官報資料版 平成15年8月27日




                  ▽首都圏白書のあらまし…………………国土交通省

                  ▽消費者物価指数の動向(七月)………総 務 省

                  ▽労働経済動向調査(五月)……………厚生労働省











首都圏白書のあらまし


国土交通省


 「首都圏整備に関する年次報告」は、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八三号)第三十条の二の規定に基づき、首都圏整備計画の策定及び実施に関する状況について、報告を行うものである。

全体構成

序 章 トピックで見る首都圏この一年
第1章 首都圏整備をめぐる最近の動向
 第1節 首都圏における都市環境インフラの再生
     〜水と緑と生きものの環(わ)〜
 第2節 首都圏の人の動き
     〜人口の都心回帰と地域拠点の自立〜
 第3節 都市の魅力と活力の創出
     〜活力ある場の創出に向けた都市再生の取組〜
 第4節 東京湾沿岸域の現状と今後の展望
     〜変貌する東京湾沿岸域〜
第2章 首都圏の現況
 第1節 人口・世帯数の状況
 第2節 活力創出に資する機能の状況
 第3節 個人の多様な活動の展開
 第4節 環境との共生
 第5節 安全・快適で質の高い生活環境の整備
 第6節 将来に引き継ぐ社会資本の整備
第3章 首都圏整備の推進
 第1節 首都圏整備計画の推進
 第2節 首都圏整備計画に基づく主要な事業の実施状況
資 料:首都圏整備に関する各種データ

序章 トピックで見る首都圏この一年

 首都圏において、平成十四年度に起こった主要な出来事をトピックとして取り上げ、首都圏整備が着実に進展している様子を写真入りで紹介した。
☆成田空港暫定平行滑走路供用開始<平成十四年四月十八日>
 新東京国際空港(成田空港)では、二本目の滑走路となる長さ二千百八十メートルの暫定平行滑走路が平成十四年四月十八日に供用開始し、この結果、空港の処理能力が年間発着回数十三万五千回から二十万回へと大幅に拡充され、諸外国からの新規乗り入れ・増便等が実現し、利便性が向上した。
☆汐留(しおどめ)シオサイト(SIO―SITE)始動<平成十四年十一月二日>
 都心と臨海地域を結ぶ交通結節空間及び多機能都市空間の形成を目的とした、汐留土地区画整理事業地区「汐留シオサイト(通称)」(東京都港区)において、平成十四年十一月二日に都営大江戸線とゆりかもめの「汐留駅」が開業、同年十二月一日には、電通本社ビルとその商業施設「カレッタ汐留」がオープンし、本格稼動への第一歩を踏み出した。
☆首都高速中央環状線(板橋JCT〜江北JCT)の開通<平成十四年十二月二十五日>
 平成十四年十二月二十五日、首都高速中央環状線(板橋JCT〜江北JCT)七・一キロメートル(うち環状線構成部分六・二キロメートル)が開通した。この道路の完成により、高速五号池袋線、高速川口線及び現在開通している首都高速中央環状線が相互に接続され、バランスのよい首都高速道路ネットワークの形成が促進された。
 このほか、
 ・首都圏外郭放水路 試験通水開始(平成十四年六月八日)
 ・工業等制限制度の廃止(平成十四年七月十二日)
 ・丸ビルグランドオープン(平成十四年九月六日)
 ・東京臨海高速鉄道臨海副都心線(りんかい線)の全線開業と相互直通運転(平成十四年十二月一日)
 ・東武鉄道伊勢崎線と帝都高速度交通営団十一号線(半蔵門線)の相互直通運転(平成十五年三月十九日)
のトピックを紹介した。

