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「郵政三事業の在り方について考える懇談会」

報 告 書



平成14年9月6日
郵政三事業の在り方について考える懇談会



序章 郵政事業を取り巻く環境の変化および事業見直しに関する社会的要請


懇談会の設置

  •  本懇談会は、「郵政事業の公社化実現後の在り方について、民営化問題を含め具体的に検討を進めるため」に設置された。
  •  日本経済の活力を回復するためには、経済構造改革、財政構造改革、金融市場改革、特殊法人等改革、企業改革などの官民にわたる一連の改革が不可欠である。郵政事業の公社化実現後の在り方については、こうした一連の改革と密接な関連を持っているため、改革全般に関わる諸々の論点との関連も含め、幅広く検討する必要がある。
  •  このため、本懇談会としては、10回にわたる懇談会のほか、有識者メンバーによる勉強会を22回開催し、学識経験者・関係団体・関係行政機関・地方自治体等からのヒアリング、郵便局の現地視察等も行いつつ検討を重ね、今般、郵政事業に関する民営化が決断された場合に留意すべき点を含め、改革全般の中での郵政事業改革の位置づけ、民営化についての典型的と思われる類型などについて報告書を取りまとめた。
  •  本懇談会としては、本報告書をもとに広範な国民的議論が行われることを強く希望するとともに、本報告書が内閣における今後の経済改革の中で、問題点の見極めや郵政事業改革の具体的な実施にあたって、重要な参考資料として活用されることを切望するものである。

郵政事業改革の重要性

  •  改革全般を展望するとき、資源配分の改善と経済活力の回復を図るために、政府は財政構造の改革に実効性をあげることを迫られている。そのためには、21世紀の日本における政府の役割の定義は不可欠である。
  •  高齢社会において経済の持続性を保つためには、国民の一人ひとりの自助努力が成果に結びつく仕組みを工夫せねばならない。政府による経済への関与の在り方をめぐって、改めてその基本が問われなければならないのはこのためである。郵政事業は政府活動と密接な結びつきを持ち、一方で政府活動の資金繰りに重要な役割を果たすとともに、他方で財政投融資に対する資金の出し手として、日本における資源配分の在り方に多大な影響を与えてきた。財政構造改革の実効性が問われている今、郵政事業改革は避けて通れないと考えるべきである。

公社化と郵便事業への民間参入

  •  今般、郵政事業は国営公社により運営されることとなる。郵政事業の公社化、郵便事業への民間参入、そして財政投融資改革の意義についてまず述べる。
  •  郵政事業の公社化は、中期的目標管理、企業会計原則、経営情報の公開の徹底等、民間企業的な経営手法の導入により、効率性を高め、自律的・弾力的経営を促すものである。まず設立委員会のもとで、新しい経営体の発足にあたっての経営原則の具体化が図られる。その折、本報告書において指摘した諸論点について十分な考慮が払われることを望むものである。
  •  郵便事業への民間参入については、信書の送達業務を民間事業者に開放することにより、郵便事業の国家独占が法律上廃止され、郵便事業に市場原理を導入しようとするものとして、評価されるべきだと考える。
  •  財政投融資改革により、郵貯・簡保資金は市場運用が原則とされた。また特殊法人等の財投機関については、必要な資金を財投機関債の発行等により市場から調達することとなった。財投機関に政策コスト分析が導入され、ディスクロージャーの一層の徹底が図られるにあたっては、市場からの資金調達という要請が効いた面がある。特殊法人等の改革・効率化の促進に郵貯の全額預託の廃止が持った潜在的な意味は大きい。
  •  しかし、事業活動に種々の制約を受けるとともに、税制等の恩典を享受する国営公社が、郵政事業が抱える様々な課題を解決することについては、限界がありうることを考慮しておく必要がある。




第1章 郵政三事業の在り方を考える視点


今後、郵政三事業に求められる役割は、現状と変わらないのか、内容は変わるが一定の役割が残るのか、あるいは歴史的な使命は既に終えたと考えるのかなどの論点につき以下述べる。

