緊急経済対策

平成13年4月6日
経済対策閣僚会議

目次

第1章 基本的考え方

1.景気の現状
2.取り組むべき課題
3.経済対策の基本的考え方

第2章 具体的施策

1.金融再生と産業再生
(1)金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の一体的解決
(2)銀行の株式保有の制限について

2.証券市場の構造改革
(1)金庫株の解禁及び株式の投資単位当りの純資産額基準の撤廃
(2)確定拠出年金及び確定給付企業年金
(3)証券決済システムの改善
(4)株価指数に連動する現物出資型の上場投資信託(ETF)

3.都市再生、土地の流動化
(1)「都市再生本部」(仮称)の設置
(2)21世紀型都市再生プロジェクトの推進
(3)土地の流動化
(4)PFIの積極的活用及び公務員宿舎跡地等の再開発

4.雇用の創出とセーフティーネット
(1)新市場開拓に資する規制・制度改革
(2)イノベーションのための重点投資・システム改革
(3)雇用面のセーフティーネットの整備

5.税制

緊急経済対策

第1章 基本的考え方

1.景気の現状
 日本経済は、財政金融両面にわたる政策努力もあり、平成11年4月を景気の谷として、緩やかな改善を続けてきた。その過程で、生産・企業収益が回復し、民間設備投資も持ち直しを示すようになった。
 企業部門のこのような復調は、本来ならば家計部門の回復をもたらし、自律的景気回復に向けた好循環の端緒となるはずであった。しかし、企業部門の復調にもかかわらず、所得・雇用環境の改善は遅れ、個人消費の回復は見られていない。
 また、最近は、アメリカ経済の減速に伴って輸出が減少し、生産も弱含みとなっており、景気の改善に足踏みが見られている。さらに、先行きについては、設備投資に鈍化の兆しなど懸念すべき点も見られるようになっている。
 このように見ると、民間需要を中心とする本格的な景気回復への移行が遅れていることは否めない。

2.取り組むべき課題
 景気動向が示すこのような脆弱性の背景には、バブル崩壊に伴う株価や地価の下落を契機に始まったバランスシート調整が、未だその途上にあるという事実がある。金融機関が不良債権を抱え続けることは、それに伴う収益性の低下や追加処理リスクにより、豊富な家計貯蓄を企業部門に仲介する機能を低下させるという問題がある。また、企業の過剰債務の存在は、収益が改善しても、前向きの投資に向かうのではなく、債務の返済に当てられることになる。このようなバランスシート調整が遅れることは、経済成長にとって大きな重しである。この問題を速やかに解決することなしには、景気回復に向けた力強い歩みを期待することはできない。
 また、バブル崩壊後における証券市場や不動産市場の低迷は、バランスシート調整を長引かせる要因となったが、同時に構造的な問題を浮き彫りにすることにもなった。なかでも証券市場は、間接金融中心の金融構造、企業間の株式持合の下で不十分な発達しか遂げてこなかったし、個人投資家の参加も極めて限られたものにとどまってきた。他方、不動産市場の低迷は、資源の有効利用を妨げ、適正な価格の形成も遅らせている。資産市場の抱えるこのような構造問題に取り組むことは、日本経済がダイナミックな成長を遂げていく上でも極めて重要な意味を持っている。

3.経済対策の基本的考え方
 本経済対策は、以上のような我が国にとって喫緊の課題である構造問題を取り上げ、その根本的な解決に取り組もうとするものである。この観点から、金融再生と産業再生、証券市場の構造改革、都市再生、土地の流動化等について具体的施策をとりまとめている。こうした施策の着実な実行を通じて、日本経済の構造調整が一層進展し、今後の経済成長の礎を築くことができると考える。
 同時に、このような構造改革を推進するためにも、政府としては、景気回復に軸足を置きつつ、適切かつ機動的な経済財政運営を行うことが必要であることは言うまでもない。また、日本銀行においても、先般、量的指標を目標とした金融調節方式の採用に踏み切り、持続的な物価下落が終結するまで実質的にゼロ金利政策の効果を持つ政策を実施するとしたところであり、今後とも、政府の経済政策の基本方針と整合性をとりつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営が求められる。
 さらに、構造改革に伴う調整を考慮して、長期的な経済活力を引き出す規制・制度改革やイノベーションへの取組み、それらによる新市場の開拓と雇用の創出、雇用面のセーフティーネットの整備等を図ることも必要である。
 最後に、本年初めに発足した経済財政諮問会議においては、我が国の中長期的な経済財政の姿についての検討が開始されており、5、6月には、骨太の方針が取りまとめられることとなっている。こうした検討を踏まえ、政府として、国民の将来に対する不安感を払拭するため、我が国の今後の経済財政の姿を提示することとしている。

