議事概要
【小泉内閣総理大臣】私が総理大臣に就任して初めての環の国会議である。所信表明演説において、これからは自然との共生が最も大事な課題の1つであることを申し述べた。環境関連の問題にどう取り組むかは、科学技術も含めて大変大事な課題である。この会議の成果を踏まえ小泉内閣として積極的な施策を展開したいので、今後とも活発な御議論をお願いする。
【川口環境大臣】議事に先立ち、地球温暖化問題について、最近の状況を簡単に説明をさせていただく。
気候変動枠組条約が92年にでき、97年に京都で議定書が採択をされた。この中身は、先進国の温室効果ガスの排出量について、平均して5%削減し、各国ごとに法的拘束力のある形で、日本は6%、アメリカは7%、EUは8%の削減義務を課すというもの。途上国に対しての新たな義務は盛り込まれていない。大ざっぱなことしか京都議定書では決まっていないため、細かい運用ルールを決める会議が今年7月にボンで開催される。
アメリカが今年の3月、京都議定書の不支持を表明したが、その理由は「途上国に対する義務づけがない」、「米国の経済に悪影響を及ぼす」とのことである。現在、気候変動政策に関して、閣僚レベルで検討作業を行っている。
アメリカは5月17日、エネルギーについての政策を発表したが、これによると、二酸化炭素の排出量は、2010年で90年比34%、2020年で51%上昇という結果になる。同国は二酸化炭素排出量の4分の1、先進国の中では4割を占める。これだけの大排出国が参加しないと、京都議定書の実効性が問題となる。また、同国が参加しないと、中国やインドといった途上国が将来温暖化対策へ参加するかどうか非常に疑問である。
アメリカに対して日本からさまざまな働き掛けを行っており、最近では5月のOECDの環境大臣会合で風間環境副大臣が米国に働き掛けを行った。国会も4月に決議を行っている。
他方、EUは2002年の締結を表明している。EUトロイカの日本訪問、EU議長国と欧州委員会による共同声明、EUとロシアの首脳会談などが行われている。
日本は、京都議定書の2002年までの発効を目指して努力をする。日本及び関係国が合意可能・実施可能なルールづくりのための国際交渉に全力を尽くすとともに、日本として締結に必要な国内制度の構築に全力で取り組む。
6月の下旬に非公式の環境閣僚会合が開かれる。その後、7月の中旬にCOP6再開会合、G8のサミットも行われる。日本として、アメリカの参加の下に京都議定書の運用ルールの合意ができるよう努力が必要だ。
今日は、3人の委員から「環の国」づくりについての御意見をいただき、それに基づき自由討議を行う。 それでは、末吉市長どうぞ。
【末吉委員】北九州市は人口101 万。福岡と併せて300 万人の大都市圏を形成。この1世紀間、鉄と石炭で栄えてきた町だが、産業構造転換に苦労している。環境問題を始め大都市が抱えている多くの課題について産みの苦しみをいち早く体験している町である。
本日は、北九州エコタウン事業を中心として、北九州市の循環型社会に向けた試みを紹介する。まずエコタウン事業の説明をしたい。
「モノづくりの街」として栄えた私の町は、産業で育った人材、技術などの財産がある。また公害を克服する過程で培われた企業、行政、大学、それに市民という4つのネットワークもある。これらを基盤として廃棄物対策、環境保全政策と産業振興政策を統合した地域政策として、エコタウン事業に取り組んでいる。この基本戦略は「教育・基礎研究」、「技術・実証研究」、「事業化」という3つの柱で成り立っている。
「教育・基礎研究」に関しては、学術研究都市の施設が一斉に動き始めている。これにより環境政策を支える理念、人材を生み出していきたい。
第二が環境、とりわけ廃棄物分野における「技術・実証研究」である。廃棄物は、いわゆる複雑系であり、データの蓄積や研究が課題であるが、全国的にもその研究者、研究場所は限られている。実証研究エリアでは、地元の福岡大学に協力いただき、廃棄物リサイクル関連の20の研究施設で現在取り組んでいる。
第三は、現実にリサイクル工場が集積する「総合環境コンビナート」である。現在、ペットボトル、OA機器、自動車・家電、蛍光管などの大規模なリサイクル工場が立地しており、現在更に地元の中小企業、ベンチャー企業がユニークな各種のリサイクル工場を建設、計画中である。第二と第三を併せて、いわゆるエコタウンと称している。
