令和元年9月12日


就任記者会見


1.冒頭発言
 皆さん、こんにちは。大変お忙しい中、お集まりを頂きまして、誠にありがとうございます。2020年東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会担当大臣及び男女共同参画、女性活躍担当大臣を拝命いたしました橋本聖子でございます。まず、最初に台風15号で千葉県を中心といたしまして、大変な被害に遭われた皆様方に心からお見舞を申し上げ、私自身も千葉県民の一人でございます。様々な悪条件の中でしっかりとした対応をしていかなければいけないと、改めて今、災害対策に対して強い思いを抱いているところであります。全力を尽くして復旧、復興に私自身も努めてまいりたいと思いますので、まず最初にこのことを申し上げたいと思っているところでございます。開幕まで1年を切った東京大会に向けまして、オリンピアンの経験を生かして、大会組織委員会、東京都、競技会場のある地方公共団体を始めとする関係先と連携を図りつつ、国として対応をすべき課題に全力で取り組んでまいります。また、サイバーセキュリティの担当大臣でもありますので、サイバーセキュリティの確保にしっかりと取り組んでまいります。次に、全ての女性が自らの希望に応じ、家庭、地域、職場といったそれぞれの場において活躍できる社会の実現は、引き続き安倍内閣の最重要課題の一つでもあります。第四次男女共同参画基本計画等に基づいて、女性の積極的な採用、そして登用の促進、男女が共に仕事と生活を両立できる環境の整備、そして女性に対するあらゆる暴力の根絶のために、取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。報道機関の皆様には、今後、記者会見等を通じて大変お世話になりますけれども、是非1年を切ったオリンピック・パラリンピック大会、成功に導かせていただきたいと思いますので、引き続きの御支援、御指導をよろしくお願いを申し上げます。

2.質疑応答
(記 者)
 大臣、このたびはおめでとうございます。二つちょっと私の方からお伺いさせていただきたいんですが、改めまして今回、早速オリンピックミュージアムのセレモニーにも出席されると、公務もされたということですけれども、これからの意気込みと、1年を切る中でどういったことに取り組んでいきたいかというところ、これについてまず聞かせていただければと思います。
(大 臣)
 もうあっと言う間に1年弱ということになりまして、全て何事にも取り組んでいかなければいけない、大事なときだというふうに思っております。引き続いてやはりやらなければいけないことというのは、今はいろいろな災害もありますし、暑さ対策ですとか、あるいはサイバーセキュリティの問題ですとか、そして今後、輸送の問題、全てにおいて、全てが重要な状況に来ておりますので、まずは東京都、そして組織委員会、そしてそれぞれ開催を受け入れていただいた開催地、地方自治体、そういったことと、あとはホストタウンですとか、そこも含めて、いかにそれぞれの持つ能力というもの、そしてその思いというものを結集させて、そしてそれを最終的にレガシーに持っていくことができるかということが重要だというふうに思います。また、とにかく復興のオリンピックだというふうに思っておりますので、鈴木俊一前大臣から引き継いだ大きな課題の一つが復興でもあると思います。全大臣が復興大臣という思いでという総理からのお言葉も頂きましたとおりに、オリンピック・パラリンピックというものをやはりしっかりと通じながら、被災地の皆さんが復興していく姿、そして被災地三県、そして東北が元気になっていく姿というものをしっかり世界に発信をしながら、そこに住む方たち、そして子供たちが被災地ですばらしい経験を元に、未来に向かって歩んでいくという勇気と希望、そういったものをお届けできるような大会にしていくということが、私としての使命だというふうに思っております。
(記 者)
 ありがとうございます。もう一点伺わせていただきたいんですが、韓国の文化体育観光部の長官が、IOCバッハ会長に旭日旗の持込み禁止を要請したというふうに報じられていますけれども、韓国側の主張についての見解について伺わせてください。
(大 臣)
 責任ある立場の方からではない状況の中から、そのずっと旭日旗のことに関してはお聞きをしていました。承知をしておりましたけれども、ちょうど先日、昨日ですね。韓国側から、担当大臣の方からIOCに直接そういった文書が出されたということは承知をしておりますけれども、私自身の立場としては、その部分に対してお答えをすることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、ただ、旭日旗というものが政治的な意味においての宣伝になるかということに関しては、私自身は決してそういうものではないというふうに認識をしているところでありますし、また、組織委員会がそのように発表されておりますので、その部分で私自身は了承をしているということにさせていただきたいと思います。