第2章 具体的施策

1.金融再生と産業再生

(1)金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の一体的解決

  1. 不良債権の抜本的なオフバランス化
    1)原則
    (ア)主要行は、以下の原則に基づき、オフバランス化(債権放棄などにより貸借対照表上の不良債権を落とすことをいう。)を進める。
    a.破綻懸念先以下の債権に区分されるに至った債権について、原則として3営業年度以内にオフバランス化につながる措置を講ずる。
    b.既に、破綻懸念先以下の債権に区分されているものについては、原則として2営業年度以内にオフバランス化につながる措置を講ずる。
    c.なお、オフバランス化に当っては、以下の点に十分留意する。
    • オフバランス化の判断は、各行の経営に与える各種リスク、地域経済に与える影響等も含め経済合理性に基づき行うものとする。
    • 私的整理における関係者間の調整等に当っては、下記A 1)のガイドラインに沿って、早期かつ円滑な調整に努める。
    (イ)債務者が中小企業の場合であっても、各企業の実態等も十分に踏まえつつ、企業の再建及びそれに伴う不良債権のオフバランス化に取り組むことを要請する。
    (ウ)以上の措置に伴い、地域金融機関を含む金融機関の不良債権のオフバランス化が進み、経営の健全性が確保され、次代を担う新規産業に対する円滑な資金供給等その社会的使命が一層果たされるとともに、経済の構造改革に資することが期待される。
    (エ)なお、以上の措置は本年4月1日に開始した営業年度より実施する。
    2)オフバランス化の実績公表と行政によるモニタリング
    (ア)主要行に対して、不良債権のオフバランス化の実績を、毎期、公表するよう要請する。
    (イ)金融庁は、上記原則に基づき、主要行のオフバランス化の進展状況をフォローアップする。
    3)資本増強行のフォローアップにおける考え方の明確化
     不良債権の積極的な処理により、自己資本に対する業務純益の水準(ROE)又は当期利益の実績が計画ベースの数値より3割以上低下した場合の考え方(いわゆる3割ルールの適用)について、不良債権のオフバランス化を促進させることの重要性を踏まえ、その明確化を図る。
    4)要注意先債権等の健全債権化及び不良債権の新規発生の防止
     各金融機関に対し、要注意先債権等の健全債権化及び不良債権の新規発生の防止のための体制整備を求める。
  2. 企業再建の円滑化
    1)経営困難企業の再建及びそれに伴う債権放棄に関する原則の確立
     経営が困難な企業の再建及びそれに伴う債権放棄に関して、関係者間の調整プロセスの公正、円滑化を図るため、私的整理における再建計画の策定等に係る調整手続等について、関係者の共通認識が醸成されることが望ましい。このため、関係者に働きかけて、政府も参加する検討の場を設け、いわゆるガイドラインとして早急に取りまとめた上、公表する。
    2)産業再生法の活用
     産業再生法において、新たに、債権放棄を含む事業再構築計画の認定基準を明確化(計画終了時に、有利子負債をキャッシュフローベースでの収益の10倍以内とする等)し、事業再構築に取り組む企業への政策融資(日本政策投資銀行の融資制度の拡充等により、非設備資金を含めた事業資金を円滑に供給)とともに、併せて、債権放棄の税務上の取扱いに関して迅速かつ円滑な対応を行なうための相談体制の整備等により、私的整理の取り組みを側面から支援する。
    3)建設産業の再編の促進
     技術と経営に優れた企業が伸びられる環境を整備するため、公共工事入札・契約適正化法等により不良・不適格業者の排除を徹底するとともに、合併等の企業連携に対する支援、市場原理に沿った公共工事の発注方策の検討等、建設業界の再編の促進に向けた市場環境の整備を進める。
    4)会社分割法制の活用
     本年4月、会社分割法制及びこれに関連する税制が施行されたことから、事業を再構築して経営の効率性の向上を図るために、会社分割法制を有効に活用することを民間関係者に要請する。
    5)会社更生法、民事再生法の改善
     会社更生法について、より使いやすい法制に改めることとし、所要の改正案を平成14年中に国会に提出する。民事再生法についても、今後の運用実績を踏まえ、増資に関する特則手続きの創設、再建計画策定中の融資(DIPファイナンス)における優先性の向上なども含めて検討し、平成15年度を目途に必要な見直しを行う。
  3. 金融機関の債権放棄等の円滑化
    1)企業の再建計画策定中の融資(DIPファイナンス等)の円滑化
    (ア)企業の再建計画策定中の融資(DIPファイナンス等)の円滑化について十分配慮し、資金供給に前向きに取り組むよう、民間金融機関に要請するとともに、併せて、公的金融機関も積極的に対応する。
    (イ)民事再生法、会社更生法におけるDIPファイナンスに関し、日本政策投資銀行において設けられた融資制度(事業再生融資制度)の積極的な活用を図るとともに、中小企業に対するDIPファイナンスの円滑化に向けた方策について検討を進める。
    2)デット・エクィティ・スワップ(債務の株式化)の活用
     デット・エクイティ・スワップによって取得した株式について、銀行法上の5%ルールの運用の明確化を図るとともに、流動化促進策等を検討する。
    3)公的金融機関等による対応
     民間金融機関が債権放棄を行おうとする場合に、公的金融機関等についても、上記A 1)のガイドラインによる調整プロセスの公正性、国民負担への影響等に十分配慮しつつ、適切な対応を検討する。
    4)税務上の円滑な対応
     金融機関が行う債権放棄の税務上の取扱いについては既に平成10年に明確化が図られているところであり、今後、金融機関がオフバランス化を促進させることに伴い、税務相談体制の整備など迅速かつ円滑な対応を図るとともに、上記A 1)のガイドラインに基づく債権放棄の税務上の取扱いについて検討する。
    5)金融検査マニュアルの明確化
     金融検査マニュアルの明確化の観点から、実態に応じ共益債権(DIPファイナンス等)を非分類、二分類等に分類できることを明らかにするなど、必要な措置を検討する。
  4. 債権の流動化
    1)整理回収機構(RCC)の機能の一層効果的な発揮
     民間金融機関より不良債権を受託する信託業務等、RCCの機能の一層効果的な発揮を検討する。(また、RCCによる健全銀行の不良債権買取り業務を延長する。)
    2)債権の売買に関する契約書、取引方法等の標準化
     債権の流動化に関し、日本ローン債権市場協会(JSLA)における契約書、取引方法等の標準化について、早期に結論を得るように要請する。債権流動化に係るデータの標準化を図る。
    3)債権回収会社(サービサー)の取扱債権の範囲の見直し
     債権回収会社の取扱債権の範囲を大幅に拡大することにより、債権回収等の円滑化に努める。
  5. その他
    1)中小企業への対応
     不良債権のオフバランス化及び企業再建の促進に伴って、対象となる企業と取引等の関係にある中小企業が、連鎖倒産の危険など経営の安定に不測の支障を生じないよう、金融面で適切に対応するとともに、中小企業自身の健全化に向けての前向きな努力を経営革新対策により積極的に支援する。
    2)プロジェクトファイナンスの普及
     今後、金融機関が、プロジェクトファイナンス等各事業毎の収益性に着目した融資を積極的に活用することを期待する。

