平成29年9月15日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
 私から2点お話しさせていただきます。来週9月18日から22日まで、オーストラリアを訪問してきます。関係者との会談、施設の視察が主な項目で、2020年東京大会の準備に繋がる知見を得たいと思います。具体的に、アンチドーピングや選手強化等に関する取組、2000年シドニー大会開催後のレガシー、そして、東京大会の前年に開催されるラグビーワールドカップと東京大会との連携の在り方、これらを主に重点的に視察したいと思います。帰国後は、オーストラリア訪問で得られた知見を東京大会の準備、ラグビーワールドカップとの連携に大いに生かしたいと思っております。日程については後ほど貼り出しさせていただきます。
 二つ目は「復興『ありがとう』ホストタウン」の新設です。2020年東京大会の一つのコンセプト、復興オリンピック・復興パラリンピックと言われておりますが、被災地出身の者として、この中身をどうやったらもっと充実できるのか、内実の伴った復興オリンピックにするにはもう一工夫必要ではないか、そういう問題意識をずっと持っており、そういう思いの中で、ホストタウン構想、もう皆さん御承知のとおり進めているわけですが現在、252の自治体が74の相手国・地域との交流を開始するなど、順調に進んでいます。被災地に目を転ずると、例えば岩手県盛岡市で取り組んでいますが、盛岡は、必ずしも被災地ではないというようなところもございます。そういう中において、復興大会は国際社会から6年半経ち、大変多くの被災地が支援を受けました。そういう支援に支えられ、復興がここまで進んだという姿を発信し、もう一つは、あの悲惨な犠牲の上に、貴重な、様々な知見を得たわけですので、大災害に向けての知見を共有する、こういうことも復興五輪の一つの特徴になると思っています。復興を受けた市町村は今、復興事業に全力投球という中で、ホストタウン構想というのがあってもなかなか手を挙げにくいというような状況もあると思いますし、事前キャンプが必須条件であるというような感覚が広がっており、事前キャンプできる、という条件が整わないということで、その段階で諦めてしまっていることも実態としてあると伺いました。そこで「復興『ありがとう』ホストタウン」は、必ずしも事前キャンプを前提としないで、もちろんできるところはやって良いと思いますが、事後に、相手国の関係者の方々に来ていただくようにします。今まではどちらかというと、選手、大会関係者をイメージしていましたが、実際にあの震災の時に助けてくださった方々、色々な救援物資を搬入してくれた方々等、様々に支援していただいたわけですので、そういった方々、レスキュー隊、支援者も併せ、その地域に来ていただき、復興した成果を見ていただこうという考えです。是非「復興『ありがとう』ホストタウン」これをモデルとして、事前キャンプ中心の交流の他に、選手が大会競技終了後などにホストタウンに立ち寄り、応援してくれた地元の方々とリラックスした環境で、伸び伸び交流を行っていただけるモデルを全国展開してまいりたいと思っております。詳細については、事務方から説明していただきたいと思います。私からは冒頭2点です。

2.質疑応答
(記 者)
 先日のIOC総会で、2024年と2028年の開催都市は、それぞれパリとロサンゼルスに決定しました。巨額の財政負担への不安などから、招致を断念する都市が相次ぐ中で、異例の2大会同時決定となりましたが、この決定に対する御所感と、また、2020年東京大会では、後に続く2都市のためにどのようなレガシーを残していきたいかお考えをお願いします。
(大 臣)
 パリ、ロサンゼルス、それぞれ一括して決まったということで、両都市の関係者の皆様にお祝いを申し上げたいと思います。やはり今お話があったとおり、IOCも、オリンピックに財政的な負担があり、大きくなると世界中で開催できる都市が限られてしまうということになるので、東京大会に対してなるべく経費節減に努めてほしいということがありました。まさにこれからオリンピック・パラリンピックの持続可能性というものを追求する上において、財源面が大変大きな課題になると思いますので、今までの経緯を報道等で承知していますが、他の都市も初めは手を挙げていたけれど、主に財政上の理由で、手を下ろしてしまう、とこういうことで一気に2都市を決めないとできなくなる可能性があるということで、異例のことでありましたが、2020年東京大会、両都市にとって参考にできる良き成功例になるように、しっかり準備を進めていきたいと思っております。中身については、大会の安全・安心、円滑な準備・運営、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる環境づくり、大会を見てくださる世界中の皆様が大きく感動できる大会を是非実現させ、2024年、2028年大会に続くようにしようと思います。
(記 者)
 頭の発表について、改めてオーストラリアを訪問するという、そのオーストラリアということの意義についてもう一度御説明願えますでしょうか。
(大 臣)
 2000年大会で成功された、我々にとって大いに参考になる都市であり、大会であったというように認識しています。例えば、選手の強化について、日本でもナショナルトレーニングセンターを整備し、そこで競技力のアップに努めていますが、日本でもハイパフォーマンスセンターといい、ただ単にトレーニングする、技術面だけをやるのではなく、スポーツ医学や、どの筋肉をどう使えばいいかというようなアプローチや、栄養等、そういうのも総合的にやっていこうという取組が始まったところです。その参考になったのがオーストラリアであると聞いています。それだけ向こうの方がスタートは早いわけですから、その間の知見を大いに生かせるのではないかと期待も持っております。
(記 者)
 冒頭御紹介いただきました「復興『ありがとう』ホストタウン」について、大臣としてどのぐらいの規模にしたい、どのぐらいの数の自治体に登録してもらいたいという思いなどがございましたらお聞かせください。
(大 臣)
 やはり少しでも多くの自治体に手を挙げていただければと思います。可能であれば、被災地の市町村全て手を挙げていただければ有り難いですが、必ずしもそうはならないかもしれません。ただ、被災を受けた市町村は、本当にあの時国際社会から応援してもらいました。必ずどこかの国が応援してくれたという事例があります。例えば、岩手だと、県北の野田村で地元の子供たちが使っていた和太鼓がなくなってしまい、それを台湾から頂きました。応援してくれた国との繋がりがあります。そういう国と是非ホストタウンを結び、まさにありがとうという気持ちをそこで表せたら良いんじゃないかと思っています。
(記 者)
 「『ありがとう』ホストタウン」について、今まさに復興まちづくりが進んでいく中で、ホストタウンの受入れまで調整すると、なかなか大変だなと思う自治体も被災地の中にはあるかと思うんですが、国で何かそういうちょっと手を挙げたいけど挙げづらいという自治体に対して、何かサポートしたりですとか、あとは、ノウハウがなかった自治体に対して、何か後押しするようなサポートのお考えがございましたらお聞かせください。
(大 臣)
 まず「復興『ありがとう』ホストタウン」という形をつくりましたので、このPRを被災県でしたいと思っております。今までのホストタウンを結ぶに当たっても、我々オリパラ事務局でも最大限協力させていただくということで、例えば在京大使館にお話を持っていくとか、場合によっては職員が実際に海外に行きお話をするとかそういうこともありましたので、きめ細かくそういうサポート体制をつくり、一つでも多くの市町村が参加してくれるよう努力してまいります。

以上