の創出・保護」と、「その他の領域における標準化」という表現をされていると思います。この「差異化領域」というのはおそらく「競争領域」という意味合いで、「その他の領域」というのは「協調領域」で標準化を進めるというご趣旨かと、推測させていただいたのですが、「差異化領域」「その他の領域」という表現をあえてされる理由がもしあるのであれば、御教示いただければと思います。

○妹尾会長
 すみません。これは私と事務局の中で大変な議論があったんです。実は競争領域と協調領域という区分けではなくて、戦略的にどこを競争領域にするかということ自身が戦略ですから、その上位レベルに入ったらむしろ差異化領域なのか、これはマトリックスが引けるんです。競争領域と協調領域、差異化領域とそうでない。なので、どっち側のほうがよりいいかと、この議論を始めると結構大変なあれなんで、まずはここに修文したというのが実は経緯です。

○上條委員
 これは質問だったので、意味があってこうされたということであれば腑に落ちました。ありがとうございました。

○妹尾会長
 変わっているのはそこのところです。

○上條委員
 はい、了解です。そういったご趣旨があられるということであれば、このままで私もいいと思います。
 それから、6ページ目の上から3つ目のポツで、「技術知識だけでなく事業知識や現場での交渉スキルを身につけた国際標準化活動の専門家を育成する」において、技術知識、事業知識、および交渉スキルが、国際標準化活動の専門家に必要なスキルとして書かれております。これは知的財産推進本部の会議で議論されているので、言うまでもなく「知的財産知識」というのもここに含まれていると認識しておりますが、一応「知財の知識」という記載も追加したほうがいいかなと思いましたので、もし齟齬がないようでしたら、入れていただきたいと思います。

○妹尾会長
 盲点でございました。おっしゃるとおりでございます。

○上條委員
 言うまでもないことかと思いましたが、あったほうがわかりやすいかと。
 それから、その次のくだりで「スキルの可視化」のことを記載していただけて、私としても実は本日、標準化の専門家に必要なスキルを可視化する必要性について、意見を申し上げたかったので、安心致しました。先ほど高柳委員もおっしゃっていたんですが、標準化の人材育成がされているかどうかを、検証し確認することが非常に大事になってくるかと思いますので。まず、標準化の人材育成をするには、どのようなスキルや知識を持って頂く必要があるかについて、明確化、可視化することの重要性について、ここで言及いただけたことはよかったと思います。すみません、コメントですが、以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 標準人材育成をやっていらっしゃる観点からの的確な指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。今、上條委員の言われた「スキルの可視化を目指し、標準マネジメントに関する検定・認定制度の創設に向け検討し」と書いてあるときに、検定と認定でどう違うのかという疑問が多分あると思いますが、これは人材育成上は区別しますので、あえてこれを入れさせていただいております。
 検定というと必ず3級、2級、1級と標準的な検定があって、その試験を何点以上でパスすると例えば何々検定3級と、こういう言い方になります。認定の場合は、具体的なトレーニングを受けた場合はそれが認定される。この授業をある成績で修了したことを認定すると、こういう言い方になるので、これは2つ、検定や資格だけでは制度的に標準人材のマーケット全体のサイズから言うとかなりの検討が必要になるということで、これは認定も加えたほうがいいだろうということで、あえて認定が後ろに入っております。この点はご理解いただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 それじゃ、佐々木委員お願いします。

○佐々木委員
 まさに標準化のところなんですが、この人材育成の主体は経産省だったり総務省だったりするんだと思いますけれども、客体は一般の業界になるんでしょうか。ちょっと数の関係とか国際機関での活躍の場という関係で、そこはもし明確になるんだったら明確にしたほうがいいかなということと、人材育成するとしても、もともと私は冒頭のほうの議論でも申し上げたんですが、場がないと。場があって必要ならば人材は育成されると思うので、その場をしっかりつくりましょうというのはその上のほうのポツの中で言っているというふうに理解しているんですが、それでよろしいですかという話と、あと人材育成に、これは中期になっていますから、その後考えればいいと思いますけれども、今、会長がおっしゃったところにもちょっと関係するんですが、人材を急速に育成するときにはこれを資格要件にするか、それとも能力要件にするかというのは非常に重要なポイントだというふうに思っていまして、資格要件にすると、ある資格を持った人だけがこういう場で活躍できますよというふうに多分すべきだろうと思いますし、そのほうが非常にチャレンジ精神の旺盛な人がチャレンジしてくるだろうと思いますけれども、はたまた漢字検定みたいな能力要件にすると、おもしろくないと余り人が育たないんで、だから、やっぱり場があるかないかというのが一番重要だと思うので、一時的にはまず主体と客体をもうちょっと明確にしたほうがいいんじゃないですかという話と、標準化人材が活躍できる場はここですよというのをちょっと明確化していただくとわかりやすいかなと思います。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 ちなみに人材育成的に言いますと、場だけではだめなんです。場と機会を組み合わせるというのが極めて重要なので、ぜひそういうところを各省庁にやっていただきたい。少なくとも旧来型の知識を、何か教科書を読んで受講生の半分以上が寝ている状況で研修をやって人材育成できたみたいな、そういうものは絶対に今後は許しちゃいけないということで、各省庁に検討していただきたいと思います。ありがとうございます。
 主体、客体の話は今後の目標明確化の中でぜひ織り込んでいきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 もしよろしければ、その先へ少し進ませていただいて、10ページ以降の第2部のほう、こちらのほうで何か我が国のすぐれた技術を生かして世界に通用する新規事業を創出する、この話についてご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。
 西山委員。

○西山委員
 世界に通用する新規事業を創出するためにはということなんですが、我が国のすぐれた技術を生かしたなのか、他国のすぐれた技術を生かしたなのかという話もあると思うんです。要は、その落としどころはどこなのかという話があって、普及しましょうと、ちゃんとだれかがしましょうということであったらば、先ほどちょっと申し上げましたけれども、ここにうまく落とせればと思うんですが、上手な場と機会が国内に出てくれば、それすら持ってくることができるんじゃないかというところがポイントだったと思っています。
 これをどこにどう目標に入れていくのかというのは、切り口は幾つかあるとは思うんですが、そういった観点でコメントを1つ残しておきたいと思うんです。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 これは西山委員が先ほどおっしゃられたことと極めて連動していて、我が国の技術だけで我が国のことをやろうよという観点ではなくて、他国の技術を我が国に取り入れる仕組みだってあったっていいじゃないかと。それを人も含めて、そういう活用の仕方をグローバルの中では日本もやるべきではないかと、こういうご提言で、確かにそのとおりです。欧米、中国、その他、みんな他国の技術なり他国の人材を極めて生かしているわけですから、我が国がちょっとそれについて遅れているんではないかというご認識、これは多分皆さんご一緒だと思います。

