規制改革についての見解

雇用・労働

【分野別総論】

○問題意識

 雇用・労働分野と関わる法律は、公共部門における労働関係に関連したものを除くと、大別して3つの領域に分かれる。@雇用関係法、A労働市場法及びB労使関係法がそれであるが、その基礎は、今から半世紀以上前、我国が占領下にあった1940年代後半に形成された。昭和22年に相前後して制定された労働基準法(昭和22年法律第49号)(@)や職業安定法(昭和22年法律第141号)(A)、敗戦の年、昭和20年に制定され、その後、昭和24年の全面改正を経て今日に至っている労働組合法(昭和24年法律第174号)(B)は、その代表的なものである。
 このうち労働基準法と職業安定法については、近年の法改正により、相当大幅な見直しが行われた。しかし、労働組合法についてはほとんど見直しが行われないまま現在に至っている。
 他方、労働市場の規制改革は一段落したとの声も聞くが、改革の遅れが目立つ領域も少なくない。また、労働者の働き方の多様化が進む中で、常用雇用者を暗黙の前提とした社会保険制度との矛盾も生じている。多様な働き方の選択肢を認め、中立性の確保といった観点にも留意した、21世紀にふさわしい労働市場の環境整備を図るためにも、改革のスピードをさらに一層速めることが必要になる。
 雇用・労働の分野においては、労使の立場に大きな相違が見られる場合が多く、規制改革がともすれば先送りにされる傾向にある。しかし、国家百年の計を考えた場合、こうした現状を放置することはもはや許されるべきではない。見直しのスピードを加速するとともに、半世紀前の法律が現在なお必要かといった観点から、その再検討を行う。我々に今求められているのは、そうした現行法制の抜本的な見直しなのである。
 ただ、「規制は細部に宿る」ともいう。そうした細部に宿る規制への目配りを欠いては、規制改革といっても絵に描いた餅に終わる。このことは、雇用・労働の分野にも当てはまることであり、地道な努力もまた規制改革にとっては不可欠であることを忘れてはならない。

○検討状況

 雇用・労働の分野においても、事前規制から、セーフティネットの整備に重きを置いた事後監督への転換を求める動きが次第に顕著になりつつある。こうした流れに沿って、雇用関係法の領域においては、労働基準法の改正によって、有期労働契約における契約期間の延長や企画業務型裁量労働制の新設が実現するとともに、労働市場法の領域においては、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)(以下「労働者派遣法」という。)の改正により、有料職業紹介事業の取扱職業や労働者派遣事業の対象業務のネガティブリスト化が相次いで実現した(改正労働基準法は平成11年4月1日施行。改正職業安定法及び改正労働者派遣法は同年12月1日施行。いずれも一部の規定を除く。)。
 こうした中、当委員会は、行政裁量の余地の少ない、簡素で透明性の高い規制への改革を求めて努力を重ねてきたが、有料職業紹介事業の取扱職業の範囲が国外にわたる職業紹介を含め、港湾運送及び建設の業務に就く職業を除くすべての職業に拡大されるなど、規制改革という点において一定の成果を収めることができた。
 また、このようなこれまでの成果を踏まえ、今年度においては、特に上記改正法(職業安定法・労働者派遣法・労働基準法)の施行によって明らかになった問題点を中心に取組を進めてきたところであり、こうした取組を受け、本年10月には経済対策閣僚会議が策定した「日本新生のための新発展政策」が「労働者派遣については、今年度からその実態調査に着手し、派遣期間や派遣対象の在り方を含めた今後の検討方向について、改正労働者派遣法に基づく所要の検討を行う」とするなど、一定の前進も見られる。
 ただ、上記の「日本新生のための新発展政策」も、派遣期間や派遣対象の在り方をどのような方向において検討すべきかについては、これを明らかにしておらず、その意味では不十分とのそしりを免れないものとなっている。この点について、当委員会は、派遣期間の制限緩和や派遣対象業務の拡大をこれまで一貫して求めてきたところであり、本見解においても、その立場を堅持することとしたい。
 さらに、本年7月の論点公開において、当委員会が指摘した問題点の多くは、未だその解決に至る糸口さえ見いだせない状況にあり、働き方の選択肢を拡げ、雇用機会の拡大を図る等の観点から、当委員会としてはその早急な検討が行われるよう強く期待するものである。

【各論】

(1)労働基準法の見直しと多様な働き方の促進<

 雇用関係法の領域における最も代表的な法律である労働基準法については、有期労働契約や裁量労働制に対する規制の在り方が論点となる。平成10年の法改正は、これらの点に関する見直しを含むものであったが、その内容はきわめて不十分なものに終わった。当委員会は、以下のように、現行規制を更に見直す必要があると考える。

