V 独立行政法人制度に関する大綱事務局原案


目 次

1.独立行政法人制度の基本

2.独立行政法人の設立等

3.独立行政法人の運営

4.財務・会計

5.公表

6.評価等

7.役員

8.職員

9.法人登記制度

10.通則法令、個別法令等の手当ての区分等

11.労働関係への配慮


 下記の方針に基づき、独立行政法人通則法令案等の作成作業等を進める。

  1. 独立行政法人制度の基本

     独立行政法人の制度を設けるに当たっては、事前関与・統制を極力排し、事後チェックへ重点の移行を図るため、所管大臣の監督、関与を制限するとともに、財政民主主義の観点等からの国の関与も必要最小限のものとする。


  2. 独立行政法人の設立等

    (1) 法令の整備

     独立行政法人の運営の基本、監督、職員の身分、設立その他の制度の基本となる共通の事項を定める「独立行政法人通則法令(仮称)」(以下「通則法令」という。)を整備する。
     また、独立行政法人の目的及び業務の範囲、通則法令を補う内容等を定め、独立行政法人を設立するための個別の法令(以下「個別法令」という。)を整備する。個別法令においても、独立行政法人の特性に応じた組織、運営が可能となるよう、弾力的な仕組みとする。

    (2) 独立行政法人の法人格

     独立行政法人は、法人格を有することとする。

    (3) 独立行政法人の名称

     独立行政法人以外の者がその名称中に独立行政法人という文字を用いてはならないこととし、また、独立行政法人の名称を独立行政法人以外の者が使用することを制限することとする。
     なお、独立行政法人の名称に「国立」という文字を用いることの是非について検討する。

    (4) 権利義務等の承継等

     事務及び事業の独立行政法人への移行に際しては、当該事務及び事業に係る権利義務等の承継や引継ぎについて適切な措置を講ずることとする。

    (5) 独立行政法人の設立の審査手続等

     独立行政法人の新設に係る機構管理上の審査を行う場合におけるその審査手続については、独立行政法人制度の趣旨・目的にかんがみ、必要最小限の範囲(業務範囲等)とするとともに、その審査に当たっては、関係資料等を必要最小限とするなど、できる限り簡便なものとすることとする。

    (6) 独立行政法人の解散

     独立行政法人の解散については、別に定めることとする。

    (7) 所管大臣の関与

     所管大臣が関与できる事項として、一般的な監督規定は置かず、個別的に次のような事項を法令で限定的に規定する。ただし、所管大臣と独立行政法人との間で、業務に関して日常的な連絡調整等を行うことは可能である。

    1) 独立行政法人の業務及び組織運営の基本事項の認可
    2) 中期目標の設定
    3) 中期計画の認可等
    4) 年度計画の受領等
    5) 受領した年度計画の予算に関する部分、決算報告書及び財務諸表(案)の所要の確認等
    6) 年度を超える短期借入金、中期計画外の重要財産処分等についての認可
    7) 独立行政法人の長及び監事の任免
    8) 中期計画の終了時における独立行政法人の業務の見直しに基づく所要の措置
    9) 独立行政法人の給与の基準等に関する届出を受けること


     また、独立行政法人の業務に関し、違法又は公益侵害を是正する場合における所管大臣の独立行政法人に対する業務是正の命令、独立行政法人からの報告聴取について規定することとする。
     なお、特段の必要がある場合に限り別に定めることができる関与事項として、独立行政法人に対する立入検査、緊急時の所管大臣の指揮監督権等について検討する。

    (8) 財政担当大臣に対する協議

     所管大臣は、中期計画の認可等に際しては、財政担当大臣に協議しなければならないものとする。

    (9) 内部組織

     独立行政法人の役員に関するもの以外の内部組織は、法令で定める基本的枠組みの範囲内で、独立行政法人の長が決定し、その決定や変更・改廃は所管大臣に報告するものとし、従来型の組織管理手法の対象外とする。


  3. 独立行政法人の運営

    (1) 業務

    1) 独立行政法人が行う業務は、法令により定められる本来業務及びそれに附帯する業務に限られるものとする。

    2) 独立行政法人による出資等は、独立行政法人の本来業務及びそれに附帯する業務に係るもの以外には認めないものとし、法令に定めがある場合に限る。

    (2) 独立行政法人の業務及び組織運営の基本事項

    1) 独立行政法人の業務及び組織運営の基本事項は、次のような事項とし、これについては、府省に置かれる評価委員会の審議を経て、所管大臣の認可を受けるものとする。
     イ 業務に関する具体的事項
     ロ トップマネジメントに関する事項
     ハ その他

