内外情勢調査会全国懇談会

更新日:令和7年12月25日 総理の一日

 令和7年12月25日、高市総理は、都内で内外情勢調査会が開催した全国懇談会に出席しました。

 総理は、講演及び質疑応答において次のように述べました。

【講演】

「皆様、こんにちは。本日は、内外情勢調査会、大変な御盛会で誠におめでとうございます。
 まず、青森県東方沖を震源とする地震を始め、昨今の相次ぐ災害によって被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 さて、先日、臨時国会が閉会しました。内閣総理大臣に就任したのが10月21日ということで、まだ一国会を経ただけ、そしてまだ補正予算をお認めいただいただけというところでございますけれども、とにかく内閣総理大臣に就任してからここまでの短い期間、国民の皆様が直面している物価高への対応、ここを最優先に働いてまいりました。私は生活の安全保障と掲げておりますが、これが物価高への対応なのですが、まずは補正予算の成立という形で国民の皆様へのお約束を一歩ですが、果たすことができたかなと思っております。
 補正予算の規模、割と大きいじゃないかと皆さんも思われたかもしれませんが、私の場合は10月21日に就任して、そのときにはもう8月の末の概算要求も終わっている。でも、ここから新しい政治を始めなきゃいけないということで、物価高対策に加えて、どうしても一刻も早く着手をしたい政策、特に危機管理投資を中心としてきっちりと成長する日本経済をつくる、そのための政策の頭出し、これも補正予算に組み込みました。
 といいますのは、来年度の、来年の通常国会における当初予算まで待ちますと、それらに盛り込んだ項目が公募を経て実施されていくというのは随分先のことになってしまいますから、せっかく内閣総理大臣にしていただきましたので、今すぐ着手すべきこと、この頭出しも補正予算に入れさせていただきました。
 補正予算の編成に当たりましては、日本維新の会との広範な連立政権合意、これを、合意を基礎としながらも、各党からの、野党からの政策提案についても柔軟に取り入れました。その結果、国民民主党、公明党の皆様からも御賛同をいただきました。本当に短時間に精力的に多くの方々に御議論をいただきました。
 それから、就任以来、日本成長戦略本部、地域未来戦略本部、人口戦略本部、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議、クマ被害対策等に関する関係閣僚会議など、幅広い政策課題にスピード感を持って対応していくための体制、これもかなり急いで整備をしてまいりました。しっかり結果を出してまいります。
 この臨時国会につきましては、政府提出法案について、臨時国会に提出した10本に加えて、前の通常国会から継続審議になっていた1本を加えた、合計11本全てが成立しました。あわせて、自民党、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本共産党の6党合意に基づいてガソリン・軽油引取税の暫定税率を廃止する法律も成立を見ました。また、身を切る改革という言葉が最近よく聞かれるようになりました。これは、議席を減らすという議員立法も出ておりますけれども、それ以前に、私を含む、内閣総理大臣を含む閣僚につきましては、議員歳費を超える閣僚等としての給与を受け取らない、こういった法改正も成立しました。ちなみに、私も10月21日の就任からこの法改正がなされるまでの間も、内閣総理大臣としてのお給料やボーナスは全て国庫に返納をさせていただいております。こういったことも進めながら、先週19日に令和8年度与党税制改正大綱を取りまとめました。明日26日には令和8年度の当初予算の閣議決定を予定しています。
 本日は、この補正予算や税制改正大綱で決定した施策の中で、高市政権のこれまでと今後の方針についてお話をさせていただきます。ちょっと数字が多いので退屈されるかもしれませんけれども、どうしても多くの方に知っていただきたく、御容赦ください。
 補正予算におきましては、先ほど申し上げました、生活の安全保障、つまり、物価高への対応として、約8.9兆円を措置しました。いわゆる暫定税率については、これは政党間の合意に基づいてガソリン税は12月31日廃止、軽油引取税は4月1日に廃止します。ガソリンの暫定税率廃止による減税額は1兆円、1世帯平均で年間約1万2,000円程度の負担軽減を見込んでます。また、物価高により厳しい状況にある生活者を支援するため、来年の1月から3月、かなり寒い時期の電気代・ガス代を支援します。これは3か月で1世帯7,000円程度の負担軽減になります。
