第3回 ユニバーサルデザイン2020評価会議 議事録 日時:令和元年10月28日(月) 15:00-16:30 場所:中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室 出席者: 【議長】 平田 竹男  内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局長 【構成員】 阿部 一彦   社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長 久松 三二    一般財団法人全日本ろうあ連盟事務局長 及川 清隆   社会福祉法人日本視覚障害者団体連合副会長 久保 厚子   全国手をつなぐ育成会連合会会長 小幡 恭弘   公益社団法人全国精神保健福祉会連合会事務局長 長井 浩康   社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会          事務局長 佐藤 聡  認定NPO法人DPI日本会議事務局長 大M 眞    公益社団法人全国脊髄損傷者連合会代表理事 斉藤 幸枝   一般社団法人日本難病・疾病団体協議会副代表理事 朴 善子    公益財団法人日本補助犬協会代表理事 松本 江理   特定非営利活動法人日本補助犬情報センター理事 秋山 哲男   中央大学研究開発機構教授 中野 泰志   慶應義塾大学経済学部教授 星  祐子   独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 インクルーシブ教育システム推進センター長 山崎 泰広   順天堂大学医学部非常勤講師 山崎 まゆみ  VISIT JAPAN大使 【オブザーバー】 内閣府政策統括官(共生社会政策担当) 総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課 法務省人権擁護局人権啓発課 スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課 農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課外食産業室 経済産業省商務・サービスグループ クールジャパン政策課 国土交通省総合政策局安心政策課 警察庁交通局交通規制課 議事: 【内閣官房 鶴田統括官】 ただ今から「第三回ユニバーサルデザイン2020評価会議」を開催いたします。 本日は御多忙の中ご参集いただき、誠にありがとうございます。本会議は、報道関係者に最後まで公開させて頂きます。 開会にあたりまして、議長を務めます東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局長、平田からご挨拶致します。 【平田議長】 本日はご多忙の中、「ユニバーサルデザイン2020(ニーゼロニーゼロ)評価会議」にご出席いただき、ありがとうございます。前回の評価会議で、皆様から、これまでの共生社会に向けた取組をレガシーとして残していけないか、小規模な飲食店に入れるようにしてほしい、障害者割引の使い勝手をよくしてほしい、など様々ご意見を頂きました。こうしたご意見を踏まえ、更なる改善に向けて検討しました。 オリパラ事務局が推進している共生社会ホストタウンが全国各地に広がってきています。その中でも、特に先進的な自治体を「先導的共生社会ホストタウン」として、各省の支援メニューを重点的に投入することとしました。こうした取組が大会後のレガシーとなるよう、バリアフリー法との連携強化を図ってまいります。 他、3点申し上げます。来年の大会までに、小規模なホテルや飲食店のバリアフリー化を進め、宿泊や飲食を満喫できる環境をスピード感をもって整備してまいります。また、公共交通機関の障害者割引について、多様な確認手段を提供するため、マイナンバーカードを活用した電子的な確認ができるよう、来年に技術的な基準を定めてまいります。車いすを利用される方が、安心して単独乗降していただけるよう単独乗降が可能な駅をマップ化して、年内の情報提供開始を目指します。このほか、各種の骨太な改善点についてご説明させていただきますので、前向きにご議論いただければ幸いです。 オリンピック・パラリンピックまで1年を切りました。大会に向けた準備を加速するとともに、レガシーとしての共生社会を実現したいと考えておりますので、よろしくお願いします。 【内閣官房 鶴田統括官】 平田議長、ありがとうございました。それでは、議事1「ユニバーサルデザイン2020行動計画の施策の改善状況(主要項目)について」を事務局よりご説明させて頂きます。 【内閣官房 岩川参事官】 資料1「ユニバーサルデザイン2020行動計画の施策の改善状況(主要項目)について」をご覧ください。本資料は、本日の主要項目として、6本柱(共生社会ホストタウンのレガシー化、ホテル・飲食店のバリアフリー化、障害者割引の利用者利便、バリアフリーマップ等の充実、心のバリアフリーの拡大、ユニバーサルデザインタクシーの改善)で構成されております。 一点目の「1.共生社会ホストタウンのレガシー化」については、オリパラの招致以降、これまで取り組んできた施策の全体を通じて、共生社会を実現し、レガシーとして後生に引き継ぐための取組となります。 まず、一昨年12月に創設した共生社会ホストタウンの中で、他のモデルとなる自治体を「先導的共生社会ホストタウン」として認定し、重点的支援を行う制度を本年5月に創設し、現在12件を認定しております。 パラリンピック交流を契機とした共生社会の取組の輪を広げるため、共生社会ホストタウンへの登録を拡大するべく働きかけ、昨年度末の14件から、現在は37件に拡大しました。 先日20日に共生社会ホストタウンの首長サミットを開催し、取組事例を共有するとともに、シンポジウムを通じて全国に発信しました。 さらに、共生社会ホストタウンの取組が東京大会のレガシーになるよう、バリアフリー法のマスタープラン・基本構想制度において、心のバリアフリーの取組を強化する方策を検討しているところです。 次に、「2.ホテル・飲食店のバリアフリー化」を通じて、来年の東京大会期間中に我が国に来訪する障害者やパラリンピアンが、宿泊や飲食を満喫できる環境をスピード感をもって整備してまいります。 このため、宿泊施設や施設内の飲食店のバリアフリー改修をモデルケースとして補助金で支援するとともに、民間施設での対応状況について、今後、観光庁ホームページ等で発信するとともに、民間事業者による活用を働きかけてまいります。 また、大会関係者、宿泊・飲食等観光関連産業の関係者を構成員とした「実行推進会議」を立ち上げ、来年の大会時に関連業界が万全の体制でおもてなしを行うムーブメント形成を実施してまいります。 国は、一定規模以上のホテル又は旅館の建築等を行う場合、本年9月から、当該建築等を行う客室総数の1%以上のバリアフリー客室の整備を義務化するとともに、既存客室のバリアフリー化を補助金で支援しております。 東京都は、本年9月から、一般客室についても浴室・トイレのドア幅70cm、段差解消等一定水準のバリアフリー化を義務化しました。さらに、誘導水準として75cmを推奨基準としました。この推奨基準を達成する場合に補助金を9割に嵩上げするとともに、容積率規制を緩和しました。 「3.障害者割引の利用者利便の改善」により、スマートフォンやインターネットによる障害者割引の活用を目指し、その基盤を整備してまいります。 本年3月に障害者手帳の提示以外の電子的な方法等による本人確認が可能であることを明確化したことを踏まえ、本年7月から、一部交通事業者が、障害者手帳に代わる、スマートフォンによる電子的な確認手続を導入しました。 また、マイナンバーカードを活用した電子的な確認方法の技術基準を来年に策定予定です。 精神障害者割引の拡大については、昨年10月から、各航空会社において、精神障害者を加えるよう、順次拡大されたところであり、未導入の公共交通事業者に対して割引制度を導入するよう要請してまいります。 「4.バリアフリーマップ等の整備・充実」により、交通機関や情報のバリアフリーを実現し、アクセシブルな都市を実現してまいります。 今月、バリアフリー整備ガイドラインを改訂し、車椅子の単独乗降と安全確保を両立する鉄道駅のホームと車両の段差・隙間の目安値や、公共交通事業者によるウェブアクセシビリティの確保基準を明確化しました。 これを踏まえ、大会の競技会場へのアクセス駅や首都圏の主要駅において、単独乗降がしやすくなるようプラットフォームの整備を順次進めてまいります。 さらに、東京都心部の単独乗降しやすい鉄道駅情報をマップ化し、早期の発信を図るため、インターネットによる公共交通のバリアフリー経路案内である「らくらくおでかけネット」おいて年内に情報提供開始を目指します。 また、らくらくおでかけネットについて、日本語での情報提供に加え、視覚障害者向けの読み上げ対応や外国語での情報提供の改良を加えました。 さらに、手話、文字による意思疎通を可能とする、「公共インフラとしての電話リレーサービス」の実現に向けて、関係者による会議体を設置して検討しているところです。 「5.心のバリアフリーの拡大・向上」を通じて、全ての子供を始めとして、社会人に対しても、心のバリアフリーを全国に広げてまいります。 まず、国家公務員向け心のバリアフリー研修において、今年度は、「障害の社会モデル」の理解を徹底するため、障害当事者である有識者の講義を追加するとともに、より効果的な研修のあり方を検証しています。 