郵政三事業の在り方について考える懇談会
第2回「郵政三事業の在り方について考える懇談会」
議 事 要 旨
1 日時 平成13年7月9日(月)16:00〜17:30
2 場所 内閣総理大臣官邸大客間
3 出席者 別紙
4 議事概要
(1) 郵政事業の現状
ア 総務大臣
- 郵政事業を巡る論点は大変多岐にわたっており、制度面、利用者の観点、経営的視点等、広範な観点から資料をとりまとめたところ。
- 本日の資料については、座長から要望があったものはすべて作成。すべて公開。今まで全く外に出していないような資料、新しく作った資料も相当ある。
- 具体的な説明は郵政企画管理局長から行う。
イ 郵政企画管理局長
(「資料2 郵政事業の現状」について説明)
(2) 質疑等
(松原委員)
- 合理化の案では、2万人削減など非常に細かく出ているが、物件費とか、その他の合理化案の具体的な中身が不明確。
- 第一に、2年前の郵政三事業の行政監察結果を資料として提出願うとともに、その監察結果の中で特定局が高コスト体質となっていると指摘されていることについて、総務省の考え方を教えてほしい。
- 第二に、物件費についてファミリー企業と言われている企業との関係に不明瞭な点があるのではないか。そのような企業との関係について、一般競争入札と随意契約、局舎建設の受注状況、天下りの状況を明らかにしてほしい。
(郵政事業庁長官)
- 資料は用意させていただく。
- 簡易局は、特定局を置くことは非常に不経済であるというような山間地の取扱いの少ないところに委託契約で設置。基本は特定局。
- 局長1人、職員2人の特定局で、年間2,900 万くらいの運営経費。
- 簡易局は、1局で360 万円くらいの運営経費だが、単なる経費だけの比較だけの問題ではなく、取り扱うサービスが違い、難しい仕事は簡易局には頼めない。
(松原委員)
- 総務庁は、例えば、料金後納、内容証明など難しい仕事はそれほどはなく、大半の仕事はそのままできるのではないかと指摘していたと思うので、その報告書と郵政事業庁としての見解の整理をしてほしい。
(郵政事業庁長官)
- 関係の企業から調達しているとの指摘についても、資料を提出させていただく。ただ、物品の調達等は法令に基づいて実施しており、競争契約と随意契約とがそれぞれ半々くらい。また、トラック運送等は、運送事業法に基づき確定額運賃ということで随意契約。
(樋口委員)
- 郵便局数2万4,778 局、郵便ポスト17万7,217 本という現状はよく分かったがポストが減ったりしていないか。
(郵政事業庁長官)
- ポストの撤去はあまりやっていない。ただ、利用が少なくなった特定局は廃局し、特定局の後には簡易局を設置している。簡易局は受託者がいなくなった場合には廃止しており、特定局は漸増、簡易局は漸減。
(郵政企画管理局長)
- ポストの数はそんなに変化ないと思うが、数字は別途お示しする。
(清野委員)
- 郵政三事業の今後を考えたときに、どの国でも、あるときには国営化、あるときには民営化、また戻って国営ということがしばしば起こっており、どういう理由で今回民営化の論理を構築するかが問題。
- 一番問題になってくるのはユニバーサルサービス。サービスの提供の仕方については、静学的と動学的の二つの見方がある。
- 静学的な見方とは、現在、郵政のユニバーサルサービスがどのような効率性を持って供給されているかという見方であり、他の民間事業との比較が必要。
- 動学的な見方とは、中長期で、郵政のシステムがより効率性が高まる方向に自ら進んでいく力を持っているかどうかという見方。例えば、特に70年代以降、郵便局システムは地方と都市のバランスを保つように拡大してきたのか。都市部において郵便局がかなり増えているとのデータを見たことがあるが、アンバランスを拡大したのだとすれば、そういう状況が許されたのは、現在のシステム、規制の制度によるのか。
- 郵便は通信ということでユニバーサルサービスと考えていく。金融のことも考えていくと、極端に言えば、各家庭に郵便ポストが1個あって、ATMが1個あるような状況が一番ユニバーサルサービス。
それを実現するためには、ITの技術を使ったネットを構築することを考えてもよいのではないか。そういったことを踏まえた合理化案がこれまでに出されてこなかったのは現在の制度的要因によるのか。また、そうであればその要因とは何か。今後そのような合理化は必要か。