 地域のニーズに応じたきめ細かい物価高対応としては、重点支援地方交付金を拡充して2兆円を措置しました。1世帯当たり平均1万円程度の支援に相当する一般枠に加えまして、食料品価格の高騰を踏まえて、おおむね1人3,000円、4人家族だったら1万2,000円を別枠で特例加算分として措置をしました。加えて、灯油、それから水道代の支援、また、中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備、各種低所得者支援、事業者支援など、推奨メニューに入れた事業をしっかりと行っていきます。そして、こどもさんお一人2万円の物価高対応子育て応援手当も盛り込みました。
 ガソリン・軽油の値下げ、電気・ガス代支援、重点支援地方交付金、物価高対応子育て応援手当によりまして、例えば御夫婦とお子さん2人の4人家族の場合でしたら、1世帯当たり標準的には8万円を超える支援額になることが見込まれております。
 中でも、これはちょっと私のこだわりだったのですが、ガソリン・軽油については、暫定税率の廃止を待たずに、既に同水準の補助金を支給しています。これは臨時国会の間に措置をしました。ですから、負担軽減の効果は既に実感していただいていると思います。もう暫定税率廃止と同じ額の引下げが実現しております。
 それから、いわゆる103万円の壁につきましては、所得税の負担が生じ始める水準につきまして、令和7年度税制改正法によりまして160万円まで既に引き上げられておりますので、その結果、今年の年末調整から所得減税は行われております。しかしながら、令和8年度の税制改正では、働き控えの解消と手取りの増加という観点から178万円に更に引き上げることにしました。令和7年度の税制改正での対応分と合わせれば、納税者お一人当たりの減税額は、どういった年収の方であっても、少なくとも3万円弱の負担軽減にはなってまいります。
 高校生の扶養控除、結構皆さん大きな関心を持っておられましたが、これを当面維持をすることにしました。
 それから、少額投資非課税制度、いわゆるNISA(少額投資非課税制度)の対象を18歳未満に拡大します。これは、よく聞かれるのですが、お父さんお母さんがお子さんが生まれてNISAの口座を開いて、こどもが大きくなった頃に学費の心配をせずにやれるような投資なのと、じゃあ、おじいちゃんおばあちゃんは応援できないのと、こういう御質問も頂きますが、おじいちゃんおばあちゃんも大丈夫です。この18歳未満の方々対象のものを活用していただけます。
 いわゆる教育無償化につきましてはもう来年度から実施するということで、財源を確保しながら、令和8年度当初予算の編成でしっかりと対応しております。
 令和7年末で期限を迎えることとなっていた住宅ローン減税も、期限を5年間延長することとしました。
 自動車税、軽自動車税の環境性能割については、もう思い切って来年度から廃止することにしました。というのは、自動車を買うときに消費税もかかる、環境性能割も取られるということで、2種類の税負担があったのですが、やはり、地方の皆様の移動の足である自動車の取得時の負担を軽減する。それから、自動車関連税を簡素化するということで、国内自動車市場の活性化を速やかに図りたいと考えております。
 それから、事業者向けなのですけれども、国民の皆様の命と暮らしを守るために、やはり赤字の医療機関・介護施設を中心に、もう報酬改定を待たずして、前倒しで支援しようということで、医療・介護等支援パッケージ、約1.4兆円を措置しました。これは自民党総裁選挙のときから私が結構強調していたことでございます。医療機関の経営は非常に厳しい。特に、介護施設、過去最大の倒産だという今年の状況を見て、これは介護施設に例えば私が入って、でも、そこがあるとき倒産したらもう行き場がなくなっちゃいますから、こういう状況では安心して年を重ねていけない、そういうふうに思いました。
 これによりまして、処遇改善、そこで働いておられる方々の処遇改善については、賃上げに取り組む医療機関で働く従業者に対して、プラス3パーセントの半年分の賃上げ、介護従事者全般に対して、月1万円の半年分の賃上げを措置しました。加えて、診療材料費、病院の建て替え、病床数を適正化しようとしている医療機関に対しても経営改善支援を行います。令和8年度の報酬改定でもしっかりと対応します。やはりもう地方でこの病院はもう絶対になきゃいけないというところがなくなっちゃいますと、これは私が訴えてまいりました健康医療安全保障、これと逆方向に行ってしまいますので、必要なところはしっかりと応援をするということです。
