「東日本大震災追悼復興祈念式」における内閣総理大臣追悼の辞

更新日:令和7年3月11日 総理の演説・記者会見など

 本日ここに、「東日本大震災追悼復興祈念式」が執り行われるにあたり、政府を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
 東日本大震災の発生から、14年の歳月が流れました。
 ここ福島県においても、かけがえのない多くの命が失われ、いまだ行方不明の方々がいらっしゃいます。巨大地震と大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、多くの県民の皆様から、日々の暮らしを奪いました。
 最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の誠を捧(ささ)げます。
 原発事故の影響により、いまだ多くの方々が、避難生活を余儀なくされておられます。ふるさとに帰還することのできない方々を始め、被災された全ての皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 震災から14年が経ち、地震・津波被災地域の復興は着実に進展しています。
 福島の原子力災害被災地域においても、避難指示が解除された地域で生活環境の整備や産業・生業(なりわい)の再生に向けた取組が進められています。帰還困難区域においても、これまでに、全ての特定復興再生拠点区域の避難指示を解除するとともに、特定帰還居住区域においても除染などの取組が進んでいます。3月7日、飯舘村・葛尾村の帰還困難区域の一部で、土地活用に向けた避難指示の解除を決定いたしました。
 地元の皆様や、福島県及び各市町村を始めとする関係機関の皆様の、絶え間ない御努力・御尽力の賜物であることは、言うまでもありません。
 原子力災害からの復興に向けては、中長期的な対応が必要です。引き続き、国が前面に立って、復興の前提となる東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉とともに、帰還に向けた生活環境整備、福島イノベーション・コースト構想や福島国際研究教育機構等の取組も通じた産業・生業の再生支援に取り組んでまいります。昨年12月には、除去土壌等の福島県外での最終処分の実現に向けた閣僚会議を設置し、政府一体となって必要な取組を進めてまいります。
 「第2期復興・創生期間」の次の5年間は、復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間であり、これまで以上に力強く復興施策を推進してまいります。
 震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させることなく、後世に継承いたしてまいります。
 東日本大震災における経験を、能登半島地震や大規模火災を始めとする自然災害への対応、事前防災の徹底や災害対処体制の強化、避難所における生活環境の改善などの取組にいかし、防災庁を新たに設置し、世界一の防災大国にすべく力を尽くしてまいります。
 御霊(みたま)の永遠(とわ)に安らかならんことを改めてお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の追悼の言葉といたします。

令和7年3月11日
内閣総理大臣 石破 茂

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