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「郵政三事業の在り方について考える懇談会」報 告 書
平成14年9月6日
郵政三事業の在り方について考える懇談会
序章 郵政事業を取り巻く環境の変化および事業見直しに関する社会的要請懇談会の設置
郵政事業改革の重要性
公社化と郵便事業への民間参入
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第1章 郵政三事業の在り方を考える視点
今後、郵政三事業に求められる役割は、現状と変わらないのか、内容は変わるが一定の役割が残るのか、あるいは歴史的な使命は既に終えたと考えるのかなどの論点につき以下述べる。
1-1. 郵政三事業が果たしてきた機能
2)求められる事業体としての対応の柔軟性
3)民間の金融機能再生との関連
4)財政負担リスク縮小化の要請
5)特殊法人等改革の推進との関連
6)経済再生との関連
2)郵政事業改革実現のための「時間軸」設定
3)政府による経済関与の在り方
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第2章 郵政事業の民営化を実施するとした場合の民営化の諸類型
経営形態については様々な型が想定しうるが、国民的議論の素材を提供することを第一に考え、典型的と思われる民営化に関する三つの類型を示した上で、その特徴や留意点を説明することとする。
2-1. 郵政事業の新しい位置づけにとって必要な視点
2)民営化が国民に受け容れられるための条件整備
【概 要】
2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持
3)事業基盤と成立性
4)企業価値の増大
5)公正競争の確保
6)地域社会への貢献
7)具体的な組織の在り方
【特 徴】
【留意点】
【概 要】
2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持
3)事業基盤と成立性
4)企業価値の増大
5)公正競争の確保
6)地域社会への貢献
7)具体的な組織の在り方
【特 徴】
【留意点】
【概 要】
2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持
3)事業基盤と成立性
4)企業価値の増大
5)公正競争の確保
6)地域社会への貢献
7)具体的な組織の在り方
【特 徴】
【留意点】
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第3章 郵政事業の民営化を実施するとした場合に留意すべき事項懇談会に求められた重要な役割のひとつは、政府が民営化法案を取りまとめると決意するときに、国民の関心事項がどのようなものなのか、また、そうした事項の相互関係はどうなのかについて広い視野からの検討を行うことであった。ここでは民営化のイメージごとに郵政三事業の「使命」は、どのように受け継がれるべきかについて、これまでの議論をふまえ、改めて留意すべき事項として記述する。
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特殊会社 |
三事業を維持する完全民営化 |
郵貯・簡保廃止による完全民営化 | |
| 1)コーポレート・ガバナンスの在り方 |
・政府が設立する株式会社。
・国が一定の株式を保有し、ガバナンスの主体であり続ける。
・経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性が残る。 |
・ 株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。
・ ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。
・ 経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。 |
・ 株式会社化し当初国が保有した株式は、すべて売却される。
・ ガバナンスの主体が国から民間株主に移行することにより、企業価値を高めるための監視がより有効に働くと期待される。
・ 経営の自立性に関して、政治や行政の潜在的な関与の可能性は小さい。 |
| 2)ユニバーサルサービスとネットワークの維持 |
・ 郵政三事業(郵便、貯金、保険)は、いずれもシビルミニマムとしての側面があり、設置根拠法上、国が一定程度関与すべき事業であると位置づけられる。
・ ユニバーサルサービスは確保される。 |
・ 郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。
・ ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。
・ それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。 |
・ 郵政三事業はいずれも完全に民間に任される事業であると位置づけられる。
・ ユニバーサルサービスの提供やネットワークの構築については、経営上の判断に委ねられる。その際、新しい事業内容の観点から全面的な見直しが行われる可能性が高い。
