令和3年12月21日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 今後、日本財政にどのように道筋を付けていく考えなのでしょうか。増税はやむなき選択肢なのか、それともそれ以外の道もあり得るのか。現状の総理の考えを教えて下さい。【テレビ東京】

(回答)
 今は新型コロナという危機の最中(さなか)にあり、必要な財政支出は躊躇(ちゅうちょ)なく行い、万全を期さなくてはなりません。この思いで必要な施策を積み上げ、総額55.7兆円の大規模な経済対策をまとめました。
 経済あっての財政であり、順番を間違ってはいけません。
 他方で、足下の新型コロナ対策や経済対策を行うことと、中長期的に財政健全化に取り組むことは決して矛盾しないと考えています。
 新型コロナの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組む、というのが基本方針です。

(質問)
 敵基地攻撃能力について、抑止力を高める趣旨だと発言しているが、そもそも他国領域で攻撃することに主眼を置く装備の保有は、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢とは相容れないのではないか。伝統的な防衛戦略を転換するほど安保環境が厳しさを増しているということか。【東京新聞】

(回答)
 政府としては、憲法上許されない、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有する考えはありません。専守防衛の考え方を変更する考えもありません。

(質問)
 国会議員の文書通信交通滞在費について、総理は使い道を全て公開すべきだとお考えでしょうか、その理由と共にお伺いします。党総裁として、通常国会で使い道の公開や余った分の返還に向けた改革を行う意思があるかどうかもお伺いします。【北海道新聞】

(回答)
 文書通信交通滞在費については、議員活動の在り方に関わる重要な課題であると認識しておりますので、改正の射程をどうするかを含め、各党各会派における真摯な議論を通じて、合意を得る努力を重ねていくべきものと考えています。
 次の通常国会においても、こうした議論に誠意を持って臨むことが重要であると考えています。

(質問)
 尖閣(せんかく)問題をめぐって日中の対立が続く中、どのようにして対立をエスカレートしないようにするのか。総理の言うように具体的にコントロールするのか。その一つが50年前の日中正常化の際に周恩来と田中角栄が合意したとされる「棚上げ」ではないか。また、中国の海洋進出に関連し、総理は日本が将来、原子力潜水艦を保有する必要性についてどう考えるか。総理の率直な見解を伺いたく存じます。【Janes Defence Weekly】

(回答)
 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しています。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在していません。
 このような我が国の立場は一貫しており、中国側との間で尖閣諸島について「棚上げ」や「現状維持」について合意したという事実はありません。この点は、中国側にも幾度となく明確に指摘してきています。
 自分は総理就任後、早速、首脳電話会談で、直接、習近平主席に対し、尖閣諸島をめぐる情勢についても率直に提起しました。今後とも、ハイレベルの機会も活用しつつ、主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていくとともに、冷静かつ毅然(きぜん)と対応していきます。
 また、現在、原子力潜水艦を保有する計画はありません。

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