約6.5 ヘクタールの土地に広がる研究施設の中には、処分技術あるいは焼却灰のリサイクルに関するものがある。中にはおからの処理に関するもの、生分解性プラスチック等の施設もある。
総合コンビナートでは、大企業を母体としたリサイクル事業、中小企業が集積する団地が一体となっている。
パンフレットの真ん中に響灘地区という約2,000 ヘクタールの埋立地の写真がある。真ん中の赤い細長い四角で囲んだところが実証研究エリア、地図の右側に赤い台形で囲んだところが総合環境コンビナートである。
これらの事業は、各省の横断的な支援をいただき、加えて市の独自の補助制度もつくっている。
これらは基本的に北九州の地域政策として取り組んだものである。私の町は、環境未来都市を宣言して、廃棄物の広域処理方針を決めた。 窓口組織も強化し、これらの手続に迅速化を図ることも取り組んでいる。
2点目は、情報公開性の確保である。これらすべての施設について情報の公開を義務づけ、市民を始め全国からの視察者を受け入れている。
各事業は、民間事業として実施している。新たな第三セクターはない。行政は道路、上下水道、緑地、鉄道、港など、インフラ制度を中心にサポートしている。
こういう事業はスタートが特に大事である。処理する方、処理の委託を受ける方、行政、三方一両損の考えで取り組んだ。
私たちは、地球の限界を知った人類最初の世代、役に立たないごみを出すのは人間だけ、こういうことを認識することが出発点。
「負の財」の絶滅のため、現在PCBの広域処理の取り組みを検討している。また、静脈側と動脈側の車の両輪で廃棄物対策を進めていくことが重要。更に、リサイクル事業の継続のために、さまざまな政策支援が必要。
提言としては、環の国づくり特別モデル地域を全国都市部に設定し、集中投資が必要と考えている。
これらは産業としてまだまだ未熟。私どもの取り組みは全国と比較すると進んでいるとの評価もあるが、大学卒業を社会人と考えると、まだ小学校卒業程度ではないか。ただ、私たちの取り組みは首都圏や大都市圏の都市再生のモデルとして参考になると考える。
【前川委員】循環型社会の実現と経済成長は裏腹の問題で1つのもの。循環型社会、循環型経済ができないと、高度成長には戻れないと考えている。従来の非循環型社会では、経済成長は恐らく0%か1%かというところ。日本の500 兆という大きな市場、これを循環型に切り換えると、10%の高度成長というのは夢ではないと考えている。循環型社会の実現は、即経済成長につながると考えるべき。循環型社会を日本が形成しなければいけないとの合意は、既に国民全体の中でできあがっている。
どうやって循環型社会を形成するのか。1つは、循環量を大きく減らすこと、もう一つは、循環距離を短くすることである。
循環量を減らすとは、例えば、10年もっている商品を50年もたせること。
循環距離を短くするとは、生産と加工と消費を1か所でやるということ。今、生産と加工と消費は、ばらばらに切れている。生産は生産だけの論理、加工もしかり。日本でできるものを中国からもってくるのは、非常に無駄。その土地で生産するということは、その土地に一番向いたもの、その土地に一番おいしいもの、一番いいものができる。
大量生産をやらなければ生産コストはあわないという指摘があると思うが、生産技術の現場では、大量生産はもうとっくの昔に終わっている。生産ラインで多品種少量のものを流す、これも実は終わりに来ていて、現在は、完全に少量のものを個別でつくる、一人でつくる、いわゆる脱ライン化が実用化されてきている。生産・加工・消費を、小さいロットでやるデメリットは、ほとんどなくなってきている。あらゆるものを地域で生産して、地域で加工して、地域で消費するべきと考える。
例えば電気洗濯機の寿命は10年。これを50年にすると一遍に生産は5分の1。ところが、50年使うためには、必ずメンテナンスサービスといった仕事が大きくなる。何百キロも離れたところをサービスするわけはないので、必ず地域的な産業になる。
生産は落ちるが、サービスの生産というところに高度化の要素がある。地域に根差したものを作っていくと、日本は、一挙に環境問題、高度成長の問題、新企業を創出する問題を解決することになる。日本の製造業の先進的技術開発力を注入し、高い生産性を実現し、国際競争力を付け、経済成長につなげることは、ばらばらに議論する問題ではなく、一体のもの。