今年度から、新たに地方公務員を対象とした心のバリアフリー研修を自治大学校と全国市町村国際文化研修所で実施しております。 来年度より小学校において新学習指導要領に基づく全ての子供への「心のバリアフリー」教育の全面実施に向けて、本年8月、検討教科書の採択が完了しました。 また、教員養成課程においても、「心のバリアフリー」に関する科目の履修を義務づけたところです。 大学において、障害のある学生が円滑に修学できるよう、先進的な取組を行ってきた東京大学と京都大学での取組の成果を他の大学に展開するとともに、障害のある学生の就労面について、大学によるサポートを強化してまいります。 「6.ユニバーサルデザインタクシーの改善」などを通じて、誰にでも移動しやすい都市を実現してまいります。 ユニバーサルデザインタクシーの多くを占める車種で、車いすの乗降時の操作時間を3〜4分に短縮する改良を実施し、既販車については、2月から改修を順次行い、8月までに概ね完了しております。 また、車いすが乗車する際のスロープの耐荷重を200kgから300kgに引き上げることについて技術的に検討しております。 国が、ユニバーサルデザインタクシーの車体補助を行う条件として実車を用いた研修を義務化しました。 さらに、ニーズに応じた円滑な配車を目指し、UDタクシーや福祉車両の配車体制の実証実験を今年度実施する予定です。 東京23区内では25%のタクシーをユニバーサルデザインタクシーとする目標について、2020年中から大会までに前倒しいたします。 資料2は行動計画のフォローアップをまとめたものとなりますが、本日は時間の関係で説明は省略いたします。 説明は以上となります。行動計画の実行を加速していくために、構成員の皆さまの貴重なご意見をいただけば幸いです。よろしくお願いします。 【内閣官房 鶴田統括官】 それでは、意見交換に移りたいと思います。 会議時間の関係で恐縮ですが、お一人様2分半ぐらいでお願いいたします。 まず、日本身体障害者団体連合会の阿部会長からお願いいたします。 【日本身体障害者団体連合会 阿部会長】 日本身体障害者団体連合会の阿部でございます。 この主要項目についての説明概要はとても大事なことだと思います。そしてまた、このような取り組みが進展するとともに、私たち当事者団体としても、例えば、心のバリアフリーの拡大向上の啓発活動を行っていくことで、これまでも私たちの日身連は2017年にはバリアフリートイレでまちづくり、2018年には災害関係の取り組みを行いました。 2019年のことしは今、始まったばかりですけれども、全国6カ所で心のバリアフリー障害理解研修をまずは10月24日に行いまして、最後は12月23日まで行ってまいるところでございます。 というように、この各項目につきまして、当事者もしっかり私たちなりにかかわっていきながら、大事なことはこのユニバーサルデザイン2020行動計画が全ての地域で取り組まれるようにと願っているところでございます。 日身連は加盟64団体とそれを構成する市町村に伝えるということで、先ほどお話ししましたさまざまな展開ですけれども、6カ所のブロックで行って、それを各市町村にまでつながるような取り組みをしてまいります。この改善状況についての説明をお聞きしながら、ほかのところにつきましても、バリアフリーマップ等の整備充実についても私たちのバリアフリーのチェックを行っていますし、今度は市町村でも行えるようにということの組織力を持った取り組みをぜひしていきたいと考えているところです。よろしくお願いいたします。 以上です。 【内閣官房 鶴田統括官】 阿部会長、ありがとうございました。 次に、全日本ろうあ連盟の久松事務局長、お願いいたします。 【全日本ろうあ連盟 久松事務局長】 全日本ろうあ連盟の久松です。 お話しする機会を頂戴しまして、ありがとうございます。 幾つかお話しをさせていただきたいことがあります。 1つ目は、心のバリアフリーの拡大・向上(大学等における修学への支援)の中に、東京大学、京都大学の名前がありますが、日本には、これ以外にも世界に誇れる大学があります。それは、国立大学法人筑波技術大学です。こちらは、視覚障害や聴覚障害を持った学生を受け入れている日本で唯一の大学組織ですので、もっと多くの人に知っていただきたいと思っています。障害のある学生の就職の支援、サポートなどをすることにつきましても、そのノウハウや知識経験を持っていますので、啓発していただきたいと改めてお願いします。 2つ目ですが、情報アクセシビリティにつきまして、取り組んでいただきましてありがとうございます。私がアメリカに参りましたときに、経験したことです。宿泊ホテルのフロントに行き、私が聞こえないことを伝えると、すぐにお知らせランプや、振動式の機器をその場で貸し出してくれました。これは、例えば火災のときに、振動とランプが点滅することで避難を知らせることができるという機器で、ホテルの従業員に周知されているので、すぐに用意をしてもらえます。行った場所はニューヨークでしたが、アメリカの多くのホテル・宿泊施設でもこのような配慮がなされているのではないかと思います。 日本のホテル・宿泊施設も、私たちが聞こえないと言った時には、何か避難ができるような、また非常事態が起きたときのためのお知らせをする機器を貸し出せるように配慮していただきたい。日本のほうがアメリカよりも性能のいい機器をつくれる技術を持っているのですから、そういったところも拡大していただきたいと思います。 3つ目ですが、アメリカに行ったときにとても助かったことがあります。アメリカではテレビに字幕付与が義務となっています。全く何も情報がないよりも字幕がついていたほうが安心できます。聞こえる人にとっても、ある程度英語を読む力があれば、字幕がつけばとても安心という話を聞きました。字幕があると勉強になるし、情報の面で助かることもあります。 日本でも、100%字幕をつけていくことを目標にやっていくのがいいと思います。今後に向けて、外国人の方を受け入れるときにも、また、日本語が少しわかる人とか聞こえる人にとっても、こういった字幕をつければ、その人たちもとても助かるのではないかと思っております。そこのところも含めて御議論いただきたいと思います。 そのほか、警察庁と気象庁で、今、聞こえない人のための情報アクセシビリティに努めていただいているところであります。日本の大変すぐれた情報アクセシビリティの技術を国内だけでやるともったいないので、警察庁のインターネットによる110番システムや、ネット119の機能を世界にPRしていきたいと思います。そのほか、最近、気象庁でも災害が起きたときの緊急放送に手話通訳がつくようになりました。情報アクセシビリティに関して、東京オリンピック・パラリンピックに向けてとても努力されています。聞こえない人への情報アクセシビリティの環境整備・合理的配慮をどんどん進めていることをほかの省庁も応用していただくということも大事だと思っております。 こちらをお願いとしてお話しさせていただきました。 【内閣官房 鶴田統括官】 久松事務局長、ありがとうございました。 次に、日本視覚障害者団体連合の及川副会長、お願いいたします。 【日本視覚障害者団体連合 及川副会長】 日本視覚障害者団体連合の及川と言います。よろしくお願いいたします。 このUD2020は、オリパラを中心としたハード面、ソフト面の行動計画や評価になるわけですが、ほとんど地方に伝わってこないということがあります。今後、レガシーとして進めていくということであれば、きちんと地方に浸透して、視覚障害者でも社会参加、社会に自立し、共生社会の一員として活躍できる環境づくりを促す行動計画として、なお推進していただきたいと思っております。 2つ目ですが、3に書いてあります障害者割引のことについてです。利便性の中で手帳認証についてふれていますが、実を言うと視覚障害者はスマホを余り活用できない。それはなぜかというと、音声の利便性が悪いからです。この辺の改善を来年までとはいかないかもしれませんが、より利便性の向上した機種を開発する方向になっていただきたいと思っております。というのは、ますますキャッシュレス化も進んでおりますし、IT化も進んでおりますけれども、これらの情報文化が非常に進展すればするほど視覚障害者はついていけない、置いていかれるという状況下にあるからです。この辺のところをぜひ今後、推進していただきたいと思っております。 3つ目ですが、実は、皆さんのお手元に好事例として配付しているのですが、視覚障害者というと皆さんは全盲を思うかもしれませんけれども、8、9割は弱視者なのです。いわゆるロービジョンです。ですから、ロービジョンに対する社会のソフト面、ハード面のインフラ整備をぜひお願いしたいと思っております。 4つ目ですが、ホテルについて。私たちはいつもスタッフにいろいろサポートしていただいているのですが、できれば新築のホテルにはルームナンバーを浮き文字にしていただけるとありがたいです。視覚障害者でも浮き文字であればさわって1、2、3、9、0ぐらいはわかりますので、浮き文字にしてルームナンバーがきちんと確認できて自由にホテルの中を移動できるようにしていただけるといいかなと思っております。 最後に省庁の会議資料の件について。きょうは非常にきめ細やかな点字資料をつくっていただきましてありがとうございました。省庁のいろいろな会議等で、自治体も町、村もそうなのですけれども、ほとんど点字資料がなくて、なかなか社会に参画できないというのが実態です。細かなものをいただきたいというのではなくて、大ざっぱな次第とか簡単なものは、何とか点字資料を提供いただけるようにお願いしたいです。省庁間の格差をなくしていただけると大変ありがたいと思っております。 