1-1. 郵政三事業が果たしてきた機能

  •  これまでの郵政三事業についての国民の一般的見解は次のごとくである。
    •  郵便、郵貯、簡保は、生活に必要なサービスとして国家に保証され、全国あまねく公平に極力安く提供され国民からの信頼も厚い。
      1.  郵便事業は政府の意思を国民に伝える最終的な行政手段と受け止められるとともに、国民相互で安心して使える簡便な通信手段として位置づけられてきた。
      2.  郵貯・簡保についても、基本的な生活設計を支える制度として、山間辺地や過疎地といった地理的条件に恵まれない地域や、小額の決済や簡易な保険を含め、国民生活全般を対象として活動を行ってきた。これにより、広く国民の信頼を獲得し、国民生活の中に浸透している。
    •  市町村合併、JA等の合併および民間企業のリストラの進展する中で、特に過疎地や高齢者にとって、郵便局の存在が与える安心感は大きい。
    •  郵貯・簡保で集められた資金は、財務省資金運用部への預託を通じ、各種の政策金融等に貢献するとともに国債市場の安定へも寄与してきた。
    •  各種証明書交付のワンストップサービス(一箇所における総合的サービス)やひまわりサービス等、市町村との連携による公的サービスを提供してきた。

  •  このように、日本の制度の中でも国民に対する浸透度が極めて高いものであったが、こうした諸点についても見直しが求められるようになった。
    以下でこれについて概略的に述べる。


1-2. 郵政三事業を取り巻く環境の変化

1)郵政三事業の担う役割および位置づけの変化

  •  郵便については、既に国家独占は廃止され、その位置づけは変化した。
  •  携帯電話、Eメールの普及があり、また国内外の宅配事業者との競争が激しさを増す一方であることから、経営面では厳しい状況が続いている。
  •  郵貯・簡保についても、一方において国民生活を支える制度として、引き続きその存続が求められているとする意見もあるが、他方において、民間金融商品の充実や預金保険制度が整備されていることなどから、「国が関与する」必要性はないとの考え方もある。

2)求められる事業体としての対応の柔軟性

  •  郵政三事業の経営環境がIT化、グローバル化等により大きく変化する中、利用者ニーズに根ざしたサービスを安定的、継続的に提供していくためには、将来を見据え、柔軟性と革新性を持って動的効率性を高める必要がある。こうした視点に立てば、以下の三点について認識を新たにしておくべきであろう。
    1.  市町村合併、JA等の合併および民間企業のリストラの進展により、郵便局ネットワークの重要性は増している。
    2.  民間参入やグローバル化を伴った競争の一層の進展に対しては、全国ネットワークを活用した安定的な収益基盤の確立が必須である。
    3.  民間事業者の一部は、郵便局ネットワークを利用した新たなビジネス展開の余地を検討し始めている。当事者のすべてに利点をもたらす相互裨益の関係を実現する新たな事業構築が必要となる。

3)民間の金融機能再生との関連

  • 不良債権処理等の大きな問題を抱えることにより、金融仲介機能の一部につき不安を抱えている我が国の金融システムの再生を図ることは緊急の課題である。民間金融機関の各々は事業内容につき早急に再点検を行い、安定した経営基盤の確立を図る必要がある。こうした要請に応じて、民間金融機関にとっての市場環境が展望されるとき、郵貯・簡保と公的金融機関のそれぞれの在り方が民間金融機関の経営に与える影響は大きいと考えねばならない。

4)財政負担リスク縮小化の要請

  •  我が国の財政が逼迫した状況にある中、郵貯・簡保の資金運用を通じて思わざる債務が発生したとすれば、郵貯・簡保に政府保証があることにより、巨額の納税者負担が発生するおそれがある。そうした場合には否応なしに国民はその負担を負わざるをえず、こうしたリスクは縮小されなければならない。

5)特殊法人等改革の推進との関連

  •  2001年4月からの財政投融資改革により、郵貯資金と特殊法人等との制度的関係は経過期間を経て遮断される。
  •  政府の手を通じた、歳出以外のもうひとつの資源配分の仕組みとしての財政投融資制度は、特殊法人等の廃止、民営化などの改革が進む中、大きな変革期を迎えることとなった。安全な貯蓄手段として郵貯・簡保に託された国民の資金は、国会における制御が不十分であったため、財投機関の非効率的な膨張につながってしまった。結果として、資産内容の悪化となり、特殊法人等改革を不可避とするところとなった。
  •  資金運用部への全額預託においては、郵貯の運用上のリスクはなかったため、資金仲介機能を整備する必要性は少なかった。しかし、原則自主運用となったため、国民の財産保護と金融市場における信頼性の確立の観点から、新しい枠組みの確立が求められることとなった。

