郵政三事業の在り方について考える懇談会
第3回「郵政三事業の在り方について考える懇談会」
議 事 要 旨
1 日 時 平成13年9月14日(金) 10:30〜12:00
2 場 所 内閣総理大臣官邸大客間
3 出席者 別紙
4 議事要旨
- (1) 郵政事業の現状に関する補足説明
- ア 総務大臣
- 第2回会合で「郵政事業の現状」について説明したが、要請のあった外国の郵政事業の経営形態、物件費削減の状況、郵便貯金のリスク管理等、補足説明をさせていただく。
- 8月30日に郵政事業の公社化に関する研究会を立ち上げた。この研究会では国営の新たな公社の制度設計に関する事項、郵便事業への民間参入に関する事項について検討いただくが、そのスケジュールも説明させていただく。
- また研究会の検討状況については、適当な時期に、座長の了承を得て本懇談会に説明したい。本懇談会からも意見を伺って、よりよい公社化を目指したい。
- 具体的な説明は郵政企画管理局長及び郵政事業庁長官から行う。
- イ 郵政企画管理局長及び郵政事業庁長官
(「資料2 郵政事業の現状(補足説明資料)」及び「資料3 郵政事業の公社化に関する研究会の開催について」を説明)
- (2) 質疑等
- (松原委員)
- ユニバーサル・サービスを非常に重視し、国営だから過疎地の郵便局が維持できるとのことだったが、利用度の低い特定局179局と簡易局70局が廃止されている。廃止した全ての局について、その後どのような対応をしたか資料を配付してほしい。
- 渡切費の使途について、新聞代、図書、NHK受信料等の項目のほか菓子代のようなものがあり、ちょっと不透明なところがある。
- 資材調達その他の契約に関するデータはまだ不足している。平成4年の総務庁行政監察の勧告と同程度のデータを出してほしい。
- 随意契約が減ってきたことは理解したが、郵政ファミリー企業と言われている企業の側から見て、郵政事業庁からの受注状況、その中で一般競争での入札状況といったデータを出してほしい。
- (郵政事業庁長官)
- 特定局は179廃止されているが、ほとんどの場合その後に簡易局を設置。簡易局が廃止された後には何も残らないという状況。
- 渡切費については、今後ともその内容の適正化に十分努力をしていく。
- 平成4年の行政監察の勧告では、競争入札の導入を行うべきとの指摘。
その後10年近く経ち、競争入札が増えてきているが、別途説明する。
- (翁委員)
- 諸外国の説明は大変参考になった。アメリカの郵便貯金が廃止された理由について、国民のニーズに十分応えられる便利な制度ではなかったとの説明だったが、むしろ民間の補完に徹していたからこそ廃止できたのではないか。
- アメリカでは、民間の金融機関のネットワークが広がったこと、預金保険制度が整備されてきたこと、貯蓄国債と呼ばれる個人向けの国債が安定的に供給されるようになってきたことなど、様々な環境が整備され郵便貯金の存続理由がだんだん失われていった。
- 我が国の郵便貯金についても、その諸機能について、どういう代替的な手段が整備されてきているのか確認しながら、将来像を考えていく必要。
- 諸外国の郵便貯金、簡易保険の事情などの説明を受けたが、日本とは規模が圧倒的に違うことに留意する必要。
- リスク管理の点については、リスクのバッファーとして価格変動準備金を積み立てているとの説明だが、その価格変動準備金のレベルと郵便貯金とか簡易保険の事業が抱えているリスクの大きさとの関係をどう考えているのか。リスク対比の自己資本率をどの程度とする業務運営を考えているのか、別途、具体的な数字で示してほしい。
- (郵政企画管理局長)
- アーニング・アット・リスクでどういう数字を考えているのかとのお尋ねだと思うが、私どもの数理モデルでは、1万本の金利シナリオを設けている。内部管理用の試算値で公表はしていないが、あえて言えば、数理モデルで最悪95%値というものがある。1万通りのシナリオ中9,500番目の悪い数字だが、13年度から18年度まで、毎年大体3,000億円程度の黒字で推移すると見ている。
- 中央値で見ると、13年度から18年度まで毎年度、約1兆円程度の黒字。