(1−1)有期労働契約に係る規制の見直し

ア 対象労働者の範囲の拡大
 改正労働基準法は、有期労働契約の契約期間を最長3年とすることを認めたが、60歳以上の高齢者と労働契約を締結する場合を除き、以下の要件をすべて満足することを要求するものとなっている。
 (ア) 対象となる労働者が、次のいずれかに該当する高度の専門的な知識、技術又は経験を有する者であること。
  1. @博士の学位又は公認会計士や医師等の資格を有する者
  2. A修士の学位を有し、かつ、就こうとする業務につき3年以上の経験を有する者
  3. B特許発明の発明者や意匠登録の創作者等(これらの者に準じ、その知識、技術又は経験が優れたものであると、労働省労働基準局長が認める者を含む。)であって、かつ、就こうとする業務につき5年以上の経験年数を有する者

 (イ) 当該契約が(ア)の条件を充足する高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、その高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就かせることを目的とした契約であること。(したがって、契約の3年更新は認められない。)
 (ウ) 当該業務が、新商品、新技術等の開発・研究に必要な業務であるか、又は新規事業への展開を図るための一定期間内に完了することが予定されているプロジェクトに必要な業務であること。
 しかし、これでは、60歳以上の高齢者と労働契約を締結する場合を別として、期間3年の労働契約は認めないと言っているに等しい。働き方の選択肢を増やし、雇用機会の拡大を図るためにも、対象労働者の範囲を見直し、少なくとも新たにベンチャー企業を立ち上げる等の場合には、最長3年の有期労働契約を締結しやすくなるよう、検討することが適当であると考える。

イ 契約期間の延長等
 以上のほか、少なくとも60歳以上の高齢者については、年金の支給開始年齢をも勘案して、最長5年の労働契約を締結できるよう、契約期間を更に延長すること等について検討することが適当であると考える。

(1−2)裁量労働制に係る規制の見直し

ア 専門業務型裁量労働制
 専門業務型裁量労働制の対象業務は、現在、新商品・新技術の研究開発の業務等11業務に限定されている。うち6業務は平成5年の法改正を受け、平成9年の大臣告示により追加指定された業務であるが、コピーライターの業務を除き、すべて「士」職(公認会計士、弁護士、一級建築士、不動産鑑定士、弁理士の5業務)にとどまっている。
 しかしながら、専門性が高く、裁量労働制を適用するにふさわしい業務がこれらの業務に尽きるとは考えにくい。働き方の選択肢を増やすという観点から、専門業務型裁量労働制については、意見要望があれば、これを踏まえ、対象業務の在り方について検討すべきである。

イ 企画業務型裁量労働制
 改正労働基準法の下で、平成12年4月1日から、従来の専門業務型裁量労働制に加え、本社及びこれに準ずる事業場における企画・立案の業務を始めとする事業の中枢業務を対象として、企画業務型裁量労働制が新たに認められることになった。
 しかし、専門業務型裁量労働制については、労使協定の締結のみがこれを導入するための要件とされているのに対して、企画業務型裁量労働制については、労使委員会を設置し、その届出を行い、出席委員全員の合意に基づいて決議を行った上で、この決議を届け出なければ制度を導入することができない等、一方で両者の制度設計上の違いにはかなり大きなものがあり、これらの違いを含め、従来型の専門業務型裁量労働制では必要とされず、新設された企画業務型裁量労働制においてのみ必要となる要件を列挙すると、およそ次のようになる。
 (ア) 労使委員会の設置に関する要件

  1. 委員の半数については、従業員代表が任期を定めて指名した者につき、さらに労働者の過半数の投票による信任を得ること。
  2. 所轄労働基準監督署長への届出
  3. 議事録の3年間保存とその周知
  4. 運営規程の作成

 (イ) 労使委員会の決議に関する要件
 [決議事項:専門業務型裁量労働制に関する労使協定には含まれないものに限る。なお、決議には出席委員全員の合意が必要。]
  1. 対象労働者に適用する健康及び福祉を確保する措置
  2. 対象労働者からの苦情処理に関する措置
  3. 対象労働者からの同意の取得と、不同意を理由とする不利益取扱いの禁止
  4. 労働時間等の勤務状況、1.の健康及び福祉を確保するための措置として実施した措置、2.の苦情処理に関し実施した措置、及び3.の同意に関する対象労働者ごとの記録の保存(決議の有効期間中及びその後3年間)

 ※なお、労使委員会の決議は所轄労働基準監督署長へ届け出なければ、裁量労働制そのものが導入できない。
 (ウ) 定期報告(当分の間、6ヵ月に1回)
 [報告事項]
  1. 対象労働者の労働時間の状況(平均的時間と最長時間、状況の把握方法)
  2. 対象労働者の健康および福祉を確保するための措置の実施状況
  3. 対象労働者の苦情処理に関する事項
  4. 労使委員会の開催状況