    2) 独立行政法人の長は、同様の手続により基本事項を変更することができることとする。

    (3) 中期目標

    1) 独立行政法人の中期目標について、所管大臣は、3年以上5年以内の期間内で、業務の内容や性質に応じて、次のような目標をできる限り数値により定めることとする。
     イ 中期目標の期間
     ロ 目標を達成するための業務運営の効率化
     ハ 国民に対して提供するサービス等の業務の質の向上
     ニ 財務内容の改善
     ホ その他業務運営に関する目標

     なお、独立行政法人の業務の性格に応じた目標の設定となるよう特に配慮するものとする。

    2) 所管大臣は、当該中期目標を定める場合には、府省に置かれる評価委員会の意見を聴かなければならないものとする。

    3) 所管大臣は、独立行政法人の業務に係る重大な事情の変更等の特段の必要がある場合には、同様の手続により中期目標を変更することができることとする。

    (4) 中期計画

    1) 中期目標を達成するための中期計画について、独立行政法人の長は次のような事 項を定めることとする。
     イ 中期目標で定められた期間
     ロ 業務に関する計画
     ハ 財務に関する計画
     ニ 施設・設備に関する計画
     ホ 人員に関する計画
     ヘ 給与等勤務条件に関する計画(注)
     ト その他

    (注)一定の方法により算定された人件費の見積りが含まれる。

    2) 所管大臣は、府省に置かれる評価委員会の審議を経て財政担当大臣と協議して、中期計画を認可するものとする。

    3) 中期計画は、必要に応じ、計画期間中の変更も同様の手続により可能とする。

    4) 所管大臣は、法人の業務に係る事情の変更等の特段の必要がある場合には、独立 行政法人の長に対し中期計画の変更を行うよう命じることができることとする。その場合には、上記の手続により中期計画の変更を行うものとする。

    (5) 年度計画

    1) 独立行政法人の長は、中期計画の期間中の各事業年度の業務運営に関し、中期計画の事項を年度ごとに具体化した年度計画を定めることとする。

    2) 当該年度計画のうち、予算に関する部分については、府省に置かれる評価委員会による審議を経て、所管大臣の所要の確認の手続を要するものとする。所管大臣は、年度計画の予算に関する部分が中期計画と適合していないと認めた場合に限り、独立行政法人の長に対して、当該年度計画の予算に関する部分の変更を命ずることができるものとする。

    3) 所管大臣は、府省に置かれる評価委員会が年度計画が中期計画と適合していないと評価した場合に限り、独立行政法人の長に対して、当該年度計画の変更を命ずることができるものとする。

    4) 年度計画は、必要に応じ、年度中の変更も同様の手続により可能とする。

    (6) 中期計画期間中の業務運営の改善等の措置

    1) 独立行政法人は、業務運営や役職員の処遇等に関して、府省に置かれる評価委員会の評価結果を反映するように努める。また、次期年度計画や次期中期計画の策定に当たっては、府省に置かれる評価委員会の評価を踏まえるものとする。

    2) 所管大臣は、府省に置かれる評価委員会の評価結果を踏まえて、次年度計画の予算・決算等の所要の確認、次期中期目標の設定、次期中期計画の認可、独立行政法人の長等の人事を行うものとし、任期途中の独立行政法人の長の交代等もあり得るものとする。

    (7) 中期計画終了の際の見直し

     所管大臣は、中期計画の期間の終了の際に、評価委員会の評価も踏まえ、独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他当該組織及び業務の全般にわたる検討を行うとともに、その検討結果を業務の継続、業務運営の方法(中期目標の設定、中期計画の認可等)、組織の在り方、長等の人事等に反映させるよう所要の措置を講ずるものとする。


  4. 財務・会計

    (1) 資本等

     独立行政法人の資本等については、次のとおりとする。

    1) 独立行政法人には、資本金を置くことができるものとする。

    2) 独立行政法人は、その設立に当たり国からの出資を受け入れることができるものとする。別に法令に定めがある場合には、地方公共団体や民間からの出資を受け入れることができるものとする。

