別紙1
内閣制度の変遷

(1) 太政官制度《明治元年〜18年:1868〜85年》
(1)明治政府の中央政治機構は三職の制に始まり(明治元年),太政官職制の制定(明治4年)及びその後の変遷を経て,中央集権体制が整備されていった。
(2)太政大臣がすべての行政に対し完全な指揮監督権を有していた。
(3)国務国策の審議立案者である「参議」の議論の場として,「内閣」が設けられた。
(4)太政官の補助部局として,内閣書記官長等が設置された(明治12年)。

(太政官職制)

                                                                              
【太政官の機構(明治4年太政官職制制定,同6年改正)】
┌正院(行政機関)┬太政大臣(天皇の最高輔弼責任者────各省卿(7〜10省)
│                ├左大臣,右大臣(太政大臣不在時の代理)
│                └参議(行政に参画し大臣を補佐 → 各省卿とは明確に区別されていたが,
│                                                    一時期を除いて実際上は兼務)
├左院(立法機関)
└右院(各省卿及び次官で構成)

・「正院ハ天皇陛下臨御シテ万機ヲ総判シ太政大臣左右大臣之ヲ輔弼シ参議之ヲ議判シテ庶政ヲ奨督スル所ナリ」
・「内閣ハ天皇陛下参議ニ特任シテ諸立法ノ事及行政事務ノ当否ヲ議判セシメ凡百施政ノ機軸タル所タリ」(以上,明治6年正院事務章程)

【太政大臣,参議の権限等】
○ 太政大臣は,天皇の輔弼機関であり,すべての行政に対し完全な指揮監督権をもっていた。
  ・「天皇陛下ヲ輔弼シ万機ヲ統理スル事ヲ掌ル」(太政官職制)
○ 参議は,国務国策の審議立案者であり,一時期を除いて各省卿を兼務していた。
 ・「内閣ノ議官ニシテ諸機務議判ノ事ヲ掌ル」(太政官職制)
○ 各省卿は,実質的な国務遂行機関であり,また,行政事務の遂行に当たっては太政大臣の指令を受ける必要があった。

【太政官の補助部局】
┌○ 内閣書記官長,内閣大書記官,内閣少書記官等の設置(明治12年)
│○ 参事院の設置(明治14年)
│  ・ すべての法案の起草・審査を担当する内閣の企画機関で,各省の政策統合,
│  元老院に対する統制連絡等の権限を有していた。
│○ その他,補助部局として,賞勲局(明治9年),会計検査院(明治13年),統計
└ 院(明治14年),恩給局(明治17年)等の組織が設置された。
 

(2) 明治憲法前の内閣制度《明治18年〜22年:1885〜89年》
(1)明治18年12月22日,内閣制度が導入された(太政官達第69号)。
(2)内閣は、内閣総理大臣と各省大臣(外務、内務、大蔵、陸軍、海軍、司法、文部、農商務、逓信)で組織された。
  なお、宮内大臣が内閣の外に置かれ、宮中事務を担当した。
(3)内閣総理大臣は、各大臣の首班として行政各部を統督するなど、各省大臣に対し強い統制権を有していた。
(4)内閣の官房事務を所掌する内閣書記官室が設置され、また、法律、命令の起草・審査等を所掌する法制局が設置された(明治18年)。

(内閣職権)

【内閣の権限等】
○ わが国ではじめて合議体としての内閣制度が確立した。
  ・ 内閣は、天皇を輔弼する各省大臣の意思統一を図る会議の場として設置された。
  ・ 枢密院が天皇の最高顧問機関として設置され、国政の重要事項、主要勅令は、枢密院の審議が必要とされた(明治21年枢密院官制)。
  ・ 陸海軍の参謀本部は天皇に直属することとされ、内閣の輔弼の範囲外とされた。
○ 内閣運営の基準となる「内閣職権」には、内閣の権能に関する規定はなかった。