- 郵政事業が果たしている機能は、現行形態下の郵政三事業でなければいけないか。いろいろな地域関連事業は、なぜ郵政三事業がやらなくてはいけないのか。むしろ社会保障政策とか、所得再分配政策とかでやった方がより効率的なのではないか。これらが大きなお荷物となって、公社化の如何にかかわらず、将来結果として郵政三事業が苦境に立たされる可能性もある。
- 金融の国際化が進んでいる中で、日本の金融業界には、自己資本規制とか、BIS規制問題とかがあったが、そういった面から見て、郵政の金融はどの程度健全性を保てるのか。保てないとした場合には、どのような対応を考えているのか。
(郵政企画管理局長)
- 民営化が望ましいとか、国営でなければならないという方向を打ち出して説明したわけではない。ニュートラルに、現状をファクトベースで申し上げた。ここでいろいろ議論いただければと思っている。
- ユニバーサルサービスの捉え方はいろいろある。
例えば、アメリカの郵便の場合、特に定義は設けず、逆にユナイテッド・ステート・ポスタル・サービスというものがあること自体ユニバーサルサービスのためにあるとの考え方。家庭の郵便受箱も完全に独占で、宅配便や新聞も入れてはならないことになっている。また、郵便が通るということでインターステートのハイウェーを連邦政府の金で作った国でもある。
- EUでは、統一基準が必要なことから、ユニバーサルサービスを定義づけている。
- 郵便は、1通1通でも、どこに住んでいても、切手を張ってポスト投函をして、対面ではない形で引き受けて、対面でない形で引き渡しが完了することで債務が履行されるというパターンのビジネス。世界的にも郵便サービスは同様のモデルがベース。
- 現時点では、郵便のユニバーサルサービスは、国家政策として保障するという観点から、全ての国において、既往の郵便事業体にやらせている。
(松原委員)
- 郵貯と簡保はユニバーサルサービスと考えているか。郵便は、法律上、あまねく公平にという条文があるが、郵貯、簡保についてはどうか。
(郵政企画管理局長)
- 郵便貯金に関しては、そういう言葉が法律上入っているが、簡易保険については入っていない。しかし、ユニバーサルサービスを旨として郵便局が仕事をしており、公の存在であるので、当然郵便貯金についても、簡易保険についてもユニバーサルサービス的にやっていくというのが、これまでの世界の展開。
(総務大臣)
- この懇談会は、始めに民営化ありきでも、始めに国営、国営公社維持ありきでもなく、全く白紙の立場で予断なく議論して、意見を集約する場だと思っている。
- 最初から結論を出して、その結論にどうやってもっていくかということではなくて、国民の立場でどれがいいかという観点で、とにかく中立でやれと事務方に指示している。
- ユニバーサルサービスは、国会の委員会やその他でも大変議論がある。これは時代によって変わると思う。国民がどう受け取るかということもあるし、それを踏まえ、多元的、多重的な要素を組み合わせて、ユニバーサルサービスとは何なのか、それはどう守るのか、守らないのか、そういう議論をしていただければありがたい。
(郵政企画管理局長)
- 清野委員の金融に関する質問については、小口のビジネスは非常にハイ・コストだということがある。金融の自由化もそうだが、効率を旨とする競争になると、そういうハイ・コストのところはやりにくいということで、どうしても顧客間とか地域間の格差といった議論が伝統的にある。
- そういう意味で今まで、郵便局で郵便貯金は小口貯金を、簡易保険は無審査の小口保険を取り扱ってきており、それなりに定着している。
(田中座長)
- 清野委員の質問にあった国営から民営、そして一部また国営に戻るという海外のケースについて調査しているか。
(郵政企画管理局長)
- そのように経営形態がスイングする例は、ヨーロッパではたくさんある。
- 郵政三事業に関しては、ニュージーランドで最近そういう動きがあった。一連の規制緩和の中で郵便貯金も民間会社にして、それが外資系に買収された。自由競争を行った結果、多くの店舗が廃止され、小口に関して口座維持手数料が出てきた等で不満がたまって、今年2月、郵便局で金融業務を復活させるということで閣議決定したと聞いている。
(翁委員)
- 資金運用、自主運用が始まり、非常に巨額の資金を自主運用することになる。