循環型社会は地域の範囲がある。全国でそれを実現しようと思っても無理と思う。特に、これからのハイテク産業は、地域をベースに考え直してみないといけない。産業、環境、行政、教育、生活、これらは非分離の一体のもの。地域の全体性をベースにした施策が必要。それによって地域の個性化を達成しながら完結性を高めていく。更に各地域の連携による新しい世界ができ上がってくる。この新しい地域は、新しいコミュニティーをつくる。循環型社会は、技術と行政だけでなく、住民の参加が必要。
都市と近郊を含め30万〜50万ぐらいの都市を想定し、ここで農・食・住のハイテク化を進め、物の生産から知恵の生産へ切り換える。それが、地域の工業と商業を活性化する。
農業、食料、住宅、医療、これらは国際競争力がゼロ。この理由は、資本財産業がほとんど参画していないことにある。従って、地域ごとの特性をもった新しい市場に、日本中に点在している資本財産業をかみ合わせて新しい産業をつくり、大きな生産性を持ったものにしていくことが大事。
江戸時代は、地域の完結性、地域の個性化を持ちながら、地域の中で産業、教育、行政を行ってきた。江戸と同様、ハイテク産業を軸として、自己完結性の高い地域をつくり直す必要がある。
日本のハイテクの生産技術部門は、脱ライン生産が常識化しているが、これは少子高齢化に向いた生産システム。50代、60代、70代といった経験の豊富な人が、自分の技術上、科学上の経験をベースにして、知恵の生産の社会をつくっていくことになる。
林業は、建築材の寿命を5倍にすると、国内で成育する木材で自給できる。部品産業を林業地帯につくって、都市には組み立て産業をつくる。こういったことをやれば、原料の自給率は向上し、輸入は減少して、国際収支が改善し、CO2 は減る。高度成長経済・循環型社会・少子高齢化に向いた新しい社会ができ上がる。それに沿って、行政改革、教育改革、規制緩和、財政改革、産業構造転換、政治改革が出来上がる。
日本が先駆けて、循環型社会を地域をベースにして産・官・学でつくり上げていくことは、21世紀の世界をリードするものになると考える。
【森下委員】地球環境との共存については、個人、地域社会、企業、国が、それぞれの自分自身の問題として、我々の子孫への責任として、取り組んでいかなければならない。産業界としては、単に規制・法制を守るという対応だけでなく、自己責任を大原則にして、日常の経営活動の中でさまざまな取り組みをしている。
今日は、松下グループが取り組んでいる最近の環境活動について3つに絞って話をし、ついで環境モデル都市づくりについての提案をしてみたい。
私どもは、1991年6月に「環境宣言」をした。内容は「私達人間には宇宙万物と共存し、調和ある繁栄を実現する崇高な使命が与えられている。我が社はこの人間に与えられた使命を自覚し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、この地球がバランスのとれた健康体であり続けるために、環境の維持向上に万全の配慮と不断の努力を行う」である。
私どもは、国内をはじめ世界23か国すべての生産事業場で環境マネジメントシステム、ISO14001の認証取得を完了した。日本の全産業を見ると、取得しているのは現在約六千件強、おおよそ取得しなければならない企業数を分母にすると、まだ10%ぐらいである。特に中小企業の取得がこれからの大きな課題である。
家電リサイクル法が4月1日からスタートしたが、循環型社会構築のため業界としても1Rから3Rまで総合的に推進している。当社は、松下エコテクノロジーセンターを3月にオープンし、マテリアルリサイクルを推進している。不法投棄など課題も出てこようが、行政、市民の御協力を賜り家電リサイクルシステムを完成させていきたい。
更に、私どもはグループ社員11万人を対象に、環境家計簿を提案している。これを活用した結果、CO2 に換算して前年比5%減った。草の根運動も非常に大切である。
環境技術とITによる21世紀の「環の国」づくりのモデルについて提案したい。私はこの「環の国」づくりに3つの思いを抱いている。
1つは、環境を日々の暮らしを営む視点から取り組むこと。