 企画業務型裁量労働制の適正な運用上、専門業務型裁量労働制との間に一定の差異を設けることはやむを得ないと考えるが、他方、平成11年11月に経済対策閣僚会議が策定した「経済新生対策」には、「改正労働基準法による新裁量労働制に基づき、創造性豊かな人材がその能力を存分に発揮しうる主体的な働き方ができるよう条件整備を行う」とあり、こうした条件整備を更に進めていくに当たっては、企画業務型裁量労働制に係る以上の要件を簡素化する等の見直しを行うことが適当であると考える。
 そこで、企画業務型裁量労働制については、平成10年労働基準法改正法附則第11条において「施行後3年を経過した場合において、新法第38条の4の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされていることを踏まえ、この規定に基づく検討に向けて、制度の施行状況の調査をまず行うべきである。
 また、こうした観点からは、対象事業場や対象業務の範囲についても、これを同時に見直すことが望ましく、中長期的には労働時間規制の適用除外(イグゼンプション)制度の採用についても検討することが適当であると考える。
 なお、本年の論点公開においても指摘したように、以上に関連して、年俸制に係る割増賃金の計算方法に関する通達(平成12年3月8日付け基収第78号)についても、その見直しを検討することが適当であると考える。

(2)職業安定法・労働者派遣法の見直しと雇用機会の拡大

(2−1)職業紹介事業に係る規制の見直し

ア有料職業紹介事業
 先に言及したように、平成11年の職業安定法改正により、有料職業紹介事業については、その取扱職業がネガティブリスト化され、官民が労働市場という共通のフィールドにおいて競争しあう環境が従前に比べ、格段に整備された。しかし、職業紹介を通した就職や転職をより円滑なものとするためには、職業紹介事業と関わる規制を一層簡素化する等、現行規制のさらなる見直しが必要となる。具体的には、以下の取組について、その検討が求められる。
 (ア) 職業紹介責任者
  1. 現在は、有効求職者500人につき1人の割合で、職業紹介責任者を置かなければならないとされているが、責任の所在を明確にするためにも、これを1事業所当たり1人で足りるものとする。
  2. 現在は、人事異動のつど職業紹介責任者の変更届出を行うことが必要とされているが、これを簡素化する。
  3. 職業紹介責任者の講習内容を見直し、個人情報の管理に重点を置いた必要最小限のものに改める。また、不要との声が強い再講習制度についてはこれを簡略化するか、再講習制度そのものを廃止する。

 なお、以上の取組(1.〜3.)については、改正職業安定法の施行状況等を踏まえ、法施行3年後の制度全体の見直しを行う際に、その検討を行うべきである。
 (イ) インターネットを通した職業紹介
  1. 平成12年10月に経済対策閣僚会議が策定した「日本新生のための新発展政策」は、「インターネットを活用した職業紹介事業の円滑な実施のため、対面行為が必須でないこと等、その取扱いを年内に明確にするとともに、書面交付規制や事業所面積規制については、インターネットを活用する場合に弊害となる点を整理し、本年度中に当該規制の緩和による見直しを行う」としているが、緊急時以外においても書面に代わる電子メール等の利用を認め、事業所面積については現行の20u要件を廃止する方向で、その見直しを確実に実行する。
  2. 上記「日本新生のための新発展政策」は、「効率的・効果的な労働需給調整システムを確立するため、インターネットを活用した職業紹介の推進(前掲(略))を図るほか、公共職業安定所と民間職業紹介事業者等の連携による求人・求職情報の一元化と円滑な利用を図る総合情報ネットワークについて平成13年度から運用を開始する」としているが、官民の労働力需給調整機関関係者等により構成される「官民連携した雇用情報システム(仮称)運営協議会」における合意をもとに、これを確実に実行する。
  3. 以上に関連して、昨年の第二次見解においては、「今後は積極的にインターネットを職業紹介に活用できるよう、その明確な基準を指針等の形で示すことを検討するべきである」としたが、その後、労働省は「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準」を公表した。この点については評価する。

 (ウ) 国外にわたる職業紹介
 許可申請に当たって、相手先国の関係法令及びその日本語訳を収集しなければならない現行の許可手続は、事業者に過重負担を強いるものであり、新規参入の障害にもなっているとの声がある。このため、この手続の簡素化について検討すべきである。
 (エ) 求職者からの手数料徴収
 現在、求職者からの紹介手数料の徴収が認められているのは、芸能家とモデルに限られている。しかし、求職者に対して有料の職業紹介サービスを受けることのできる道を開くことは、求職者の利益に適うものであるとの指摘もあり、改正職業安定法も「手数料を求職者から徴収することが当該求職者の利益のために必要であると認められるとき」には、命令で定めることにより、求職者から手数料を徴収することができる旨を規定している。以上の点から、求職者からの手数料徴収が認められる範囲については、これを拡大する方向で検討を行うべきである。
 なお、求職者向けのサービスは、必ずしもこうした職業紹介サービスに限られるものではない。このような点に留意しつつ、職業紹介と一体的に行われない求職者サービスについては、職業紹介事業の手数料規制が及ばず、料金徴収が可能であることについて、周知を図るべきである。

