震災の教訓を生かすために ~津波や地震に関する防災情報~
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政府は東日本大震災の教訓を踏まえ、津波や地震に関する防災情報の伝え方について改善を進めています。
<目次>
津波警報が変わりました。 | |
鉄道での乗客の安全確保に向けて | |
長周期地震動の公表が始まります。 | |
将来の災害に備えて | |
情報共有で救援活動をスムーズに | |
南海トラフ巨大地震の被害想定 |
<津波対策>
津波警報が変わりました。
新しくなった津波警報では、マグニチュード(M)8を超えるような巨大地震の場合、まず第1報では予想される津波の高さを「巨大」(大津波警報の場合)、「高い」(津波警報の場合)と表現し、緊急事態であることを伝えて、迅速な避難を呼びかけます。
その後、第2報以降で津波の予想高さを数値で発表します。
発表される数値についても、これまでの8段階から5段階に整理しました。
気象庁では、津波から避難するための時間をできるだけ確保するため、地震発生後すぐに地震の規模とそこから推定される津波の高さを求め、約3分で津波警報の第1報を発表していますが、巨大な地震が発生した東日本大震災では、第1報の時点で地震の規模を正確に把握することができなかったため、津波の高さ予想が実際よりも大きく下回ってしまいました。こうした震災の教訓を活かして改善されたのが、この新津波警報です。
新しい津波警報の発表イメージ
M8超(※)の巨大地震の場合
第1報では大津波警報は「巨大」、津波警報は「高い」と発表。 | 第2報以降で津波の高さを数値で発表。 | |
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地震発生後すぐに地震の規模を正確に把握できた場合
第1報から津波の高さを数値で発表。 |
※M8はあくまで目安であり、地震規模がすぐに把握できない大きな地震は「巨大地震の場合」の流れになります。 |
詳しくは、こちら(政府広報オンライン)をご覧ください。
動画でも、わかりやすく紹介しています。
鉄道での乗客の安全確保に向けて
国土交通省では平成25年2月、津波発生時における鉄道旅客の安全確保のため、東日本大震災の教訓を踏まえた対応方針や、駅・車両における具体的な対応策の事例などに関する報告書をまとめました。すでに全国の鉄道会社に通知し、津波対策を進めています。
<対応策の具体例>
【駅での対策】津波の恐れがある駅では津波避難経路図を掲出
【車両での対策】津波警報が発令された際の降車方法などを車内に表示
<報告書をご覧になりたい方はこちら>
<地震対策>
長周期地震動の公表が始まります。
気象庁では、長周期地震動による揺れの強さについて、3月28日から「長周期地震動に関する観測情報(試行)」で公表しています。
長周期地震動とは、地震のときに生じる「ゆっくり繰り返す長い周期の揺れ」のことを指し、「ガタガタと揺れる短い周期の揺れ」とはその性質が異なります。
長周期地震動では、高層ビルや長い橋などの大きな構造物で大きな揺れを生じることがあります。
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東日本大震災では、長周期地震動により、震源から遠く離れた大阪市や東京都の高層ビル上層階で大きく揺れました。
また、近い将来に発生が懸念されている南海トラフにおける巨大地震では、東京、名古屋、大阪などに立地している高層ビルなどで、さらに大きな揺れが生じることが心配されています。
しかし、気象庁が発表している「短い周期の揺れ」を対象とした震度では、長周期地震動により発生する、高層ビルなどの揺れの大きさや被害の程度を表現することができません。
被害の早期把握や、迅速かつ的確な災害応急体制の確立などを支援するため、
長周期地震動を新たに公表することになりました。
長周期地震動階級関連解説表(高層ビルにおける人の体感・行動、室内の状況等)
<防災教育>
将来の災害に備えて
学校防災マニュアル作成の手引き
文部科学省では、東日本大震災の教訓を踏まえ、学校における防災マニュアルの整備・充実に向けた手引きを昨年3月に作成し、全国の教育委員会や学校などに16万部以上を配布しています。
