場 所 総理大臣官邸大食堂
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【貝塚座長】それでは、ただいまから社会保障構造の在り方について考える有識者会議の第12回会合を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
本日は赤崎委員、石委員、堀田委員が御欠席であり、政府側では公務のため森総理大臣、宮沢大蔵大臣、西田自治大臣が御欠席であります。大蔵大臣の代理として、村田総括政務次官が出席されております。なお、自治大臣の代理としては中谷総括政務次官が公務が終了次第御出席される予定であります。官房長官と経済企画庁長官は後で遅れて御出席と伺っております。
さて、本日の進め方でございますが、前回会合にてお知らせいたしましたように、報告書案について御議論いただき、できれば大方の御了解をいただきたいと考えております。本日お手元に報告書案「21世紀に向けての社会保障」としてお配りいたしているものは、前回会合でお示ししたメモを各委員からいただいた御指摘を踏まえまして、更に起草委員会の方々と御相談の上、加筆修正したものであります。
それでは、この報告書案に基づきまして議論していただきたいと存じますが、内容について私から簡単に御説明いたします。かなり大部なものになっておりまして、もうちょと本当は短い方がいいのですが、見ていただきますと、お手元にお配りした「21世紀に向けての社会保障」に全体として「はじめに」以下、最初のページに内容の項目別といいますか、あるいは全体としての目次がありますが、それを見ていただきながらかいつまんで御説明いたしたいと思います。
最初は序論的な部分でありまして「社会保障の役割」ということでありまして、ここに書いてありますのは「はじめに」の部分は元来は余り書いていなかった部分なのですが、ある程度いろいろなことを簡単に申しますと20世紀の社会保障と21世紀の社会保障が置かれている社会環境がかなり変わってきたということが書いてございます。社会保障の出発点は普通はビバレッジ報告のイギリスの制度でありますが、これは社会保険中心ででき上がったものであります。その後、社会保障システムは非常に拡充されまして、これは福祉国家と言われているような話とも重複いたしますが、相当拡充されたということであります。
しかし、細かく見れば国によって随分違いがあるということも触れてございます。ですから、社会保障システムというのは必ずしもおしなべて統一的なモデルがあるということではこざいません。
その後、1980年代以降、一例を挙げればイギリス保守党のサッチャー首相のようなかなり批判的な見方が出てきたということもそうであります。ここでは、しかし21世紀の社会保障について、2ページ以下になりますが、やはり20世紀とは異なって家族関係が脆弱化してきたということがあります。それから雇用状況といいますか、雇用の条件がある意味では不安定化てきたということもあります。ですから、簡単に言えば個人がややばらばらになってくる状況が予想されるということであります。したがって、従来考えられていたいろいろな社会的なリスクは、やはり形を変えて21世紀に個人が被るであろうリスクが生じてくるということであります。それで、そこにちょっと書いてございますが、男性労働者中心の家計のイメージは崩れつつあるという感じがあると。ですから、それを前提にして社会保障というのは、そういう社会環境の変化に即応して設計されるべきものであるということであります。
あとは「社会保障の役割」ということが書いてありまして、4ページになりまして3番目のポツですか、個人の責任や自助努力では対応し難いリスクに対して、社会全体で支え合い、個人の自立や家庭の機能を支援し、健やかで安心できる生活を保障することを目的とする社会保障制度は不可欠なものですということであります。
5ページ目は「社会保障と経済」の関係です。経済全体と社会保障の関係でございますが、経済全体の影響をある程度社会保障が受けるということはある意味で当然でありまして、経済成長が鈍化するとか、そういうこともあります。
しかし、他方、社会保障のシステムは経済に対して、プラスマイナスいろいろな影響を持ち得るわけで、なるべくならば経済活動に対して中立的であることが望ましいということがおよそ書いてございます。
7ページ以降は「持続可能な社会保障」ということで、これは社会保障が不可欠な役割を果たすとしても、それは制度として持続可能でなければならないということですが、その点で一番重要なポイントはやはり世代間の不公平という話があって、この問題が非常に尖鋭化すれば社会保障制度それ自身が持続不可能になる危険性があるということがおよそ書いてございますが、それに対してどういうふうに考えるべきかということで9ページ以降でありますが、一つは支え手を増やす、サポーターを増やすということでありますが、女性の就労が今後もっと進むように、それから高齢者、障害者についても就労が促進されるということが重要ではないか。
それから10ページですが、社会保障の制度は制度的にはかなり複雑でありますが、やはり家計を単位に考えられている場合もありまして、10ページの最初のパラグラフの4行目ですが、将来的には個人単位化の方向を目指すべきであろうということが社会保障との関連では書いてございます。
あとは、大分先になりますが13ページで「高齢者も負担を分かち合う」ということであります。高齢者は今までいろいろお話がありましたようにかなり分極化するといいますか、裕福な人と、それから逆にまた経済的な生活水準が低い人に分かれてくるわけですが、いずれにしても負担能力のある人には負担を分かち合うということが主として書いてございます。それから、それに附随して高齢者所得としてのフローとしての所得はそんなにないのですが、資産はかなりあるという方がおられるわけですから、高齢者の資産を何らかの意味で活用するということが重視されるべきではないかということであります。
それから、あとは17ページは3番目の今後の社会保障の在り方として「給付の見直しと効率化」です。この部分は年金給付の在り方に議論が一つございまして、もう一つは高齢者医療の在り方をどうすべきかということであります。細かい点は省きますが、給付の見直しは分かりやすく言えば平成12年度の改正によってある程度給付の見直しがなされたわけでありますがということでありますので、後のことに関連して将来のシナリオを描くときの話と関係しておりますが、もう一度、後で触れます。
それから19ページは「高齢者医療の見直し」ということでありまして、推定は最後の3ページを見ていただきますと「社会保障の給付と負担の見通し」という厚生省が作成されました見通しの数字があります。後で厚生省に直接説明していただきますが、そこでかなり医療費が伸びるという感じになっておりまして、その増大する医療費をどのように負担していくか、この19ページの2つ目のパラグラフの最後の方ですが、患者負担、保険料負担、公費負担の在り方について考える必要があると、そこでの幾つかの論点が掲げてあるということでありまして、必ずしも高齢者医療についてどういう方式が一番望ましいとか、そういう形での叙述はありませんが、やはり何らかの意味でそこのところはいろいろな方策を考えるべきであると、幾つかの具体的な提案も入っております。
22ページ以降は財源の調達であります。ここの部分はかなりいろいろ議論のある部分でありますが、簡単に申せば税方式を採用すべきか否かという話が全体的には議論されているということでありまして、社会保険方式のメリット、それから税方式をとったときにどういうことが考えられるかということでありますが、これは大体23ページ、24ページ辺りであります。
しかし、25ページにも現行の方式、在り方について問題がないわけではない。未納・未加入者がかなりいるということが書いてございますが、そういう点は政府としては問題を含んでいるということも書いてあります。
25ページ以降は「公費負担の在り方」ということでありまして、社会保障の現在のシステムは税方式、社会保険方式というふうに簡単には言っておりますが、それ以外に税金から公費が負担されている部分がありますということをここで触れてございまして、元来は生活を営むのに困難を感じている方々には別途、社会保険の中に一応入っているケースもありますが、公費負担でいろいろな給付をしているということであります。
あとは28ページ以降ですが、「21世紀の社会保障に向けての国民の選択のために」ということでありまして、選択肢の幅は28ページを見ていただきますと、これも前回多少御説明したと思いますが、2つ目のパラグラフですね。今日、給付と負担に関して我々が置かれている状況をわかりやすく示すと、将来に向かって我々がとり得る選択は負担を増大させても現行のままの給付を確保していく。負担を増大させずに給付を見直していく。これが上下の幅という感じになっておりますが、それぞれについて実際にどういうふうになりそうか。例えば29ページに書いてあるところは、2の選択をとれば今後予想されるところは現在給付総額を12年改正によって減らしたわけでございますが、更に4分の1程度増やす必要があるということであります。それから、医療費の伸びはかなり高いわけですが、ギャップがかなり残っている。これをどうするかはここでもそれほど議論はいたしませんでしたが、その点について今後どうしても考えなくちゃいかぬということであります。
それから31ページはほぼ最後に近いのですが、社会保障の進むべき道として2つ目のパラグラフです。本有識者会議としては、将来世代の現実的な負担能力を前提として、給付についてその水準を含めて在り方を考えることが必要である。それから、そうであっても将来に向けてのある程度の負担の増加は避けられないものの、できる限り負担増、特に現役の負担の上昇を抑えるべく、従来考えられていた社会保障制度の枠の中というよりは、外のいろいろな労働市場の話とか、そういう点も考慮に入れて「支え手を増やす」「高齢者も負担を分かち合う」「給付の見直しと効率化」ということをなるべく早急にいろいろな形で考えて、できる限り1と2の先ほどの2つの、やや極端ですが、その中間であるわけですが、その中間でもなるべく社会保障の給付費は抑えたいという叙述であります。