○西山委員
 具体的に言うと、中国も含めてということなんですが。

○妹尾会長
 ということですね。

○野元委員
 今の西山委員のお考えはまさにそうでして、我々民間企業でもグローバルにやっていますから、R&Dにしてもマーケティングにしても営業にしても製造にしても、世界各地にいるんですよね。経営は連結経営をやっていますし、株主総会で発表する決算書は連結決算書で、単独の決算書を発表しているわけじゃないです。そういう意味から言えば、我々はグループの人員でいった場合、日本人じゃない人のほうが多いぐらいというのもあって、日本の技術をということで余りこだわり過ぎていると、実際の企業の経営の実態とは外れてくるなという気がして、西山委員のおっしゃる、そういうことも非常によくわかるなと思いながら聞いていました。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 グローバルな観点をニュアンスとしてもっと織り込むべきだと、技術のみならず人も含めてそういうご提案だと思います。確かにそうだと思います。そこの辺のニュアンスが、これは今後議論を4月以降していく中には具体策として展開できればいいと思いますので、ぜひその辺の観点のご提案を今後もしていただきたいと思います。ありがとうございます。
 渡部委員。

○渡部委員
 3点ですけれども、12ページの上からユーザー・イノベーションの活用方策について、これはユーザー・イノベーションというキーワードを今回取り上げたわけだけれども、必ずしも施策に載せなかったということではないかと思います。私もここでは発言しなかったんですが、我が国の政策のイノベーション戦略はオープン・イノベーションという言葉でずっと語られてきたわけですけれども、イノベーション戦略というのは非常に多様化していて、このユーザー・イノベーション、リードユーザー・イノベーション、これはエリック・フォン・ヒッペルのデモクラタイジング・イノベーションという本があって、これはむしろオープン・イノベーションより高い評価を受けているようなストラテジーですし、さらにリバース・イノベーションとか、いろんな戦略がでてきている。オープン・イノベーションだけでカバーできないなという部分は確かに生じているので、こういう議論は非常に重要だと思います。  ただし、ちょっとここの書きぶりだと活用方策について調査するだけ、実際これはユーザーの知をいかにして制度的にビジネスに活用するかという点で実は知財問題がありまして、これはむしろ活用方策及びこれを促進する知的財産に関する課題について調査するとか、もうちょっと知的財産ということを入れて調査の課題としたほうがよいのではないかというのが1点です。
 それからもう一つ、13ページでありますけれども、「研究者が創造的研究活動に専念できる環境を実現するため」というこの1文ですけれども、これは政務官の言われた発言ということですが、これはリサーチャーアドミニストレーター的な存在だというふうに、私のぺーパーではそちらのほうとしても読めるわけですが、そうであるとすると育成確保するということに加えて、これは現場に配置するというところまで踏み込んで書いていただけないかというのが2点目です。
 それから、13ページの下のところ、「大学や公的研究機関がより利用しやすいものへと特許制度を見直す。(例:出願フォーマットの自由化)」で、この「例」はどういうふうに読むのかという、これは、「例」はないとやっぱりだめですか。
 以上です。

○妹尾会長
 今、渡部委員の3点のご指摘なんですが、一番最後からいきましょうか。これは例がないとだめですかという話なんですが、事務局。

○高山参事官
 はい、検討します。

○妹尾会長
 検討しますということです。

○渡部委員
 1点だけ補足なんですけれども、これはこの間、山本委員が言われた短期になって、そのとおりできるだけ短期なんですが、ただ普通のフォーマットの自由化に関して言えば、これは多分システム更新との連動が必要になると思いますので、当然できるだけ短期なんですが、当然それはシステム更新との時期と見合わせた時期ということだと思いますので、そこら辺は無理をする必要はないということで。

○妹尾会長
 これはフォーマットは自由化したけれども特許庁のシステムが動かなきゃしょうがないと、こういうお話ですから、フォーマットの自由化だけは短期にやっても、実質としては中期的に動く話ではないかというご指摘だったと思います。
 もう一つ前の、人材を育成確保するだけではなくて現場に配置するというところまで書き込んでほしいということですが、これはどうでしょう。文科省的に言うと予算が必要だからという抵抗があり得る話なんで、これも文科省と事務局とでお話をしていただく話になります。ただし、渡部委員がおっしゃるとおり確保して、確保ってどういうこと、実際に配置しなくちゃしょうがないよねというご指摘は、確かにそのとおりだと思います。
 一番最初のやつは、これはユーザー・イノベーションというのは、これはお気づきだと思いますけれども、かぎ括弧に入れてあります。いわゆるユーザー・イノベーションにしてあるのはユーザー・イノベーションというのは、これは理解がものすごく多様です。本もものすごくたくさん出ていますしということなので、いわゆるということで、そういういろいろな考え方を国として活用する方策を考えようということでここは入れていますが、確かに渡部委員がおっしゃるとおり、それに付随する知財の問題、課題について調査するというふうに書いておかないと、知財戦略本部的にはちょっと薄いなということなんですが、これはちょっと検討させてください。ありがとうございます。確かにそのとおりです。ユーザー・イノベーションはコンテンツ絡みの部分からこっち側のところの部分まで非常に多様ですから、知財的には幅広の問題がたくさんありますので、そこのところを検討するということには少なくとも今後は間違いなく検討していくことになろうかと思います。
 佐々木委員お願いします。

○佐々木委員
 11ページの中段から下のところなんですけれども、相談窓口、支援体制の整備のところで、これも前回か前々回、ちょっと乱暴な言い方で申し上げたんですが、いろいろこういうベンチャーとか大学をもうちょっと企業的な観点で支援できる人材というのは、知的財産経験者等々を含めて企業から大分輩出することができるというか、そういう方がまだ能力を使えるままに定年を迎えたりと、いろいろあると思うんです。今の枠の中ですと、やっぱりいろいろ弁護士法、弁理士法で割と難しいところがあるので、結構活躍するためには弁護士事務所さん、弁理士事務所さんのほうにお世話になったりとか、ちょっとその流動性というか、人材の活用のための流動性に若干私は難があるように思っていて、そういう意味で、ここにそれは検討していただくという意味で法的な検討も加える旨のニュアンスを入れていただいて、そういう面からもちょっと検討いただければなと思います。

○妹尾会長
 すみません、具体的にはどのような。

○佐々木委員
 この辺を、具体的には相談窓口のところのワンストップサービス、人材育成というふうにありますよね。人材育成、これは人材を育成しなくても、ポテンシャルな人材は大分いると思うんですよね。この人材を活用するためには、もちろん、そういう方にいろいろ代理人として特許出願とかしていただくという、そういう業務じゃなくて、知的財産の観点からこの特許は例えばこういう出し方をしてこうしたほうがいいですよとか、そしてこういう事業化をしていったらもっとこうなりますよと、そのコンサルティングみたいなことが考えられると思うんですが、実はこれも厳密に言うとちょっとグレーなエリアではあるんですけれども、弁護士さん、弁理士さんの仕事になっていて、そういう業務法人でも自分でもつくらないと、そういう支援をできないというふうに言われています。そういう人材はこれから企業の知財経験者を筆頭にたくさん世の中に出てきますし、まだまだ活用できると思うので、そこら辺のところの法的な観点での見直しも検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾会長
 相澤委員。

