ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議（第３回）

日時：平成30年12月４日（火） 17：00 - 17：40
場所：総理大臣官邸４階大会議室
出席者：菅内閣官房長官、鈴木総務副大臣【代理出席】、柴山文部科学大臣、根本厚生労働大臣、小里農林水産副大臣【代理出席】、礒﨑経済産業副大臣【代理出席】、石井国土交通大臣、山本国土強靱化担当大臣・内閣府特命担当大臣・国家公安委員会委員長、左藤内閣府副大臣【代理出席】、櫻田東京オリンピック・パラリンピック担当大臣、西村内閣官房副長官、杉田内閣官房副長官、黒川法務省事務次官
（意見表明頂く障害者団体）
日本盲人会連合　伊藤氏、全国脊髄損傷者連合会　大濱氏、日本難病・疾病団体協議会　斉藤氏、全国手をつなぐ育成会連合会　久保氏、全国精神保健福祉会連合会　小幡氏、日本発達障害ネットワーク　市川氏、全国重症心身障害児（者）を守る会　長井氏、全日本ろうあ連盟　久松氏、DPI日本会議　今西氏、日本身体障害者団体連合会　阿部氏、日本パラリンピアンズ協会　大日方氏

【櫻田大臣】
ただ今から、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議を開催いたします。本日はご多忙の中、ご出席いただき、ありがとうございます｡私の方で進行を務めます。よろしくお願いします。
　本年10月、オリンピック・パラリンピック担当大臣に就任いたしました。私は、かねてよりパラリンピックを重視し、機会があるたびに「パラリンピックの成功なくして東京大会の成功は無い」と申してまいりました。大臣としての最初の仕事も、パラリンピアンの皆様からお話を聞き、関係者を集めてトレーニングセンター周辺のバリアフリー化の徹底に取り組むことでした。
先日、大分国際車いすマラソン大会を視察した際には、ダイナミックに躍動する選手の姿とそれを支える地域の皆さんの熱意に触れました。私は、パラリンピックを全力で盛り上げ、競技に出る人はもとより、見る人に大きな勇気を与え、自信を持って人生を切り開いていくようなインパクトを与える大会にするとの決意を新たにいたしました。
　また、東京大会の成功はもとより、障害の有無にかかわらず誰もが生き生きとした人生を送ることが出来る共生社会を実現して行くことが極めて重要です。そのため、障害者団体などの関係者の皆様との議論を経て、昨年2月には、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を安倍総理、障害者団体の皆様のご出席を得て決定いたしました。現在、関係府省庁と協力して、その実行に取り組んでいるところです。
　本日は、国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長を特別にお招きしております。行動計画に基づく取組の進捗と、障害者団体など関係者のお話を聞いて頂いた上で、パラリンピックを通じて共生社会を世界に広げるよう取り組まれているパーソンズ会長よりご意見をいただきます。本日の議論を踏まえ、東京大会の成功はもとより、レガシーとして、共生社会を実現し、定着させていくべく、取り組みを加速してまいります。
　それでは議事に入ります。
議事１「ユニバーサルデザイン2020の加速」として、行動計画の個々の施策のうち、特に、
昨年の閣僚会議において安倍総理から関係閣僚に実行をお願いした３項目の加速について説明します。
　資料１をご覧ください。１つ目は、「全ての子供たちへの『心のバリアフリー』教育等の実施」です。小学校で2020年度から、中学校で2021年度から全面実施される新たな学習指導要領において、「心のバリアフリー」教育を充実します。また、「特別の教科 道徳」については、小学校において今年度から、中学校において来年度から先行して全面実施します。併せて、パラリンピック教育を実施し、機運の盛り上げを推進しているところです。加えて、企業等における取組です。交通、観光、外食、流通などのサービス産業において、ガイドラインを策定し、研修を推進しております。加えて、一般企業においても、経済団体と連携して取組を拡大いたします。
２つ目は、「街づくりのユニバーサルデザインの諸制度の見直し」です。まず、本年５月に改正バリアフリー法が成立しました。現在、改正法に基づき、交通事業者によるハード・ソフト一体の計画策定、市区町村によるマスタープラン作成、利用者への情報提供などに取り組んでいるところです。また、国際パラリンピック委員会のバリアフリー基準も参照して、国内基準の見直しも行っております。鉄道駅等について、バリアフリールートの最短経路化や利用状況に応じたエレベーターの複数化・大型化などを義務付けました。また、一定規模以上の宿泊施設の新築時などの車いす使用者用客室の設置数の義務付けを、現状の１室以上から１％以上に引き上げました。さらに、国が整備する新国立競技場で「世界最高のユニバーサルデザイン」を実現します。また、その他の整備主体が担当する競技会場についてもバリアフリー化を促進しております。
最後に３つ目として、「障害者の視点を施策に反映させる更なる枠組みの創設」です。本日ご参加頂いている障害者団体の皆様などが過半を占める「ユニバーサルデザイン２０２０評価会議」について、本日の閣僚会議において設置を決定し、閣僚会議終了後、引き続き第一回の評価会議を開催したいと考えております。評価会議の設置案については、資料１－２のとおりです。
　それでは、２つ目の議事である「共生社会ホストタウンの取組」について、ご説明します。
資料２をご覧ください。パラリンピアンとの交流を契機として、ユニバーサルデザインの街づくりと、「心のバリアフリー」の取組を通じた共生社会を実現するべく、共生社会ホストタウン制度を昨年１１月に創設しました。現在、全国で13の自治体に共生社会ホストタウンに取り組んでいただいています。共生社会ホストタウンをモデルケースとして、全国に共生社会の実現に向けた取組を拡大していきます。
　ここで、２つの取組例をご紹介します。
まず、静岡県 浜松市では、ブラジルのパラチームの受入れに向け、産官学による推進体制を立ち上げました。ブラジル車いすマラソン選手団が合宿を行い、小学校や特別支援学校の子ども達と交流するなどの取組を実施しています。
　次に、青森県 三沢市ではカナダの車いすラグビーチームの受入れに向け、宿泊施設のバリアフリー化などを推進しています。本年10月には同チームが来日し、小学校の訪問や日本代表チームとの練習試合など交流を実施しました。
　それでは、続きまして、意見交換に移ります。まず、関係大臣からご発言をお願いいたします。
今回、時間も限られておりますので、文部科学大臣・経済産業副大臣・国土交通大臣・厚生労働大臣からお願いしたいと思います。発言は簡潔にお願いします。