6)経済再生との関連

  •  郵貯・簡保は、政府保証のもとで安心のおける貯蓄、保険の手段として、これまで広く国民に親しまれてきた。
  •  しかし、郵貯・簡保を通じて巨額な資金が国営公社に集まるという仕組みは、効率的な資金の流れを遮断し、日本経済に悪影響を与えるおそれがある。民間金融機関への信頼喪失や株式市場が魅力を失っていることが郵貯・簡保への資金流入の呼び水となり、こうした傾向をさらに加速させている。
  •  日本経済はキャッチアップ型からの転換が十分になされていない結果、企業の投資と起業に停滞がみられるようになった。
  •  将来の日本経済の在るべき姿を想定するとき、投資が円滑に行われるためには、国民の間に広く、薄くリスクが分担される金融システムが成立せねばならない。それは、新たに立ち上がるはずの経済活動は、従来の産業近代化投資に比べ成否が見極めにくく、相対的に大きなリスクをはらまざるをえないからである。この点において、郵貯・簡保の今後の在り方についての検討は欠かせない。


1-3. 公社化後の在り方を考える視点

1)構造改革における郵政事業改革の位置づけ

  •  郵政事業改革は、郵貯・簡保が大量の国債の消化に直結している現実をふまえるならば、財政再建計画、国債管理政策、引受国債・財投預託等の償還計画という国家財政全体の資金繰りを含め、「日本政府が抱えるすべての債務に関する総合的なコントロールをどのように行っていくのか」という行・財政改革の枠組みの中に位置づけられなければならない。
  •  郵政事業改革の実現にあたっては、我が国の民間金融機関の活性化、金融システムの健全化・効率化という要請との関連づけが不可欠である。日本の金融の総体としての改革の中で、金融機能の担い手としての新しい意義づけが郵政事業に対して行われることが望ましい。
  •  また、金融機能に関しては、オーバーバンキング(銀行過剰)および民間金融機関の個人金融サービスへの注力という現実があるため、官民の役割分担の見直しが必要であり、官業としての金融業の役割は見直されるべきである。
  •  地方自治体、とりわけ過疎地域の地方自治体および住民からは、「郵便局の地域社会における存在感」が無視されることがあってはならないとの声が寄せられている。公社化後の経営形態を考えるに際して、こうした要望への具体的な対応を検討するうえで、ユニバーサルサービス(全国一律サービス)や郵便局ネットワークの維持について、どう考えるかが重要となる。

2)郵政事業改革実現のための「時間軸」設定

  •  郵政事業改革にあたっては、財政構造全体、特に政府債務の管理・処理に関する基本方針がまず明示されなければならない。
  •  郵政事業改革実現のための「時間軸」の設定にあたっては、金融市場改革、民間金融機関の収益基盤の確立および特殊法人等改革との整合性も同時に求められる。こうした政府の経済全般に関わる改革決意との整合性を欠いた場合には、国民の改革への期待は高まらないだけでなく、当初想定されていた改革の効果は得られないと覚悟すべきである。ただし、郵政事業改革のペースを落とすのではなく、むしろ相互刺激による相乗効果で関連する諸改革、とりわけ財政構造改革を加速させるべきである。
  •  公社は、国の直轄事業からの脱却を目的として制度設計されたものである。郵政事業改革を進めるうえで郵政公社による経営革新、事業環境変化への対応状況を見極めることが必要である。
     なお、公社の成果の最終的な見極め期間については、日本経済全体の持続性確保の観点から、政府が進める他の改革との相互関連を考慮し、総合的に判断されることとなる。

3)政府による経済関与の在り方

  •  一般に国が事業に関与する方法には、
    1.  補助金などにより誘導を行う「財政的関与」
    2.  規制・許認可による「行政的関与」
    3.  自ら事業を営む「経済的関与」
     の3種類がある。
     郵政事業の金融機能に関しては、「経済的関与」の段階を終え、現時点では「行政的関与」と「財政的関与」により十分達成できるとの意見がある。






第2章 郵政事業の民営化を実施するとした場合の民営化の諸類型


経営形態については様々な型が想定しうるが、国民的議論の素材を提供することを第一に考え、典型的と思われる民営化に関する三つの類型を示した上で、その特徴や留意点を説明することとする。

2-1. 郵政事業の新しい位置づけにとって必要な視点

1)民営化を考える場合の前提条件

  1.  郵政事業に関わるユニバーサルサービスについては、シビルミニマムの観点から求められる社会的要請と受け止めるべきである。    ただし、その内容は、その時々の社会情勢に応じて変化するものであると考えられる。
  2.  事業体として基本的に自立しうる事業基盤の確立が不可欠である。
  3.  事業体の企業価値を高めるものでなければならない。株主が政府であれ、民間投資家であれ、企業価値を高めることを通じて国民にとっての資産状況の改善につなげることが重要である。
  4.  市場における競争秩序の確立が図られることが重要である。郵政事業の民営化にあたっては、公正競争の確保についての具体的な手だてが、事前に周到に設計されなければならない。

