V 省庁の再編

1はじめに

行政改革会議においては、その議論の当初より、21世紀において国家行政が担うべき機能は何かを明らかにした上で、それに基づき省庁再編案を作成することが課題とされてきた。このように、あるべき国家機能についての議論を出発点とすることによって、今回の省庁再編がもつ意義、とりわけ具体的には、国家行政の減量と、いわゆる縦割り行政の弊害の排除(いわゆる省庁の「大括り」)ということの意義が、明らかにされてきたのである。

この国家機能論については、7月における審議を通じて、橋本総理による国家機能の四分類を出発点とし、さらにそれを詳細化した国家行政機能・目的の再分類を行い、これをもとに、中央省庁を行政機能・目的別に編成することが合意され、これらの諸機能の間の共通性及び相反性等を考慮して、省庁再編案の基盤となる機能別グループを抽出する作業が行われた。この結果に加え、さらに組織論上考慮すべき問題点を洗い出し、これらの総合の上に具体的な省庁再編のあり方を探ることが試みられたのが、8月18日から21日にかけての集中審議である。

なお、具体的な省庁再編を行うに当たっては、国家行政の減量が是非とも必要となるが、この点については、既に、集中審議に入る前の段階において、まず、国家行政が担当する分野の拡がりの問題(水平的減量)に関し、行政改革委員会及び地方分権推進委員会の審議結果を前提とすること、また、当該分野において国家行政が行うべき事務の範囲の問題(垂直的減量)に関し、企画・立案業務と実施業務との区別という一般的な基準を立て、後者を原則的にアウトソーシングすることによって、これを実現するということにつき、大方の了解が成立していた。

これらの経過を踏まえ、集中審議を経て、8月21日までに行政改革会議が到達した結論は、以下に見るとおりである。

なお、2.以下の結論には、会議の席において、委員間で合意が得られた事項のみが含まれており、議論の対象とはされたが明確な合意を得るまでには到らなかった事項については、一切触れられていない。触れられている「意見」も、そのような意見があることを中間報告において書くことにつき、合意が得られたもののみに限定されている。その意味において、省庁再編についての今回の中間報告は、縦割り行政の弊害を除去し、21世紀のわが国の国家行政が担うべき機能を明らかにしたうえで、それに基づいて省庁を大括りした骨格を示すにとどまっている。今後、簡素・効率化に向け、官においてどうしても行わなければならない業務は何かという観点から、また、政策の企画立案部門と執行部門を極力分離するという原則に立って、それぞれの省庁の所掌事務、また共通性のある行政事務の省間の区分け等、多くの課題を詰めていかなければならない。

また、各機関の名称も、現段階ではすべて仮称であって、最終報告において、正式名称を決定すべく、引き続き審議を進めていく必要がある。

2省庁再編案


 (1)省庁編成案



   ○ 内閣に置く機関



   @内閣官房

       ・組織

         官房長官

       ・所管業務

         総合戦略



   A内閣府

       ・組織

         官房長官、横断調整担当大臣

       ・所管業務

         総合調整、栄典、公式制度 ほか

      外局

       ・組織

         宮内庁

        (防衛庁(大臣庁))

         国家公安委員会(大臣委員会)(警察、海上保安、麻薬取締)

         金融監督庁



  ○ 内閣の統轄の下に置く行政機関



   @総務省

       ・所管業務

         人事・組織管理、行政監察

         地方自治・分権推進

         ほか

      外局

       ・組織

         郵政事業庁

         通信放送委員会

         公正取引委員会

         公害等調整委員会



   A(防衛省)



   B法務省

       ・所管業務

         法秩序維持、出入国管理、人権擁護、ほか



   C外務省

       ・所管業務

         外交、安全保障、開発援助、国際交流 ほか



   D大蔵省

       ・所管業務

         税財政、通貨、為替管理、市場信用秩序 ほか



   E産業省

       ・所管業務

         産業、通商、エネルギー ほか



   F国土開発省

       ・所管業務

         道路、都市、住宅、交通 ほか



   G国土保全省

       ・所管業務

         治山、治水、水利、森林、食料 ほか



   H環境安全省

       ・所管業務

         環境、廃棄物、森林(原生林等) ほか



   I雇用福祉省

       ・所管業務

         雇用、労働安全、医療、年金、福祉 ほか



   J文部・科学技術省

       ・所管業務

         教育・学術・文化、科学技術 ほか

以上について図示すれば、別図のとおりである。

○ 横断的調整システム
 なお、これら省庁間に、別紙1に示されたような仕組みをもつ、横断的調整システム(内閣官房による総合調整、担当大臣による総合調整、省間での調整、の三種)を構築することが、了承された。