- 定額郵便貯金の商品性は、金利の変動によって解約に動くオプションを保有者が持っている商品なので、自主運用というのは難しい局面が出てくる。現在、アーニング・アット・リスクということでやろうとしているとのことだが、最悪の場合どのくらいの損失があり得るのかということについて教えてほしい。また、どういうリスク・ヘッジの手段を考えているのか。リスク管理手法なども分かりやすく教えてほしい。
- 民間金融機関は、リスク管理体制そのものをディスクローズして市場の評価を受け、かつ、金融庁もリスク管理体制をチェックする体制を整備する方向となっている。郵政のリスク管理の在り方は非常に重要なポイントなので、今後とも分かりやすく教えてほしい。
(田中座長)
- 定額貯金は民間金融機関にない金融商品で、流動性問題を内在的に抱えているが、これに対してどのように対応してきたのか。
- 自主運用になると、ライアビリティー・サイドとアセット・サイドとの間に、どういう対応関係をつくろうと思っているのか。
- 流動性そのものにどう対応するのかということは、国債の利回りから始まって、日本の金融システム全体が影響を被る。ただ単に郵政関連の方々が困るという話ではなくて、日本の資本市場そのものが揺らぐというケースが当然心配される。
(郵政企画管理局長)
- 両先生の指摘のとおりだと思う。我々の資金量は大きい。また、今の財投との関係でも、基本的には期間は非常に長い調達。そういうものに対応できるのは、今は年金か郵貯か簡保以外にあまりない。都市銀行では、大体1年定期が主力で、長い期間の投資ができない。
- 定額貯金では、平均的な預入期間が5年くらい。簡保では、10年からもうちょっと長く、年金なら更に長い。そういう意味では、むしろ短期の話よりは、長期債市場との関連で深い関わりを持っている。大変巨額であるので、勝手気ままに動き回ればマーケットインパクトにより自らの首を締める。安定的な投資ということで、基本的にはバイ・アンド・ホールド型の投資、静かな投資家でなければならないと思っている。
- アーニング・アット・リスクで考えているのは、まず損益管理。変動するプロセスの中でアセット・サイドとライアビリティー・サイドの期間のミスマッチが出れば、当然それに対する経営リスクが生じるので、それをどうコントロールするかというのが最大の問題。
- 手法的に最も難しいのは金利変動の過程で預け替えという行動が起こること。長い経験を持っているので、そういうときの預金者行動というのは、今までの金利上昇局面、下降局面などを全部モデル化して組み込んでいる。学会でも発表したことがあるが、私ども独自のモデルになっており、最近はそれに対する外資系の評価機関の評価を得たと言うのが今の実情。
- 流動性リスクの問題もある。大変な払い出しが生じたときにそれを管理しなければならない。資金ショートになれば大変な問題になるので、例えば、年金のように民間の契約型の運用に丸ごとファンドで預けするような運用は許されない。やはり流動性管理を自らしなければならないので、どうしても債券など換金できるような形で用意しておかないと無理。
(池尾委員)
- 郵便の独占分野と非独占分野の収益であるが、トータルで収益が黒字のときも、非独占分野は常に赤字。この原因には、コスト競争力がないということと、競争業者のクリームスキミングが発生しているということの2つが考えられるが、この要因を今後検討してほしい。競争に負けているのだとすると、独占分野で利益が上がっていても、潜在的なロスがあるという可能性が考えられる。
(郵政企画管理局長)
- 赤字は第三種郵便物と第四種郵便物など。第三種、第四種は独占ではなく競争だが、政策料金。社会的要請で第四種の盲人用などは無料。三種は新聞で、低料三種というのは、本来の料金の4分の1の料金。このような部分は赤字になるのは当然。
(池尾委員)
- 簡易保険事業の三利源別だが、全体として赤字にならなくて良いということかも知れぬが、簡易保険の本来の役割とか、性格から言うと、費差益がこれだけ大きいというのは、商品設計上趣旨に外れている可能性があるのではないか。
(郵政企画管理局長)
- 利差損が大きいということとの見合いでできている。
- 戦後超インフレになったときに、簡保も民保も、費差損で経営的に逼迫した。
- 今日的には利差損に関しては、民保も簡保もある意味では同じような傾向。
- 簡保の場合は、費差益でそれをカバーしているが、民間生保の場合は、定期付終身といった保障性の高いものが多いので、死差益でこれをカバーしており、構造が違う。
- どこでどうカバーすべきかどうかという議論はあるが、ただ、3つの利源の要素で総合的にいろんな変化を吸収している。