2)民営化が国民に受け容れられるための条件整備

  •  国民にとって郵政事業は生活と密着している一方、財政投融資との関係や郵貯・簡保の金融資本市場での自主運用の原則など、郵政事業に関わる問題についての理解は簡単ではなく、実感を伴った共通の問題意識はない。また、郵政公社の発足を来春に控えていることもあり、かつての国鉄民営化とは背景が異なり、国民的議論が十分に成熟しているとはいえない。したがって、広く国民の理解が得られるよう、わかりやすい表現で明確な論点の提示が行われるべきである。
  •  郵政事業は国民生活に密着しており、郵政事業改革が弱者切りすてにつながる単なるリストラであってはならない。国民の利便性と事業としての経済合理性との整合を十分吟味しなければならない。
  •  費用・便益分析の観点においては、民営化による利点、「痛み」やコストを明らかにしたうえで、民営化によって生じる「痛み」やコストが利点に比べて明らかに小さく、明るい未来の構築につながることが前提となる。
  •  高齢社会の到来を見据えれば、山間辺地や過疎地も含め、全国各地の高齢者一人ひとりの視点も盛り込まれる必要がある。貯金や日常的な金銭の自由な出納は、高齢者の物心両面での自立を支えるうえで重要な意味を持つからである。
  •  将来の生活への不安が、多くの国民に貯蓄を選択させているという面がある。郵政事業改革とともに社会生活の安定性の確保・維持という国民生活上の課題についての取り組みが同時に提示されるべきである。
  •  これまで郵政事業においては、過疎地における郵政三事業およびその他のサービスを都市部との内部相互補助により維持してきた。民営化を考えるとき、ユニバーサルサービスの確保のために別途政策的な対応が必要となる可能性がある。
  •  郵便局ネットワークは130年間以上かけて培われてきた国民の財産である。国、地方自治体および民間企業との連携による事業範囲の拡大によって郵便局ネットワークを活性化させ、事業体としての魅力を高める実験的試みや新しい事業成立の蓋然性に関する研究が事前に行われなければならない。


2-2. 具体的な民営化類型の例示

本懇談会では以下の三例を具体的な民営化を国民が想起する手掛かりとして提供したい。第1類型の特殊会社については、完全民営化への移行措置としての側面も持つが、ここでは、一定期間存続する型として記述することにする。


2-2-1. [第1類型] 特殊会社

  •  根拠法に会社の目的が規定され、政府が規制監督を通じて使命の達成を課すことが可能である。

【概 要】

1)コーポレート・ガバナンスの在り方

  •  政府が設立する株式会社。
  •  国が一定の株式を保有し、ガバナンスの主体であり続ける。
  •  経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性が残る。

2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持

  •  郵政三事業(郵便、貯金、保険)は、いずれもシビルミニマムとしての側面があり、設置根拠法上、国が一定程度関与すべき事業であると位置づけられる。
  •  ユニバーサルサービスは確保される。また、現状のネットワークは基本的に維持される。

3)事業基盤と成立性

  •  郵便、貯金、保険事業。
  •  現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。
  •  設置根拠法上、ユニバーサルサービス等を義務づける場合は、事業の成立性について検討する必要がある。

4)企業価値の増大

  •  利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。
  •  しかし、設置根拠法上一定の義務が課せられる等、国の関与が残るため、利潤動機に基づく企業価値の増大には限度がある。

5)公正競争の確保

  •  暗黙の政府保証が残るため、この点で他の民間事業者と競争条件は異なる。
  •  事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。
  •  特殊会社として事業範囲が法定されるため、郵政三事業以外の事業展開については制限を課せられる。

6)地域社会への貢献

  •  地方自治体は、特殊会社に必要な費用を支払い、社会福祉サービスを委託することができる。特殊会社はその受託義務を負う。

7)具体的な組織の在り方

  1.  郵便局ネットワーク
    •  現在の全国一体の郵便局ネットワークは基本的に維持される。
    •  ただし、ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、特殊会社としての目的達成に支障のない範囲で、再編が図られる可能性がある。

  2.  三事業の取り扱い
    •  同一法人格による一体経営が可能。

  3.  郵便事業
    •  郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
    •  他の民間事業体も同一条件で参入することができる。

  4.  貯金事業
    •  政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。

  5.  保険事業
    •  政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。

【特 徴】

  •  従来の郵便局および組織の大半が残る可能性が高く、公社からの移行が容易である。また、NTTやJRといった先行事例があり、国民の理解を得やすい経営形態である。
  •  株式上場を行うならば、民間株主によるガバナンスも期待されることから、経営の透明性向上が期待でき、また一部株式の売却は政府への臨時収入となる。