イ 無料職業紹介事業
 職業安定法の改正をきっかけとして、無料職業紹介事業については、事業主体を限定していたそれまでの許可要件がその姿を消した。また、改正法では従来、労働大臣が自由に取扱職種等の範囲を限定することができるとされていたものが、これを事業者が申し出た場合に限るとの定めに改められた。以上の点については評価する。
 しかし、無料職業紹介事業については、適正な事業運営に関する要件として「申請者の存立目的、形態、規約等から必要かつ適当であると認められる範囲の職業紹介を行うものであること」を定める等、有料職業紹介事業にはない許可要件が残されており、参入規制の余地が完全になくなったとはいえない状況にあり、許可制をさらに透明なものとする努力が求められる。
 また、学校等以外の者が無料職業紹介事業を行う場合に、本当に許可制が必要なのか。現状は、規制緩和の効果が許可件数の増加という形では表れていないこともあり、許可制の廃止(届出制への移行を含む)といった点をも含めて、中長期的にはその抜本的な見直しを行うべきである。

(2−2)労働者の募集に係る規制の見直し

ア 委託募集
 職業安定法の改正を契機とする許可基準の見直しにより、事業主が従業員以外の第三者に委託して行う委託募集については、許可制の下で、誰が誰に募集を委託してもよいこととなった。この点は評価する。
 しかし、昨年の第二次見解においても指摘したとおり、スカウト型の職業紹介事業者に募集を委託する場合は許可が不要という考え方は、誰に募集を委託するかにより許可の要否が決まるという点で疑問があり、マッチングに関与しない形で募集の受託業務を業として行おうとうする者に対して、事実上、職業紹介事業の許可の取得を勧奨するものともいえる。
 さらに、このような規制緩和を経た後も、委託募集の許可件数には伸びが見られず、こうした状況は、委託募集について、許可制という仕組み自体が敬遠されていることを示しているのではないかとも考えられる。
 以上の点から、委託募集については、改正職業安定法の施行状況等を踏まえ、許可制の廃止を含め、その在り方について、施行3年後における職業紹介事業法制全体についての見直しの際に検討すべきである。

イ その他
 改正職業安定法の特徴の一つは、労働者の募集規制と関わる規定の大半がほとんど手をつけられずにそのままの形で残されたことにある。通勤圏外の直接募集に係る届出制の廃止に伴い、文書募集及び直接募集に関する規定が同法から姿を消したことを除けば、委託募集の報酬(旧報奨金)に係る許可制が認可制に改められたこと以外には、何一つ条文の内容に変更はなかった。
 こうして職業安定法に残されることになった規定に、@募集の制限(労働大臣又は公共職業安定所長による募集時期、募集人員、募集地域その他募集方法についての制限)、A募集地域の原則(通勤圏内又はそれが困難な場合の近接地域からの募集の努力義務)、B報酬受領の禁止(応募した労働者からの受領禁止)、C報酬の供与の禁止(募集に従事した従業員への賃金以外の報酬支払の禁止)等について定めた規定がある。しかし、このような規定が今日なお必要かどうかは甚だ疑問であり、中長期的にはその要否の検討を含めた抜本的な見直しを行うべきである。

(2−3)労働者派遣事業に係る規制の見直し

ア 対象業務の規制緩和
 平成11年の労働者派遣法の改正により、労働者派遣事業についても対象業務のネガティブリスト化が図られることになったが、その範囲は有料職業紹介事業のそれよりも広く、@港湾運送業務及びA建設業務のほか、B警備業務、C医療関係業務、そして当分の間とはいえ、D「物の製造」の業務が派遣事業の禁止されるネガティブリストに含まれることになった。
 しかし、本年の論点公開でも指摘したように、「物の製造」の業務と関わる派遣事業を一括して禁止の対象とすることは、国際的にもあまり例がなく、また「特定の状況の下で、特定の種類の労働者又は特定の部門の経済活動」についてのみ派遣事業所を含む民間職業仲介事業所によるサービスの提供を禁止することを認めた、ILO181号条約に抵触するおそれがあるとの意見もある。他方、「物の製造」の業務について派遣事業が認められるならば、これによって派遣を通した雇用機会の拡大が期待できるという一面もある。
 このため、「物の製造」の業務を労働者派遣事業の対象とすることについては、改正労働者派遣法の施行状況等を踏まえ、法施行3年後の制度全体の見直しの際に検討を行うべきである。
 なお、労働者派遣法が明示的に禁止していない業務については、派遣事業を行うことが可能と解すべきであり、法令に基づかない派遣事業の禁止は、本来、これを認めるべきではない。この点に関連して、証券外務員の業務については、当委員会の指摘を受け、証券取引法中の直傭規定の解釈がガイドラインの見直し(平成12年8月24日)により変更された結果、派遣事業が可能になったが、証券外務員以外の者についても、同様の例があれば、その早急な見直しを行うべきである。

