全国商工会連合会通常総会懇親パーティー

令和元年5月31日
挨拶する安倍総理 挨拶する安倍総理
挨拶する安倍総理

 令和元年5月31日、安倍総理は、都内で開催された全国商工会連合会第58回通常総会懇親パーティーに出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「いつも経産大臣が出席をさせていただいておりますが、ちょうど今出張中なんですが。もちろん私は経産大臣の代理ではありません。経産大臣の代理は、石川、今日は政務官が出席させていただいておりますが、今日は正に全国80万者の商工会会員を代表する皆様に、是非御挨拶をさせていただきたいという思いでやってきた次第でございます。
 今日は大変マスコミの皆さん、たくさんいらっしゃっておりますが、今日は風の話はいたしません。正に皆さんにとって大切な話をさせていただきたいと、こう思っておりますが、お招きをいただきまして誠にありがとうございます。
 森会長におかれては、昨年6月の就任以来、全国津々浦々を精力的に駆け回り、現場の生の声を政府に届けていただいております。心から感謝申し上げたいと思います。
 安倍内閣発足から6年半、日本経済の屋台骨を担う、中小・小規模事業者の皆さんが元気にならなければ、真の日本の経済再生はない、とこう思っています。その思いで、ありとあらゆる政策を実行に移してまいりました。
 5年前に史上初めて、小規模企業振興基本法を制定しました。柔軟性の高い持続化補助金を創設し、そして5年間で500億円、10万件に及ぶ生産性向上への努力を応援してきました。皆様からの御要望にお応えし、今年度予算では初めて、この持続化補助金を当初予算にも盛り込みました。宮本さんを始め、多くの関係議員の皆様に強い御要望を頂いてきたものでもあります。固定資産税を3年間ゼロとする新しい制度と併せ、全国津々浦々の皆さんの生産性向上への取組を力強く支援してまいります。
 それでもなお残る、人手不足への懸念には、即戦力となる外国人材を受け入れる制度を、本年4月からスタートいたしました。
 下請取引の改善には、これまでのどの内閣にも負けないくらい、私たちは力を入れてきました。下請法の運用基準を13年ぶりに改訂し、近年の下請けいじめの実態を踏まえ、買いたたきなどの違反行為事例を2倍以上に増やしました。Gメンも600名体制に増員し、取締りも強化しています。
 手形払いに関する通達を50年ぶりに見直し、下請代金の支払いは現金払いを原則といたしました。
 経済成長の果実が、大企業だけでなく、下請の中小・小規模事業者の皆さんにも、しっかりと行き渡っていく。経済の好循環なくして、アベノミクスの成功はないと考えています。
 そして、もう1つ。大企業の経営者には求められないのに、中小・小規模事業者の経営者だけには求められるものがある。それは、個人保証です。一度失敗すると、全てを失う。再チャレンジを困難にしている、個人保証偏重の慣行は、断ち切らなければなりません。政権発足当初から、全力で取り組んでまいりました。
 5年前、経営者保証ガイドラインの運用をスタートしました。その結果、個人保証なしの民間金融機関の新規融資は、2割にまで拡大しました。商工中金と日本政策金融公庫は、既に、10兆円に上る融資を、個人保証なしで実施しています。
 しかし、まだ十分とはいえません。先日、こんな話を伺いました。ある小さな建設会社の経営者の息子さんは、元々、サラリーマンだったのですが、地域のために頑張ってきたお父さんの姿を見て、廃業させるわけにはいかない。従業員も居るし。事業承継を決意したそうであります。お父さんも、すごく、息子がやっと継ぐ決意をしてくれた。喜んでいたそうです。しかし、銀行から、その息子さんに、借入金の個人保証を求められたそうであります。そうすると、息子さんの家族が猛反対した。奥さんは、保証人になるなら離婚も考えると、こう言われたそうであります。それぐらいの勢いだったため、残念ながら、その息子さんは事業承継を断念することになった、ということであります。こういう話は実はよくある話であります。