第1章 首都圏整備をめぐる最近の動向

 首都圏の近年の動向の中で、特徴的な事柄や圏域整備に資する施策について記述した。

第1節 首都圏における都市環境インフラの再生〜水と緑と生きものの環(わ)〜

1 首都圏の自然環境の現状
(1) 緑地等の減少
 首都圏全体の緑地、農地及び海浜(以下、緑地等)の面積は、平成九年では、約二百九十万ヘクタールであり、昭和五十一年と比較すると約二十年間で約十八万ヘクタール(約六%)減少している。特に、都心からおよそ五十キロメートルの範囲内に相当する近郊整備地帯及び既成市街地では、同じ期間に約七万ヘクタール(約一五%)の緑地等の面積が減少している(第1表参照)。
(2) 自然環境に関する世論の意識
 人々が自然とふれあう機会を増やすことに関する世論調査によると、全国で七〇%以上、東京都区部では八一・六%の人が、自然とのふれあいをより増やしたいと思っている(第1図参照)。
 また、自然とふれあう機会を増やす方法として、「身近な自然を残したり増やしたりする」、「公園や緑地の整備を推進する」との回答が多く、日常の生活の中で自然とふれあう機会を増やしたいと思っている状況がうかがえる。

2 自然環境の総点検
(1) 首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン
 都市再生プロジェクトの一つである「大都市圏における都市環境インフラの再生」の「まとまりのある自然環境の保全」を具体的に推進するため、国土交通省、環境省、農林水産省及び都県市を構成員とした「自然環境の総点検等に関する協議会」が設置され(平成十四年三月)、首都圏としては初めて本格的に、生物の多様性の観点等から首都圏の自然環境のビジョンづくりに取り組んでいる。
 協議会と並行して、学識経験者からなる研究会においても議論を行い、首都圏の自然環境の基本目標、水と緑のネットワーク形成の考え方等について検討し、「首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン(中間報告)」をとりまとめた(平成十五年三月)。今後、検討を進め、保全・再生・創出を総合的に考慮した「首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン」を策定する予定である。
 さらに、保全すべき具体の自然環境について検討するため、自然環境の基本目標を基に首都圏における自然環境を総点検し、「保全すべき自然環境」として二十五のゾーン及び十三の河川を抽出した。平成十四年度には、そのうちの六ゾーンを先行検討地域として、関係する国の機関、地方公共団体、NPO等で構成されるワーキンググループを設置し、緑地の保全の方策や地域住民と行政の協働等の具体的な施策実施の方針について検討を行った(第2図参照)。
(2) 自然環境の保全に向けての地域での取組
 ワーキンググループの事例〜三富新田(さんとめしんでん)ゾーン〜
 先行検討地域の一つである三富新田ゾーン(第2図中J)は、埼玉県に位置し、地域の七割が農地と平地林で占められている。しかし、最近では都市化の進展による緑地の減少等の問題が生じている。ワーキンググループでは、「歴史と文化に培われた、武蔵野の面影を残す平地林や農地の保全と活用」という目標を設定し、三富地域の特色である平地林と農地の一体的保全、地域と市民団体の連携等を提案している。

第2節 首都圏の人の動き〜人口の都心回帰と地域拠点の自立〜

1 夜間人口の都心回帰と昼間流入人口の減少
 東京都区部での人口動向の新たな傾向として、平成七年と十二年との変化をみると夜間人口は増加に転じ、また、近隣県からの昼間流入人口は減少に転じた。この結果、東京都区部の昼夜間人口比率は、平成十二年に初めて低下した(第3図参照)。
 また、東京都区部への十五歳以上通勤・通学者数の推移をみると、これまで一貫して増加を続けていたものが、平成七年に伸び止まり、平成十二年に初めて六・七%減(対平成七年比)と、減少に転じた(第4図参照)。
2 拠点都市における拠点性の向上と圏域の自立性の高まり
(1) 拠点都市における拠点性の向上
 広域連携拠点都市における人口及び年間小売販売額の対首都圏シェアの推移をみると、東京都区部のシェアが低下したのに対し、いずれも広域連携拠点都市のシェアは上昇してきている。このように、広域連携拠点都市において人口や諸機能の集積が進み、拠点性が高まっている(第5図第6図参照)。
(2) 圏域の拡がり
 広域連携拠点都市を中心とした圏域について、例えば昭和五十五年から平成十二年までの二十年間の通勤圏の変化をみてみると、通勤圏域は拡がりをみせていることが分かる(第7図参照)。
(3) 圏域の自立性の高まり
 通学から圏域をみると、東京都区部への通学者比率は低下し、自圏域内通学者比率は高まっており、自立性を高めつつある(第8図参照)。このほか、購買活動からみても、同様な傾向がみられる。
 前記のように、拠点性の高まる広域連携拠点都市を中心として圏域形成が進み、かつ、それぞれの圏域の自立性は高まってきている。