【柴山大臣】
　今お手元にある、資料１－１の３ページ目の横長のパワーポイントをご覧ください。共生社会の実現には教育を通して子供たちが心の「心のバリアフリー」について学び、多様性を受け入れ、互いに協働する力を身につけることが極めて重要です。国立リハビリテーションのある私の地元の所沢でもユニバーサルスポーツやバリアフリーの理解が進んでおりますけれども、文部科学省では、今ご説明のあったように、2020年度から順次実施する新学習指導要領により、「特別の教科 道徳」をはじめとする各教科や特別活動等において「心のバリアフリー」に関する教育を充実するなど、すべての子供達に「心のバリアフリー」に関する指導を実施して参ります。また、全国各地の学校で、実際にパラリンピアンを招いての競技体験会や講演会、特別支援学校の生徒との交流授業など、パラスポーツを題材にしてパラリンピック教育の取組を進めて参ります。さらに、パーソンズさんが会長を務めるＩＰＣとＪＰＣ（日本パラリンピック委員会）、日本財団パラリンピックサポートセンターが共同で開発したＩＰＣ公認教材「I’m POSSIBLE(アイムポッシブル)」という紙芝居を全国の多くの学校で活用いただけるよう促しております。
次のページをご覧ください、下の方あります、新国立競技場については、整備計画の「世界最高のユニバーサルデザイン」という基本理念のもと、ＩＰＣの「アクセシビリティガイドライン」を踏まえ、車椅子利用者、高齢者、子育てグループなどの多様なニーズを把握しながら、整備を進めております。
文部科学省といたしましても、共生社会に向けた取り組みを一層推進してまいりますので、よろしくお願いいたします。　以上です。

