第1回財政構造改革会議内閣総理大臣挨拶
平成9年1月21日
- 本日ここに財政構造改革会議が開催されるにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
この度、財政構造改革会議が発足できましたことに対し、ご尽力頂きました関係者の皆様に、まず、厚くお礼申し上げます。
私が、このような会議の設置を提案致しましたのは、昨日、国会におきまして施政方針を述べました際にも申し上げたとおり、我が国財政の危機的な状況にかんがみ、早急に財政再建の具体的方策について、財政構造改革という観点からの成案を得なければならないという認識によるものであります。
- これまで、私は、財政構造改革を、行政改革などの「六つの改革」の一つと位置づけ、内閣の大きな課題として取り組んでまいったところであり、昨年12月には財政健全化目標について閣議決定を行いました。
そして、平成9年度予算の編成に当たっては、与党の協力も得て、医療保険制度改革を始めとする各般の制度改革への取り組み等により、一般歳出伸率を名目経済成長率見込みよりも相当低い1.5パーセントに抑制するとともに、史上最大の4.3兆円の公債減額を達成して国債費を除いた歳出総額を税収等の範囲内に収めることができました。
こうして、財政構造改革の第一歩を踏み出すことができたわけですが、引き続きその歩みを早急かつ着実に進めていく必要があり、次の10年度予算編成に向けまして、早い段階から歳出全般の見直しを進めながら、個別の歳出レベルで、各歳出項目について掘り下げた吟味を行うことによって、概算要求段階から一層厳しい歳出抑制に取り組んでまいりたいと考えております。
- 一方、歳出の改革と縮減が、国民の皆様にある意味で従前の受益の水準の引下げをお願いするという面も必然的に持たざるを得ないことも事実であります。そのため、その具体策作り、いわゆる財政再建の「各論」部分の具体案作りというものは、ひとり政府のみで行い得るものではございません。すなわち、財政構造改革の光と影の部分について、国民の皆様に理解を求め、幅広く意見をいただきながら、具体的方策をとりまとめるのは、まさに政治が責任を持たなければならないことであると考えております。このような観点に立ち、私は、与党の皆様のお力を結集していただくことにより、まさに国民的な議論を経て、財政再建の具体的方策を取りまとめていただくべく、本会議を設けさせていただきました。
また、この会議には、現在の政策決定に直接携わっている与党の責任者、政府の関係閣僚に加えて、総理大臣経験者、大蔵大臣経験者の皆様にも御参加頂きました。皆様は、国政全般、ないし財政に関する御経験と専門的な知識をお持ちの皆様ばかりであり、また、これまでも様々な政策課題について国民的な合意形成に力を尽くされた方ばかりですので、この会議においても、ぜひとも大所高所からの御意見を賜りたく存じます。
- この会議においては、財政再建法(仮称)の骨格を含めた歳出の改革と縮減の具体的方策について、検討を行っていただきたいと考えておりますが、ここで私からお願いしておきたいことがあります。すなわち、財政再建の具体的方策としては、諸外国の取組み等を参考にいたしますと、例えば歳出上限の設定、スクラップアンドビルドの徹底、個別の歳出削減目標の設定などが考えられるところでございます。こうした様々な方策について、一切の聖域を設けず、すなわち社会保障関係費、公共事業関係費、文教及び科学振興費、防衛関係費、これらを始めとするあらゆる経費を対象に、ぜひ自由闊達にご議論いただき、諸外国とは異なる我が国の社会経済システムも勘案して、国民の皆様にも受け入れていただけ、かつ、一旦決めたら必ずそれを実行するという厳しい制約を課した、いわば「日本版の財政再建方策」の決定版を作成いただきたいということであります。
また、財政再建法(仮称)については、この会議でその骨格を決め、できるだけ早い機会に法律案を国会にお諮りするという運びを考えておりますが、その財政再建法(仮称)の骨格を含めた歳出の改革と縮減の具体的方策の検討につきましては、10年度予算の概算要求基準にも反映させられるようなタイミングでのとりまとめもあわせてお願いを申し上げたいと思います。
- 最後になりましたが、私はこの会議の成功に向けて決して退かないとの決意をもって取り組んでまいりたいと存じます。どうか皆様方におかれましても格段の御協力を頂きますよう心からお願いし、簡単ではございますが、私の御挨拶とさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。