    3) 独立行政法人に対する土地、建物等の現物出資も可能とする。現物出資される財産の価額は、時価を基準に評価することを原則とし、資産評価委員が評価することとする。

    4) 独立行政法人は、必要があるときは、中期計画の定めるところにより、増資を行うことができるものとする。減資は、別に法令を定めて行うことができるものとする。

    5) 国有財産等の無償使用も可能とする。

    (2) 事業年度

     独立行政法人の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとする。

    (3) 会計基準

    1) 適切に情報開示を行うために、独立行政法人の財政状態及び運営状況を明らかにすることを目的とする。

    2) 独立行政法人の会計基準は企業会計原則によることを原則とするが、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない等の独立行政法人の特殊性を考慮して必要な修正を加えた包括的かつ詳細な規定を省令等の形式で措置する。

    (4) 国の予算上の措置

    1) 考え方
    イ 独立行政法人は、一般的には独立採算制を前提とするものではない。独立行政法人への移行後は、国の予算において所要の財源措置を行うものとする。

    ロ なお、独立行政法人に対する移行時の予算措置に当たっては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当該事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮するものとする。

    2) 予算措置の手法
    イ 独立行政法人に対する予算措置については、所管大臣が予算要求を行うものとする。

    ロ 独立行政法人に対する国の予算措置については、中期計画に定めるところに従い、運営費交付金及び施設費等を毎年度の予算編成の中で確実に手当てする。具体的には次のいずれかの方法によるものとする。

    [手法1]
    中期計画において計画期間中の予算措置の総額を定め、国庫債務負担行為として予算に計上する。各年度予算においては、これを具体的に歳出化する。

    [手法2]
    中期計画において計画期間中の予算額算定のためのルールや投資計画を定める。各年度の予算編成においては、ルールの具体的適用や投資計画の実現を図る。

    3) 運営費交付金
    イ 独立行政法人の事業の運営のため、国は運営費交付金を交付する。

    ロ 運営費交付金はいわば「渡し切りの交付金」として措置する。国の予算においては、独立行政法人ごとに、例えば一項一目を立て、使途の内訳は特定しない。

    ハ したがって、運営費交付金を財源とする独立行政法人の支出予算については、その執行に当たり、国の事前の関与を受けることなく予定の使途以外の使途に充てることができるものとする。また、法人において年度内に遣い残しが生じた場合であっても翌年度に繰り越すことができるものとし、不用額は立てない。

    4) 独立行政法人に対する施設費等
    イ 独立行政法人の施設費等に係る経費であって、国の予算において公債発行対象経費であるものについては、運営費交付金とは別に措置する。(注)

    ロ 上記の経費は、国の予算においては、必要に応じ繰越明許費として計上する。

    ハ 措置された施設費等は、上記の枠組みの中で、中期計画に定めた範囲内で弾力的に執行する。

    (注)投資的経費であっても公債発行対象でない経費は、運営費交付金の中で措置する。

    5) 人件費
    イ 所要の予算措置は、運営費交付金の中で手当てする。

    ロ 運営費交付金の算定の基礎として、人件費相当額について、あらかじめ一定の ルールを定めることができる。

    6) 寄附金・受託収入・手数料等
    イ 独立行政法人に対する寄附金、外部からの受託収入、手数料収入、入場料収入等については、別段の定めのあるものを除き、法人の収入に直接計上することとし、国の会計の歳入・歳出外で扱う。

    ロ 国は、独立行政法人を一の受託者として、委託金を支払うことを妨げない。

    ハ 独立行政法人においては、国の複数の会計からの収入がある場合など、必要に 応じて、区分経理を行うものとする。

    (5) 借入金等

    1) 独立行政法人は、中期計画に定める限度において、短期借入を行うことができる。短期借入金は、年度内償還を原則とし、やむを得ず借入が年度を超える場合には、財政担当大臣との協議を経て、所管大臣の認可を得るものとする。

    2) 長期借入及び債券発行は、別に法令に定める場合に限り行うことができる。その際、償還計画等の所要の手続についても併せて定めるものとする。

    3) 政府は、別に法令に定める場合に限り、法人の債務の保証を行うことができる。

    (6) 余裕金の運用方法

    1) 独立行政法人の余裕金について、安全資産に限り運用を認めるものとする。

    2) 安全資産の範囲については、元本保証を原則としつつ、引き続き検討する。

    (7)重要な財産の処分

    1) 独立行政法人の重要な財産の処分については、中期計画に記載することにより可能とし、中期計画外のものは、個別に財政担当大臣との協議を経て、所管大臣の認可を得るものとする。
     なお、重要な財産の範囲は所管大臣が定めるものとする。

    2) 独立行政法人の重要な財産については、独立行政法人の本来の業務目的のために第三者に使用させることを可能とする。法人の本来の業務目的外で第三者に使用させることは、中期計画に記載することにより可能とする。