【礒﨑副大臣】
経済産業省の小売業におけるバリアフリーの取組をご説明させていただきます。
百貨店やショッピングモールのような大規模な店舗につきましては、施設の構造及び配置の基準を定めている、バリアフリー法に基づき、障害者等の方にも利用しやすい店舗づくりを行っています。加えて、事業者自らが、店舗設計に障害者団体の意見を取り入れる、あるいはサービス介助士の取得を推奨する、といった取組も行っているところでございます。コンビニのような小規模店舗につきましては、都市部の面積が狭い店舗を除きまして、標準的なレイアウトとしてのバリアフリー化を進めております。また、このようなハード面に加えて、ソフト面について、業界団体と国が連携しながら、障害者の方に気持ちよく御利用いただけるような「接遇マニュアル」の策定・普及を行うとともに、車いすの方も利用できる「多目的トイレ」の検索サービスの検討をしております。
今年11月に、2025年国際博覧会の開催国が日本に決定したことで、今後ますます世界からの注目を集める中、共生社会の実現に向けた日本の姿を発信していくことが重要だと認識しております。
引き続き、経済界と協力しながら、ユニバーサルデザインによる社会づくりに向けて積極的に取り組んでいきます。以上でございます。

【石井大臣】
　資料１－１の最後のページをご覧いただきたいと思います。国土交通省としまして、ユニバーサルデザイン2020行動計画に従いまして、公共交通・道路・建築物等あらゆる分野で総合的にバリアフリーの取組を進めております。
左側ご覧いただきまして、本年５月に改正バリアフリー法が成立いたしまして、ハードのみならずソフトも一体となったバリアフリー化を進めていくこととしておりまして、市町村によるマスタープラン作成や利用者への情報提供等につきましては１１月１日から施行したところであります。
特に、共生社会ホストタウンには先進的なモデルとなって頂くよう、マスタープランの作成に対する積極的な支援に取り組んでいます。
また、右側をご覧いただきたいと思いますが、鉄道駅等の旅客施設や宿泊施設に関するバリアフリー基準の見直しも行ったところであります。
　今後とも、東京大会の成功に向けまして、また、全ての国民の自立したシームレスな移動、ストレスフリーな施設利用の実現に向けて、省を挙げて全力で取り組んで参ります。　以上です。

【根本大臣】
　公務部門における障害者雇用に関する今般の事態については、障害者雇用施策を推進する立場として、改めて深くお詫び申し上げるとともに、今後、政府一体となって、しっかり取り組んで参ります。
　こうした取組も含め、厚生労働省としては、障害の有無にかかわらず、地域で生き生きと暮らせる「地域共生社会」の実現が重要と考えています。このため、共生社会の基本理念の普及のために市民や福祉従事者を対象としたフォーラムの開催や、様々な心身の特性を持つ全ての人々が、相互に理解を深め、支え合う「心のバリアフリー」を地域において広める取組を行っています。
　こうした取組は「共生社会ホストタウン」の推進にも資するものであり、引き続き、関係省庁と連携しながら、取組を進めてまいります。

【櫻田大臣】
　ありがとうございました。
　障害者団体の皆様からもご発言をお願い申し上げます。
　　
①	日本盲人会連合　伊藤氏
日本盲人連合会の伊藤でございます。今回このような会議にお招きいただき、本当にありがとうございます。このところユニバーサルデザイン2020行動計画もあって、人々の心のバリアフリーということが大変良くなってきたと思っております。とりわけ、鉄道駅等で声がけ運動が行われていますが、それが功を奏して私ども視覚障害者が駅を利用する際に、視覚障害者に対する声がけが大変増えたという事実がございます。今までは声のかけ方がわからないために戸惑っていた方も、私どもに声をかけてくれる、これは非常に私どもが歩く場合の安全につながっていると受け止めております。一方で、面的なバリアフリーが更に進むと大変いいと思っております。道路の視覚障害者誘導用ブロック等は多くの場所に敷設することができてきましたけれども、道路上のブロックと建物の中のブロックとのつながりがあまりないと感じています。今、国土交通省において面的なバリアフリーについても検討していただいておりますので、これがより進むと私ども視覚障害者は外に出ることが増え、社会の中で更に活動することができると考えております。
また、心のバリアフリーでは、一般的には子供の教育が大切とよく言われていますが、子供の教育だけではなく企業の研修も含めていることは、世代を超えてそうした問題に積極的に取り組んでいただいていることなので、大変うれしいことでございます。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