(2)説明

○ 総務省

・内閣府に広義の調整事務のすべてを担わせ、また、実施事務を担当する外局の多くを付置することは、内閣府の組織を膨大なものとし、かえってその総合調整機能に支障を来すおそれがあることから、人事・組織管理等の行政管理事務、行政監察事務等については、別に主任の大臣を長としてもつ総務省を設け、これに担わせることとする。なお、人事機能等の所属については、総務省のほか、内閣官房及び内閣府との関係において、引き続き検討する。

・また、地方自治制度に関する国の企画立案機能、地方分権の推進等の機能を重視し、総務省の内部部局として、地方行政・選挙、地方税財政事務を担当する部局を設けることとした。
 なお、地方自治の重要性を強調する見地から、単なる総務省でなく、自治・総務省とすべきであるとの意見、また、地方自治体の意見を考慮すべきであるとの意見もある。

・外局として置かれる諸機関のうち、郵政事業庁は、郵便事業等を担当するもの、また、通信放送委員会は、電波監理等を含む通信・放送行政を担当するものである。ただし、情報通信産業の振興に係る事務は、同委員会ではなく、産業省の所管となる。

・公正取引委員会、公害等調整委員会については、従来も総理府の外局とされてきたものであるが、これらの機関が有する審判機能や、特許審判、海難審判等の機能につき、これを担当する組織のあり方・位置付け(例えば、「行政審判庁」の設置)について、司法改革の端緒としての意義も含め、準司法的手続きの充実・整備を進めるべく、今後真剣に検討することとする。

(○ 防衛省)

・先に、内閣府の外局としての防衛庁構想に関して述べたとおり、防衛機能については、防衛庁とすべきであるとの考え方と、独立の省としての防衛省に担わせるべきであるとする考え方との両論がある。

○ 外務省

○ 法務省

・先に総務省の外局たる「公正取引委員会」「公害等調整委員会」に関して触れた「行政審判庁」の構想が確立した場合には、その組織上の位置付けとして、法務省の外局となるケースも考えられる。

〇 大蔵省

・大蔵省が今後担うべき機能については、以下のような結論が出された。
@財政、通貨管理、為替管理は大蔵省の所管とする。大蔵省の金融に関する企画立案は、預金者保護という観点も踏まえ、市場信用秩序の維持に関する企画立案に限定する。
A市場信用秩序の維持は、基本的に市場の自主性・自律性に委ねられるべきものであり、行政の関与は、必要最小限のものに限る。
B各省共管とされている金融検査・監督業務については、金融監督庁に一元化する。
C金融監督庁の省令については、大蔵省等との共同省令を廃止し、単独省令化する。
D金融監督庁は、内閣府の外局とする。

・なお、国税庁については、徴税における中立性・公正性の確保の必要性に鑑み、また、税制の簡素化、地方税徴収機構との一元化に向けて、これを大蔵省から切り離した組織(行政委員会とすることを含む。)とすべきである(例えば、総務省の外局とする。)との考え方もあるが、他方、地方自治との関係等を問題とする見解もあるので、この点については、今後、真剣に検討することとする。

〇 産業省

・産業、通商、エネルギー(原子力を含む。)等を担う省を設置する必要があることについては合意が成立しているが、マクロ経済に関する機能がすべて内閣府の経済財政諮問会議等に吸収されるか否か(それに伴い、名称を産業省とするか経済産業省とするか。)については、なお、最終的な結論が出ていない。