【内閣総理大臣の権限等】
○ 「内閣職権」は、内閣総理大臣の職責を明確にしたもので、各省大臣に対する統制権はかなり強いものであった。
  ・「内閣総理大臣ハ各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承テ大政ノ方向ヲ指示シ行政各部ヲ統督ス」
  ・「内閣総理大臣ハ行政各部ノ成績ヲ考ヘ其説明ヲ求メ及ヒ之ヲ検明スルコトヲ得」
  ・「内閣総理大臣ハ須要ト認ムルトキハ行政各部ノ処分又ハ命令ヲ停止セシメ親裁ヲ待ツコトヲ得」
○ また、各省大臣は、その省務に関して単独補弼責任を有していたが、一方「其主任ノ事務ニ付時々状況ヲ内閣総理大臣ニ報告スヘシ」と、報告義務が課されていた。

【内閣の補助部局】
┌○内閣書記官室の設置(明治18年)
│○法制局の設置(明治18年)
│  ・内閣総理大臣の管轄下で、法令の起草、審査、裁判所の官制、行政裁判等を担当
│  した。
└○内閣に、会計局、鉄道局等6局が設置され、鉄道のような現業事務も一部担当した。                       

(3) 明治憲法下の内閣制度《明治22年〜:1889年〜》
(1)天皇を輔弼するための国務各大臣の協議の場として、また、国務大臣が諸施策を決定し行政上の方針を統一するための場として、内閣が設置された(明治 22年)。
(2)内閣は、国務各大臣(内閣総理大臣、各省大臣、班列大臣)で組織された。国務大臣の概念が導入されたが、憲法上、内閣総理大臣に関する規定はなかった。また、無任所大臣の制度が定められた。
(3)内閣総理大臣の各省大臣に対する統制権は弱められ、内閣総理大臣は、同等の地位で天皇を輔弼する各大臣中の首席(primus inter pares)にすぎなくな った。
(4)内閣の補助部局として内閣官房が設置された(大正13年)。

(内閣官制)

【内閣の権限等】
○ 明治憲法には、内閣それ自体の規定はなく、「内閣官制」(明治22年勅令 135号)によって定められていた。
  ・「内閣ハ国務各大臣ヲ以テ組織ス」
○ 閣議に付議すべき事項(法律案、予算決算案、条約、勅令、各省間の権限争議、各省事務のうち重要事項等)がはじめて規定され、内閣の権能がかなり明確となった。

【内閣総理大臣の権限等】
○ 明治憲法には、内閣総理大臣に関する規定はなく、内閣官制によってその職責が明確にされたが、各省大臣に対する統制権限は「内閣職権」よりも弱められた。
  ・「内閣総理大臣ハ各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承ケテ行政各部ノ統一ヲ保持ス」
  ・「内閣総理大臣ハ須要ト認ムルトキハ行政各部ノ処分又ハ命令ヲ中止セシメ勅裁ヲ待ツコトヲ得」
  ・「行政各部ノ成績ヲ考ヘ其説明ヲ求メ及ヒ之ヲ検明スル」権限、「其ノ主任ノ事務ニ付時々状況ヲ報告」せしめる権限が削除された。
 ・ なお、その他、事実上の権限として、他の国務大臣の任命について、天皇に推薦する権限、閣議の招集、主宰、閣議付議事項の選定権を有していた。
○ 国務各大臣は、すべての行政権にわたる天皇の国務上の行為について、個別に同等の地位で輔弼し、また、案件の如何を問わず閣議を求める権限を有していた。ただし、いわゆる統帥権については、国務大臣の輔弼の範囲外とされた。

【内閣の補助部局】
┌○内閣官房の設置(大正13年内閣所属部局及職員官制)
│○内閣恩給局、内閣統計局、内閣印刷局の設置
│○ この他、昭和10年代に入り、内閣の企画・立案能力向上のため、企画院、情報
└ 局などの組織が置かれた。
 

(4) 現行内閣制度
(1)行政権は内閣に属することとされた。
(2)内閣は、その首長たる内閣総理大臣及び20人以内の国務大臣で組織され、内閣がその職権を行うのは閣議によるものとされた。
(3)憲法上、内閣総理大臣の地位と権限が、他の国務大臣とは異なるものとして明確に規定された。
 また、内閣総理大臣は内閣の首長とされ、内閣の統一性と一体性の確保のため、行政各部への指揮監督権を持つこととなった。
(4)内閣の補助部局として内閣官房に6室が置かれ、その職員の多くは総理府と兼務関係にある。

