中東情勢を踏まえた令和8年度補正予算等についての会見

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 ※速報版

【高市総理冒頭発言】

 皆様お疲れ様でございます。まず、中東情勢につきまして、先月4月に、自民党及び日本維新の会から頂いた御提言も踏まえまして、国民の皆様の命と暮らし、経済活動に支障が生じないように、政府の取組を更に強化いたします。
 まず、電気・ガス料金につきましては、今月や来月に直ちに大きく上昇する可能性は低いと認識をしておりますが、その後は、燃料輸入価格の上昇が電気料金に反映されていくと見込んでおります。このため、使用量が多くなる7月から9月において、電気・ガス料金への支援を実施いたします。例えば、御家庭用の電気料金につきまして、1キロワットアワー当たり、7月には3.5円、8月には4.5円、9月には3.5円を支援いたします。これによりまして、今年の夏の電気料金は、昨年同期間に補助を実施した料金よりも引き下げられ、標準的な御家庭におきまして「3か月で5,000円」程度の負担引き下げ効果を実現できます。所要額は約0.5兆円でございます。明日の閣議におきまして、一般予備費の使用を決定いたします。  

 そして、中東情勢は依然として不透明であります。電気・ガス料金支援に限らず、必要な施策を臨機応変に講じてまいります。このため、「リスクの最小化」の観点から、資金面で万全の備えをとるべく、補正予算を編成し、来週にも国会に提出いたします。補正予算の規模でございますが、3兆円強となる見込みでございます。
 具体的には、令和7年度補正予算で2兆円を措置した重点支援地方交付金につきまして、電気・ガス料金支援の対象とならない特別高圧電力やLPガスの利用者への支援など、地域の実情に応じた支援を強化できるよう、追加措置いたします。
 また、明日、電気・ガス料金支援のために使用決定する一般予備費の残高を、1兆円へ復元いたします。これと合わせて、今後への万全の備えのために、新たに「中東情勢等対応予備費」を創設いたします。この予備費は、中東情勢に伴うエネルギー価格高騰など、国際情勢の変化に伴う影響への対応に使用できるものとします。  

 現在、令和7年度予備費を活用して、ガソリン、軽油、重油、灯油などの補助を継続しておりまして、ガソリン価格は、米国を含めたG7で最も安い水準であります全国平均170円に抑制しています。これにより、ガソリンの暫定税率廃止の効果も含めて、4月の消費者物価を、1.1ポイント程度押し下げ、国民の皆様の家計への直接的な負担を、同月、1世帯当たり2,600円程度軽減しました。与党からは、引き続き、中東情勢・価格動向・支援策の持続可能性を勘案しつつ、政府は柔軟に対応すべきという御提言を頂いております。
 これも踏まえまして、必要に応じて、今回創設する「中東情勢等対応予備費」も活用しながら、適切に対応してまいります。今回の補正予算の歳入としては、特例公債を追加することとなります。
 他方、前年度分、つまり令和7年度分の特例公債のうち3兆円分は、今後6月までの発行が予定されておりますが、税収・税外収入・歳出不用の見込みを踏まえますと、この分は、実際には発行せずに済む見込みが立っております。ということで、国債発行予定額全体の中で調整を行うことで、市中への発行総額は増やさずに対応できますため、国債マーケットに影響を与えることなく、実行可能と考えております。
 「責任ある積極財政」の考えの下、引き続き、日々の市場動向や経済指標を十分に注視しながら、政府債務残高対GDP(国内総生産)比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。  

 原油につきましては、6月のホルムズ海峡を経由しない代替調達は、5月12日の時点で7割以上の見通しだったところ、8割程度まで引き上がります。これまでの備蓄放出決定分も活用しますと、6月に必要となる原油量を上回る供給が可能となります。仮に、保守的に、6割の代替調達が継続する場合を想定してみても、年度を越えて来年春まで、石油の安定供給を確保できることになります。