    (8) 剰余金等

    1) 毎事業年度の剰余金の扱いは次のとおりとする。
    イ 独立行政法人は、企業会計原則上の利益剰余金を積み立てることができるものとする。ただし、前事業年度から繰り越した損失がある場合には、まずそれを埋めなければならないものとする。

    ロ 独立行政法人は、府省に置かれる評価委員会が経営努力により生じたとした剰余金については、あらかじめ中期計画に定める一時的な使途の範囲で中期計画の期間中に使用できることとする。

    2) 中期計画終了時の剰余金の扱いについて、独立行政法人は、繰り越した損失を埋めた後、残余がある場合には、府省に置かれる評価委員会の審査を経て、例えば、半額を積み立て、半額を国庫納付するものとする。

    3) 独立行政法人は、損失が出た場合は繰り越すことができるものとする。

    4) 上記の処理は、剰余金処分計算書の中で行う。

    (9) 財務諸表の作成等

    1) 独立行政法人の財務諸表の体系は、以下の方向で検討する。
    イ 貸借対照表
    ロ 損益計算書
    ハ 剰余金処分計算書
    ニ 附属明細表

     なお、資金収支計算書に関しては、企業会計原則に係る動向を踏まえつつ、その位置付けについて検討するものとする。

    2) 一定規模以上の独立行政法人については、会計監査人による会計監査を義務付けるものとする。

    3) 独立行政法人は、毎事業年度、財務諸表(案)を作成し、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、監事(会計監査人による会計監査が義務付けられた独立行政法人にあっては、監事及び会計監査人)の意見を附して、翌年度の6月30日までに所管大臣に提出しなければならないものとする。

    4) 所管大臣は、これらの書類を府省に置かれる評価委員会に諮った上で所要の確認等を行わなければならないものとする。

    5) 所管大臣は、これらの書類を財政担当大臣に通知するものとする。

    (10) 税制

     独立行政法人に対する課税関係(独立行政法人に対する寄附金の取扱いを含む。)について、国の事務及び事業の実施主体が独立行政法人へと変わることに配慮しつつ、法人の具体的な内容に応じた共通の取扱いを検討する。
    (国税:法人税、所得税、登録免許税 その他)
    (地方税:固定資産税、法人事業税、不動産取得税 その他)


  5. 公表

     独立行政法人は、次のような事項を、官報等への公告、事務所における備付け等により公表するものとするとともに、電子媒体でアクセスすることも可能となるようにする。

    1) 業務の概要
    2) 財務諸表
    3) 決算報告
    4) 中期計画及び年度計画
    5) 業務の実績
    6) 監事(会計監査人による会計監査が義務付けられた独立行政法人にあっては、監事及び会計監査人)の監査結果
    7) 役員に関する事項
    8) 給与等勤務条件に関する事項
    9) その他所要の事項

    (注)府省に置かれる評価委員会の評価結果の公表について、独立行政法人においても上記 1)から 9)と同様に行うものとする。


  6. 評価等

     独立行政法人の業務の評価等については、次のとおりとする。なお、独立行政法人については、その制度の趣旨にかんがみて独自の評価等の仕組みが設けられるため、その他の分野についての政策評価等の機能との重複を防止する必要がある。

    (1) 府省に置かれる評価委員会の構成等と業務の内容

    1) 府省に置かれる評価委員会の構成等について、評価委員は外部有識者から所管大臣が任命するものとし、各府省において当該評価委員会の事務局機能を果たす部局を特定するものとする。

    2) 府省に置かれる評価委員会の業務の内容は次のようなものとする。

    イ 業務に関する評価基準の設定及びこれに基づく評価
    ロ 中期目標についての所管大臣への意見
    ハ 独立行政法人の中期計画・年度計画の審議
    ニ 業務・組織運営に関する改善措置等の所管大臣への勧告
    ホ 独立行政法人の長・役職員に対する報奨等に係る必要な措置の勧告
    ヘ 所管大臣が中期計画終了時に行う組織及び業務の検討に当たっての審議
    ト 独立行政法人の毎事業年度の経営努力により生じた剰余金の額の認定及び所管大臣が中期計画の期間終了時の剰余金について処分を決定するに当たっての審議
    チ 所管大臣が各法人の予算、決算報告書、財務諸表(案)について所要の確認等を行うに当たっての審議


    (2) 総務省に置かれる評価委員会の構成等と業務の内容

    1) 総務省に置かれる評価委員会の構成等について、評価委員は外部有識者から総務大臣が任命するとともに、総務省において評価委員会の事務局機能を果たす部局を特定するものとする。