(内閣法)

【内閣の権限等】
○ 内閣は、議院内閣制という基本的枠組みの中で、行政権の主体として明確に位置づけられ、現在の内閣制度が確立した。
○ 内閣の事務が憲法上明定されることとなった(憲法73条等)。
○ 国の一切の行政事務の遂行は内閣の責任に属するが、その具体的行政事務は内閣自らが行うというのではなく、内閣の統轄の下に設置された総理府及び12の省が分担管理するものとされている(主任の大臣)。
○ 内閣がその職権を行うのは閣議によるものとされた。

【内閣総理大臣の権限等】
 内閣の長としての内閣総理大臣の権限
○ 内閣の首長たる地位が与えられ、内閣を代表するとともに、内閣の統一性と一体性の確保のために、その閣内における地位も高められ、権限も強化された。
  ・ 国務大臣の任免権(憲法68条)
  ・ 内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する権限(憲法72条、内閣法5条)
  ・ 閣議にかけて決定した方針に基づいて、行政各部を指揮監督する権限(憲法72条、内閣法6条)
  ・ 閣議を主宰する権限(内閣法4条)
  ・ 主任の大臣間の権限についての疑義を閣議にかけて裁定する権限(内閣法7条)
  ・ 行政各部の処分又は命令を中止させる権限(内閣法8条)
○ ロッキ−ド事件最高裁判決(平成7年2月22日)では、内閣総理大臣の地位及び権限に照らし、指揮監督とは別に、内閣の明示の意志に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するとされている。

 総理府の長としての内閣総理大臣
○ 内閣総理大臣は、行政事務を分担管理する大臣として、総理府の主任の大臣とされている。
○ このうち、
 @ 国務大臣をもってその長にあてることとされている総理府の外局については、それぞれの大臣が、
 A それ以外の内閣官房、総理府本府等については内閣官房長官が、
それぞれの事務を実質上管理している。


別紙2
主要論点項目(案)

T 行政改革の理念
1.21世紀の日本の社会の目指すべき姿にてらして、行政改革についてどのような理念を持つべきか。
2.行政改革と他の5つの改革との関係をどう考えるか。

U 国家機能の在り方
1.国の行政が本来果たすべき役割にてらして、見直しの基本的視点及び重点課題は何か。

V 組織改革のポイント
1.国の行政組織の改革にあたって、基本的な視点は何か。
2.中央省庁の在り方(企画・調整・実施機能)及びその再編成の基準についてどう考えるか。
3.内閣機能の在り方についてどう考えるか。
4.関連する行政諸制度の改革の方向についてどう考えるか。


主要論点項目の説明(案)

 以下は、事務局において、これまでの各界からの提言・意見をもとに、関連した問題意識としてあげられているものを整理したものであり、各委員の自由な取捨選択を前提とし、意見の開陳の参考に資するものである。

T 行政改革の理念
1.21世紀の日本の社会の目指すべき姿にてらして、行政改革についてどのような理念を持つべきか。
(1)時代認識として、どう考えるか。
@ 内外の環境変化のポイントをどうとらえるか。
(以下は、例示である。)

<国際環境>
・冷戦構造の崩壊と安全保障問題の複雑化
・グローバリゼーションの進展による大競争時代、国際的相互依存の深化
・アジア地域の台頭
・環境・エネルギー・食糧・人口・人権問題といった地球的規模の課題への関心の高まり
・日本に対する国際社会への積極的、主体的寄与への期待の高まり

<国内環境>
・経済の成熟化(フロントランナー化)、価値観の多様化
・高齢化・少子化による社会・経済の活力低下の懸念
・公的債務の増大及び社会保障負担による将来の経済的破綻の懸念
・個性的、創造的人材の育成・活用環境の整備の遅れ
・地域社会などにおける社会の自律的機能への期待の高まり
・先端的科学技術分野の研究・開発、高度情報化社会への対応の遅れの懸念