それから31ページは、もちろんこういう社会保障の問題は外側としては税金の話と非常に関係があります。所得税その他ですね。したがいまして、社会保障の将来像を考える話と税制の基本的な在り方を考えることが、学者の言葉を使えば整合的に行われる必要があって、税金の問題も重要ですということであります。
32ページはほとんど結論といいますか、結びでありまして、これから社会保障はいろいろ不安に感じている、あるいはやや不信感があるという現状で、やはり若い世代の人々がこういう制度であって、しかも若い世代の人々の意見が積極的に反映されるような工夫が必要であるということであります。
それから、32ページの下から2つ目のポツは最終的には政治的に決定される話でありまして、しかし社会保障の問題は長期的な視点で検討される必要があって、党派を超えた国民的合意が必要な問題でありますということで政治家の方々の御理解を得たいということでございます。あとは、企業もそれぞれやるべきある種の役割はあるでしょうし、33ページの一番最後のところにつきましては読み上げますと「今後、政府においては、改革の早期実施の必要性を認識し、実効ある体制を整備し、社会保障制度について税制など関連する諸制度の検討を含め総合的・包括的な改革に取り組み、国民の根強い将来不安の解消と、諸制度への信頼回復に努めるべきである」というのが結びの言葉であります。
非常に長い報告書になりましたが、更に補論が幾つか付いておりますが、この補論も重要な論点が含まれておりますので、補論だからここは重要でないということではありません。
それから、事務局の方から最後に付表が付いておりますので、ごく簡単に「社会保障の給付と負担の見通し」について御説明を総務審議官からお願いします。
【宮島総務審議官】一番最後の3枚、横長の付表というのがございますが、「社会保障の給付と負担の見通し」、いわゆる将来推計をしたものであります。直近のものは平成9年9月に推計したものがございますけれども、それをリニューアルしたものでございます。
1ページ目にその前提を整理しておりますが、基本的には経済前提は11年の年金の財政再計算のときの前提をそのまま使っております。大体過去10年間の実績の平均伸び率をベースに見ているものでございます。名目賃金上昇率が2.5 %、物価上昇率が1.5 %、運用利回りが4.0 %、名目国民所得伸び率が2.5 %、2011年以降は労働人口の減等もありますので2.0% と0.5% 下がっております。
人口推計は、平成9年1月の推計を使っております。
年金につきましては本年12年改正をやりましたので、それを織り込んだ推計にしております。
医療につきましては、最近10年間の実績の伸びを見まして1人当たり医療費の伸びを3%程度というふうに見ております。これに人口変動が大体1.3 %程度ございますので、3%程度と申しますか3.1 %ですが、合わせますと4.4 %という伸びで推計しております。 それから福祉関係につきまして、介護につきましては介護保険事業計画ということで事業量が一応計画されておりますのでそれをベースにしまして、あとは介護の場合いわゆる人件費が相当大きなウェートを占めていますので賃金上昇率2.5 %を勘案して推計しております。介護以外の福祉につきましては、人口や経済の伸び率を勘案して推計という形にしております。
2ページにその結果がございますが、2000年度予算ベースで言いますと社会保障給付費トータルで78兆円になっております。対国民所得比で見ますと20と2分の1%という推計になっております。それで2005年、2010年、2025年と推計しておりまして、2025年度では社会保障給付費トータルで207 兆円、対国民所得比で31と2分の1%という推計になっております。
ちなみに、平成9年9月推計の2025年度の推計値は230 兆円でございましたので、23兆円ほど減になっております。対国民所得比を見ましても平成9年9月推計では33と2分の1%でしたので、約2%ほど減という推計になっております。減になった主な理由は、年金につきましては今年の年金改正で年金総額の2割減ぐらいの改正が行われていますので、それの減少がございます。それから医療費につきましては、先ほど申しましたように1人当たり医療費3%の伸びをベースにしておりますが、平成9年の推計では4%の伸びをベースにしていますので1%ほど伸びが落ちているということで、その辺りがマイナス要因になっています。福祉の方は、前回推計よりも5兆円ほど伸びております。これは介護保険がスタートしまして、医療から福祉の方へシフトしている部分もあるということであります。
それから、社会保障に係る負担の方でありますが、2025年で204 兆円、対国民所得比31%ということで3兆円ほど差がございますけれども、これは積立金の運用収入等がその間に入るという形になっております。
それから、注の1にございますように社会保障以外の公費負担、いわゆる一般の税負担ですが、これが現在大体国民所得比で2割程度でございます。したがいまして、今回の推計値、社会保障給付比31.5%と合わせますと、いわゆる社会保障負担と税負担を合わせました国民負担率が約51%というふうに見込まれるということでございます。
なお、いわゆる財政赤字を入れました潜在的国民負担率という見方もございますが、平成12年度のベースで見ますとこの財政赤字は対国民所得比12.3%となっております。
それから注の2でございますが、いわゆる基礎年金の国庫負担、現在3分の1を2分の1にした場合の負担の額がどのぐらいになるかという推計をしております。国庫負担部分が上がりますので、言うなれば社会保障負担から社会保障に係る公費負担の方へその分だけ額がシフトするということで、トータルの負担は基本的に変わらないわけですけれども、社会保障負担が減って社会保障に係る公費負担がその分プラスになっているという数字になっております。以上でございます。
【貝塚座長】ただいまの推計といいますか、将来見通しは28ページの下段の欄外の注にグラフが付いておりまして、この数字が対応して日本が2025年にどの辺にくるかという感じが一応出ていると思います。御参考までに申し上げます。
以上で、非常にはしょりましたが「21世紀に向けての社会保障」の報告書の案を御説明いたしました。それでは、皆様から御自由に御発言いただければありがたいと思います。どなたからでもどうぞ。
【中村委員】21ページの「介護・福祉について」という項目でございますが、やはり介護保険制度の意義、評価というのが余り触れられておりません。高齢者の保険料の負担、サービス料の1割負担という意味からすれば画期的な制度だと思います。そういう介護保険制度の評価、意義というものをもう少し書いていただいた方がいいのではないかと思います。
それと、介護サービスの担い手である社会福祉法人の役割、在り方、この部分も介護サービスの担い手であるが、担い手でもあると、その辺の語句だけではございませんけれども、社会福祉法人の役割、在り方につきましてもやはりもう少し踏み込んでいただきたいかなと。低所得者に対する福祉的援助機能の強化とか、それからサービス供給体の競合に対処できる基盤確立とか、そういう部分をもう少しはっきりさせていただいた方がいいのではないか。
それと全般にわたってでございますけれども、この福祉についての意義、役割を触れておりません。21世紀であっても時代を超えた福祉の普遍性というのはあると思います。そういう意味で、もう少し福祉の存在と意義と役割というのは触れておかないと、国民としては不安が残るのではないかと思います。
最後に40ページで「外国人労働者の受入れについて」でございますが、ここで議論されたときも委員の皆さんは積極意見が多かったと思います。少子高齢社会で労働環境が大きく変貌する中で、やはりサービスの担い手としては外国人労働者の受入れは避けて通れないと思います。それなのに、消極的な文章が余りにも羅列されておるのではないかと思います。よろしく配慮をお願いいたしたいと思います。
【貝塚座長】ただいまの御意見で、福祉サービスというのは要するに保険、年金、現金給付といいますか、そういう以外の福祉のサービス面ですが、ある程度は書いてあると思うんですが、介護保険もまさにサービスがかなりの部分ですが、医療もある意味ではサービスの部分がかなりあるので、多分福祉サービスと言われているときには医療及び年金その他を除く従来の福祉サービスですね。
外国人労働者の話はちょっと御説明しますと、40ページは基本的にはどういうスタンスかというと、高齢者はもちろんそうですが、女性の就労というものをなるべく促進して、そして改善していくことが重要であって、その上で外国人労働者の問題を考えましょうと、大体基本的なスタンスはそういうことになっております。おっしゃる御意見はわからないではありませんので、とりあえず私がお答えできるのはそんなことです。ほかにどうぞ、御自由に。
【高木委員】座長並びに起草委員の方々に大変御苦労をおかけしたんだろうと思いますが、私自身も何度かペーパーも含めてお願い申し上げたのですが、全体的な印象を申し上げますと、やはり負担増加、負担抑制化というどうしても財政論に頼った報告かなと。そういう中で国民が何を選択しろと言うのかということで言えば、選択肢はこれを読んでも見えないんじゃないかということは、失礼ですが申し上げざるを得ないと思います。一々ということで申し上げることはいたしませんが、全体的にそういう印象だということを重ねて申し上げざるを得ないと思っております。
あとは何点か個別のところですが、1つは「社会保障の果たすべき役割」のところで3ページを見ていただきますと自立だとか自己責任という言葉が何回出てくるんでしょうか。それはこれでもかこれでもかということでおっしゃるわけですが、自立しろと言うならば自立できるような社会状況といいますか、例えば大企業と中小企業の間の大きな格差の問題、それから男女間、あるいは正規雇用と非正規雇用の関係、この辺のことについてもどこかで触れていただかなければということで申し上げてまいりましたが、そういった記述がございません。
