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 トップ会議等一覧日・ASEAN包括的経済連携構想を考える懇談会印刷用(PDF)


日・ASEAN包括的経済連携構想を考える懇談会
中間報告 要旨


 小泉内閣総理大臣は、平成14年1月14日、シンガポールにおいて 「ASEAN諸国訪問における政策演説」を行い、「日・ASEAN包括的経済連携構想」を提案した。これは、貿易、投資、その他の分野で大胆に障壁を取り外し、金融、情報通信技術、科学技術開発、知的交流・人材育成、中小企業育成、競争政策など、多くの分野における協力をさらに促進することによって、日本とアセアン全体の経済連携の実をあげようというものである。「日・ASEAN包括的経済連携構想を考える懇談会」の中間報告は、この「連携構想」についての懇談会の基本的な考え方、今後に向けての問題関心を、率直に、中間的に記したものである。

1 経済連携の意義

  • 東アジアに平和と安定が実現され、この地域が再び世界の成長センターとなることは、世界の平和と繁栄にとって非常に重要である
  • 平和で繁栄し人々の自由が確保される東アジア、そういう近隣圏をこの地域につくることは、日本にとって大きな戦略的利益となる
  • 東アジアが世界の成長センターとなることはわれわれ日本人の生活水準の維持、向上の鍵である
  • 地域連携は日本の改革のためにも重要である

2 当面の進め方と連携のねらい

2−1 日・ASEAN首脳会議で日本・アセアン経済連携へのコミットメントを政治宣言のかたちで確認し、連携構想具体化への道筋をつける
 第一に、日本とアセアン10か国の首脳は、政治宣言によって、日本・アセアンの経済連携が日本、アセアン双方の利益となるものであること、その実現のために日本とアセアンは包括的経済連携構想にコミットすること、日本・アセアン包括的連携構想の目的は日本とアセアン全体の経済連携にあること、を確認する。
 第二に、政治宣言においては、連携構想具体化の枠組みとして、以下の基本的事項をもりこむ。(1)日本・アセアンの経済連携は対象分野の包括性が重要であり、財・サービス貿易、投資、人の移動などの分野で大胆に障壁を取り外し経済連携進展の実をあげるとともに、金融、情報通信技術、科学技術開発、知的交流・人材育成、中小企業育成、観光、放送などの分野で積極的に連携を強化すること、(2)経済連携実現の交渉はできるだけ迅速に進められるべきであり、すでに協定が発効しているシンガポールをのぞくアセアン九カ国との二国間経済連携協定については2006年末までにできるだけ多くの国と締結することを目標とすること。
 第三に、日本・アセアン包括的経済連携構想に提示される日本・アセアンの経済連携は、アセアン全体の経済統合の進展と軌を一にしてはじめて意味のあるものとなる。したがって、政治宣言においても、日本は、日本・アセアン経済連携の促進とともに、アセアン内の格差是正その他、さまざまの支援によって、アセアン経済統合進展・格差是正に貢献していくことを明らかにすると同時にアセアン各国の努力を促す。
 日本・アセアン経済連携構想は、現実的には、当面、二国間の包括的経済連携の積み重ねとして具体化される可能性が大きい。

2−2 東アジア全体の地域的経済統合を展望し、その一環として日本・アセアン包括的経済連携をとらえる

3 個別分野
 日本・アセアン経済連携の実をあげるためには、モノ、サービス、カネ、人、情報が、国境を越えて自由に、円滑に移動できるような制度環境をつくる必要がある。その具体的な例としては、以下のような分野の連携が挙げられる。

3−1 自由貿易協定をつくって貿易の自由化を進める

  • 自由貿易協定はWTOルールと整合的なものとする
  • 関税撤廃の影響は実態に即して評価する
  • 経済安全保障の目的は国民の繁栄と福祉を守ることにある

3−2 経済統合深化のために制度等を整備する

  • 経済活動の効率を上げ資産を守る制度をつくる
  • 安全で円滑な輸送システムをつくる
  • 効率的な金融市場の育成と為替の安定をはかる
  • 人の移動をできるだけ自由に円滑にする

3−3 知的交流、人材育成、環境協力を進める

  • 知的交流
  • 地域の理解と文化の交流
  • 初等中等教育への協力
  • 環境保全への協力

4 まとめ
 いまわれわれは時代の大きな転換点にある。われわれの未来は、守りの姿勢では、開けない。日本はこれからますます高齢化、少子化社会となっていく。そうしたなかで、われわれがこれまで享受してきたような安全と豊かさを維持していくには、世界の成長センター、東アジアの一員として、世界と東アジアの平和と安定と繁栄に貢献しつつ、世界の中の日本、東アジアの中の日本として、生きていかなければならない。そのためには、われわれは、日本の政治経済社会システムを大きく改革し、世界のだれもが住みたい、働きたい、子供を育てたい、教育を受けたいと思う、そういった日本をつくり、優秀な人材を引きつけ、日本の経済を活性化しなければならない。地域連携はこうした目的実現のための第一歩となるものであり、その具体化にあたっては、国内の既得権益、セクショナリズム、先例主義を克服し、日本政府一体となって、日本の国益とはなにかを常に念頭におきつつ、大胆に、かつ細心に、努力しなければならない。