A 日本型(的)社会経済システムの制度疲労、問題解決能力の不十分さが指摘されるが、国家・社会全体にわたる大きな変革のときと位置付ける考え方について、どう評価するか。変革の核心とも言うべきものは何か。

(2)21世紀の日本の社会の目指すべき姿は、どのように考えるべきか。
@ いかなる国の姿(国の形、国柄)を求めるか。内外に対して、訴えていくポイントは何か。
A 方向性について、以下のような点をどのように考えるか。
a 自由、創造性、活力という点ではどうか。
その場合、以下の点についてどのように考えるか。
・自己責任原則を前提とした個の自立、選択と競争という考え方と、社会における平等、公平の重要性という考え方
・市場主義・規制緩和の積極的な推進という考え方と、市場の秩序への対処、環境、安全、社会的弱者等への配慮の重視という考え方
b 公正、透明という点ではどうか。
その場合、以下の点についてどのように考えるか。
・事後監視・救済型社会の構築について、紛争の増大やその解決のコスト増や司法・監督・検査・事後救済機関の拡大など社会的負担が増大するとの指摘
・国際的なルール(米英型など)の導入について、各国の社会経済的条件の相違を尊重した異なったルールの併存を認めるべきとの指摘
c 以上の点と関連するが、男女共同参画、機会の均等、社会の開放性といった点についてどのように考えるか。
d 安全、安心、信頼性という点ではどうか。
その場合、少子・高齢化への対応、災害・犯罪等への対応、国際的危機への対応、社会における正義感・倫理感などについて、どのように評価し、方向づけるか。
e 国際社会への積極的寄与、地球規模の共生という点ではどうか。
その場合、以下の点についてどのように考えるか。
・これまでの日本の国際貢献の在り方をどう評価するか。主体性をより発揮すべきとの考え方について、どのような分野において、どのようなかかわり方において取り組むべきか。
・国際的平和確保、国際的危機回避などの問題のほか、経済開発や人権、人口、環境、エネルギー問題等の解決などの課題が指摘されるが、日本の果たすべき役割をどう考えるか。
B 上記のような方向性についての検討を踏まえ、21世紀に向け国家として取り組むべき重要課題について、どのようなものを核心的なものとしてとらえるか。

(3)今回の行政改革の理念は$ どのように考えるべきか。
基本的に、21世紀に向けて国家が取り組むべき課題を踏まえ、行政の果たすべき役割(責任)を見極めるとともに、行政として追求すべき目的にふさわしく、制度、組織、運営を新たに構築していくことが必要となろうが、例えば、以下のような点についてどのように考えるか。
※ 第2次臨調は、行政改革の観点として、変化への対応、総合性の確保、簡素化・効率化、信頼性の確保の4点を挙げた。
@ 社会、国民の主体性、創造性の発揮
○ 自由で活力のある社会を建設していくためには、政治、司法、行政、市場その他の社会の各部門がそれぞれ相応しい役割を分担すべきであり、特に、行政にあっては、公共的課題の提示・設定、公共政策の形成及びルールの設定とその監視などの役割に徹するべきとする考え方 など
A 総合的かつ柔軟な対応と問題解決能力の向上
a 従来の縦割りの壁を超えて、課題に対して、人的、物的資源を集中させ、総合的かつ柔軟な対応ができるようにする必要があるのではないか。
同時に、課題の複雑化、専門的高度化に対応して、リスク対応力や問題処理能力を高めていく必要があるのではないかとする考え方
b 地域の行政に大幅な主体性を持たせることが必要ではないかとする考え方 など
B 簡素化・効率化
a 簡素で効率的な行政の実現のためには、行政の組織運営等の面において、簡素化・効率化の追求を可能とする仕組みの工夫が必要ではないかとする考え方
b 従来の縦割り行政の弊害としての行政事務・サービスの重複性の排除は、簡素化・効率化の観点からも重要ではないかとする考え方 など
C 国民の信頼の確保
○ 公務員倫理の問題、適正手続の確保はもとより、行政執行面の透明性・客観性の確保、政策面を含めた説明責任の徹底、評価と監視の充実など行政のスタイルを大きく転換させていくことが必要ではないかとする考え方 など
D 国際的な協調と貢献
○ 国際的な政策協調の枠組みは、先進国間、地域間でますます強化されつつあり、その形成・充実に積極的に寄与していく必要がある。また、これに効率的、効果的に対応し得る行政の組織と仕組み作りが重要となる。国際的なスキームやスタンダード作りにおける我が国の貢献力を高めることが必要ではないかとする考え方 など