それから、9ページの高齢者の就労促進のために定年退職制度を見直すなど、これは起草委員に清家先生も入っておられたので最近の御本の『定年崩壊』のこともおありになったのどうか知りませんが、現在特に民間の労使は61歳から65歳まで年金の支給開始年齢が2013年まで引き上げられていきますが、今、何を努力しているかと言ったら雇用と年金の空白をなくそうということで、今そのつなぎの努力を一生懸命やっている時期なんです。清家先生の御本はもっと違った意味を込めておられるのはそうだろうと思っておりますが、とりあえずは65歳までの雇用を何とかし、これだって労務構成等、それぞれの企業によって対応するのは非常に大変なものを抱えながら何とかしようと思ってそれぞれ努力しているわけですから、そういった趣のことを是非入れていただくべきではないか。
それから、社会保険か税方式の関係で、例えば25ページに社会保険方式を主としていくのがふさわしいと考えるというふうに書いてありますが、これは社会保障制度全般についておっしゃっておられるのか、基礎年金についての結論を結論づけるというふうに言われているのか、ちょっとその辺が不明確じゃないか。もし基礎年金の財源方式に限定しての結論だということであるならば、この表現はちょっと問題ではないか。誤解を招かないように表現に気を配っていただく必要があるんじゃないかと思います。
それから32ページの下から2番目の黒い点で、「社会保障は長期的な視点で検討される必要があり」云々という記述がありまして、国民の生活設計が長期的な視点で約束されなければならないというのはこのとおりだと思うのですが、一方では今年度の年金改正について2割給付削減ということが国会で通ったわけでございますけれども、例えば西暦2000年ですが、今年60歳を迎える人たちはいつどういう状態で世の中へ出た人が多いのか。今60歳の方が15歳になられた年は1955年です。昭和30年、当時の高校進学率は5割を切れておりました。今60歳を迎えている人たちの過半の人たちは15歳から働いておられます。そういった方々が税を払い、社会保険料を払いながら、自分たちの将来の年金をということで対応してまいりましたが、60歳の平均余命年数が男女平均しますと20年というふうに言われておりますが、毎月5万円ぐらいの年金の平均で給付減というのが今回決められまして、5万円は年間で60万、20年で1,200 万というものが今回の改正で給付減になったわけです。
財布の勘定が合わないからということが理由だということだろうと思いますが、1,000 万を超えるものが老後の計画の中から目の前でなくなってしまった。今55歳だとか60歳になろうという人たちはこの1,000 万をどうしたらいいか。今から更に積み増すのか。積み増すだけの余裕があるのかという問題に現に今、逢着をしております。そういう意味では、負担をもっとするのかしないのか、その間の選択だなどとという書かれ方ですが、少なくとも長期的な視点で約束されねばならないなどという表現をこんなところに書いていただいて、理念としてわかったとしてもみんなどういうふうに受け取るか。何をしたんだと、我々をどんな目に遭わせたんだというふうに思っているのがいっぱいいるわけです。そういう意味で、この文章を変えてくださいとは申し上げませんが、いかにしらじいことを言っているのか。そういう中でこれが我々に示された選択肢ですよという受け止め方をしろと言うのか。
ちょっと高ぶった言い方で恐縮でございますが、そんなふうに受け止めているのが多くの国民の心情で、失礼ついでにもう一つ言いますと、世の中は全部大学を出てきた人たちばかりで構成されていないということなんです。みんないろいろな苦労をしてきているんです。こんなことは釈迦に説法で失礼でございますけれども、そういう思いの人たちがこれを読んだときにどう思うのかという意味では、残念な報告ですねということを申し上げざるを得ないと思います。
【貝塚座長】ただいまのことについて1、2申し上げますと、多分財政支出の構造自身はある程度変えなくちゃいかぬということもおっしゃっているわけで、その点のことはもう少し追加的に、例えば31ページのところですが、公共事業ないし地方財政の話、その他を含めて全体として社会保障の支出構造を変えなくちゃいかぬということはもう少し書き加えたいと思います。
それから、あとの点で高齢者の就労促進につきましてはおっしゃる御趣旨はわかりますので、65歳まで働くことを希望する人には働き続けられるよう再雇用、継続雇用の雇用の確保という話は書き加えさせていただきたいと思います。
最後のところの御意見は、私自身もそれを本当は反対するつもりはないんですが、むしろここに政治の方々がおられるので、社会保障というのは非常に長期的な約束ですよということを言っておかないと、制度としてはそういうものですということを申し上げておるつもりでありまして、高木委員のおっしゃったこともある部分は中に含まれているような感じで書いているということは申し上げたいと思います。
【高木委員】しつこくてあれですが、例えば憲法25条の特に2項で社会保障の受給権で、それが基本権の保障という観点から見たときに、恐らくドイツで今度の年金の2割カットの裁判をやったら、日本では裁判所はどう判断するかはわかりませんが、要するに社会保障の受給権というものと、それが基本権と保障される論理みたいなところのぎりぎりみたいな部分もあるんだろうと思うんです。
【渡邊委員】今、自立、自助、自己責任等の言葉が非常に多いという御発言があったんですが、日本の社会保障、戦後の社会保障の原点は昭和25年の生活保護法にあると思うんです。これは憲法に従っているので、憲法は最低限の生活保障条項がありますね。最低限の生活を保障するということで生活保護法ができて、現在でも生活の扶助費というのは1兆円ぐらいで、かなり横ばいで減ってはいますけれども、世帯も最近3分の1ぐらいに減ったんじゃないかと思うんです。それは結構なんだけれども、現在でも1人当たり16万何千円という生活保護費が支給されている。それから、一般の勤労者の消費支出と比べると生活保護を受けている人は68.5%くらいまでいっているんです。非常に高い、そういう基本的な保護を受けている。
ところが、4ページは自立、自己責任、自助努力等々は書いているけれども、この生活保護についてちょっと生活保護制度がありますよということしか言っていないんです。生活保護というのは全く税方式ですね。負担のない給付です。そういうものを税で完全に賄ってやっているじゃないかということはもうちょっと強調するべきです。やたらに自立、自助を言われると老いぼれてくたばって病気になっても放っておかれるのかと言われる。
ホームレスというのは労働能力があって働く意欲がないからホームレスをやっているのであって、あの人たちだって本当に労働能力がなければ生活保護世帯としてちゃんと扱われる。この間、銀座をデモをして、屋根と仕事をよこせと言っているけれども、屋根なんか幾らでもつくれるし、仕事はあるんです。下級労働というものはある。しかし、やるのは嫌だという連中がああいうことを言っているのです。自助、自立できない者はちゃんと面倒を見ているんだから。
それともう一点、細かい点ですが、32ページに経済を支える企業が、と企業の責任を書いておられますが、企業というのは経営者のことを言っておられるのですか。企業というのは経営者と労働者と両方いるからそれでいいということなのか。企業というのは経営者もそれを考えろと言うならば、労働組合も考えてもらいたい。例えばスウェーデンで保険料の負担が経営者、雇用側と被用側との間で1対10ぐらいですか、相当開きがあって、それを今日おられないけれども石さんが現場に行っていろいろ調べてみたら、労使で話し合って、直接払うよりは会社で払ってくれ。その代わり給料は下げていいよ、ある程度抑制していいよ、という合意があって平和的にああいう企業がべらぼうな負担をしているんだという話があって非常に面白かったと思うんですが、企業のあれを言うならば労働組合もちゃんと定年後の高齢者、あるいは障害者などの生活をちゃんと面倒を見ろ、組合も自分たちの給与の枠の中から相応の負担をすることをこれから考えていかなきゃいかぬよということも書いていただけないんでしょうか。それだけです。
【貝塚座長】今の渡邊委員の最初の方の生活保護につきましては、直接には余り言及していない部分が非常に多いですが、やはりここの趣旨は高齢者に例えば負担を求めるという場合も、負担能力がある人に負担能力を求めるということでして、それはある意味で当然なんです。だから、負担能力のない人にはしかるべき福祉サービスとか、その他のことは当然予定されている。その中の一つとして生活保護というのがある得るわけで、そこのところは余りはっきり出てきていないということがありますが、そういうふうに私は考えておりますということを申し上げて、もし何か多少補足できることがあれば補足させていただきます。
それから企業のことは、やはり企業年金とかあるいは生涯雇用、終身雇用制度とか、現在の日本の労働者の方々の生活はそういうものと非常に関係があって、そこのところと社会保障の関係はかなり密接に関係しています。企業経営のやり方ですね。ですから、簡単に申し上げると経団連会長もおられますけれども、やはり企業もそれなりの社会保障とのと連携の関係は重要なんですよということはちょっと申し上げたかったということで、企業の中には当然ある意味では労働組合も全体として入っておりますが、ややそういうニュアンスでここで書いてあるということを申し上げておきたいと思います。
【高木委員】渡邊さんから組合も何かやれということであれですが、またあれだったら御説明申し上げてもいいですけれども、例えば私どもが困っておりますのは、お役所やら大企業はいいんです。中小の人たちは基礎年金とか、要するに厚生年金の世界しかない人たちがいっぱいいるわけです。それで、労働組合で共済で年金共済等をやったりして、2階しかない人には3階をというのをもちろん自分たちの相互扶助で結構いろいろなことをやっているつもりです。もちろん会社との関係でいろいろ議論しながら制度をやっているところもありますし、またあれでしたら御報告に上がります。
【渡邊委員】労組にも両翼ありまして、高木さんは物わかりのいい方だから、高木さんに向かって言っていたのではなかったんですが。
【坪井委員】肝心なときに欠席したりして大変申しわけなかったんですが、しかし見せていただきまして大変御苦労の跡があって、この御努力にまず感謝申し上げます。ありがとうございました。
