ウクライナ情勢への対応及び新型コロナウイルス感染症対策についての会見

更新日:令和4年4月7日 総理の演説・記者会見など

(ウクライナ情勢への対応及び新型コロナウイルス感染症対策について)

 本日はまず、ウクライナ情勢への対応、そして新型コロナ感染対策について申し上げさせていただきたいと思っています。まずは、ウクライナ情勢への対応です。ウクライナのキーウ近郊において、後ろ手に縛られ命を奪われた市民の御遺体が、多数、路上で発見されるなど、許し難い行為が次々と明らかになっています。私自身、大変強い衝撃を受けています。この無辜(むこ)の市民を殺害するということは、戦争犯罪であり、我が国としましても、国際刑事裁判所に戦争犯罪の捜査の要請を行っております。ロシアの責任は厳しく問われなければならないと思っています。こうした侵略、さらには戦争犯罪、これは許してはならない。こうした思いを我が国として、厳しい行動で示していきたいと思います。そして、その具体的な内容については、今、G7とも調整中ですので、明日以降、できるだけ早く明らかにしていきたいと思っています。
 そして今日は、まずは、ウクライナ避難民の方々の受入れについて申し上げさせていただきたいと思います。5日、政府専用機によって、自力で日本に渡航することが難しいウクライナ避難民の方々20名が日本に到着されました。今後とも、このようなウクライナ避難民の方々が円滑に我が国に渡航することができるように、今週から当面、毎週、政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げて我が国への渡航を支援してまいります。
 そして次に、備蓄の放出について一言申し上げます。先週のIEA(国際エネルギー機関)閣僚会合を受けて1億2,000万バレルの石油備蓄放出が決定されました。日本としても、萩生田大臣が米国など関係国と精力的に調整を行い、IEAの割当量の1.5倍の1,500万バレルの備蓄を放出することといたしました。これは、米国の6,000万バレルに次ぐ規模の放出量です。このため、日本として、1978年に国家備蓄制度が始まって以来初めて、国家石油備蓄の放出に踏み切ることとなります。エネルギー市場の安定化は重要であり、引き続き産油国への働き掛けに努めるとともに、日本としてできることを前倒しで取り組んでまいりたいと考えます。
 次に、新型コロナ感染対策についてです。足元で、新規感染者数は全国的に下げ止まっており、若い世代を中心に増加傾向です。再拡大の兆候が見られる地域もあり、BA.2への置き換わりについても注意が必要であると考えます。3月のまん延防止等重点措置の終了判断の際に、私は、しばらくは平時への移行期間であり、最大限の警戒をしつつ、安全・安心を確保しながら、可能な限り日常の生活を取り戻す期間としていく、このように申し上げさせていただきました。こうした方針の下、第6波への対応として準備した「全体像」の医療体制を堅持しながら、オミクロン株の特徴に合わせて強化してまいります。再拡大の兆候が見られる中、医療のひっ迫が生じるような急激な感染拡大を防ぎ、日本の社会全体が日常の生活へと移行していくことができるよう、改めて、国民お一人お一人の御協力をお願いするとともに、今日は、政府の対応方針を説明させていただきたいと思います。
 まず、国民の皆様には、次の3点について御協力をお願いしたいと存じます。まず第1に、基本的な感染対策の徹底です。第2に、抗原定性検査キットも活用して、日常生活の中で積極的に検査を受けていただきたいということ。そして第3に、若い方々も含めて、ワクチン3回目接種を早めに受けていただきたいということです。それぞれにつきまして、もう少し詳しく申し上げます。
 まず、第1の基本的な感染対策の徹底ですが、昨年末からの第6波に対して、緊急事態宣言を出すこともなく、3月に重点措置を終了できたことは、国民お一人お一人の感染対策の徹底のおかげであり、また、医療・福祉関係者、自治体、事業者の皆様方の御協力に感謝を申し上げる次第です。そして、本格的な感染再拡大を阻止しながら社会経済活動を取り戻していくため、改めて、マスクの着用、手指消毒、換気、3密の回避といった基本的な感染対策の徹底をお願いいたします。歓迎会や旅行など外出の機会が増える季節を迎えています。そうした場合にも、飲食店は感染対策の採られた店舗を選んでいただき、移動先では感染リスクの高い行動を控えてください。特に高齢者を始め、重症化リスクの高い方と会う機会がある方は御注意いただくようお願い申し上げます。