イ 派遣期間の制限緩和
 対象業務の原則自由化(ネガティブリスト化)には賛成だが、派遣期間の1年制限には反対。改正労働者派遣法については、そうした声が派遣労働者の間には強い。
 例えば、電機連合が本年春(2月〜4月)に実施した調査によれば、対象業務の原則自由化については、賛成が9割前後(常用型:88.7%[うち賛成47.5%、どちらかといえば賛成41.2%]、登録型:94.0%[うち賛成46.0%、どちらかとえば賛成48.0%])を占めるのに対して、派遣期間の1年制限については、逆に反対が3分の2前後(常用型:67.5%[うち反対27.9%、どちらかといえば反対39.6%]、登録型:64.0%[うち反対38.0%、どちらかといえば反対26.0%])を占めるものとなっている(ただし、登録型についてはサンプル数が少ないことに注意)。
 また、ネガティブリスト化の下で新しく認められた業務については、派遣期間の1年制限があるために、売上げに伸びが見られないことを、日本人材派遣協会が本年9月に派遣会社を対象に実施した調査は明らかにしている。これによれば、昨年12月1日の改正法施行から本年8月末までの9か月間の総売上高に占める新規対象業務の割合は平均2.15%に過ぎず、売上実績が当初の予想を下回ったと回答した派遣会社も、全体の43.9%とかなり多い。そして、その大多数(92.1%)が「1年制限がネック」になっていると回答しているのである。
 派遣期間の1年制限を疑問視する派遣労働者やこれを使用する派遣先の声は、上記の派遣協会の調査でも示された「1年では雇用について不安、生活設計ができない」(派遣労働者)、「1年だと仕事を覚えた頃には終了し、戦力にならない」(派遣先)といった意見に概ね集約されているといえるが、こうした関係者、とりわけ派遣労働者の声にも耳を傾けるべきことはいうまでもない。
 さらに、総務庁の「労働力調査特別調査」によれば、本年8月現在で派遣社員の数は38万人であることから、労働者派遣法の改正による雇用拡大効果は、せいぜい数千人規模にとどまるものと推定される。つまり、規制緩和(ネガティブリスト化)の効果が、現実にはほとんど見られないのである。
 それゆえ、派遣を通した雇用機会の拡大を図るためには、派遣期間の1年制限を撤廃するか、これを大幅に緩和することが必要になるが、前述したように、経済対策閣僚会議も、本年10月に策定した「日本新生のため新発展政策」において、「労働者派遣については、今年度からその実態調査に着手し、派遣期間や派遣対象の在り方を含めた今後の検討方向について、改正労働者派遣法に基づく所要の検討を行う」としており、現行規制を抜本的に見直す方向での、その確実な実行が求められる。
 なお、その際には、高齢者等の就職が困難な者に対する特例等についても検討する必要があり、これに加えて、以下のような取組についても、その可能性を検討すべきである。
 (ア) 新規対象業務であっても、営業や販売等、専門性の高い業務については、旧適用対象業務(いわゆる26業務)の範囲を拡大することにより、3年程度の派遣を認める。
 (イ) 複合業務についても、主たる業務が26業務の場合、あるいは新規対象業務についても、月初や月末、土日のみ等、派遣日数が限られている場合には、26業務と同様に取り扱う(従前、派遣労働者の就業時間が夜間であったり、就業日数が著しく少なかったり[おおむね月間7日未満]、就業時間が著しく短い[おおむね週に15時間未満]等、派遣先における通常の労働者の勤務時間帯と著しく異なっている場合には、26業務についても、いわゆる3年の期間制限の例外が認められてきた経緯がある。)。
 改正労働者派遣法に定める1年の期間制限は、派遣先が派遣サービスの提供を受けることのできる期間を最長1年に制限するものであって、もっぱら派遣元を対象とし、派遣契約の更新限度を原則3年とした(テレマーケティングの営業のように、派遣契約の期間に上限がない場合には、こうした規制も受けない)従来の3年の期間制限とは明確にその性格を異にする。
 新規対象業務について、このように派遣期間を厳格に1年に制限した理由は、常用代替の防止にあるとされるが、マクロ的には代替現象が生じていると見られるパートと一般労働者との間においても、ミクロの事業所レベルでは、代替現象があまり生じていないことを、労働白書は明らかにしている。
 例えば、平成12年版の白書によれば、@一般増パート増:33.5%、A一般増パート減:7.9%、B一般減パート増:8.0%、C一般減パート減:40.7%(以上、労働省「雇用動向調査」(平成10年)による)となっており、一般労働者を減らし、パートを増やすことによって、両者を代替させたといえる事業所は全体の1割にも満たないのである。
 加えて、先に引用した「労働力調査特別調査」によれば、派遣の規模はせいぜいパートの20分の1に過ぎない(38万人/753万人)。常用代替を問題とすること自体がいかに大袈裟かがこのことからも分かる。今、我々に求められているのは、エビデンスに基づく冷静な議論であって、直感に訴える感情論ではない。このことを今一度、再確認しておきたい。

