▽法人企業動向調査(平成十三年十二月実施調査結果)………内 閣 府
▽労働力調査 平成十三年平均結果の概要………………………総 務 省
▽税金365日 海外勤務者と税…………………………………国 税 庁
◇調査要領
本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
・調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万六千社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百一社を対象とした。
・調査時点:平成十三年十二月二十五日
・調査方法:調査は、調査客体法人の自計申告により行った。
なお、資本金が百億円以上の法人企業については、原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
・有効回答率…調査対象法人四千五百一社のうち、有効回答法人四千五十八社、有効回答率九〇・二%
〔利用上の注意〕
(1) 今期三か月の判断とは、平成十三年七~九月期と比較した場合の十三年十~十二月期の判断、来期三か月の見通しとは、十三年十~十二月期と比較した場合の十四年一~三月期の見通し、再来期三か月の見通しとは、十四年一~三月期と比較した場合の十四年四~六月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 「第1図」及び「第1~8表」の十三年十~十二月以前は今期の判断、十四年一~三月は来期の見通し、十四年四~六月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合-下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法Ⅱ、X―11で算出した。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする、会社ベ-スでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四~六月期、JR関係七社については六十二年四~六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より、消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
① 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
② 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
③ 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
④ 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
⑤ 「電気業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
⑥ 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
⑦ 製造業を素材型、加工型に分類。
一 景気見通し(全産業:季節調整値)
1 国内景気(第1表参照)
企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」-「下降」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス六一」の後、十~十二月期は「マイナス六〇」と「下降」超幅が縮小した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス四一」、四~六月期「マイナス二五」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
産業別にみると、製造業は、十三年七~九月期「マイナス六三」の後、十~十二月期は「マイナス六一」と「下降」超幅が縮小した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス三六」、四~六月期「マイナス一九」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、非製造業は、十三年七~九月期「マイナス五九」の後、十~十二月期は「マイナス六〇」と「下降」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス四四」、四~六月期「マイナス二九」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
2 業界景気(第2表参照)
所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」-「下降」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス四七」の後、十~十二月期は「マイナス五三」と「下降」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス三八」、四~六月期「マイナス二五」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