2.行政改革と他の5つの改革との関係をどう考えるか。
(1)行政改革を含む6つの改革は、単なる個々の制度の改革ではなく、21世紀の新しい日本社会を創造するための、戦後の日本の社会・経済システムと財政構造など行財政全体にわたる国民的な改革努力の核として位置づけるべきではないかとする考え方 など

(2)また、これら6つの改革は、相互に密接に関連しており、手段と目的、優先劣後といった関係ではなく、総合的、一体的に推進すべきものであると考えるべきではないかとする考え方 など


U 国家機能の在り方
1.国の行政が本来果たすべき役割にてらして、見直しの基本的視点及び重点課題は何か。
(1)内外の経済社会情勢の変化と今後の重要課題にてらし、国の行政が本来果たすべき役割についてどう考えるか。
・「民間でできるものは民間に委ねる」という考え方に基づき、行政の活動を必要最小限にとどめるとともに、行政活動を遂行するにあたっては、可能な限り市場原理を活用するべきではないかとする考え方
・国家の存立に直接かかわる政策、民間や地方の活動に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定、全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業などに純化すべきではないかとする考え方
・今後の重要課題にてらし、合理的な解決策の提示や適切な制度の企画・設定など、課題解決に向けての役割への期待が高まるのではないかとする考え方 など

(2)国の行政が本来果たすべき役割にてらすとき、官と民の役割分担、国と地方の役割分担の観点から国の行政の責任領域を徹底的に見直すとともに、事務・事業のスリム化の観点からも厳しい見直しを進めるべきではないか。
その場合において、国の行政の各分野における見直しの重点課題は何か。
例えば、各界から以下のような方向の指摘がある。

@ 官民の役割分担
(例)・現業・直営事業 ⇒ 民営化、競争・効率化原理の働く事業形態への転換、必要性の減少・目的達成事業の廃止・縮小
・社会保障 ⇒ 公的給付のナショナルミニマム化、民間能力の活用、利用者の選択の拡大
・公共投資 ⇒ 景気対策としての過度の依存の是正、民間能力の活用、民間参入機会の大幅拡充、私的な財に関連する分野の縮小
・教育 ⇒ 教育機関の自主性の強化、選択の拡大
・科学技術 ⇒ 国が実施又は支援する研究分野の重点化
・政府開発援助 ⇒ NGO等の民間の人材等の活用
・産業 ⇒ 個別産業への助成の縮減、国による事前調整・関与の縮小
・金融 ⇒ 自己責任原則の徹底、ルールの明確化・透明化、公的金融の見直し
・農林水産業 ⇒ 国の役割の限定、市場原理の活用、産業としての農業の確立
・運輸、情報通信、雇用等 ⇒ 国の役割の限定、規制緩和の推進 など

A 地方分権
(例)・社会福祉・医療 ⇒ 国、県、市町村の役割分担の見直しと相互の連携強化
・国土整備 ⇒ 住民に身近な行政分野について、地域の主体性強化、国の補助・関与の廃止、縮小
・教育 ⇒ 地方の主体性の尊重、地域の責任の強化
・産業・農林水産業 ⇒ 中小企業対策、地域振興に係る施策について、地域の役割の強化、国の関与の廃止、縮小
・運輸、情報通信、雇用等 ⇒ 地域の役割を強化し、国の関与を縮減 など