(記 者)
 大臣、今の御発言に、復興五輪というものをしっかり進めて、復興している姿を世界に発信したいという思いがあるとおっしゃられましたが、東日本大震災から昨日で8年半が経過いたしまして、被災地の中では復興が進むと同時にオリンピックが近付いていることに対して、いまだにいい思いと少しネガティブな思いがあるかと思いますが、オリンピックに向けたその復興五輪というものを、今後1年間ない中でございますが、どのように盛り上げていきたいというふうにお考えでいらっしゃいますか。
(大 臣)
 私自身がJOC時代から取り組んできたことの一つが、復興でありました。その中で、まだオリンピック・パラリンピックの2020年の招致が成功していない段階であったのですけれども、そのときにはちょうどロンドンのオリンピックを控えていました。そして、ロンドンのオリンピック・パラリンピックが終わった後に、被災地でのメダリストのパレードの方をさせていただいたりですとか、つばさプロジェクトといって、被災をされた子供たちをオリンピックの団の一つとしてお連れして、感動を味わっていただくというような、教育的なプログラムの責任者だったものですから、オリンピックへの、そしてパラリンピックというものを大いに活用していただいて、復興というものへの道筋がどのように取組に変わっていったのかということをやらせていただいた一人と致しましては、これからどんどんそういった意味では1年を切って、意識も高まってきているというところでありますので、「復興ありがとうホストタウン」という構想も、25の自治体がもう既にしっかりと手を挙げていただいて、世界に向かって復興した姿をお見せしながら、これからそのことをどのように諸外国との連携強化の中でやっていくことができるかということの姿もお見せしたい。そういうプログラムを、これから全面的にしっかりとバックアップをしながら、笑顔を見せていただくことができるものにしていきたいなというふうに思います。また、同時にパラリンピックに力を入れていくわけですけれども、私はこのオリンピック、そしてパラリンピックというもののすばらしさというのは、誰もがバリアフリーの世界を築いていくということが夢なんだというふうに思うんです。そして、心の復興であるのと同時に、心のバリアフリーというものが必要ですし、そしてノーマライゼーションといいますか、まちづくりというものを含めて、バリアフリーのまちづくりというものが進めていくことが、復興と同時に地方創生にもつながっていくことになるというふうに思うのです。これから被災地の食材というものを生かした食品をオリンピックで、パラリンピックでどのように発信するかということも一つだというふうに思いますが、あらゆる様々な復興に対して力になれるということは、できる限りのアイデアも使いながら発信をするということに、被災地と連携強化を図って取り組んでいきたいというふうに思っております。
(記 者)
 予算の関係について、関連経費についてお伺いします。大会の成功というのはもちろん大事なことなんですけれども、一方で、財政規律を高めるということも大事なのかと思います。大会に関連する経費をめぐっては、会計検査院から透明性を高めるよう求める声も出ていたのですけれども、国として今後どういった姿勢で臨むのかというところと、あと、それに関連して、正に先程レガシーということをおっしゃっていましたけれども、大会後、その心のバリアフリーなど、そういう精神面のレガシーは大事だと思いますが、経済効果とか、大会の跡地利用など、そういった側面もあるかと思うんですけれども、どういった評価軸が大事だと思っていらっしゃるか、見解をお聞かせください。
(大 臣)
