1 収益及び費用の計上基準

項目
論点・意見
工事進行基準

1 現行制度の概要(法法64、法令129〜 131)

長期請負工事(工事期間が1年以上)については、工事完成基準を原則としつつ、利益の見込まれるものにあっては会社経理を条件に工事進行基準の選択が可能である。

2 趣旨・沿革

  •  長期の請負工事について引渡基準を適用すると数年間は利益が生ぜず、配当ができない等の理由から、企業会計では工事進行基準による利益計上を認めているが、税法もこれを容認したもの。
  • 昭和25年に基本通達で明示、昭和40年の全文改正で整備。
[企業会計の慣行・選択制、適正な期間損益の計算、工事原価の見積り、赤字工事、国際的な動向]
  • 課税所得の計算は、最も適切な方法によるべきであるので、計上基準の選択制は、見直すべきではないか。
  • 課税上、長期請負工事の収益計上を工事進行基準のみとすると、会社決算上の会計処理との差異が生じ得るという問題があるのではないか。
  • 長期請負工事については、工事進行基準による方が法人の各期の業績を的確に表すことになるのではないか。
  • 長期請負工事については、頭金、中間金等の支払いを受けるのが通例であり、また、一般の取引においては掛売についても収益の計上を求めていることなどを考慮すれば、担税力の問題 は収益の計上方法を工事進行基準に一本化することの障害とはならないのではないか。
  • 工事契約については、契約条件や設計変更が頻繁であり、工事進行基準のみの適用は実務上の困難を伴うのではないか。工事進行基準のみとする場合は、対象工事を長期の大口請負工事 に限定すべきではないか。
  • 期間損益を適正に把握する観点からは、決算期を跨ぐ取引は全て工事進行基準の対象とすべきではないか。
  • 小口の工事は、件数が多くても金額的なウエィトは小さい。小口の工事まで工事進行基準にすると事務的に大変であり、こうした点も十分考慮すべきではないか。
  • 長期請負工事を全て工事進行基準の対象とする場合、赤字工事をどのように取り扱うか検討する必要があるのではないか。
  • 国際的な潮流として、長期請負工事については工事進行基準のみを適用する方向にある点も考慮すべきではないか。
割賦・延払基準

1 現行制度の概要(法法62、63)

割賦販売等(定型的約款に基づき月賦・年賦等で行われる販売等)及び延払条件付譲渡等(2年以上、3回以上の分割、頭金等が対価の額の3分の2以下となっている契約に基づく譲渡等)については、賦払金の履行期で利益の計上ができる。

2 趣旨・沿革

  • 企業会計の慣行や納税資金について回収時とした方が無理がないこと等を考慮して措置されているもの。
  • 昭和25年に基本通達で明示。昭和40年の全文改正で整備。
[企業会計の慣行・選択制、物品の供給機能と金融機能、販売益部分と金利部分の区分、国際的な動向]

  • 割賦・延払取引は、販売する者が物品の供給機能と金融機能の二つを果たしていることや国 際的な会計処理の動向などを踏まえると、販売基準によるのが適当ではないか。
  • 金利相当分については、これを区分して経理している等の実態がある場合には、代金の支払 履行期の収益計上を容認すべきではないか。
長期金融商品の収益計上

1 現行取扱いの概要

  • 預金、債券等の利子については、経過日数に応じて、収益計上するのが原則的な取扱いとなっている(金融業以外は、1年以内に利払日が到来する場合には、利払い日ベースも可能)。(法基通2−1−24)
  • 養老保険等の収益の分配金や予想利回り商品については、実際に収益の分配を受けるまでは、収益に計上する必要がない。(法基通9−3−8他)
  • 受取配当の収益計上は配当決議のあった日又は配当金の受領日とされている。(法基通2−1−27、2−1−28)

2 趣旨・沿革

  • 上記の取扱いは、発生主義又は実現主義を原則としつつ、重要性の原則等を考慮したもの。
[企業会計の慣行、発生主義、収益の見積り計上、象商品・中立性]

  • 養老保険、長期の投資信託等の長期金融商品については、予想利回りが示されているもので あっても、実際に収益の分配を受ける時までは収益の計上を要しないこととされているが、合 理的な方法により毎期収益の計上を求めるべきではないか。
  • 長期金融商品については、購入資金の融資付きで販売されているという実態もあるので、支払利息の計上と受取利息等の収益計上に整合性を持たせるためには、収益・費用の両面におい て、発生主義を徹底する必要があるのではないか。
  • 対象商品の範囲や具体的な収益計上の方法をどうするかといった難しい問題があるので、慎重な検討が必要ではないか。
  • 割引債の償還差益については、主要諸外国では発生主義で収益を計上しており、我が国においても期間に対応して毎期収益の計上を求めるべきではないか。
費用の計上基準

1 現行制度・取扱いの概要

[原則]
  •  費用の計上は、債務確定主義(期末までに、債務成立、債務の基づき具体的な給付をすべき原因となる事実の発生、金額が合理的に算定可能)が採られている。(法22(3)、法基通2-2-12)

[個別項目]

  • 短期前払費用(家賃、リース料、支払金利等で、1年以内に役務提供が行われるもの)については、継続適用を条件に、支払日ベースで費用の計上ができる。ただし、預金等に運用するために調達した借入金の利子等収益の計上と対応させる必要があるものについて適用がない。(法基通2-2-14)
  • 消耗品についても、継続適用を条件に、購入日ベースで費用計上ができる。(法基通2-2-15)
  • 支払金利については、期間費用として、損金の額に算入される。(法基通5-1-1の2他)

2 趣旨・沿革

  • 債務確定主義は別段の定めがない限り、引当金等債務の確定しない費用の見積り計上を認めないものであり、恣意性を排除し、課税の公平を図るもの。
  • 短期前払費用、消耗品の取扱いは企業会計の重要性の考え方を採り入れ、事務の簡素化の観点から、措置されているもの(昭和55年の通達改正で明示)。
  • 支払金利の損金算入は、企業会計の考え方を採り入れているもの。
[短期前払費用、消耗品の取扱いに関し、実務上の簡素化と期間損益計算の適正化]
  • 短期の前払費用、消耗品の支出時損金算入は、企業会計の重要性の原則等を税務上も容認しているものであるが、期間損益計算の適正化という観点から、現行の取扱いは、見直すべきで はないか。

[支払金利の資産化]

  • 支払金利については、期間費用として、無条件に損金算入としているが、他の者から建物を購入した場合とのバランスから、少なくとも、大規模な建物を自ら建設するために要した金利 費用は、建物の取得価額に算入すべきではないか。
  • 支払利子等を固定資産の取得価額に含めると、需要を減退させることになるのではないか。
  • 支払金利の取得価額への算入は、技術的に困難ではないか。
  • 土地については、現在、租税特別措置法で損金不算入の特例が設けられているが、この取扱いについても、併せて検討する必要があるのではないか。


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