産業別にみると、製造業は、十三年七~九月期「マイナス五五」の後、十~十二月期も「マイナス五五」と同水準で推移した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス三二」、四~六月期「マイナス二〇」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、非製造業は、十三年七~九月期「マイナス四四」の後、十~十二月期は「マイナス五〇」と「下降」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス四一」、四~六月期「マイナス二八」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
二 需要・価格関連見通し(季節調整値)
1 内外需要(製造業)(第3表参照)
企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」-「弱くなる」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス五五」の後、十~十二月期も「マイナス五五」と、同水準となった。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス三二」、四~六月期「マイナス一九」と「弱くなる」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」-「弱くなる」)をみると、十三年七~九月期「マイナス四八」の後、十~十二月期は「マイナス四三」と「弱くなる」超幅が縮小した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二五」、四~六月期「マイナス一二」と「弱くなる」超幅が縮小する見通しとなっている。
2 在庫水準(製造業)(第4表参照)
原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」-「不足」)をみると、平成十三年九月末「二〇」の後、十二年末は「二一」と「過大」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年三月末「一七」、六月末「一一」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十三年九月末「三〇」の後、十二年末は「三一」と「過大」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年三月末「二五」、六月末「一六」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照)
原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」-「下降」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス一六」の後、十~十二月期も「マイナス一六」と同水準になった。
先行きについては、十四年一~三月期に「マイナス五」と「下降」超幅が縮小した後、四~六月期は「マイナス七」と再び拡大する見通しとなっている。
他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」-「下降」)をみると、十三年七~九月期「マイナス三五」の後、十~十二月期は「マイナス三六」と「下降」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二九」、四~六月期「マイナス二二」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
三 経営見通し(季節調整値)
1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照)
売上高に関する判断指標(BSI:「増加」-「減少」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス三一」の後、十~十二月期は「マイナス三五」と「減少」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二二」、四~六月期「マイナス一一」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
産業別にみると、製造業は、十三年七~九月期「マイナス四三」の後、十~十二月期も「マイナス四三」と同水準となった。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二四」、四~六月期「マイナス一〇」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、非製造業は、十三年七~九月期「マイナス二三」の後、十~十二月期は「マイナス二八」と「減少」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二〇」、四~六月期「マイナス一三」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照)
経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」-「減少」)をみると、平成十三年七~九月期「マイナス三三」の後、十~十二月期は「マイナス三六」と「減少」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二四」、四~六月期「マイナス一二」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
産業別にみると、製造業は、十三年七~九月期「マイナス四四」の後、十~十二月期は「マイナス四五」と「減少」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二六」、四~六月期「マイナス一一」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
