令和3年度自衛隊記念日観閲式 岸田内閣総理大臣訓示

令和3年11月27日
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 本日、ここ朝霞の地で、我が国の防衛を担う隊員の皆さんの、規律正しく、また、士気旺盛な姿を前にし、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣として、大変頼もしく思います。
 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える。」
 この宣誓を胸に刻む、全国25万人の隊員の皆さん一人一人の、強い覚悟と責任感によって、日本と、日本国民は守られています。
 「炎天下の中、活動する皆さんの献身的な姿に心を打たれた。自衛隊員の皆さんが必死に活動する姿が、被災された方々をどれだけ勇気づけたことか。」
 この夏、熱海(あたみ)で土石流災害の対応を行った自衛隊に、齊藤市長から寄せられた言葉です。ここ朝霞からも部隊が駆けつけ、連日の雨と猛暑で体力が奪われる中、隊員たちは、土砂が流れ込んだ住宅を一軒一軒回り、「必ず助ける! 必ず見つける!」との強い思いで行方不明者の捜索を続けました。自衛隊は、国民の命と暮らしを守るために、一瞬たりとも緊張感を途切れさせることなく、厳しい職務に日々取り組んでいます。
 私は、2017年夏、外務大臣と防衛大臣を兼任し、北朝鮮による弾道ミサイル発射の対応に当たった際に、強く実感いたしました。私自身、我が国の安全保障に一刻の空白も、いかなる不備もあってはならない、こうした思いで、防衛省、自衛隊の皆さんと共に、必死に、全力で取り組んだことをよく覚えています。昨日も、予断を許さないエチオピア情勢を踏まえ、情報収集を強化するため、外務省と防衛省からなる調査チームをジブチに派遣いたしました。皆さんの強い使命感と日々の努力に、改めて敬意を表します。そして、今後も、国民を守るため、それぞれの持ち場で、任務に全身全霊を捧(ささ)げることを強く期待します。
 今、我々はこれまで以上に厳しい現実に直面しています。北朝鮮は、安保理決議違反である弾道ミサイルの発射を続けています。極超音速滑空兵器や変則軌道のミサイルなど、昨今の新たな技術の開発・向上を見過ごすことはできません。中国は、十分な透明性を欠いたままで、軍事力を強化するとともに、一方的な現状変更の試みを継続しています。
 隊員の皆さん、我が国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を断固として守り抜く。我々に課せられた最も重大な責務です。我が国を取り巻く安全保障環境は、これまでにないスピードで、大きな動きを見せています。ひと昔前にはSF小説の世界だったものが、今、正に現実になっている。その中にあって、国民の命や暮らしを守るために何が求められるのか、冷静に、現実的に議論を突き詰めていくこと、そして、国民の皆さんにしっかりと御理解いただくことが、政治の責任です。このため、私は、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定を指示いたしました。この中で、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含めて、あらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化してまいります。
 岸田内閣では、外交・安全保障と並び、重点政策として、新しい資本主義の実現に総力を挙げて取り組んでいます。成長と分配の好循環を生み出し、成長の果実を国民の皆さん一人一人に実感してもらうことを目指しています。こうした経済の成長は、必要な防衛力を備え、我が国の平和と安定を守り抜いていくためにも重要な力となります。
 そして、岸田内閣の最優先課題として、新型コロナ対応があります。自衛隊は、この新型コロナ対応においても、常に国民のことを第一に考え、任務に取り組み、その役割を大いに果たしてくれています。新型コロナワクチンの大規模接種センターに、千葉県から訪れた男性はこう語りました。
 「接種は20分程度で全て終わり、滞りのないスムーズな素晴らしい動線だと感動しました。入口から出口まで、皆さん全員が笑顔で、私を含め高齢者たちは安心して接種を受けることができました。皆さんに感謝しています。」
 関係者の皆さんは、チーム一丸となって、緊密にコミュニケーションを重ね、課題を洗い出し、積極的に改善を続けた、と聞いています。その熱意と懸命な働きが、諸外国を上回るペースでワクチン接種を進めることができたという結果に貢献いたしました。自衛隊の隊員一人一人の能力、志の高さ、そして組織としての団結力を力強く示してくれたと思います。
 私は、現場に出向き、そこにいる方々の声に耳を傾け、対話しながら、あるべき政策を考え、実現していきたいと思っています。今日は、この後、先の熱海の土石流災害や大規模接種センター、アフガニスタンからの出国支援など、自衛隊の任務の多様さを示す、様々な経験を持つ隊員の皆さんとの車座で、忌憚(きたん)ない意見を伺えることを楽しみにしています。難しい任務に当たった、それぞれの方の声をしっかりと受け止め、この国を守るために必要なこと、そして、隊員一人一人が最大限に能力を発揮できる環境について、しっかりと考えたいと思っています。
 御家族の皆さん、皆さんの大切な伴侶やお子様、お父様やお母様を心から誇りに思います。彼らは、いつ、どんな時でも強い覚悟と責任感を持って任務を遂行してくれています。それは、ひとえに、皆さんが彼らを隊員として送り出してくださり、日頃から力強く、そして温かく、支えてくださっているからこそです。御家族の皆さんは、彼らにとって、どれほど大きな存在でしょう。最高指揮官として、皆さんに心から感謝申し上げます。
 隊員の皆さん、皆さんには、皆さんを信頼し、頼りにする1億2,000万人の日本国民がいます。国民の命と平和な暮らしを守り抜くという崇高で気高い任務を担う誇りを胸に、皆さんがより一層、鍛錬に励むことを切に望み、私の訓示といたします。

令和3年11月27日
自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣 岸田 文雄

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