 大会の全体像、東京都と、そして組織委員会が実施主体の責任で明らかにするべきだというふうに理解をしておりますけれども、その中で昨年の12月に組織委員会が公表した大会経費の試算額というのは、組織委員会と東京都、そして国の合計で1兆3,500億円であったわけであります。この需要に対応する一方で、経費の適正化に取り組んだ結果、前年の試算額と同額になったということを承知しております。これから組織委員会と東京都と国と連携をとって、まず経費削減をどれだけできるかということと、実際にはまだシミュレーションしなければいけないと思うんですけれども、どの部分に新たな経費が掛かってくるか分からないというのが現状だというふうに思っております。そのことも含めて、削減するべきところは削減をしなければいけないと思いますけれども、安心・安全ですとか、あるいは命に関わる暑さ対策も含めまして、予算が膨らんでいく可能性というのはゼロではないと私は思っております。いつ何どき、どのような状況で対応しなければいけないということも含めて、しっかりとそこは予算の使い方も明確にしながら、連携強化を常に図っていく必要があるんだというふうに思っています。そして、いつも言われることなんですけど、これは過去のオリンピック・パラリンピックも常にそういった経費の問題ですとか、後利用の問題で相当な、ある意味でいろいろな反省をしなければいけない問題というのはたくさんあった。私自身も、経験上ですけれども、あらゆる国や都市のオリンピックを経験してきて、いろいろな反省点、そして、それを改善すればオリンピック・パラリンピック東京大会はすばらしいものになっていく、資産として考えていけるんだろうというふうに確信をしているところです。そんな一つが、すばらしい大きな新国立競技場を作って、その運営をこれからどのようにしていくかというのは、協議会を作ってやろうとしている段階であるんですけれども、やはり私はここまでのオリンピックやパラリンピックというものを経験できるというのはめったにない、自国開催というのはめったにない大きなチャンスでありますので、健康産業、あるいは観光産業ですとか、医療産業ですとか、そういった産業を創出していくことの拠点にしなければいけないと思います。健康産業というふうにお話しさせていただきましたけれども、これからこの国が目指すのは、やはり健康寿命を延伸させて、活力ある健康長寿社会の確立だというふうに思うものですから、スポーツ、そしてパラリンピックという障害者スポーツを、これを機に更に融合させて、そして医療や福祉や介護ですとか、あるいは食文化ですとか、テロ対策も含め、そして教育やあるいは芸術、文化、そして観光、今まではそれぞれの団体、業界というものが、ばらばらになっていたものを一つに融合させようと思っても、なかなかできていなかったことが、この東京オリンピック・パラリンピックというものを機に、日本が最先端の科学技術、そういったすばらしい能力を結集していくことによって、目に見えないものをしっかりと引き出して、そして目に見えないオリンピックやパラリンピックというもののすばらしい価値を形に変えて、新たな産業に創り出していくということこそが、私は本当の意味での2020年以降のこの国のレガシーだというふうに思っております。やり遂げたことでいいんではなくて、そのやり遂げたものというのをしっかりと産業に結び付けていくということが、いかに心豊かで持続可能な社会を創り上げるという大事な部分に即していく。そういうふうな考え方の中で、後利用ですとか、あるいはそういった文化的活動ですとか、地場産業の創出ですとか、そういったものを今こそ産業に変えていくべきものではないかなというふうに考えております。
(記 者)
 2点あるんですけれども、まず1点目は、大臣、先程お話の中でもありましたけども、福島県産の食材をいろいろ使っていきたいというお話もあったもんですけど、一方で、また韓国側がオリンピックの選手団長会議でも、パラリンピックの選手団長会議でも、福島県産の食材、放射能の汚染があるのではないかと安全性に対して懸念を示していたんですけども、その点に対しての大臣の見解がまず1点お聞きしたい。
(大 臣)
 それはずっといろいろな疑念を示していることは承知をしておりますし、このパラリンピックの選手団の団長会議でも、そのことが指摘をされたというのも承知をしているんですけれども、ここはやはり組織委員会と連携をとりながらですけれども、あくまでもやはり科学的根拠の下でしっかりと安全性を確保された上での話であると私は思いますので、そういった指摘に対して不安材料が払拭されるような科学的な根拠も含めて提示をしながらやっていかなければならないんだろうというふうに私は思っております。
(記 者)
 すみません、もう一点なんですけども、暑さ対策の部分で、今、東京都が恒久施設を造っていますけども、例えばホッケーの競技場だと、客席に全て屋根が付いておるんですが、海の森水上競技場だと費用の関係だとか何とかだと思うんですけど、常設の客席の半分しか屋根が付いてない。さらに、ここからいろいろ仮設の、オリンピック・パラリンピックに向けて仮設のスタンドができていくかと思うんですけども、そこは今のところ屋根を設置する計画がされてないというところで、根本的に多分暑さを防ぐためには、日よけを付けるのが一番いいかなと私個人的にも思うんですが、その辺、大臣の所見は如何でしょうか。