・なお、今後の産業行政の転換(市場原理の徹底、個別介入の排除、保護助成行政からの撤退)の必要については、基本的な合意があり、産業省設置の前提とされている。

〇 国土開発省
〇 国土保全省

・単なる「社会資本整備」ないし「公共施設の建設」ではなく、より総合的な見地からの「国土整備」を担う組織として想定されてきた「国土整備省」構想につき、これを「国土開発省」と「国土保全省」とに分けることとなった。これは、「開発」と「保全」の機能の相反関係に重点を置いたものであり、開発は道路、都市、住宅等、保全は治山、治水、水利行政等とするが、両者は一面では密接な関係をもつものでもあり、その間の区分については今後精査が必要であるとの認識が確立している。また、両者間での総合的な計画調整については、横断的調整の方法を検討することとなっている。

・なお、その組織的位置付けにつき、委員間に様々の見解の分かれがあった「交通」及び「食料の安定的供給」については、前者と「国土開発」、後者と「国土保全」の共通性に着目し、それぞれ、「国土開発」及び「国土保全」と一体化することとなった。

・また、いずれにしても、この両省については、関係行政につき地方分権・アウトソーシングを徹底することが、併せて必要であるとされている。

○ 環境安全省

・単に公害対策行政にとどまらず、廃棄物対策、その他、従来各省に分散していた環境関係行政を一元的に統合して担う組織として、独立の環境安全省を設置することについて、委員間に合意が成立した。ただ、他省の関連行政のうち、何をこの省の機能に統合するかについては、さらに検討が必要となる。例えば、薬事、公衆・食品衛生、水道に関する行政は、ここに含まれないことが確認されている。また、原子力に係る環境・安全に関しては、二次的チェック機能の所管について、なお慎重に検討することとなっている。
なお、森林行政については、原生林等に係る行政をこの省に統合する。

・独立の環境安全省を設立した場合にも、さらに、他省との調整のため、横断的調整システムを設ける必要があるとの考え方がある。

○ 雇用福祉省

・労働行政と福祉行政等を総合的に担当する省として、雇用福祉省を設立することとしたが、これに対しては、労働行政は独立すべきではないかとの意見もあり、また、いずれにせよ、雇用・労働政策が埋没しないような配慮が必要であるとの意見がある。

○ 文部・科学技術省

・教育・学術・文化に関する行政と科学技術行政とを統合して、一省を設けることとする。これは、学術と切り離された科学技術の発展はあり得ないとの考えに基づくものであるが、同時に次の事項について、了解がなされている。
@行政目的に直接関係する研究開発は、基本的に各省庁が行うが、核融合、宇宙開発等の推進の担い手は誰であるかについての整理が必要である。また、国立研究所等のあり方につき、整理統合等を含め、検討が必要である。
A文教行政のあり方についての見直しが必要である。
B内閣府に、人文・社会・自然科学を総合した総合科学技術会議(仮称)を設置し、強力な調整を行う。

3 垂直的減量(アウトソーシング)のあり方について

(1)受け皿組織のあり方

○ 独立行政法人

・アウトソーシングの受け皿として、別紙2に示された内容の制度設計の下、独立行政法人の制度を導入することが了承された。
制度設計の概要は、次のとおりである。
@企画・立案事務と実施事務とを区別し、後者のうち一定のものについて、効率性の向上、サービスの質の向上、透明性の確保を図るため、国家行政組織外に、独立の法人格を有する「独立行政法人(仮称)」を設立する。
A当該法人については、業務運営についての目標とルールを明確に定めて、業務の結果について評価し改善する仕組みを導入する一方、自律性や自発性(インセンティブ制度の導入)を付与する。財務運営については、企業会計を導入するとともに、業務内容・業績等については、ディスクロージャーを徹底する。また、事業継続の必要性、民営化の可否等について、定期的な見直しを実施する。
B評価基準等のあり方については、さらに検討をする。
C職員の身分を公務員とするか非公務員とするかについては、両論あり、現段階では未決定とする。

○ 外局

・外局は、国家行政組織の一部を成すものであって、この点で独立行政法人とは明確に区別されるが、以下の点につき了解が成立した。
@業務の性質に基づき、「庁」「委員会」等の名称のあり方も含め、外局の類型を整理することとし、実施業務を行うものについては、国家行政組織として可能な限り、自律性・効率性等の向上のための条件整備を行う。
A独立行政法人化の検討対象となる業務のうち、外局となることを選択したものについては、予算、人員等についての合理化目標設定とその達成義務付けや、3〜5年程度での組織・業務のあり方の見直しの義務付けなど、独立行政法人化への円滑な移行のための条件整備を図る。