他方、非製造業は、十三年七~九月期「マイナス二五」の後、十~十二月期は「マイナス二八」と「減少」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「マイナス二二」、四~六月期「マイナス一四」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照)
生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」-「不足」)をみると、平成十三年七~九月期「三四」の後、十~十二月期は「三九」と「過大」超幅が拡大した。
先行きについては、十四年一~三月期「三六」、四~六月期「三二」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
五 設備投資の動向(全産業:原数値)
1 半期別動向(第9表参照)
設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十二年度十~三月期(実績)五・三%増の後、十三年度四~九月期(実績)は〇・三%減と減少に転じた。
先行き十三年度十~三月期(計画)は、九・二%減と、引き続き減少する見通しとなっている。
産業別にみると、製造業は、十二年度十~三月期一二・九%増の後、十三年度四~九月期は一・一%減と減少に転じた。
先行き十三年度十~三月期(計画)は、一七・三%減と、引き続き減少する見通しとなっている。
他方、非製造業は、十二年度十~三月期一・九%増の後、十三年度四~九月期は〇・二%増と、引き続き増加した。
先行き十三年度十~三月期(計画)は五・一%減と、減少に転じる見通しとなっている。
2 資本金規模別動向(第10表参照)
資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業は、平成十二年度十~三月期四・三%増の後、十三年度四~九月期は二・七%増と、引き続き増加した。
先行き十三年度十~三月期(計画)は六・四%減と、減少に転じる見通しとなっている。
他方、資本金一~十億円の中堅企業は、十二年度十~三月期七・三%増の後、十三年度四~九月期は五・三%減と減少に転じた。
先行き十三年度十~三月期(計画)は、一四・三%減と、引き続き減少する見通しとなっている。
3 年度の動向(第11表参照)
平成十三年度の全産業の設備投資額(修正計画Ⅱ)は約四十兆九千億円で、前年度に比べ五・一%減の見通しとなっている。これは修正計画Ⅰ(九月調査時)に比べ二・〇%の下方修正となっている。
産業別にみると、製造業は、約十三兆三千億円で、前年度に比べ九・七%減の見通し(修正計画Ⅰに比べ四・九%の下方修正)となっている。
他方、非製造業は、約二十七兆六千億円で、前年度に比べ二・七%減の見通し(修正計画Ⅰに比べ〇・五%の下方修正)となっている。
また、資本金規模別にみると、資本金十億円以上の大企業は、前年度に比べ二・二%減の見通しとなっている。このうち製造業は四・六%減、非製造業は一・〇%減の見通しとなっている。
他方、資本金一~十億円の中堅企業は、一〇・一%減の見通しとなっている。このうち製造業は一九・〇%減、非製造業は五・七%減の見通しとなっている。
4 四半期別動向(季節調整値)
四半期の動向を前期比でみると、平成十三年七~九月期(実績)四・一%減の後、十~十二月期(実績見込み)は一・七%減と、引き続き減少した。
産業別にみると、製造業は七~九月期一一・七%減の後、十~十二月期は五・六%減と、引き続き減少した。
他方、非製造業は、七~九月期〇・四%増の後、十~十二月期は一・八%増と、引き続き増加した。
5 四半期別動向(原数値)
四半期別の動向を前年同期比でみると、平成十三年七~九月期(実績)三・七%減の後、十~十二月期(実績見込み)は七・一%減と、引き続き減少した。
産業別にみると、製造業は、七~九月期九・八%減の後、十~十二月期は一六・一%減と、引き続き減少した。
他方、非製造業は、七~九月期〇・四%減の後、十~十二月期は二・六%減と、引き続き減少した。
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一 労働力人口
平成十三年平均の就業者と完全失業者を合わせた労働力人口は六千七百五十二万人(男性三千九百九十二万人、女性二千七百六十万人)と、前年に比べ十四万人減と三年連続の減少となった。内訳は就業者が三十四万人減、完全失業者が二十万人増となっている。
男女別にみると、男性は前年に比べ二十二万人減と四年連続減少となっており、女性は七万人増と三年ぶりに増加となった(第1図参照)。
○労働力人口比率
労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は六二・〇%となり、前年に比べ〇・四ポイントの低下と、四年連続で低下した(第1表参照)。
男女別にみると、男性は七五・七%で、前年に比べ〇・七ポイント低下した。これを年齢十歳階級別にみると、三十五~四十四歳で横ばい、その他の年齢階級では低下している。
女性は四九・二%で、前年に比べ〇・一ポイント低下した。年齢階級別では、二十五~三十四歳、三十五~四十四歳及び四十五~五十四歳で上昇、その他の年齢階級では低下している。
二 就業者
就業者数は六千四百十二万人となり、前年に比べ三十四万人減と四年連続の減少となった。減少幅は平成十二年(十六万人減)に比べ拡大している。
男女別にみると、男性は前年に比べ三十四万人減と四年連続で減少となっており、女性は前年と同数となっている(第2図参照)。
(1) 従業上の地位別就業者
