平成27年12月1日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
おはようございます。
まず私からですが、先ほど馳文科大臣、舛添東京都知事、私の三者会談を行い、新国立競技場の整備に係る財源案につきまして合意をいたしました。 国としては、新国立競技場が2020年オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなり、大会後においても、東京都心に立地し、地元東京に裨益するところ多大なものがあるとの認識から、東京都に対しまして整備費用の一部負担をお願いしてきたところであり、舛添知事の御理解と御協力に心から感謝を申し上げます。 具体的な合意内容につきましては、先ほどの会談でも述べましたように、1つは新国立競技場の整備は、新国立競技場の整備計画に基づき、国が責任を持って進める。 2つ目は、東京都も2020年東京大会の開催都市として、メインスタジアムである新国立競技場が大会の準備や開催に支障なく整備され、大会後もレガシーとなるよう、全面的に協力をする。その際、都民への便益を踏まえ、整備費用の一部を分担する。具体的には、工事費1,550億円程度、設計・監理費40億円程度、解体費用55億円程度の合計額のうち、分担対象経費1,581億円程度について、国・スポーツ振興くじ・東京都で2:1:1の割合で負担することとし、東京都には395億円程度を分担いただくことにいたしました。 合わせて、周辺道路や公園の整備についても都として対応していただくことになりました。この合意内容については、今後関係閣僚会議において決定することといたしてまいります。また今後、国において必要な法的措置を講じてまいります。 なお、詳細な合意内容につきましては、東京都において本日都議会への説明が予定されていることから、その終了後、およそ16時目途に改めて事務方から説明させていただきます。
2つ目ですが、本日の閣議において御了解いただきましたが、12月2日から12月5日の間、ワシントンを訪問することとなりましたのでお知らせをいたします。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けては、テロ対策とサイバーセキュリティの両面の取組が最重要だと認識をしております。先日、パリで同時テロが発生し、国際テロの脅威が現実のものとなっているほか、大会の安全・安心の確保は国民の関心が最も高い事項であります。 米国は、テロ対策やサイバーセキュリティに関する先進国であり、今回の出張ではそうした現状を視察させていただくため、ホワイトハウスのダニエル大統領特別補佐官らと面会し、経験豊富な米国の知見を伺いつつ、今後の日米協力についても意見交換を行う予定であります。 同時に、今回の出張の成果を2020年東京大会の安全・安心の確保や我が国のサイバーセキュリティ向上に向けた施策に生かしていきたいと考えております。報道の皆様には、後ほど貼り出しでお知らせを申し上げます。
もう1点ですが、リオデジャネイロ大会出場の吉報が届いております。 1つは、7人制ラグビーアジア予選において、女子セブンズ日本代表が優勝し、リオ大会出場が決定をいたしました。 2つ目は、セーリング女子レーザーラジアル級世界選手権において、土居愛実選手が国別出場枠を獲得し、代表決定をしております。 3つ目は、デンマークで行われたトランポリン世界選手権において、男子準決勝で伊藤正樹選手、棟朝銀河選手が決勝進出し、上位8人に与えられる国別出場枠を確保した上で代表が決定をしております。 また、重量挙げ世界選手権において、48キロ級3位の三宅宏美選手が代表に内定をしております。 大変うれしいことでありますし、リオデジャネイロ大会にて全力で頑張っていただきたいと思っております。こうした出場チームあるいは選手の皆さんの頑張りが、次の2020年東京大会の盛り上げに大いにつながるものでありますから、全力でこの活躍を期待していきたいと思っています。私からは以上です。

2.質疑応答
(記者)
大臣が就任されてから、一番の課題というか問題であった費用負担について、今日合意が得られたわけですけれども、今までの御苦労も踏まえて、今日いかがなお気持ちかということを。
(大臣)
そうですね、6月25日に就任をして、29日の調整会議で、前の決定金額でありました2,520億円をもとにして東京都知事と調整してくれということが私の最初のスタートでありましたから、それから見ると7、8、9、10、11、まあ5か月間たちましたが、今日、こうして舛添知事とにこやかに握手のもとに合意ができ、大変うれしく思っております。
ここに至る過程、いろんな課題もありましたし、国民の皆さんの御意見もありましたし、そういう思いを十分に汲み取って、整備計画を作ったと自負をしておりますが、そうした積上げをしていく中で、特に7月、8月、あのお盆等の時期に、あるいは夏休みの時期に、職員の皆さんや、あるいは東京都の職員の皆さんも入っていただきましたが、こうした皆さん方の努力によって、国民の皆さんに理解いただける案をつくっていただいた。その上で9月に公募が始まり、そして今月中にはこのジョイントの会社も決定される状況といいますか。こうした中で今日、合意ができたということについては、東京都舛添知事、あるいは東京の職員の皆さんの大変な御協力にもよります。また、都議会の皆さん方のいろんな御指導もいただいてきましたので、そういう意味で、こうしてお互いに気持ちよく握手ができたと、こういう結果ということについては、自分にとりましても大変嬉しいことだなと思っております。