○相澤(英)委員
 弁理士法の問題もあると思いますが、現在、弁理士試験というのは昔に比べて難しくない試験に制度改革されています。アドバイスをするためには最小限、知的財産法、この場合は特許法等に関する知識を持った人がアドバイスをするということが必要であると思われますので、現在の制度を維持すべきではないかと思います。弁理士さんの数も増えていますし、有資格者で十分にそういう知識を持った人、企業の方も弁理士資格を持った方も増えていらっしゃいますので、その点について資格制度については、現在の制度を維持したほうが良いと思っております。
 発言したついでに申しますと、日本国の利益というものと多国籍化した企業の利益というのは必ずしも一致するのかどうかという問題もありますし、そこは日本の国の利益として何を考えるのかという問題があると思います。ですから、そこは軽々に論ずることはできないのではないかと思います。
 細かい点になりますが、12ページで目標指標例で(イ)は会社の数で(ロ)が件数なんですが、これについては(イ)についても件数でいいのではないか、特許出願の企業の数ではなくて、多数出す中小企業が増えればそれだけ意味があるのではないかと思います。
 それから、営業秘密なんですが、この制度は法律家にとっても使うのが難しい制度です。営業秘密をうまく使っているのは、コカ・コーラであるとか交雑種一代(F1)を生産しているアメリカ合衆国の大手の種苗企業に限られるのではないかと思います。ベンチャーとか中小企業が使うには非常に難しい法制度ではないかと思います。
 大学は論文を発表しなければいけません。論文を発表してノウハウを秘匿するということには矛盾するところがあります。中小企業や大学について、ノウハウの部分を強調することについては考慮いただいたほうが良いと思います。
 それから、刑事手続について言いますと、営業秘密に関して、刑事罰にある規定を入れて以降、民事訴訟でも営業秘密の訴訟で営業秘密を認めた例が減っているのではないかと思います。最大の理由は、刑事罰と構成要件を同じくすることによって、厳格な解釈がなされることになりました。刑事罰と民事の損害賠償や差止請求を切り分けて、刑事罰は一定の限られたものにしたほうが、民事法上の差止請求とか損害賠償請求をしやすくなるのではないかと思います。
 ついでに、全部言ってしまいます。記載要件のところが一番最後のところに出ています。15頁です。検討するということになっていますが、方向性を出してほしかったなということがあります。記載要件以外に補正、分割出願、いわゆるサポート要件というものが議論の対象になると思います。

○妹尾会長
 たくさんの発言、ありがとうございました。私の中で整理できないのですが、今、相澤委員のおっしゃられたのはどれも今後の議論のときに我々が配慮すべき事項を、的確に指摘いただいたものだと思います。今後の議論に生かしていきたいと思います。
 それでは、久夛良木委員お願いします。

○久夛良木委員
 10ページの丸の2つ目、「そのため、知的財産に対する意識が低いベンチャー・中小企業」と、これは1つの事例だというふうに思うんですが、例えばシリコンバレーでベンチャーというと、知的財産意識は一番高くて、最もまず考えなくちゃいけない事の一つとして、どれだけ自分たちのやっていることを秘密に保って、秘密保持契約を皆さんにお願いして、どれだけ早く特許を多くの国に出すかを徹底的にやるわけですよね。そういったことから考えると、こういう表現がぽんと表題にあると、ちょっと違和感を感じる。これは一つの事例だと思うんですが。
 そういった中で、この次のところで「産学官共創力を世界トップクラスに引き上げるべく」とあるんですが、この中にベンチャーは入っているんでしょうか? つまり、ベンチャー側から見れば既存の産業というのはある意味ではコンペティターでもあるし、過去に置いていきたいような人たちでもあるわけです。
 「産・官・学」の「学」の中にも、もちろんベンチャースピリットのある方が相当いらっしゃるので、本当に今すぐにでも走り出したいと考えている。こういった場合に特許出願をする、特にシリコンバレーにおいては、その費用がないということは余りケースとしてない。やはりベンチャー立ち上げ時の最大の大きなチャレンジというのは、的確な人材が速やかにそろうのか?ということだと思うんですね。すぐにでも走る。幸いにもベンチャーキャピタルからの投資というチャンスがあれば、当然その最初のイニシャルの投資を受けると同時に、的確なアドバイスとそれから最適な人材の紹介をうけるわけですね。つまり「この人とこの人を連れてきますからこれで一気に走りましょう」ということをやられるわけで、この議論、つまり我が国の競争力を強化するという中で、今まで明文化されているところで、その仕組みが抜けているような気がするんですよ。どうも、既存の枠組の中でどうするかというような話が多くて、ぜひ本当にわが国の競争力を上げたいと思ったら、すぐれたアイデアを持っている人たちにこの国が賭けるんだというような強力な仕組みをとにかく考えていただきたい。その下3番目にある「抜本的に強化する」の「抜本的」は一体何なのかを示す必要がある。
 あと、いろいろ見たんですが、抜本的な具体案がないんですね。明示されていないので、ぜひこの辺も盛り込んでいただければいいかと思います。

○妹尾会長
 抜本的な何か、ご提言はありませんか。

○久夛良木委員
 私としての抜本的意見があるとすると、とにかく「人と人のマッチング」だと思うんですね。多くの優秀な人材がこの国にはたくさんいらっしゃるわけです。それが産業界にもいらっしゃれば、それから学校、大学の場にもいらっしゃる。これがなかなか動かせないんですよ。「動かせない」とは非常に変な言い方ですが、あることをやろうと思ったらその人が属している企業の知財の方とか経営者とかをあまねく説得して、企業としてコンセンサスがとれないと的確に優秀な人材を動かせない。要するに人材のモビリティーが低いということと、「人」は企業についているんだという、これが何かの形でもうちょっと解放されないと、抜本的にこの国の競争力は上がらないなと思っています。
 例えば、国立大学であっても私立大学であっても、そういう魅力的なテーマや国としての集中領域があるんだったら、場合によっては本当に人をそこに集めよう、というのを何かしらの政府のプロジェクトの中でやりやすくできるようになればいい。企業の中にいる人も、知的財産上のさまざまな事項をチャイナウォールで切り取って、あるスカラーシップの中で特定のベンチャーに参加できるような仕組み、これはちょっと国の話とは違いますが、これが非常に現実にしにくい。これがシリコンバレーでは、人材のモビリティーが高いので非常にしやすい。その差がこの国の、特に最近起こっているいろんなイノベーションに対するさまざまな遅れにあるんじゃないかというふうに思っています。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 山本委員。