内容等につきましては、もちろんいろいろな意見があるのは当然でございますから、それはやむを得ないことなんですが、ただ、私が一番こだわりましたのは3つぐらいあるんですが、1つはやはり高齢者と若年層の負担の公平化を図るべきだというのが表面に出ていますね。これは非常に私は正しいことで、そのとおりだと思うんです。
ただ、私が聞いていますと、ひがみかどうかわかりませんけれども、平等化を図るようにとられたり何かしますと、社会保障を考える上では私はマイナスだと思うんです。たまたま今日も負担に関しましては御意見が出て、負担のできる人は負担をするんだという御意見があったので私もほっとしているんですが、では負担のできる人たちはどういう負担を考えるか。一般の人たちと同じように負担を考えるんだと。それで、高齢者のどの辺のところまでそれを考えるのかというところも、私としてはまだまだ積み残しがあるんじゃないかと思います。
それから、65歳定年あるいは65歳も就労という話はそのとおりだと思うんですが、私は思い切って74歳でいいと思うんです。要するに社会に奉仕できるというか、自分で自立と言ったらまた渡邊さんに怒られるかもしれないけれども、積極的にやっていける年代を考えてみるというのはむしろ今が非常にいい機会だと思うんです。
自立という話が出ましたのでついでに申し上げますが、高木さんの言われる自立というのも確かにあると思うんです。これは非常に具体的であって、高木さんの言うのはよくわかるんです。しかし、私が言っていると言うとおこがましいですけれども、医師会の案の中で言っている自立という話は、少しは自分でもやろうじゃないかという意識の高揚といいますか、そういう思想を国の中につくり上げるということが今の日本では非常に大切なんじゃないか。何でもかんでもだっこしておんぶしてという話になったのではいけないんじゃないかということを私は自立という意味での表現で使っているんですが、その辺のところはこの中でだっこにおんぶなんて書いてもらう必要はないですから別に書いてもらわなくていいんですが、自立と高木さんが言われているのを私が聞くと被害者意識に聞こえるんですが、そんなことではなくて国民としての一つの義務みたいなものをこの際、この社会保障を見直す中では堂々と私は言っていっていいんじゃないか。そうしないと、独立国家でなくなっちゃうんじゃないかとさえ私は思っていますので、少し偏った考え方かもしれませんけれども、私の考え方からすると少し弱いかなということです。
それから、先ほどの揚げ足を取るわけじゃないですけれども、28ページに2025年には日本の国民の負担率がイギリスとドイツの間にきちゃいますよと書いてありますね。イギリスとドイツは25年までもう動かないんですか。これは揚げ足を取っているように聞こえますけれども、こういう行政の書き方というのは我々にとっては非常に邪魔になるんです。日本が25年にここにいるならば、イギリスとドイツはどこにいくのか。もっと下がるのか、このままでじっとしているのか。そういうようなことを中に書き込みながらこの主張をするのであれば尊敬します。私に言わせると、日本医師会としてはこれは最も卑劣なデータの出し方です。
それから、一番最後の表もこのシミュレーションでこのとおりだと思います。このとおりだと思いますけれども、今のままで、そしてある程度の技術水準の上昇というようなことを加味しながら人口の増加、あるいは年齢構造の変化というようなものがその中に加味されながら伸びていくとこうなるということなんです。これは、今のままの給付をしていくとこうなりますよということを言っているわけです。今のままの給付をしていったら、国はもたないと言っているわけでしょう。社会保障も税金もそんなに払えない、そんなにないよと。だから、給付を少なくするという第2案があるわけですね。今のままの給付の仕方をなぜ見直そうとしないのかというのが私はよくわからないんです。
もっと具体的に言いますと、老人の医療費のところが大出血をしていますから、老人の医療費のところをいじったらもっと経費は少なくて済むんです。私どものところには具体的な案もあります。そこをいじれば、恐らく支出はものすごく減ります。その減った部分を足りなくてしようがないところへ回すということもできます。そういう制度というのか、テクニックというのか、そういうものを中に組み入れた上での社会保障の負担あるいは社会保障の給付というものを出していかれれば、これほど後ろ向きというと失礼ですけれども、増大せずに不況は見直しできると書かなくても、私は増大しなくても給付が増えるぐらいのことは、それはうそかもしれませんけれども、そういうことは私は言えるんじゃないかと思うんです。少し明るく前向きに書いていただくということも必要だったんじゃないかと思っております。
私は2015年のグラウンドデザインをお見せしましたけれども、あそこまでは特別の財源を入れなくてもと言うとうそになりますが、今のままの伸び率で、今のままの財源の調達の方法で、今のままの給付の方式で2015年ぐらいまでは十分にやっていけると思います。それから先に非常に高度なものが出てきたり、あるいは突然お金のかかるものが出てきたときには、そこから先はどうなるかということについてはまだ確実なシミュレーションはできていません。だから、もしそんなものがあったときには困るから、そういうものについては備蓄していく考え方を今のうちに入れていくべきではないかというのが私どもの考え方です。
最初に申し上げたように大変感謝申し上げておりますので、後で言ったことはお聞き流しいただければ結構です。ありがとうございました。
【渡邊委員】それに関連してイギリス、ドイツが動くのか動かないのかということですが、日本の場合は少子高齢化が猛烈なスピードで進んでいる。イギリスやドイツはある程度成熟している。十分高齢化時代は経験したという意味でこういう表をつくられたのかどうかを厚生省からちょっと説明いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【宮島総務審議官】日本以外の国は、確かに直近の一番確定している数字をそこに置いておりますが、要するに日本の25年、先ほど申し上げました推計値でいきますと31と2分の1なんですが、その負担の程度というのは現在のドイツ、フランスなりイギリス辺りの負担の程度になりますよと。ですから、逆に見ますと現在のイギリス、ドイツ、フランスの国民が負担しているものを国民もある程度覚悟できれば2025年もやっていけるのではないか。ですから、そういう負担のレベルをどう考えるかということで、もちろん2025年になりますとイギリス、ドイツ、フランスも当然動いてまいりますので、同じ年次でそろえて統計的にはそういう比較をすべきだという御指摘もあろうかと思いますけれども、2025年の負担のレベルが現在のヨーロッパ諸国と比べてどれぐらいの程度なのかというのを示すために掲げたものでございます。
ちなみに、日本の場合、2025年にはたしか高齢化率が25、26%ぐらいまでいっている。つまり高齢化率が25、26%での数字で、イギリス、ドイツ、フランスは多分それよりも低い高齢化率のレベルということでありますので、そういうものも恐らく加味して比較しないと正確な比較にはならないというふうに思いますけれども、そういう意味ではあくまでも現在のイギリス、ドイツ、フランスの比較においてという条件付きの図ということになろうかと思います。
【貝塚座長】私は厚生省の意見と幾らか違うのですが、アメリカのケースなどもアメリカは高齢化がかなり進行していますね。ですから、もし2025年で比べればアメリカは今まさに大統領選挙などでも争点にある程度なっているのですが、将来推計を元来は入れて書くべきという点があるんでしょうが、どうなんでしょうか。この読み方についてはこの文章の中でどの程度書いていくか、その辺のことを注意して書くということだと思います。
【坪井委員】データをどう読むかとか、データの数字をどう利用するかというようなことは余り今、大切なことじゃないんです。25年ならば25年に日本がどうなるかということが大切なわけです。これで見ますと、日本は31になる。それは大変なことなんだと言おうとしているのでしょう。なぜ大変なことなんですか。
私は厚生省としゃべっているとこういう口調になるので失礼ですけれども、私はそこのところが一番大切だと思うんです。25年にこうなるとなぜ大変なんですか。国民総生産も伸びを2.5 ぐらいに計算しているんですか。この表は、そうなったときに我々の日本の負担がこれに耐えられないと言っているんですか。そんなことじゃないんですか。ただ単にこうなりますよという状況をお渡しになっただけで、思想も何もないんですか。そういうことを厚生省で話すときに私は言うんです。だから、この表そのものについてはどういうふうにこの中で組み込んでいくのか。もう組み込んであるわけですけれども、その辺のところがちょっと引っ掛かったということです。これ以上言うとまたあれですから。
【行天委員】私はややラディカルになってしまうかもしれないんですけれども、大変御苦労の中でこれだけ立派なものをまとめていただいたので、形式ではなくて本当にすばらしいなと思うんですけれども、この会の在り方とかいろいろな点から考えますと、私はやはり国民に何か考えてもらうきっかけみたいなものを呼び掛け、問い掛けるのがこの会の目的じゃないかと思うんです。ほかの会でも同時に社会保障に関するいろいろな答申が出ておりますけれども、乱暴なくくり方をいたしますと年金、つまり給付と負担の問題を中心にしたのが大体6ぐらいで、あとは具体的な医療、福祉というのが4ぐらいと、6対4くらいというのが私の印象なんですけれども、今回のこれを拝見しますと9対1ぐらいで年金と、特に給付負担の問題に重点が置かれて、これはすばらしい解説がされているんですけれども、やはり経済の先生方が多いということと、特に財政の方の方がそろっていらしたために、どうしてもそちらの方にウェートがかかってしまったんじゃないかと思うんです。