ただ、合意はしましたが、まだまだこれから課題がありますし、特に2020年の4月という計画でスタートしたのですが、コーツ調整委員長からは1月までに完成しろというふうなこと、これも実は先日、バッハ会長が来たときも、ぜひ1月と言われておりますし、また物価の高騰等、まだまだ至るまでの課題があると思います。そこは気を引き締めて、そして何よりも前回の決定に至る過程について透明性が足りなかったと、いろんな御批判がありましたから、引き続き関係閣僚会議の議長として、こうしたスポーツ振興センターでの発注状況や、その後の進捗状況について、しっかり監督してまいりたいと思っております。
(記者)
もう一点で、先ほどの大臣の御発言でも、今後、国で必要な法整備をされていくということなんですけれども、知事も強くその法的根拠ということをおっしゃっていたと思いますが、今後出されていく法整備で決まっていることですとか、お考えのことがあったらお願いします。
(大臣)
これから、もちろん法の中身については調整をしてまいりますが、少なくとも東京都から負担していただくわけですから、国が地方自治団体に負担を求めていただけるよう、そうした根拠の法律が私としては必要かなと思っております。
もう一点は、この2:1:1の中で、スポーツ振興くじの御負担をお願いするわけですが、当然これまでのスポーツ振興くじのその配分等について、変更せざるを得ない部分が出てくるんだろうと。そうしますと、スポーツ振興センター法の改正等も必要になりますから、ここは、これからも所管であります文部科学省、そして東京都とも連携をとりながら、この法律の整備に取り組んでまいりたいと思っております。
(記者)
2点ありまして、1点は、まず、今回、こう負担を決めたわけですけれども、今後その工費が大幅に高騰していった場合というのは、この額であるとかというのは、どうなのかというのが一つと。
先ほど透明性のお話をされていましたけれども、今回の財源負担に、そのワーキングチームを組んでやったと思いますけれど、そういう中でどういう議論があったのかということを、今後その、何か対外的に議事録を公開するとか、そういうふうなお考えがあるのかどうか。その2点をお伺いしたいのですが。
(大臣)
まず、今日夕方に、詳細については報告させていただきますので、またそのとき質疑をいただければと思います。
もともと、この新整備計画をまとめましたときに、1,550億円としましたが、例えば賃金又は物価等の変動が生じた場合、あるいは消費税率10%が適用された場合については、そうしたことに対応できるように新整備計画の中でも盛り込んでおりますので、そのときはそうした対応をせざるを得ないと思っております。
議事録について、ちょっと今、どうするか、対応を考えておりませんでしたので。ただ、その議論の中では、もちろん、もともとこのナショナルスタジアム、国立競技場について、2016年のオリンピック招致のときは、東京都が東京で独自につくる。そして、国は国で国立競技場をサッカー場として整備をすると、2つ作るというような計画で、もともとスタートしておりました。しかし、その後、2020年の招致のときに、2つも作った場合だとランニングコストも変わりますし、また建築費も大きいというようなことから、1つにしてお互いに協力してつくっていこうと、そうした暗黙の了解も、まずありました。
その上で今回、これまでの2,520億円がどうのこうのではなくて、その1,550億円の中で、国として当然責任を持ってつくるのですが、当然オリンピックのナショナルスタジアムとして、オリンピックのメイン会場として使いますよね。あるいは防災の拠点になって、もし何かあった時の都民の皆さんの避難場所にもなりますと。あるいはその後、いろんな大会等をして、都民の皆さん方の利用する機会が大変多いわけですし、いろんな面で東京都民にとっての大きな便益があります。そういうことを踏まえて、東京都としては応分の拠出については考えましょうと。
舛添知事も前々から、200億でも800億でも、理屈が立てばまあ出すよとおっしゃっておられましたので、そういうことをずっと東京都とこちらで議論した上で、こうした形にさせていただきました。
(記者)
今の高騰した場合というのに関連なのですが、これももしかしたら16時の段階で聞いたほうがいいのかもしれないんですけれども、1,550億はあくまで枠なので、交渉で今後価格は場合によっては下がることもあり得ると思うんですが、上下した場合に、生きるその枠組みというのは、都との負担割合が2対1対1というほうなのか。それとも、あくまで都には395億円程度を負担してもらう形になるのか。
(大臣)
当然、入札で、下がることもあると思います。この前の新整備計画をつくったときの議論もそうですが、今回の分担割合の中でも、こういうふうに記させていただいております。
以下の要因により、上記の経費の不足が生じた場合には、この割合で負担すると、2:1:1で負担すると。その一つとして、賃金又は物価等の変動が生じた場合。消費税率が10%が適用された場合と。これは、先ほど言いましたように2:1:1の割合で負担するというふうになっております。
(記者)