(2) アウトソーシングの方針

○ 現業

@郵政三事業

・郵政三事業については、すべて民営化すべきであるとの意見もあったが、論議の結果、実現可能性及び民営化へのプロセスのあり方にも配慮する必要があり、また郵便局のネットワークの活用を図ることも必要である等の観点から、当面、次のようにすることが合意された。
ア)簡易保険事業は民営化する。
イ)郵便貯金事業については、早期に民営化するための条件整備を行うとともに、国営事業である間については、金利の引き下げ、報奨金制度の廃止等を行う。
ウ)資金運用部への預託は廃止する。
エ)郵便事業は、郵便局を国民の利便向上のためのワンストップ行政サービスの拠点とするなどの変更を前提として、国営事業とする。
オ)国営事業であるものについては、国庫納付金を納付させる。
カ)国営事業として残るものについては、総務省の外局(郵政事業庁)として位置付ける。

A国有林野事業

・国有林野事業の基本的あり方については、以下のとおり、了承された。
ア)今後の森林行政全体及び国有林への関与は、林産物供給よりも、公益的機能の発揮に重点を移すべきである。
イ)国有林管理に関する実施部門については、現在の独立採算性を前提とした現業としての形態は廃止すべきである。
ウ)国の森林管理実施部門について、国の業務として残るものがある場合には、外局、独立行政法人等とし、可能な限り効率的で主体性のある業務実施を行い得るようなものとすべきである。

B印刷・造幣事業

・印刷・造幣事業については、民営化すべきであるとの意見と、外局とすべきであるとの意見の両論があり、とりわけ、民営化した場合の守秘義務の確保可能性を巡って議論が行われてきたが、現段階では未だ結論が出ていない。

○ 地方支分部局

・地方支分部局については、以下のとおり了承された。
ア)地方支分部局については、国と地方との役割分担の見直しを踏まえた上で、中央省庁の再編とあわせ実施部門の組織の効率化の一環として、必要最小限のものとする。
イ)この場合にあって、なお存続するものについては、できるだけ総合化するとともに、府県単位以下のものは、可能な限り整理する。
ウ) 地方支分部局の事務権限については、可能な限り現地完結性(中央との二重性の排除)を実現するほか、関連事務に関する関係諸手続の窓口についても、可能な限り一元化を図る。

省庁再編イメージ図


(別紙1)

省間の調整システムの在り方について

1.内閣官房による総合調整
○基本的に国政上の重要事項について、分野、レベルを問わず内閣としての最高かつ最終の企画調整。
○内閣総理大臣の直属組織として、内閣総理大臣の国政に関する一般方針の企画及びその推進。
○次項以下の担当大臣による総合調整及び省間の水平調整に対するイニシアティブの発揮、及び調整の最終処理。
○機動性、柔軟性を持った組織運営を基本とし、部外資源を積極的に活用。

2.担当大臣による総合調整(*)
○担当する主たる省を特定することが困難な課題であって、全政府的に調整が必要なものについて、恒常的又は臨時的に政府全体の見地から各省の上に立って総合調整(企画を含む)。
○内閣総理大臣又は内閣の決定に基づき、当該課題について担当国務大臣を設定。当該担当大臣には、制度上強力な調整権(提案、資料・報告の徴集、拒否、指示)を付与。
○調整の場として、関係閣僚会議その他の調整会議を設置。当該会議の決定に基づき計画の策定、その推進等を実施。
○必要に応じ、内閣総理大臣又は内閣による総合調整内容のオーソライズ。
○各課題に対応した(事務)組織については、必要なスタッフを要するものの、極力、簡素なものを指向。
(*)このレベルの総合調整については、全政府的な立場からの合議体を設置し、これを場とした調整を行う方式も想定し得る。

3.省間調整システム
○各省にそれぞれ、その担う主たる行政目的達成のための設置法上調整権を付与。
○内閣(総理又は内閣官房)の指示又は自らの発意により機動的な調整の実施。この場合にあって、可能な限り円滑な調整を実現する行政運営慣行の確立。
○調整プロセスについては、以下のA〜Dの通り

