B7東京サミット開会式

更新日:令和5年4月20日 総理の一日

 令和5年4月20日、岸田総理は、都内で開催されたB7東京サミット開会式に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「皆様おはようございます。日本の総理大臣の岸田文雄です。本日は、B7東京サミットにお招きにあずかり、誠にありがとうございます。G7議長国の内閣総理大臣として、G7各国の経済界を代表する皆様方の御訪日を心から歓迎申し上げます。
 今日の国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略という、国際秩序の根幹を揺るがす事態に直面しています。今、世界は、歴史的な転換期にあります。このような中で、価値を共有するG7が負う責任は極めて重く、私は、G7広島サミットにおいて、国際社会の諸課題を克服するための決意、道筋、具体的な行動を示したいと考えています。その際、2つの視点を重視しています。
 1つ目は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことです。法の支配は、人間社会を律する基本的原則であり、価値観の違い、などと言って逃れられる次元のものではありません。力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用はあってはならず、断固として受け入れられません。
 G7はロシアによるウクライナ侵略に対して、これまで結束して対応してきました。3月21日、私はウクライナを訪問し、市民の虐殺があったとされるブチャ市を訪れ、この目と耳で、ロシアによる暴挙を目の当たりにしてきました。また、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、G7議長国として、厳格な対露制裁とウクライナ支援におけるG7の結束を維持していくことを表明いたしました。ゼレンスキー大統領とは、ウクライナの戦後の復旧・復興における民間セクターの重要性も確認しています。
 2つ目は、グローバル・サウスと呼ばれる国々への関与の強化です。ロシアのウクライナ侵略は、途上国を始めとする世界の人々の暮らしに大きな打撃を与えました。これらの国々が直面する諸課題に耳を傾け、その解決に取り組まずして、彼らとの信頼関係を構築することはできません。このため、広島には、G7の首脳に加え、8か国の首脳と7つの国際機関の長を招待し、アウトリーチ会合も実施いたします。
 G7広島サミットで議論すべき課題は山積しています。エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、ウクライナやインド太平洋を含む地域情勢、核軍縮・不拡散、経済安全保障、気候変動、保健、開発といった地球規模の課題、そしてジェンダーやデジタル化などへの対応などです。
 私は、先に述べた2つの視点の下で、そうした幅広い課題についてG7首脳と胸襟を開いて突っ込んだ議論を行い、そして成果を示してまいります。
 今、世界経済は、地政学リスク、また、物価高騰などにより、不透明な先行きに直面しています。こうしたときこそ、G7が、世界経済を力強く牽引(けんいん)し、持続的成長の実現のために、課題解決を主導しなければなりません。
 私は、我が国において、新しい資本主義を掲げ、成長と分配の好循環の推進のため、人への投資を重視しつつ、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、イノベーション促進、スタートアップ育成の取組を進めています。先進各国においても、安定的なエネルギー供給の確保、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化や気候変動などの課題に直面しており、こうした社会課題に対し、官民で連携し、投資を喚起する取組が大きな流れになっています。
 私は、来るG7広島サミットにおいて、このような社会課題の解決のため、官民が連携した取組の重要性や国際的な連携について議論を深め、持続的な成長を牽引したいと考えています。
 今、グローバル・サウスの国々は、インフラ、気候変動・エネルギー、保健等の様々な分野で、また、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、投資や民間資金を必要としており、G7でもそのための方策について議論を深めていきたいと思っています。
 この関連で、日本の取組を紹介しますと、先日、私は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のための新たなプランを発表いたしました。国際社会を分断と対立ではなく協調に導くという目標を掲げて、FOIP協力を充実していきます。官民のシナジー効果を生み出すべく、投資を呼び込む新たな民間資金動員型ODA(政府開発援助)の導入やJBIC(国際協力銀行)法改正による更なる民間資金の動員を進めていきます。特にニーズが大きいインフラ面において、我が国は、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をインド太平洋地域に動員し、各国と共に成長していきます。
 本日のB7東京サミットでも、主要議題の1つとしてグローバル・サウスとの協力の推進が議論されると承知していますが、官民が連携し、G7全体として、グローバル・サウスを支援していきたいと考えています。
 気候変動とエネルギーについて申し上げます。ロシアによるウクライナ侵略によるエネルギー安全保障の確保の重要性が再認識される中においても、2050年ネット・ゼロに向けた目標は不変です。各国・地域の事情に応じた強靭なエネルギー移行の道筋を示していく必要があります。
 G7広島サミットでは、世界の脱炭素の実施の進展、気候脆弱(ぜいじゃく)な人々を守り抜く質・量双方での支援、エネルギー安全保障を確保した2050年ネット・ゼロへの取組、この3点に焦点を当てていきたいと考えています。
 貿易と経済安全保障についても申し上げます。今日の我々の経済的な繁栄の基盤となったのは、自由で公正な多角的貿易体制であり、G7広島サミットでは、まずその重要性を再確認したいと思います。
 他方、今日、世界がパンデミックやロシアによるウクライナ侵略といった危機に直面する中、我々の経済の強靭性が問われています。世界は重要資源の供給途絶や、相互依存的な経済関係に潜む脆弱性を含め、経済安全保障のリスクに備えなければなりません。
 G7広島サミットでは、サプライチェーンや基幹インフラの強靭化、非市場的政策・慣行や経済的威圧等への対応等について首脳レベルで率直な議論をしたいと考えています。
 せっかくの機会ですので、日本経済についても述べたいと思います。
 岸田政権は、海外からの人材・資金を積極的に呼び込むことにより、我が国全体の投資を拡大させ、イノベーション力を高め、海外からの新たなビジネスチャンスを拡大し、日本の更なる経済成長につなげていきます。
 そのため、半導体などの戦略分野において強靭なサプライチェーンを確立するための投資促進策に加え、アジア最大のスタートアップハブの形成に向けた戦略や、海外の人材が日本で働きやすくなるような、高水準の在留資格制度の創設などを盛り込んだ、新たな数値目標を設定したアクションプランを今月にも示します。これを実行していくことで、日本を世界に更に開かれた国にしてまいります。是非、日本に対する投資をお願いしたいと思います。
 最後にB7への期待について一言申し上げます。
 世界経済の繁栄とその基礎となる国際社会の平和と安定を守り抜くことは、G7の使命です。来る広島サミットにおいても、私はその使命を真剣に果たす決意です。
 その際、経済界の皆様の視点を得ることが極めて重要です。本日は、1日かけて、世界が直面する課題について、政府と経済界がいかなる協調ができるかなど活発な意見交換がされる、こうしたことを大いに期待しております。
 御清聴、誠にありがとうございました。」

これまでの総理の一日