以上です。 【内閣官房 鶴田統括官】 及川副会長、ありがとうございました。 次に、全国手をつなぐ育成会連合会の久保会長、お願いいたします。 【全国手をつなぐ育成会連合会 久保会長】 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。 まず、5番の子供たちに心のバリアフリーの指導を公務員の研修を皮切りにということを書いていただいて、そのことを進めようとしていただいていることに感謝申し上げたいと思います。心のバリアフリー、ユニバーサルデザインの関係で国家公務員の研修をしていただいているのですけれども、地方公務員のほうもぜひ進めていただきたいというのが全国の育成会の会員からたくさん聞かれています。本当に身近なところの行政というのは地方公務員になりますので、地方公務員にもこの研修を広めていただきたいというのと、やはり子供のうちからちゃんとそういう意識を持つことが大事ですので、これをさらに充実、拡大していただけたらありがたいと思っております。 2番目ですけれども、私どもは知的障害者、発達障害者の疑似体験というものをツールとして持っていまして、体験していただくわけです。割と、視覚障害とか車椅子の方というのは、学校でもよく体験として子供たちはやっているわけですけれども、知的障害とか発達障害の疑似体験というのはなかなかわかりにくいので、余りそういうツールがないのですが、私たちは今、全国で50のチームを持っています。全国各地でそれは動いて、障害者理解を含めて知的障害、発達障害の人たちの疑似体験を進めているのですけれども、その中に、今、内閣府の方で進めていただいていますユニバーサルデザインの心のバリアフリーのパワーポイントがありますので、それも映しながら、国でもこんなことを進めていますということもお知らせしながらやらせていただいております。 そのときに、知的障害の御本人が参加している場合もありますので、学校向けでもいいのですけれども、小学校の3年、4年ぐらいでは知的障害ではわからないというのがありますので、わかりやすく分かち書きもしていただきながら、ルビを振っていただきながら知的障害者にもわかりやすい言葉で資料をいただけたらと思っております。どこにあるかを言っていただいたらまたみんなにお知らせもしますので、それを有効に活用していきたいなと。せっかく疑似体験をし、内閣府のこのこともお知らせしていますので、ぜひペーパーでは持って帰っていただいて、もう一度お家に帰っても見ていただけるようなこともやりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それから、最後ですけれども、この間、日本では本当にたくさんの大きな災害が続けてありますので、ユニバーサルの避難所みたいなものがあればいいなと思っています。ぜひ各市町の何カ所かはユニバーサルの避難所をつくっていただけたらありがたいと思っていますので、それをできたら実施していただきたいと思っています。 以上です。 【内閣官房 鶴田統括官】 久保会長、ありがとうございました。 次に、全国精神保健福祉会連合会の小幡事務局長、お願いします。 【全国精神保健福祉会連合会 小幡事務局長】 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。よろしくお願いいたします。 私は障害者割引の利便性向上について述べさせていただきたいと思います。 マイナンバーの身体障害、精神障害の手帳との連動については、18年の10月から本格利用が始まっているかと思いますけれども、これらの情報を取り扱うに当たりまして、私たちのプライバシーの尊重という部分の懸念が常につきまとってきます。また、このサービスを利用して連動していくときに、知的障害の手帳については、地方自治体の位置づけとなると思いますので、全障害の中で基礎情報がどのように取り扱われていくのかという基準を明確にしていただきたいと思っております。 障害者権利条約の22条でもプライバシーの尊重ということで、今回の国連障害者権利委員会からの事前質問事項でも、特に社会保障の税制上の問題等の取り扱い、行政上、立法上の措置についてもどうなっているのかということの整合性についても触れられているところですので、慎重に対応をお願いしたいと思っております。 また、私たち精神障害者の団体としては、JR等の私鉄各社に交通運賃の割引を求める働きかけをしてきているところですけれども、さきの第198国会では、精神障害者の割引につく請願署名の採択をいただいたところです。JR各社さんの対応などをお聞きしますと、JRは全国で幾つかの会社がある中で、1社だけが突出してやることはできない。横並びにどうしていくのかということも大切な案件ということを各社からお聞きします。できれば、国のほうから要請をいただいている中に、JR各社が横並びに一斉に私どもの意見を伝えられる場か、国交省さんを通じてになるのかわかりませんけれども、ぜひ一堂に会しての働きかけも要請していただければと思っております。 また最後に、心のバリアフリーの件について触れさせていただきます。 地方公務員や各署、同じように展開をしていくときに、私たち講師になる立場である教育をする側の水準、質の担保ということも欠かせないかと思います。こちらも検討されているところだと思いますが、私たち自身が講師として、その基準を広く学ぶ機会を設けていただきたいと思います。特定の箇所での研修等に偏ってしまいますと、講師に立つ人間の養成というところで人員不足等につながると思います。ぜひ幅広く同一水準の社会モデル等が徹底できるような教育の場は一つに限らず、多面的に検討いただければと思います。 以上です。 【内閣官房 鶴田統括官】 小幡事務局長、ありがとうございました。 次に、全国重症心身障害児(者)を守る会の長井事務局長、お願いいたします。 【全国重症心身障害児(者)を守る会 長井事務局長】 全国重症心身障害児(者)を守る会の長井と言います。よろしくお願いいたします。本日は、このような発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。 重症心身障害児者というのは、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した障害でございまして、私たち守る会というのは親の会でございます。当事者が発言できないということもありますので、当事者の代弁者としてその役割を果たしたいと考えております。 本日は、3点お願いしたいことを申し上げたいと思います。 1つ目は、3にあります「障害者割引の利用者利便向上」についてでございます。スマートフォンを使ったりマイナンバーを使っての利便性の向上をしていただくというのは大変ありがたいことだと考えておりますけれども、現行の手帳制度による障害者割引制度は、この先も残していただきたいとお願い申し上げたいと思います。 重症心身障害児者の場合、スマートフォンなどの電子機器の利用ができない者が多うございます。それから、その家族もなかなかスマートフォンの利用は難しいと考えている者が多いということもありまして、できれば、現行の手帳による割引制度は残していただきたいと考えているものです。 それから、マイナンバーカードというのは写真が必要でございまして、真正面から撮るように指示されていると思います。重症心身障害児者の場合は、座位がとれないものですから、正面の写真というのはなかなか難しいということが親の声としてございました。また、受け取りについては、本人が出向いて受け取るというのが原則です。代理人の交付というものも制度としてはあるのですけれども、手続が煩雑でありまして、なかなかマイナンバーカードを取得しようという気持ちにはなれないという親の声がございます。書留などの受け取りだったらまだ考えられるのだけれどもという声があります。 マイナンバーカードを活用することについて反対するわけではございませんけれども、現行の手帳による割引制度も残していただきたいというものでございます。 2つ目でございますが、4の「バリアフリーマップ等の整備・充実」についてでございます。重症児者にとりまして、エレベーターは垂直移動に必須でございまして、重症児者の使っています車椅子は医療機器やバッテリーを積んでいますので、大型のものになります。エレベーターの整備の数についてだけではなくて、エレベーターの籠の大きさも障害者にとって大切な要素であるということで、国土交通省で作成していただいておりますバリアフリー整備ガイドラインに、標準的な整備内容としてその大きさについての基準が書かれてございます。 つきましては、実際にエレベーターを整備するときには、必ずこういったガイドラインに沿って整備していただくようにお願いしたいと考えておりますし、オリンピック・パラリンピックが終わった以降も、このバリアフリーの充実を図っていただくようにお願いしたいと思っております。 3つ目でございます。5番目の「心のバリアフリーの拡大・向上」についてでございますが、私ども国家公務員向けのバリアフリーの研修に当事者として参画させていただきました。貴重な役割を与えていただきましたことに、大変感謝いたしております。 その中でのお話になるのですが、受講されている国家公務員の方の発言の中で「障害の方の御苦労は理解する。ただ、我々は限られた財源をいかに多くの国民にとって有効に使うかを考えなければならない。この研修の意図が見出せない」という発言をされた方がいらっしゃったと聞いております。 こういった研修に当たりまして、きちんと研修の意図を説明してから行っていただくようにお願いしたいと思います。