平成27年9月25日


閣議後定例記者会見

1.冒頭発言

おはようございます。 私からは特段ございませんので、皆さん方からお願いをいたします。

2.質疑応答

(記者)
昨日なんですけれども、新国立の旧整備計画の問題点を検証してきました文科省の第三者委員会が報告書をまとめました。その中で、組織のトップとして文科大臣、それからJSCの理事長らの責任、監督責任に言及するとともに、意思決定ラインの不明確さということも指摘されています。
大臣として、新たなこの整備計画に、こうした検証結果をどう反映させていくべきかというふうにお考えなのかということと、改めてその計画を進めていく上での課題になる点などを踏まえて、お考えをお聞かせ願えればと思います。
(大臣)
まず、昨日の報告書におきまして、新国立競技場の従来の整備計画が見直しされるに至った主要因につき、今お話ありましたように意思決定がトップヘビーで硬直的だと、あるいは大規模プロジェクトの経験のない組織やスタッフで対応したと、あるいは情報発信や国民の皆さんへの理解の醸成が不十分だったと、そうしたことを指摘をされております。
特にコストやプランニングに関する具体的な問題点として、何よりも工事費の上限の不明確さ、そして認識不足、あるいはまたハイスペックな仕様を見直さずに関係者間の意思の不統一、そしてまたデザイン監修者と設計者のほうで役割分担が不明確だったと。そして、JSCや文部科学省の初期体制の不備。こうしたものを指摘をされていらっしゃいます。特に、やっぱり上限の不明確さというのは、非常に大きな問題だったのかなという認識をしております。
こうした問題点を踏まえて、もう既に新整備計画においては、まず工事費の上限を1,550億円と定め、新スタジアムに必要な費用を見える化、透明化をすることにしております。
また、スタジアムの機能を原則として競技機能に限定し、設計と施工を一貫して行うプロポーザル方式による方法を行い、また、関係閣僚会議による整備プロセス点検と透明化を図ることとしております。
下村大臣が報告書を踏まえて改善方策に着手すると聞いておりますので、私としましては、それらが機能しているかどうか、いわゆる私が議長であります関係閣僚会議でしっかりと点検をしながら進めてまいります。
(記者)
ちょっとそれに関連して、きょうの閣議後会見で、下村大臣のほうが、給与の半年間自主返納とともに、昨日夜、安倍総理に辞任を申し出たということを明らかにしております。政治家としてのその責任のとり方について、大臣として、このことについてどう受けとめておられますか。
(大臣)
それは、責任のとり方については、大臣が判断されるものと思っております。
(記者)
すみません、またこれも関連になるのですが、JSCの河野理事長の退任が明らかになって、新理事長に大東さんの就任が決まったということなのですが、新国立の問題を含めて、新理事長に期待する点、大臣のほうから何かありましたら。
(大臣)
そうですね、引き続きJSCが今回の新国立競技場の建築の主体となるわけでありますから、今回の検証結果を踏まえて、透明化とか、それから手続の明確化とか、そうしたものをしっかり取り組んでいただきたいと思っておりますし、当然私たちも関係閣僚、私も閣僚会議の議長として、そうした連携をしっかり図りながら進めていきたいと思っております。
ただ、スポーツ振興センターそのものは、新国立競技場の建設だけではなくて多様な仕事をしていらっしゃいますので、これまでの経済人、あるいは経営者としての知見、経験をしっかり生かして、何よりも日本のスポーツがしっかりと国民の皆さんに理解し協賛され、そして2020年のオリンピック・パラリンピックを初め、また2019年のラグビーワールドカップ、その後の日本のスポーツ振興に大きな貢献をされるように、大東さんの活躍を期待しております。
(記者)
検証の関係で2点お願いします。大臣入閣前は、この検証でも指摘された有識者会議のメンバーの議連の幹事長としてのお立場で入られていたと思います。この有識者会議については、その先ほど大臣も言及ありました、その機動性を欠いて硬直性を招いたという現況であるような指摘もされておられますが、これについて、当事者の元お一人として、受けとめがあればお願いしたいんですけれども。
(大臣)
そうですね、昨日の報告の中にも、意思決定がトップヘビーで硬直的というようなことがありましたが、その一つの要素にもなったのかなという思いはあります。
ただ、どんな物事、国で物事を決めるときに、有識者会議、いわゆる諮問機関としての意見を聞くというのは普通あり得ることであって、それに、それぞれ各界の代表者や、あるいは政治家としても当然関係する議員が入ってやるというのはよくある例でありますから、それについて私は決しておかしなことではないと思っております。
