日本経済団体連合会 定時総会

平成30年5月31日
挨拶する安倍総理 挨拶する安倍総理
挨拶する安倍総理

 平成30年5月31日、安倍総理は、都内で開催された日本経済団体連合会 定時総会に出席しました。

 安倍総理は、挨拶で次のように述べました。

「本日はお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず冒頭、榊原(さかきばら)会長。本当にお疲れ様でございました。正に二人三脚で、アベノミクスを大きく前進させていただいた。この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 この4年間で、コーポレートガバナンス改革は一気に進みました。今や、上場企業では2人以上の社外取締役を置くのが基本です。農業、医療、エネルギー。岩盤規制にも次々と挑戦してきました。さらにはTPP、そして欧州とのEPA。自由で、公正なルールに基づく経済圏を世界へと広げていくため、我が国は、今、世界で最も強力なリーダーシップを発揮しています。
 そして、法人実効税率は20パーセント台となりました。これだけの幅の法人税引下げを実現した経団連会長は、余りいないのではないでしょうか。榊原会長の4年間の強いリーダーシップに対して、皆さん、拍手をもって、敬意を表しようではありませんか。
 ただこれは、経団連企業の利益を増やすため、という狭い了見でやってきたわけではない。そうですよね、会長。
 まず、20年近いデフレによって、我が国の隅々にまでこびりついたデフレマインドを払拭する。大胆な挑戦によって国際競争力を高め、世界から成長の息吹を取り込む。そして、経済の好循環をつくり上げていくことで、日本経済を力強く再生していく。その決意の下、経済界と力を合わせて、私たちは3本の矢を力強く放ってまいりました。ですから、この経団連会館に来るたびに、大変心苦しいことではありましたが、榊原会長に賃上げをお願いしてまいりました。
 経団連の皆さんには、日本経済再生のため、その思いをしっかりと受け止めていただきました。榊原会長在任中、経団連調査による賃上げ額を単純に足しあげると、4年間で、月収が3万1,000円以上アップした計算となります。これだけの給料アップを実現した経団連会長も、近年余りいないのではないでしょうか。特に、本年は、3パーセント以上の賃上げをお願いしてきました。これは、相当高いハードルの目標であります。しかし先般、経団連が幹部企業に調査を行ったところによれば、年収ベースで、なんと76パーセントの企業が3パーセント以上の賃上げを行った。この場をお借りいたしまして、皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 中西新会長。これは別に、プレッシャーをかけようと思って申し上げているわけではありません。ただ、今正に、長年の悲願であったデフレ脱却への正念場であります。中西新体制の下、今後も、経団連の皆様のお力を借りて、そして皆様のお力を得て、アベノミクスを更に加速させていきたいと考えています。
 この5年間で、雇用は250万人増えました。正規雇用も78万人増えた。民主党政権時代に失われた50万人を取り戻すことができました。この春、大学の就職率は98パーセント。これは、過去最高であります。
 他方で、全国的に人手不足が深刻な問題となっています。しかし、ピンチこそチャンス。人工知能、ロボット、IoT。最先端のイノベーションを取り込むことで、生産性革命を起こしていく、その気概を持たなければなりません。Society 5.0を世界に先駆けて実現するために、経済社会システムの大胆な改革に挑戦していく。これが、間もなく取りまとめる成長戦略の目指すところです。
 急速な技術革新のスピードに、様々な制度や仕組みが追い付いていない。今年のダボス会議で話題となった、このガバナンスギャップの克服に、安倍内閣はチャレンジしてまいります。この通常国会で、先般、規制のサンドボックスを設ける法案が成立いたしました。来月早速施行です。この新しい仕組みを使って、フィンテックなど、これまでにない革新的なビジネスにどんどん挑戦していただきたいと思います。
 2020年には、羽田空港からお台場まで、自動運転の車が世界からのお客様を御案内する。スマホさえあれば、キャッシュレスで買い物ができる。あと2年、こうした社会の実現を目指し、大胆な制度改革にもチャレンジしてまいります。