この先、地方公務員や小学校などの学校での研修も始まると聞いておりますので、そういった障害者に対する基本姿勢というものをきちんとお話しいただいてから研修を受けていただくことが必要だと思います。 以上でございます。ありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 長井事務局長、ありがとうございました。 次に、DPI日本会議の佐藤事務局長、お願いいたします。 【DPI日本会議 佐藤事務局長】 ありがとうございます。DPI、障害者インターナショナル日本会議事務局長の佐藤です。 きょうは発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。 この資料1−1を拝見しまして、さまざまな取り組みを各省庁で実施していただいて、本当にありがたいと思っています。これまで全く動かなかった課題が東京2020オリンピック・パラリンピックで大きく動いて改善してきたことは本当にすばらしいと思っております。 資料1−2の中で施設内の飲食店のバリアフリー改築への補助ということも出まして、これは本当にうれしいなと思いました。もし、後でお時間があれば、この補助の内容についても教えていただければと思います。 4番の単独乗降の目安値が決まりましたけれども、これは本当にすばらしくて、これができることによって各社その数値に向かって整備を進める。私はきょうの午前中、丸ノ内線にずっと乗ってきたのですけれども、丸ノ内線は2両目のドアと5両目のドアのところにかさ上げをされまして、大体75%ぐらいの駅で整備されていると思いますが、単独乗降できるようになっております。こういうすばらしい取り組みが数値化でさらに広まってほしいと思います。 資料の4でもう一つ、電話リレーサービスもこれまで制度化が難しかったのですけれども、取り組んでいただけるということで本当に感謝しております。 UDタクシーもなかなか乗れなくて、これは車両の問題と接遇の問題が2つあると思うのですが、道路でタクシーを拾おうと思っても、通り過ぎてなかなかとまってもらえないということがたくさんあります。これを機に接遇の意識も変わっていってほしいなと。そういう取り組みをお願いしたいと思います。 私のほうから4点、お願いしたいのですけれども、私は東京オリパラからインクルーシブな社会になっていったなと思えるような大会にしていただきたいと思います。そのためにぜひお願いしたいのは、東京オリパラで入ってきたものは世界のバリアフリー整備の基準です。これはIPCのアクセシビリティガイドなので、それを受けて東京2020アクセシビリティガイドラインという世界の基準を満たしたすばらしいガイドラインをつくっていただいて、これをぜひ大会の後も日本全体で残していけるようにガイドラインといったものに反映していただきたいと思います。 もう一つは、当事者参加の仕組みも東京オリパラですごく進みました。新国立競技場はUDワークショップというものがトータルで21回やりまして、それによってもともとのガイドラインを反映したつくりもすばらしかったのですけれども、UDワークショップをしたことによってさらにすばらしい内容になっております。こういう当事者の意見を基本設計の段階から聞いて、それを反映していくという取り組みをぜひこのオリパラで終わらせることなく、この後も続けていっていただきたい。そのために、制度化が一番いいわけですけれども、それが難しいのであれば、モデル事業といった形でこの後も東京だけではなくて幾つかの地域でそういったモデル事業を実施していただけないかなと思います。 3点目は、ホテルの1%バリアフリー義務化というのは、本当にこれまでなかったものですばらしいです。既に秋葉原に全室バリアフリーのホテルが今月開業しまして、京都でもできたと聞いています。こういうふうに非常に波及していますので、これはすばらしい。ただ、1%という数値は国際的に見て非常に低くて、3%から5%というものが国際的な基準ですので、現在の運用状況を見てまた柔軟にバージョンアップしていただきたいと思います。 最後は小規模店舗のことで、これは2のところで補助金の仕組みをつくっていただきましたけれども、ぜひこの補助金で改修されたものを制度化につなげていっていただきたいと思います。事業主の負担なく整備を進めるためには、新規にオープンをするときに最低限の基準を設ける、段差をつくらないとか椅子は固定ではなくて動かせるものにするとかいう負担なく整備できる基準をぜひ最初につくっていただきたいと思います。 ありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 佐藤事務局長、ありがとうございました。 次に、日本パラリンピアンズ協会でございますが、大日方副会長は本日、所用で御欠席でございます。事前に書面で御意見を頂戴していますので、私から読み上げさせていただきたいと存じます。 大きく3点ございます。 1点目が「ホテル・飲食店のバリアフリー化推進」について。東京都が床面積1,000平方メートル以上の宿泊施設では、一般客室を全てバリアフリー化することを義務化されたことにより、宿泊施設のバリアフリー化が大きく進むことを期待している。10月に開業したJR東日本ホテルメッツ秋葉原では、約200の客室全てがバリアフリー基準を満たしているホテルであることもニュースで報道されており、スポーツ関係者も注目している。 他方、バリアフリーという言葉からイメージする設備基準は、宿泊客によってまちまちである点は注意が必要である。利用者に誤解がないよう、情報発信に工夫が必要である。 例えば、全室バリアフリー化を強調した記事を見た電動車椅子ユーザーが一般客室を予約し、バリアフリーと聞いていたのに使えなかったなど、誤解に基づいた情報がSNS等で発信、拡散してしまうと、バリアフリー化に向けた取り組みに水を差すことになりかねない。こうした事態を避けるためには、バリアフリー化された客室とは、東京都条例に定める1、客室の出入り幅80センチ以上。2、浴室、トイレのドア幅70センチ以上。3、客室内に段差がないの3点を満たしていることを指しているということがホテルのホームページなどでわかりやすく記載されているとよい。また、室内の見取り図や写真の掲載もユーザーの判断材料として大いに有効である。ほかにも、誘導水準75センチが満たせているかどうか、客室タイプごとに情報があれば、予約をする際に車椅子ユーザー自身が使えるかどうか判断することができる情報となる。 今後、バリアフリー化されたホテル・飲食店をふやすためには、バリアフリー化された客室が何部屋あるかという情報について、民間事業者が運営するホテル予約比較サイト等にも掲載されるように業界に働きかけていただきたい。全室バリアフリー化はホテルの売りとして集客力向上につながっていくことがわかれば、積極的に取り組む事業者がふえ、バリアフリー化が進むと考える。 2点目が「障害者割引の利用者利便の改善」についてでございます。 一部交通事業者が障害者手帳のかわりにスマホによる本人確認を始めたことや、マイナンバーカード活用による本人確認方法の技術基準が策定されてことは、障害者割引の利用者利便の改善に向けた準備が進んでいるという点で評価できる。さらなる利便性向上には、一部事業者だけでなく、交通利用者全てでスマホでの本人確認ができるように普及することが必要である。そうでなければ、障害者手帳を常に持ち歩かなければいけないという状況は変わらない。 新幹線乗車券の障害者割引購入について、利便性の改善を望みたい。現状、窓口での対面確認と購入が必要であるが、窓口が混雑している場合、待ち時間が長くなることがあり、負担が大きい。電子的な方法により、本人確認ができる技術を導入し、将来的にはインターネット上での購入にも障害者割引ができるように事業者への働きかけなど取り組みを続けていただきたい。 3点目が、心のバリアフリー共生社会ホストタウンのレガシー取り組みについてでございます。 人々の心の中にあるバリアを取り除くことは、一朝一夕にできることではなく、取り組みを継続すること、多様な人がまざり合う機会を数多くつくり続けることが必要である。共生社会ホストタウンのモデル自治体の認定に当たっては、2020大会をきっかけに取り組みを始めた自治体だけではなく、それ以前から共生社会に向けた先導的な取り組みを実施している自治体についても認定できるようにするなど、取り組みをさらに広げ、レガシーとして継続していくことを期待したい。より多くの障害当事者がそれぞれの地域において、みずからの実体験に基づく講義をしつつ、正しい認識と表現によって障害の社会モデルを広めることができるように、講義内容や研修プログラムのモデル化を図り、心のバリアフリー研修の質が一定に担保されるような取り組みを進めていけるとよい。 以上でございます。読み上げで御紹介させていただきました。 続きまして、全国脊髄損傷者連合会の大濱代表理事、お願いいたします。 【全国脊髄損傷者連合会 大濱代表理事】 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の大濱です。 まず、「共生社会ホストタウンのレガシー化」についてですが、昨年度末の14カ所から37カ所に増えていて、その37カ所のうちの12カ所は「先導的共生社会ホストタウン」として認定されているということでした。しかし、この37カ所はまだまだ少ないと思っています。これをレガシーとして残していくということであれば、もっともっと数を増やしていただきたいということが第1点目のお願いです。 それから、ホテルと飲食店のバリアフリー化についてです。