第3節 都市の魅力と活力の創出〜活力ある場の創出に向けた都市再生の取組〜

1 都心マンション居住の進展と生活実態
(1) 都心マンション居住の進展
 近年、都心各地でマンションが供給されているが、特に江東区等の臨海部において規模の大きなマンションの供給が集中している。
(2) 都心マンション居住者の生活実態
 都心居住の生活実態を把握するため、都心のマンション居住者を対象として、マンションの設備や周辺の生活環境等の様々な項目について、購入時に重視した点と入居後の評価を中心としたアンケート調査(平成十五年二月)を行った。
・調査対象:千代田区、港区、中央区、品川区、江東区において平成十一年一月〜平成十三年十二月末の期間に発売された地上三階建て以上の分譲マンションに入居した世帯
・有効回答数:二千三百十世帯
 《アンケート結果》
 @マンション購入時に重視した点
  「交通利便性」や「住まいの設備」は重視されているが、地域のつきあい等の「日常生活環境」は比較的重視されていない(第9図参照)。
 A入居後の評価
  「交通利便性」や「住まいの設備」については、購入時に重視していたとおりに良くなったと感じているが、「日常生活環境」については、以前より悪くなったと感じている(第10図参照)。
 B余暇の変化と満足度
  余暇時間の過ごし方の変化をみると、全体の約九〇%の世帯で余暇時間が増えており、「趣味、娯楽の時間が増えた」、「家族と過ごす時間が増えた」、「自己啓発の時間が増えた」という回答が多い(第11図参照)。
 現在の住まいに対して四五・一%の人が「満足している」と答えており、これに「どちらかといえば満足している」(四五・八%)を加えると、九〇%を超える(第12図参照)。

2 都市再生に関する取組
 都市は、居住、産業、文化等の様々な機能が集積し、経済活動の太宗が行われる、我が国の活力の源泉である。こうした都市の魅力と国際競争力を高め、経済構造改革を図るため、都市再生に向けた取組を行っている。
(1) 都市再生特別措置法
 都市再生の効率的な推進のため、都市再生特別措置法が平成十四年四月に公布、同年六月に施行された。同法においては、「都市再生緊急整備地域」について、民間事業者による都市計画提案制度の創設、各種土地利用規制の特例措置の創設、民間プロジェクトに対する無利子貸付、債務保証等の各種金融支援といった所要の措置を講ずることとしており、首都圏では十七の都市再生緊急整備地域が指定された。
(2) 都市再生プロジェクトの進捗状況
・東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備
 大規模災害時に我が国の中枢機能の回復を早急に図るため、東京湾有明の丘地区と川崎市東扇島地区において広域防災拠点の整備を推進している。
・大都市圏における国際交流・物流機能の強化
 首都圏の空港では、新東京国際(成田)空港において平成十四年四月に暫定平行滑走路の供用が開始された。港湾については、幹線道路網とのアクセス性の向上を図るとともに、大水深岸壁の整備等を行った。
・密集市街地の緊急整備
 地震時に大きな被害が想定される危険な密集市街地において、延焼防止を目的とした密集市街地全体を貫く連続した緑のオープンスペースの形成等を通じ、最低限の安全性を確保するための取組が続けられている。
・東京圏におけるゲノム科学の国際拠点形成
 ゲノム科学の国際的集積拠点の形成を目指し、平成十五年一月に関係都県市、関係府省等からなる東京圏ゲノム科学推進協議会が設置され、具体的な推進方策の検討が続けられている。