○山本委員
 それに関係して、おっしゃるとおり一番重要なのは人であり技術なのですが、ここの場で議論することかどうかわからないのですが、次にお金の話になったときにシリコンバレーのVCと日本のVCの違いというので、よく武田薬品工業の長谷川社長がおっしゃっているのは、例えば武田薬品がベンチャーに1億円出したら、これはエンゼル税制の対象にした場合、残念ながらこの技術と人を見てVCが投資をしてくれない現状があって、それよりも武田が1億出したという事実でお金が集まってくるという現状があるので、そういったことをやったほうが抜本的ではないかと思います。これは、ただ減税の話ですので、お金を使うなというより、また税収が減る話なのでより難しいのかもしれませんが、ただイノベーションを起こすという観点では、私はそちらのほうが、特にバイオベンチャーにおいては、そちらのほうが活性化すると思っています。
 すみません、続けていいですか。続けて10ページの産学連携のことで、上から3つ目の丸で、これだと産学官が共創する場があって体制が整備できれば、産学連携が世界トップクラスになるような感じもありますが、残念ながら今は産学連携の評価指標というものはちゃんと確立されていないと思っています。
 なので、私はその体制整備の後ろにでもいいので入れて、産学連携の評価指標の確立というのを入れていただきたいと思います。実はアメリカの大学と日本の大学でわかっているデータだけだと、1校当たりの発明数も特許出願数も日本のほうが多いです。でも、そこが結びつかないという。よく私は打率という話をします。何件出願したかではなくて、それも大事なんですが、そのうち何件がライセンスされたかという打率を出したら随分違いがわかってくるんじゃないかと思っていて、そこまで書かなくていいですが、要するに評価指標の確立というのを入れていただいたほうがより問題点が浮き彫りになるんではないかと。
 これは13ページの大学の産学連携力の向上でも、できれば最初のポツの前に「評価指標を確立し」というような表現にしていただきたい。この最初のポツのところでちょっと気になる、これはまた細かい表現なんですが「知的財産マネジメント人材の事業戦略にも詳しくなるような質的強化」と、「詳しくなるような」というのが何となく、これは大事なことなんですが、要するに「事業戦略に精通したような人材の育成」とか、そういうような表現にちょっと変えていただいたほうがいいのではないかと思います。同じ意味合いなんですが。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今の産学連携の評価指標が必ずしも整備されていないからそれを確立しようという話は、10ページというよりは、むしろ後のほうで来るし、後の中での今後の4月以降に目標を実際に書き込んでいく中に織り込むということでもいいですか。

○山本委員
 それでも、全く問題ないです。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 それから、産学連携についての抜本的なということで国ができるということで言えば、今の税制をいじるとかいう制度的な話でないと国自身は動きませんから、そういったような議論はぜひ今後もやっていただきたいなというふうに思います。ありがとうございます。
 佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員
 話が大分いろいろと進んでしまって、いろんなものについてちょっと申し上げなきゃいけないんですが、まず先ほどの10ページの「意識が低いベンチャー・中小企業」という、この形容詞句ですけれども、はっきり言ってこれは中小企業の社長さんは怒ると思います。

○妹尾会長
 これは、ベンチャーや中小企業の中で知的財産に関する意識が低いということを指しているという表現で。

○佐藤委員
 今、中小企業の社長さんが我々特許事務所に来て言うのは、まず特許を何でも出せばいいというものじゃないですよねと、本当に自分の事業に役に立つ特許は何ですかと、そういうことをまず必ずおっしゃいます。
 やはり、ブラックボックスにして隠さなきゃならないと意味のない技術になってしまいますよねということを、ある程度の方は、ほとんどの方がそうおっしゃいます。そういう意味ではあくまでも意識が低いとかいう言い方はやめて、ここの文章でもそのため「ベンチャー・中小企業に対して、利用者の目線に立ったわかりやすい」ということだけで十分通用するんじゃないかと私は思うんですよ。
 それは、その次の11ページの支援の充実のところにも「特許出願に不慣れなベンチャー」とかという、こういう表現は取られて、むしろベンチャー・中小企業のための出願支援策というだけで十分ではないかというふうに思いますけれども、まず1点目は。

○妹尾会長
 1点目のところで、これはなくてもいいわけですけれども、ただ、事務局の趣旨としてはそういう意味で書いたわけではないんだろうと思いますけれども。

○高山参事官
 事務局の趣旨としては、ベンチャー・中小企業はすべて意識が低いと言っているつもりは全くありませんで、ベンチャー・中小企業の中には意識が低いところもあるので、そういうところに対してという、そういう趣旨で使っている言葉であります。

○佐藤委員
 その点については、ここはもう2003年以来どれだけセミナーを開き、どれだけ講習会をやり、また相談会をやってきたかということですよ。そういう意味では、余り目線を下に下げないで、むしろそのレベルを上げる方向の話を前提としてやっぱり考えられることのほうが私はいいんじゃないかと思います。何か中小企業、ベンチャーはほとんど特許のことを知らないとか、そういう感覚で扱う必要はないんじゃないかというふうに私は思っています。

○妹尾会長
 扱う必要がないというより、そういうふうにとらえられてしまう懸念を払拭しておいたほうがいいと、こういうことですね。

○佐藤委員
 はい。

○妹尾会長
 では、取る方向で考えましょう。

○佐藤委員
 ありがとうございます。
 それから、その次に人材の件について、先ほど弁理士以外の方も参画して中小企業の支援をやる。これは私は全く賛成でございまして、反対はしないんですが、現状の地域の中小企業支援のために何々アドバイザーという、たくさん仕組みがあるんですね。これに参画しているのはほとんど企業出身者の方です。大学においてもまさにほとんど知財本部にいる方も、ほとんど企業の方、大学プロパーの方なんて全くいないと言っていいと思います。
 そういう意味では十分に企業の方が参画されているんですけれども、じゃ、それでみんなうまく回っているかというと、そうではないということが問題なんだと私は思っております。
 そういう意味では、ここについては新しい知をつくらなければならない。人材の知をつくらなきゃならないんじゃないかというふうに思っているんですね。今までの経験だけでは済まない状況に今の日本の知財状況というのはなっていて、新しいことをクリエイティブに事業を起こし知財を活用していくような人材、これをつくっていくということが一番、今求められているんだと思うんですね。
 先ほど、ベンチャーのことに関しても、それをコーディネートしていく人脈を持ち、そういうネットワークをつくって、それであらゆるものをその1つのシーズに対して投入していくというような人がいないということも先ほどご指摘があったんですが、これがまさに今我々が直面している大きな課題だということだと思っています。
 そういう意味では、既存の人材を活用するだけではなくて、本当に将来必要な人材をつくっていくというための施策をやるということをやはり考えていただく必要があるんじゃないかと思います。 
 それからもう一つは、先ほど13ページで人材育成を確保すると、これは会長がお金の話が絡むからとおっしゃいましたけれども、お金を使わずして政策なんてできないと思います。これは津村政務官にはっきり言っていただきたいと思うんですね。やっぱりかけるべきところには金をかけて初めて実効が上がるんで、金を使わないで言葉だけで済まそうというのは無理だというふうにおっしゃっていただきたいというふうに思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 欠席裁判をしているわけではないんですが、委員は皆さん賛同されたとお伝えしたいと思います。
 1つ佐藤委員が言われた中で、実態としては企業の方が参画しているということなんですが、私が何回目かのときに全取替えしたいというふうに暴言を吐きました。なぜならば、旧来モデルだけで指導されているのはむしろリスクを高めているだけなので、現在の産学連携関係の人材でも大変そういうところに知見のある方とない方の差が余りにも激しくなっている現状がありますので、そういう意味では次のステップへ持ち上げることだということは、私は一委員として大変賛同したいと思っております。
 久夛良木委員。