脊髄損傷の国際的な学会にISCoS、国際脊髄学会というものがあります。それが来年の9月4日から5日にパシフィコ横浜で開催されます。海外から車椅子の脊髄損傷者が参加する予定です。参加者や学会関係者が現在、非常に心配しているのは、客室総数の1%以上を車椅子使用者用客室とするルールができたものの、この1%というのは新築または増改築に対して1%です。そうなると、客室確保をどうしようかと大会関係者が非常に頭を悩ませているそうで、私のところにも相談をいただきました。国土交通省からもデータをいただくなど対応を進めていますが、やはりバリアフリー客室が非常に少ないので、今後、2020年に間に合うかどうか非常に心配しています。 また、再三にわたって申し上げていますが、UDタクシーについてです。現在はジャパンタクシーが非常に増えていますが、ジャパニーズスタンダードではなく、もっともっとグローバルな観点から設計されたユニバーサルタクシーを普及させるように取り計らっていただきたいと思っています。 若干ですが、以上です。 【内閣官房 鶴田統括官】 大濱代表理事、ありがとうございました。 続きまして、日本難病・疾病団体協議会の斉藤理事、お願いいたします。 【日本難病・疾病団体協議会 斉藤理事】 日本難病・疾病団体協議会の斉藤と申します。このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 発言内容は約4点と考えております。 1点目ですけれども、3の「障害者割引の利用者利便向上」ですが、私ども難病・疾病団体に属している患者さんの多くは身体障害者の手帳を所持できません。というのは、総合支援法では障害者に位置づけられましたが、身体障害者手帳の所持の対象にはなっておりません。難病患者あるいは慢性疾患患者であって、非常に体調を崩し、身体的にも動きが悪くなったりほかの障害が出てきて初めて手帳がとれるという状況すので、約2割の人しか取得している状態です。 そのような中で私どもも運動を繰り返しましたところ、一昨年に好事例集のほうには載せさせていただきましたが、茨城のひたちなか海浜鉄道というところで、難病患者にも運賃割引を開始してくださいました。それを受け、福井県の福井鉄道とえちぜん鉄道という民間の鉄道が障害者割引をしてくれるようになりました。これが広がっていけばいいなと思っております。 次に心のバリアフリーの教育に関してですけれども、これも好事例集の中に載せさせていただきましたが、東京都がつくったヘルプマークが非常に好評で、調べたところによりますと、今、28都道府県に普及しているようです。さまざまな自治体でいろいろなカードとかをつくっていますが、これだけ広がっていますと、全国各地に行ってもみんなが認識してくださるということと、特に内部障害ですとわからないので、ヘルプマークが非常にいいなと思っておりますので、ぜひほかの県にも広がるような働きかけをしていただければありがたいと考えております。 三点目は、好事例で三重県の例を出させていただきましたが、難病患者本人や心臓移植を受けて帰ってきた人たちが実際に学校に行ってお話をしたりしております。命の教育とかバリアフリー教育には有効だと思っておりますので、国や地方自治体の公務員にというお話も出ていましたが、学校教育にも患者団体を利用していただけるとうれしいと考えております。 あとはお願いになりますが、私どもの団体には、目の不自由な方もいらっしゃいます。中途障害の方が多いものですから、特に困っているのが、トイレの仕様が各メーカーによって物すごく違う。同じメーカーであってもさまざまだということです。外国の方もそうですし、年配の方にとってもウオシュレットの使い道とか流し方はわかりにくく、一定程度の基準ができるとうれしいと思っております。 最後になります。ここで申し上げていいのかどうか迷ったのでが、内部障害者はパラリンピックに参加することはほとんど不可能だと思っております。でも同じ障害を持つ方々が頑張っている姿を見る、あるいは近くで感じることが子供たちに希望や頑張る力を与えてくれる気がいたします。何らかの機会をつくっていただいて、障害を持っているお子さんたちにパラリンピックを観戦させていただけるよう、御検討を願えるとうれしいと思います。 以上でございます。 【内閣官房 鶴田統括官】 斉藤理事、どうもありがとうございました。 次に、日本補助犬協会の朴代表理事、お願いいたします。 【日本補助犬協会 朴代表理事】 どうぞよろしくお願いいたします。 心のバリアフリーの推進についてです。 日本補助犬協会は『補助犬と学ぶ心のバリアフリー』を、防衛省幹部職員の方々や、法務省少年院での更生プログラムとして実施いたしました。教育機関では、東京都オリパラ教育として、都内小・中学校で『補助犬と学ぶ心のバリアフリー』授業を展開しております。企業で心のバリアフリーを勉強していただくと、87%の受講者が「とても良かった」と好評くださいました。しかし、一方では、まだ心のバリアフリーという言葉も知りませんという企業や市民の方が非常に多いのです。ですから、私たち障害者関係団体も一丸となって頑張るのですが、国の施策でございますので、いま一度、各省庁から関係団体等に心のバリアフリーの推進について呼びかけをお願いしたいと思っております。 心のバリアフリーを理解する上で大切な障害の社会モデルの考え方というのは、そのときはなるほどと思っても、なかなか1回では消化しきれない、日常生活の中に定着しないという課題がございます。ですから、研修は繰り返し継続する必要があります。ぜひ各省庁の皆様には御協力をお願いしたいと思います。 私たち心のバリアフリー研修を実施する側の問題として、障害当事者講師の養成とその質の担保がございます。日本補助犬協会は3種類の補助犬の育成認定団体ですので、補助犬ユーザーが補助犬の訓練士や指導員とチームを組んで、心のバリアフリー研修の講師を努めております。補助犬ユーザーが講師になることで、少数派の困り事に補助犬を伴った社会参加で発生する困りごともプラスしているのです。そのときに大切なのは、盲導犬ユーザーの場合は介助犬や聴導犬についての理解、また国内の現状や課題とともに海外との比較といった識見です。一言で、障害当事者講師養成といっても横断的な知識を得るのは、ハードルの高いことなのです。ですから、ぜひ先ほども別の委員から御意見があったように、ほかの団体でやられている先駆者的な障害当事者講師の養成はどういうことをやっているのかという情報をワークグループ等で結構ですので、共有する機会を設けていただけましたら、研修主催者は更に質の高い内容を提供できると思います。 最後に、私はオリパラに向けてアクセシビリティ協議会から委員として参加をさせていただきました。振り返りました感想は、各障害者団体がお互いの考え方や困りごとを話し合い障害種別を超えて理解がすすんだこと、障害者団体と企業や行政が共に取り組みを行なっている現状、これこそが共生社会への歩みと感じています。こういった相互理解と連携が東京大会のもう一つのレガシーになっています。このような機会を設けてくださいました国に感謝し、御礼を申し上げて私の発表とさせていただきます。 ありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 朴代表理事、ありがとうございました。 続きまして、日本補助犬情報センターの松本理事、お願いいたします。 【日本補助犬情報センター 松本理事】 松本でございます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございました。 当センターは補助犬と暮らす障害当事者と社会のかけ橋になるべく活動しており、実際の補助犬の育成や訓練などは行っておりません。補助犬ユーザーは自分たちの生活の質の向上や社会参加のために補助犬との生活を選択したのですが、実際は補助犬との生活によってプラスの面以上に、現在はまだ普通の障害者としてのバリアに加えて犬と一緒ということでのバリアに当たることが多く、まだ、施設利用や交通機関の利用において多くの困難を抱えている面があります。それらの解決に向けて、私たち当センターでも先ほどの6本柱のうち、ホテル・飲食店のバリアフリー化などの環境整備と心のバリアフリーの両方をやっていかなければならない状態であります。 例えば、介助犬使用者の方が先日、3回連続でタクシーの乗車拒否に遭うということがありました。その3回のうち、1回は車椅子が理由です。2回は犬が理由です。そのようなことが起こることを考えると、車椅子で乗れるタクシーという環境整備と補助犬に対しての理解という心のバリアフリーという両面がなければその介助犬ユーザーさんはタクシーに乗れないことになってしまいますので、当センターでも環境整備と同時に心のバリアフリーに関しての活動を多くしております。 これまで補助犬ユーザー本人がいろいろなところでバリアに当たったとき、拒否に遭ったときは何とか説明をしたり理解を求めて、入れてよかったで終わってしまったのですけれども、当センターが仲介することによって、その先の実際にかかわっていなかった企業そのもの、事業者そのものに対して、研修その他の機会を提供したりすることによって一つの拒否が大きな実りになるような活動を進めております。 ただし、やはり定着させるのはなかなか難しく、せっかくいい研修をしても予算の関係や目に見えた実りがない、実際に使用者がいないということで続かないということが現実にあるので、そこはもっといいことをした、研修をしていいことをしているということをもっとアピールできるような場があったら、褒めてあげられる場があったらもっといろいろな企業が頑張ってそういう啓発活動に参加していくのではないかなという思いがあります。