(大 臣)
 仮設のものは組織委員会の予算になる、これは御承知のとおりですし、また、恒久的なものの今の東京都の施設というのは東京都の予算ですので、御指摘いただいている、御心配をされている海の森の会場、カヌーやボートの屋根が半分、予定ではかかる予定だったというふうに聞いておりましたけれども、予算の関係上、屋根が付かなくなってしまったということであります。そこは今後どのようにその部分に対しての暑さ対策をしていかなければならないのかということは、やっていく必要があるというふうに思います。明日はちょうど雪を、人工雪を降らせる取組をするということがあるというふうに承知をしているんですけれども、ただ、そういったことと同時に、常に日の当たる応援席になるものですから、健康的な面をしっかりとサポートをするという対策、それと同時に、暑さからどのように体を守るかということの日よけ対策というのは、東京都の施設だから、あるいは仮設ではないからということの考え方は、当然違ってくると思うんですけれども、オリパラという、この国がやるべきことというのは、その部分の中に入って、どのような対策をすることができるか、そういった工夫をしていかなければいけないのかということを考えていくのが正に私どもの所管ではないかなというふうに考えております。安心と安全と、そして世界に向かってその競技場が発信されていくわけですから、また東京でカヌーやボートといった水の競技をやりたいという国が多く出てきてくれなければ困るわけですので、どこにも負けない、世界に誇る海の競技場として今後の対策というのはやっていかなければいけないというふうに私は考えております。
(記 者)
 大臣、先程の訓示式の際にも少し話されていたんですけれども、これまで選手や日本選手団の団長として過去のオリンピックにも関わっていらっしゃいました。サイバーセキュリティとか感染症など、そのときに感じた様々な課題とか問題点とかあったと思いますが、そのときの経験を、今度は五輪相という立場から、どういうふうに生かそうと思っているのかお考えをお聞かせください。
(大 臣)
 このテロですとかサイバーテロですとか、そういったことというのは、形を変えて、非常に身近であって身近ではないところでテロが起きてくるというような感覚に襲われたという経験がありました。ロンドンで私は日本選手団の副団長を務めさせていただいたんですけれども、その頃からサイバーテロという問題が非常に頻繁にといいますか数が多くなって、そして選手団にも、あるいは競技全体としてサイバーテロというものの対策がこれから必要であるんだということが問題提起されてきたというようなところに、ちょうど私は副団長だったんです。そこから、実際にはアトランタのオリンピックのときには爆弾がセットされたところで、一瞬で私はその大事故に巻き込まれませんでしたけれども、間一髪の状況で爆発したという、その場での経験もありまして、そのことから、今度はサイバーといった問題になってくるわけです。想像ができないことを想像した上で、想定外を想定内に入れてやらなければいけないというのがテロ対策なんだという認識で、ずっと選手団長をやらせていただいてきたんですけれども、JOCの立場のとき、そして組織委員会にいるときも、この問題の重要性というのは非常に大きな問題として捉えてきました。やはりしっかりと対策本部、そして協議会、そういったことのグループ各者とともにしっかりと情報共有をしながら、事前に防げるもの、そしてその対応の仕方というものは、政府として万全の体制でしっかりと取り組んでいかなければいけない問題だというふうに捉えているところです。
(記 者)
 先程、スポーツの産業化、健康産業とかの話がありました。大会後のレガシーとしてそういうのをやっていくということですけれども、そう考えると、大会経費に当たる部分が、ある種、投資だという考え方もできると思うんですけれども、その辺り、今後の産業化に当たってこういうことを進めていきたいというような具体的な何か展望を今お持ちでしたらお聞かせください。スポーツ庁なんかも健康産業化していくということは、いろんな力を入れてやっているわけなんですけれども、その大会後を見据えた展望みたいなところで、もう少し具体的に考えているところがありましたらお聞かせください。
(大 臣)