2つ目は、単に環境を守るという受け身の発想ではなしに、更に進んで暮らしに生きがいと夢を与えるような取り組みをしていこうということ。
3つ目は、21世紀100 年のビジョンが必要ということ。
以上の思いから、暮らしの営み、生きがいと夢を育む場として都市をとらまえたらどうか。国の重要課題でもある都市再生と合わせ、循環型都市の整備を目指す「環の国」環境モデル都市づくりを提言したい。
都会とその衛星都市である複数の郊外田園都市とをセットにして、幾つか先導的に立ち上げ、そして全国に広げていく。それぞれのモデル都市では、長期的にわたる具体的な環境目標を定め、ゼロエミッションやCO2 削減とともに、安心、安全な暮らしが実現できる自然と共生のライフスタイルをつくり上げるという構想である。
資料に、環境の技術とサービスを樹木の形で表現している。枝に当たるところが水、エネルギー、交通などの環境インフラであり、この枝から循環型社会の形成に欠かせない多くの技術が実る形となっている。根っこに当たるものは、環境サポートの部分であり、環境教育やグリーン調達など、ソフトやサービスのインフラが支えなければならない。
交通の例を挙げると、都会には大量の交通に適したITSの導入、郊外・田園都市にはデマンドバスなどを採用する等々である。ITはいろんな環境ビジネスで活用され、さまざまな都市づくりに役立てることができる。
環境インフラのうちエネルギーの例として、石油などの炭素燃料を中心とする消費型から、長時間かけてクリーンで再生可能な循環型のエネルギーへと転換する必要がある。循環型の中でも、水素は無尽蔵のエネルギーであり、大きな期待をかけている。暮らしの視点からは、水素をエネルギー源とする循環型エネルギー住宅をモデル都市に採用していき、技術とサービスの両面から開発を進めてはどうか。
水素には、製造、貯蔵、コージェネ技術、ITを活用した家庭内エネルギーマネージメントシステム、安全な供給サービス、自動車エネルギーとの共通化、と多くの課題があるが、その克服のために産業界あげて推進している。
エネルギー供給の視点から21世紀の技術の実用化の道筋について述べると、25年を1つの期間とし、初頭は、省エネや水素、エネルギーなどの技術開発に邁進する時期である。京都議定書の目標年次である2010年がいいチェックポイントになる。次の期間は、予想される石油枯渇に対して、実用化された技術を用いてエネルギーを循環型へ転換する時期。21世紀後半は、核融合技術等の革新的なエネルギーの実用化に向けて、研究開発を進めなければならない。
「環の国」づくりのためには、技術開発の取り組みとともに、モデル都市のソフトやサービスも含め、長期的な視点で大きなビジョンを描かなければならない。今後100 年の「環の国」づくりのビジョンを策定し、国づくりの明確な方向を示すべきである。また「環の国」の形成の基盤となる環境モデル都市を全国に導入して、実現してはどうか。中でも長期的エネルギー需給マスタープランをつくっていくべき。「環の国」Eプラン(エネルギーと環境)を作って、課題を克服すべき。
【武部農林水産大臣】循環型社会において都市と農村は相対立するものではない。都市は自己完結できないし、農村も新しい情報が必要。都市と農村の交流が必要である。肉を食べようとすれば、北海道、九州、外国から持ってこなければならない。
これからのライフスタイルは、環境や生活条件に合わせていかなければいけない。そうすると、人が移動することによって多様な生活ができる。都市の人が週末に田舎へ行く、田舎の人は都市にアクセスできる、そういう社会を構築していく。そういう視点で環の国、循環型社会を考えていけば、かなり問題は解決する。食の問題をはじめとして、地域で自己完結することは難しいのではないか。
【前川委員】私が30万の地方都市をモデルに考えた理由は、そこに農と食と住がある、しかし、この3つに国際競争力がない。これをハイテク化することによって、地域をハイテク化していく。地域がハイテク化すると、100 万以上の都市との関係も新しくなってくる。いきなり日本全国、東京全部で循環型社会をつくってみろと言っても、おそらく無理。