- それから、今デフレを心配している状況だが、あえて例えば5年後に国債金利が8%になるといった異常金利のストレステストをした場合、最大損失で2兆5,000億円の損が出る計算になるが、それでも郵貯の構造からすれば回復可能。
- (清野委員)
- 諸外国のケースで、EUで郵便などが統合していくような動きはあるか。動きがあるとすれば、どのような理由なのか。
- 郵便局の数だが、一番関心があったのは、民間銀行が経営が難しくなって例えば支店を減らし、ATM、無人化をしたときに、郵便局がどういった対応をしてきたのかという点。
- 説明の中で郵便局が頑張っていることは理解できるが、制度の運営の仕方、効率化については、民間であれ、公社であれ、やらなければならないこと。
- 国営ならば政府に対して、間接的には国民に対して説明責任を持つ。公社化の場合は政府が株主といえるのだろうが、間接的には国民に対して説明責任を負う。そういう意味では、事業形態の透明性を図るべきであり、その上で不必要な規制をできるだけ排除するよう我々が圧力をかけて行くべき。それ自身は公社、公団もしくは民営化という話とは違うのではないか。
- 特定郵便局と簡易郵便局との費用比較の説明があったが、これは経済計算としては意味がない。直接的な費用だけの計算を比較するのではなく、公共経済というか、公共プロジェクトなどやる場合は、必ず機会費用という概念を使う。
- 「民ができることは民に任せる」ということは分かるが、民間金融機関は不良債権をたくさん抱えて、このままいけば倒産することも考えられる。公共資金をもっと投入することになれば、結果的には、だれが本当の意味で民間の銀行なのか分からなくなってしまう。
- 現在の金融状況の中で郵便局の存在は邪魔だと考える人もいるかも知れないが、郵便局の持っているどの機能が、民営化されるべきものであり民営化されるべきでないものなのか。そして、過疎地などは費用がかさむので廃止すべきとの話もあったが、その費用は一体どのくらいかをはっきりと出した上で、国が負担すべきものなのか、一番ニーズが分かる地方自治体が担うべきかものなのか議論する必要。
- 郵便事業については、中長期的なビジョンを聞かせて頂けるとありがたい。
- (池尾委員)
- 特定局と簡易局との比較だが、国の直轄事業でやるというフィロソフィーを前提にするから簡易局が限界的存在になる。可能な限りアウトソーシングをしていくという立場に立った場合には話が違ってくる。いろいろ細かいことを知ることは確かに必要だと思うが、議論すべきはむしろ前提ではないか。
- (樋口委員)
- 外国事情は大変参考になった。日本についても同じように1枚にまとめてほしい。一言感想を述べれば、受託業務は結構ほかの国もやっているので大変面白い。そういう意味で、郵政事業が、総務省というところで、地方の生活を支えてきた地方自治行政と一緒の場に置かれて論じられるのは大変面白い。
- (田中座長)
- 要望があった件については、次回以降資料等を準備していただきたい。
- (3) 今後検討すべき論点の整理
- (田中座長)
- 委員から提出された意見を受けて、「資料4」で今後の議論の進め方ということでまとめてみた。これまでの郵政事業の果たしてきた機能をどう見るのかというのが1つの論点。もう一つは、今後の事業の経営形態をどう考えるのかという論点。大きく分ければ2つ。
- 更に、小泉総理が今日まで郵政三事業について発言されてきたことを、私なりに「2.(3)公社化後のあるべき経営形態(民営化を含む)を考える視点」としてまとめてみた。
- 「納税者負担の回避」。これは偶発債務も含めて、納税者が負担を免れ得るかどうかという問題。「利用者利便の向上」に関する視点。3番目に、キャピタル・マーケットにおける資源配分、日本におけるキャピタル・マーケットの成り立ちと、公的な金融の提供問題。4番目に「地域社会の維持」である。
- さらに、片山大臣の下の公社化研究会と、この懇談会の関係という問題もある。
- (総務大臣)
- 2年後に公社化に移行するということは基本法で決まっており、小泉総理が誕生したときの3党合意で、公社移行までは行う、移行後の在り方については総理直属の懇談会で、ということで棲分けはできていると思う。
