気象業務150周年記念式典
令和7年6月2日、天皇陛下御臨席の下、石破総理は、都内で開催された気象業務150周年記念式典に出席しました。
式典では、天皇陛下がおことばを述べられ、続いて、総理が挨拶を行いました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「本日ここに、天皇陛下の御臨席を仰ぎ、気象業務150周年記念式典が、かくも盛大に挙行されますことを心よりお慶(よろこ)び申し上げます。
我が国は太古より自然から多くの恵みを受けてまいりました。他方で、台風や洪水、地震や津波、冷夏や干ばつ、火山噴火等にも見舞われ、災害による被害の防止は常に国民の重大な関心事であり続けてまいりました。
こうした中、気象庁はその前身である東京気象台が明治8年に気象業務を開始して以来、150年にわたり、災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等に寄与し、国民の生命、財産の保護に大きく貢献してまいりました。
気象業務は科学技術の発展に伴い、目覚ましい進化を遂げております。天気予報の的中率は、昭和20年代は70パーセント半ばでしたが、最近では、90パーセント近くまで向上しました。地震の震度の観測点も、昭和後期の約150か所から約4,400か所まで増加し、きめ細かな地震情報の発信に取り組んでおります。豪雨やそれに伴う洪水、土砂崩れについても時々刻々と変化する状況を公表しつつ、危険が迫る地域におられる方々のスマートフォンに、官民連携で注意喚起の通知をするサービスも提供しています。
世界有数の災害発生国である我が国において、頻発する災害から国民の暮らしを守り抜くことは、国家の使命であります。政府では、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の取組を強力に進めており、その中で気象庁は、平時には防災・気象情報の高度化に取り組むなど、災害対策の企画・立案に参画し、発災時には迅速、正確な情報により、政府の的確な判断、対処を支えるという枢要な役割を担っております。
災害対策の要となる機関として、気象庁には今後、次期気象衛星の打ち上げ、スーパーコンピューターやAI(人工知能)の活用等により、災害に係る自然現象の分析、予測能力を向上させ、国民の皆様に更に分かりやすく情報提供を行うことや、自治体との連携の強化により、地域における防災力の向上に寄与することなどが特に期待されております。
気象業務150周年という節目の年に当たり、気象庁が安全、強靱で活力ある社会の実現に向け、持てる機能を十全に発揮することにより、引き続き国民との期待と信頼に応えていくことを祈念して、お祝いの言葉といたします。」