 また、中小企業・小規模事業者の賃上げ環境の整備につきましても、約1兆円の大胆な措置を講じました。物価上昇を上回る賃上げ、これを定着させる必要があるのですが、私のこだわりは、賃上げ、最低賃金幾らとかといって目標だけ政府が示して、それを事業者に丸投げするのは無責任だということでした。これは総裁選挙も含めて早くから訴えていたことなのですが、それを高市内閣としては事業者に丸投げするのではなくて、ちゃんと賃上げできる環境を整備していく、これは政府の役割だという考え方に基づいております。ですから、様々な価格転嫁対策の徹底を図っていきます。官公需などに関しましても、ちゃんと、今、材料費が上がってる、賃金が上がっている、こういうものを反映した発注価格にしていくということ。そして、基金もちゃんと活用して賃上げに取り込む。例えば『100億宣言企業』というのがありますよね。こういったところも成長投資支援をしっかりと強化していくということです。
 だから、一日も早く施策の効果を実感いただけるように迅速な執行を求めております。これは地方自治体にも協力していただかなければいけません。様々な事業者団体にも協力をしていただかなければいけません。せっかく予算はついたけど、せっかくこういう税制はあるけど、それを活用しないとか、ついた予算の執行が遅れると効果が出てきませんので、ここはいろいろな機会にお願いをしております。
 今の日本に必要なことというのは、行き過ぎた緊縮財政によって国力を衰退させることではなくて、積極財政によって国力を強くすることだというのが私の信念です。国力、これは外交力であり、防衛力であり、経済力であり、技術力であり、情報力であると例示されていますが、私はここに加えて人材力がとても大事だと。だから、この6つの力を強くしていく、そのための責任ある積極財政でございます。
 IMF(国際通貨基金)が指摘しているように、成長を損なうような拙速な財政再建はかえって財政の持続可能性を損なうということを踏まえる必要があると思っております。私は次の世代のためにも、成長する経済によって企業収益が改善する、賃金上昇に伴う個人所得が増える、所得が増えた、それならやはり物を買おうということで需要も増えていく、需要が増えていくと今度また企業がもうかる、そうすると企業はそれをまた賃金に反映させたり、研究開発投資や設備投資に使っていただける、こういう経済の好循環をどうしても実現したいと思っています。税率を上げなくても税収が増えていく姿、これをつくっていく、そのことによって財政の持続可能性というものを実現してまいります。
 一方、責任ある積極財政というのは、先を見据えた戦略的な財政出動です。決して規模ありきで、いたずらに歳出を拡張していくということを意味するものではございません。めり張りをつけます。内閣官房に租税特別措置・補助金見直し担当室を設置しました。担当は片山大臣です、片山さつきさんです。片山大臣を中心に、無駄をそぎ落とした筋肉質の財政支出を目指します。令和8年度の税制改正、当初予算から可能な項目については、この見直しを実施しています。こうしたワイズスペンディングの考え方に基づく戦略的な財政出動によって強い経済を構築して、成長率を高めていくことと相まって、政府債務残高対GDP(国内総生産)比の着実な低下を図り、財政の持続可能性を確保しながら国内外の市場からの信認を確保していきます。
 実際、今年を見ますと、今年度を見ますと、当初予算と先般お認めいただいた補正予算を合わせた補正後の国債発行額は、昨年度の補正後の発行額を下回っています。財政の持続可能性にも十分配慮した姿となったと思います。11月に私がお会いしたIMFの専務理事からも、私の総合経済対策について、財政上のリスクも手当されており、安心しているというコメントをいただきました。
 令和8年度の当初予算、明日、閣議決定を予定しているものですが、これは令和7年度の補正予算と一体として編成して、予算全体のめり張りづけを行う中で、重要施策に予算を重点化してまいります。これも市場の信認を確保するために重要だと思っております。
 やはり強い経済を構築することで国民の皆様の今の暮らし、そして未来への不安を希望に変える、そのための成長戦略の肝が危機管理投資です。私はもう3回目の総裁選挙でようやく自民党総裁になりましたが、早くから訴えております。
 危機管理投資というのは何か。それは、経済安全保障であり、食料安全保障であり、またエネルギー・資源安全保障であり、健康医療安全保障であり、国土強靱(きょうじん)化であり、サイバーセキュリティ対策であり、こういった様々なリスクや社会課題、ここに官民が手を携えて先手を打って行う戦略的な投資、これが危機管理投資です。