・ 一方、ネットワークは事業基盤を支える経営資源となるため、商品や顧客サービスの充実によるネットワーク価値の強化が図られる。
・ それゆえ、ユニバーサルサービスを確保しようとする場合には、別途政策的な対応が必要となる可能性がある。 |
| 3)事業基盤と成立性 |
・ 郵便、貯金、保険事業。
・ 現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。
・ 設置根拠法上、ユニバーサルサービス等を義務づける場合は、事業の成立性について検討する必要がある。 |
・ 郵便、貯金、保険事業。
・ 現行事業基盤を継続するため、事業としての成立性に特に問題はない。
・ 積極的な経営戦略の展開で、三事業一体の相乗効果を得ることにより、事業基盤の強化が可能となる。 |
・ 郵便事業と受託業務。
・ 郵貯・簡保の廃止により、事業基盤はスリム化と同時に脆弱化する懸念がある。
・ 事業が成立するためには、新たに十分な受託業務の獲得と維持が必要となる。 |
| 4)企業価値の増大 |
・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。
・ しかし、設置根拠法上一定の義務が課せられる等、国の関与が残るため、利潤動機に基づく企業価値の増大には限度がある。 |
・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。 |
・ 利潤最大化を組織の行動原理とすることにより、企業価値の増大を目指す。
・ 郵貯・簡保を廃止し、多様な選択肢を可能にする。新たに獲得する受託契約の多寡が企業価値の増減に直結する。 ・ 郵貯・簡保の抜けた分、マイナスからの事業開始となる。 |
| 5)公正競争の確保 |
・ 暗黙の政府保証が残るため、この点で他の民間事業者と競争条件は異なる。
・ 事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。
・ 特殊会社として事業範囲が法定されるため、郵政三事業以外の事業展開については制限を課せられる。 |
・ 事業別または地域別による事業体分割の当否等について、具体的に検討する必要性がある。
・ 強力な金融事業者の登場となり、民間金融機関を刺激し競争を促進する一方、市場寡占に至るおそれもあることから、公正競争条件の確保がより強く要請される。 |
・ 基本的には、他の民間事業者と異なる特別な制約は課せられない。ただし、公正競争を確保するための措置が講じられることはありうる。 |
| 6)地域社会への貢献 |
・ 地方自治体は、特殊会社に必要な費用を支払い、社会福祉サービスを委託することができる。特殊会社はその受託義務を負う。 |
・ 地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。事業体は経営判断により受託の可否を判断する。 |
・ 地方自治体は、民営化された事業体に必要な費用を支払い、社会福祉サービス等を委託することができる。郵便ネットワーク会社は、地方自治体に積極的な働きかけを行い、業務委託契約を獲得する。 |
| 7)具体的な組織の在り方 1、郵便局ネットワーク |
・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークは基本的に維持される。
・ ただし、ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、特殊会社としての目的達成に支障のない範囲で、再編が図られる可能性がある。 |
・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。
・ ネットワークの経済性を発揮するという経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。
・ ただし、看板価値(フランチャイズバリュー)を高める観点から、安易なネットワークの縮小は行われない可能性もある。 |
・ 現在の全国一体の郵便局ネットワークが維持されるとは限らない。
・ 一方、郵便と新たに受託するサービスについてネットワークの経済性を発揮するというまったく新しい経営上の観点から、再編が図られる可能性がある。 |
| 2、三事業の取り扱い |
・ 同一法人格による一体経営が可能。 |
・ 兼業規制による制約から、事業ごとに法人格を分ける必要が生じる。
・ 郵便ネットワーク会社が事業持株会社となり、銀行と保険については子会社と位置づけたうえで、分割する形態や、また郵政事業持株会社のもとに郵便ネットワーク会社、そして分割された銀行、保険会社を配置するという形態も考えられる。 |
・ 郵便ネットワーク会社が承継会社となる。
・ 郵貯については新規契約を行わない。
・ 簡保については新規契約を行わない。 |
| 3、郵便事業 |
・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。 |
・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。