第4節 東京湾沿岸域の現状と今後の展望〜変貌する東京湾沿岸域〜

1 東京湾沿岸域の役割
 東京湾沿岸域は、海域や埋立地等の活用により、工業、漁業、陸上・海上交通、生活、海洋性レクリエーション等の場として利用され、首都圏の経済活動の発展、国際交流の進展、市民生活の向上に寄与してきた貴重な空間である。なかでも、埋立地は、面積・居住人口とも首都圏に占める割合はわずかであるにもかかわらず、製造品出荷額では首都圏全体の約二割、粗鋼生産では首都圏全体の約六割を占める等、首都圏における都市活動の源泉としての大きな役割を担っている。

2 産業の移り変わり
 東京湾沿岸域には多くの製造業が集積しているが、全国的に海外移転等により製造業が減少傾向にあるなか、産業構造にも変化が生じている。東京湾埋立地における十年間の従業者数の伸び率を全国と比較すると、製造業の減少率は同程度であるが、サービス業、卸・小売業、建設業の伸び率は全国値を大きく上回っており、これらの産業の雇用の吸収力が特に大きいことがうかがえる(第13図参照)。
 さらに、東京湾埋立地の商業集積地域の小売販売額も全国の水準を上回る増加を示しており、商業施設の集積が進んでいると考えられる(第14図参照)。

3 低未利用地の動向
 近年、各地で低未利用地が発生しており、人口三十万人以上の都市の市街化区域内には、低未利用地が全国で約六万ヘクタール存在するものと推計されている。
 東京湾沿岸域においては、産業構造が変化するなかで、大規模工場の閉鎖等により、大規模な低未利用地が発生している。現在、東京湾沿岸地域には、約二千百四十九ヘクタールの工場跡地、貨物施設跡地、新規埋立地等の低未利用地が存在している。
 このような課題の解決に向け、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に東京湾沿岸地域で七地域が指定され、国や関係地方公共団体による取組が活発化している。

4 住宅開発による土地利用の変化
 東京湾沿岸地域に立地するマンションの供給戸数は増加している。東京湾沿岸地域で、平成十一年から十三年に立地したマンションについて、平成二年時点の土地利用状況の調査を行った結果、ほとんどのマンションが土地の新規造成と利用転換によって建設されたことがわかった(第15図第16図参照)。

5 観光・交流の現況
 東京湾沿岸域には、ホテル、大規模商業施設、広大な土地を利用したテーマパークや大規模な展示場等が数多くみられるようになってきており、来訪者数も増加している。また、東京湾埋立地の展示場等を利用して行われた国際コンベンションへの参加者数は、平成十三年で十二万六千人(首都圏全体の三六%)で、うち一万二千人が外国人であった。
 東京湾沿岸域の主要な集客施設等には、一年間に首都圏の人口の約三倍に当たる約一億三千万人が訪れている。また、数多くの外国人が東京湾沿岸域を訪れており、平成十三年の外国人の推定訪問者数は、横浜三十九万六千人(訪問率八・三%)、東京ディズニーリゾート二十四万八千人(同五・二%)、お台場周辺二十一万四千人(同四・五%)等となっており、東京湾沿岸域が国内のみならず、国際的な交流拠点として、多くの人を惹きつけている(第2表参照)。

