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 トップ会議等一覧IT戦略本部e-Japan重点計画-2002 印刷用(PDF形式)


  1. 教育及び学習の振興並びに人材の育成

    <目標>
    @ 2005年のインターネット個人普及率予測値の60%を大幅に上回ることを目指し、すべての国民の情報リテラシー1の向上を図る。
    A 小中高等学校及び大学等のIT教育体制を強化するとともに、社会人全般に対する情報生涯教育の充実を図る。
    B IT関連の修士、博士号取得者を増加させ、国・大学・民間における高度なIT技術者・研究者を確保する。併せて、2005年までに3万人程度の優秀な外国人人材を受入れ、米国水準を上回る高度なIT技術者・研究者を確保する。

    (1)現状と課題

     我が国が世界最先端のIT国家となり、国民すべてがITの恩恵を享受できる社会を実現するためには、ITを実際に活用する「人」に着目し、「IT人づくり」を推進していくことが重要である。
     上記目標の達成に向け、これまで関連施策を積極的に実施してきたところであるが、これらの取組を通じて、インターネットの利用人口の増加や学校教育の情報化の進展など、一定の成果を収めている。
     具体的には、インターネットの利用率については、1999年に21.4%であったが、現在では、ほぼ半数が何らかの形で利用していると考えられる状況にある。また、公立学校のインターネット接続率は、2000年3月の57.4%から、現在では、100%になっていると見込まれる。
     しかしながら、世界のIT化は我が国以上に急速に進展し続けている。
     例えば、学校教育の面では、米国と比較した場合、教育用コンピュータの一台当たり生徒数が米国は2000年の時点で5人であるのに対して、我が国は2001年3月の時点で13人である。また、ITの専門的な人材についてみれば、民間企業の調査において、米国と比較した場合、最上級レベルの人材が不足しているという結果も出ているところであり、なお、努力すべき点が見受けられる。
     また、この一年で、ITをめぐる環境も大きく変化している。例えば、インターネットの回線速度の高速化が進み、低料金での常時接続が実現されたことなどから、ハードの整備だけではなく、その利用の内容と程度が問われる状況になってきていること等が挙げられる。今後のIT政策の立案にあたっては、このような動向を考慮しつつ、新たな取組を指向していくことも不可欠である。
     以上のような観点から、今後とも、国民全体のITに関する教育及び学習の振興を図り、国民がITを一層主体的・積極的に活用する環境を醸成しなければならない。また、我が国の国際競争力を維持・強化していくため高度で専門的な知識や技術を持った創造的な人材を早急に確保する必要がある。

    <教育及び学習の振興並びに人材の育成に関する主要指標>
    ・ インターネットに接続された公立学校 全38,995校中81.1%(2001年3月現在)
    [全39,096校中57.4%(2000年3月現在)]
    ・ インターネット接続が可能な公共施設 公民館等1,793ヶ所(1999年10月現在)
    ・ IT関連の修士課程修了者13,509人、博士課程1,637人(2000年度)
    [修士課程修了者12,650人、博士課程1,568人(1999年度)]
    ・ 在留資格「技術」に係る外国人登録者数 16,531人(2000年12月現在)
    [15,668人(1999年12月現在)]

    (2)施策の意義

     すべての国民がIT活用能力の向上を図り、ITのフロンティアを開発する技術者、研究者などの専門家を育成することは、活力あるIT社会を実現するための基盤として不可欠である。
     「IT人づくり」の推進にあたっては、育成すべきIT人材について、
    @ 将来を担う子どもたちがITを活用できる能力を身につけるための「学校教育の情報化等」、
    A すべての国民が日常の生活の中でITを活用するための「国民のIT活用能力の向上」、
    B 世界最先端レベルのIT知識水準を達成するとともに、IT活用能力不足に起因する雇用のミスマッチを解消し、労働生産性を高めるための「IT分野の専門家の育成・活用及び職業能力開発」、
    の3分野にわけ、児童・生徒、一般の国民、職業人、学生、専門家等にわたる総合的な施策を重点的かつ戦略的に実施していくこととする。

    (3)これまでの主な成果

     2001年度までに、以下に示すように施策の着実な実施が図られ、学校のインターネット接続等による学校教育の情報化や、各種のIT講習の充実などによる国民のIT活用能力の向上、教育研究機関の制度改正や環境整備による専門家の育成等が進んでいる。