- 公社化の大きなフレームは基本法に書いてあり、それを守りながら、その中でできる限りこの懇談会の議論とジョイントできるような、ということはできるだけ自由な、経営の責任が持てる、民営化に近い公社化もひとつ念頭に置いてほしいと公社化研究会でも申し上げた。
- 公社化研究会は、これから論点を整理して具体の議論に入るが、広く意見を聞いて予断を持たずに進める、地方の公聴会も開いたらどうかと、南座長にもお願いしている。この懇談会と対立するものではないので、自由に議論してもらえばよい。そして、よい公社をつくって、その後、国民に一番良い形にするということが必要ではないかと思っている。
- 懇談会との関係については、公社化研究会でも、心配ないと申し上げておいた。
- (風間委員)
- 郵政三事業の公社化が法定されている中で、一体この懇談会は何ができて何ができないのかということが明確でない。
- この懇談会では、公社化後の在り方について、民営化するかしないかも含めて議論するのであれば、2年後に実際に公社化された段階で発生する問題点などについても議論しなければならないと考えるが、懇談会の設置期間は1年。
- (田中座長)
- 私は、年明けの通常国会に公社化法案が提出されるが、公社化案についてパブリック・コメントが実施されるので、11月に入るとこの懇談会でも、かくあるべしという議論ができると理解。法案が国会を通るのは、5月ぐらいですか。
- (総務大臣)
- 早い方が良いが、会期末までだと6月末となる。来年夏には概算要求もあるので、通常国会中に通したい。
- 公社化は決まっているから、自由な議論がやや制約されるという面はあると思う。何もなければ、今後の郵政事業の在り方を自由に議論ができるが、公社化というクッションがある。
- (田中座長)
- 郵便事業の民間参入を全面的に認めることになると、黒字・赤字問題からダイナミズムが起こる。公社として新しい仕事をする場合に、公務員とか公社がなじむか等の話が出てくる。「2.郵政事業の経営形態」の論点であるが、そういうことも含めてこの懇談会になじむか。
- (総務大臣)
- 議論していただくのは構わない。まだ、どういう形にするか、法律に書いている以上のことは何も決まってない。
- (小泉総理)
- 私が総理になり、がらっと変わった。今年3月の自民党大会では、郵政三事業は絶対民営化しない、国営堅持を前提とした公社化であった。
- 私は、公社化というのは民営化の一里塚だ、JR、NTTを見ても、議論をしていけば、この三事業は民営化で十分成り立つだろうという前提で議論しており民営化論者である。
- しかし独断専行を排し、皆さんの意見を聞いて国民にとって一番良い経営形態を考えてもらうということで、この懇談会を立ち上げた。
- そもそも国営を前提としてしか公社化を考えてはいかぬというのがおかしいのであって、自由に議論してほしい。そういう意味において、公社化までは決まっている。公社になるのは良い。
- ただし、郵便事業にしても民間でできることは全部民間に参入させる、郵便貯金の監督検査は金融庁に任せるべき、そういう点で、はっきり一つの方向を示しているわけだが、公社化後も国営でなければいけないという前提は取り払ってほしい。これは総務大臣にもお願いしており、公社化研究会にも求めるつもりでいる。自由に議論していけば、大体将来の方向が見えてくると思う。
- 郵政事業庁も考えを変えてもらわなければいけない。何でも国営でなければいけないというのはおかしい。独占部分を残そうとしているけれども、民間ができないなら独占を残しても良いが、郵便事業についてもその他の分野でも民間にできることは全部民間に緩和してもらいたい。
- (風間委員)
- 総理は、所信表明の中で、郵政三事業については予定どおり2003年の公社化を実現し、その後の在り方については早急に懇談会を立ち上げ民営化問題を含めた検討を進め、国民に具体案を示すとおっしゃった。今、言われた公社化というのは、国営化という頭を取っ払った形の公社化であるという意味ですか。
- (総務大臣)
- (小泉総理)
- 公社化になった後の問題。公社のままずっと国営を維持するのか、ということ。
- (若杉委員)
- 今のような議論があるが、一般的に言えば民営化の方が効率は良く、JR等の例を見れば、民営化でいろんな成果を上げていることも事実。