それに向けて当センターでも研修しませんか、講義をやりませんかということを働きかけるようにしております。 もう一点、当センターで聴導犬使用者の私が理事になったことを機会に情報のバリアフリーに関して、センター内でも私が強く訴えております。各種イベントがあったりしても情報保障がないために、私たち聴覚障害者が取り残されてしまうという場面があります。先ほどろうあ連盟の久松様からもお話がありましたように、災害時などで情報が入らないことは命取りにもつながることなのですが、なかなか目に見えてのハード面のこと、最近言われるような心のバリアフリーに比べると、情報のバリアに対しての認識はまだ浅く、足りない部分が多いのではないかなと。当センターがかかわるイベントなどに関しては、最大限手話通訳と手話がわからない聴覚障害者のための文字情報の保障を極力つけるようにしております。そういうことをもっと推進することによって、従前のハード面のバリアフリーにプラスして、最近の心のバリアフリーにプラスしてできることであれば、情報のバリアフリーというものを柱の中に加えていただけることによって、これは障害者だけではなくて、日本語がわからない外国人に対しての対応にもつながると思いますので、ぜひ情報のバリアフリーということをもうちょっと全面に取り上げていただけるようになるとありがたいと思っております。 よろしくお願いします。 【内閣官房 鶴田統括官】 松本理事、ありがとうございました。 続きまして、有識者の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。 秋山先生、お願いいたします。 【中央大学 秋山教授】 中央大学の秋山と申します。 1つだけ皆さんの意見から気づいた点を申し上げますと、どうもスマートフォンあるいはマイナンバーは、秘密が漏えいするとか使い勝手が悪いとかいう部分がございますけれども、恐らくこういう情報技術にかかわるところの新しいシステムというのは、社会的な大きなイノベーションといいますか、大きな改革で情報技術よりはるかに大きな変化と見ているのです。 特にそれが起こっているMaaS(Mobility as a Service)とかさまざまな検索システムなどはスマートフォン抜きでなかなかやりにくいとこもありますけれども、こういうところに大きな視点が一つあると思います。それで、そこに障害者が取り残されないようにするためにはどうしたらいいかということがとても大事なように思います。 それと、秘密漏えいについては、エストニアで既にできあがっているブロックチェーン(分散型台帳)を使えば、完璧に秘密漏えいはなくなるのです。そのことをまだ皆さんよくわからないのと、社会的な技術が日本ではそんなに成熟していないものですから、マイナンバーを使うと面倒くさいとかいろいろ生じるかもしれませんが、エストニアは全員マイナンバーを持っていて、エストニアの中心部タリンはバスがそのカードでただで乗れる。もちろん、路面電車もただで乗れるというところまで来ておりますので、かなりうまく使うということをどうするかを皆さんで考えていただきたいというのがまず第1点です。 それ以外の点は新しい技術がまだバリアフリーではたくさん残されていますけれども、開発途上だったり普及途上だったりしておりますので、これについては急いであちらこちらで開発あるいは普及途上のものについてはございますので、できるだけ早くお知らせしたいと思います。 以上でございます。 【内閣官房 鶴田統括官】 秋山先生、ありがとうございました。 続きまして、中野先生、お願いいたします。 【慶應大学 中野教授】  最初にUD2020行動計画後、各省庁等がその実現のために尽力されたことに心から敬意を表します。 その結果、短期間で新たなハードウエア、ガイドライン等が整備されたことはすばらしいことだと思います。その上で今後さらに留意、発展させていただきたいポイントを3つだけ指摘させていただきます。 1番目は、建設的対話と合意形成の重要性です。 次世代に語り継ぐレガシーの中で、私が最も重要だと思うのは障害のある人たちの声に真摯に耳を傾け、建設的な対話を通して合意を形成するというプロセスだと思います。決して合意された結果だけを見るのではなくて、合意に至るまでお互いに信頼関係を構築し、それぞれの立場を理解、尊重し、話し合いを行ったというプロセスを大切にしてほしいということです。 例えば、地方の共生社会ホストタウンの話がありましたけれども、地方都市によっては予算や人的資源の制約のために、ハードウエア等の整備が難しい事例もあるのではないかと思います。その際に、ハードで解決できればいいのですけれども、そうでない場合もあるわけで、その場合にすごく重要なことは、そこで合意した結果だけを見るのではなくて、障害のある人たちとどのようにして信頼関係をその現場で築き、どんな話し合いをして合意にたどり着いたかというプロセスをレガシーにしてほしいということです。 今後、私たちは今よりもっと大きな別の課題に遭遇する可能性があります。例えば、国土交通省では、ずっと事故防止のためにホームドア等設置を急速に進めていただいていますが、先日、視覚障害者の転落死亡事故が起こりました。こういった重要な課題に直面したときに、限りある資源の中でこれをどう解決していけばいいかということを考えた際に、ハードだけではなく、当事者との建設的対話によって、どのような総合的な措置が必要なのかということで、合意を形成していくことが重要なのではないかと思います。 2番目の重要なポイントは、情報保障です。先ほど、バリアフリーマップ等の整備、充実においても、情報提供が重要だという説明がありました。ハードウエアの整備には限界があります。特に地方ではハードが十分に整備できない場合も少なくないと思います。その際に、極めて重要な役割を果たすのが情報です。先ほど申し上げた、先日の視覚障害者の転落死亡事故に関しても、どこを歩けば安全かが伝わっていないという意味で考えると、これも情報保障の問題だと考えることができるのではないかと思います。 点字、拡大、手話等の情報保障に加えウエブでの情報提供というのは、障害のある人たちが実際に必要な情報に到達できるように整備していくことが大切だと思います。その意味では、一方的な情報提供である「情報提供」という段階から、障害のある人たちに必要な情報が届くという「情報保障」という段階にステップアップしていく必要があるのではないかと思います。例えば将来、JIS8341にも単に一つ一つの情報にアクセスできるかどうかだけではなく、必要な情報が保証されているかという観点を盛り込み、障害のある人たちによるチェックを標準化するという考え方を導入していくような検討が必要ではないかと思います。 最後の3番目で、正確な障害の社会モデルの考え方の普及啓発の重要性です。 今回の行動計画の中核概念の1つである障害の社会モデルの考え方は、十分に普及しているとは言えませんし、正確に理解されていないケースが少なくないようです。詳細は省略しますけれども、日本リサーチセンターという内閣官房の心のバリアフリーに関する調査も担当したことのある会社が、ユニバーサルデザイン社会の実現度という障害の社会モデルの浸透度合いを毎年調査しています。 現在、2017年と2018年の結果が公表されているわけですが、この調査の結果、障害の社会モデルに賛同する人の割合がふえているものの、普及は十分ではなく、医学モデルとの混同があって正確には理解されていないことが指摘されています。 また、教育の現場では障害のある子供たちとの交流及び共同学習が盛んに展開されたり、障害者スポーツの体験会やパラリンピアンとの交流会が行われていますが、その中でも障害の社会モデルの視点は必ずしも適切に伝えられてはいないという話を聞いています。さらに幾つか指摘がありましたが、障害のある当事者が心のバリアフリーについて説明する際にも、障害の社会モデルを正確に理解していないケースもあると聞いています。 そのため、障害の社会モデルを中核とした心のバリアフリー教育や研修は今後も継続される必要がありますし、正確な考え方を広げていくための方略、例えば教員の養成や研修に正確な理解を位置づけていくことが重要だと思います。 以上、3つのポイントを申し上げましたが、最後に一言。共生社会は形式ではなく、障害のある人が障害のない人たちと同じようにノーマルな日常生活、社会生活を送ることが当たり前にできる社会です。これまで御説明のあったように、行動計画以降、ハードの整備やガイドライン等の遺伝もの、つまり形式はかなりできあがってきたと思います。しかし、国内外の障害のある人たちの日常生活や社会生活が変わらなければ意味がありません。仏つくって魂入れずにならないよう、それぞれの人がそれぞれの地域でそれぞれの役割の中でアクションを起こし、日本の社会をノーマライズしていく必要性があると思っています。どうぞよろしくお願いいたします。 【内閣官房 鶴田統括官】 どうもありがとうございました。 続きまして、星様、お願いいたします。 【特別支援教育総合研究所 星センター長】 よろしくお願いいたします。 施策の改善状況について伺いまして、さまざまな取り組みが進められていることに、私も非常に感銘を受けましたし、皆様の努力に対しまして、心から敬意を表したいと思っております。 このような取組をできるだけ多くの方に知っていただくことが非常に大事なことだと思っています。やはり閉じられた会議の中で共通理解をするということではなく、多くの皆様にこういった取り組みを知っていただいて、自分のこととして捉えていただくということが大事なことなのではないかと感じました。 