私はこの社会保障という言葉の解釈を一般的な意味で言いますと、やはり安心の約束だと思うんです。安心の中にはいろいろな安心がもちろんございますけれども、自立できなくなったときの不安、それから自立できなくなるんじゃないかということに対する不安という問題に対する安心と、これでいきますとどうしても私は当然医療と福祉と、俗に言われている問題にもっと傾斜してもいいんじゃないかと思うわけです。確かにこの中には医療の問題も福祉の問題も少しずつは入っておりますけれども、ほかのものと比べますと非常にウェートが少ないんじゃないかという気がいたしまして、負担増と抑制の話ばかりがずっと続いていて明日は真っ暗というような感じの方が比較的目立つものですから、もうちょっと明るい先行きを見せてもいいんじゃないかなという感じがいたします。
それで、この中に全然出ていないのは、会議の中のお話としては出たんですけれども、私は今、国民の相当の関心事というのはみとり、ターミナルの問題だと思うんです。どういう死に方をするかというのは、この会はお元気な方ばかりですから全然お感じにならないんですけれども、国民の中では相当重大な関心事で、とにかくみとりに伴うところのいろいろ行われている医療の構造であるとか、あるいはそこに投入されている医療費という問題に関してどう考えるかというのは、私は国民が選択していかなければならない重大な問題であって、それを呼び掛けるということは意味があるんじゃないかと思っております。 それから矢崎委員がお話になりましたが、ここに書かれているように医療技術に関しては相当の進歩があって検討課題になるという予想をお書きになられているんですが、私はもう検討課題ではなくて純然たる一つの方向で医療の構造を変えつつあるんだろうというぐらいに遺伝子の問題というのは進んでいると思うんです。そして、そうなれば少なくとも2020年とかその辺りのところでは、現在とられている病院の在り方とか医師の在り方、医療技術という問題の構造を根幹から揺すっていくような、ある意味においては非常に期待できる方向にいくものですから、余りお金のことばかり言っているのではなくて、こういう安心も必ずありますよと、この国ではこういうことができる時代を迎えようとしているんだという社会保障の積極面というのをもうちょっと出していただいたらいいんじゃないか。だから、どこの項目がどうということではないのでございますけれども、強いて項目的に言えば足りないのはやはりターミナル、みとりの問題、これに全く触れていないというのは相当重大である。
それから、もうちょっと積極的なのは医療技術面に関しては決定的に変わってくる。特にみとりが入ってまいりますと、問題になっている介護保険などは全部一緒にのんでしまうわけでございますので、この辺りも是非もうちょっとウェートをせめて9対1でなくて6対4ぐらいにしていただけたらと思うわけです。
【貝塚座長】ただいまの点ですが、20ページの上の方の2つ目のパラグラフに触れられていると思います。今おっしゃったようなことの1つは、できる限り本人の意思を尊重し、尊厳をもって安らかに医療の在り方を模索していくべきであると、ある程度はここに書き込まれてあります。
それから、遺伝子のことは矢崎委員にもう少し書き加えるべき点があったら御発言いただきたいと思います。
【矢崎委員】今、行天先生が言われたことを私も最初から思っていて、もう少し医療の問題、坪井先生が高齢者医療について随分踏み込んだ意見をおっしゃられましたけれども、やはりもう少し医療について触れられてもいいのではないか。触れられてもそれが単に医療費の節減という視点が非常に強いんです。それで、私自身は例えば11ページの「支え手を増やす」の中に「健康づくり・予防の推進」というのがございますね。私はこの会で、医療の進歩で健やかで明るい活力のある高齢社会を築こうと申し上げてきました。ですから、それは給付と財源を今、結論づけなくちゃいけないという問題であればそれがメインになってもいいんですけれども、今せっかく国が大きなミレニアムプロジェクトあるいはメディカルフロンティアということで厚生科学でお金を出して、あるいは各省庁でお金を出してそういう方面で疾患を徹底的に予防して、あるいは最適な医療をいかに国民に提供するかということを考えてやっていますので、そういう意味で「健康づくり・予防の推進」のところが、さっきおっしゃられた20ページの医療費を節減するにはどうしたらいいかということの中に入っているんです。ですから、そうではなくてもう少し前向きな医療の局面ですね。恐らく医療費の伸びは、高度先進医療を入れた場合に技術に対してすごくお金が掛かるかもしれませんけれども、今やっているのは疾患の体質の遺伝子を解明しようとか、そういうところですので、恐らく医療に反映するところが大きいので、もう少し健やかで明るい未来が築かれるようなところを、少しロマンティック過ぎると思われるかもしれませんけれども、20ページのここに書いてあることは単に医療費の節減ではなくて明るい社会に向かって努力しているというところで入れていただければ大変ありがたいと思います。
【貝塚座長】矢崎委員の御発言は、ある意味でもっともなことだと思います。ですから、ここの「健康づくり・予防の促進」のところと医療技術の問題は関わりが深いということはそのとおりだと思いますので、ここのところに場合によっては20ページから移した方がいいのかもしれません。その辺は検討させていただきます。
明るくなるべくというのは私どももある程度考えておったのですが、ここだけでざっくばらんに申し上げますと、厚生省の最初の案は最初に給付と負担というのがきておりまして、大蔵省、厚生省は5年か10年前からそればかり言っているので、またその話かというふうになるので、できる限り、それは非常に重要であることは間違いないので、別に矢崎先生に申し上げるというよりは、現在の社会保障の問題は依然として最終的には給付の負担の問題があって、その問題でわかりやすく言えば損得勘定的な話が背後にあるわけですね。それで、不信感も多分ある部分はそれを反映しているということは間違いないので、その部分について必ず触れなくちゃいかぬということはそのとおりでありますが、おっしゃる御趣旨はわかりますので、なるべくその辺のところは考えさせていただいて、構成を一部変えてフォワードルッキングといいますか、そちらの方向のところへ入れさせていただきたいと思います。
【岩男委員】前回の案に比べると本当に私は格段によくなったと言うのは失礼な言い方なんですが、本当にいいものになっていると率直に思います。起草委員が非常に有能なのと、事務局が大変有能だということだと思いますので、お礼を申し上げたいと思うんですけれども、幾つか次元がいろいろなのですが、具体的に申し上げたいと思います。
7ページのところで「世代間の公平の視点」の最初のパラグラフなんですけれども、ここでは世代間の不公平感が拡大しているということを述べておられるわけですが、そのときに脚注でABCとあるんですけれども、私は統計の読み方は大したことはないという御発言もさっきあったように思いましたが、やはり論拠とするときにはそれが正しくないとまずいと思いますので、ここでは若い世代ほど負担が重くなり世代間の不公平が拡大していくことを不安の理由としているものが多いとなっておりまして、Bのところでそれを見ますと、実はこれはマルティプルチョイスの回答だと思うんですけれども、5番目に挙がっているのがまさにこの文言の部分なんてすね。それで、例えば1位に挙げられている不安を感じている理由として、社会保険料を支払っても将来確実に給付が受けられるかどうかわからないからという回答とは30ポイントも差があるので、これを非常に多いというふうに持っていくのは、データのやり方としても無理があるように思いますので、これは脚注まできちんと読むとちょっとおかしいという印象になると思います。
それから、同じページの「世代間の公平論議についてはのAという一番下のパラグラフなんですけれども、これはちょっとわかりにくいんですね。要するに、本来家庭で社会保障制度がなければ私的に負担しているものを、実際には社会保障制度によって賄ってもらっているという意味なんだと思うんですけれども、それがもう少し明快に出るように、例えば負担の前に私的とか、あるいは個人的にというような言葉を何か補って、もうちょっとわかりやすくしていただいたらと思います。
それから10ページなんですけれども、最初のパラグラフで「現行制度を個人単位に改めるべきであるとの提案があり」という記述になっておりますが、これは若干ひがみかもしれませんけれども、こういう書き方ですとほんの少しの人が提案したみたいに誤解をされるといけないと思っております。と申しますのは、前に男女共同参画社会基本法に抵触する可能性のあるいろいろな問題点、社会保障の問題点についてお話をいたしましたけれども、今、基本法に基づいて基本計画を政府の方で用意されているわけですが、そのためにこの男女共同参画審議会で答申を出しました。その答申を出す過程で、論点整理を公表したんですね。そうしたら非常に多くの意見が一般の方々から寄せられて、最も多かったのが実は大きな意味での個人化ですけれども、選択的な夫婦別姓の問題で、2つだけ飛び抜けて多かったということを総理府の方から聞いておりますけれども、2番目に多かったのがこの個人化の問題なんです。個人化に対する要望なので、これをもし入れるのであれば提案というよりも要望がありと言った方がずっと正しいんじゃないかと思うんです。あるいは、これを削除して、将来的には個人単位化の方向を目指すべきであるというふうにつなげる。これは、ほかのところはほとんど全部「ある」という文章になっているのに、ここだけ「あろう」というと平仄が合わないのでちょっとおかしいようにも思いますので、ここは直していただければと思っております。
それから18ページなんですけれども、ここで公的年金制度の一元化の問題を入れていただいて本当によかったと思っておりますが、「就業構造の変化等に対応し、公的年金制度を安定的に運営できるよう、制度の一元化」となっておりますが、それだけではなくて、また雇用の流動化にも対応できると、要するに年金がポータブルなものであるということがもう一つ大事な点なんだろうと思うんです。ですから、「安定的に運営できるよう」の後に、また雇用の流動化にも対応できるよう制度の一元化の方向を目指すべきであるというふうにしていただければと思います。