B 事務・事業のスリム化、効率化
(例)・社会保障 ⇒ 制度間重複の是正と連携強化、受益者負担の適正化
・公共投資 ⇒ 対象の重点化、重複投資の是正、コストの低減
・教育 ⇒ 公費負担の重点化、受益者負担の適正化
・科学技術 ⇒ 大型プロジェクトの見直し、業績評価の導入
・政府開発援助 ⇒ 戦略的判断に立った効率的・効果的な実施
・農林水産業 ⇒ 施策の集中化・重点化
・運輸、エネルギー ⇒ 効率的な政策体系、財源の効率的活用の実現、受益者負担の適正化 など

(3)内外の経済社会情勢の展開を踏まえ、新時代に対応できる行政としていくため、重点的に取り組むべき課題は何か。
(例)・国際的な安全保障(平和確保)、国際的な危機防止への取組み
・人口、食糧、エネルギー、環境等世界的な問題への貢献
・少子化、高齢化、男女共同参画及びノーマライゼーションの進展に対応した社会的取組み
・基礎的、先端的科学技術の研究開発の推進と学術的国際競争力の追求
・創造的な人材の育成等高等教育の整備、充実(質的向上)
・防災対策の充実、危機管理体制の強化
・独禁政策の強化・徹底、消費者保護のための制度の整備
・情報公開、政策形成プロセスにおける国民の意見の吸収などの制度の整備 など


V 組織改革のポイント
1.国の行政組織の改革にあたって、基本的な視点は何か。
行政改革の理念及び国の行政が本来果たすべき役割にてらし、国の行政組織の改革にあたって、どのような視点から見直し、方向づけを行うべきか。
各界からの指摘として、例えば、次のようなものがある。

(1)新たな官民の役割分担への対応
(例)・個別産業の保護・育成・指導行政からの撤退、規制・助成部門の大幅見直し、縮小
・現業、直営・直轄事業部門の民営化、公企業化、公設民営化
・施策・事業の集中化・重点化による公共投資、公共サービス、研究開発等の組織の見直し、効率化
・社会的サービスにおける民間能力の活用による組織の役割の限定、簡素化 など

(2)地方分権への対応
(例)・国としての存立、全国的な整合性・統一性確保等国が本来果たすべき事務・事業を除き、原則として地方に移管。これに対応した規制・助成・監督部門の大幅見直し、縮小。
・特定の地域のみを対象とした組織、各省庁の地方出先機関の廃止、縮小 など

(3)簡素化、効率化
(例)・国の行政組織を企画・立案・調整部門と実施(執行)部門に分離し、中央省庁は企画・立案・調整機能に純化(以下の各視点とも関連)
・執行部門については、民営化、競争原理の導入等により効率化、サービス向上
・省庁間の事務の重複排除、調整業務の効率化 など

(4)政治の主導性の発揮と責任の強化
(例)・官邸機能、各省庁のトップ体制、政策スタッフ制度等の在り方の見直し
・審議会の在り方の見直し など

(5)総合的かつ柔軟な政策の実施、問題解決能力の高度化
(例)・今後の重要課題への対応、目的・プロセス・対象等の同質性などの視点から、組織の統合・集約化
・組織・人材の専門性の高度化、集中化
・重要政策分野における調整体制の明確化、調整システムの整備 など

(6)国民の信頼の確保
(例)・行政情報の開示・公開の制度
・政策(施策)の評価・改善システムの確立、強化
・オンブズマン制度、行政救済制度等国民の権利擁護システムの整備、充実
・監察・監査、公務員の規律確保のためのシステムの整備、充実 など

(7)国際的な調和
(例)・国際的な政策協調、国際的な貢献の強化の観点から、主要課題への重点的・集中的取り組みを可能とする組織の統合、再編
・省庁編成の国際的視点からみた調和 など