ウ 紹介予定派遣
 本年12月1日から紹介予定派遣がスタートしたが、これに先立って8月21日には、「紹介予定派遣に関し想定される質問・回答」(Q&A)が公表された。
 ただ、従前「労働者派遣事業及び民営職業紹介事業を兼業する場合の許可の要件」が「派遣就業終了時に、派遣先及び派遣労働者に求人・求職の意思及び求人・求職条件を確認し、その上で職業紹介を行うこと」との考え方を明らかにしていたことからも分かるように、紹介予定派遣については、派遣と紹介とを明確に区分する形で制度設計がなされており、このことが新制度の効率的な運用を妨げるのではないか、と危惧されている。
 例えば、上記の「Q&A」は、「事前面接や履歴書の送付要請を派遣先が行うことは不適切」であり、派遣元事業主はこのような行為に協力してはならないとしているが、派遣先への職業紹介(就職)を前提とした紹介予定派遣においてまで、派遣先が事前面接や履歴書の送付要請等、「派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければならない」と規定した労働者派遣法の適用を全面的に受けるとすることには、相当無理があるといわざるを得ない(こうした取扱いは、上記の許可要件が「派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については試用期間を設けないよう必要な指導を行うものとする」と定めていることとも矛盾する)。
 このような問題点に対処するため、派遣労働者が希望する場合において、派遣労働者が自ら派遣先を訪問したり履歴書を送付することは可能である旨明確化し、その周知を早急に図ることが適当である。

エ その他
 以上のほか、当委員会は、改正労働者派遣法施行3年後の見直しの際には、手続の簡素化を中心に、次のような点について、派遣事業に係る規制の見直しを検討することが必要であると考える。

  1. 派遣先が派遣元に対して行う1年の期間制限に「抵触することとなる最初の日の通知」については、書面の交付を義務付けず、口頭による通知を認める(少なくとも緊急時には、FAXや電子メールの使用を認める)。
  2. 派遣元責任者の管理は「派遣元責任者証」で行うこととし、住所変更等に伴う変更届出を廃止する。
  3. 同一公共職業安定所の管轄内に既設の許可事業所がある場合、当該管轄内において新規事業所を設置しようとするときは、届出だけで足りるようにする。
  4. 派遣元責任者の人数に係る規制を、責任の所在を明確にするためにも、現行の派遣労働者100人につき1人から、1事業所1人に改める。
  5. 派遣元責任者講習の有効期間を3年から5年に延長する等、講習制度の簡素化を図る。
  6. いわゆる「登録センター」および許可事業所外での「登録会」における登録作業についても、「就業条件の明示・雇用契約の締結」以外のすべての行為を行うことができるようにする。

(3)労働市場におけるセーフティネットの整備

(3−1)医療・年金保険制度の見直し
 女性や高年齢者の労働市場に占める比率が高まるとともに、世帯主(常用労働者)を基準とした社会保険制度の在り方が問題となっている。被用者を対象とする医療・年金保険は、原則として適用事業所の常用労働者(通常の労働者の4分の3以上の労働時間)を被保険者としている。このため、この基準を下回る短時間の被用者は、年収が130万円以下であれば、健康保険の被扶養者や国民年金の第3号被保険者として、個人としての保険料負担を免れることになる。その結果、被扶養者としての所得要件の範囲内(これには所得税や家族手当の仕組みも影響する。)に年収賃金を抑える傾向があり、就労日数調整や賃金調整を行う者も少なくない。
 また、年収が130万円以上であれば、自営業と同様に国民健康保険や国民年金の第1号被保険者となるが、いずれの場合も事業主負担を必要としないため、このことが常用労働者からの雇用需要代替の誘引となる可能性が大きい。そこで、こうした社会保険制度の労働市場に及ぼす影響も踏まえ、制度の在り方について検討を進めるべきである。
 さらに、現行の月収賃金のみをベースとした医療・年金保険料の算定方式を、ボーナス分が月収賃金に含まれることの多い非常用労働者や年俸制の適用を受ける常用労働者に機械的に適用した場合には、その負担が年収ベースでは過大となるという不公平が生じる。既に厚生年金については、平成15年4月から保険料の賦課ベースを年収賃金に改める「総報酬」方式の導入が決定されているが、これと同様の方式を、他の社会保険にも適用するよう、速やかに検討すべきである。