 大会経費ですとか、あるいは国立競技場も含めまして、そういったことはやはり国の予算であって税金ですから、そういった未来へ向かっていくための投資にするのかというような意見も一方であるかもしれないですね。それは、私自身はそういう産業としての考え方ではなく、やはりオリンピック・パラリンピックというものは、社会資本整備の未来への先行投資だというふうに思っていますので、このオリンピックでの施設、あるいは道路の整備ですとかあらゆる面においての東京特有な面も含めて、私は50年先、100年先を見据えた中で、今この状態を新たにスタートラインとしてやっていくべきものがオリンピック・パラリンピックだと思います。その上で未来への先行投資として考えていくときには、ただ単にそれの投資で終わるんではなくて、その部分から新たな産業を引き出していく力が必要だという考え方で、いつも産業化というふうに言っているんです。それぞれの産業が単体でいると、それまでの力になってきたんだというふうに今までは思うんですけれども、オリンピック・パラリンピックを機に、6年前に決まった状況から、国民の健康指数といいますか健康への思いというのは非常に拡大されていて、マラソンですとかジョギングですとか、いろんな体操をしたりというような、それぞれの個別のスポーツへの投資額というのが徐々に増えてきているということは非常に有り難いことだなというふうに思っております。それも一つのスポーツの産業化だというふうには思っているもんですから、この機会に、やはり政府が目指す健康寿命の延伸、活力ある健康長寿社会ということを考えていくんであれば、先程お話しさせていただいたように、スポーツと医療を組む、スポーツと食を組むですとか、スポーツと芸術文化を組む、そういうことが様々な中でやられていることですけど、それをしっかりと国がバックアップをして、円を描いていくようにしていくのが私の考えで産業化であるんだというふうに思っています。スポーツ、医療、福祉、介護、そして、それぞれの分野の観光と結び付けて新たな産業を構築して、新たな産業を創出するということができて、そこに新しい雇用が生まれるというところで考えていくべきものではないかなというふうに考えているんです。いろいろたくさん思いはあるんですけれども、オリンピック・パラリンピックというものを最大のチャンスとして、今こそ新しい産業を生み出していく力に変えていくのが、成熟した国家としてやるべきオリンピック・パラリンピックの姿ではないのかなというふうな考え方でここにいます。
(記 者)
 つい先程、NPCの選手団長会議で、韓国のNPCがパラリンピックのメダルが旭日旗を彷彿させるんじゃないかというようなことで、大会組織委員会にデザインの変更を要望しました。IPCのパーソンズ会長は問題視してなかったんですけれども、旭日旗そのものではなくて、パラリンピックの扇形のメダル、そのものじゃないものにまで、こういう日韓問題が波及してきたという状況に対して、更に今後エスカレートする可能性もなきにしもあらずという状況の中で、このような状況をどのような立場で食い止めなきゃいけないというように考えをお持ちでしょうか。
(大 臣)
 その問題について、私の方からコメントはやはり差し控えるべきだというふうに思っております。ただ、その中で、IPCは、しっかりと判断をしていくべき問題になるというふうには思っておりますけれども、組織委員会としても、オリンピック・パラリンピックのあのメダルのモチーフというのは、決してそうではないと。そして、私自身もすばらしいと思ったのは、扇形は、心を一つにするという非常に大きな壮大なスケールのコンセプトが詰まっているデザインなものですから、それと一緒にするというのはどうかなというふうには思います。ただ、その部分においては、私からのコメントではなく、組織委員会からそのようなお話を聞いておりましたので、私自身としては、そのように受け止めているということであります。
(記 者)
 今回、橋本大臣が就任したことについて関係者の方を取材していると、非常に待ち望んでいた、よいという声がたくさん聞かれました。大臣が、そもそもオリンピアンの立場で、改めてこれまでの大臣とは違って、どういった点で大臣の強みというのをこれから生かしていけそうか、この1年を切ったタイミングで橋本大臣が就任されたことについて、改めて感想をお願いいたします。
(大 臣)
