平成28年6月10日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言

おはようございます。
まず、暑さ対策ですが、今年も2010年以来の大変暑い夏が来ると予想されており、どこかの新聞社の記事がありましたが、2020年の東京大会も多分同じか、それ以上の暑さが続くという懸念をされております。安心・安全な大会運営をするためにも暑さ対策は大変大事でありますし、今年も既に熱中症による救急搬送者数が、6月5日付けの速報値ですが、3,131人出ているということであります。そのような意味で、先日コーツ調整委員長がお見えのときにも、この暑さ対策、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮することはもちろんですが、観客等が過ごしやすい環境を整備することは極めて重要だということを私が申し上げ、その上で「暑さ対策に取り組みます」いう話をさせていただきました。
昨年関係省庁等による連絡会議を設置し、9月にその中間取りまとめを策定いたしました。そこで、競技場・会場等の暑さ対策をするにあたって、競技会場やその周辺の暑さの実態を把握することが重要だという観点から、今般施設管理者の協力を得て、オリパラ事務局において、会場等の暑さ指数の測定を行うことといたしました。今年度はまず、競技会場が集中している場所、また最寄りの駅からの移動時間が長くなることが想定される場所、あるいは観客等の多くが長時間日差しにさらされることが想定されるような場所等々について、施設管理者等の同意を得た上で測定をする予定であります。
また、この夏から外国人旅行者に対して、日本の夏の気候の特徴や熱中症の一般的知識、予防方法・対処方法などを分かりやすく情報提供するため、関係省庁と連携して取り組むことといたしました。
引き続き、この大会成功のためにも、暑さ対策をしっかり取り組んでいきたいと思っております。
私からは以上です

2.質疑応答

(記 者)
幹事から暑さ対策について一点。大臣おっしゃったとおり、日本人でも3,000人以上の熱中症の患者が出てくる。これを経験していない外国人、あるいはパラリンピックを観戦する障害者の方々にとっても暑さというのは大敵だと思うんですけれども、そうした意味で周知・広報について、4年後に向けて、どのような形で進めていかれるお考えですか。
(大 臣)
それをこれから関係省庁と連絡をとりながら協議していくということであります。例えば私は北京オリンピックに行ったときに、たしか宿舎を出て会場に入るまでに4時間ぐらいかかったのではないかと思います。具体的に言うと、例えば外でやる種目、マラソンなんかありますが、当然選手はもちろん準備が大事でありますが、観客の皆さまにとっても暑さ対策が重要です。多分30分ぐらいで選手は通り過ぎるのだと思いますけれども、むしろ大変なのは会場に入るまでの渋滞が起きた場合、そうしたときの観客、あるいは関係者の皆さまの暑さ対策。あるいは、長時間プレーが続く種目、その選手の皆さまと同時に観客の皆さまの暑さ対策。そうしたものについて、まずどのような状況になるのか。4年後がどうなるかというのは想定になるわけですが、少なくとも現在とそんな大きく変わるということはないでしょうから、それは具体的にどんな状況なのかを知るために、WBGTという暑さ指数の観測をしていく。そして、その上でその対応を考えていきたいと思っております。
(記 者)
分かりました。あともう一点。ちょっと最近、トップ選手を賑わせているドーピングの関係でお伺いいたします。先日、報道でですけれども、シャラポワ選手が2年間の資格停止処分というふうにされて、大きなニュースになっておりますし、あと、過去の五輪の検体を再検査した結果、陽性であるということも出ております。こうした危険性、あるいは問題点が指摘されながら、トップ選手でこうしたドーピングが相次いで出ていることについての大臣の御所見と、及び東京大会でこういったことが起きないためにも、どういった対策を今検討されていらっしゃるのかということをお伺いしたいのですが。
(大 臣)
それらの報道があったことについては承知をしております。何よりもスポーツ選手にとって「インテグリティ」、高潔性といった表現をするのだと思いますが、は最も大事なことでありますし、それが多くのスポーツファンあるいは世界の皆さま方の信頼を得る一番の起点でしょうから、そうした不正は絶対許されるものではないと思っております。
最近、記事の中に、ロシアの陸上競技のドーピング以来、いくつかの記事が出ておりますが、それぞれの競技団体、そしてそうした世界機関において、しっかりその対策をされるべきであるし、日本においても2020年に向けて、予算等の問題もありますから、そういうことも整備をしながら、しっかり取り組んでいきたいと思っております。自転車の梅(めい)丹(たん)本舗の問題、これは悪意があったとは思いませんが、もありましたし、それから大麻の事件などもありましたし、そういうことを含めて、それぞれの競技団体あるいはJOC等に、何よりもWADAを、日本ならJADAをしっかり活用して、そして対策を進めていただきたいと思っております。
(記 者)
暑さ対策の調査の件なんですが、初年度は大体どれぐらいの箇所をお考えでしょうか。例えば全競技、今のところ想定される全競技場とか、その周辺を調査するのかどうか。大体の規模が、もし決まっていれば教えてください。
(大 臣)
4年後のオリンピックの開会式が7月24日にあり、実際の競技は25日から、そしてパラリンピックの閉会が9月6日ですから、その間で1週間程度の期間を予定いたしております。これはもちろん相手の施設管理者の同意を得た上でということになりますが、例えば有明地区などは施設がかなり多くありますので、その動線や屋外で競技される場所等の暑さ指数、あるいは観客等が長時間さらされるという意味ではゴルフ場などについても、暑さ指数をしっかり把握しておく必要があると思っております。
 その他順次進めていますが、まず何よりも施設管理者にきっちり了解を頂いた上で実施していかなければならないと思っております。
(記 者)
大臣、暑さ指数というのは、これは単純に気温ということではなくて、何か他に定義があるんでしょうか。
(大 臣)
暑さ指数は湿球黒球温度 Wet Bulb Globe Temperatureということなのですが、熱中症を予防することを目的として、1954年にアメリカで提案された指数だということであります。単位は気温と同じ摂氏度で示されますが、その値は気温と異なって、人体と外気との熱のやりとりに着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい、湿度、日射・輻射などの周辺の熱環境、そして気温、この三つを取り入れた指標だということであります。
私も実は、大学3年のラグビーの試合の最中に、当時熱中症などという言葉はありませんでしたが、冷や汗が出てきて、すぐにグラウンドから出て水をひたすらかけてもらったんですが、今考えると、あれは熱中症だったんだろうなと思います。ですから、やっぱり大変恐ろしいものだということを改めて今思い出しております。