    @ 学校教育の情報化等
    ア) 学校のIT環境の整備
    ・ すべての公立小中高等学校等にインターネット接続見込み(文部科学省)(2002年3月)
    ・ 高速回線を用いた教育方法や教育用ネットワークの在り方等についての研究開発を行うため、小中高等学校等のインターネット高速接続(文部科学省、総務省)(2002年3月現在 3,175校に接続)
    ・ 盲学校点字ネットワークシステムのインターネット対応化(文部科学省)(2001年5月インターネット対応化)
    ・ 大学等における教育研究の情報化の推進(国立大学等の学内LANの高度化、大学における教育研究の深化に対応できる高度情報基盤の整備)

    イ) IT活用型教育の本格的実施の推進
    ・ 国内外の学校及び地域社会・企業等との連携による共同プロジェクトの実施(文部科学省、経済産業省)(Eスクエア・プロジェクト2として68プロジェクト、地域産業教育情報化推進事業として12プロジェクトを実施)

    ウ) IT指導力の向上
    ・ 全公立学校教員のIT指導力向上(文部科学省)(2001年3月現在 79.7%の公立学校教員がコンピュータ操作可能)
    ・ 各都道府県において、IT専門家1万人を含め、社会人を小中高等学校等へ派遣できるよう体制を整備。(文部科学省)

    エ) 教育用コンテンツの充実・普及
    ・ 学校向けに有害情報に対応するレイティング・フィルタリングソフトウエア3及びシステム等を開発・運用(経済産業省)(レイティング・フィルタリングツールダウンロード数1,450件、有害サイト情報参照数1,137,425件)
     
    A 国民のIT活用能力の向上
    ア) IT利用機会の継続性の確保及び利用環境の整備
    ・ IT基礎技能講習の実施(総務省)(2001年12月現在 約386万人に対して実施)
    ・ 中小企業経営者向けIT講習の実施(経済産業省)(2002年3月現在 約23万人に対して実施)
    ・ 消費者向けIT講習の実施(内閣府)(2001年度末現在18.5万人)(2002年3月現在、約18.5万人に対して実施)
    ・ 経営者向けの情報化投資企画立案支援講習の実施(経済産業省)(2002年3月現在 約1.5万人に対して実施)
    ・ 農林漁業者向けのIT講習の実施(農林水産省)(2002年3月現在 約1.5万人に対して実施)
    ・ IT基礎技能講習の実施にあわせ、全国の公民館、図書館等にパソコン等の整備(文部科学省)(2002年3月現在 全国の公民館、図書館等約7,000箇所に約11万台のインターネット接続可能なパソコンを整備)
    ・ 地域住民のIT学習の支援(文部科学省)(公民館中央館本館(2,199館)及び図書館(352館)にITサポーターを配置)
     
    B IT分野の専門家の育成・活用及び職業能力開発
    ア) 大学・大学院等におけるIT教育の推進
    ・ 大学の組織編成の柔軟化のための制度の改正(文部科学省)(国立学校設置法改正(2001年6月22日成立、2002年4月1日法施行)、大学設置基準改正(2001年3月30日施行))
    ・ IT関連専攻修士、博士課程の入学定員増(文部科学省)(2001年4月 国立大学のIT関連専攻の入学定員を修士130人、博士30人増加)

    イ) 外国人人材の受入れ確保
    ・ 外国人IT技術者上陸許可基準の見直しについて所要の措置(法務省)(平成13年法務省令第79号(2001年12月28日施行)、平成13年法務省告示(2001年12月28日施行))

    ウ) コンテンツ・クリエイターの育成
    ・ デジタルコンテンツの遠隔共同制作システム開発(総務省)(通信・放送機構の公募委託研究「デジタルコンテンツ遠隔地コラボレーションシステムの研究開発」において実施)

    カ) IT職業能力開発の一層の拡大及びIT技能の向上
    ・ 労働者のIT職業能力習得機会の確保、提供(厚生労働省)(2002年1月現在 約178万人に対して実施)

    (4)具体的施策

    @ 学校教育の情報化等

     必要なハード、ソフト、コンテンツの充実を図るとともに、関連する諸施策を実施することにより、子どもたちがITの活用方法に慣れ親しみ、習熟することなどを通じて、子どもたちが情報を主体的に活用できるようにするとともに、すべての子どもたちにとって理解しやすい授業を実現する。