 私自身としては、非常に緊張感を持ってといいますか、過去のオリンピックの主将と選手団長をやった以上の緊張感を持って取り組んでいかなければいけないという、その重さの方に非常に身の引き締まる思いでいるわけです。ただ、就任をして、たくさんのアスリートや、あるいはたくさんのスポーツ関係者、そしてIOCメンバー、そういったオリンピックファミリーからたくさんの祝福といいますか、同時に、期待の声やメールを頂きまして、それだけの方が、私が思っている以上にすごい期待を持って喜んでくださっているということに関しては、非常にもったいないお話だなということ。同時に、だからこそ、私自身のアスリートとして、あるいは競技を運営する側のオリンピック委員会の立場の経験を十分に生かして、選手に、あるいは競技団体、スタッフ、ボランティアの方たちに対して、いかに寄り添うことが大事なのか。アスリートファーストということと同時に、そのアスリートが輝くためには、何をしなければいけないのか。そして、感動と感激、そういったものの先に見える巨大なオリンピックのすばらしさというものを、もっともっと多くの皆さんに知ってもらうために、私自身の役割というのは非常に責任があるなというふうに思っております。多分、アスリートからのいろいろなメールの中で、すごくアスリートのことを知ってるので、しっかり頑張ってほしいという指導を頂いているんですけれども、でも、私自身としては、やってきた人間だからこそ、何を求めて、何をしてあげなければいけないのかということを分かっているからこそ求められる、その仕事をやり遂げなければいけないという強い意思の下で今回大臣をやらせていただくというふうに決意いたしました。常にアスリートファースト、そして常に多くの関係をしていただいている方たちも、同じように世界一を目指しているわけですので、そういった方々のオリンピック・パラリンピックへ対する思いというものが、しっかりと一つになって、日本のすばらしさを発信する、その最大の好機と捉えて、2020年以降の姿を描いていけるようにやっていきたいというふうに思っています。
(記 者)
 今、大臣の話にもあったアスリートファーストという観点からですが、細かいんですけれどもお伺いしたいのが、今年の夏のテスト大会で、大臣からもお話がありましたが、暑さに関してなんですけれども、天気がIFから、やはり今の競技時間だと、かなりベストパフォーマンスを出しづらいというか、暑さが厳しすぎるというような意見も上がっています。一義的には、恐らく委員会がこれから対応していくことだと思うんですけれども、今後の競技時間の変更だったり、更なる追加対策の必要性などについて、大臣としてはどんなふうに見ていらっしゃるのかどうか、意見はあるでしょうか。
(大 臣)
 暑さ対策についてというのは、まだまだやらなければいけない問題があるというふうに思います。その中で、競技時間の変更なんですけれども、これは逆にJOCにいたときには、そういう問題について、どのように組織委員会や、あるいは国際競技連盟とIOCに対して、どのような取組をお願いをするのかというふうな立場でいたものですから、こういったことはよく承知をしている一人だと思うんです。ここはやはり国際オリンピック委員会、そしてそれぞれの国際の競技連盟、そしてNOCですね、そういったところとがしっかりと協議をされた上で、スタート時間というものが決められていくというのがルールになっています。でも、大事なことはやはりアスリートファースト、選手がしっかりとしたパフォーマンスが発揮できるようにしていくということが大事なところでありますので、そこの部分も含めて、そして安全性が保てるかということも大事だと思うんです。ただ、競技の時間を早めればいい、遅めればいいということだけではなくて、輸送の問題ですとか、ボランティアですとか、そういった治安の問題、様々な問題がしっかりと連携をされて、初めて競技時間、あるいは放送時間も含めて、諸外国とのそういった放映時間というものも含めて決まっていくものですから、そのところは、しっかりとアスリートの皆さんの声を大事にしていくということがまず必要であるというふうに思います。そのことは、組織委員会がしっかりとIOCとの協議の中で決めていただく、そのための選手の意見だとかというのは、私自身も聞いておりますので、何かの形で国がバックアップをさせていただくことができればというのが今の段階だというふうに思います。恐らくは、夏場からずっと始まっているテストイベントなんですけれども、全部で56、今まだ3分の1ぐらいしか終わっていないという状況ではあるんですけれども、その中で水質の問題だとか、暑さの問題とかでいろいろあったというふうに思いますけれども、これもしっかりと検証して、そして選手からの声を聞いて、競技運営側の声も聞きながら、これからどのようにそれが改善されていかなければいけないのか、そしてそのことをどういうような技術的な、あるいは科学的な根拠のことで、そういった水質改善ですとか、あるいは暑さ対策ということも含めて、医科学的な部分も私、必要だというふうに思うんですけれども、そういうようなことをしっかりと検証して、そしてこれから最後の舞台に向かってしっかりと取り組んでいくべきことであるというふうに思っております。
        
 以上