2.中央省庁の在り方(企画・調整・実施機能)及びその再編成の基準についてどう考えるか。
(1)中央省庁の在り方として、企画、立案、調整機能と実施(執行)機能を分離し、中央省庁としては、本来、企画、立案、調整機能に重点を置くべきだとの意見についてどう考えるか。
@ 企画、立案、調整機能への重点化について
a 実施部門から離れて有効な政策の企画、立案を充分に行い得るか。
また、企画から実施までを通じた事項全体を現在の各省庁の長(大臣)が負うとしていることの建前との関係をどう考えるか。
b 政治の指導性と責任の強化が図られる組織体系とする必要はないか。
・各省庁のトップ層組織の構成はどうあるべきか。また、トップ層の任用方式についてどう考えるか。この場合、行政の政治的中立性の確保、継続性・専門性の確保等の要請と、どのように両立させるか。
・省庁内部の組織の決定権、編成の弾力性などについてどう考えるか。
・政策の企画、立案等に携わる高度な能力を有する人材をどのように確保、養成し得るのか。
c 政策形成プロセスの透明化をどのように実現すべきか。また、そのためには、審議会等の在り方は今後どうあるべきか。
A 実施(執行)機能の分離について
a いかなる機能(部門)を実施(執行)機能として位置づけるか。
(例)・現業
・現業的・定型的業務(基準適合性を重視して、反復的に行われる業務)
・施設管理・運営
・試験・研究、教育・研修
・その他
b 政策の企画、立案、調整の機能との関係(独立性)をどのようにすべきか。両者を通ずる行政責任の担保の要請をどのように両立させ得るか。
(例)・規制行政における規制の制度の企画、立案等と規制の実施との関係
・規制の実施における独立性、中立性、客観性等を確保するための組織の在り方 など
c 上記に関連して、行政委員会の制度及びその果たすべき機能をどのように評価するか。
d 英国のエージェンシー制度は参考になるか。どのような特徴を重視すべきか。
その場合にあって$我が国の特殊法人制度との関連をどう考えるか。
e 実施部門の民営化、公企業化等法人化の可能性とそのメルクマールについてどのように考えるか。
※ 実施(執行)機能は、現在の国の行政組織においては、各府省及び外局の内部部局、地方支分部局、施設等機関、特別の機関等において、幅広く担われている。

(2)新たな中央省庁の編成について、基本的な考え方としてどうあるべきか。
@ 中央省庁を大括りすべきとの意見について
○ 行政の簡素化が進む。省庁間調整が簡便化し、内閣として迅速、効率的な意思決定が可能となる。総合的な行政遂行が可能となる。経済社会の変化に対応し易くなる。等のメリットが挙げられている。
これに対し、大括りすると逆に省内調整が増え、透明性も欠く恐れがある。益々局あって省なしの状況が強くなる。大臣の負担が重くなる。担当大臣等の起用は意思調整、責任分担に懸念が残る。国際比較においてもバランスが取れなくなる。等の問題指摘がある。
A 再編の軸となる考え方について
a 専ら事務の類似・同質性を以って組織統合の基本とすべきか。
集約する場合の分野整理の基本的なコンセプトは何か。
b 規制と保護、開発と保全といった利益相反や、政策目標や専門分野の相違による公共的目的の対抗関係について、組織編成上配慮する必要はないか。
c 単に事務の類似・同質性だけでなく、集中、包括的に取り組むべき課題を基本として、組織の再編を考える必要はないか。
(例)・安全保障、危機管理、対外経済政策、環境・エネルギー・人口問題、高齢化・少子化、経済構造改革、科学技術、高度情報化、教育・人材育成、男女共同参画、都市問題など
d 今後、国際的な政策協調の緊密化が見込まれるところ、OECD諸国等における各行政組織との対応関係を念頭に置く必要はないか。
B 総務庁等の総合調整官庁の在り方について
a 総合調整官庁について、どう評価するか。今後の在り方としてどのように考えるか。
b 省庁間委員会、プロジェクトチーム、協議会等の活用方策はどうあるべきか。
c 内閣機能との関係はどうあるべきか。

3.内閣機能の在り方についてどう考えるか。
(1)内閣機能の強化についての考え方
○ 内閣機能の強化は、何を目的として、どのような点をポイントに考えるべきか。
(例)・国の重要施策、緊急課題への対応力の強化
・危機管理機能の強化
・総理のリーダーシップの強化 など