A.内閣(内閣官房)の発意、主導によるもの− 内閣による調整事項、調整官庁の指示 −

内閣(内閣官房)の発意、主導によるものイメージ図

B.各省の発意によるもの

B.各省の発意によるものイメージ図

C.上記両タイプともに活用する調整の場(インターエージェンシー)

○従来から存在する関係閣僚会議、本部、協議会等の省間調整の場については、メンバーを実質的な関与の大きい省に限定することや、サンセット方式の導入により会議の形骸化を防止することにより、より実質的な調整を行いうるものとする。

○さらに、より迅速かつ実質的な省間協議・調整を制度的に担保するため、以下のような仕組みの活用を検討する。

[各省調整委員会]
・内閣官房又は調整省の主導によりメンバーを選定し、公式の調整の場として設定。
・従来の省庁連絡会議に比し、より小規模かつ実質的なものとする。
・基本的にアドホックなものとし、調整が終了した段階で委員会は解散するものとする。

D.情報公開による調整の透明化

以上、A〜Cを通じて、その手順に当たっては、非建設的な権限争いなど、縦割りの弊害を排除するとともに、政策協議の透明性の向上を図るため、情報公開法の規定に従い、可能な限り、省間の協議過程を明らかにする。


(別紙2)

独立行政法人の制度設計

T 制度創設についての基本的な考え方

○政策立案機能と実施機能の組織的分離により、それぞれの機能の充実・高度化を図る。

○このうち、実施部門については、事務事業の内容・性質に応じて最も適切な組織・運営の形態を追求し、効率性の向上、質の向上及び透明性の確保を図り、真に国民のニーズに即応した行政サービスの提供等を実現する。

○実施に係る事務事業のうち、公共的・公益的性格から、実施主体に特別の義務・能力等が必要とされる事務事業で、効率的・効果的な実施のために、国とは別の法人格を付与して行わせることが必要なものについては、「独立行政法人」を創設し、当該事務事業を行わせることにより、目的に即した弾力的な組織・運営の実現を可能とする。

U 制度の概要

1.制度設計に当たっての基本的な考え方

○独立行政法人の組織・運営の在り方を考える上での基本は、「事前管理重視から事後チェック重視への転換」。すなわち、独立行政法人については、運営の細部にわたる事前関与・統制から、国民の求める成果の達成を重視する事後チェックへ、重点の移行を図る。

○具体的には、組織運営上の裁量・自律性を可能な限り拡大することにより、弾力的・効果的な業務運営を確保する一方、業務運営目標の設定や民間的手法の導入により、効率化・質の向上といった国民のニーズに即応した結果の追求を重視。
(注)これらに際し、憲法上の財政民主主義の観点等から、一定の関与は要請されるが、これについては、独立行政法人の自律性・自主性を損なわないよう、必要最小限のものとすることが必要。

○こうした方針を実現する仕組みを考えるに当たっては、次の3つの視点が重要。
@評価の実施
: 業務運営の目標とルールを明確に定め、業務に係る責任の所在を明らかにするとともに、国民の目に見える形で業務の結果について評価し、改善等に結びつける仕組みとすること。
A自律性の付与
: 組織・運営に関して一定の枠内で自律性を付与することにより、業務の目的・性質に即した効率性や質の一層の向上を可能とする仕組みとすること。
B自発性の付与
: 経営主体と業務に従事する職員の双方が自発的に効率化、質の向上に努めることが可能となる仕組み(インセンティブの付与)とすること。

2.対象業務

(1) 独立行政法人の対象となる業務の基準

○現在国が実施している事務事業については、次の観点から、実施主体について所要の見直しを行うことが必要。
@民間の主体に委ねることが可能なものについては、極力、民間の主体に委ねる。
A一方、専ら強度の公権力の行使に当たるなど、国の行政機関が直接実施すべき事務事業については、国が直接の主体となって実施する。

○現在国が実施している事務事業の中には、@Aのいずれにも該当しないものが存在。これらの事務事業は、国自らが主体となって直接実施しなければならないものではないが、一方、民間の主体に委ねた場合には、当該事業が必ず実施されるという保障がなく、実施されないときには、社会経済や国民生活の安定等に著しい支障を生ずる。