【留意点】

  •  政府に一定以上の株式を保有する義務が課せられることから、政府が株主となることと国債管理政策との間に利益相反が生じるおそれがあることが指摘されている。
  •  コーポレート・ガバナンスの観点からいえば、国営公社と特殊会社は、国がガバナンス主体であるという点で同じであり、国営公社を特殊会社化する意味は乏しいとの指摘がある。


2-2-2. [第2類型] 三事業を維持する完全民営化

  •  一旦、政府が100%の株式を保有したのち、民間に対して分売し、究極において株式はすべて民間に売却される。

【概 要】

1)コーポレート・ガバナンスの在り方

  •  株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。
  •  ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。
  •  経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。

2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持

  •  郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。
  •  ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。
  •  それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。

3)事業基盤と成立性

  •  郵便、貯金、保険事業。
  •  現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。
  •  積極的な経営戦略の展開で、三事業一体の相乗効果を得ることにより、事業基盤の強化が可能となる。

4)企業価値の増大

  •  利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。

5)公正競争の確保

  •  事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。
  •  強力な金融事業者の登場となり、民間金融機関を刺激し競争を促進する一方、市場寡占に至るおそれもあることから、公正競争条件の確保がより強く要請される。

6)地域社会への貢献

  •  地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。事業体は経営判断により受託の可否を判断する。

7)具体的な組織の在り方

  1.  郵便局ネットワーク
    •  現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。
    •  ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。
    •  ただし、看板価値(フランチャイズバリュー)を高める観点から、安易なネットワークの縮小は行われない可能性もある。

  2.  三事業の取り扱い
    •  兼業規制による制約から、事業ごとに法人格を分ける必要が生じる。
    •  郵便ネットワーク会社が事業持株会社となり、銀行と保険については子会社と位置づけたうえで、分割する形態や、また郵政事業持株会社のもとに郵便ネットワーク会社、そして分割された銀行、保険会社を配置するという形態も考えられる。

  3.  郵便事業
    •  郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
    •  他の民間事業体も同一条件で参入することができる。
    •  郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。
    •  輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。

  4.  貯金事業
    •  政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。
    •  当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。
    •  預入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。
    •  銀行法上の銀行としての資格を取得せねばならない。

  5.  保険事業
    •  政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。
    •  当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。
    •  加入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。
    •  保険業法上の保険会社としての資格を取得せねばならない。

【特 徴】

  •  民間金融機関への刺激となり、金融市場における競争促進につながることが期待される。
  •  郵政事業体はネットワーク活用上の観点から、従来以上に地域社会に関わることがありうる。
  •  経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。
  •  金融機能の新たな担い手という位置づけを受ける可能性がある。
  •  民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。

【留意点】

  •  費用をかけて与信や審査の仕組みを導入しても、預金と貸出の組み合わせによる商業銀行業務は全国的にみても既に過剰だという経営判断もある。
  •  また、現在の金融機能も大きく見直される可能性がある。


2-2-3. [第3類型] 郵貯・簡保廃止による完全民営化

  •  民営化にあたって、政府が全体的な金融システム再編の構想を明らかにするケースである。郵貯・簡保の使命は終了したとの位置づけを行い、郵便ネットワーク会社はそのネットワークを広く開放して、民間金融機関等からの受託業務の取り扱い手数料収入により経営を支援する。

【概 要】

1)コーポレート・ガバナンスの在り方

  •  株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。
  •  ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。
  •  経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。

2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持

  •  郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。
  •  ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。その際、新しい事業内容の観点から全面的な見直しが行われる可能性が高い。
  •  一方、ネットワークは事業基盤を支える経営資源となるため、商品や顧客サービスの充実によるネットワーク価値の強化が図られる。
  •  それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。

3)事業基盤と成立性

  •  郵便事業と受託業務。
  •  郵貯・簡保の廃止により、事業基盤はスリム化と同時に脆弱化する懸念がある。
  •  事業が成立するためには、新たに十分な受託業務の獲得と維持が必要となる。

4)企業価値の増大

  •  利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。
  •  郵貯・簡保を廃止し、多様な選択肢を可能にする。新たに獲得する受託契約の多寡が企業価値の増減に直結する。
  •  郵貯・簡保の抜けた分、マイナスからの事業開始となる。

5)公正競争の確保

  •  基本的には、他の民間事業者と異なる特別な制約は課せられない。ただし、公正競争を確保するための措置が講じられることはありうる。

6)地域社会への貢献

  •  地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。郵便ネットワーク会社は、地方自治体に積極的な働きかけを行い、業務委託契約を獲得する。