(2)銀行の株式保有の制限について
 我が国金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていくためには、不良債権のオフバランス化促進策とあわせて、銀行の保有する株式の価格変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内に留めることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため、株式保有制限の在り方に関する制度整備を行う必要がある。銀行の保有株式を制限することは、株式持合いの縮小を通じて我が国株式市場の構造改革と活性化を促すとともに、コーポレート・ガバナンスの改善などをも通じ、我が国経済の再生にも寄与するものである。他方、こうした施策に伴う銀行の株式放出が短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあり、こうした観点から公的な枠組みを用いた一時的な株式買取りスキームを設けることとする。

  1. 銀行の株式保有制限の導入
     銀行の保有株式を買い取る前提として、銀行の株式保有額を銀行のリスク管理能力の範囲内に制限するための制度整備を行う。
     具体的には、銀行の保有する株式を、例えば自己資本の範囲内とし、それを超えて保有する株式は、一定期間内に処分するものとする。
  2. 株式買取りスキームの概要
    1)株式の買取りは、法律に基づき銀行等からの拠出により設立される銀行保有株式取得機構(仮称)が行う。その際、預金保険機構の活用を含め、株式買取りに要する資金に対する政府保証等公的な支援を検討する。
    2)株式の買取り先は銀行(信託業務を営む銀行にあっては信託勘定を除く。)とする。
    3)買取りは時価により行うが、買取り対象銘柄については、上場投信(ETF)の組成をも考慮して一定のルールにより決定する。
    4)当該機構が取得した株式の処分については、上場投信(ETF)、投資信託、確定拠出年金などを活用する。
  3. 今後の進め方
     上記制度整備及びスキームを実施するための具体案を確定し、法的手当てを含めた細目について可及的速やかに成案を得る。