それから、補論の部分の37ページの最後のパラグラフです。ここの一番下のところで、「まだ、現行制度に代わりうる方策を見出すには至っておらず」というような表現になっておりますが、その点についてはここで議論しなかったんですね。つまり、どういう方策があるか。例えば、セチヤマさんなども今月の総合雑誌で非常にいい新しい案を出しておられますし、これはこれから知恵を出すところだと思いますので、具体的な制度としては公平かつ合理的な制度になるよう見直すべきであるとか、そういうふうにしていただければと思います。
それから、最後に未納者が非常に多いというのは今回は何もここでは、私が見落としていなければ触れていないと思うんですけれども、前にも申し上げましたように社会保険料を納付しやすい仕組みというのをもっと工夫する必要があるので、それを一言入れていただいた方がいいように私は思っております。以上です。
【貝塚座長】ただいまのところで、個人単位のところはこの表現は「あろう」というので、ですから男女共同参画会議の御提言とほぼ同じ文章に変えさせていただきたいと私自身は思っておりますので、将来的には個人単位に改めるなど必要に応じて見直しを行うべきであると変えさせていただきたいと思います。
【京極委員】私は、今回のこの案につきましては岩男委員と同じでございまして大変よくなってきたと。よくなってきたというのは前は悪かったということではございませんが、1月からこの有識者会議がやられた議論がちゃんと盛り込まれているかどうかということが一番の基本で、そこに論点を付け足しますと限りなく個人の学識経験者としての学説とか見解が出てきますので、大変各界を代表するすばらしい御意見がこの提案には盛り込まれていると私は評価しております。非常に総合的で、ある意味では21世紀を展望するいろいろなヒントが書かれているというふうに思っていますので、個々についてはまだ若干の修正もございますと思いますが、全体としてはこの線で国民に提示して大いに議論していただく案になっているんじゃないかと思っています。
ただ、先ほど矢崎先生もおっしゃっていましたけれども、選択の問題で私はいつも思うんですが、確かに国民の選択の問題はすべて選択と言えば選択なんですけれども、給付と負担の関係でどちらを取りますかというときの選択と、選択するしないにかかわらずやはり医療も進歩してきますし、介護サービスも国民に身近なものになってきますし、年金制度も金額の額はいろいろあるとしても、国民生活の重要な一部分として定着化しているわけでございますので、そういう社会保障制度がしっかりした一定の方向に向かって選択するか否かにかかわらず、一つの社会進歩というふうに言っていいかどうかわかりませんけれども、そういった明るさも一方で失わない見方が必要じゃないか。
それは最後のところで書いてあるとは思うんですけれども、選択、選択ということではなくて、選択するか否かにかかわらずこういう方向にいく。しかし、なおかつ選択が給付と負担についてはあるわけでありまして、その両面をちょっと触れていただければ結構かなと思っております。
基本的にはこれだけまとまってきましたし、補論等につきましても選択肢が書いてあって、これはまたこれで議論すればかなりきりがないことでございますので、なるべくここまできますと貝塚座長に一任いたしましてまとめていただければ結構かと思っております。
【堺屋経企庁長官】だんだん議論が収れんしてしまうとあれなので。
まず第1に、5ページの「社会保障と経済」のところはいったりきたりしていて何を言おうとしているのかよくわからないんです。ここをもう少し整理して経済活動を社会保障のこの状況でどうやったら維持できるかというのをちょっとはっきりしてもらいたいという感じがいたします。社会保障が消費を抑えるのか促進するのか、ここは明確にしていただきたいということが1つであります。
これは書き方の問題でしょうけれども、私どもの方で一昨年、国民経済白書で高齢化社会の問題を書きまして、そこで2つ置いたのは、1つは社会構造が変化して高齢者も働く側に入る。安定的に年齢で考えるのではなしに、70歳まで働けることが選べる社会になってくる。もう一つは、科学技術の進歩でやはり万物技術が進歩するとコストは下がるんじゃないかということですね。そういう点も考慮されるべきではないかという気がいたします。
その次にそれと関連して9ページでございますが、高齢者の雇用促進が定年の廃止とバリアフリーだけ書いてあるのですが、やはり産業組織からまちづくりまで高齢者対応の社会を全面的につくるんだということが必要だと思うんです。満員電車で2時間も通っていたのではやはり高齢者が働けないことになりますから、この部分はもう少し明るく働きやすい環境ということも重視していただきたいという気がいたしました。
それからもう一つはNPOについてです。NPOを評価していただいているのはそのとおりだと思うんですけれども、今、税制問題などが挙がっているんですが、具体的にNPOをどういう具合に支援していくのかというのがちょっと欲しいなという感じがいたします。
それから最後に先ほどの外国人のところなんですけれども、ここは女性と高齢者が先決であると書いてしまうと外国人の問題というのは相当先になるので、やはり同時並行的に考え出さなければいかぬ問題じゃないかという気がするんです。だから、していくこととともにとか、既にこれは去年、閣議決定しました経済社会のあるべき姿でも書いておりますし、法務省などでも検討課題になっておりますので、もう少し前向きに身近な問題として書いていただいた方がいいんじゃないかという気がするんです。そのぐらいです。
【貝塚座長】確かに、5ページのところは私も読んでいてそう思いました。もう少しすっきりと書いた方がいいと思いますので修正いたします。
それから、おっしゃった御趣旨で多少書き込めるところはNPOその他も文言を付け加えてと思います。
【堺屋経企庁長官】9ページの高齢者が働ける社会ということを具体的に提示していただくことが大事なんじゃないでしょうか。
【貝塚座長】御趣旨はわかりました。コミュニティその他でインフラとしてもうちょっと違ったものということですね。その点は文言を付け加えたいと思います。ほかにどうぞ。
【木村委員】前にも報告書についての意見は申し上げました。それで、その当時から将来の社会保障構造の在り方を考えるときに今の行政のスタンスから余りにもはみ出していないという印象を持つような報告書はどうかというふうに懸念しておりました。それで、貝塚座長を始め起草委員の先生方、そして事務局のお力添えによって、前の報告書から比べますとかなりの改善があって感謝申し上げます。それでもまだ、少し意見を申し上げたいことがあります。
全体の印象ですが、私は個人的には負担が増えるから真っ暗だというような受け取り方もおかしいのではないかと思っておりますが、それは別にしましても、例えば健康なときの年金の給付制限とか、そういうことがあっても病気や介護が必要になったときは本当にそういった制度を守っていこうというふうなめり張り、あるいは公的なものが減ったとしても民間でそういった機会をつくっていくんだというふうなめり張りがもう少しあってもいいのではないかと思っております。
あとは、今日論点を絞りますと2点ほど申し上げたいことがあります。1つは、いろいろな意見を入れてくださったけれども、やはり例えば社会保険方式にウェートを置いたような議論とか、そういったものから脱却できなかったという点が個人的には残念なことだと思いますし、それから女性の個人単位化のことですが、10ページについては貝塚先生が個人単位化にするとおっしゃってくださったのでそれでありがたいと思いますが、私は現実的に非常に問題なのは37ページの表現だと思っております。一番下の段落なんですが、「具体的な制度としては、まだ、現行制度に代わりうる方策を見出すに至っておらず」というふうに書くということは、ここで議論をされた記憶があるかないかとは別に「現行制度に代わりうる方策を見出すに至っておらず」という表現は当分の間、現行制度を変えないということですね。個人化の方向で検討しようというときに、どうしてこういうようなものを入れる必要があるのかと思います。現行制度の持っている長所とかというのは、ほかの箇所で私は十分触れられているのではないか。ですから、この37ページの具体的な制度としておらずというところを私は削除を求めて、今日の会議で結果をお聞きしたいと思います。以上です。
【貝塚座長】木村委員がおっしゃることもよくわかりまして、今の37ページの文章は多少最初の文章との関係でそこが変わりましたから表現は変えたいと思います。そうしないと、整合性はとれないと思いますので。
【高木委員】堺屋長官にお尋ねしたいんですが、外国人労働者の受入れは長官はどれぐらいのボリュームを想定されてそういう御議論をなさるのか。数十万のオーダーなのか、数百万のオーダーなのか。現実問題として、それぞれの国々のいろいろな状況の中で供給圧力みたいなものが、例えば中国について中国が潜在的に置かれている状況の中でどれぐらいの供給圧力を持っておるというふうに御認識ですか。それで、いざ受け入れるとなると、どこどこの国は別だどうだということはできませんから、ルールとしては普遍化したものでと。ですから、その辺の外国人労働者問題を議論いたしますときにどれぐらいのことをイメージされて議論されるかによって議論はものすごく変わると思うんです。ですから、ちょっとその辺をと思います。
【堺屋経企庁長官】世界じゅう国別クォーターというのをやっておりますから、それはできないことではないと思います。それから、3年間ならば3年間で帰れというような方法を、一番典型的なのはスイスでございますけれども、そういうことをやっている国もあります。したがっていろいろな方法はあると思いますけれども、私は少なくとも2020年ないし25年ぐらいまでは男女共同参画と高齢者の活用と外人労働者の受入れによって労働化率が落ちない程度にはしないといけないと思います。だから、高齢者が増えて労働化率が下がってきます。それを補う程度にはやはり入れていかなければいけない。そうしますと、やはり年間10万単位ぐらいからだんだん累積して、最後はやはり200 、300 万までいくんじゃないでしょうか。今ドイツが数百万ですが、日本はドイツより人口が多いですからドイツの比率の恐らく3分の1とか、そのぐらいの比率まではいくんじゃないでしょうか。そのことが刺激になって、また子どもを生むチャンスも増えてくると思うんですけれども、かなりのボリュームだと思います。