○久夛良木委員
 この10ページの黒枠で囲ってあるところをしげしげ眺めていたんですが、この後も含めて「スピード」という言葉がどこにもないんですね。例えばベンチャーですと、どのベンチャーよりもなるべく早く事業を立ち上げたいと思うわけですね。それで、それのために人材を集めて、その企業がちゃんと回っていくようなシステムをつくり上げたいと願う。韓国が非常な勢いでDRAMであったり液晶であったり、いろんなものを計画して、実行に移し、それで結局それらの分野で世界一になりましたよね。彼らの国全体の標語は「スピード」なんです。ですから、この中で「スピード」、特にそれにかかわるような表現をぜひどこかに入れていただきたい。
 よく産学官とやりますと、お金は出してくださいと。「スポンサード・バイ何とか企業」とか。そのレビューに、また1年後に来てください…と言われるんですね。後はずっと自分たちだけのロードマップで進めて、競争がないのでチェックもないというような感じのところも見受けられるんですね。世の中は毎日動いていますから、この毎日動いている中で「スピード」そのものも、それから自分らのロードマップさえも、適応的に変えていくべきだと思うんです。そういったものがやはり全体的なこの条文の中では、何か1回決めたらそのままそれでいいのか?というような、ちょっとそういうような見方もしてしまいがちになるので、何かその言葉が書いてあるだけで「これは本気だな」ということがわかるというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 先日、福島委員がご紹介された韓国のスピードの話も、今、久夛良木委員がご指摘された話も、あるいは本部委員である山本委員がよく例示される日本の企業の余りの遅さにあきれる話だとか、全部総合してスピードがこれから必要です。きょう、実は6時から産業構造審議会が開かれるんですけれども、そこでも多分スピード遅れの議論が大変出てくる可能性がありまして、この知財そのものはかなり慎重な制度として進めなきゃいけないところがありますけれども、それが貢献すべき競争力の戦略に関してはスピード感がないといけないので、そこへ出るようなニュアンスがぜひ入ればいいなというご指摘だと思います。大変そうだと思います。どこまで修文上入れられるかは、事務局と我々のほうで検討させていただきたいと思います。
 それでは、出雲委員お願いします。

○出雲委員
 2点ございまして、1点目は久夛良木委員と佐藤委員からおっしゃっていただいた10ページ目の2つ目の丸でございますけれども、一言だけ申し上げたいのは、意識が低いベンチャー企業に対して支援を総合的に実施しても、グーグルやアップルのような世界で活躍するニッチトップ企業を輩出することは到底無理なのであって、我々はすぐれたポテンシャルを持ちながら経営資源に制約があって何でもかんでも特許を出願できないとか、出すんだったら10件中1個を出す、そういうことをやっている企業に対してわかりやすい施策や支援をしていただきたいというふうに思っておりますので、この「意識が低い」の部分は佐藤委員のご提案のようにそのまま削除するのか、もしくはすぐれた技術を持ちながらも経営資源に制約がある、そのポテンシャルを生かし切れていないベンチャー企業、中小企業に対して、支援施策を総合的に展開するというふうにしていただきたいという話は、私は2回目でも申し上げたと思うんですけれども、再度申し上げさせていただきました。
 それと、13ページ目の大学の産学連携力の向上の3つ目の黒ポツのところで、「大学において、論文発表の重要性にも留意しつつ」というのは当然留意しているんですけれども、論文発表の重要性に留意するよりももっと重要なのは、大学における新しい技術の発明やイノベーションを社会に還元する方法として論文、そのペーパーを発表するですとか、学会で発表するですとか、知的財産として加工するということが、いろいろな大学の社会的使命がある中で論文発表の重要性に留意しつつという文言が特段入っている必然性について、なぜ論文発表の重要性にだけ留意しつつというのが入っているのか、社会還元には今申し上げた学会発表と知的財産の確保といろんな方法があると思うんですけれども。ですので、共同研究における論文発表前の特許出願を検討するという、この文言はあってもなくても余り、なぜあるのかというのが不明瞭だなと思いましたのと、あと、最後の営業秘密関連の重要性に関する普及啓発活動はぜひ強化していただきたいんですが、営業上の秘密だけではなくて、いわゆる基礎研究における秘密情報全般を大学から別の企業や海外に流出しないように秘密情報自体の管理の重要性の普及啓発活動が重要なので、営業というふうに書いて限定してしまうよりは、営業研究秘密なのか、もしくは秘密情報全般の管理の重要性の普及啓発活動を強化していただけると大変ありがたいなというふうに思っております。

○相澤(英)委員
 アカデミズムにはインターナショナルスタンダードがあります。学会誌に論文を発表するというのはインターナショナルスタンダードです。これはアカデミズムの本分ですから、これが重要であることを記載することは必要だと思います。

○妹尾会長
 というところに配慮されて書かれているという理解をしていただければと思いますが、これは実は事務局の苦肉の作文であります。ですね。七転八倒して書かれたというのを伺っております。
 最初のほうの出雲委員のご指摘は、大変に重要な問題を含んでいます。すなわち意識が低いところも高いところもあるよね、だから低いところをやるというのはボトムアップというコンセプトだと思うんです。それに対して今、出雲委員が言われたのは、いや、そうじゃない、意識の高いところはそもそも使えないベンチャーだから、そんなところはほっとけよと。中小企業もそうだよと。そうじゃなくて、可能性があるところに政策上の支援をしようよと。これはリーディングエッジの話ですから、どこがトップをとるか、これは政策上の極めて重要なコンセプトの違いなんですね。これを今この場で決めることは多分無理で、これは我々の判断というよりは、政治的な判断です。どちらのほうがより日本の競争力強化にとって効果的であるかという議論は我々はできますけれども、どちらをとるかということは、これは違うので、ここのところは申しわけないんですけれども議事録を残していったん置くということが、今後の議論をむしろ幅広にできるんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 ただし、ご意見はもちろん制限するものではないので、そういう出雲委員の立場から言えば、おれたいみたいなすごいところに支援するほうが特だぞと、こういうご発言で、大変頼もしく伺っております。
 渡部委員。