第2章 首都圏の現況

 産業、居住、環境、社会資本整備など各分野における首都圏の現況について記述した。

1 業務・産業機能の状況
(1) 最近のオフィス立地動向
 東京都区部における大規模ビルの大量供給、いわゆる「二〇〇三年問題」が注目されている。景気の低迷等ともあいまって、都心のオフィスビルの空室率は短期的に大きな上昇をみており、平成十四年度は六・一%となっている(第17図参照)。
 また、より良いオフィス環境を求めて企業のオフィス移転が進む状況を踏まえると、古いビルの中には、設備が良くない等の理由によって空室のまま取り残される懸念のあるものもあり、そのようなビルについてはリニューアル等の対応を進めていくことが重要である。
(2) 都市型産業の動向
 @ソフト系IT産業の動向
  東京都山手線沿線におけるソフト系IT産業の平成十四年三月から九月の新規開業事業所の分布をみると、秋葉原駅周辺に多くの新規開業事業所が集中している。一方「ビットバレー」と呼ばれIT産業の集積地として有名な渋谷駅周辺では、新規開業事業所の分布は、以前に比べるとまばらである。
  全体として東京都心部のソフト系IT産業は、山手線西部から秋葉原、神田、お茶の水を中心として山手線東部に重心が移りつつある。
 Aマスコミ関連産業
  マスコミ関連産業では、多くが東京都心部に集積しており、発注主である放送業・放送局、広告代理業等の事業所は都心に立地し、これを受注するコマーシャル制作業や録音業等は都心部を中心としてやや西部に偏った郊外部に広がり分布している。

2 NPO等への多様な支援
 首都圏におけるNPO法人の数は、昨年の同じ時期から約一千五百法人増加し、四千法人を超えたところである(平成十五年三月末時点)。
 増加するNPOに対し、行政による様々な支援策が講じられている。例えば、東京都港区では、廃校となった中学校の校舎をNPOの活動場所として提供することにより、学校跡地の有効活用を図るとともに、NPOが活動しやすい環境の整備を図っている。

3 河川環境の保全・回復
 生物の良好な生息・生育環境、水質浄化機能、環境教育の場、遊水機能等を有する良好な自然環境の保全・復元を図るため、平成十四年度から河川事業において自然再生事業を創設し事業を推進している。
 首都圏においては、荒川中流部での土砂埋積等により乾燥化が進む旧河道をいかした蛇行河川の復元(埼玉県)や、荒川下流部での既存護岸の緩傾斜化等による自然河岸・干潟の再生等を実施しており(東京都)、河川環境の改善に向けた取組がなされている。

4 安全な暮らしの実現〜密集市街地の防災対策〜
 首都圏において、現在も数多く存在する密集市街地では、大地震が起これば、建築物の倒壊や大火等の発生等により、多数の人命、財産の損失を招くおそれがあり、早急な整備改善が課題となっている。
 現在、周辺を含めた一体的な市街地整備、老朽木造住宅の段階的な建て替えと狭隘道路の拡幅等、地域の特性に応じた様々な取組が行われている。
 さらに、平成十三年十二月には、「密集市街地の緊急整備」が都市再生プロジェクト(第三次決定)に位置付けられ、平成十五年三月には、密集市街地の防災性の向上等を一層促進するため、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会に提出されたところである。

5 交通体系の整備
(1) 首都圏の環状道路の整備の推進
 首都圏の環状道路を構成する、首都高速中央環状線、東京外かく環状道路(外環)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)については、約八十五キロメートル(全体計画の約二〇%)が供用されており、そのうち、平成十四年度には首都高速中央環状線の板橋〜江北間、圏央道のつくば〜牛久間が供用した。これらの道路整備は、都市再生プロジェクトの一つである「大都市圏における環状道路体系の整備」として位置付けられている。
(2) 連続立体交差事業の推進
 首都圏等の市街地では、長時間遮断する踏切があり、道路交通渋滞の一因となっている。連続立体交差事業は、多数の踏切を同時に除却し、道路交通の円滑化、安全性の向上、市街地の一体化を図る等、多様な効果が期待される事業である。西武鉄道池袋線(江古田〜石神井公園区間)の連続立体交差事業は、平成十五年三月に事業が完了した。この事業により、十九か所の踏切が除却され、周辺の道路交通の円滑化等が図られた。
(3) 首都圏の鉄道
 最近の首都圏における鉄道整備は、通勤通学時の混雑緩和、高速化や空港アクセスの強化等、鉄道サービスの向上を目指し、輸送力の増強や速度向上等のための整備を行っている。平成十四年度には、帝都高速度交通営団十一号線(半蔵門線)の延伸と東武鉄道伊勢崎線の直通化の完成により相互直通運転が開始される等、鉄道のネットワーク化が進み、時間短縮等の利便性の向上が図られている(第3表参照)。