ただ、結局そうしたその諮問機関の意見を聞いて、当然どんな事業にしても上限がありますから、それに合わせていろんな意見を踏まえた上で、これに合わせてつくっていくというふうな過程があるわけで、そこの体制をどういうふうな形でつくっていくのか、その体制がしっかりできていなかったというふうなことだったのかなと思っております。
(記者)
同じ報告書の中で、もし従来計画を見直すタイミングがあったとすれば、その招致が決まった直後、13年9月ごろから、その年の年末ぐらいまでだったのではないかと、そこは一つタイミングだったと考えられるという指摘はされていますが、そのころも多分メンバーのお一人だったと思いますけれども、そういう可能性があったのかどうか、今振り返って何かお感じになることがあればお願いしたいんですけれども。
(大臣)
そうですね、私はたまたま第3回目のその数字が決まったときは、選挙が始まっていてその会場にいませんので、詳しく承知をしておりませんでした。ただ、今考えれば、いろんなその要望があったときに、その数字に合っているかどうかということについては、やっぱり私もその当然有識者の一人として詳しく見る必要があったんだと思いますが、先ほど言いましたように上限がはっきりしていなかったと、これは我々も含めてね、反省しなきゃならないと思っておりますし、これから、今、関係閣僚会議の議長として、1,550億円という上限はしっかり守って、その中でいろんなスペックを可能な限り盛り込みながらも上限は変えない、その範囲内でということを、改めて思っております。
(記者)
今の新国立競技場とも絡む問題なのですが、今後、五輪開催に伴う建設需要の高まりで、被災地の復興工事に影響が出るというふうに、被災地の首長さんの中からかなり危惧する声が上がっています。先日、毎日新聞が実施したアンケートでは、岩手、宮城、福島で、被災が起きた42市町村長の83%が懸念していると回答されていました。また、東京五輪がシンボルとして掲げる復興五輪の開催理念についても、57%が薄れていると回答されました。
今後この建設需要の高まりによってかなり深刻な影響を与えるというのは専門家の間でも言われているのですが、今後、国として何か対策をお考えでしょうか。
また、その理念の薄れているという指摘については、どのように受けとめられていますでしょうか。
(大臣)
まず、そうした被災地の市町村長の皆さん方から、今御指摘のような懸念があったということについては、真摯に受けとめなければならないと思っております。
私も大臣就任時に、今回の大会の大きな目的の一つは、東日本大震災の被災地が世界の多くの皆さん方からの支援をいただきながら、一生懸命復興に取り組んでいると、そうした復興しつつあるその姿を見ていただくことも、あるいは世界に発信することも、復興五輪の大きな重要な、復興五輪の重要性は一切これはもう変わっていないと思っておりますので、今御指摘のことを踏まえて、しっかりこれからも取り組んでいきたいと思っております。
過日、全国知事会でも、私、行って申し上げましたが、私が議長を務めるホストシティ・タウン構想に関する関係府省庁連絡会議を開催して、こうした構想に取り込む自治体支援を本格化させていく予定でありますし、特に今後、追加種目等があって、被災地での試合の可能性などもあわせて要望し、見える取組を進めていきたいと思っております。
先月、福島県を訪問して、内堀知事を初め、関係者の皆さんと意見を交換させていただきましたが、引き続き被災地の自治体の声を十分に伺いながら、改めて、今回の大会が復興五輪となるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
(記者)
お話戻りまして、検証委員会のことに関してですけれども、JSCと文部科学省の責任のあり方に関して、報告書は基本的にはJSCに責任があるとした上で、組織づくり、体制づくりで見たら文科省の責任だったというふうな切り分けをしているように見えるんですけれども、これに関しては、見方によってはJSCに厳しい、あるいは文科省に甘いというふうな見方もできると思うんですけれども、大臣はこの両者の責任の比重に関して、この書きぶりに関しては、どういうふうにごらんになっていますか。
(大臣)
それは、検証委員会の皆さん方が専門家の知見を生かして、そしてまとめられた検証結果でありますから、それはきちんと受けとめなきゃならないと思っていますし、そうしたことを受けとめて、これからの国立競技場の建築に当たっていきたいと思っております。
(記者)
あと、関連して、先ほどの下村大臣の辞意という質問がございましたけれども、その後、記者会見の中で大臣が、辞意を申し出たけれども慰留をされたので給与を返納しますということをお話しされたようですけれども、改めて、この御自分の身内組織に関して、大臣の御感想をお願いします。
(大臣)
それは直接聞いておりませんので、私から今どうのこうのと申し上げるということにはならないと思います。
よろしいですか。どうもありがとうございました。