(3−2)雇用保険制度の見直し
 雇用保険については、同一の事業所で通常の労働者より所定労働時間が短い者についての年収要件の制約は平成12年改正時に撤廃されたものの、1年以上継続して雇用される見込みがあること等を被保険者とする要件は、依然として残されている。これは、1年未満の雇用見込みしか立たない者は、雇用保険制度の適用対象である「自らの労働により賃金を得て生計を立てている者」とは見なされないためである。
 他方、これに関連して、同一の派遣先に登録型の労働者派遣を行う場合には、テレマーケティングの営業等、一部の業務を除いて、1年を超える派遣契約を締結することが労働者派遣法に違反する(改正労働者派遣法の下で新しく認められた業務については、そもそも1年を超えて同一の就業場所に派遣することができない)ことから、派遣労働者は雇用保険の適用を受けられにくい。このため、登録型派遣労働者に係る適用基準について、同一の派遣先での就業が1年を超えない短期のものであり、また派遣先が異なる場合であっても同一派遣元で反復継続して1年以上派遣就業することが見込まれる場合には適用することを明確化する適用基準の改正が、平成13年4月から実施されることとなっている。この周知徹底を図るべきである。
 また、公共職業安定所による紹介を要件とする雇用関係の助成金については、安定所経由で入職する者が全体の2割を占めるに過ぎないことを考えると、そうした支給要件についても、これを早急に見直すべきである。
 なお、雇用保険制度は、すべての業種について適用することを原則としており、5人未満の農林水産業の個人事業及び法令等に基づく雇用保険の求職者給付等の内容を超える制度がある場合を除き適用除外は認められていない。
 しかし、雇用保険については、他の社会保険制度に比べ適用状況に問題があるとの事実は認められないが、職種によっては、一般の常用労働者の中にも、加入していない者が存在するという状況にある。失業者に対するセーフティネットを確保する観点からも、こうした状況は早急に是正すべきであり、雇用保険未加入者に対する加入促進をより徹底すべきである。

(3−3)円滑な労働移動の支援
 日本労働研究機構が平成11年11月に行った「求人の年齢制限に関する実態調査」によると、求人を行う際に上限年齢を設定した企業は90.2%あり、上限年齢は平均で41.1歳となっている。上限年齢が50歳を超える職種は極めて少なく、「タクシーや社用車の運転手」「清掃・雑務員」「警備・保全・守衛職」といった職種に限られている。
 こうした中、平成11年7月5日に取りまとめられた経済審議会の報告書「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」は、「今後、労働移動が増加していくことが見込まれるが、労働市場が円滑に機能するためには、年齢や性にかかわらず個人の能力が適正に評価される労働市場を整備していく必要」があり、「このため、今後、性差別禁止に向けた取組を一層推進するとともに、募集、採用時の年齢制限のような年齢による一律な取扱いを抜本的に改めるため、年齢差別禁止という考え方についても、個人の能力、貢献度に応じた賃金・処遇等年齢にとらわれずに働く社会実現の前提条件や様々な制度に与える影響を考慮しつつ検討していくことが求められる」と指摘し、注目を集めた。
 円滑な労働移動を支援し、中高年層の雇用機会の拡大を図るための対策を講じるに当たっては、上記報告書も述べるように、年齢差別の禁止といった考え方についても、真剣に検討していくことが必要になる。
 しかし、これを受けた経済企画庁の「雇用における年齢差別禁止に関する研究会中間報告」(平成12年6月)にあるように、「年齢による差別の禁止をしていくためには、同時に企業に他の雇用の調整手段を認めていく必要」があり、「年齢差別の禁止との関係で具体的にどのような手段で雇用保障を緩めていくかについては、立法による解決も含めて引き続き議論していく必要がある」。
 このことに関連して、当委員会は、昨年来、解雇規制の在り方についての立法化の可能性を含めた検討の必要を説いてきたが、本年の論点公開でも述べたように、「円滑な労働移動を支援するためには、企業内における雇用維持から社会全体としての雇用確保へと、雇用政策の軸足を移していく必要がある」との考え方が、その背景にはある。
 確かに、個々の事案ごとに異なる解雇理由のすべてを法律で定めることは困難であり、不可能とさえいってよい。しかし、立法にはできて、判例にはできないこともやはりある。例えば、企業が採用しやすい環境をつくるために、事業開始後又は採用後の一定期間に限り、解雇規制の適用を除外するといったことが考えられる。
 また、整理解雇の際に、判例のいう解雇回避の努力義務に代えて、再就職の援助や能力開発の支援を企業が選択肢としてとりうることを示すといったことも、立法であればこそ可能になるといえよう。
 以上の見地から、当委員会は、解雇規制の在り方について、引き続き立法化の可能性を含めた検討を行うことが適当であると考える。