就業者を従業上の地位別にみると、雇用者数は五千三百六十九万人で、前年に比べ十三万人増と、二年連続の増加となった。雇用者のうち非農林業雇用者は五千三百三十一万人で、九万人の増加となっている。
このうち、
・常雇は四千六百四十九万人と、前年に比べ十一万人減と四年連続の減少
・臨時雇は五百六十四万人と、十八万人増と昭和五十一年以降増加が継続
・日雇は百十九万人と、三万人増加
となっている。
非農林業雇用者に占める常雇の割合は八七・二%となり、前年に比べ〇・四ポイントの低下となった。常雇の割合は平成七年から七年連続の低下となっており、臨時雇・日雇の割合は平成七年から七年連続の上昇となっている(第3図参照)。
男女別にみると、男性は常雇の割合が高く、女性は男性に比べると臨時・日雇の割合が高い。
また、自営業主・家族従業者は一千十八万人と、前年に比べ五十三万人の減少となっており、就業者に占める自営業主・家族従業者の割合は一五・九%と、前年に比べ〇・七ポイント低下した。
一方、雇用者は五千三百六十九万人と前年に比べ十三万人増加しており、就業者に占める割合は八三・七%と前年に比べ〇・六ポイント上昇している。
(2) 産業別就業者
主な産業別就業者数の対前年増減数をみると、サービス業が五十万人増と引き続き大幅に増加したのに対して、製造業は三十七万人減と九年連続減少、建設業は二十一万人減と四年連続減少した。
運輸・通信業は七万人減、「卸売・小売業,飲食店」は一万人減となった。
(3) 企業の従業者階級別雇用者
非農林業の雇用者を企業の従業者階級別(官公を除く)に前年と比べると、一~二十九人規模が三万人増、三十~四百九十九人規模が三十六万人増、五百人以上規模は二十六万人減少となり、大規模企業の雇用情勢が厳しかったことがうかがえる。
三 完全失業者
完全失業者数は三百四十万人となり、前年に比べ二十万人増加し、三年連続で三百万人を超え、過去最高となった。増加幅は平成十二年(三万人増)に比べ拡大している。
男女別にみると、男性の完全失業者は二百九万人と前年に比べ十三万人増、女性の完全失業者は百三十一万人と前年に比べ八万人増で、男女ともに過去最高となっている(第4図、第5図参照)。
完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・〇%と、比較可能な昭和二十八年以降で最高となっている。男女別では、男性は五・二%、女性は四・七%で、男女ともに過去最高である。
男女別の完全失業率は、平成九年に男女とも三・四%となった後、十年以降、男性の完全失業率が女性の完全失業率を上回って推移している(第5図参照)。
(1) 年齢階級別完全失業率
男女別の完全失業率を年齢十歳階級別にみると、男性は十五~二十四歳が最も高く、次いで五十五~六十四歳が高い。女性は、十五~二十四歳が男性と同じく最も高く、次いで二十五~三十四歳が高くなっている。
なお、男女ともにすべての年齢階級で、比較可能な昭和四十三年以降最高となっている。
(2) 世帯主との続き柄別完全失業率
完全失業率を世帯主との続き柄別にみると、世帯主が三年連続で三・〇%を超え、前年と比べ〇・二ポイント上昇し三・五%となっている。
また、他の続き柄のいずれも上昇しており、比較可能な昭和四十三年以降最高となっている。
(3) 求職理由別完全失業者
完全失業者を求職理由別にみると、
・「非自発的な離職による者」(勤め先や事業の都合(人員整理・事業不振・定年等)により前職を離職)が百六万人
・「自発的な離職による者」(自分又は家族の都合により前職を離職)が百十八万人
・「学卒未就職者」(学校を卒業して新たに仕事を探し始めた者)が十七万人
・「その他の者」(収入を得たい、時間に余裕ができた等の理由で新たに仕事を探し始めた者)が八十五万人
となっている。
「非自発的な離職による者」、「自発的な離職による者」及び「その他の者」は前年に比べ、それぞれ四万人、九万人、五万人の増加となっている。
一方、「学卒未就職者」は一万人の減少となっている(第6図、第7図参照)。
四 転職希望者及び追加就業希望者
就業者(六千四百十二万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は六百五十八万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百六十二万人となっており、前年に比べそれぞれ十五万人、五万人増加している。また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は一〇・三%で、比較可能な昭和四十三年以降最高となった。
転職希望者比率を男女別にみると、男性は〇・二ポイント、女性は〇・三ポイント上昇し、男性は八年連続、女性は七年連続の上昇となっている(第8図参照)。
追加就業希望者も平成九年以降上昇が続いており、十三年は前年と同率の四・七%となった。これを男女別にみると、男性は四・二%、女性は五・三%で、男性は前年と同率、女性は〇・一ポイントの低下となっている。
五 地域別
全国十地域別の平成十三年平均の就業者数及び完全失業率は、次のとおりとなっている。
(1) 就業者数
就業者数は、南関東と九州を除く八地域で、前年に比べ減少している。
(2) 完全失業率
完全失業率及び対前年増減は次のとおりとなっている(第9図参照)。
・北海道…五・九%(〇・四ポイント上昇)
・東北…五・〇%(〇・六ポイント上昇)
・南関東…四・九%(〇・一ポイント上昇)
・北関東・甲信…四・一%(〇・三ポイント上昇)
・北陸…三・九%(〇・三ポイント上昇)
・東海…四・一%(〇・四ポイント上昇)
・近畿…六・三%(〇・四ポイント上昇)
・中国…四・二%(〇・三ポイント上昇)
・四国…五・一%(一・〇ポイント上昇)
・九州…五・六%(〇・二ポイント上昇)
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【居住者と非居住者】