【高木委員】ここで議論する時間もないかもしれませんが、そんなに日本の都合だけでこういう問題が議論できるのかどうか。それから、例えばドイツにおける人たちの問題等も私どももいろいろ聞いておりますけれども、そういう意味でいたずらに衝撃的にということではないつもりですが、今、長官がおっしゃったように200 、300 万人ということで本当に制御できるんですかと。私は国際関係やらいろいろな関係も見たときに、スイス型の国別クォーターというのはいろいろございますけれども、いざやるとなったら私は数百万のオーダーでは済まない話を、本当に日本国民が37万平方キロの中で耐えていけるのかぐらいのことで構えて議論しないと、そんな簡単な話じゃないとと思っているんです。
【堺屋経企庁長官】簡単な話ではないと思います。
【貝塚座長】ただいまの御議論はある意味では非常に重要で、ある意味では難しい問題ですが、先ほどの堺屋長官の御発言もありますので、この文言について多少検討はさせていただきたいと思います。ほかに何かございますか。
【京極委員】外国人の問題につきましてはここに書いてあることでいいと思うんですけれども、外国人の方が働きやすい日本に来て恨まないようなきちんとした対応をするということが一番大事なことだと思うんです。
それと同時に、日本で障害者とか働ける高齢者に仕事の場がないという非常に悲しい現実があるわけで、もっとそういうところも雇用開発とか、そういう努力は必要で、今度社会保障と労働力行政との接点ができますので期待しているところなんですけれども、例えば精神障害者が120 万人もいらっしゃって生活保護とかその他を受けていらっしゃるわけですが、こういう人たちが税金の払い手になるかどうかというのは大変日本の社会にとって明るい方向ができるかどうかということになりますので、その点でもすぐ外国人労働者にならない方向に議論を進めていかなくちゃいけないんじゃないか。並行的に進めて議論をしていかなくちゃいけないと思います。
【津島厚生大臣】委員の先生方の御意見はいずれも私はもっともで感銘を受けておりますが、1つだけ別にコンテストする意味ではございませんが、高木委員のおっしゃった年金のカットという話ですね。さっきおっしゃったあの年齢層というのは、恐らく昭和10年から15年ぐらいまでに生まれた方のお話だと思います。そうすると今55から60ですが、この方々はこの間の年金法の改正でもおっしゃるようなカットにはなっていないと一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
【貝塚座長】ほかにございますか。
【渡邊委員】手短に申し上げますが、先ほどの28ページの表にまだこだわっているんですが、これはどう動くか動かないのかということとも関連しますが、国民負担率で見るとスウェーデンは70%を超しますね。フランスは60%前後、日本が現在は三十何%でいずれ51%までいくということがあるわけですが、この国民負担率は51%でほぼ永続的に止まると考えていいのか。これは25年の推計を書いているんですが、2050年には私などは生きていないんですが、どうでもいいとは言えないので、そのころになるともっと上がるのか。
それから、国民負担率70%でもスウェーデン経済というものはそう停滞していないですね。悪化しているとは思えない。ということは、国民負担率はかなり上がっても国は滅びないというか、経済の活力は失われないと考えていいのか。特に聞きたいのは、51%で止まるという見通しならば、まだそのぐらいの国民負担率で済むならば、将来そう真っ暗じゃないよと。しかし、70、80%になると大分暗いですね。その辺が、それとも国民負担率を除いた可処分所得、これは消費に影響があり、経済の活力に大変な影響があり、国際競争力にも影響が出てくる。そういう点から考えて、この数字をもう少し解説していただけないかどうか。
【貝塚座長】解説は結構私は難しいと思いますが、例えばスウェーデンのことをおっしゃいましたけれども、スウェーデンは社会組織として日本とかなり違った部分がありまして、言ってみればNPOないし社会組織として結果的に非常に相互扶助的にある部分がなっていまして、それを前提にしてこの数字があって、スウェーデン経済は一時期悪くなりましたけれども今はかなり戻りました。しかし、スウェーデン自身も社会保障のある意味での改革はある程度やったと思います。ですから、国民負担率がスウェーデンの数字は日本でワーカブルかどうかというのは非常に難しい問題ですが、この辺のところまでは何とかやっていけるんじゃないかという意味を含めてこの50%というのは挙げているということです。何か宮島委員あるいは起草委員あるいは専門の方々で何かございますか。
【渡邊委員】スウェーデンである程度社会保障費をカットした。あの改革は、児童手当をなくしたんじゃなかったですか。違いますか。
【事務局】児童手当は廃止しておりません。いろいろ改革が行われておりますが、例えば老人医療等、日本で言えば介護等を医療から福祉の方に移すとか、そういう改革は行われておりますが、児童手当は廃止されたということは聞いておりません。
【宮島委員】スウェーデンのことですが、先ほどの数字で現在の給付を維持した後、人口構成の変化などを入れて大体31%ぐらいになるだろうとございますね。それだけの数字でいろいろ判断するのは難しいのですが、それと今、日本の財政赤字、国債が非常に大きい。これを仮にヨーロッパぐらいに縮小することを考えると、やはりその上に乗せなければいけないだろう。そうすると、均衡財政をとりますと平成37年ですか、2025年は国民負担率が64%ということになるわけです。この数字をただ言えばですね。
しかし、これは先ほど言いましたように給付の削減とありましたし、赤字が全くゼロということは多分ないので、ただ、私どもの見るところはこの推計が正しいかどうかは別にしまして一番ベースの、ベースと言ってもかなり下の方に近い推計になるのではないかという気がしまして、その1つは財政赤字の存在だろうと思っております。
【津島厚生大臣】この数字を評価する上で一番の問題は、国民負担のうちの税負担を20そこそこと見ているということです。これは今よりも低いです。しかし、そこに隠れているのは今、宮島先生がおっしゃった膨大な隠れ借金なんです。そして、今後果たして今の水準で租税負担を維持できるかの方が大変な問題でございます。ですから、トータルとして見るとこれはやはりずっと50ぐらいが日本のあるべき姿だと思われます。ヨーロッパにもいかないし、アメリカよりはもう少し高いというレベルできた、そのメルクマールに沿うのであるとすれば、福祉の方はこういう努力をすると。ただ、もう一つ大きな努力は、それこそほかの歳出面で効率化しなければならないということが含まれていることだけ付け加えさせていただきます。
【清家委員】起草委員以外の人が発言してからと思ったのですが、よろしいですか。
先ほど来いろいろ議論が出ております9ページの「支え手を増やす」というところで、堺屋長官が言われたように私も確かに高齢者の就労環境についてももうちょっと加えた方がよろしいと思っております。
それから、堺屋長官は少し深読みをしてくださって、そこは定年退職制度を見直すというのを廃止すると書いてあるというふうにおっしゃいましたが、私は最初そう言いましたけれども、それではちょっと通らないだろうということでここは見直すというふうになっておりますので、そこまではいっておりません。
ただ、これはもちろん高齢者を総動員して支え手を増やすということではなくて、あるいは障害者、高齢者総動員ということではなくて、あくまでも最初のポツのところの前提が大切だと思うんですが、その意欲に応じて働く意欲を持つ者が働くことができるということで、もちろん早く引退したい人はそれなりの対応で引退できるということが大切だと思います。
それで1つだけ確認なんですが、後で修文するときに、先ほど高木委員が9ページの3.のところについてコメントされたんですが、私も多分65歳までの雇用延長とか、そういうようなことを先ほど貝塚座長が言われたように書き込むことにはもちろん賛成ですし、必要かと思いますが、その際に高木委員の御意見は、例えばここに書いてある「高齢者の就業促進のためには、その妨げとなっている定年退職制度を見直すなど、雇用における年齢だけを理由とする不利な取扱いを改める必要がある」という文章を65歳までの雇用延長に差し換えろということでしょうか。あるいは、これは残して65歳までの雇用延長を入れてほしいという御意見なのか。その辺だけ確認したいと思います。つまり、この部分について御反対なのか、あるいはこれは削除してほしいという御意見だったのかということです。
【高木委員】これは付け加えていただきたいところだと思っています。ただ、定年退職制度の見直しあるいは年齢差別の問題をきちんとしていくのならば、いろいろな処遇条件全般に構造的にもそれにそぐうようなことを同時に議論していかないといかぬ世界があるんじゃないかなと思っています。ここの文章は、そういう意味で付け加えていただいたらいいと思います。
【木幡委員】小さいことかもしれないんですけれども、効率化のところになるんでしょうか。ちょっと見てみたところ、17ページの「給付の見直しと効率化」ですが、医療とかに関しては割とカルテの開示とか透明性のことをITなどを利用してと書かれているんですが、年金のことを一番知りたいということが周りでも多いし、確かに制度がとてもわかりにくいということから未払いが生じていたりすると思うので、そういった議論もたしかあったと思うので、もっと年金に関しても知りたい情報がすぐ得られるようなITとかを利用したサービスというか、そういった透明化を確保するのも重要であるかなと思います。17ページにできるだけわかりやすい仕組みであることが望ましいと、社会保障制度全般に関して下から3ブロック目くらいに書いてありますが、もう少しこの辺も具体的に、知りたい情報がすぐに今はないし、特に年金に関しては不安も多いと思うので、そういったことももう少し書いていただければと思いますが、書いてありますか。
【貝塚座長】25ページの下から2つ目のポツですか。「社会保険を運営する事務機構は、一層その効率化を求められることはいうまでもなく」と、そこに情報提供の充実と、今おっしゃった点は社会保険全体の話として年金も当然含まれているわけですが、場所はどうでしょう。もう少しここに書き加えたらいいのか、ちょっと検討させていただきます。
