基本方針

平成30年10月2日

平成30年10月2日
閣議決定

 来年は、歴史的な皇位の継承、我が国が初めて議長国を務めるG20サミット。さらに翌年は、東京オリンピック、パラリンピック。我が国がまさに歴史の大きな転換点を迎える中で、今こそ、日本の明日を切り拓く時である。

 平成の、その先の時代に向かって、日本の底力を解き放ち、少子高齢化、激動する国際情勢に真正面から立ち向かう。希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、次世代に引き渡すとの決意の下、内閣の総力を挙げて、以下の政策を推し進める。

1.復興・国土強靱化の推進
 まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、熊本地震、東日本大震災からの復興、そして福島の再生を、更に加速する。全国各地で相次ぐ自然災害に対して、被災地の復旧・復興に全力を尽くす。
 近年の集中豪雨、気温上昇など気象の急激な変化に対応し、全国的に、河川の改修、治水、砂防対策、ため池改良、熱中症予防など、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を、3年間で集中的に実施する。

2.頑張った人が報われる経済成長
 三本の矢でデフレ完全脱却を実現する。戦後最大のGDP600兆円を目指し、AI、ロボットなど最先端のイノベーションで生産性革命を起こし、人づくり革命により誰もが夢に向かって頑張れる経済を創り上げる。
 世界に先駆けて「第四次産業革命」を実現し、日本経済の新たな地平を切り拓く。

3.全ての世代が安心できる社会保障改革
 子どもたち、子育て世代に大胆に投資し、幼児教育の無償化、真に必要な子どもたちの高等教育の無償化を実現する。現役世代の負担軽減のため、成長と分配の好循環により、希望出生率1.8、介護離職ゼロの実現を目指す。いくつになっても、意欲さえあれば、学び、働くことができる、生涯現役、生涯活躍の社会を実現するため、労働制度をはじめ社会保障制度全般の改革を進める。
 少子高齢化に真正面から立ち向かい、誰にでも、何度でもチャンスがあり、多様性に満ちあふれた、女性活躍、一億総活躍の社会を創り上げる。

4.美しく伝統ある故郷(ふるさと)を守り、次世代へ引き渡す
 新しい挑戦を後押しする農林水産業全般にわたる改革、中小・小規模事業者の生産性革命、訪日観光客4000万人の実現によって、全国津々浦々で、チャンスあふれる地方創生を展開する。人口急減地域や中山間地域・棚田地域への支援を強化する。少子高齢化に対応した地方自治の在り方について、行政・財政・税制全般にわたり検討を進める。
 全国津々浦々、それぞれの特色を活かしながら、若者にチャンスあふれる強靱な地方を創り上げ、美しく伝統ある故郷(ふるさと)を次世代へ引き渡す。

5.新しい時代のアジア太平洋の平和と繁栄の礎を築く
 日米同盟を基軸に、豪印など価値観を共有する国々と、自由で開かれたインド太平洋戦略を推進する。TPPや欧州とのEPAをはじめ、新しい時代の世界のルールづくりを我が国がリードして進める。
 北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題を解決し、過去を清算して国交正常化を目指す。領土問題を解決して日露平和条約を締結するとともに、日中関係を新たな段階へと押し上げることで、戦後日本外交の総決算を行う。
 激動する国際情勢の荒波を乗り越え、新しい時代の北東アジアの平和と繁栄の礎を築く。

 最後に、各府省の公務員諸君には、大いに期待している。新たな国づくりには、諸君の斬新な発想力と大胆な行動力が不可欠である。行政のプロとしての誇りを胸に、その持てる力を存分に発揮してほしい。常に、国民の目線を忘れることなく、その心に寄り添いながら、政策立案に当たっては積極的に提案し、現場にあっては果敢に行動してもらいたい。