それから、教育のところに関しまして「心のバリアフリーの拡大・向上」ということで、小学校の授業の中での心のバリアフリーの取り組みや交流及び共同学習が進められているという御報告等ございましたけれども、やはり幼少期から、障害のある子供と障害のない子供がともに生活していく、その中で子供たちなりに理解して、かかわりを身につけていくこと、当たり前のこととして障害のある人と生活をしていくということはとても大事なことだと思っております。 幼稚園や保育所等においても障害のある子供たちの就園につきまして、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っておりますし、そのために必要な人的、物的な支援というものもぜひ可能な限り進めていただきと思っております。 それから、前回も申し上げたような気がするのですけれども、私立大学の障害学生の受け入れというのは、やはり努力義務ということがありまして、東京大学、京都大学という好事例があっても、それは国立大学だからできることという認識にとどまってしまうような気がしますので、今回、好事例として私立大学をあえて挙げさせていただきました。それも大きな規模の大学と非常に小さな規模の大学なのですが、それぞれの大学の中で、できること、できないことはあると思うのですが、100%を望むものではないので、ともかくやれるところからやってみるという姿勢が大事ではないかと思っております。 最後に、ひとつエピソードをご紹介します。私は夏休みに視覚と聴覚の両方に障害のある盲聾の子供とその家族の会の夏のイベントが鳥取県でありまして、そちらのほうに伺ったのですけれども、そのときにタクシーを呼びましたら、UDタクシーが来てくださいました。運転手さんが、鳥取県が非常にたくさんのUDタクシーを導入していることに誇りを持っていらっしゃって、UDタクシーで少しでも皆さんに快適に過ごしていただけるか、そんなことをお話しされておりました。その後、調べましたら、鳥取県が国土交通省のバリアフリー化推進功労者で表彰されたということを知ったのですけれども、運転する側の人たちが誇りを持って話ができるということが私はすばらしいなと思いました。 また、鳥取県の知事さんも、催しの中で当たり前のように手話でご挨拶をされるというように、当たり前のことのように配慮が行き渡るのが目指すところなのではないかということを夏休みに感じましたので、御紹介させていただきます。 以上でございます。 【内閣官房 鶴田統括官】 どうもありがとうございました。 続きまして、順天堂大学の山崎様、お願いいたします。 【順天堂大学 山崎先生】  山崎でございます。ユニバーサルデザイン2020共同計画の施策の改善状況の御説明、ありがとうございました。 本当にこれらが2020までに実現すれば、本当にすばらしい社会になると思いました。その中で、ちょっと小さいことでもあるのですけれども、幾つか私が気づいた点と、先日、障害のある方でバリアフリーに関心がある方を集めてお話を伺ったときに出た意見などをお伝えさせていただきたいと思います。 1つは、2番の「ホテル・飲食店のバリアフリー化」なのですが、まず、ハードとしてのバリアフリー化はもちろん必要なのですが、多くの方が言っているのはウエブでバリアフリーアクセシブル情報がないのです。例えば、このホテルに行くのにどの地下鉄の出口だったらエレベーターがあるとか、そういったことがあるものを見たことがない。ですので、せっかくハードのほうがよくなってもウエブのほうに情報がないと片手落ちになると思いますので、ぜひそちらのほうも進めていただきたいという点がありました。 もう一つは、ハード面のバリアフリーを推進する。例えば、そのための助成金を出すということはもう従業員の方の心のバリアフリーができていなければということがあって、私も何カ月か前に焼き肉屋さんに車椅子で行こうとしたら「車椅子、大丈夫ですよ」と言われて「車椅子2台なのですけれども」といったら「だめです」と言われたのです。別に小さいお店ではないのですが、なぜかそんなことがあったのです。なので、せっかくハード的にはバリアフリーなのに残念だなと思いました。ですから、それこそ助成金も提供するのであれば、心のバリアフリー教育がマストだというぐらいのことにしていただければ、さらにいいのではないかと思いました。 それから、こちらの鉄道駅のホームと車両の段差をなくすというのはすばらしいことで、私も地元の三田線で段差解消のところがあって、そこだと駅員さんを呼ばなくても乗れるので本当にすばらしいのです。 それにプラスして、ぜひお願いしたいことが幾つかありました。これは障害者の方たちでも出た言葉なのですが、1つは地下鉄の出入り口でどこにエレベーターがあるのかわからない。例えば、A出口に行ってみてそこはありませんでしたというときに、どこにあるのかなというのを全部ウエブか何かで調べなければいけないのです。 ですから、例えば、エレベーターがない出口にも、エレベーターがある出口に行くのにはここからこう行ったら行けますという情報を提供することができれば、それだけでもすごく助かるという意見が多かったです。QRコードをつけていけたらもっといいですけれども、情報だけでもあったらすばらしい。先日も、銀座の地下鉄の駅で、車椅子で乗れるところを探すのに1時間ぐらいかかったことがあります。ですので、ぜひそれもお願いしたい。 それから、これはもう少し大きな駅の話なのですけれども、東京駅の地下もそうなのですが、歩いていってしばらくすると階段しかないというところがある。ですから、この先は階段しかありませんという情報もバリアフリー情報なので、それが大きな文字で提供できているとそういった問題は起こらないので、ぜひそれは日本語プラス外国語でもお願いできればということがありました。 最後にユニバーサルデザインタクシーの件ですけれども、よくスロープの問題が注目されるのですけれども、私ぐらいのレベルだと乗り移りなのです。最初にUDタクシーができたときは、一般のセダン型のタクシーだとすぐ横に乗り移れるのですけれども、やはりこのぐらいの高さなので、乗り移るのには結構腕力も必要で女性だとできない方もいます。前の助手席のほうが少し低いのでそちらで乗る方とか、いろいろ工夫しているのですけれども、私が思ったのは、今、手すりが縦のスロープだけなのですが、上側にもスロープがあるともっと多くの方が乗り移りしやすいのかなと思いました。 ですから、スロープの問題は1つなのですけれども、乗り移る方も多くて、その方たちは乗り移りが簡単だからUDタクシーにしないでセダンを残してくれと言っている人たちもたくさんいます。なので、僕はなれればそうでもないと思うのですけれども、それにはより多くのいろいろな障害の方とか体が小さい方でも乗り移れるようなものがあるといいなという意見もあります。  以上でございます。 【内閣官房 鶴田統括官】 どうもありがとうございました。 続きまして、VISIT JAPAN大使の山崎様、お願いいたします。 【VISIT JAPAN大使 山崎先生】  山崎です。よろしくお願いします。 まず、冒頭にユニバーサルデザイン2020行動計画の会議に私は毎回参加してきまして、よくぞここまでいろいろと取り組みを広くしていただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございます。 そして、私は宿泊施設のバリアフリー化にとても力を入れてきましたので、その観点から御提案、そしてお願いなどもしていこうと思います。 まず、宿泊施設、飲食のバリアフリー化に向けては、補助金をつけていただいたこともございまして、全国でとても前向きに進んでおります。そういった意味では、本日、課題として上がりました地方になかなかこの話が進んでいかない点に関しましては、宿泊施設から心のバリアフリーも含めて、もっともっと広がっていくのではないかという宿泊施設のバリアフリー化のこれからのさらなるステップアップが日本全国へと心のバリアフリーも波及していくのではないかなと可能性を見出しています。 そして、宿泊施設のバリアフリー化に関しましては、部屋の広さ、入り口の幅、トイレや洗面所の入り口の幅などをいろいろと義務化していくうちに、ハードとしては整っていくと思うのですけれども、次のステップとしては、私からのお願いで、来年2020で海外からたくさんのお客様が来るときにぜひあったらいいなというものなのですけれども、例えば宿泊施設で必要になってくるであろう手すりですとか、スロープですとか、シャワーキャリーなどの備品を使うことによって、既存の広いお部屋、広い間口のドアがあれば使いやすくなっていくと思うのです。 ただ、備品につきましては、もう少し意匠性が欲しいなと思っているのです。宿泊施設に置かれている手すりもスロープもシャワーキャリーなどもシャワーチェアなどの備品も、現在、病院や施設などで使われているものが全てです。その点は、非日常を味わう宿泊施設においては「ぜひ意匠性のあるものを」と、実は、私は各メーカーに話を持ち込んだことがあるのですけれども、最低ロットが見込めない、なおかつ安全性の担保ということで新しい意匠性のあるものの開発が難しいと言われ続けてきました。 そういった意味で、今後もし、バリアフリー法の改定などがある場合には、その備品がつくりやすい環境づくりがあるといいな、そして、もし、手すりやスロープやシャワーキャリー、シャワーチェアのすてきなものがあると、来年、外国の方がいらしたときに、さすがものをつくる日本はすごいなと思っていただけるかなと思っているので、本当は来年までにそういったすてきな備品が間に合うといいなと思っています。