 このほか、オフィス立地動向、テレワーク等個人の多様な活動、海域環境の保全・再生等環境との共生、空港・港湾等の社会基盤の整備の状況等を記述した。

第3章 首都圏整備の推進

 首都圏整備に資する国土交通省の各種施策や平成十四年度の事業実施状況について記述した。

1 業務核都市の整備
 第五次首都圏基本計画では新たに町田市・相模原市、(八王子市・立川市・)多摩市、川越市、春日部市・越谷市、柏市を中心とする地域が業務核都市として位置付けられた。これまでに千葉、木更津、埼玉中枢都市圏、土浦・つくば・牛久、横浜、八王子・立川・多摩、川崎及び厚木の八地域の業務核都市基本構想が承認された。また、青梅市、熊谷市、成田市、町田市・相模原市、川越市、春日部市・越谷市、柏市については、現在関係都県等において基本構想作成のための準備が行われている。

2 国の行政機関移転の推進
 平成十五年三月末までに、移転対象の七十六機関十一部隊等(廃止等により現在は七十一機関十一部隊等)のうち、さいたま新都心地区への集団的移転(九省庁十七機関、約六千三百人、平成十二年五月完了)をはじめとする五十三機関十一部隊等の移転が完了している。また、平成十四年六月には、連絡会議を開催し、移転計画の見直しを行う等、今後の取組について確認を行った。残る移転対象機関についても、平成十四年六月に申し合わされた移転計画にしたがって移転が円滑に実施されるよう、その着実な推進を図っている。

3 筑波研究学園都市の整備
 平成十四年度においては、国等の試験研究・教育機関の施設整備事業について農林水産技術会議事務局筑波事務所中央データセンター等が完成するとともに、公共公益的施設については、首都圏中央連絡自動車道(常磐自動車道〜国道六号牛久土浦バイパス間)及び国道六号牛久土浦バイパスの工事を推進し、一部区間については三月下旬に供用を開始している。情報関連では、つくばポータルサイト検討委員会を設置し、平成十五年一月につくばに関する各種の有益な情報の窓口となるインターネットホームページを開設している。

4 国会等の移転に関する検討
 現在、国会等移転審議会の答申を踏まえ国会において大局的な観点から移転に関する検討が進められている。特に、平成十四年七月の衆議院・国会等の移転に関する特別委員会理事会において、移転の規模、形態や新たな移転手法(PFI、証券化等)等のコンセプトの見直しについての検討を早急に行う等の申し合わせが行われた。また、参議院・国会等の移転に関する特別委員会理事会においても、国会等の移転について早急に結論を得るべく各会派で意見集約に努めることとする申し合わせがなされ、参考人質疑等を通じて検討が進められている。