    2) 総務省に置かれる評価委員会の業務の内容は次のとおりとする。
    イ 府省に置かれる評価委員会の実施した評価結果に関する意見表明を(総務大臣を通じて)独立行政法人の所管大臣に行う。

    ロ 独立行政法人の民営化・主要な業務の改廃等の勧告を(総務大臣を通じて)独立行政法人の所管大臣に行う。

    ハ 独立行政法人に関する公表資料を取りまとめ、公表する(「独立行政法人に関報告書」;毎年1回作成)。このため公表資料について、独立行政法人の所管大臣は、(総務大臣を通じて)評価委員会に報告するものとする。


  7. 役員

    (1) 役員の任命等

    1) 独立行政法人に長、監事を置くほか、業務の性質、規模等により、別に法令に定めるところにより理事等の役員を置くことができる。なお、監事は複数置くものとし、そのうち1名以上は外部の者を起用するものとする。

    2) 独立行政法人の長、監事は所管大臣が任命するものとする。独立行政法人の長は常勤とする。

    3) 理事等の役員の人数枠の規定の範囲内で独立行政法人の長が理事等の数を決定し任命する。なお、独立行政法人の長は、理事等の数について、所管大臣に報告するものとする。

    4) 役員についての任期、欠格条項、行為制限等について規定する。

    5) 公募の長、監事の選任手続は、公正性を担保しつつ適材を得るよう措置するものとする。

    (2) 役員の給与等

    1) 独立行政法人は、役員の給与、賞与及び退職金(以下「給与等」という。)の支給の基準を社会一般の情勢(国家公務員の給与等の事情の勘案を含む。)に適合したものとなるよう定めるものとする。

    2) 役員の給与等の基準については、独立行政法人の長が決定し、所管大臣に届け出るものとする。所管大臣は、府省に置かれる評価委員会の意見を聴いた上で、その意見を附してこれを公表するものとする。

    3) 役員の給与等のうち賞与に関する報奨については、府省に置かれる評価委員会が、業績評価の結果に基づき必要な措置について勧告を行う。独立行政法人の長は、府省に置かれる評価委員会の勧告を勘案しつつ、役員の報奨を決定し、所管大臣に届け出るとともに、これを公表するものとする。


  8. 職員

    (1) 独立行政法人の役員及び職員の身分

     独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認められるものの役員及び職員については、国家公務員の身分を与えるものとし、こうした法人以外の法人の役員及び職員については、国家公務員の身分を与えないものとする。どの独立行政法人がいずれの類型となるかについては、上記の基準に照らし、個別法令により決定するものとする。

    (2) 国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等

     国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等については、次のとおりとする。

    1) 独立行政法人の職員は、独立行政法人の長が、その定める基準により任命するものとする。

    2) 役員及び職員は、刑法等におけるいわゆる「みなし公務員」とする。

    3) 職員の給与その他の処遇については、当該独立行政法人の業務の実績及び当該職員の業績が反映されるものとする。

    4) 独立行政法人の長は、職員の給与等の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるよう定め、これを所管大臣に届け出るとともに、公表するものとする。

    5) 職員に対する服務及び懲戒については、就業規則で定めるものとする。

    6) 業務の性質等に応じ一定の独立行政法人には役員及び職員に秘密保持義務を法令で課すものとする。

    7) 労働関係については、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法等の適用を受けるものとする。

    (3) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の地位等

     国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の地位等については、次のような事項について規定の整備を行うものとする。

    1) 労働基本権の扱いについて、団結する権利及び団体交渉を行う権利(労働協約を締結する権利を含む。)の付与並びに争議権の禁止については国営企業労働関係法と同じ扱いとするものとする。職員団体制度は採らず、現業職員と同様、労働組合法等の規定によるものとする。

    2) 職員の身分保障について、現業職員に係る国家公務員法の身分保障と同じ扱いとするものとする。

    3) 定員について、行政機関の職員の定員に関する法律等の法定定員制度の対象外とするが、政府は毎年国会に実員報告を行うものとする。

    (4) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の採用等

    国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の採用等については、公正・中立性の確保に留意しつつ、従来の取扱いと比較して独立行政法人の長の判断により採用を行うことができる範囲を拡大するものとする。

    (5) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の給与等

     国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の給与等の勤務条件について、次のとおりとする。

    1) 職員の給与制度について、独立行政法人及びその職員の業績が反映される給与等の仕組みを法令、中期計画及び独立行政法人の長の決定の組合せにより導入するものとする。