- ちなみに、この7月1日から保険料を改定し、予定利率を1.5 %に下げた。同時に、費差益があるという状況を踏まえ、費用分は0.3 %値下げした。
(3) 今後の進め方
(森下委員)
- 今日は膨大な資料を説明いただき、短期間にこれだけの資料を用意頂くのは大変だったと思う。これはよく勉強していくとして、今後の進め方をどうしていくか、どういう項目・内容に絞って、どういう論議をしていくかということを議論した方がいいと思う。
(田中座長)
- 資料については、事務局の方に追加的なもの等があればお寄せいただきたい。
- 今後の進め方については、総理は1年を目途にとおっしゃっているので、今後検討すべき論点について、皆様方から郵政三事業の在り方についてどのように論点を絞ったらいいのかを提案していただき、第3回には座長の方で、今後検討すべき論点について整理したものを提出したい。
- 7月23日ごろまでに事務局の方に提示いただければ、それを座長の方で集約して、8月のどこかで時間をいただき、今後検討すべき論点を提示し、議論をしていただきたい。
- 4回目以降については、ヒアリングをした方がいいという要請が強ければ、例えばどういうタイプの人の話を聞くべきかなど、そういうことも含めて議題を進めたい。
(葛西委員)
- 論点に関しては賛成。
- 公社化の議論だが、年内に法案をつくり、来年の通常国会に出して、平成15年度から実施になると思う。この場での議論は、公社化の検討にフィードバックをするという前提でいくのか、公社化後、ここで議論するものをどのように使おうということで議論するのか。
(田中座長)
- 公社化の法案は恐らく年明けに出ようが、公社化を巡る議論について、この懇談会が何も言わないと言うことは多分ない。公社化を巡る議論については、例えば、流動性リスクの問題、金融庁が公社に対してどういうスタンスを取るのか、政府保証というのはどういう形でそこに入るのかといったことを総務大臣の下で検討すると思うが、それについて何も言わないということはないと私は思っている。
(総務大臣)
- 公社化は、中央省庁等改革基本法で平成15年中となっており、年度ではない。
- 平成15年中の移行ということになれば、来年の通常国会で法案を通さなければならない。法案をできるだけ早く出して6月の会期末までに上げてもらう。法案作成は年内くらいとなるが、そうなると、この懇談会の議論よりはかなり先行する。この懇談会の審議とも関係があるので、色々な注文や意見を出していただくことは一向に構わないと思う。
- 公社化のための総務大臣の私的な研究会をつくる。そこでこちらとの相互乗り入れということがあってもよいのではと思っており、今座長が言われるように、意見を出していただくことはいいと思う。
- 当方の研究会の進行状況も説明する。目的は国民にとって何が良いかということだから、全く我々は予断を持っていないので事務方を含め色眼鏡で見ないようにしてほしい。
(松原委員)
- 大臣は15年とおっしゃったが資料では公社化は4月1日となっている。どうなっているのか。
(郵政企画管理局長)
- 15年のいつかということは決まっていない。ただ、一般論としては、国の会計年度は憲法で決まっている。それとの関係を考えると、自然だという議論が前からある。
(総務大臣)
- 年度主義だから、年度でやるというのが1つ考え方。
- 公社については金融庁は関与しない。
(田中座長)
(総務大臣)
- その辺は決まっていないが、そういう感じ。
- 政府保証はつく。
(田中座長)
(総務大臣)
- 私は税金を払うべきだと言っている。ただ、税金か納付金かという形式は検討する。できるだけ民間に近い形にしたらと、私個人は言っている。
(田中座長)
- もう一点お諮りしたい。
- 総理も大臣も大変お忙しいので、委員だけで少し勉強会を積み重ねた方がいいのではないかという提案がある。勉強会の開催を事務局の方で、それから総務省の方々にも出席してもらおうと思っている。
- 本日の記者会見でも、自由な意見交換ということで勉強会を開催することを新聞記者に言おうと思うが、議事内容、配布資料についてまでは、総理も大臣も出席しないので、私どもだけの勉強会という形にしたいと思っている。
(森下委員)
(樋口委員)
- 論点整理をして、中間発表をするといったことはしないのか。
(田中座長)
- 論点整理は検討のための論点整理であり、どこかの時点で、絞るかどうかはまだ分からない。
- 今日の資料は官邸のホームページに全部出す。