②	全国脊髄損傷者連合会　大濱氏
全国脊髄損傷者連合会大濱です、本日は発言の機会をありがとうございます。
私どもとしては主に３点ですがそれに＋αという形になっております。
特に、今現在が危惧しているのは、ホテルの客室が車いすの人たちに必要なキャパを確保できているかと心配しております。2000ｍ２以上かつ50室以上のホテルについては、全体の１％以上という基準が国交省から出ましたが、まだ車いすで使える客室が足りないのではないかという心配があります。これが１点目です。
２点目は、パラリンピックの選手の移動、これはバスケットボールの選手、車いすラグビーもそうですが、移動の多くはバスになり、リフトの付いたバス、それが必要数確保できているのかということです。つい最近、私が、東京駅から成田へ行ったときにバスを利用させていただいきました。しかし、行くときは予約してあったので、リフトが用意してあったのですが、帰りにリフト付きのバスに乗ろうとしたら、運転手がリフトの使い方が全く分からない。そのため30分以上待って、やっとリフトが出てきたということがありました。やはり、リフト付きのバスの数も少ないですし、運転手の講習もなっていないというのが現状でありますので、2020年までになんとか間に合うように、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
３点目ですが、鉄道車両の件です。これについてはオープンスペースを、例えば選手たちが試合終了後、観光等に行くと思うのですが、新幹線等で移動する。そのようなケースが出てくると想定される。このような場合、新幹線にオープンスペースをある程度つくっていただかないと、10名程度の車いすの人達が新幹線に乗ることが難しいということになり、観光行政の点からも課題となりますので、よろしくお願いします。
最後に、ユニバーサルタクシー、UDタクシーについてですが、今現在ジャパンタクシーが非常に増えてきています。しかし、障害者が手を挙げても止まらない。ジャパンタクシーで、スロープを出す教育がドライバーにされていない、そのために障害者の人達が手を挙げてもUDタクシーは止まらないで行ってしまう。また止まってくれてもスロープを出して乗り込むまで２０～３０分という現状です。ジャパンタクシーについては教育も含めて再検討を国交省にお願いしたい。

③	日本難病・疾病団体協議会　斉藤氏
日本難病・疾病団体協議会の斉藤でございます、よろしくお願いします。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
　難病は、一定の割合で発症することが避けられず、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性があります。難病法に定められておりますように地域で尊厳を持って生きていく、そのためには難病や慢性疾患患者にも他の障害者と同等の障害者の福祉サービスを利用できるようにしていただきたいと思っております。
また就労できる条件づくりも重要で、行動計画の中に、平成35年度までに法定雇用率の見直しを行うと書いてあります、この時に難病も算定基準の中に入れていただきたい、そのように考えております。さらに、様々な施策の検討や評価をする際には、障害のある人が委員等として参画し、その視点を施策に反映させることが大変重要と思っております。
難病や慢性疾病患者が抱えている障害は、外見上からはわかりにくく、全く想像すらつかないことが多くありますので、障害者団体の中に難病慢性疾病の患者団体も含めて検討がされるようお願いします。

④	全国手をつなぐ育成会連合会　久保氏
本日は、このような機会をいただきありがとうございます。オリンピック・パラリンピックの成功に向けた取組と我が国のレガシーとなるユニバーサルデザイン2020行動計画の推進は、今後我が国の目指す共生社会に大きなチャンスとして取り組んでいただきたいというふうに期待し、私達も障害者の文化芸術の推進に全力で取り組んでいきたいと思います。国の推進とともに障害者団体も一緒になって取り組みたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