 第2に、積極的な検査の活用です。飲食や出張・旅行、久しぶりに友人や家族と会う、イベントに参加する、日常の様々な場面、場所で、事前に検査を受けていただくことで、御自身や周囲の方々の安全・安心を高めることができます。抗原定性検査キットは、私も使っておりますが、15分程度で結果が出ます。国が必要な買い上げ保証を行い、向こう6か月間で3.5億回分と、十分な量を確保しています。体調が気になるときなど、検査で確認して行動していただければ、感染拡大を防止できます。日常生活の中で積極的に検査を活用していただくよう、御協力をお願い申し上げます。
 そして第3に、ワクチン接種の更なる促進です。3回目のワクチン接種は、4月7日公表時点で、高齢者の84パーセント、全体で44パーセントの接種状況となっています。3月末からは12歳から17歳の方々への3回目接種も始まりました。先ほど、専門家の方々とも意見交換をさせていただきましたが、3回目のワクチンを接種すれば感染防止に効果があり、特に、重症化を防ぐことができる。また、若い方であっても、感染した場合、重症化するリスクや後遺症が残る場合がある。こうした話がありました。御自身や親しい方々を守るために、ワクチンの種類に関わらず、3回目を早めに接種していただきますよう、改めてお願いを申し上げます。
 特に、若い世代の方々に接種を受けていただくことが重要です。そのための取組として、自治体と大学等が連携し、予約に空きのある自治体の大規模接種会場等を活用して、学生への集団接種を促進いたします。その際生じた費用を国が支援いたします。
 また、3月16日、私は移行期間においては、最大限の警戒を維持しつつも、可能な限り日常生活を取り戻すため、旅行、大人数の会合、飲食などの場面で、ワクチン接種歴や抗原検査キットの活用を奨励することを申し上げました。こうした方針に基づき、都道府県の判断により、様々な取組が行われています。旅行支援のブロック割は、3回目のワクチン接種又は検査が利用条件となっていますし、今後、都道府県の判断によって、例えば5人以上の会合でスマホの接種証明を活用することなども考えられます。若い世代の皆様にも、是非、可能な限り、日常の生活を取り戻すために、積極的にワクチン接種を進めていただき、ワクチン接種証明等を活用した取組に参加いただければと考えています。
 こうした取組を含め、新たにワクチン接種推進担当大臣をお願いした松野官房長官を中心として、若い方への接種促進に重点を置いて広報を強化することを指示した次第です。若い方々を含め、希望する全ての方々が1日も早く、3回目接種を受けていただけるよう、引き続き全力を挙げてまいります。
 以上、今日は国民への御協力のお願いを中心として3点申し上げた次第ですが、併せて、患者さんへの対応についても警戒を緩めることはいたしません。まん延防止等重点措置終了の際、移行期間における保健医療体制の維持・強化をお約束させていただきました。確実にこれが徹底されていることを点検するため、各都道府県に4月時点での体制確認を依頼しており、まとまり次第、公表いたします。特に、鍵となる高齢者施設における医療支援体制を全国で確保するため、施設内療養を行う施設への1人当たりの最大30万円の補助を全国に拡大するとともに、7月末まで延長し、強力に推進してまいります。岸田政権の新型コロナ対応の基本は、これからも感染拡大を防止しながら、社会経済活動を取り戻すということです。この移行期間を乗り越え、日常を取り戻せるよう、最大限の警戒を保ちながら、先手先手で対応してまいります。国民の皆様の御協力を改めて心からお願い申し上げます。冒頭の発言は以上です。

(ロシアへの追加制裁及び3回目のワクチン接種率が若者で低いことへの対応について)

 追加制裁についてはちょっと中でも申し上げましたが、今、G7とも調整中でありますので、具体的な内容は明日以降、できるだけ早く調整し、公表していきたいと思っています。そして2点目が、感染拡大の中でどう対応するか。これは、今の発言の中で申し上げました。とりあえず2点はそういうことです。引き続きお願いします。

(第7波の入口にあるのかについて)

 いいえ、今、引き続き第6波の拡大が下げ止まっている、こういった状況にあります。これに対して、今申し上げました移行期間という考え方の下に、引き続き第6波で用意した医療提供体制、ワクチン、検査、あるいは検査薬の体制、これをしっかり維持する。さらにはオミクロン株の特性を鑑みて強化すべきものは強化する、こうした体制をしっかりと全国の自治体にも協力していただきながら、維持をしていきながら、社会・経済を動かしていく、こうした方針を進めていきたいと考えています。いずれにしろ、引き続き警戒感あるいは危機感、こうしたものをしっかり持ちながら、今申し上げました感染症対策と社会経済活動を動かしていく。このバランスを考えながら対策を進めていきたいと考えています。

関連リンク

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