2.証券市場の構造改革
 個人投資家による長期安定的な株式保有の促進等証券市場の活性化を図る等の観点から、以下の措置を講ずる。

(1)金庫株の解禁及び株式の投資単位当りの純資産額基準の撤廃
 以下について本通常国会で法改正の動きがあることを踏まえ、必要な検討を行う。

(2)確定拠出年金及び確定給付企業年金
 個人又は事業主が拠出した年金掛金を、個人が自己責任において運用指図を行い、掛金と運用収益を基に年金給付額を確定する形のポータビリティが確保された年金制度導入等を図る確定拠出年金法案や、確定給付型の企業年金の受給権保護等を図る確定給付企業年金法案の本通常国会での早期成立を期する。

(3)証券決済システムの改善
 証券のペーパーレス化や決済期間の短縮等を図るため、社債、CP、国債等について振替制度を創設する等、所要の法整備を図る。

(4)株価指数に連動する現物出資型の上場投資信託(ETF)
 現物出資型を導入することを通じ、簡便かつ機動的に少額の投資ができる、株価指数に連動する新たな商品を投資家に対し提供することにより市場の厚みが増すなど、市場活性化に貢献することが期待されるETFの制度整備を進める。

3.都市再生、土地の流動化

(1)「都市再生本部」(仮称)の設置
 内閣総理大臣を本部長、関係大臣を本部員とする「都市再生本部」(仮称)を内閣に設置し、環境、防災、国際化等の観点から都市の再生を目指す21世紀型都市再生プロジェクト((2)参照)の推進や土地の有効利用等都市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進する。なお、内閣官房に国土交通省等関係行政機関、地方公共団体の職員、民間人からなる専属の事務局を設置する。

(2)21世紀型都市再生プロジェクトの推進

  1. 都市再生本部においては、21世紀における魅力と活力に満ちた都市の再生を先導する以下に掲げるようなテーマに沿った21世紀型都市再生プロジェクトを具体的に選定し、集中的、重点的な推進を図る。
    • 広域循環都市プロジェクト
       大都市圏の臨海部等における廃棄物処理施設・リサイクル施設等の広域的・総合的な整備による21世紀型循環都市の構築。
    • 安全都市形成プロジェクト
       防災公園を核とした大規模な防災拠点の整備や、避難路等の整備による災害に強い都市構造の実現。
    • 交通基盤形成プロジェクト
       都市部の交通混雑を抜本的に解決する環状道路、都市鉄道、首都圏の国際拠点空港、国際港湾の整備等による国際都市にふさわしい交通基盤の形成。
    • 都市拠点形成プロジェクト
       大規模低未利用地を活用した都市拠点開発や老朽化した公的住宅の建替えを活用した快適居住拠点の形成などによる、IT革命にも対応した都市拠点の形成。
  2. 国、地方公共団体、民間等からなる実施機関のあり方を早急に検討し、強力な実施体制を構築する。なお、東京圏において国及び7都県市で構成する常設の協議機関を設置するなど、地方公共団体の意向、意欲を十分に尊重して、プロジェクトを推進する。
  3. 都市の再生を低未利用地の整形・集約化や基盤整備により先導する観点から、都市基盤整備公団の土地有効利用事業及び防災公園街区整備事業について、事業要件の緩和や国の支援の充実など、事業をより弾力的に活用するための措置を実施する。また、土地取得、譲渡の状況に応じ、的確に所要資金の確保・拡充を図る。さらに、事業の円滑な推進のため、都市計画の決定・変更、事業の施行の認可、関係権利者間の調整等を迅速かつ適切に実施するための条件整備を行う。
  4. 21世紀型都市再生プロジェクトについては、都市再生本部における選定を経て、その立上げ・推進に当たり、必要な資金を適切に確保する。その際、国と地方、行政と民間の適切な役割分担を踏まえるとともに、取得対象とする土地については、プロジェクトの実施に確実につながるものとする。