7)具体的な組織の在り方

  1.  郵便局ネットワーク
    •  現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。
    •  一方、郵便と新たに受託するサービスについてネットワークの経済性を発揮するというまったく新しい経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。
  2.  三事業の取り扱い
    •  郵便ネットワーク会社が承継会社となる。
    •  郵貯については新規契約を行わない。
    •  簡保については新規契約を行わない。
  3.  郵便事業
    •  郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
    •  他の民間事業体も同一条件で参入することができる。
    •  郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。
    •  輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。
  4.  貯金事業
    •  新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。
    •  制度整備が前提となるが、他の金融機関から窓口業務を受託する可能性がある。
  5.  保険事業
    •  新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。
    •  他の民間生命保険会社の商品についての窓口販売が可能となる。

【特 徴】

  •  サービスの多様化により、郵便局が顧客にとっての「広場」となる経営戦略である。
  •  郵便ネットワーク会社は、事業の一環として従来以上に地域社会に関わることがありうる。
  •  経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。
  •  民間金融機関との新しい共存関係構築により、金融機関総体としての改善が期待される。
  •  民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。

【留意点】

  •  統一的な政府債務コントロール体制が構築され、郵貯・簡保が廃止されれば、財政規律の向上が期待されうる。しかし、統一的な政府債務コントロール体制が構築されずに郵貯・簡保を廃止しても、大量の国債が発行され、郵便局窓口で個人向け貯蓄国債を販売せざるをえないとみられる。そうであれば、総務省管轄の郵貯が財務省管轄の貯蓄国債に替わるだけであるとの指摘もある。ただし、この場合でも貯蓄国債を買うかどうかは、これまでの郵貯利用者各人が判断すべき問題で、従来のように事業体の判断によるものではないことが大きな違いである。
  •  郵便局での幅広いサービスの提供は現実的ではなく、経営が成り立つのか、との重要な指摘もある。
  •  郵貯・簡保の根本的な変更については、「事業の廃止」や「業務範囲・経営自由度の縮小」を意味し、民営化の意義・方向性と矛盾するとの指摘もある。
  •  既存契約のマネジメントや利用者の利便性低下の点で問題はないか、との懸念がある。





第3章 郵政事業の民営化を実施するとした場合に留意すべき事項

懇談会に求められた重要な役割のひとつは、政府が民営化法案を取りまとめると決意するときに、国民の関心事項がどのようなものなのか、また、そうした事項の相互関係はどうなのかについて広い視野からの検討を行うことであった。ここでは民営化のイメージごとに郵政三事業の「使命」は、どのように受け継がれるべきかについて、これまでの議論をふまえ、改めて留意すべき事項として記述する。


3-1. 公共的使命を担保するための措置

  •  郵政三事業について、事業者に特に課すべき使命が存在しないと考える場合、経営形態については「官民の役割分担の原則」に基づいて、「完全民営化」となる。
  •  ユニバーサルサービスの確保や郵便局ネットワークの維持など、何らかの使命が残ると考える場合には経営形態の在り方や同時に採用される他の政策手段により「何を残すべきか」が具体的に検討されねばならない。また、総合的な財政負担の在り方や他の経済政策目標との整合性を確保するという観点が強調されねばならない。
  •  特殊会社の場合、政府が一定以上の株式を保有する株式会社形態をとる特殊法人であり、「目的」を規定する設立根拠法が制定されることから、「目的」として使命の実現を規定したうえで、政府による規制監督を通じて、その使命の実現を図ることが可能である。また、必要に応じて、一定の「恩典」を付与することも考えられる。
  •  完全民営化の場合は、国民の望むサービス提供の一部が経営上の理由から中断される可能性がないとはいえない。この場合、サービス提供を継続するためには別途政策的な対応が必要となる可能性がある。


3-2. 公正な市場取引維持のための措置および経営上の優位性を判断するうえでの考慮すべき視点

民営化の諸類型を考えるとき、公正競争を確保するという視点から事業分離・地域分割についての当否等を論じざるをえない。

  •  民営化を実施する場合、ネットワーク性、寡占性、民間事業者との競争条件について、同一の競争土俵を確保するとの観点から、事業分離・地域分割の是非について検討することが必要である。
  •  なお、事業体を、純粋に設備だけを有する管理運営主体と業務運営主体とに分離する「上下分離」については、事業の経営に歪みをもたらしたり、意思決定の効率性をそこねたりするおそれが強いなどの観点から、検討に値しないと考える。
  •  他方、事業分離・地域分割については、地域完結性等の事業特性の観点から慎重に検討すべきではないかとの意見がある。また、民間金融機関側の内部改革を通じて地域をまたぐ経営統合の実現という方向性も展望されること、また生命保険における「大数の法則」も考慮する必要があるとの指摘がある。
  •  さらに、郵政三事業をそれぞれ別会社にし、郵貯・簡保を地域分割しても、同じ郵便局ネットワークにのせてサービスを提供することとなれば、郵貯・簡保の地域会社がそれぞれに独自のサービスを実施することができず、結果として公正競争が阻害される可能性についての指摘もある。
  •  他の民間金融機関との公正競争確保の観点から、郵貯・簡保には適正規模があるはずだとして、事業体の分割により資金規模を縮小すべきという意見に対して、因果関係は逆で、市場原理が本当に貫徹すれば、結果として郵貯・簡保の適正規模化が生ずるという意見もある。