 こういった課題というのは世界共通です。これはもう私は実感しています。例えば食料自給率が100パーセントを超えている国々の閣僚や首脳でもやはりこれだけ気候変動が激しいということになると、これからの食料供給について相当不安を覚えている、ものすごい高い問題意識を持っています。それからエネルギー自給率、もう日本をはるかに超えて100パーセント超えている国々の首脳や閣僚でも今やはり生成AI(人工知能)が相当な消費電力量であるということ、それからデータセンターをこれから増やしていかざるを得ない状況の中で、これも相当消費量が大きいということで、どんな国であっても、みんな安定的に安価にエネルギーを供給できる体制を強くしていかなきゃ、もっと強くしていかなきゃ、そういう意識を持っておられます。日本も同じです。ですから、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを世界に先駆けてしっかりと実装して、そして国内外の市場に展開していければ、更なる日本の経済成長につながると私は確信しています。
 それらの課題解決に必要な技術、かなりは日本国内にあります。材料もそうです。研究開発の成果も、国内の研究開発機関、学術機関などに眠っている、まだ社会実装されてないものもたんとありますので、もったいないやないかと。これらを全部、成長のスイッチと私は呼んでいます。成長のスイッチを片っ端から押しまくっていくぞということを申し上げてまいりましたが、そのような考え方で、補正予算では、早期に必要な政策に着手するためにも、この危機管理投資に関して頭出しとなる予算6.4兆円を措置しました。
 これ本当に今、欧米各国で国内投資の促進策が強化されているということに加えまして、足元では米国の関税措置の影響などサプライチェーンですとか事業見通しに不確実性が生じてます。こうした中、我が国も同志国に見劣りしない水準の競争力のある事業環境整備を行っていかなきゃいけません。その一つが大胆な設備投資促進税制、この創設です。これは強い経済を実現するために高付加価値型の設備投資を強力に後押しするものです。全業種を対象に建物を含めた一定規模以上の高付加価値な設備投資に対して、即時償却又は税額控除7パーセントを利用可能とする制度です。この即時償却、相当気合を入れて決断をしました。
 事業者の予見可能性に最大限配慮して、投資収益率や投資規模などの要件を満たす全ての事業者に広く利用していただける制度としてます。この税制の適用が可能となる投資ですが、年間約4兆円を見込んでおります。この税制を利用いただくためには、3年間の集中的な投資決定期間内に投資判断を行っていただく必要がございます。この3年の間に投資決定に向けた動きを加速していただきたいと考えています。
 令和8年度の当初予算でもAIロボティクスの汎用基盤モデルの開発に対する支援なども盛り込みました。戦略分野に対する支援の深掘りを行っております。高市政権では、日本成長戦略本部を立ち上げまして、半導体、造船、量子、宇宙、また情報通信、重要鉱物、サイバーセキュリティなど、17の戦略分野と8つの分野横断的課題を確定しました。この17の戦略分野については、複数年度の財源フレームに基づく枠組み、そして大胆な投資促進税制に加えまして、防衛調達も含みますが、官公庁による調達、そしてまた規制改革による需要創出・拡大策を含む官民投資ロードマップ、これは来年夏までに策定をいたします。
 私はもうとにかく事業者の方々の予見可能性を高めるということが大事だと思ってます。だから、複数年度とか、かなり長期、使えるもの、こういったことにこだわっております。強力に民間投資を引き出していこうと思うと、やはり予見可能性を高める、これはとても大事だと思っています。食料安全保障の確立については農水産業の構造転換、これも大事ですし、多分これは日本が世界に誇る、世界一の完全閉鎖型の植物工場、これをもっともっと活用して、そしてまた国内でも使うけど、海外市場にも展開していく。これはよその国にないものですから、こういったものが日本のスタートアップによって開発をされた、これをやはりいかしていく。
 それから、最先端の農業技術の支援、これも必要です。それから農林水産物、食品の輸出、これも大きな可能性が広がってます。ですから、生産能力向上の支援を行います。やっぱり日本の技術すごいなと思いますね。人手が足りなくてなかなか田植をするのも大変やというような地域で行われている日本の誇る、この間、ちょっとH3ロケットの打ち上げ失敗で「みちびき」を一つ失ってしまいましたが、それでも日本の準天頂衛星「みちびき」、測位衛星、これは世界最高の精度を誇ってますよね。だから、数センチ精度で使える技術というのはすごいです。