⑤	全国精神保健福祉会連合会　小幡氏
全国精神保健福祉会連合会の小幡です。ご発言の機会をいただきありがとうございます。
まず「心のバリアフリー」教育に呼応するように、2020年度から高校保健体育の教科書に精神疾患の記述が約40年ぶりに復活することに感謝いたします、是非発症の多い中学校の教科書へも展開することを強く望みます。
次に、公共交通機関の運賃割引制度は精神障害者には適用がありません。対象が一元化されていない点も解消していただきたいと思います。先日、航空事業者が大手を含め精神への割引を実現しました。これには厚労省、国交省の粘り強い働きかけもあったおかげと思っております。是非公共交通のアクセシビリティのソフト面の課題として、鉄道・高速道路等の割引についてもユニバーサルデザイン2020行動計画を推進する中で実現し、オリンピック・パラリンピックに参加できることを願います。私どもも微力ながら努めてまいりますが今後どもよろしくお願いいたします。

⑥	日本発達障害ネットワーク　市川氏
　日本発達障害ネットワークの市川でございます。
人口の１割ぐらいはいると言われながら、外見的には特に問題がわからない、例えば教育なんかですと、努力しない怠けものなどと叱られることもありますし、本人たちが持っている感覚の特別性、あるいは視覚優位等で苦労していることがございます。このようにユニバーサルデザイン進めていただければありがたいと思います。またパラリンピックについては取組をありがたいと思っております。約十数年前、国会議員の先生方のご尽力で発達障害者支援法ができましたが、今後ともよろしくお願いします。

⑦	全国重症心身障害児者を守る会　長井氏
　全国重症心身障害児者を守る会の長井です。本日、発言の機会をいただきありがとうございます。
　「心のバリアフリー」や「街づくりのバリアフリー」の充実、加速にご尽力賜り感謝もうしあげております。重症心身障害児者は、どんなに障害が重くても、人の愛を感じるとニッコリとほほ笑んで応えてくれます。年齢を重ねることで、感情の表現や意思の表出なども豊かに成長します。親は子供とコミュニケーションをとりたい一心で、かすかな手の握りから感じ取ろうと懸命でございます。ユニバーサルデザイン2020行動計画の具体化により、個々人に合ったICTの開発や教育が、子供とのコミュニケーションのツールになると思います。今後、是非とも福祉・教育の充実とともにICTの開発・活用の推進をお願いいたします。

⑧	全日本ろうあ連盟　久松氏
全日本ろうあ連盟の久松と申します。発言の機会をいただきありがとうございます。
国連は「９月23日」を手話言語の国際デーと制定いたしました。手話言語が音声言語と対等のものとして国際的に認められた、ろう者にとって大変大きな意義のある出来事でした。
また、本年の10月24日、安倍首相の所信表明演説に史上初めてテレビ中継に字幕が付与されました。これも歴史的な出来事でした。
昨今電話は日常生活に不可欠なコミュニケーション機器ですが、私たちろう者は電話を利用できません。この電話を利用できないことが私たちの社会参加を阻む大きな社会的障壁となっています。先般、11月7日の参議院予算委員会で、安倍首相は「電話リレーサービスは重要な公共インフラであり、総務省総合通信基盤局が対応する」と答弁され、国際的に普及している電話リレーサービスの公的制度化への実現に一歩踏み出した画期的な答弁でした。放送バリアフリー、電話バリアフリーが東京オリンピック・パラリンピック開催までにより一層進むようお願い致します。
最後に、全日本ろうあ連盟は、デフリンピック100年の節目となる2025年に日本招致を目指しています。デフリンピックを日本で開催することで、聞こえない子どもやデフアスリートに夢を与え、情報アクセシビリティとコミュニケーション・バリアフリーの環境整備がより一層進むことを期待しています。よろしくお願い致します。

