旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団等との面会
令和6年1月17日、石破総理は、総理大臣官邸で旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団等と面会しました。
総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。
「内閣総理大臣でございます。
本日御出席の皆様方におかれましては、御移動に際し、御労苦もあったかと存じます。遠路よりこの官邸までお越しをいただきましたことに、心より厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
旧優生保護法に基づき、あるいは、旧優生保護法の存在を背景として、多くの方々が、心身に重大な、多大な苦痛を受けてこられました。長きにわたりまして、特定の疾病や障害を有することなどを理由に、不妊手術や人工妊娠中絶という重大な被害を受けられるに至りましたことは痛恨の極みであり、政府として、昨年の最高裁判決を大変重く受け止めておるところでございます。
旧優生保護法を執行してまいりました立場といたしまして、その執行の在り方も含め、政府の責任は極めて重大であり、真摯に反省をするとともに、心からの謝罪を改めて申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
昨年10月8日、いわゆる『旧優生保護法補償金等支給法』が全会一致で成立をし、本日施行の日を迎えました。施行に当たりまして、本日改めて皆様方の辛い御経験や思いを伺わせていただき、これを胸に刻みました上で、皆様方に新たな補償を着実に届けてまいりたいと存じます。
優生手術といった個人の尊厳を蹂躙(じゅうりん)する、あってはならない人権侵害を、この国において二度と起こしてはなりません。この決意を胸に、疾病や障害のある方々に対する偏見や差別のない共生社会の実現に力を尽くしてまいります。
本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。」
また、総理は、要請書を受け取った後、次のように述べました。
「本日頂きました要請書につきましては、皆様の思いとともに、政府として、真摯に受け止めさせていただき、頂戴した3点につきまして、いずれも誠実に対応させていただきます。
新たな補償の仕組みにつきましては、これまで皆様の知見を頂きながら、周知・広報を行ってまいりました。本日からは、テレビ・ラジオ広告など、本格的な広報を開始いたしております。謝罪広告につきましても、本日、朝刊各紙に掲載されたところであります。
また、請求者の方を弁護士の方々がサポートなさる仕組みを導入し、被害者の皆様方に補償が届きますよう、力を尽くしてまいります。
補償法に基づく検証につきましては、旧優生保護法の制定経緯等に鑑み、主体は国会となりますが、私ども、行政といたしましても、これに対し、適切にその責任を果たしてまいります。
また、恒久対策を実施してまいる観点から、昨年末、『障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画』を決定いたしました。これは、社会全体での対応が重要との考えの下、全ての大臣を構成員とする推進本部において策定したものでございます。政府といたしまして、この行動計画を着実に実施するとともに、その進捗を継続的にフォローアップいたしてまいります。
継続的・定期的な協議の開催につきましては、原告団等の皆様との間で昨年締結をいたしました『基本合意書』に基づき、今後、三原大臣を筆頭に、皆様のお声もお伺いしながら、具体的な検討を進め、実施をいたしてまいります。
『過去は戻ってこない』との皆様方の痛切なお声を決して忘れることなく、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現していくことが、これからの私たちに課せられた使命であると考えております。
政府一丸となりましてこれに取り組んでまいりますことを改めてお誓いいたしますとともに、これからも、皆様方の貴重なお言葉を私どもにお寄せいただきますことを、切にお願いを申し上げます。よろしくお願いをいたします。」