○こうした事務事業については、その公共的性格にかんがみ、一定の能力を有する機関(=独立行政法人)を設けて、その実施を行わしめることにより、事業の確実・適正な実施を確保することが必要。

○また、こうした領域に属する事務事業の性質は、強度の権力の行使や資源の配分といった国が自ら主体となって直接行う必要のある業務とは異なり、いわばサービス性の濃い業務といえる。したがって、その組織・運営の在り方としては、性質に応じた効果的・弾力的な組織・運営の仕組みを設定すべき。(これにより、効率性や国民の求める水準の質の追求もより徹底されることとなる。)

○以上の考え方に立って、次の要件を満たす事務事業を独立行政法人の対象とする。
1) 業務の性質上、次の要件のいずれにも該当するものであること。
ア) 社会経済・国民生活の安定等の公共上の見地から、その確実な実施が必要とされること
イ) 国が自ら主体となって直接実施しなければならない事務事業ではないこと
ウ) 民間の主体に委ねた場合には必ず実施されるという保障がないか
又は公共的な事務事業として独占して行わせることが必要なものであること
2) 独立の組織とするに足るだけの業務量のまとまりがあること

(2) 対象となる業務の括り方(独立行政法人の編成の在り方)

○独立行政法人の対象業務については、事務事業の対象、地域、性質等の類似性・同質性に着目し、利便性等の国民のニーズに即応した編成とする。

○独立行政法人は、担当する業務に応じ、複数の省庁から監督を受けることがありうるものとし、その場合にあっては、その中の中心的な省庁が主管省庁として、独立行政法人の管理に関する部分を所管することとする。

(3) 対象となる具体的業務の決定

○以上の考え方を踏まえて、対象となる具体的業務を決定するに当たっては、個別業務ごとに検討を行うことが必要であり、また、最終的には、各省庁・各機関が責任をもって検討し、決定する余地を与えることが適当。

○独立行政法人とする場合においても、その業務については、民間委託、指定法人の活用等、徹底した民間能力の活用と業務の効率化を図るものとする。

3.組織

(1) トップマネジメント

○長(1名)、監事(複数)及び運営会議を置く。
監事については、外部の者も起用(いわば社外監査役)。
− 業務の性格、規模等により、個別の設置法によって法人化を行う場合にあっては、別途の方式(理事会等)を採ることもあり得るものとする。

○長及び監事は主務大臣が任命。
長については、公募により選任することができることとする。

(2) 組織機構・人事
@組織機構
◇基本的な枠組みは各法人の設置法令及び基本事項に係る定めにおいて定め、詳細事項については長の権限において定める。
A職員の処遇等
◇給与水準、人事制度等について、基本となる仕組み及び基準は基本事項に係る定めにおいて、詳細事項は中期計画において、それぞれ規定する。
◇職員の任免、異動、査定等は、長が行う。
◇職員の給与・賞与、昇進等について、各人の業績が反映される仕組みの導入及び運用を行う。

4.運営

(1) 基本的な枠組みの設定

○法人の目的・任務については、各法人の設置法令において定め、この目的・任務を達成するための業務及び組織運営の基本的な基準・仕組みについては、当該法令又はこれに基づく規則によって定めることとする。

○法人の業務及び組織運営に関する基本的な枠組みは、これらの法令等に基づき、長が定めることとし、長は案を作成し、主務大臣の認可を経るものとする。(設立時においては、設立行為の一環として決定する。)

○主務大臣の独立行政法人に対する監督・関与は、基本的に以上の範囲に限るものとし、それ以上の細部にわたる監督・関与は行わないものとする。

(2) 中期的目標・業務計画による管理
@主務大臣による目標の付与
◇中期的な期間(3〜5年)で達成すべき、財務、サービス水準の向上、合理化等に関する目標(以下「中期的目標」という。)を主務大臣が長に提示する。
◇中期的目標は、できる限り、数値による目標とする。
A中期計画の策定
◇長は主務大臣が提示した目標を達成するための中期(3〜5年)の業務計画(以下「中期計画」という。)の案を策定し、主務大臣の認可を受ける。
◇主務大臣は、中期計画の認可に当たっては、運営評価委員会の審議を経るとともに、財政担当大臣に協議するものとする。
B年度計画の策定
◇長は中期計画に則り、各年度の業務計画(半期の計画を含む)を策定するとともに、これを主務大臣に提出する。