(3)土地の流動化

  1. 不動産証券化の推進
     投資物件のパフォーマンスを示す指標である「不動産投資インデックス」に関するガイドラインを平成14年までに整備するとともに、不動産投資顧問業の育成などを通じ、不動産の証券化を推進する。
  2. 都市再生、土地の流動化のための規制改革等
    • 一定のオープンスペース等が確保された優良なプロジェクトについて容積率などの緩和を行う制度の積極的活用に向けて、本年4月中に、制度の考え方を周知し実施の円滑化を図るとともに、都市計画の運用基準を、より柔軟な運用となる方向で見直すよう、地方公共団体に要請する。また、民間都市開発事業促進プラットホーム(仮称)を設置し、民間事業者の申請により、国と地方公共団体が一体となって事業促進のための条件整備を機動的かつ迅速に行う。
    • 社会経済情勢の変化を踏まえた事業認定の透明性等の向上及び収用の合理化等の実施を内容とした土地収用法改正法案の本通常国会での成立を期する。
    • 不動産競売制度をより使いやすい制度とするよう必要な改善を図るとともに、不動産情報の開示について検討を進める。また、市街地再開発事業の施行区域要件における経過年数規定の短縮化について検討を行う。

(4)PFIの積極的活用及び公務員宿舎跡地等の再開発

4.雇用の創出とセ−フティーネット

(1)新市場開拓に資する規制・制度改革

  1. IT分野
     e-Japan重点計画等に基づき、線路敷設の円滑化、新たな競争政策の確立など5年以内に世界最先端のIT国家を構築することを目標に、IT分野における徹底した規制改革を推進する。
  2. 医療システム分野
     医療提供体制や診療報酬体系の見直し等により医療システムの効率化を推進するとともに、医療のIT化に関する戦略的グランドデザインの策定、カルテの電子化等IT化の推進を図る。
  3. 保育・介護分野
     保育分野においては、公立保育所の業務を委託する場合、社会福祉法人以外の民間事業者に委託することが可能であることを周知徹底し、民間委託を活用するなど民間活力の導入を促進する。
     また、介護分野における民間ビジネスを拡大する観点から、特別養護老人ホームと同様の要介護者に対応できるようなケアハウスについて、十分な経済的基盤と人的資源を有する民間企業等が都道府県知事の許可を受けて運営できるよう検討を進める。
  4. 循環型社会の構築
     自動車リサイクル対策について法制化も視野に入れ検討を行う等廃棄物処理・リサイクルシステムの構築など循環型社会へ向けた制度改革を進める。

(2)イノベーションのための重点投資・システム改革
 第二期科学技術基本計画に基づき、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等へ戦略的な研究開発投資を図るとともに、社会、産業のニーズに対応した教育研究が推進されるよう学科設置認可の見直し等を含め高等教育の改革を進める。

(3)雇用面のセーフティーネットの整備
 不良債権のオフバランス化等構造改革に伴う雇用情勢の変化に機動的・弾力的に対応することとし、当面、次の対策を実施する。

  1. 雇用対策
     中高年の非自発的失業者の雇い入れ助成を行う緊急雇用創出特別奨励金の要件の緩和及び対象労働者の拡充措置、並びに、新規・成長分野雇用創出特別奨励金の拡充措置を延長する。
     中高年ホワイトカラー離職者向け訓練コースの充実やIT関連の能力開発・人材育成の推進を図る。
     中高年齢層を中心とした倒産・解雇等による離職者に対して、一般の離職者と比べて手厚い給付日数を確保することを内容とした雇用保険法改正法の円滑な施行を図る。また、離職予定者がまとまって生じる場合に、在職中から必要な支援を行うとともに、官民連携した雇用情報システムである「しごと情報ネット」の早期実施を図る。
     円滑な再就職を促進し、職業生活の全期間を通じて職業の安定を図っていくため、計画的な再就職援助の実施や募集・採用時の年齢制限緩和に向けた取組の促進を図る雇用対策法等の改正法案の本通常国会での成立を期する。
  2. 調整機能強化のための規制改革
     労働者派遣事業に係る対象業務・派遣期間等の規制の在り方について、改正労働者派遣法の施行状況を踏まえ、同法に基づく所要の検討を行う。また、特定求職者雇用開発助成金等の助成金の支給に際して、公共職業安定所による紹介を要件とすることを平成13年中に見直す。

5.税制
 現下の経済情勢等を踏まえ、個人投資家の市場参加の促進等直接金融市場の活性化、土地の流動化の促進、経済構造改革の推進に資する等の観点から、証券・土地関連の税制に係る真に有効かつ適切な措置について、課税の公平等に留意しつつ、早急に検討を行い、結論を得る。