○渡部委員
 12ページの、これは下から2つ目のポツで、「このため、既存の研究拠点や」と始まる文章なんですが、これは1文なんですね。長過ぎてどこまでがこうなっているかちょっとわかりにくいのですが、私の理解は、基本的に産学官連携の国費充当するようなプログラムで複数の企業が参加する複雑なケースみたいなものの知的財産管理の仕組みを整備するということでよろしいのかということと、そうであったとすれば、これは文部科学省、経済産業省だけではなくて、恐らくバイドールを実施しているすべての省庁に関係することだと思います。
 これは、私は冒頭、バイドールの今の日本のあり方についての少し見直しをしたらどうかということを申し上げたけれども、これはなかなか議論になってはいませんが、実はここもやはりそういう問題が含まれているというふうに解釈ができるかと思います。といいますのは、例えば、これはそれこそ厚労省のケースだったと思いますが、バイオのデータベースについてバイドールだからということでいろんな企業が分割して持ってしまったために活用ができなくなったというような事例で、シンポジウムか何かでやっていましたけれども、そこではバイドールが悪いんだという話だったのですが、そうではなくて恐らくそれは原課がちゃんとどういうふうに権利関係が整理されたら活用が促進されるのかということを、設計していないということなんだと思います。
 そういう意味では、それこそ厚労省も農水省もバイドールをやっているところに関しては、こういう知的財産管理の仕組みを整理するに相当する分は必要と思われますので、そこの部分はちょっとご検討いただければと思います。

○妹尾会長
 今の渡部委員のは、2つ指摘があるというふうに考えられます。1つは省庁関係、バイドールに関係するところは全部入れるという話になり得るんじゃないか。これは事務局でぜひ、各省庁と当たっていただきたいと思います。
 もう一つ裏側にありますのは、バイドール法があるからそれでやろうというところに全く事業競争力的な戦略が不在しているという、この競争力強化の委員会でもたびたび出ている問題で、制度的な問題ではなくてやっぱり事業戦略の話なんだというところの認識は余りにも薄いんじゃないかと、そこのところに知財を使うことではなくて知財を活用することだと、あるいは少し制度を活用することだということをご議論いただきたい、今後もそういう視点を持ちたいということだと思います。ありがとうございます。
 山本委員。

○山本委員
 前のこの知的財産戦略本部会合の前期のときに議論がありましたけれども、パテントアグリゲーターが日本の大学の特許をどんどん今買っていて、その当時は9校が出してしまっていたのが、今は20校に増えているという現状があって、どうしても大学だと部品のような特許がいろんな大学に点在していたりとか、あるいは300個あってどれかは勝つかもしれない、デファクトとなるかもしれないけれども、残り299個はデファクトとならないかもしれないというような種類の技術があったりするので、そこに対する措置というのがこの中には入っていないような気がしておりまして、私はよく申し上げているんですが、産業革新機構というようなところに幾つか、全部は無理でしょうけれども、そのような種類の技術で日本の競争力に寄与しそうな技術は例えば集約するといったことも考えたほうがよいのではないかと思っています。例えば、バイオマスなんてやっぱりすぐには無理とか、遺伝子診断なんていうのは今どこもやっている会社はないと。ただ、間違いなくこれから来るであろうというような技術は全部、そこに集約をしておくというようなことも考えて良いのではないかと思っています。ただ、これはちょっと新しい、ここに書いていないことの提案ですので次回以降でも構わないと思っておりますが。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今のをもう少し普遍的に言うと、事業戦略的な司令塔が国家に必要なんじゃないか、ということですね。こういう話はこの会議になじむかどうかということもありまして、政務三役との話にとどめておりますけれども、山本委員のおっしゃるとおりでありまして、国家的な産業政策的な司令塔をどこに置くか、あるいはどういう機能を持たせるべきか、この話は一方で進んでおります。ただし、そういうところに棚上げするんではなくて、そういう観点から見ると具体的な施策はあり得るわけですから、これは4月以降、ぜひご議論したいというふうに思います。ありがとうございます。
 ほかに。佐藤委員。

○佐藤委員
 今、山本委員のお話との関連ですが、これは昨年も総合プロデュース機能をきちんと持つべきだという議論がされて、その組織論まで議論されたんですが、実際は結局形にならないでいるということだったと思うんですね。やはり、政策を実際に実現していくのにはそれを引っ張っていく人がしっかり働く機能がないと実現できないので、これは今後の、ここのきょうの課題というよりは、本来の日本の戦略のあり方論みたいなところへ行っちゃうわけですけれども、ここをやっぱりもう一度、知財戦略本部としてはしっかり議論して進められる形にしたほうがいいなと私は思っておりますので、つけ加えます。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今の話はこの専門調査会を超えて、ぜひ本部でご議論いただきたいところですし、国家戦略室のほうで動いていただきたい話になり得ますので、そこへつなげていきたいので、ぜひご出席の本部委員の方々にもその辺のところをご議論いただければというふうに思います。
 それでは、福島委員。

○福島委員
 12ページの「産官学が共創する場の構築」に関する3番目の施策が12ページの最終行から始まって次のページに記載されています。先程のスピードという視点も含めて考えますと、この文章の最後が「構築に着手する」とありますが、着手した結果、何時どのような成果が出されるのか、という点が非常に不透明のように感じます。様々なご事情があるとは思いますが、十分に理解ができません。また、この施策は出口戦略の議論であるという視点から見ますと、他の2つの施策が経済産業省と文部科学省との連携にされていますが、3番目の施策だけは文科省単独となっています。このような背景についても少しご説明をいただきたいと思います。

○妹尾会長
 事務局、お願いいたします。

○高山参事官
 知のプラットホームという場をつくろうということなんですが、実際につくり上がって本当にできる、すぐできるものも幾つかあると思うんですが、全体的なものとしては日本じゅうに広がるためには少し時間がかかるんじゃないかということで、まずはとりあえず着手するというふうにここは書いております。
○内山次長
 先ほど来のいろんな議論の中でも関係省庁はもっとほかにあるじゃないかと、いろいろご指摘があったと思うんですけれども、厳密に言えばいろんなところが関係する施策事項について、どこを中心にやっていくのかというようなところで、そこの省庁に積極的な役割をまずは果たしていただきたいということから文科省、あるいは経済産業省、あるいは両方と、こういうことで、多分ここの知のプラットホームの構築というところは文科省を中心としながら、もちろんその他の経済産業省初めとして、そういったところも連携してやっていくというのは、知財本部の取り組み方としては当然のことだというふうに思っておりますけれども、すべて関係するところを全部書くということになりますと、またなかなかそういった意味ではどこが中心となってというようなところが逆に不明確になるという、そういう懸念もあるのかなというふうに思っていますけれども。