 例えばアメリカのGPS、5メートルから10メートルの精度で使われてます。それから、ヨーロッパで使われている「ガリレオ」、15メートルから20メートルの精度。でも、「みちびき」はもう最高レベルまで行くと6センチ誤差。6センチを使う必要はないですが、十数センチの誤差であってもそのサービスを利用したら間違って隣の田んぼにまいちゃわないでも済むように、それをその「みちびき」の情報、国産のドローンで受けて、今、種もみの直播(ちょくはん)、直まきをやっていますよね。こういうことも既に行われています。これはやはり人手不足に対応できる。
 もっともっと精度の高いサービスも実はあるんですが、基地局を建てなくても済むというのが「みちびき」情報を使った場合のメリットであります。そういった衛星情報を使う、国産のドローンを使う、こういった方法もありますし、さっき申し上げましたような世界一の完全閉鎖型の植物工場、これは普通、植物工場というと葉物とか果物が主だと思われますが、今、この植物工場では稲、麦、こういったものも育てることができる。稲で、ただ、それは私たちが食べるお米を育てるのかというとそうじゃないですよね。サイトカインとかそれはお薬を作るのに必要なものを育てることもできるのですね。だから、そういうのは割とこれからすごいなと私が思っていることです。花粉症に効くお薬の成分なども今、その稲を育てる、この技術をもって実現しようとしています。
 エネルギー・資源安全保障の強化についても、これはGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進戦略に基づいて、例えば光電融合技術ですとか冷媒適用技術がございます。こういったものを活用してデータセンターの省エネ化をしっかりと行ったり、それから、これからやはり次世代革新炉であったり、フュージョンエネルギーの時代に入っていくと思いますので、こういったところをしっかりと官民挙げて投資をする、研究開発をする、大事なことです。国土の強靱化、これは命に関わることですから急がなければならないです。これも防災・減災、国土強靱化の強化ということでしっかりと対応してまいります。
 それから、新技術立国ということを考えますと、さっき申し上げたフュージョンエナジーもそうです。宇宙分野もそうですけれども、成長を見込まれている、だけれども、研究開発は難易度が高い分野ですので、こういう技術領域について次の令和8年度の税制改正において研究開発税制の深掘りを行ってまいります。ですから、補正予算に続いて令和8年度の当初予算でもいろんなことを考えてます。さっき国力の要素の中に人材力と言いました。これも大学などにおける基礎研究の基盤強化のための措置、大幅に大胆に盛り込みます。
 それから、関係される方もいらっしゃるかもしれませんが、J-POP、漫画、アニメ、映画、ゲーム、こういった日本の魅力的なコンテンツを生み出すアーティスト・クリエイターの皆様を支援します。できるだけ多くの方々にいろんな地域で活躍してほしいんですね。一つの市場に頼るんじゃなくて、いろんな地域で活躍してほしいと思ってます。
 この首脳同士の立ち話、いろんな国際会議でありますよね。まず会議場に入ってきて、ちょっと挨拶を交わす程度の立ち話の中で、本当にびっくりしたんですが、日本のアニメのキャラクターを自分のこどもが好きだとか、日本の音楽にはまっているとか、日本の有名な映画の名前を言ってくださったり、ああ、こんなに北米でも、それから、ヨーロッパでも、それから中央アジアもそうでしたね。いろんなところで、東南アジアももちろんですけれども、いろんなところで日本のコンテンツというのは評価されてるんだなと、まだまだこれは市場が広がるぞということで、補正予算では550億円を超えるものを計上しました。
 ですから、これは海外売上高20兆円目標、そしてしかも複数年で活用可能ということで、多くの方々に使ってほしいと思っております。特に歌手の方なんかはコンサートをするのに交通費と会場の設定でかつかつで、本当だったらこういう演出をしたかったのにそれが予算の関係でできないとか、そういう残念な状況をクリアしていきたいと思います。
 加えて、レアアースを含むサプライチェーンの強靱化は急務です。これはいろんな国が困っています。安定的な供給、これは世界共通の課題だと思っております。ですから、やはり私たちの生活とか生産活動、そういうことを考えますと、政府を挙げてリスクを徹底的に洗い出して、補正予算の活用も含みますが、ちゅうちょなく迅速な措置を講じてまいります。あわせて、昨今の国際情勢を受けた供給不安定化について同じように心配している、懸念を共有している同志国と連携・強化をしている、もうスタートしているという状況でございます。