3-3. 規制監督体制の在り方

  •  郵政事業を民営化する場合、公正競争条件を確保するとの観点から、競合する民間事業者と同様の立場において、個別の規制体による同一の法制に基づいた規制監督を受けるのが民営化会社にとっての原則である。ただし、特殊会社の場合は公正競争をそこなわない限りにおいて、例外的規制がなされる場合も考えられる。
  •  郵政事業を民営化する場合においても、政府による規制を通じての「行政的関与」の余地は残っている。民営化によって補助金の供与が全面化すると推測される場合には、民営化に対する国民の反応は、相当に否定的なものとなると考えられるため、「行政的関与」の余地が具体的にどのような形でありうるかの検討は極めて重要である。


3-4. 移行体制の確立

  •  民営化を実施する場合には、「人」の問題(職員の雇用確保・身分変更)、法制度・会計制度やシステムの変更、郵貯・簡保と財政投融資制度との関係(財投預託の経過措置等)、24000余の郵便局が存在している事実、といった現実の諸問題を考慮する必要があり、郵政事業改革の「時間軸」の設定にあたっては、これらの現実問題に十分に配慮することが必要である。






具体的な民営化類型の例示


 
特殊会社
三事業を維持する完全民営化
郵貯・簡保廃止による完全民営化
1)コーポレート・ガバナンスの在り方 ・政府が設立する株式会社。

・国が一定の株式を保有し、ガバナンスの主体であり続ける。

・経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性が残る。

・ 株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。

・ ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。

・ 経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。

・ 株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。

・ ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。

・ 経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。

2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持 ・ 郵政三事業(郵便、貯金、保険)は、いずれもシビルミニマムとしての側面があり、設置根拠法上、国が一定程度関与すべき事業であると位置づけられる。

・ ユニバーサルサービスは確保される。
 また現状のネットワークは基本的に維持される。

・ 郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。

・ ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。

・ それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。

・ 郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。

・ ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。その際、新しい事業内容の観点から全面的な見直しが行われる可能性が高い。

・ 一方、ネットワークは事業基盤を支える経営資源となるため、商品や顧客サービスの充実によるネットワーク価値の強化が図られる。

・ それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。

3)事業基盤と成立性 ・ 郵便、貯金、保険事業。

・ 現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。

・ 設置根拠法上、ユニバーサルサービス等を義務づける場合は、事業の成立性について検討する必要がある。

・ 郵便、貯金、保険事業。

・ 現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。

・ 積極的な経営戦略の展開で、三事業一体の相乗効果を得ることにより、事業基盤の強化が可能となる。

・ 郵便事業と受託業務。

・ 郵貯・簡保の廃止により、事業基盤はスリム化と同時に脆弱化する懸念がある。

・ 事業が成立するためには、新たに十分な受託業務の獲得と維持が必要となる。

4)企業価値の増大 ・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。

・ しかし、設置根拠法上一定の義務が課せられる等、国の関与が残るため、利潤動機に基づく企業価値の増大には限度がある。

・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。
・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。

・ 郵貯・簡保を廃止し、多様な選択肢を可能にする。新たに獲得する受託契約の多寡が企業価値の増減に直結する。

・ 郵貯・簡保の抜けた分、マイナスからの事業開始となる。

5)公正競争の確保 ・ 暗黙の政府保証が残るため、この点で他の民間事業者と競争条件は異なる。

・ 事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。

・ 特殊会社として事業範囲が法定されるため、郵政三事業以外の事業展開については制限を課せられる。

・ 事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。

・ 強力な金融事業者の登場となり、民間金融機関を刺激し競争を促進する一方、市場寡占に至るおそれもあることから、公正競争条件の確保がより強く要請される。

・ 基本的には、他の民間事業者と異なる特別な制約は課せられない。ただし、公正競争を確保するための措置が講じられることはありうる。
6)地域社会への貢献 ・ 地方自治体は、特殊会社に必要な費用を支払い、社会福祉サービスを委託することができる。特殊会社はその受託義務を負う。
・ 地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。事業体は経営判断により受託の可否を判断する。
・ 地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。郵便ネットワーク会社は、地方自治体に積極的な働きかけを行い、業務委託契約を獲得する。
7)具体的な組織の在り方