- ただ、公社が動き出し、一定の役割を果たしていけば、それで良いではないかという声も出てくる可能性もないとはいえない。大事なことは、やはり官民の分担をどうするかというプリンシプルを、まずきちんとしなければいけない。
- そういう意味で、座長がまとめられた論点の「2.(1)官民の役割分担をどう考えるか」を最初にきちんと議論すべきだと思う。
- (田中座長)
- 片山大臣、預入限度額を大幅に下げることも1つの論点としてあり得ますか。
- (総務大臣)
- それも研究会の方でも議論してもらおうと思っている。
- (田中座長)
- もし郵便局の金融業務がいわゆる庶民金融の範囲に限定されるならば、民を補完するという論点も当然出てくる。
- (総務大臣)
- もともと限度額の設定ということは、そういう発想だった。ただ、これまで限度額が上がってきており、今は1,000万円になっている。そこは一種の機能分担の考えがあったと思う。これについては、公社化研究会でも議論してもらおうと思っているし、当懇談会でも議論してもらえばと思っている。
- (田中座長)
- 若杉委員の言われた官民の分担については、民間を補完する形で公的な分野があり得る。例えば公社形態が続いたとしても、預入限度額が非常に小さいならば、キャピタル・マーケットに悪い影響を与えることはなく、リスクフリーの領域が異常なことになるということもなく、それはそれで、国民的合意ができれば、1つの着地点。
- (若杉委員)
- 最初は、個別の議論をすべきではない。プリンシプルを議論すべきだ。
- (田中座長)
- しかし、民間の事業の補完ということならば、預入限度額を明確に入れる必要。例えば、限度額が1,000万円ならば、郵貯240兆円以上という現実があるわけだから、今後のあるべき論からいけば、おかしいという意見が当然出てくる。大幅に残高が減れば、民を補完する郵便局ということはあり得る。
- (若杉委員)
- 三事業の民営化を考えるときに、預入限度額も勿論1つの論点だと思うけれども、最初にきちんと客観的な基準をつくって、それから議論しないと、アドホックな議論になってしまうのではないかと心配だ。
- (田中座長)
- 300万円かどうかはともかくとして、民間を補完する庶民金融として、通常家計が決済残高として持ち得る範囲内で郵便局に残高を持つ、ということならば、キャピタル・マーケットに影響を与えるということはないわけである。
- (若杉委員)
- 今まで郵政省は「全国あまねく」と言ってきた。そのときは預入限度額よりも、むしろ地域差の問題。補完を考える基準は、限度額だけではない。
- (田中座長)
- ユニバーサル・サービスの場合でも、何も国がやらなければならないということではなくて、民間がやって手が及ばない範囲について、例えば国が補助金を出す、あるいは自治体が補助金を出すということもあり得る。
- (若杉委員)
- そういうことに関するプリンシプルをまず議論すべきである。
- (小泉総理)
- 郵政公社になっても補完にはとどまらない。郵政公社になっても、国民は、できるだけのサービスは提供してもらいたい。補完ならば、むしろ民間よりサービスは悪くなる。
- 今まで郵便局は、貯金や簡保は民間のやることをやらせてほしいと要求してきたが、独占の郵便事業は、民間がやらせてくれと言っても拒否してきたという矛盾があった。
- 国民は民間であろうが公社であろうが、よりよいサービスを提供してくれる方を選ぶ。そのため、本当に三事業は手を縛られて、民間と競争できるのかという問題が出てくる。必然的に、これだけ制限を加えられるのなら自由にやらせてくれという声が、公社の方から出てくると思う。
- (総務大臣)
- (小泉総理)
- 国営ゆえにあちこち手足を縛られて干渉を受けるのは嫌だ、もっと自由に三事業以外にも国民が求める事業サービスあるのだからやらせてほしい、民営化させてくれという声が出てくると思う。それは大事な問題である。
- (樋口委員)
- 郵政事業の公的責任というものをどこで果たしていくか、国民生活の上から本当に民営で良いかということは、丁寧に議論していきたい。しかし民営絶対反対ということではない。