「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」(文部科学省HP) |
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全国の教職員などが参加して行われる防災教育・防災管理などの指導者を養成するための講習会でも、この手引きが活用されています。
講習会の様子(昨年10月~11月開催)
体験を通じた防災教育
災害は、地震・津波だけではありません。「学校を避難所として想定した生活体験」や「水害発生時のレスキュー体験」など、各地域の特性に応じた体験的な防災教育プログラムを、地域住民や保護者の協力を得て実践しています。
この取り組みは「防災キャンプ推進事業」として、平成24年度から新たに実施しています。
<救援活動>
情報共有で救援活動をスムーズに
消防庁では、大規模な災害が発生した際に、全国から駆け付ける応援部隊がスムーズに活動できるよう、被災地の被害状況や被災地までの道路状況など、さまざまな情報を関係機関が共有するための仕組み「支援情報共有ツール」を開発し、2012年8月から運用を開始しています。
大規模災害の発生に備え、このツールを活用して情報収集を行う訓練なども行われています。
<支援情報共有ツール活用イメージ>
<防災対策>
南海トラフ巨大地震の被害想定
政府は平成25年3月18日、南海トラフ巨大地震による被害想定(第二次報告)を公表しました。
今回の被害想定の前提としたM9クラスの南海トラフ巨大地震は、千年に一度、あるいはそれよりもっと低い頻度で発生する地震ですが、東日本大震災の教訓を踏まえ、想定外をなくすという観点から、最大クラスの地震・津波が発生した場合の被害をとりまとめたものです。
建物の耐震化等の防災・減災対策を講じれば、被害は確実に減らすことができます。
具体的な防災・減災対策については引き続き検討を進め、最終報告をとりまとめる予定です。
南海トラフ巨大地震とは 駿河湾から四国、九州にのびる海底の深い溝(トラフ)から沈み込むプレート境界を震源断層域とする、M9クラスの巨大地震です。 主に四国や紀伊半島が載っているユーラシア(陸側)プレートの下へフィリピン海プレートが沈み込むことに伴って、ふたつのプレートの境界面が破壊され地震が発生します。 科学的知見に基づく、南海トラフ沿いで発生しうる最大クラスの地震です。 |
推計した中で南海トラフ巨大地震による被害が最も大きくなる場合の状況は以下の通りです。
<建物の被害> | |
・地震や津波などによる全壊、火災による焼失 | 約238.6万棟 |
(東日本大震災での建物の被害 約12.9万棟) | |
<ライフライン> | |
・電力 | 約2,710万軒が停電 |
・上水道 | 約3,440万人が断水 |
・通信 | 約930万回線が不通 |
・都市ガス | 約180万戸の供給が停止 など |
<交通> | |
・道路 | 約41,000箇所で路面損傷等の道路施設被害が発生 |
・鉄道 | 約19,000箇所で線路変状等の鉄道施設被害が発生 |
・港湾 | 約5,000箇所で係留施設の被害が発生 など |
<生活への影響> | |
・避難者 | 1週間後に最大で約950万人の避難者が発生し、そのうち避難所への避難者は最大で約500万人に。 |
・帰宅困難者 | 当日中に帰宅が困難となる人は、中京都市圏で最大約110万人、京阪神都市圏で最大約270万人に上る。 |
・食料・飲料水 | 発災後の3日間で約3,200万食分の食料と約4,800万リットルの飲料水が不足。 |
<経済的な被害> | |
推計した中で最大の場合の被害額は以下の通りです。 | |
○被災地での建物やインフラへの直接的な被害 169.5兆円 | |
(東日本大震災での直接的な被害 16.9兆円) | |
○全国の経済活動への影響 | |
生産・サービス低下に起因するもの 44.7兆円 | |
交通(道路・鉄道)の寸断に起因するもの 6.1兆円 |
<防災・減災対策の効果>
建物の耐震化や、津波避難の迅速化などの防災・減災対策を行うことで、被害をどのくらい抑えることができるのか、試算した結果は以下の通りです。
南海トラフ巨大地震への対応について、詳しく知りたい方はこちら(内閣府防災情報のページ)をご覧ください。