1、郵便局ネットワーク

・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークは基本的に維持される。

・ ただし、ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、特殊会社としての目的達成に支障のない範囲で、再編が図られる可能性がある。

・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。

・ ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。

・ ただし、看板価値(フランチャイズバリュー)を高める観点から、安易なネットワークの縮小は行われない可能性もある。

・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。

・ 一方、郵便と新たに受託するサービスについてネットワークの経済性を発揮するというまったく新しい経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。

2、三事業の取り扱い ・ 同一法人格による一体経営が可能。
・ 兼業規制による制約から、事業ごとに法人格を分ける必要が生じる。

・ 郵便ネットワーク会社が事業持株会社となり、銀行と保険については子会社と位置づけたうえで、分割する形態や、また郵政事業持株会社のもとに郵便ネットワーク会社、そして分割された銀行、保険会社を配置するという形態も考えられる。

・ 郵便ネットワーク会社が承継会社となる。

・ 郵貯については新規契約を行わない。

・ 簡保については新規契約を行わない。

3、郵便事業 ・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。

・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。

・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。

・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。

・ 郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。

・ 輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。

・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。

・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。

・ 郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。

・ 輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。

4、貯金事業 ・ 政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。
・ 政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。

・ 当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。

・ 預入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。

・ 銀行法上の銀行としての資格を取得せねばならない。

・ 新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。

・ 制度整備が前提となるが、他の金融機関から窓口業務を受託する可能性がある。

5、保険事業 ・ 政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。
・ 政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。

・ 当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。

・ 加入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。

・ 保険業法上の保険会社としての資格を取得せねばならない。

・ 新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。

・ 他の民間生命保険会社の商品についての窓口販売が可能となる。

【特 徴】 ・ 従来の郵便局および組織の大半が残る可能性が高く、公社からの移行が容易である。また、NTTやJRといった先行事例があり、国民の理解を得やすい経営形態である。

・ 株式上場を行うならば、民間株主によるガバナンスも期待されることから、経営の透明性向上が期待でき、また、一部株式の売却は政府への臨時収入となる。

・ 民間金融機関への刺激となり、金融市場における競争促進につながることが期待される。

・ 郵政事業体はネットワーク活用上の観点から、従来以上に地域社会に関わることがありうる。

・ 経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。

・ 金融機能の新たな担い手という位置づけを受ける可能性がある。

・ 民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。

・ サービスの多様化により、郵便局が顧客にとっての「広場」となる経営戦略である。

・ 郵便ネットワーク会社は、事業の一環として従来以上に地域社会に関わることがありうる。

・ 経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。

・ 民間金融機関との新しい共存関係構築により、金融機関総体としての改善が期待される。

・ 民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。

【留意点】 ・ 政府に一定以上の株式を保有する義務が課せられることから、政府が株主となることと国債管理政策との間に利益相反が生じるおそれがあることが指摘されている。

・ コーポレート・ガバナンスの観点からいえば、国営公社と特殊会社は、国がガバナンス主体であるという点で同じであり、国営公社を特殊会社化する意味は乏しいとの指摘がある。

・ 費用をかけて与信や審査の仕組みを導入しても、預金と貸出の組み合わせによる商業銀行業務は全国的にみても既に過剰だという経営判断もある。

・ また、現在の金融機能も大きく見直される可能性がある。

・ 統一的な政府債務コントロール体制が構築され、郵貯・簡保が廃止されれば、財政規律の向上が期待されうる。しかし、統一的な政府債務コントロール体制が構築されずに、郵貯・簡保を廃止しても、大量の国債が発行され、郵便局窓口で個人向け貯蓄国債を販売せざるをえないとみられる。そうであれば、総務省管轄の郵貯が財務省管轄の貯蓄国債に変わるだけであるとの指摘もある。ただし、この場合でも貯蓄国債を買うかどうかは、これまでの郵貯利用者各人が判断すべき問題で、従来のように事業体の判断によるものではないことが大きな違いである。

・ 郵便局での幅広いサービスの提供は現実的ではなく、経営が成立つのか、との重要な指摘もある。

・ 郵貯・簡保の根本的な変更については、「事業の廃止」や「業務範囲・経営自由度の縮小」を意味し、民営化の意義・方向性と矛盾するとの指摘もある。

・ 既存契約のマネジメントや利用者の利便性低下の点で問題はないか、との懸念がある。