○妹尾会長
 どうでしょう、これは例えばこれは知の共創に際してというんですから、文科省だけ、いや経産省もそうだよね、これは農林省も実はそうだよねという話に全部なっていきます。ここの後ろの括弧の中に責任官庁を入れるということで、あるいは遂行責任、デューティという意味ではなくて、レスポンスビリティという意味ですけれども、それを持たせるということなんですが、これは今の内山次長がおっしゃられたように各省庁も理解をしていただくということをここで念を押したい。後で、ここに書かれていないから我々はやらなかったということは一切言わないというご理解で、オブザーバーに来ている各省庁の方々、よろしいですね。これは明記されますので、よろしゅうございますね。各省庁理解したということで、これを進めさせていただきたいと思います。ここに書かれるのは、主たる責任だというところだということだと思います。それでは、いいですか。
 それじゃ、江幡委員お願いします。

○江幡委員
 11ページの先ほどから議論になっているワンストップ相談窓口というところなのですが、その後半部分に「多様な相談に的確に対応できる人材を育成する」とありまして、これは必ずしも1人の人材があらゆる相談、多様な相談に対応できるという趣旨ではないと理解しております。さまざまな相談に対応できるように、一種の専門家チーム、具体的には、弁理士、弁護士や、企業のご出身の方や、知財活用のための教育を受けた方、研究者出身の方、こういったさまざまな専門家が密に連携して相談に対してチームで取り組むような、そういう体制づくりというのが一番効果的ではないかと思います。それで、もし可能であればという程度ですけれども、的確に対応できるよう人材を育成するとともに、専門家人材のチームあるいはネットワークを構築するというような趣旨が文章に入るといいかなと思いました。
 以上です。

○妹尾会長
 先ほどからのワンストップ窓口について、皆さんのいろんな意見をいただいているんですが、ワンストップ相談窓口のイメージがかなり多様であるということがわかってきました。これは一種のコンセプトで言うと、ポータルというコンセプトでいくのか、あるいはここはジェネラルプラクティショナーという意味でいくのか、あるいはというところが少しあります。これは、やはり4月以降きちっと議論していかなきゃいけないということがあると思うんですね。ポータルだとしたら、これは振り分けるという話になりますし、ジェネラルプラクティショナーだとしたら、まずそこで診察をして必要ならば専門医のほうに回すという話になります。このワンストップ窓口自身のコンセプトをどうとらえるかということ自身が今後あると思います。それが1点。
 もう一点は、かといって全部が同じ各都道府県地域がそれで対応できるかということがありますので、地域の事情に合わせたようなやり方がいいのか全国一律がいいのか、その辺も含めて4月以降ぜひこれを明確にしていきたいと、こういうふうに思うわけであります。
 今、江幡委員のご指摘のところで、例えばチームでというのを、これはGPが1人ではなくてGPチームになるんだと、こういうようなことだと思います。それのほうが確かに効果が上がると思いますので、その辺も含めて検討をさせていただきたいと思います。
 佐藤委員。

○佐藤委員
 この点に関しては、第1回目のこの専門調査会で私はペーパーを出しております。その中で今議論されていることも全部書いておりますので、次回以降の議論のときにぜひ参考にしていただきたいと思います。

○妹尾会長
 そうだと思います。ありがとうございます。
 それでは、西山委員。

○西山委員
 久夛良木委員のコメントにもう一つ加えたいんですが、スピードという概念をぜひ私も盛り込んでいただきたいと思っています。私もベンチャー企業を経営しておりますが、昨今キャピタリストの人と会うと、いっそのことシンガポールに行って会社をつくれと。そのほうがよっぽど効果があると。例えば国際会議に行って、アメリカのベンチャーキャピタリストに会うと、アイデアだけ持ってアメリカでつくろうよという誘いをよく受けます。抗しがたい魅力があるのは事実です。実際問題、速い。スピードの関数は人数もしくはキカイ掛けるキャピタルだと思うんですね。ですので、その概念をどこかにこの中に盛り込んでおかないと出口はきっとないだろうし、スピードはゲインできないだろうなというふうに考えます。
 どこに入れるかなんですけれども、まさにここのページ、新規事業の創出というところに必ずかかってくるわけです。特許というのは手段だと思っています。要は権利を固定化して担保を持って換金化するための国が個人もしくは発明者に与えられる独占的な権利だと思っているんで、やはり先ほど削るべきだというお話がありましたけれども、特許出願に不慣れなアントレプレナーもしくはベンチャー企業経営者、個人、大学、だれでもいいと思うんです。に、支援策として弁理士費用の負担を軽減させるための方策などというふうにすることによって、要はその権利になる前のアイデア、権利になる前の知財、権利化が固定化される前のふわふわしたものを換金できるようにする、そのことによってモーメンタムをゲインするということで支援施策の充実とすべきだというふうに考えます。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 その具体的な方策そのものについて、ぜひ4月以降でご議論をいただきたいと思います。

○相澤(英)委員
 スピードに関連して、制度改正もぐずぐずしていると時期遅れになりますので、これもスピード感が必要ではないかと思います。検索エンジンの法改正をぐずぐずしていることが一因となって、日本には検索エンジン企業がなくなりました。やはり制度改正もスピードは必要であると思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 この骨子(案)をまとめるのに短期間でやるのは大変で、もっとゆっくりちゃんとやろうよと言っていたのを大変反省いたしております。スピードを持ってやれということはこういうことかと、大変だというんですが、久夛良木委員がおっしゃったスピードということは皆さんご賛同いただいたということを踏まえて、スピードあるということをうたうことをこの中にぜひ入れていきたいし、今後についても4月以降の議論でぜひそれをやっていきたいと思います。
 恐縮です、もう時間がなくなりましたが、皆さんのほうからこれだけはぜひ言っておきたいということはございますでしょうか。きょう、ご発言のない委員はいかがですか。よろしいですか。
 岸委員。

○岸副会長
 すみません、難癖になるかなと思ってちょっと控えていたんですが、冒頭の1ページの「知を使う知」という表現が何カ所か出てきますね。これは知財の分野では今、慣用句になっているからよくわからないんですが、表現って、この「知を使う知」で何をいわんとしているかというのがよくわからない。知財マネジメントのことをぼんやり言っているのかなとも思うし、多分、私が新聞記者でスクープをとってきてリードにこの表現を載せたら、デスクに何を言っているんだ、これは何が言いたいんだ、削れと言われそうな気がするんですが、「知を使う知」をちょっとご説明いただければなと。