(3) 財務・会計
@企業会計原則
◇財務に関しては、原則として企業会計原則によることとする。
A運営費の交付
◇法人が行う事業の運営費(対象事業に係る手数料等の事業収入を除く。)については、運営評価委員会の評価を経て、一定のルールに基づき算定した金額を、国が交付する。
B固定的投資経費
◇中期計画に規定された投資計画に要する費用で国が支出するものについては、国は、運営費の交付とは区分して、法人に交付等を行う。
C剰余金の取扱い
◇剰余金については、中期計画期間中において、留保(積立て)を認める。
◇法人の経営努力により生じた剰余金(運営評価委員会が認定した額に限る。)については、中期計画期間中、当該計画に規定した使途の範囲内における使用を認める。
◇中期計画完了時における累積剰余金については、次の中期計画策定時に、運営評価委員会の審査を経て、主務大臣が処分(国庫収納又は継続留保)を決定する。
D予決算等の提出
◇法人は、毎事業年度、予算、財務諸表、決算報告等を作成し、主務大臣に提出する。この場合において、主務大臣は、所要の確認等を行うものとする。

5.評価

(1) 運営評価委員会
@組織
◇中期計画の審査、各年度の業務実績の評価等を行う機関として、所管省庁ごとに、原則として1つ、運営評価委員会を設置する。
◇運営評価委員会の委員は、実務経験の豊富な外部の有識者を起用する。また、必要に応じ、法人の役職員、所管官庁の職員等の出席を求めるものとする。
A任務
◇主務大臣の諮問に応じ、次の業務を実施する。
1) 中期計画の審査
2) 年度計画の審査
3) 業務成果の評価
4) 国が法人に対し支払う運営交付金の額に係る審査
5)業務成果の評価結果に基づき、業務及び組織運営に関する改善措置、長・役職員に対する報奨措置・改善措置等を長及び大臣に勧告         等

(2) 評価結果の運営等への反映

○運営評価委員会の評価結果については、次のとおり、法人の運営等に反映させるものとする。
@中期的目標・中期計画への反映
評価を踏まえた改善点等について、次年度計画はもとより、次期の中期的目標・中期計画にも反映させる。年度ごとの業務実績に係る評価を踏まえ、期間途中であっても必要に応じ、中期的目標・中期計画の変更・改善を行う。
Aトップマネジメントへの反映
評価結果を、長・役員等の人事に反映する。必要な場合には、任期途中の交代もありうる。
B職員の処遇への反映
評価結果を踏まえ、職員のボーナス等に一定の増減を行うなど、職員の処遇に反映する。

6.公表

○法人は、毎年度、次の事項について、公表するものとする。
1) 業務の概要
2) 財務諸表
3) 決算報告
4) 中期計画・年度計画
5) 運営評価委員会の評価結果
6) 監事の監査結果
7) 役員に関する事項       等

7.定期的な見直し

○中期計画の期間終了時において、業務継続の必要性及び組織形態の在り方について、見直しを行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずることとする。

○見直しに当たっては、運営評価委員会による業務成果の評価を踏まえ、主務大臣が運営評価委員会の議を経て、所要の措置を決定することとする。

○見直し結果は、公表する。

○この定期的な見直しについては、独立行政法人の設置根拠法に明確に位置付け、制度化を図る。

8.会計検査・行政監察との関係

○独立行政法人は、会計検査及び行政監察の対象とする。

9.人事交流

○政策立案部門と実施部門との連携を図り、実状を踏まえた政策の立案、政策の迅速・的確な実施への反映を確保する観点から、必要に応じ、主務省庁と独立行政法人の間の人事交流を行う。

○人事交流に当たっては、主務省庁の一方的な判断によることなく、両者が対等の立場で、合意に基づき行われることが必要。

10.設立形式

○全ての独立行政法人に共通する設立根拠法を設け、独立行政法人の組織・運営に関する基本的事項及び共通的事項を規定し、共通原則を制度化することとする。

○また、独立行政法人の対象業務には、多種多様なものが想定されることから、設立根拠法においては、個々の独立行政法人の業務運営に関する特性に応じた組織・運営が可能となるよう、弾力的な仕組みとする。


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