 人材育成、そして教育の在り方も、大きく変革していかなければなりません。経済産業省の調査によれば2030年には、80万人近いIT人材が不足するとの計算があります。人工知能、ビッグデータなどIT技術、情報処理の素養は、もはや、これからの時代の、読み・書き・そろばんです。
 2020年度から小学校でプログラミング教育をスタートします。文系・理系を問わず、理数の学習を促していく。大学入試でも、国語、数学、英語のような基礎的な科目として情報科目を追加する考えです。さらには、先端的なAI人材、IT人材を育成するため、理学部や工学部といった学部の縦割りを超えた学位プログラムを新たに創設するなど、Society 5.0時代にふさわしい教育システムへと改革を進めていく考えです。
 イノベーションを生み出す拠点である大学改革も待ったなしであります。
 運営費交付金の在り方を見直します。経営改革に取り組む大学や、民間資金を積極的に獲得する大学に、インセンティブとなるように、交付金の配分方法を改革していきます。研究者の年俸制を拡大し、業績評価に基づいた給与水準の決定を徹底する。さらに、若手向け科研費を充実することにより、若手研究者の活躍の機会を増やしていきたいと考えています。
 日本を、世界で最もイノベーションに適した国へと変えていく。未来を見据えながら、そのためのエコシステムをつくり上げるため、来月、統合イノベーション戦略を取りまとめます。
 先ほど、衆議院本会議で、働き方改革法案が可決いたしました。経済界、労働界の合意によって、初めて、長時間労働の上限規制が導入される。そして、同一労働同一賃金が実現する。労働基準法の制定から70年、歴史的な大改革であります。保育や介護など、それぞれの事情に応じて、多様な働き方ができる社会を、今こそつくり上げていかなければなりません。その強い信念の下に、この国会において、働き方改革を必ずや実現する決意であります。
 経済界からも御協力いただいた人づくり革命も、可能な限り、前倒しして進めていきます。来年10月の消費税引上げに合わせ、3歳から5歳の全ての子供たちの幼児教育無償化を、一気に実現いたします。真に必要な子供たちの高等教育も無償化し、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学に進学できるような社会をつくってまいります。
 日本の未来をしっかりと見据えながら、社会保障制度を全世代型へと大きく転換していく。アベノミクスは、いよいよ本丸攻め。人生100年時代を見据えた経済社会システムの大改革に挑戦していきます。
 中西会長、そして経団連の皆様、課題は山積しています。あれか、これか、ではありません。あれも、これも、やらなければならない。本当にできるのか、よくそう言われるんです。本当にできるのか、そう思う気持ちが、既に壁をつくっていると思います。
 外国人観光客は、安倍内閣以前は、1,000万人を超えることはできないと言われていました。正に、700万人、800万人が壁になっていて、ここまで行くとこれに突き当たって、また下降していく、ということであります。当時、2,000万人という目標を掲げたときは、それはもう無鉄砲な目標だ、こう批判されました。批判だけしても、何も生み出すことはできません。今や、3,000万人規模に拡大しています。農産物輸出は、5年連続で過去最高を更新し、8,000億円を超えました。目標の1兆円が、とうとう視野に入ってきました。そして今40歳以下の新たな若い就農者、この皆さんが2万人増加している。この数年、連続で増加している。これは正に過去最高となっています。今農業も大きく変わりつつあり、若い皆さんが自分たちの人生を、生涯を、この分野に懸けよう。自分の努力で、自らの知恵を切り拓いていくことができる分野だと、そう思い始めていると私は思います。
 大谷選手は、メジャーリーグに移っても、見事に二刀流を貫いています。やれば、できるんです。彼も、メジャーでは二刀流は無理だ、こう言われておりましたが、ベーブルースの記録を塗り替えようとしている。要は、意志の問題です。意志さえあれば、どんな壁も乗り越えることができる。経団連の皆様の御協力を頂きながら、安倍内閣は、これからも経済最優先で取り組んでいく決意であります。
 そのことを最後に申し上げ、改めて、榊原会長に心からの感謝を申し上げますとともに、中西新会長には、今後一層の御協力をお願い申し上げ、そして、本日御出席の皆様の更なる御活躍を祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。」

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