⑨	ＤＰＩ日本会議　今西氏
　ＤＰＩ日本会議の今西です。今日はこのような機会をつくっていただきありがとうございます。本年５月に、12年ぶりにバリアフリー法が改正されたことに感謝しております。さらなるバリアフリー社会の進展の道筋がつくられたと思っております。
先日、2025年の大阪万博が決まりました。オリパラに向けた東京2020アクセシビリティガイドライン、これはIPC基準を満たした素晴らしいガイドラインです。是非とも大阪万博にもレガシーとして反映していただきたいと思っております。
そして2020年に向けて、昨年の秋から、車いすが乗車できる「ＪＰＮ　ＴＡＸＩ（ジャパンタクシー）」が普及してきました。しかし残念ながら車いす利用者の３割近くで乗車拒否をされています。国土交通省ではさっそく通達を出しましたが、是非とも適切な運用に繋げていただきたいと思います。
そして、空港アクセスバスについて、現在いろいろと新しい技術を導入したユニバーサルバスが開発されております。特に地方では、空港へのアクセスはバスしかなく、車いすで乗ることはできません。こうした新しい技術を持った空港アクセスバスを、一日も早く普及させていただきたいと思っております。　

⑩	日本身体障害者団体連合会　阿部氏
日本身体障害者団体連合会阿部、日身連の阿部でございます、このような機会をいただきありがとうございます。
合理的配慮に関する周知を図る障害者差別解消法の認知度がわずか２割程度にとどまっているという現状の中で、私ども日身連は、障害理解と合理的配慮の重要性を明示し、具体的な行動につなげる「ユニバーサルデザイン2020行動計画」の実施とそのための評価会議の設置にとても期待しております。
　ただし、この大切な取り組みは、決して、障害領域だけの限られたものと捉えられてはなりません。そこで、私どもは、私たち自身が発信者として、また実践者として、多くの国民や企業、地域団体など関係各層の方々とともに具体的に取り組む行動計画であることの重要性を伝える役割を果たして参りたいと思います。
来年度は、全国６箇所で心のバリアフリーに関する事業を展開する予定でおりますので、よろしくお願いいたします。

⑪	日本パラリンピアンズ協会　大日方氏
日本パラリンピアンズ協会副会長の大日方でございます。
2020年パラリンピック東京大会開催をきっかけといたしまして、共生社会実現に向けたこういった取組など進んでいることを心強く思っております。とりわけ、私ども日本パラリンピアンズ協会からの提言をきっかけにナショナルトレーニングセンター周辺のバリアフリー化促進に向けて、連絡会議が設置され、様々な行政機関や事業の方々が連携して改善に向けた具体的な取り組みを進めて頂いていることに感謝申し上げます。
公共交通機関のバリアフリー化や接遇向上、車いすユーザーが宿泊できるホテルを増やす、こういった取組などですね、関連してやるべきまだまだたくさんあると思っております。また大人達に対する「心のバリアフリー」、理解を加速させる、そういったことも必要であろうと思っております。多くの障害者が日本にやってくる2020年の大会を好機と捉えまして、誰もが安心安全に暮らせる社会をレガシーとして残す、このような気概を持って、引き続き、政府が強いリーダーシップを持って取り組んでいただきますよう、また私どもパラリンピアンもインクルーシブな社会を実現に向けて貢献していくことを約束したいと思います。　

【櫻田大臣】
　どうも、ありがとうございます。
　　ここで、プレスが入室します。　　

〔プレス入室〕

　それでは、ここで国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長からご発言いただきますので、よろしくお願いいたします。