【木幡委員】是非それをやってほしいということを付け加えさせてください。
【坪井委員】今日は一応我々としてもこれに同意をするというところまで必要なんでしょうから申し上げますけれども、私はこれで出していただいていいかなと思っております。 ただ、今日も御意見がたくさんあるように、かなりまだ言い足りないところがいっぱいあるだろうと思うんです。ですから、これが出ていったときに、あのときああ約束したじゃないかと言われないようにしないと、また我々が何も言えなくなると困りますので、その辺のところは座長の責任よりは厚生大臣の方でしょうから、そんなことを言わないように約束してもらうということです。
例えば、これに関係して非常に医療がわかりにくいと閣僚の方はおっしゃるわけです。全然出ていないからわかりにくいわけです。医療はものすごくわかりやすくなっているんですけれども、それが出てきていないんです。ですから、これを基盤にして医療のわかりやすい部分を入れていく。例えば、先ほどの75歳の話もそうですし、堺屋長官がお話になっていた高齢者の就労率も、65歳の時点で若いときから健康教育をしていくと1.8 %上がるというデータがあるんです。そういうことを入れていきますと、医療も大変わかりやすくなると思うんです。ですから、そういうことをこれから後、議論させてくれるという約束を厚生大臣から取って、その上でこれに対して私は賛成しますということになると思います。
【津島厚生大臣】後でまとめて申し上げようと思いましたが、医療、年金それぞれ各論について時間が足りなくて十分カバーできない点があるのはよくわかっておりますので、これからそういう議論をしていただくという意味で自由闊達な御叱責を期待をしております。
【高木委員】今、坪井さんがああいうことをおっしゃったので、私は言うのを忘れておりましたが、20ページの一番上の「何らかの形でその伸びを抑制する枠組みをつくらなければならないのではないか」と書いてある。これは「のではないか」というのをやはり取らなければいかぬのじゃないか。
【坪井委員】だけど、「のではないか」かもしれないですね。やってみなければわからないから。
【高木委員】できたらこれは取っていただきたいなと思います。
【貝塚座長】高木委員の御発言についてはテイクノートいたします。
先ほど来いろいろ御質問あるいは御意見をいただきまして、大変多くの御発言をいただきましてありがとうございました。今日御質問なさった点につきましては、私が多少申し上げたような形で修文させていただくということはここで既に申し上げましたので、それを含めて報告書案についておおむね御了解いただいたものと考えております。ですから、あとは多少修文できるところ、あるいは今日御意見をいただきました点でいろいろ文章は変えさせていただいたり、補足させていただいたり、場所を変えたり、そういうことはさせていただきたいと思いますが、本日の御議論を深めましてもう一度起草委員の方々と御相談しながら、私の責任において最終的な加筆修正を行って取りまとめをいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
【高木委員】よろしいというふうに申し上げざるを得ないと思うんですが、ただ、この議論に参加させていただきまして、その参加した責任は十分承知して発言するつもりですけれども、いろいろ求められるときにその評価はこういうふうにしますということは言わせていただきますので、それはよろしくお願いしたいと思います。
【貝塚座長】全くその点については結構です。
どうもいろいろありがとうございました。それでは、私の責任で最終的な取りまとめを行い、後日森総理大臣に報告書を提出したいと思います。
ここで中川官房長官からごあいさつがございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【中川内閣官房長官】本日、総理大臣は公務のため欠席でございますので、内閣を代表して一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。まず、貝塚座長を始め委員の皆様方には、年初以来、御多忙な中にもかかわらず精力的に御議論を重ねていただきましたことに、厚く御礼を申し上げます。また、特に起草委員をお引き受けいただきました方々には、この一か月余りの間、報告書の起草作業に大変なお骨折りをいただいたと伺っております。重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
前回の会議で総理からお話がありましたとおり、委員の皆様には、社会保障の基本理念と改革の方向性について明らかにすることによって、国民の皆様に明快なメッセージを発信していただけるようお願いしてきたところですが、今回の御提言は、私どものこうした期待に的確にお応えいただいたものと受け止めております。最終的な取りまとめは、後日、座長から頂戴することになりますが、今後は、政府としての具体的な取組が問われるものと認識しております。御提言の中には、政策運営の在り方についての御注文もございますが、この点も銘記した上で、内閣を挙げて、社会保障改革に取り組んでまいる決意でございます。
皆様には、今後とも御支援と御協力をいただきますよう心からお願いをいたしまして、御礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。
【貝塚座長】それでは、厚生大臣からお願いします。
【津島厚生大臣】それでは、私からも一言御礼を申し上げたいと思います。
まず委員の皆様方、誠に御多忙な立場でおありになるにもかかわらず、約9か月の長期にわたりまして本有識者会議において御議論をいただき、本日おおむね議論を取りまとめていただいたことに心から御礼を申し上げます。社会保障に長年携ってまいりました私でございますけれども、委員の皆様方の御議論を拝聴する中で、その熱のこもった御議論に感銘を受けますとともに、改めて社会保障の重要性や抱える問題の大きさを痛感しておるところでございまして、この問題をあずかる者として今、身の引き締まる思いでございます。
振り返りますと、この有識者会議は厚生大臣の諮問機関ということでなくて、総理の下で社会保障をその枠内だけで議論するのでなく、税制などとも関連する諸制度の在り方も含めて議論することを目的として設けられたと承っておりまして、今度お示しいただきました報告書におきましては税制に関する問題を含め、総合的な観点からの御提言が幅広く盛り込まれており、大変意義深いものと考えております。
また、従来から私は社会保障の改革を進めるに当たってはできる限り骨太の選択肢を国民にお示しし、選択していただくことが重要であると考えておりましたが、委員の皆様にも国民の選択の判断材料をお示しいただくようお願いしてまいりました。この点につきまして、報告書では21世紀に向けて負担増を甘受できるか、あるいはできるだけ負担を抑えていくのかについてとるべき選択を国民にお示しになるとともに、少子高齢化が進行する中である程度の公的資源の投入は避けられないことを示した上で、我が国の社会保障は社会保険料と税の組み合わせで賄われていることから、増大する費用を賄う際、保険料か税か、国民が選んでいただかなければならないことを示し、更にこれからの急激な高齢化の中で保険料のほか、公費負担の引上げが求められるということにもしなれば、この会議ではそこまで十分な御議論をする時間はございませんでしたが、どのような税財源があるのかという点についても国民が選択をしていただきたいことも示唆しておられると思うのでございます。
また、年金医療改革についての論及がもう少しあった方がよいという御意見も十分理解できますが、この点は更に私どもが真剣に努力、研究すべき課題として今日は受け止めさせていただきます。
今後、この会議で御提起いただきました社会保障の改革についての方向性に関しましては幅広く国民的議論が喚起され、国民自らが十分考えた上で、納得しながら21世紀の社会保障が形づくられていくことを期待したいと思います。この報告書に盛り込まれました御提言を十分に踏まえて、21世紀に向けた社会保障の改革に全力で取り組んでまいりますことを御決意を申し上げ、御礼のごあいさつといたします。本当にどうもありがとうございました。
【貝塚座長】どうもありがとうございます。最後に座長があいさつするということですので申し上げます。
この会合は今日、一応おおむね御了解をいただきまして、座長を務めさせていただきました私として皆様に本当に御礼申し上げたいと思います。この有識者会議は、故小渕前総理の御意向ででき上がったものでございまして、いろいろ今まで御議論いただいたところは、やはり社会保障制度は信頼される制度として持続的にきちんと社会の中に組み込まれていく必要があって、そのためには今の段階でどういうことが考えられるかということについてかなり基本的な論点をそれぞれ専門家の方々から伺い、骨太な議論をさせていただきたいということでやってまいりました。それで、社会保障につきましてはそれぞれ基本的な価値観が委員相互間でも多少の相違があるわけでありますが、しかしそういうことを違いがあるにせよ、改革の基本的な方向について国民の皆さんに判断の材料といいますか、できる限り中立公平な立場から判断の材料を提供できるということが第一歩として一応でき上がったんじゃないかと考えています。
いずれにいたしましても、今後ともこの報告書を受けていろいろな議論が喚起されて、最終的には今後の日本の社会にとって有意義なものであったということになることを切に希望いたしまして、私のあいさつの終わりにしたいと思います。どうも9か月の長きにわたりまして御尽力をいただきまして、私は非力ではございますが何とか交通整理ができて、ちょっと冗談でありますが、もう一回ぐらい会合をやらなくちゃいかぬのかなと思っていたんですが、今日おおむね御了解をいただきましたので大変感謝しております。
今日は、後でまた記者会見をさせていただきまして最終報告書のおおよそのことを新聞記者の方に御説明いたします。御多忙のところ、長時間にわたりありがとうございました。 なお、夕食が出るようですので、時間のある方は夕食をとっていただいてお帰りいただきたいと思います。どうもありがとうございました。