 また、今、クマの被害、大変ですよね。これもクマ被害について対策パッケージを策定しました。まずは129億円の補正予算ですけれども、補正予算が成立する前に、既に自治体が緊急的に実施された事業についても遡って交付可能でございます。ですから、令和8年度当初予算の前倒し執行も含めて、冬眠期の前と後での対策、これは切れ目なく実施をしていきます。たくさんの方の命が失われたり、大けがをされたり、そして、もしかしたらこれから毎年続くかもしれないという恐怖を多くの方が持っておられますので、しっかりと取り組ませていただきます。
 もうそろそろ約束したお時間が来ましたので、あとは割愛をさせていただきますけれども、私はとにかくもう一度日本列島を強く豊かにするためにあらゆる取組をしたい。これは日本各地、日本列島と私が言っているのはそういうことです。日本全国どの都道府県に住んでいても安全に生活できる、必要な医療や福祉を受けることができる、そしてまた質の高い教育を受けることができる、働く場所がちゃんとある、そういうふうにして日本列島全体、こう強くしていきたい。経済的にも、社会保障の面でも、教育の面でも強くしていきたい、これが大きな目標です。そして、外交面においても日本を必ず再び世界の高みに押し上げてまいります。その志を遂げるまでは、決断と前進の内閣として絶対に諦めずに国民の皆様のために全力を尽くしてまいります。まだまだ始動したばかりの内閣ですけれども、温かくお見守りください。そしてまた御指導を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。」

【質疑応答】

(時事通信社・藤野編集局長:総理、よろしくお願いします。お時間が限られていますので、1問に絞らせていただきます。日中関係についてです。台湾有事をめぐって高市総理の国会答弁を契機にですね、日中関係が悪化していまして、長期化を懸念する声もあります。中国の経済的又は軍事的な威圧というのは、これは理不尽だと思うんですけれども、一方で、総理の国会答弁というのがこの問題の起点になっているというのも事実です。来年11月にはですね、中国でAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開かれます。総理はさきの会見でも、対話は常にオープンだとおっしゃっておられましたけれども、来年のAPEC首脳会議をにらみまして、今後、日本のトップとしてですね、習近平国家主席との首脳会談実現を含めてですね、どのように打開していくお考えなのか。
 また、この問題に関連してアメリカのトランプ大統領はですね、10月の首脳会談で総理にも何かあればいつでも連絡してきてほしいとおっしゃったそうですけれども、中国との貿易面でのディールを重視するトランプ氏はですね、日中関係について深入りを避けているように見えます。唯一の同盟国であるアメリカとの緊密な意思疎通というのが重要な局面だと考えます。既に3月に訪米されるのではないかという報道も出ておりますけれども、年明け早々、あるいは通常国会でのですね、来年度予算審議の合間を縫うような形で訪米されて、トランプ氏と日米首脳会談を行うという可能性は高いと考えてよろしいでしょうか。以上、日中関係打開に向けた総理の外交戦略についてお伺いします。)

「中国との間では、戦略的な互恵関係を包括的に推進する、建設的かつ安定的な関係を構築していくという私の方針は総理就任以来一貫してます。日中首脳会談でもそれを確認し合ったところです。
 やはり日中間、隣国との間というのはどうしても懸念事項があったり、課題というのが出てきます。でも、そういうことがあるからこそ、首脳間を含めて、あらゆるレベルで、この意思疎通が重要です。だからこそ、我が国としては、中国との様々な対話についてはオープンで、扉を閉ざすことはしていないということを申し上げているわけです。ですから、今もあらゆるレベルで意思疎通は行っておりますので、それを継続しながら、やはり日本の国益を守る、名誉もです。国民の皆様の命も守らなきゃいけません。そういった観点から適切に対応させていただきます。
 トランプ大統領との関係ですが、米国との間では平素から、私自身とトランプ大統領は直でお会い、今年の秋にさせていただいて、その後、電話会談もあり、それから様々なレベルも含めて、例えば外務大臣と国務長官ですとか様々なレベルでかなり緊密に意思疎通を続けております。米国政府から累次の機会に日米同盟に対する揺るぎないコミットメントが示されてきております。
 いつ訪米するのかということでございますが、内閣総理大臣の日程は私自身もあまり先の日程はもらえないという仕組みになってますけれども、できるだけ早期にお目にかかりたいということで、今、調整をいたしております。来年の割と早い時期かなと想像はしておりますが、国会日程の関係等もありますので、そんなところで御容赦くださいませ。どうもありがとうございました。」

歴代の総理の一日