・ 郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。
・ 輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。 |
・ 郵便ネットワークを保有する単一の事業体とする。
・ 他の民間事業体も同一条件で参入することができる。
・ 郵便事業以外の事業への展開に制限を課せられることはない。
・ 輸送、保管、配達等、ネットワークに関わるあらゆる業務の受託が可能となる。 |
| 4、貯金事業 |
・ 政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。 |
・ 政府保証は廃止し、預金保険制度に加入する。
・ 当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。
・ 預入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。
・ 銀行法上の銀行としての資格を取得せねばならない。 |
・ 新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。
・ 制度整備が前提となるが、他の金融機関から窓口業務を受託する可能性がある。 |
| 5、保険事業 |
・ 政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。 |
・ 政府保証は廃止し、保険契約者保護機構に加入する。
・ 当面、対顧客対応は郵便ネットワーク会社から施設の一部を借り受けた形での実施および郵便ネットワーク会社への委託により行うが、独自の店舗網の構築、他の金融機関への委託も妨げられない。
・ 加入限度額、商品設計、資金運用等に他の民間金融機関と異なる制限を課せられることはない。
・ 保険業法上の保険会社としての資格を取得せねばならない。 |
・ 新規契約は行わない。ただし、既存契約の窓口業務は引き続き行われる。
・ 他の民間生命保険会社の商品についての窓口販売が可能となる。 |
| 【特 徴】 |
・ 従来の郵便局および組織の大半が残る可能性が高く、公社からの移行が容易である。また、NTTやJRといった先行事例があり、国民の理解を得やすい経営形態である。
・ 株式上場を行うならば、民間株主によるガバナンスも期待されることから、経営の透明性向上が期待でき、また、一部株式の売却は政府への臨時収入となる。 |
・ 民間金融機関への刺激となり、金融市場における競争促進につながることが期待される。
・ 郵政事業体はネットワーク活用上の観点から、従来以上に地域社会に関わることがありうる。
・ 経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。
・ 金融機能の新たな担い手という位置づけを受ける可能性がある。
・ 民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。 |
・ サービスの多様化により、郵便局が顧客にとっての「広場」となる経営戦略である。
・ 郵便ネットワーク会社は、事業の一環として従来以上に地域社会に関わることがありうる。
・ 経営の革新性・柔軟性が発揮されるため、事業活動が活性化する。
・ 民間金融機関との新しい共存関係構築により、金融機関総体としての改善が期待される。
・ 民間株主によるガバナンスが機能し、経営の透明性向上が期待できる。また、株式の売却は政府への臨時収入となる。 |
| 【留意点】 |
・ 政府に一定以上の株式を保有する義務が課せられることから、政府が株主となることと国債管理政策との間に利益相反が生じるおそれがあることが指摘されている。
・ コーポレート・ガバナンスの観点からいえば、国営公社と特殊会社は、国がガバナンス主体であるという点で同じであり、国営公社を特殊会社化する意味は乏しいとの指摘がある。 |
・ 費用をかけて与信や審査の仕組みを導入しても、預金と貸出の組み合わせによる商業銀行業務は全国的にみても既に過剰だという経営判断もある。
・ また、現在の金融機能も大きく見直される可能性がある。 |
・ 統一的な政府債務コントロール体制が構築され、郵貯・簡保が廃止されれば、財政規律の向上が期待されうる。しかし、統一的な政府債務コントロール体制が構築されずに、郵貯・簡保を廃止しても、大量の国債が発行され、郵便局窓口で個人向け貯蓄国債を販売せざるをえないとみられる。そうであれば、総務省管轄の郵貯が財務省管轄の貯蓄国債に変わるだけであるとの指摘もある。ただし、この場合でも貯蓄国債を買うかどうかは、これまでの郵貯利用者各人が判断すべき問題で、従来のように事業体の判断によるものではないことが大きな違いである。
・ 郵便局での幅広いサービスの提供は現実的ではなく、経営が成立つのか、との重要な指摘もある。
・ 郵貯・簡保の根本的な変更については、「事業の廃止」や「業務範囲・経営自由度の縮小」を意味し、民営化の意義・方向性と矛盾するとの指摘もある。 ・ 既存契約のマネジメントや利用者の利便性低下の点で問題はないか、との懸念がある。 |