もう一点、別の話なのですが、これで割合が決まって、大体の費用の大枠は決まったと思います。この中でも、国費はこうなると大体800億円弱、今の枠組みは変わらなくてもですね、800億円弱の国費が必要になるということだと思いますが、この間のその新国立の問題はやっぱりその公費負担、その税金が投入されるのが高騰することへの批判というのがあったと思うんですけれども、それでも少なくない額が国費から、まあ全部が税ではないとはいえ、投入されることになることへの、その国民の理解を得ることはできるかどうか。今後の多分課題はそこにもあると思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。
(大臣)
もちろん、国が責任を持って作るわけですから、国の税金でお願いするということになります。しかし、当然それは一過性のものじゃなくて、今回のオリンピック・パラリンピックだけで使うわけじゃなくて、その後何十年と日本のスポーツの会場のシンボルとして存在するわけでありますし、また、スポーツマンにとって、これは聖地でもありましたし。そういう意味で、国民の皆さんに十分理解を得られると思っております。
(記者)
この負担割合2:1:1に決まったということで、スポーツ振興くじなのですが、これは大体400億円ぐらい必要になるということになるかとは思うんですけれども、これまでスポーツ議員連盟のほうでですね、5%、10%の法改正、あるいは他競技への対象拡大というような議論もありましたけど、ちょっとストップはしていたと思うのですが、今後どういう形で、議連のほうで進むのかもしれませんが、どういう形で進んでいくのが望ましいといいますか。対象拡大なんかに関しては賛否両論もありましたし、あるいは、くじの売上も今後も同じように1,000億円規模が見込めるかどうか、不確定要素等々もあると思うのですが、このくじの財源に関してちょっと、今後の見通し等々を……
(大臣)
そうですね、スポーツ振興くじについては、これまでスポーツ議員連盟の中のプロジェクトチームで議論をしていただきました。私がずっと座長をしておりましたが、今回、座長を外れることになったわけでありますが、引き続きこの中で議論をしていただけると聞いております。
今お話ありましたように、5%から10%と、あるいは新しい商品というふうな話がありましたが、できるもの、できないものがありますし、また、この各党の合意を得られるように努力はするのだと思いますが、そこもまだまだこれからの議論だと思っております。
ただ、各党の議論の中で、このスポーツ振興くじを、この国立競技場の経費に回すときに、地方の施設等整備や、あるいは強化費用に対する支援が減らないようにというふうな指摘が、この議員連盟や、あるいは各党のいろんな新国立の議論の中であったと思います。ですから、そういった配慮をして、このスポーツ振興くじについての議論を進めていただければと思っております。
(記者)
大臣は、都への負担をお願いする理由に挙げた、都民の便益になるとか、そういうところと、旧計画でもそういうことは言えたと思うんですけど、今回、新しい計画の中で、都知事がこう、案を受け入れてくれたという、何かどういった状況の変化ですとか、舛添さんのお考えによるものだというふうに大臣はお考えでしょうか。
(大臣)
それは舛添知事にお伺いいただかないとわかりませんが、ただ、たしか最初に舛添知事とお会いをしたときに、東京都として分担をするという合理的な理由が、都民の皆さんや都議会の皆さんの理解を得られるのであれば、200億だろうが、800億だろうが、それは構わないんですという話をいただきました。
今回、都の職員の方にも入っていただいて、そしてプロジェクトチームをつくったわけでありますが、そうした都としての便益がある、あるいは何よりもオリンピック・パラリンピックのメイン会場としての合理性があるというふうなことが判断のもとにあったのではないかと思います。
ただ、あくまでもこれは舛添知事の判断ですから、あるいは舛添知事の判断といいますか、東京都の判断ですから、そちらに聞いていただければと思います。
(記者)
これまで多様な財源を確保するという言い方もされてきたと思うんですけれども、前文科大臣はその命名権の話をされたりとかいうこともありましたけれども、今後もその引き続き、多様な財源を確保するという形で、例えば800億の公費負担を減らす、そういった努力というのがなされていくのか。もう、この800億というのはフィックスした数字というふうに考えたらいいのか、伺えればと。
(大臣)
これは本来の国、もう国の責任でやる、そして、それで東京都から負担をいただき、また、スポーツ振興くじから負担をいただくということですから、これはまずセットさせていただきました。
ただ、実はこれは私、議員として取り組んできた中に、スポーツドナー制度、こういうものをつくっていこうと。これは国立競技場ということだけじゃなくて、日本のスポーツに対していろんなドナー制度をつくって、そして皆さん方いろんな協力いただきたいというふうな議論もしてまいりました。
例えば東京マラソンですと、たしか何億円か支援があって寄附をいただいたり、ロンドンマラソンは1回について93億円ぐらいの寄附をいただいているというふうな現状でもあります。ですから、みんなで盛り上げていただく、まあみんなで盛り上げていることについて、自分たちも応分の負担して、そして、それでスポーツ振興へつなげようというふうな皆さん方のお考えがあれば、大変ありがたいとは思っております。
ただ、少なくともそれを前提として、今回の計画をつくったということはありませんので、少なくとも国としてはこの額については責任持って対応するということであります。