例えば多摩ニュータウンでこれを行っても無理だと思う。私は、30万程度の生活実感を持った、文化、経済の完結性のある都市で循環型社会を形成していくことが適切と考えている。私どもは、埼玉、千葉、広島で、県と学を入れて、住と食と農のハイテク化のテストを始めているが、これによって大きな新しいマーケットが見えてきた。今までは、このような領域にハイテク化した日本の製造業の力は入っていない。
具体的には、我々と埼玉県、早稲田大学では、本庄のブロッコリーの生産性を5倍に上げる試みを行っている。そのためにどういった機械開発が必要か、といった試みはこれまでほとんど行われていなかった。これは実際には非常に可能性のある領域。ただし、そのためには本庄30万の地域住民の参画がないと駄目だ。こういった試みが行われていくと、日本にしかできない循環型社会が地方からできてくる。
【末吉委員】私も、都市と農村が対立するとは全く考えていない。例えばペットボトルを我が町で再生しているが、収集できるペットボトルは、北九州市全体でも1,000 トンしかないが、5,000 トンぐらい集まらないとペイしない。したがって、周辺から受け入れないと産業として回っていかない。物流コストがかかるため、それほど遠方からは集められないが、おのずと経済原則の中で落ちつくところに落ちついていく。
【尾身沖縄及び北方対策担当兼科学技術政策担当大臣】地球全体の問題であるCO2問題を解決するため、原子力、核融合、省エネ技術、自然エネルギー、燃料電池等の技術開発を行わなければならない。循環型社会を形成するため、生産・消費・廃棄の全体を考えなければならない。例えば、廃棄物の処理の技術だけではなく、原材料・製品の段階から廃棄しやすい製品をつくる。コストも値段も高いかもしれないが、そういうものをつくっていかなければならない。生産技術と廃棄技術がマッチした立体的な技術開発をしなければならない。それに応じて、生活等の社会規制を行わなければならない。
科学技術基本計画において、環境技術は、情報通信、ライフサイエンス、ナノテクノロジーと並び、優先的な戦略部門に位置づけている。この会議でどういう点の技術開発が大事かとの御示唆をいただければ、それを総合科学技術会議で取り上げて、これからの技術開発の重点項目に採用したい。社会資本や技術開発を一体として、また、生産・消費・廃棄を一体として、社会全体のシステムをつくり上げていくことが大事である。
【山本委員】さまざまな問題について我が国は相当チャレンジしているというサンプルを持参した。例えば、王子製紙の『ミレニアムペーパー』は千年の耐久性があるとされる紙。ミサワホームの廃木材・廃プラスチックから作った『エムウッド』は10回リサイクルが可能。100 年住宅ならば、10回のリサイクルで千年使える。イナックスの『エコカラット』はインテリアタイル。水熱合成でつくっており、従来のものと比べると、炭酸ガスの排出量が6分の1、廃棄物が50%入っている。文部科学省所管の物質材料研究機構が今開発しているスーパースチール、超鉄鋼。従来のスチールに比べると、強さが2倍、寿命が2倍でファクター4を達成した。これを使うと、インフラを100 年もたせることができる。太平洋セメントがつくった一般ごみ・産業廃棄物を原料にしたエコセメント。残念ながら、これは政府のグリーン調達に入っていない。黄河の黄砂を固めて、コンクリートの骨材にするという技術案。
一番大事なことは、森下委員がおっしゃられたような環の国のビジョン。どういう方向に産業政策をもっていくか、研究開発を集中させるかという大決断ができていないために、我々は資質となる技術があるにもかかわらず、それを発展させることができないでいる。
最後に、アメリカの『ソレニアム』という商品名が付いているカーペット。インターフェイス社という有名な環境先進企業が、世界で初めて『クライメイト・ニュートラル・プロダクト』と言う認証を取った製品。原材料を門から入れて、この製品を出すまでの間に温暖化効果ガスは全然出さなかったという証明を第三者団体が認証している。もちろん、炭酸ガスを出さないというわけにはいかないので、植林とかグリーン電力を購入するとかで相殺させている。それを気候中立ネットワークというところが判断して、そういう称号を付けて売ることを認めている。
ちょうど1年前のクリントン大統領の手紙は、こういう気候中立的な企業、あるいは製品に対して賛辞を惜しまない、としている。アメリカは、大統領が変わって、一転して世界の悪役になっているが、実は非常にふところが深く、いろんなNGOがこういう活動をしている。こういう製品は日本にはない。私は、ビジネスモデルとしても、日本は全力を挙げてやらないと競争で負けてしまうという危機感を持っている。