○妹尾会長
 これは私がご説明します。私が書いた朝日新聞の中で「知を使う知」、大変評判がよかったので使わせていただいております。
 「知を使う知」というのは、これは技術やブランドという知ですね。要するに有形資産経営から無形資産経営になったときに、何が無形資産として意味があるんだ。技術とブランドだろう。だけれども、その技術を使う知、具体的には何を言うかというと、ビジネスモデル。そのビジネスモデルを可能ならしめるのは、知的財産権やあるいは知的財産のマネジメント、それからノウハウも含めてですよ。それから標準化あるいは契約、そういったものが全部動いてやりますよね。今、日本の産業が徹底的にやられている相手は、全部技術だけで勝っているんではなくて、その技術やブランドを巧みに使う上位レベルの知を物すごく工夫している。それについて知の開発、メタレベルの知の開発競争に日本が遅れているじゃないですかという意味でこの「知を使う知」という言葉を使わせていただいております。

○岸副会長
 その部分は、これだけではやっぱりなかなか読みとれない。さっと読んだときに何を言わんとしているのか、必ず引っかかると思うんですね。だから、注釈に先生のお考えを入れるなり、もう少し前に今おっしゃったのをもう少しコンパクトに入れて、これで何を言いたいかというのを入れられたほうが、報告書としてはより精緻なものになると私は思います。
○妹尾会長 ありがとうございます。
 ちょっとこれは事務局に工夫をしていただくかと思います。
 佐藤委員。

○佐藤委員
 きょうでひとくくりということですが、やはり今いみじくも会長の言葉から何度もブランド戦略という言葉が出たんですが、そのテーマがやはりここの専門調査会で議論されるべきだと私は思うんですね。
 ちなみに、今、中国は知的財産戦略綱要の中にブランド戦略というのを国家戦略としてはっきり位置づけて、各国家機関の中でブランド価値を上げるためにどういう活動をするか施策を出せというぐらいの活動をしています。さらに、中華商標協会という工商行政管理総局の外郭団体は、全国の中小企業をブランドを中心にして商品見本市をやっている。それは中小企業にブランドという意識をつけることと、そのブランドを中国全土に広めることによって彼らの商品の価値を上げるという、そういう施策をやっているんですね。そういう意味で、じゃ日本でそういう施策をやっているところがどこにあるんだというと、私はよく知りません。
 したがって、今後の展開の中で、今回は国際標準とそれからコンテンツという柱があるわけですけれども、やはりもう一つブランド戦略という形の柱を、ぜひどこかで取り上げていただきたいというふうに思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 ブランド戦略そのものもありますし、それから皆さんご案内だと思いますけれども、意匠権の使い方が全く変わってきているということですね。最近のビジネスモデル上の使い方が全然変わってきているということも特許庁の調査、今度まとめられて出てくるはずですけれども、その辺で非常に出てきております。それらも含めて、ここで入れたい。技術が特許だけではなくて意匠でカバーされるのも当然ありますし、そこら辺のスピーディな展開も今後必要になってくると思いますので、佐藤委員のお話は今後の4月以降の議論でぜひやりたいと思います。
○野元委員 すみません、1点だけ。担当省庁が書いてあるところで、1つだけ書いてあるところは、先ほどありましたようにそこが中心となっていいんですけれども、3つも4つも5つも書いてあると、みんながしそうなんですが、リーダーシップはどこが発揮するのかとかいうことを明確にしていなくていいんでしょうか。

○高山参事官
 基本的には一番左側、最初に出てくるものが一番中心という意味です。

○野元委員
 そこがリーダーシップを発揮して進めるんですね。

○高山参事官
 はい。

○野元委員
 はい、わかりました。

○妹尾会長
 これはそういうご理解でいただきたいと思います。
 恐縮です、それではちょうど時間になりました。貴重なご意見をありがとうございました。きょうの話は、きょうの修文だけにとどまらず、全体のスピードの議論も中心に投資等についてのお話も伺いました。それから、4月以降に骨子の内外を肉づけしていくときに必要なご指摘もいただきました。
 報告書の取りまとめについて集約が図れたんではないかと思いますけれども、すみません、1点、大変重要なことがあります。この先、あそこで言ったけれどもどうなるんだという話があろうかと思います。恐縮です、もう月末で、来週の火曜日には戦略本部のほうに上程しなくてはいけないわけであります。ここについての最終的な修文は、会長である私に恐縮なんですけれどもご一任をいただけませんでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 それでは、必要な修正を行った上で本専門調査会としての報告書を取りまとめて、次回火曜日の知的財産本部に提出をさせていただきます。予定時間が参りましたけれども、ここで閉会する前にちょっと近藤事務局長のほうからごあいさつをいただきたいので、恐縮ですがお願いいたします。

○近藤事務局長
 妹尾会長初め委員の皆様におかれましては、お忙しいところ5回にわたってタイトなスケジュールの中でご議論いただいて、本当にありがとうございます。
 本当に皆さんの直接の声を聞きながら相当踏み込んだ提言がまとまりつつあるなと、こんなふうに思っているわけでございます。
 この提言は今、会長がおっしゃいましたように、3月30日、来週の火曜日でございますが、総理も出席されます知的財産戦略本部で報告をいたします。どうしても妹尾会長はご都合が悪いので岸副会長からご報告をお願いすることになっておりますけれども、この報告を受け、その上で知的財産戦略の知的財産推進計画の骨子(案)というのをまとめて、決定をいたします。決定をするというのは総理も出て全閣僚が出て決定をいたしますから、これは事実上、閣議決定と同じ意味を持ちます。そういう意味において、財政当局とも総理も入れておまえのところの大臣も含めて了解したんだろうと、だからこの方向でやるんだということで、予算獲得も含めて今後展開をしていく上の非常に重要な柱になると思っているわけでございます。
 この専門調査会につきましては4月以降も、まことに恐縮ですがさらに議論を進めていただいて、5月末までにはこの知財戦略の推進計画を最終的に取りまとめたいと思っています。いろいろな政策、スピード感を持って我々もやらなきゃいけませんので、中身もスピード感を持ちますが、取りまとめもスピード感を持ってやりたいと、こんなふうに思っておるわけでございます。
 本当に、これまでの皆様方のご尽力に心から感謝を申し上げます。最後になりますが、津村政務官は実はきょう、天皇陛下の行幸のお供をしておりまして、皆様にどうしてもお礼を申し上げたいと言っていたんですけれども都合がつかないということで、ぜひ皆様にくれぐれもよろしく伝えてくれということを言っておりましたので、皆様にお伝えをする次第でございます。
 また4月以降、こんなに人使いの荒い事務局は余りいないかもしれませんが、引き続き議論をしていただいて、あと4月、5月、2カ月の間に「知的財産推進計画2010」をまとめ上げるように我々も全力を尽くしますので、会長、副会長を初め皆さんには引き続きよろしくお願いをいたします。改めて本当に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 それでは、時間をちょっと過ぎましたけれども、次回以降のスケジュールについてはまた事務局のほうからご相談をさせていただきたいと思います。
 それでは、本当に皆さんどうもありがとうございました。今後とも、引き続きよろしくお願いします。御礼申し上げます。
 ありがとうございました。