平成8年11月

法人課税小委員会報告

税制調査会


はじめに

1.税制調査会は、累次の答申において、法人課税について、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方向に沿って検討する旨、表明してきている。特に、「平成8年度の税制改正に関する答申」(平成7年12月)において、「租税理論のみならず、企業会計や税実務なども視野に入れて、専門的・技術的に検討を深める必要がある」と指摘している。
 本小委員会は、このような税制調査会の指摘に基づき、法人課税のあり方について、課税ベースの問題を中心に専門的・技術的な検討を行うことを目的としたものである。

2.本小委員会は、平成7年10月の設置以来、26回にわたる審議を行った。審議に際しては、経済・労働等の諸団体から意見を聴取した。また、アメリカ・カナダ、イギリス・ドイツ、マレイシア・インドネシア・シンガポールにおいて海外視察を実施し、各国における法人課税の動向等について調査を行った。

3.この報告は、本小委員会の審議結果をとりまとめたものである。報告のとりまとめに当たっては、第1章において、法人課税見直しの基本的な考え方をあらためて敷衍するとともに、第2章において、課税ベースに関連する各項目について個別的な検討を加え、その拡大・適正化の方策の提言を行った。
 なお、本報告においては、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるとの方向に沿って、思い切った法人課税の見直しを提案することに努めた。ただし、検討項目の中には、更に検討を深めるべきものも残されている。

4.課税ベースに関する全般的な見直しは、ほとんどすべての法人に税負担の変動をもたらすだけでなく、企業経理にも影響するものである。したがって、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるとの考え方について国民各層の理解を求めつつ、実際の改正に際しては、必要に応じ、更に実務的な検討を加えた上で実施に移すことが重要である。なお、税負担の激変を緩和する観点から経過措置を適切に講ずるなど、円滑な実施にも配慮する必要がある。

なお、法人課税小委員会の審議に参加した委員、特別委員、専門委員は、次のとおりである。

会長       加 藤   寛

会長代理     松 本 作 衞

小委員長     石   弘 光

委員       貝 塚 啓 明

         片 岡 輝 昭

         本 間 正 明

         宮 島   洋

特別委員     水 野 忠 恒

専門委員     安 藤 英 義

         神 田 秀 樹

         白 鳥 栄 一

         神 野 直 彦

         関   哲 夫

         平 川 忠 雄

         吉牟田   勲




               目       次

第1章 基本的考え方
一 法人課税のあり方
  1.法人課税の概況及び性格
  2.税負担に関する論点
  3.税率に関する論点

 二 国際課税のあり方

 三 地方の法人課税のあり方
  1.税の性格
  2.地方の法人課税の意義
  3.法人税の検討に併せた地方の法人課税の対応
  4.法人事業税の外形標準課税
  5.法人住民税均等割

 四 課税ベースの拡大と税率の引下げ
  1.国際的にみた法人税改革の流れ
  2.課税ベースの見直し
  3.商法・企業会計原則との関係
  4.課税ベースの拡大と税率の引下げの意義

第2章 課税ベースに関する個別的検討
 1.収益の計上基準
  (1) 工事収益
  (2) 割賦販売等に係る収益
  (3) 長期金融商品に係る収益
 2.費用の計上基準
  (1) 短期の前払費用
  (2) 支払利子
 3.資産の評価
  (1) 棚卸資産の評価
  (2) 有価証券の評価
  (3) 外貨建債権債務
 4.減価償却
  (1) 償却方法
  (2) 耐用年数
  (3) 償却可能限度額
  (4) 少額減価償却資産
  (5) リース資産
 5.繰延資産
 6.引当金等
  (1) 基本的考え方
  (2) 貸倒引当金
  (3) 賞与引当金
  (4) 退職給与引当金
  (5) 製品保証等引当金
  (6) 返品調整引当金
  (7) 特別修繕引当金
  (8) 準備金
 7.法人の経費
  (1) 役員報酬等
  (2) 福利厚生費
  (3) 交際費
  (4) 寄附金
  (5) 外国の罰金
 8.租税特別措置等
 9.金融派生商品
 10.欠損金の繰越し・繰戻し
 11.法人間配当
 12.企業分割・合併等
  (1) 現物出資の課税の特例
  (2) 合併の場合の清算所得課税等
  (3) 連結納税
 13.同族会社に対する留保金課税
 14.公益法人等の課税対象所得の範囲
 15.保険・共済事業の課税所得計算
 16.国際課税
  (1) 外国法人に対する課税
  (2) 外国税額控除制度
  (3) タックス・ヘイブン税制
  (4) 移転価格税制
 17.事業税の外形標準課税
  (1) 外形基準
  (2) その他の検討課題

「第1分冊」「第2分冊」「第3分冊」「第4分冊」「第5分冊」「第6分冊」「第7分冊」


編集者からのお知らせ
1. この報告書は次の7分冊に分けてある。
 第1分冊-----「はじめに」及び目次
 第2分冊-----「第1章 」のうち最初から「三 地方の法人課税のあり方」まで
 第3分冊-----「第1章」のうち「四 課税ベースの拡大と税率の引き下げ」
 第4分冊-----「第2章」のうち「1.収益の計上基準」から「5.繰延資産」まで
 第5分冊-----「第2章」のうち「6.引当金等」
 第6分冊-----「第2章」のうち「7.法人の経費」から「12.企業分割・合併等」まで
 第7分冊-----「第2章」のうち「13.同族会社に対する留保金課税」から「17.事業税の外形標準課税」まで
2. この報告書では「文字化け」を防ぐため、見出し符号に原文とは別のものを用いた。
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