(3−4)労使紛争処理制度の再検討
 企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、個々の労働者と使用者の間の労使紛争(個別的労使紛争)が増加しており、これらの紛争を簡易・迅速に解決する紛争処理システムの構築が求められている。
 労働省は、こうした問題意識の下に、個別的労使紛争処理システムの整備を進めているが、その骨子は、都道府県労働局(以下、地方労働局という。)による総合力を発揮することによって、以下の3点にわたる一貫した総合的紛争処理システムを整備することにある。
 (ア) 紛争の未然防止のための相談、情報提供
 労働相談に関するあらゆる分野の相談にワンストップで応じ、情報提供を行う「総合労働相談コーナー」を全国260カ所に設置し、総合労働相談員を配置する。
 (イ) 都道府県労働局長による紛争解決援助
 労働条件、機会均等関係に限られていた都道府県労働局長による紛争解決援助制度を、労働問題に関するあらゆる分野に広げ、紛争の簡易・迅速な解決を図る。
 (ウ) 紛争調停委員会(仮称)による調停
 紛争のより総合的な解決を図るため、都道府県ごとに設置されている機会均等調停委員会を紛争調停委員会(仮称)に改組し、調停の対象範囲を拡大するとともに、機能の強化を図る。
 しかし、このような取組については、経営者団体から以下のような懸念も表明されており、その中には、耳を傾けるべき指摘もないではない。つまり「地方労働局は、傘下に労働基準監督署という司法警察権に裏付けられた強力な監督権限を持つ組織を有する。このような地方労働局が、同時に、労働者個人と使用者との紛争に関する調停委員会を設置すること自体、公平な第三者機関と言えないことは明らかである。また、このような調停委員会が出す調停案に対しては、使用者としては、その監督権限の影響力を考えれば事実上従わざるを得ない結果となりかねず、不利益を被る恐れがある。すなわち、現在制度化されている地方労働局長による紛争解決援助制度は、専門家の意見を聴いて指導・助言を行うに留まっているが、日経連としては、これが、地方労働局が個別労働紛争に関与できる限界であると考える。さらに、独立行政委員会ではない、純粋な行政機関である労働局が、新たに司法機関的な役割を持つことは極めて問題があると言わざるを得ない」とする、平成12年9月に公表された日経連司法制度改革検討小委員会の見解「司法制度改革に対する意見(最終報告)」がそれである。
 当委員会としては、このような懸念が杞憂に終わることを祈るものであるが、労働省も、こうした声が現にあることを謙虚に受け止め、懸念が現実となることのないよう、問題解決に当たることを期待したい。
 他方、集団的労使紛争の処理に当たる機関としては労働委員会があるが、当委員会は、本年の論点公開において、以下のような問題点を指摘した。

  1. 労働委員会は、不当労働行為の審査あるいは労働争議の調整(争議調整)という形で、労使間の紛争処理に従事している。しかし、現行の不当労働行為制度の下では、使用者は「被告」席にしか立つことができない(使用者のみが救済命令の名宛人として一定の行為を命じられるのであり、労働組合は自ら使用者となる場合を除き、救済命令の名宛人となることはない。)等、現行不当労働行為制度には少なからず問題がある。
  2. また、いわゆる駆け込み訴え等を通して、個別労使紛争が労働委員会に持ち込まれることもあり、現在、労働委員会はこれを団交拒否の不当労働行為事件あるいは団交促進を目的とした争議調整(あっせん)事件として扱っているが、このような状況は、集団紛争(労働組合との団体交渉に関わる紛争)の名の下に、個別紛争(代理人との個別交渉にかかわる紛争)の処理を行っているともいえる。
  3. なお、労働関係調整法(昭和21年法律第25号)第6条は、同法にいう労働争議を「労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生してゐる状態又は発生する虞がある状態をいふ」と定義した上で、このような労働争議が発生した場合にあっせん等を行う旨を定めているが、現実に労働委員会が行っているあっせんの中には、争議行為が発生するおそれがあるとはいえないケースも見られる。こうした現状に照らしても、労働委員会における労使紛争処理の在り方について再検討する必要があるのではないか。

 冒頭に述べたように、労使関係法の領域は、この半世紀余りの間、大幅な内容の変更を伴う改正が行われていないが、引き続き全般的な検討を進める必要がある。以上に挙げた問題点を含め、今後その解決がどのように図られるのか。当委員会としては、これを注視していくこととしたい。