所得税法では、居住者と非居住者では課税される所得の範囲が異なっているため、まず、海外勤務者が居住者・非居住者のいずれに該当するのかという点について判定する必要があります。
所得税法上「居住者」とは、日本国内に住所を有するか又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する人をいい、「非居住者」とは、居住者以外の人をいいます。
(注) 住所とは、生活の本拠をいい、居所とは、生活の本拠ではないが現実に居住している場所をいいます。
この場合、国内又は国外において継続して一年以上居住することが必要な職業を有するときは、それぞれ国内又は国外に住所を有するものと推定することとされています。また、その他における在留期間が契約等によりあらかじめ一年未満であることが明らかな場合を除き、これに該当するものとして取り扱っています。
したがって、海外勤務のため出国した人は、その海外勤務の期間があらかじめ一年未満とされている場合を除き、出国のときから非居住者に該当することとなります。
なお、海外勤務期間が当初は一年未満の予定であったのに、何らかの事情により結果的に一年以上となった場合又は延長命令等により一年以上となることが明らかとなった場合には、出国当初は居住者と判定され、一年を経過した日又は一年以上滞在することが明らかとなった日から非居住者と判定されることになります(海外から日本に転勤となったケースについては、居住者・非居住者の判定をそれぞれ逆とする)。
【非居住者に対する課税】
居住者の課税所得の範囲は、日本国内・国外で得たすべての所得ですが、非居住者の場合には、日本国内で行う勤務による給与所得や、日本国内にある不動産の貸付けによる不動産所得など、日本国内に源泉がある所得(「国内源泉所得」という)に限って課税されます。
一 海外勤務に伴い居住者から非居住者になった場合
年の中途で海外勤務のために出国し居住者から非居住者になった人については、国内での勤務期間に対する給与(その計算期間が一か月以下のものについては、その全額が国内勤務に対応するものである場合を除き、その全額を国内源泉所得に該当しないものとして取り扱われる。通常は、出国後最初に支給される賞与などがこれに該当する)が課税対象となり、国外において勤務した部分に対する給与については、原則として、我が国では課税されません。
なお、給与所得者が年の中途で居住者から非居住者になる場合には、出国の時点においてそれまでの国内勤務期間中に支給を受けた給与(前記の出国後に支給を受ける国内勤務に対する給与を除く)について年末調整を行うこととされています。
また、給与所得以外に確定申告を要する一定の所得を有する人で納税管理人の届出を行わない場合には、出国の時までに確定申告と納税を行う必要があります。
二 非居住者に対する源泉徴収
非居住者に対し一定の国内源泉所得を支払う場合については、その支払の際、源泉徴収を要することとされており、前述の海外勤務に伴い居住者から非居住者になった場合の給与や預金利子・株式配当などについては、原則として二〇%(利子は一五%)の源泉徴収だけで我が国の課税関係が終結することとされています(不動産所得については、源泉徴収がされた上、確定申告(総合課税)を要する)。
なお、支払を受ける人の居住する国によっては、租税条約により所得税が免除されたり、軽減される場合があります。
【居住者に対する課税】
居住者(非永住者を除く)については、前述のとおり、その所得が国内・国外のいずれで発生したかにかかわらず、全世界で発生した所得について課税されます。
(注) 非永住者とは、居住者のうち、国内に永住する意思がなく、かつ、現在まで引き続いて五年以下の期間国内に住所又は居所を有する人をいいます。これに該当する場合、課税所得の範囲が若干異なります。
一 海外勤務者が帰国し非居住者から居住者になった場合
海外勤務者が年の中途で国内勤務となったため帰国し、非居住者から居住者になった人については、その帰国後に支給された給与は国外において勤務した部分に対するものであってもすべて課税対象となり、帰国後に支給を受けた給与の総額を基に年末調整が行われます。
この場合、非居住者期間中に支給された給与で国内源泉所得に該当するとして二〇%の税率による源泉徴収を受けたものがある場合であっても、その給与は分離課税の対象となる所得に該当するため、年末調整の対象となる給与には含まれません。なお、不動産所得があるため確定申告を要する人については、非居住者期間中及び居住者期間中に発生した総額を基として所得計算を行い、前記の年末調整後の給与所得と合わせたところで確定申告をする必要があります。
二 外国で税金が課された場合
居住者は、国内で得た所得だけでなく国外で得た所得についても所得税が課されます。一方、居住者が、外国で事業を行うなどして所得を得た場合には、通常、その国において我が国の所得税に相当する税金が課されます。
このように、居住者の所得について外国で課税された場合には、一つの所得に対してその国と我が国の双方で課税され、国際的二重課税が生じることとなります。そこで、我が国の所得税法においては、このような二重課税を排除するため、外国税額控除の制度を設けています。この制度の適用を受けると、居住者が外国で納付した所得税に相当する税額を、我が国の所得税から一定の金額を限度として控除することができます。
この場合、控除の対象となる外国税額は、外国の法令に基づいて外国又はその地方公共団体により、個人の所得を課税標準として課される税(その所得に対する負担が高率な部分は除く)に限られます。また、この中には、利子、配当、使用料等について源泉徴収される所得税なども含まれます。
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