令和7年4月1日石破内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【東京新聞】
「熟議と公開」について
(回答)
衆議院では29年ぶり、参議院では初となる国会による予算修正がなされたことは歴史的なものです。党派を超えた政策協議の成果や、国会での審議内容を取り入れて成案を得たことは、「熟議の国会」の成果であると考えています。
党派を超えた合意形成を図るため、与党、野党ともに、責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努める、との姿勢で政権発足以来取り組んでまいりました。
特に、国会において野党の議員と議論する際には、その後ろにいらっしゃる有権者の皆様に、「なるほど政府はそう考えているのね」と思ってもらえるような、丁寧な議論・説明を心がけてまいりました。昨年の補正予算や今次予算など一定の成果が上がってきたと考えています。今後ともこうした姿勢で国民の皆様のために取り組みます。
【西日本新聞】
空襲被災者に関する議員立法について
(回答)
本年は戦後80年を迎える年です。先の大戦においては、全ての国民が何らかの戦争の犠牲をこうむっており、一般市民の中にも筆舌に尽くし難い労苦を体験された方が多数おられると承知しています。
政府としては、これまでも、一般戦災者に対して、一般の社会保障施策の充実などを図る中、その福祉の向上に努めてきたところです。
御指摘のように、現在、超党派の議員連盟において、空襲被害者に対する特別給付金の支給、実態調査等を内容とする議員立法について議論されていることは承知しており、引き続きその動きを注視しながら、政府として更に何ができるのか考えてまいります。
【京都新聞】
高等教育の在り方について
(回答)
我が国の高等教育の進学率は、世界トップクラスの87パーセントです。「規模」の面でも「アクセス」の面でも改善が進んできている中で、
・ 急速な少子化等を踏まえた高等教育全体の「規模」の適正化を図りつつ、
・ 都市部か地方部かにかかわらず、教育研究の「質」を高めていく
ことが重要です。
このため、厳格な設置認可審査への転換や再編・統合を推進する一方で、
・ 地域の将来ビジョンやそれに見合った大学等の研究・教育の構想を地域で共有した上で人材育成を行うため、産官学金労言等の関係者が議論する協議体(プラットフォーム)の構築、
・ 大学等で共同した科目開設や組織運営など地域における大学間の連携強化
など「質」を担保する取組みの強化を通じて、地域の高等教育環境を確保してまいります。
【中国新聞】
戦後80年について
(回答)
これまでの内閣総理大臣談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいきます。
新たな談話の発出や戦争検証のための有識者会議を設置するか否かについては、現時点で何らの決定も行われていません。
また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けて、被爆の実相の正確な理解の促進を含め、核兵器国・非核兵器国双方と連携しながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねていく必要があります。
そのための具体的な方法としていかなるものが適切かについては、国連総会への核兵器廃絶決議の提出を通じた関係国との議論や、来年予定されるNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議に向けたプロセスといった様々な場における努力を含め、不断に工夫を重ねてまいります。
【ジャパンタイムズ】
ウクライナについて
(回答)
ウクライナ情勢に関しては、三年の長きにわたって継続してきた戦争を終結させようと合衆国、欧州各国による外交努力が今まさに行われています。
その中で、我が国も、ロシアによるウクライナ侵略について、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との強い問題意識をもってこれまでも対応してきました。
こうした問題意識から、我が国として、ウクライナにおける和平をもたらすにあたり、誤った教訓が導き出されてはならないこと、この問題が合衆国の関与なくして解決が可能なのかという観点も併せて考える必要があること、合衆国、欧州を含むG7の結束が何よりも重要であることを強調してきており、今後も機会を通じてこうした我が国の立場を各国に働きかけるとともに、国際社会にも発信していく考えです。
我が国としては、各国の外交努力が、合衆国、欧州各国を含む国際社会の結束の下、長年にわたる戦闘行為の終結、更には一日も早い公正かつ永続的な平和実現につながるよう、引き続き、国際社会と緊密に連携して取り組んでいきます。
【信濃毎日新聞】
選択的夫婦別氏制度について
(回答)
夫婦の氏の在り方については、国民の間に様々な意見があり、全ての人が最善であると満足できるものはありません。
政府としては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要であると考えております。
なお、自民党の対応についてあえて申し上げれば、党としても、夫婦の氏の在り方について、どのような案であればより多くの方々の御理解をいただけるのか、今まさに積極的な議論を重ねているところであり、引き続き、議論の頻度・熟度を高めてまいります。
【TBSラジオ】
杉田氏の発言について
(回答)
個々の政治家の言動の一つ一つについて、政府としてコメントすることは差し控えます。
経済的な理由等で生理用品を購入できない女性がいるという「生理の貧困」については、女性の健康や尊厳にかかわる重要な課題と認識しております。
政府としては、内閣府において地方公共団体が、不安や困難を抱える女性に寄り添った相談支援の一環として行う生理用品の提供を、地域女性活躍推進交付金により支援しています。
地方公共団体が、地域の実情に応じて創意工夫を凝らした取組を進めていただけるよう、地域女性活躍推進交付金の活用を促すとともに、引き続き、地方公共団体における取組に関する情報提供を行ってまいります。
【日刊ゲンダイ】
選択的夫婦別氏制度について
(回答)
夫婦の氏の在り方については、国民の間に様々な意見があり、全ての人が最善であると満足できるものはありません。
政府としては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要であると考えております。
そのため、私の政治家個人としての見解について申し上げることは差し控えますが、自民党の対応についてあえて申し上げれば、党としても、夫婦の氏の在り方について、どのような案であればより多くの方々の御理解をいただけるのか、今まさに積極的な議論を重ねているところです。現時点で結論を得る期限を区切っているものではありませんが、責任政党として答えを出すべく、引き続き、議論の頻度・熟度を高めてまいります。
【大川豊氏(フリーランス)】
就労継続支援A型事業について
(回答)
地域住民の抱える課題が多様化・複雑化する中、地域住民や地域の多様な主体が参画し、地域の中でつながり、支え合い、共に地域を創っていく地域共生社会を実現することが重要です。
こうした社会の実現に向けて、高齢者、障害者、児童等の対象者に関わらず、属性を問わない包括的な支援を提供する仕組みを推進していくこととしています。政府としては、これまでも、それぞれの自治体が包括的な支援体制を具体的に構築する際の参考となるよう、御指摘の就労継続支援A型事業を含め、既存の社会福祉施設や福祉サービス事業所などの地域資源を活用し、事業の本来の支援対象者とは異なる支援対象者に社会参加に向けた支援を行う場合の具体的な取扱いをお示しするなどの取組みを行っているところです。
引き続き、誰もが能力や個性を最大限生かすことができる社会の実現に取り組んでまいります。