【パーソンズ会長】（通訳）
　皆さんこんにちは、桜田大臣このような発言の機会を頂き感謝申し上げたいと思います、非常に高レベルの閣僚の皆さま、障害者団体の方々にご出席いただき大変光栄に思います。
私どもパラリンピック委員会の方では共生社会を実現するため、パラスポーツを通して、さまざまな方々を巻き込みながら障害者の方々により住みやすい社会を実現することを希望しております。
私どもパラリンピック委員会の方では、日本政府、東京都、東京オリンピック組織委員会及び関連団体の皆さま方のご尽力とこの東京2020パラリンピックを成功するためのさまざまな取組に対して感謝を申し上げます。そして、さらに重要な点というのは、レガシーとして、社会に残るということだと思います。
私どもパラリンピック委員会と日本国の政府は、ともに東京パラリンピック2020が共生社会を実現する最大の機会になるであろうと認識しております。そしてまた人々の意識を変えるということにおいても、非常に大きな機会となると認識しております。そしてよりアクセシブルな社会を実現することができるであろうと考えております。
2017年の２月に前パラリンピック委員長のクレイヴァン氏が安倍首相と面会し、その場で、このユニバーサルデザイン2020行動計画を称賛しました。既に東京パラリンピック2020の有形のレガシーとしてこのようなものが残っています。
そしてまた、私どもこのユニバーサルデザイン2020行動計画は既に大きな進捗していると確信しております。それはすなわち人々の意識を変えることで、よりアクセシブルな社会インフラを促進するということであります。そしてまた日本の政府に対しては法改正等を行い、ホテルやあるいは公共交通機関におけるアクセシビリティの促進をしていただいた。そしてそれに対してコミットメントしていただいたということに大変感謝しております。
その中において、特に私どもの中において感謝を申し上げたいのは、まずバリアフリーへの意識を変える子供達への教育、またバリアフリー法の改正、そしてまたさまざまな産業団体それぞれが実施できる枠組みを整備していただいたことです。
その中においても子供達への教育というのは、私どもパラリンピック委員会に置いても非常の優先度の高いものでございます。特に私どもの方では、「I’mPOSSIBLE」というパラリンピックための教育ツールを開発しております、それの日本語版というものが開発されておりまして、全国の小学校、中学校及び高校に提供されております。そういった形でより子供たちが身体障害者、あるいは共生社会が何であるのかということをより深く学んでいただけることを願っております。
それからですね、本日この会議にご参加いただいております各団体の方々が非常に声を大きくしてご意見を述べられたということを深い感銘を受けております。またこの会議の直後に評価会議が開催されるということでございます。そしてこのユニバーサルデザインの政策に関してお声を頂戴し、それを実施、評価していくことになると思います。
対話を通じてのみ社会というのは発展し、進んでいくものであります。まさに私が日本で目にしているのはそのような動きであろうと考えております。
ということで、現在ご参加の各団体の方々に申し上げたいと思いますけど、東京パラリンピック2020というのはいわゆる触媒のようなものであり、そしてまた運動を更に促進・相乗させるものであって最終的な目標ではないと申し上げたいと思います。オリンピック・パラリンピックの閉会式をもってすべて運動の終焉を迎えるものではありません。引き続き対話を通してさらに運動を続けるものだと心に留めていただきたいと思います。
そして引き続き、日本政府、関係各位の皆様にはご尽力をお願いするとともにパラリンピックの成功のために関係各団体の方々に対しても成功をお祈りしたいと思います。今後も引き続き共生社会の実現のため努力と建設的な対話が必要と思います、我々パラリンピック委員会も各団体の方々とともにさらに協力をし、尽力していきたいと思います。

【櫻田大臣】
　ありがとうございました。
　本日は、障害者団体の皆様や関係閣僚に加えて、国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長にご出席いただき、共生社会の実現に向けて、ご議論いただきました。
　本日、この会議の終了後、第１回評価会議が開催されます。評価会議を通じて行動計画の実効性を担保し、共生社会の実現を図ってまいります。パラリンピックの成功なくして大会の成功はありません。パラリンピックで躍動するパラリンピアンの姿は、世界中の人々に感動を与えるとともに、障害に対する意識を変える大きな力を持っており、共生社会の実現に向けて人々の心を変える絶好の機会であります。
本日の閣僚会議や評価会議での皆様からのご発言を踏まえながら、引き続き、東京大会の成功と共生社会の実現に向けて取組を加速して参ります。
以上、申し上げ、本日の会合は閉会にいたします。議事と資料については、内閣官房から公表する
予定ですので、ご了承ください。本日はありがとうございました。