 このほか、首都圏整備計画の推進、大深度地下の適正かつ合理的な利用の推進等について記述した。


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(七月中旬速報値)・全国(六月)―


総 務 省


◇七月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・三となり、前月比は〇・四%の下落。前年同月比は〇・五%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年十一か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・四となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年十か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・四%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、被服及び履物の下落が要因となっている。
 なお、教養娯楽などは上昇した。
[主な内訳]
食料
 生鮮果物(一四・九%下落)…さくらんぼ、すいかなど
被服及び履物
 衣料(四・四%下落)…背広服(夏物)など
教養娯楽
 教養娯楽サービス(一・三%上昇)…外国パック旅行など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・五%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、住居、被服及び履物、教養娯楽などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
食料
 生鮮野菜(五・六%下落)…きゅうりなど
住居
 家賃(〇・五%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
被服及び履物
 シャツ・セーター・下着類(三・〇%下落)…婦人Tシャツ(半袖)など
教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一六・〇%下落)…パソコン(ノート型)など
保健医療
 保健医療サービス(一一・〇%上昇)…診療代など

◇六月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・二となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年十か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九八・一となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年九か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・三%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料などの下落が要因となっている。
[主な内訳]
食料
 生鮮野菜(六・七%下落)…キャベツ、トマトなど

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・四%の下落となった内訳を寄与度でみると、教養娯楽、食料、家具・家事用品、被服及び履物などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一五・七%下落)…パソコン(ノート型)など
食料
 生鮮魚介(四・一%下落)…かつおなど
家具・家事用品
 家庭用耐久財(七・二%下落)…電気冷蔵庫など
被服及び履物
 衣料(二・六%下落)…男児ズボンなど
保健医療
 保健医療サービス(一一・一%上昇)…診療代など




















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労働経済動向調査


平成十五年五月結果の概況


厚生労働省


T 調査の概要

 労働経済動向調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者三十人以上を雇用する民営事業所五千三百五十八事業所を対象として、年四回実施(通信調査方式)しているもので、平成十五年五月一日現在の調査結果である。
 (注) 平成十一年二月の調査から、調査対象産業を従来の五産業に金融・保険業、不動産業を追加し七産業とした。

U 結果の要旨

一 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上
《卸売・小売業, 飲食店、サービス業の実績でマイナス幅が縮小》
 生産・売上判断D.I.(平成十五年一〜三月期実績)は、製造業でマイナス一ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス三ポイント、サービス業でマイナス一ポイントとなり、製造業でマイナスに転じ、卸売・小売業,飲食店及びサービス業でマイナス幅は縮小した。先行きは、十五年四〜六月期実績見込及び十五年七〜九月期見込は三産業ともマイナスとなっている(第1表参照)。
(2) 所定外労働時間
《製造業の実績は引き続きプラス、サービス業はプラスに転じた》
 所定外労働時間判断D.I.(十五年一〜三月期実績)は、製造業でプラス四ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス一ポイント、サービス業でプラス一ポイントとなり、サービス業でプラスに転じた。先行きは、十五年四〜六月期実績見込及び十五年七〜九月期見込は三産業ともマイナスとなっている(第1表参照)。
(3) 常用雇用
《三産業とも実績でマイナスが継続》
 常用雇用判断D.I.(十五年一〜三月期実績)は、製造業でマイナス一四ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス一二ポイント、サービス業でマイナス九ポイントとなり、三産業ともマイナスが継続している。先行きは、十五年四〜六月期実績見込及び十五年七〜九月期見込は三産業ともマイナスとなっている(第1表参照)。
(4) パートタイム雇用
《サービス業の実績でプラスに転じた》
 パートタイム雇用判断D.I.(十五年一〜三月期実績)は、製造業でマイナス一ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス六ポイント、サービス業でプラス一ポイントとなり、卸売・小売業,飲食店でマイナス幅が拡大し、サービス業でプラスに転じた。先行きは、十五年四〜六月期実績見込は卸売・小売業,飲食店でプラスとなっているが、十五年七〜九月期見込は三産業ともマイナスとなっている(第1表参照)。

二 労働者の過不足状況
(1) 常用労働者
《過剰感は横ばい》
 五月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではマイナス六ポイントと前期と比べると横ばいとなっている。産業別には、運輸・通信業、金融・保険業で不足感が強まり、建設業で過剰感が強まっている。サービス業では不足から過剰に転じている(第1図参照)。
(2) パートタイム労働者
《不足感はほぼ横ばい》
 五月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではプラス八ポイントと前期(プラス七ポイント)と比べると、不足感はほぼ横ばいとなっている。産業別にみると、建設業で過剰感がやや強まり、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業及びサービス業で不足感が強まっている。