【鷲谷委員】小泉総理が所信表明の中で、21世紀に生きる子孫に恵み豊かな環境を引き継ぎ、自然と共生することが可能な社会を実現していくと述べられたことは、多くの人たちに強く響くものであった。私も、それと関わりの深い学問分野で研究をしている者として、とてもありがたく拝聴した。その総理のお考えを1日でも早く実現するために、日本の美しく豊かな自然をよみがえらせるための自然の再生修復のための事業、自然再生型公共事業を新しくつくっていただけたらと思う。
そういう事業で、ハードだけではなくソフトも重視すれば、産・官・民・学、広く協力しながら、共に学び合いながら、自然と共生するための知恵とか技術もつくっていけると思う。
【村井国家公安委員会委員長兼防災担当大臣】日本は国土の7割が森林であり、防災上も非常に重要でありながら、山林のメインテナンスが十分できない。欧米のような平らなところで使える林業機械は開発されていても、日本のように国土が傾斜しているところでは適用できない。その結果、土木建設、農業が機械化された中、山林だけは機械化されていない。これをブレイクスルーしないと、とんでもないことになるのではないか。
【小泉内閣総理大臣】自然と共生できる社会をつくるのが、今我々の責任。かつて貴重な栄養源だったおからが、一時ごみになったが、今はうまく活用されているという意見があった。それも意外。今日の国会の委員会でも、燃料電池の質問が出た。これが開発されれば世界のエネルギー生産に大影響を及す。何とか国策として、そういう自然との共生が産業として成り立つような政策になっていかないか、そういう知恵を何とか出していただきたい。
自己完結型の地域づくりについては本当に完結できるのか。農業は大規模化を図っているから、地域で全部完結するというのはなかなか難しい点がある。産業としての競争力も考えなければならない。ごみを産業として成り立たせるには、少量では成り立たない。その点をどうやって克服していくか。色々いい知恵を出して本当に自然との共生を図るような社会にしていきたい。ごみを出して自分で被害を受けているのは人間だけですから。よろしくお願いする。
(別紙)
第3回21世紀『環の国』づくり会議 出席者一覧
| 小泉 純一郎 | 内閣総理大臣(主宰) |
| 川口 順子 | 環境大臣(議事進行) |
| 森山 眞弓 | 法務大臣 (※ 横内正明 法務副大臣代理出席) |
| 田中 眞紀子 | 外務大臣 (※ 丸谷佳織 外務大臣政務官代理出席) |
| 塩川 正十郎 | 財務大臣 (※ 中野清 財務大臣政務官代理出席) |
| 遠山 敦子 | 文部科学大臣 (※ 池坊保子 文部科学大臣政務官代理出席) |
| 武部 勤 | 農林水産大臣 |
| 平沼 赳夫 | 経済産業大臣 (※ 松田岩夫 経済産業副大臣代理出席) |
| 扇 千景 | 国土交通大臣 (※ 泉信也 国土交通副大臣代理出席) |
| 村井 仁 | 国家公安委員長・防災担当大臣 |
| 中谷 元 | 防衛庁長官 (※ 平沢勝栄 防衛庁長官政務官代理出席) |
| 尾身 幸次 | 沖縄・北方対策担当、科学技術政策担当大臣 |
| 竹中 平蔵 | 経済財政政策担当大臣 (※ 松下忠洋 内閣府副大臣代理出席) |
| 石原 伸晃 | 行政改革担当大臣・沖縄及び北方対策担当大臣 (※ 松下忠洋 内閣府副大臣代理出席) |
| 安倍 晋三 | 内閣官房副長官(政務・衆) |
| 古川貞二郎 | 内閣官房副長官(事務) |
| 桜井 正光 | 株式会社リコー社長 |
| 末吉 興一 | 北九州市長 |
| 福川 伸次 | 株式会社電通 電通総研研究所長 |
| 前川 正雄 | 株式会社前川製作所会長 |
| 森下 洋一 | 松下電器産業株式会社会長 |
| 森嶌 昭夫 | 財団法人地球環境戦略研究機関理事長 |
| 山本 良一 | 東京大学国際・産学共同研究センター長 |
| 養老 孟司 | 北里大学一般教育・基礎教育センター教授 |
| 鷲谷 いづみ | 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 |