(2)内閣運営及び総理のリーダーシップの在り方
@ 内閣運営の在り方
政治の責任の強化、内閣運営の活性化のため、次のような制度を活用すべきとの意見が見られるが、どう考えるか。
・関係閣僚会議(インナー・キャビネット的活用)
・無任所大臣 など
A 内閣総理大臣のリーダーシップの在り方
○ 内閣総理大臣の権限及び運用を内閣の首長にふさわしいものとすべきとの立場から、次のような点についてどう考えるか。
・基本方針等発議権及び基本方針(閣議決定)に基づく行政各部への指揮監督・緊急時における行政各部の指揮監督 など
B 総理の補佐体制の在り方
○ 内閣総理大臣に直結する総理補佐体制の在り方(補佐官など)をどう考えるか。

(3)内閣官房の在り方
@ 内閣官房の在り方として、基本的に、可能な限り機能的・組織的にコンパクトなものであるべきとする考え方について、どう考えるか。
A 機能の在り方
○ 内閣官房の機能の現状をどう評価するか。強化すべき機能は何か。
−政策の企画・立案・総合調整、安全保障、危機管理、情報、広報 など
B 内閣官房の組織の在り方
○ 強化すべき機能にてらし、組織構成(組織編成、総理補佐体制との関係、審議機関等)をどう考えるか。特に、危機管理について、どのように考えるか。
○ 人事の在り方(任用方式、人事交流等)をどう考えるか。 など
C 総理府及び総合調整官庁との関係
○ 内閣官房と総理府本府及びその外局の総合調整官庁(総務庁等)との関係をどう考えるべきか。 ※ 現在の内閣官房には、総理府本府(特に官房三課四室)との兼務職員が多く、両者は表裏一体的関係となっている。

4.関連する行政諸制度の改革の方向についてどう考えるか。
行政組織改革に伴って、これに密接に関連する以下のような諸制度について改革の必要性はないか。また、改革する場合の基本的方向をどう考えるか。
(1)国家公務員制度
○ 倫理性の高い高度知識・専門家集団としての公務員の在り方、政治の指導性と責任の強化への対応、終身雇用制、年功序列制の見直しの要請などがあり、これらに対応して、国家公務員制度を見直す必要はないか。
(例)・任用・昇進 − 資格(博士号等)、採用方式や民間人登用 など
・処遇、退職制度 − 人材確保、天下りの弊害是正との関連 など
・人事交流や研修 − 省庁間、国・地方間、官民等の人材流動化 など
・中央人事行政機関の在り方
※ 現在、中央人事行政機関として、人事院及び総務庁(人事局)がある。

(2)財政投融資制度・特殊法人など
○ 国の行政の活動領域を見直す観点から、財政投融資やその対象機関である特殊法人の在り方を基本的にどう考えるか。
また、国の活動領域とされる事務・事業においても効率化を進めるために、民間的な経営手法の活用、競争原理の導入などの観点から、公企業化、独立法人化などを進めようとする考え方もある。この考え方についてどう評価するか。 など

(3)地方の行財政制度など
○ 国の行政組織や事務・事業を「国から地方へ」の視点から大幅に見直す場合に、関連して地方行財政制度や地方行政体制の在り方を見直す必要はないか。

(4)評価、監察等の制度など
@ 評価、監察等の制度
○ 国民の行政に対する信頼性を確保する観点から行政の公正化・透明化の必要性が強く指摘される中で、行政自らの評価・監察等の機能の在り方をどう考えるか。
・政策の企画や予算編成過程がともすれば偏重されがちで、事後評価やそれに基づく政策へのフィードバックが軽視されているのではないかとの考え方。
・国会によるチェック、会計検査との関係をどう考えるか。 など
A 国民の権利・利益の救済制度
○ 国民の権利・利益を保護し、また国民の意見を直接行政に反映する道を開く観点から、「オンブズマン制度」や、「行政審判制度」の創設が一部で提案されているが、これについてどう評価するか。 など

(5)その他

行政改革会議第7回議事概要