    2) 職員の給与等について、「国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法」より柔軟な仕組みとするものとする。
     このために、例えば、次のような方法を検討する。

    イ 職員の給与については、当該独立行政法人の業績及び当該職員の実績が反映されるものとし、独立行政法人においてはその趣旨に沿った運用に努めるものとする。職員の給与は、他の国家公務員及び民間の給与等を考慮して定めるものとする。

    ロ 独立行政法人の長は、職員の給与に関する規程を定め、所管大臣に届け出るとともに、これを公表するものとする。

    ハ 独立行政法人の長は、中期計画の「給与等勤務条件に関する計画」において、職員の給与に関する計画を定めるものとする。

    ニ 独立行政法人の長は、中期計画及び年度計画に照らして、職員の給与を適正に決定するものとする。

    ホ 府省に置かれる評価委員会が行う独立行政法人の業績に対する評価結果に基づき、当該評価委員会は独立行政法人の職員に対する賞与に関わる報奨に係る必要な措置の勧告を行うことができる。

    ヘ 独立行政法人の長は、上記により、職員の給与を決定し、これを所管大臣に届け出るとともに、公表するものとする。

    ト 独立行政法人の長は、職員の勤務時間等に関する規程を定め、所管大臣に届け出るとともに、これを公表する。

    チ 職員の勤務条件に関する事項は、団体交渉並びに中央労働委員会のあっせん、調停及び仲裁の対象とするものとする。

    (6) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の定年等

     職員の定年、能率等についての規定について検討する。

    (7) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員の服務及び懲戒

     職員に対する服務及び懲戒については、国家公務員法の服務及び懲戒に関する規定と同じ取扱いとしつつ、研究者が学会に出席する場合等、必要に応じ、次のような措置も検討するものとする。

    1) 職員の兼業制限等について、独立行政法人の長が、一定の要件や基準に合致する場合には、兼業等の許可を与えることができるものとすること。

    2) 職務専念義務の特例として、職務に関連のある一定の場合には、独立行政法人の長の判断により、職務専念義務を免除することができるものとすること。

    (8) 国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員への国家公務員の育児休業等に関する法律等の適用

     育児休業等について、国家公務員の育児休業等に関する法律等と同じ取扱いとする方向で検討する。

    (9) 福利厚生

     独立行政法人の職員の医療保険、年金、退職手当、災害補償及び雇用保険について、次のとおりとする。

    1) 医療保険及び年金について、国家公務員の身分を与える独立行政法人、国家公務員の身分を与えない独立行政法人ともにその職員については共済制度を適用するものとする。

    2) 退職手当について、国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員には、国家公務員退職手当制度を適用するものとし、国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員についても、国家公務員退職手当法により維持されていた水準を尊重(期間通算を含む。)して措置するものとする。

    3) 災害補償について、国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員には、国家公務員災害補償法と同じ取扱いとするものとし、国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員には、労働者災害補償保険法を適用するものとする。

    4) 雇用保険について、国家公務員の身分を与える独立行政法人の職員については、国家公務員退職手当法に基づき現行の国家公務員と同様の退職手当が支給されることから雇用保険法は適用しないものとし、国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員については、例外的に別途雇用保険の適用除外となる措置が講じられない限り適用するものとする。

    (10) 宿舎の使用

     国家公務員宿舎について、国家公務員宿舎法上貸与可能な場合には、貸与することとし、同法上貸与が不可能な場合にも、使用が可能となるよう必要な措置について検討する。

      
    (11) 人事交流の在り方

     身分・処遇関係についての制度的取扱い(退職手当、共済給付、災害補償、福利厚生等)については、人事交流の妨げとならないよう措置する。


  9. 法人登記制度

    独立行政法人の登記について、次のような事項を規定するものとする。

    1) 登記を独立行政法人の成立要件とすること

    2) 登記をすべきこととされた事項について、登記をもって対抗要件とすること

    3) その他


  10. 通則法令、個別法令等の手当ての区分等

    今後の作業に当たっては、以上の事項を通則法令、個別法令その他のいかなる形式に おいて手当てするかについても、併せて吟味する等法制面の詳細な検討を行い、所要の 措置を講ずるものとする。


  11. 労働関係への配慮

    政府は、それぞれの独立行政法人に行わせる業務及びその職員の身分等を決定するに 当たっては、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮するものとするとされてお り、この点に十分配慮する必要がある。



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