 また、ナフサにつきましては、中東以外からの代替調達が、従来の8割超まで回復しております。 

 在庫の少ない川中製品への原料の振り向けや、サプライチェーン各層にある在庫の活用で、1.8か月分相当の中間在庫がありますため、ナフサ由来の石油製品は、年を越えて供給継続が可能でございます。  

 一方で、供給見通しの共有不足や実績以上の発注などで、現場では物資不足が発生しています。目詰まり対策をきめ細かく進めて、買いだめや売り惜しみを解消して、オイル・ショックの時のような市場の混乱の回避に全力で取り組んでまいります。
 今、政府は、数百人規模の体制で地方機関も総動員し、目詰まり解消に取り組み、900団体に対する通常どおりの供給・発注の要請を行い、37の医療物資などの目詰まりを解消し、燃料油では346件の案件を解消してきました。備蓄放出された医療用手袋は、医療現場に届き始めています。さらに、工務店など、取引先との交渉力が十分でない方が多いと考えられる川下の事業者に対して、プッシュ型支援で目詰まり解消を進めてまいります。  

 中東情勢の影響を受けておられる中小企業・小規模事業者の皆様に対しては、政策金融公庫によります資金繰り支援の拡充、価格転嫁の要請、特別相談窓口の設置、雇用調整助成金の活用の支援などの支援を講じております。今後でございますが、業況が厳しい業種を追加して、信用保証による支援を強化いたしますとともに、取引Gメンや建設Gメンなど1,000人体制で、中東情勢の影響を重点調査し、価格転嫁の徹底を図るなど、支援を強化してまいります。  

 また、エネルギー需給構造を徹底的に強靱(きょうじん)化するため、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を強力に推進いたします。原子力や再生可能エネルギーなど脱炭素電源を、現在の約3割から2040年度に最大7割程度を目指して引上げていくとともに、省エネ・非化石転換を進めて、化石燃料依存の低減を図ってまいります。
 その上で、縮み志向に陥ることなく、ペロブスカイト太陽電池や、原子カ、地熱発電など、我が国が強みを持つ危機管理投資を通じて、日本のエネルギー需給構造を強靱化するだけではなく、世界共通の課題であるエネルギー制約を乗り越える製品、技術、インフラの海外展開を強力に推進いたします。「日本成長戦略」の中で、日本の勝ち筋を明らかにし、GXを日本の成長にしっかりとつなげてまいります。あわせて、油価高騰の中でも事業活動をコストを抑えて継続するため、省エネが重要であります。経済対策として昨年措置した数千億円規模の予算を最大限活用して更に加速させます。  

 最後に、オイル・ショック以降、毎年エネルギー需要が増大する夏と冬の前に行ってきた省エネの呼び掛けを行います。明日、赤澤大臣から詳細を発表させます。私からは以上でございます。  

(記者)
 テレビ朝日の吉野です。質問は全社で1度ということですので、幹事社の方からまとめてお聞きします。
 長期金利上昇が続く中で、今の補正予算案に関する説明は市場の信認を得られるか、多額の予備費を積むことへの説明責任をどう考えられますか。加えて、ガソリン補助が含まれていますが、今のリッター170円めどを維持するか、それとも額の引き上げを検討されているのでしょうか。
 そして、ナフサについて、ナフサが足りているということは、そこから精製される物質やシンナーなど川下製品も量としては足りていて、問題は目詰まりだけということでしょうか。それとも実際に足りていないものが出てきているのでしょうか、教えてください。
 最後に、現在の国民生活は維持してもよいか、いつ頃までは大丈夫なのか、若しくは節約要請を検討されているのか、お願いいたします。