- 法律に「民営化等の見直しは行わないものとする」と書かれていることに国民は違和感を持っている。この懇談会は、法律違反しているのかといった印象を与えることにもなるので、せめてあの1行を削除するという法律改正はできないのか。
- (総務大臣)
- 国営公社にするということは民営化をしない、ということの確認規定。恐らく政治的にぱっと決まったものだと思う。
- (小泉総理)
- 民営化を阻止したい、心配するなということで政治的に入れただけ。
- (葛西委員)
- 国鉄のときは出口論と入口論というのがあり、今の議論によく似ている。あのときは、既に国鉄の経営改善計画というのが法律で決まった直後にスタート。
- 出口論というのはやってみてだめだったら分割民営だという議論で、入口論というのは、あるべき方向を見定めて、その経営改善計画を途中で放棄、あるいは修正すべきだという議論。
- 今回の場合、一里塚であるというふうにおっしゃると、出口論的な感じがするが、ちょっと違うのは、国鉄の場合は臨調が始まったときに既に法律は通って大臣認可を受けていた。今回の場合は並行して議論を進める形になる。公社の法律が国会で審議しているときに、同時に公社では十分でないという議論が並行して進むということでは国会審議がもたないのではないか。
- そうすると、最後の姿はこうなるけれども、そのための一里塚として、どうしてもここでこれをやっておく必然性があるというきちんとした説明が必要になる。公社から最後の姿に行くまでのトランジションは何年を目途とする、公社までの期間にでできることはここまでが限界でこれ以上はできない、という2点をきちんとしておかないと、トータルとしての絵が描きにくい。
- そこで、この懇談会と研究会は、そこの点をうまくクリアーして、二元連立方程式の接点を求めるような作業をしないと、全体として話が前へ進みにくくなるという点が気になる。
- (松原委員)
- 小泉さんが総理になる前は、基本法は未来永劫国営の公社で行くという形。小泉総理が誕生し前提自体を考えようと言う方向になってきた。
- 公社化の段階で民営化にスムーズに移行できるような制度設計をしていく、そのことがきっちり議論できていれば、やれるところまでは公社の枠の中で、その後は、この懇談会で経営形態の問題だけ扱えば良いという整理が可能。
- 座長と総理の間に若干相違を感じた。例えば、官民の役割分担で、パブリックにこだわるのであれば限度額をどんどん減らしていくべきという話があった。一方で、郵政のネットワークを生かすのであれば、いわゆる全銀協が言うような郵貯安楽死のような形を取ると国民のサービスは低下してしまうので、国営の縛りを外して民営化して自由にネットワークを生かしていく方が国民にとってプラスだという話があったが、これらは相当ベクトルが違う。
- (田中座長)
- 公は官でなければいけないと言っているわけではない。預入限度額をずっと下げれば補完的なものというのはあり得るということ。それを我々が取るということではない。
- (清野委員)
- 先ほど総理がおっしゃったように、経済学的に言えば、民間が競争的でない不完全競争ならば、公益を考えた企業体の存在には、それなりの意義があるということも理論的には言われている。
- しかし、こうした議論が当てはまると考えるのは不適当だというのが総理自身の直感だと思うし、私もそう思う。そういう意味で、さまざまな公社公団の民営化の失敗、投資面の失敗、人事配置の失敗が、今回どの程度あったかということを踏まえた上ならば、私は民営化というのも一つの道なのかなと思っている。
- (田中座長)
- 総理の発言の中に、公社をそのまま存置した場合に、国民は社会的なコストと関係なしに過剰な期待を乗せてくる、ダイナミックスというのは更にあるとのご認識があった。これを背景として経営形態論を議論していきたい。
- 11月には公社化研究会の案についての意見交換が可能となるので、それまでに論点を詰める必要があり、総理に臨席いただき2回開催したい。2回目は郵政公社に関わる問題に限定したいので、次回は、当面の論点の「1」と「2.(1)」までを議論し、2回目に経営形態、国営公社以降の議論を行いたいが、よろしいか。
- (小泉総理)
- 国鉄よりも競争相手が多いのだから、公社になったらうかうかしていられない。
- 国民はJRよりもサービスを要求するかもしれない。JRは、まだ競争相手が少ない。三事業の競争相手はたくさん出てくる。
