新しい資本主義実現会議

更新日:令和7年2月27日 総理の一日

 令和7年2月27日、石破総理は、総理大臣官邸で第31回新しい資本主義実現会議を開催しました。

 会議では、国内投資と輸出の促進について議論が行われました。

 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。

「我が国経済は、現在、『賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済』へと移行できるか否かの分岐点にあります。我が国のものづくりの強みをいかして、アジアなど成長市場を取り込み、進化した製造業が勝ち筋を追求するとともに、地方においてサービス業等の生産性向上を実現するといった課題の克服が必要であります。
 先月、1月27日でありますが、経団連十倉会長から、2030年度135兆円、2040年度200兆円という、野心的な国内投資目標を表明いただきました。この新たな目標を官民で必ず実現をいたしてまいります。
 政府といたしましても、諸外国における政策変更に揺るがされることなく、GX(グリーン・トランスフォーメーション)分野での150兆円超の成長志向型カーボンプライシングの制度化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)分野での50兆円超のAI(人工知能)・半導体産業基盤フレーム、経済安全保障分野でのサプライチェーン国内回帰策など、国内投資について、予見可能性を高め、規制制度・支援一体で推し進めてまいります。
 その上で、本日の御議論を踏まえまして、以下の4点に新たに取り組みます。
 第1に、中堅企業の創出・成長加速です。
 国内に9,000者存在しております中堅企業は、設備投資・賃上げと地方創生2.0に大きな役割を果たします。賃上げにつながる設備投資の支援に加え、輸出や研究開発を大胆に後押しする施策を具体化し、中小企業は中堅企業に、中堅企業は大企業に成長していける、切れ目ない効果的な支援の体系を中堅企業成長ビジョンに基づいて実行いたします。
 第2に、新たな勝ち筋となる分野における挑戦の後押しであります。
 世界に先駆けて超高齢化社会を迎え、災害にも直面する、我が国のピンチをチャンスに変えて、アジアを始めとする成長する海外需要を取り込むべく、ヘルスケア・防災などの分野で、社会課題を解決する製品・サービスの開発と輸出の拡大に取り組みます。
 潜在力が高く伸びしろの大きい分野についても、農林水産品・食品の更なる輸出促進のための新興国でのコールドチェーンの整備、エンタメ・コンテンツ産業でのクリエイターの育成支援や取引適正化・海外展開支援、地方におけるインバウンドの拡大を通じた観光産業の成長を促してまいります。
 第3に、国内投資のボトルネックとなっております産業用地と産業人材の不足への対応です。
 GXの進展も見据えた産業用地の確保等に政府横断で取り組み、制度的対応の方向性について、6月をめどに取りまとめてください。
 文部科学大臣と経済産業大臣を中心に、産業側の需要と地域の大学・高等専門学校などの教育側の双方を一体的に捉え、教育機関での柔軟な学部・学科の再編や企業からの資金提供の後押しなども含めた産業人材教育のためのプランを6月をめどに具体化してください。
 第4に、AI・デジタル技術等がもたらすゲームチェンジ・産業構造転換の主導権を確保することが必要であります。高い信頼性が求められる分野での我が国のものづくりの強み等をいかした対応策が必要であります。
 経済産業大臣を中心に、AI・デジタル技術の変革等がもたらす新たな産業構造の将来像を示し対応策を具体化してください。とりわけ、自動車産業について、この変革下でも国際競争に勝ち抜くことができるよう、関連政策の強化をお願いをいたします。
 我が国の稼ぐ力につながりますよう、先端分野の研究開発の成果を国内で産業化するための施策を強化してください。
 あわせて、企業の積極的な投資のための企業統治改革、資本市場改革を進めてください。
 地域での成長投資と賃上げの環境整備を図るため、本日御議論いただいた内容に加え、順次、中小・小規模企業の生産性向上、価格転嫁、事業承継・М&A(買収と合併)、地域の基盤的サービスの維持・強化、人材政策、スタートアップ支援などについての議論を深め、本年6月に新しい資本主義実行計画の改訂を行います。
 以上を踏まえ、本年の春季労使交渉におきまして、ベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準となった昨年の勢いで、大幅な賃上げへの御協力を、労使の皆様方に心よりお願いを申し上げます。」

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