 中小・小規模事業者の皆さんこそ、我が国の宝であります。それが、後継者が見つからないという理由で、廃業に追い込まれるような事態は、我が国経済にとって大きな損失であります。
 私たちは、昨年、事業承継時の相続税・贈与税をゼロにする異次元の措置を講じました。そうしたところ、件数は、これまでの10倍に増えました。本年からは、個人事業主にも拡大しています。しかし、これだけでは足りません。調査によれば、後継者候補が居たにもかかわらず、結局、事業承継ができなかった。その理由の6割は、先ほどの例と同じく、個人保証を求められるから、ということでありました。
 個人保証の慣行は、次の世代には引き継いではならない。今の世代で、必ずや断ち切るとの強い決意をもって、大胆な政策パッケージを実施していきます。
 まず、商工中金では、今後、個人保証なしの融資を原則とします。これによって、年間2万件の融資が、無保証化されます。
 民間金融機関からの借入れについても、事業承継に焦点を当てた経営者保証ガイドラインの特則をつくります。先代の経営者と後継者の双方から個人保証を取る二重取りが、年間1万件もあるわけですが、これを原則禁止します。
 さらに、後継者の皆さんが融資を受ける際には、個人保証なしで、信用保証協会が保証する、新しい制度を創設します。経営の磨き上げ支援も行い、ガイドラインに沿って専門家の確認を得た後継者の方々には、保証料もゼロとする。低金利時代にあって、活用しやすい制度とすることで、事業承継の流れを一気に後押ししてまいります。
 新しい令和の時代がスタートしましたが、中小・小規模事業者の皆さんに、新しい時代にふさわしい経営環境をつくり上げていく。その第一は、何よりも、個人保証からの脱却である。そう考えています。
 令和最初の大きな政策として、この、言わば個人保証脱却・政策パッケージを、来月決定する成長戦略にしっかりと盛り込み、政府・与党一丸となって、速やかに実行してまいります。
 そのためには、全国1,660に及ぶ商工会の皆さんの御協力が、何といっても、不可欠であります。皆様と強力なタッグを組んで、共に、新時代を切り拓(ひら)いていきたいと願っています。
 そして、大胆な政策を実行するための基盤となるものは、何でしょうか。それは皆さん、政治の安定です。政治の安定なくして、経済の安定もありません。
 本年は、亥(いのしし)年であります。12年前の亥年も、私が総理大臣でありましたが、夏の参議院選挙においては、自民党は残念ながら歴史的な惨敗を喫しました。これは、当時総裁であった私の責任であります。あの時の敗北は、今も、私の胸に深く刻まれています。国会ではねじれが生じ、あそこから、私も含めて毎年のようにころころと総理大臣が代わり、長引くデフレと、そして地方経済の停滞は放置され、日本全体が低迷しました。中小・小規模事業者の皆さんの倒産件数は、今よりも3割その時代は多かったんです。
 悔やんでも悔やみきれない。12年前の深い反省が、今の私の政権運営の基盤となっています。
 あの混迷の時代に、二度と逆戻りをさせてはならない。そう固く決意しております。
 よく、一旦立ち止まって考えよう、とか、一見真っ当そうなことを語る政治家がいます。しかし、それは、単なる問題の先送りに過ぎない。我が国には、もはや、立ち止まっている余裕はありません。過去を振り向いている暇はないんです。
 地域で頑張っている皆さんに、心の底から、元気がぐーっと湧いて出てくるような、大胆な政策をどんどん講じていくことで、新しい時代の日本を、皆さんと共に、しっかりと前に進めていかなければなりません。
 どうか、どうか、皆様の御理解と、力強い御支援を賜りますように、心からお願いを申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。最後に、もう一度申し上げます。強い経済のためには、何が大切か。それは、政治の安定でございます。政治の安定のためには、何が大切かということは、もう皆さんよくお分かりでしょうから、あえて申し上げませんが、どうか皆様よろしくお願い申し上げます。本日はおめでとうございました。」

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