- (田中座長)
- それでは日程は、内閣官房から、皆様方のスケジュールを調整させていただく。
- (松原委員)
- 懇談会としてパブリック・コメントを出すということか。
- (田中座長)
- 総理があれだけ言っておられるのに、何も言わないということはないと思う。私個人の責任においてでもコメントはするつもり。
- (総務大臣)
- パブリック・コメントという形が良いのか、座長なり代表が相手のメンバーと懇談するのが良いのか。いずれにせよお互いの意見交換、意思疎通はやっていただきたい。
- (若杉委員)
- 公社化研究会が、民営化をにらんで、そういう方向で公社の在り方を考えていくべきだという意見があった。
- しかし現状では、公社に与えられているのは簡易な保険あるいは少額の貯蓄をサービス等を提供するというミッションである。それを効率的に実現するために、どういう公社経営が望ましいかということが議論されるべきであり、民営化がやりやすいような公社の形態を前提とするという議論は筋が通らない。論点を整理していただきたい。
- (田中座長)
- 問題は、長期間持続可能な公社形態があり得るのか。特に、民を補完するという形で定義した場合、それが持続できるか、相当検討が必要。
- (若杉委員)
- この懇談会で民営化という結論が出ないうちに、公社化研究会が、民営化を前提とした公社の在り方を考えるということは、国のやり方として一貫性がなく不自然。
- (清野委員)
- 公社化したときの幹部、従業員の方々が、今後どういう意識を持つか、それによってどういう公社の形態をつくっておけば良いか、だんだん出てくると思う。こうであるべきだ等と、こちらの方で言うのは、私はあまり好まない。
- (若杉委員)
- 個人的には、良い公社形態にすれば民営化にスムーズに移行しうると思っているが、そのことと公社化の議論をするときに民営化を前提とすることとは全然違う。
- (総務大臣)
- 民営化を前提にやるべきだという意見も、そうでなくて、公社だけ考えれば良いという意見もあった。私は予断を持たずにと言っているので、前提を付けずに議論していただきたい。
- (田中座長)
- 公社化研究会に申し上げるとすれば、公社化という形態を取って、民を補完するという業務に限定したとして、それで持続性がある形になるのかという点。
- (総務大臣)
- 民を補完と考えるのか、基礎的なサービスは公社でやって基礎的でないものは民にやってもらうと考えるのか、それは研究会のメンバーによって違うと思う。
- 必要があれば座長が来ていただいて、いろいろ議論をしていただければと思う。南座長にもそのことを伝える。
- (田中座長)
- それでは、本懇談会は、パブリック・コメントの時期に合わせて今後2回やる、次々回は郵政公社に関わる問題に集中するが、次回はそれも含めて機能と官民の分担、そして経営形態を広く議論するということでよろしいか。
(異議なしの声)
- (田中座長)
- 内閣官房には、私どもだけの勉強会の日程調整もお願いしたい。
- (清野委員)
- 郵政三事業民営化について意見を聞かれたときには、私はメンバーだから言えないと対応している。
- (田中座長)
- 懇談会の予測を抜きにして、個々の委員の意見は何の遠慮もいらない。
(別紙)
第3回郵政三事業の在り方について考える懇談会
出席者
| (政府側) |
| 小泉純一郎 | 内閣総理大臣 |
| 片山虎之助 | 総務大臣 |
| 上野 公成 | 内閣官房副長官(政務・参) |
| 古川貞二郎 | 内閣官房副長官(事務) |
| |
| (委員) |
| 田中 直毅 | 座長・経済評論家 |
| 池尾 和人 | 慶應義塾大学経済学部教授 |
| 翁 百合 | 株式会社日本総合研究所調査部主席研究員 |
| 葛西 敬之 | 東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長 |
| 風間 晴子 | 国際基督教大学教授 |
| 清野 一治 | 早稲田大学政治経済学部教授 |
| 樋口 恵子 | 東京家政大学教授 |
| 松原 聡 | 東洋大学経済学部教授 |
| 若杉 敬明 | 東京大学大学院経済学研究科教授 |