(高市総理)
 ありがとうございます。先ほど説明申し上げましたとおり、今般の補正予算はリスクの最小化の観点から万全の対応を取るものでございます。その上で、今回の補正予算の歳入としては、真に緊急性のある一時的な対応として、特例公債を追加することとなります。
 他方で、前年度、令和7年度分の特例公債のうち3兆円分については、実際には発行せずに済むとの見込みが立っております。ですから、国債発行予定額全体の中で調整を行うことで、市中への発行総額は増やさずに対応することができることとなりますので、国債マーケットに大きな影響を与えることなく実行可能と考えております。先ほど申し上げましたが、日々の市場動向ですとか、経済指標を常に十分に注意しながら、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくということで財政の持続可能性を実現して、マーケットからの信認は確保してまいります。
 それから、予備費でございますが、これは予見しがたい予算の不足に充てるための制度でございます。今回のように、引き続き中東情勢が不透明な中で、国民の皆様の暮らしや経済活動に支障が生じないように、適切かつタイムリーに対応するため、十分な額の予備費を確保するということは、予算措置の在り方として適切かつ必要な対応だと考えております。これまでも、その時々の状況を踏まえて国会で必要な予備費の追加をお認めいただいてきております。予備費の使用につきましても、憲法、財政法の規定に従いまして、適切な運用を行い、十分な説明責任を果たしてまいります。
 それから、燃料油価格の激変緩和措置でございますが、高市政権発足前の直近1年間で、全国平均のガソリン価格が178円であったことも念頭に、それを十分下回る170円程度に抑制するように補助を実施しております。現在、与党からは、中東情勢・価格動向・支援策の持続可能性を勘案しつつ、政府として柔軟に対応をすべきという御提言を頂いており、一部野党からも同様の御指摘を頂いております。こうした御提言も踏まえつつ、中東情勢が不透明である中ですから、今後の物価動向や経済に与える影響を注視するとともに、政府として必要な検討を進めてまいります。
 それから、ナフサ由来の石油製品、すなわち、御質問の川下製品でございますが、先ほど申し上げましたとおり、年を越えて供給継続は可能であり、足りております。ナフサの調達については、備蓄原油を用いた国内でのナフサの精製、それから中東以外からのナフサの輸入が中東情勢緊迫化の前の水準と比べて、5月には3倍となっております。それでも日本全体として入手できている量が通常と比べましてですね、約2割減となっているということは事実でございます。ですから、通常より少ないナフサの調達量の下では、時間とともに中間在庫というのは減っていくのですが、1.8か月分相当、すなわち年間需要の15%相当の量が存在しますので、かなり保守的に見積もっても、現時点から7か月以上、中間在庫は維持できると考えております。中間在庫の量につきましては、プラスチックの原料となるペレット状のポリエチレン、それからタイヤなどの原料となります気体のブタジエン、それからシンナーの原料となります液体のトルエンなど、ナフサから川下の製造事業者までの間に多層的に存在しているあらゆる形状の原料を勘案して算出いたしております。
 サプライチェーン全体での化学製品の安定供給に向けまして、国内で原油からのナフサ生成の安定的な継続、それから、不足しがちな川中製品への原料の振り向け調整、そして、サプライチェーン内の各層における在庫の活用につきまして、経済産業省と産業界が連携して対応しているところでございます。さらに、備蓄原油からナフサを精製する一部の分解炉の定期修理が終わったということから、それからもう一つ、ナフサ輸入が増加したということから、トルエン、エチレンなど、川上製品の生産も4月半ば以降から再び増加しております。それらを踏まえて、中間在庫の全体として1.8か月分と分析をしております。なお、政府がこれまで累次、年を越えて供給可能であると申し上げてまいりましたのは、ナフサ由来の石油製品の総生産量についてであって、その後の流通過程における買いだめや売り惜しみなどに対しては、目詰まり解消のための取組で、懸命に対処しているところでございます。
 それから、節約要請の話がございましたが、冒頭説明申し上げました通り、石油については、年度を越えて日本全体として必要な量は確保されていて、ナフサ及び石油製品についても年を越えて供給可能です。このため、例年通りの省エネの呼び掛けは行います。国民生活ですとか経済に支障がない範囲で省エネの取組を行っていただけるように呼び掛けてまいります。
 ただ現時点では、経済活動にブレーキをかけるような形で、中東情勢を背景として、踏み込んだ節約というものをお願いする段階にはないと考えております。ただし、今後とも中東情勢を注視して、あらゆる可能性を排除せずに臨機応変に対応してまいります。ありがとうございました。

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