三 雇用調整
(1) 実施割合
《引き続き低下》
 雇用調整を実施した事業所割合(平成十五年一〜三月期実績)は、調査産業計では二二%と、前期と比べると一ポイント低下した。産業別にみると金融・保険業、サービス業を除く産業で低下した(第2図参照)。
(2) 実施方法
 雇用調整の実施方法は、調査産業計では、残業規制(一〇%)の割合が高く、次いで配置転換(七%)となっている。残業規制の割合は、引き続き低下している。

四 中途採用
 「中途採用あり」とした事業所割合(平成十五年一〜三月期実績)は調査産業計で四三%と前年同期と比べると横ばいとなっている。

五 平成十六年新規学卒者の採用計画等
(1) 採用計画
《大学卒(理科系)で増加が減少を上回る》
 平成十六年新規学卒者の採用予定者数を十五年の採用者数と比べると、調査産業計では、大学卒(理科系)で「増加」とする事業所割合が「減少」とする事業所割合を上回っている。その他の学歴では大学卒(文科系)で「増加」と「減少」が同じ割合、高校卒、高専・短大卒、専修学校卒で「増加」が「減少」を下回っている。
 「増加」とする事業所割合を前年と比較すると、大学卒(文科系)で横ばいのほかは、すべての学歴で増加している。
(2) 採用計画の理由
 十六年新規学卒者の採用予定者数を「増加」とする理由(複数回答)を学歴別にみると、大学卒(理科系)で「技術革新への対応・研究開発体制の充実」、高校卒、高専・短大卒、大学卒(文科系)で「年齢等人員構成の適正化」の割合が最も高くなっており、専修学校卒では「年齢等人員構成の適正化」及び「前年は新規学卒者の確保ができなかった」の割合が高くなっている。一方「減少」とする理由(複数回答)をみると、すべての学歴で「人件費比率の抑制・定員管理の見直し」の割合が最も高くなっている。





知っておきたい国際・外交キーワード


ICRC=赤十字国際委員会

設立:一八六三年
本部:ジュネーブ(スイス)

 在ペルー日本国大使公邸占拠事件で、ゲリラ側との仲介役に当たった赤十字国際委員会。なぜ、そんな役割に赤十字がかかわるのだろうと疑問に思われた方もいるのではないでしょうか。
 一八六三年、武力紛争時の傷病者の保護を目的として設立された赤十字。それは、創設者アンリ・デュナンが示したように、人道主義的立場に基づき、国や敵味方の区別なく戦争犠牲者を救済しようという初の試みでした。
 現在、国際赤十字は、赤十字国際委員会(ICRC=International Committee of the Red Cross)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC=International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies:各国赤十字社の国際連合体)と各国赤十字社によって構成されています。
 IFRCおよび各国赤十字社が平時の疾病予防や災害救護の活動を担っているのに対し、ICRCは、特に戦争や国内紛争などの場面で重要な役割を演じます。
 主な活動は、紛争犠牲者を対象とした緊急救援物資の援助、医療・衛生活動支援、捕虜収容所の訪問、離散家族や失踪(しっそう)者の捜索など。そのほかに、必要に応じて、紛争当事者間の仲介や各国赤十字社間の調整も行います。
 ICRCの活動は、赤十字の基本原則(人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性)に基づくものであり、委員会を構成する委員は、永世中立国のスイス国民に限られています。
 その中立性は国際的に高く評価されており、総会オブザーバーとしての地位を獲得しています。




    <9月3日号の主な予定>

 ▽交通安全白書のあらまし………内 閣 府 

 ▽月例経済報告(八月)…………内 閣 府 




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