これが1点目。 2点目です。実はきのう、車椅子を日常的にお使いになる方からある提案をいただきました。それは、日常的に浴槽に入りたいという提案でした。やはり御自身で家のお風呂に入ることはできないけれども、入浴介助のヘルパーさんをつければお風呂に入ることができる。温泉地までに行かなくとも、できればお風呂に入りたい。銭湯に入りたいという話でした。 この点は、例えば公衆浴場法における管轄になりますけれども、どうしても公衆浴場法ですと、家族湯ですとか貸し切り風呂がつくれない現状になっていますので、公衆浴場法改定を今後考えていっていただきたいなと思っております。 実は私、VISIT JAPAN大使として外国の方に日本に来ていただいて、日本の温泉を楽しんでもらうことを私のライフワークでもあり、伝えているのですけれども、海外の方からも日本の銭湯、日帰り入浴施設に来たときに、どうしてもタトゥーの問題、宗教上の問題で大浴場に入ることが難しい方においては、家族風呂、貸し切り風呂が使う一つの大きな手段になっていますので、訪日外国人観光客増加という点に関しても公衆浴場法の改定をお考えいただければと思います。これが2つ目。 3つ目、心のバリアフリーに関してです。 私は仕事としては、宿泊施設のバリアフリー情報を発信するメディアで仕事をする立場から発言させていただきます。お子さんたち、子供たちへの心のバリアフリーの指導というすばらしい御活動だと思いますし、やはり子供からいろいろなことを教えていただければ幸いと思いますけれども、現に大人になってしまった方々に対しては、やり方としてバリアフリーという言葉を声高に言うことが全てではなくて、もう少し言葉の使い方の工夫もあってもいいかなと思っております。 実は、この会議では、何度か私も自著についてお話しさせていただきましたが、『バリアフリー温泉で家族旅行』という本の3冊目を来月に出版する予定です。これまで『バリアフリー温泉で家族旅行』という本のタイトルをつけてきましたけれども、改めて3冊目になりましてタイトルを変えました。それは、『行ってみようよ!親孝行温泉』という本の書籍タイトルにしまして「バリアフリー温泉」というと、ハードのバリアフリーをイメージさせるものなのですが、「親孝行温泉」というと、心情に訴えかける普遍的な親孝行をしたいと思う方に訴えかける。同じことを伝えるのですけれども、言葉の伝え方によっては、ひょっとしたらもっとバリアフリー施設の認識、認知、広がりがもっと普遍的になるかなという可能性を秘めていまして「親孝行温泉」という言葉を使うようにしていきたいと思っています。 以上、3点の御提案をさせていただきます。 最後にお願いです。 ユニバーサルデザイン2020の行動計画の評価会議におきましても、やはり目覚ましい社会の進歩があると私は信じております。そういった意味では、まだようやくスタート地点に立ったばかりなのではないかと思います。よって、2020が最終ゴールではなくて、この会議を含め、2020以降の取り組みを前提としたこの会議の後継である会議も今後を見据えてお考えいただけないかなというのが私からのお願いです。 特に宿泊施設も実は補助金が出まして、1年目よりも2年目のほうが宿泊施設の皆さんのバリアフリー化への補助金の応募が圧倒的にふえているのです。ようやく認知されてやってみようかという機運が高まっていますので、これを継続させるためには、この会議も含めて来年以降も今の取り組みをそのまま継続させていただきたいなというお願いです。 ありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 どうもありがとうございました。 たくさんの御指摘をいただきましたけれども、きょう、御出席の各省からコメントはございますでしょうか。 国土交通省、お願いいたします。 【国土交通省】 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。 さまざまな御意見、御指摘をいただいて、それぞれにお答えすることは難しい状況でございますが、まずは本日の構成員の皆様からのさまざまな御指摘、御意見により、新たな多くの気づきをいただいたということにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。 このように貴重な意見や御指摘は、バリアフリー施策を進める上で非常に重要であり、私自身も大変多くのことを本日学ぶことができました。このような機会を皆様からいただき、本当にありがとうございました。 国土交通省では、資料1−1、1−2にもございますように、共生社会ホストタウンにおけるユニバーサルデザインの街づくりと心のバリアフリーを一体的に推進する取り組みが、東京大会のレガシーとなるよう、バリアフリー法におけるマスタープラン、基本構想制度における心のバリアフリー、本日は何度も心のバリアフリーについて御指摘をいただいたところでございますが、その心のバリアフリーの取り組み強化を検討しているところでございます。 共生社会実現のためには、ハード対策のみならず、心のバリアフリーなどのソフト対策のより一層の強化が必要であると私どもは考えており、先月就任された赤羽国道交通大臣からもしっかり取り組むよう、指示があったところでございます。 国土交通省といたしましては、皆様からのこのような御意見や御指摘を真摯に伺いながら、バリアフリー化の推進や東京大会のレガシーとしての共生社会の実現に向け、一層取り組んでまいる所存であり、皆様方の引き続きの御協力をよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 ありがとうございました。 本日は予定の時間を超過しておりますので、個別にいただいた御指摘については持ち帰りとさせていただきまして、後日、事務局から御連絡をさせていただきたいと存じます。地方性の問題、情報保障、情報提供そのもののあり方、地方公務員に対する研修、研修講師の質の確保、当事者参画の継続、ホテルの基準のバージョンアップ、小規模事業者についても話がございました。また、多数の方から障害者割引に関しても御指摘をいただきました。また、UDタクシーの接遇を含めたあり方等多数の御指摘をいただきましたので、後日、個別に御対応させていただきたいと存じます。 それでは、最後に平田議長から本日の議論を踏まえまして、一言お願いいたします。 【平田議長】 本日は、ユニバーサルデザイン2020の行動計画の加速に向けて、皆様から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 この会議、パラリンピックが決定してから5年以上、テーマに向かっておりますけれども、2つの気持ちがあります。きょうの会議でも伺っているのですが、やはり6年以上やってきてよかったなということは、パラリンピックの東京開催が決まったからこそ共生社会への皆様の注目を得て、各省の皆さんや先生方の御意見、障害者当事者の御意見があってこそ、こういった前進ができてよかったなという気持ちでありますと同時に、心配なことがあるということで、パラリンピックが終わった後にこの議論をどういうふうに続けて、加速化していけるのかなと思っているところであります。 それで、今、石井次長や奈良課長など国道交通省でやっておられて、東京での議論、きょうも御意見ありましたけれども、地方の場でどういうふうに浸透させるかというのが今後の議題、課題となってございます。このパラリンピックのホストタウンというものが各地にできておりまして、パラリンピックの選手を外国語でお迎えする地方のホストタウンが100ぐらいできてきているわけですけれども、こういったところはパラリンピックの選手を外国語でおもてなしするということは、必然的にバリアフリーとか共生社会へのインフラを整えるきっかけになると思います。きょうも国土交通省さんからもありましたけれども、こういう議論をぜひ市町村単位のきめ細かい議論に向かえたらいいなと思ったところに国土交通省さんからお話があってよかったなと思っています。 それで、物理的バリアフリー、心のバリアフリー、情報のバリアフリーといういろいろな角度がありますけれども、やはり大事なのはこの会議のように当事者が参画することだと強く思っておりまして、この地域での議論も当事者の参画といったこと、このやり方を徹底することこそが、確実にバリアフリー状態を持続的に前進させることだと思っております。 去年、全国障害者スポーツ大会と福井国体というものが、オリパラ一体的に国体をやるということでかかわったわけでありますけれども、障害者の御父兄の方に大変喜んでいただいたのが、障害者みずからがボランティアとして障害者の選手を手伝ったということです。いつも手伝われている自分たちが手伝う側に回ったんだということで、福井の全国障害者スポーツ大会の現場でも言われまして、そういう意味で、いろいろな当事者参画のあり方があるのだと勉強させられた次第であります。 このオリンピック・パラリンピックまで残された時間も猶予もなくなっていまして、でも皆様のお力で、確実に後世を振り返って、あれが出発点になってよかったというすばらしい2020年を迎えたいと思います。 今日いただいた御意見もきちんと精査して、さらに2020年の大会以降に、こういう動きをどのようにレガシーとして残して進めていくのかということをまた御報告する機会をいただければと思います。 今日はどうもありがとうございました。 【内閣官房 鶴田統括官】 以上で、この会議を終了いたします。  本日はどうもありがとうございました。