    ア) 学校のIT環境の整備

     必要なコンピュータを整備し、インターネット接続の高速化を推進するなど、すべての子どもたちのIT活用能力を向上させるために必要なブロードバンド等の時代の変化に的確に対応したIT環境を整備する。

    i) 2005年度までに、概ねすべての公立小中高等学校等が高速インターネットに常時接続できるようにするとともに、各学級の授業においてコンピュータを活用するため、必要な校内LANの整備やIT授業などに対応した「新世代型学習空間」の整備等を推進することにより、すべての教室がインターネットに接続できるようにする。あわせて、地域センター(教育センター等)を中心に各学校を結ぶ、教育用イントラネットの構築を推進する。
     また、2005年度までにコンピュータ教室における1人に1台使える環境の整備のほか、普通教室等への整備を推進し、教育用PC1台あたり児童・生徒5.4人の割合を達成する。(文部科学省、総務省)

    ii) 2004年度までに、私立小中高等学校等が、公立学校と同程度の水準の整備を目指して、コンピュータの整備及びインターネットへの接続等を行えるようにする。(文部科学省)

    iii) 2006年度までに、在外教育施設の教育コンピュータの整備を行う。(文部科学省)

    イ) IT活用型教育の本格的実施の推進

    a) IT教育の充実(文部科学省)

     IT教育の充実を通じ、コンピュータやインターネットを使うための技能を習得させることはもちろん、子どもたちに論理的な思考力をはぐくみ、自己を表現する能力や創造力を涵養するとともに、筋道を立てて考える能力や適切に表現する能力、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成する。あわせて、社会生活の中でITが果たしている役割や及ぼしている影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力の育成を図る。

    i) 各教科の指導を充実させるためのITの効果的な活用方法を検討するとともに、教員研修の工夫など優れた実践に関する情報等の共有化を促す仕組みなどを検討し、2002年夏までに一定の結論を得、ガイドブックの作成等、IT教育の充実を推進する施策を講ずる。

    ii) 小学校において、2002年度から、各教科や新たに創設される「総合的な学習の時間4」で情報通信ネットワークを活用することにより、コンピュータ等に慣れ親しみ、自由に使いこなせるようにする。

    iii) 中学校において、2002年度から、各教科や新たに創設される「総合的な学習の時間」で情報通信ネットワークを活用するとともに、技術・家庭科「情報とコンピュータ」を必修とし、ソフトウェアを用いた基本的な情報の処理やコンピュータを利用した表現やコミュニケーションができるようにする。

    iv) 高等学校において、2003年度の入学者から、各教科や新たに創設される「総合的な学習の時間」で情報通信ネットワークを活用するとともに、普通教科「情報」を新設し必修化することにより、コンピュータ等を活用して自分の考えを表現することなどができるようにする。

    v) IT化に伴い一層重要となってくる外国語について、中学校においては2002年度から、高等学校においては2003年度の入学者から、授業の中で、実践的なコミュニケーション能力の育成を図るようにするとともに、コンピュータやインターネットを活用し、学習活動の一層の充実を図る。また、小学校においても2002年度から、「総合的な学習の時間」の中で、国際理解教育の一環として、外国語に触れることができるようにする。

    vi) ネットワーク整備の進展やネットワークコンテンツの普及にともない重要となる著作権に対する知識や意識を涵養するため、2002年度中に、教員向けの指導書を作成し、また、2004年度までに、子どもたちが楽しみながら著作権が学べるソフトを開発し、それぞれネットワークにより全国に提供するなど著作権に関する総合的な普及啓発事業を実施する。

    vii) IT教育を推進していくに当たっては、ネットワーク上の倫理やモラルについても配慮するようにし、個人の孤立化や人間関係の希薄化、自然体験・社会体験の不足、いわゆる有害情報の氾濫などにも適切に対応できるよう、2002年度においても引き続き、情報教育、道徳教育、運動部活動の充実や学校内外における自然体験や生活体験等体験活動の充実を図る。
     

    b) 先進的な実践事例の積極的な紹介・普及

     ITを活用して教育効果を上げている学校等の取組等の先進的実践事例を全国に紹介・普及し、各学校の情報化に資することを通じ、効果的に全国的なレベルアップを図る。

    i) 2003年度までに、インターネットに高速接続された約3,000校のネットワークを活かして、教育方法や教育ネットワークの在り方、大規模ネットワークの運用維持手法の研究などを行い、先進的な実践事例等をホームページを通じて提供し、学校におけるインターネット活用を促進する。(文部科学省、総務省)

    ii) 2002年度中に、インターネットフェスティバルを開催し、子どもたちがPCやインターネットに慣れ親しみながら学ぶ様子や海外の学校との交流の様子等、2005年度の姿を先進的に実現している学校の様子をインターネット等を通じて広く一般に紹介する。(文部科学省)

    iii) 2006年度までに、学校におけるITの有効な活用方法やIT活用能力の的確な向上を図ることを目的とした先進的な授業実践を支援するとともに、蓄積された実践事例等を広く紹介するプロジェクトを約50件実施する。(経済産業省)
     

    c) ITを活用した外国人の日本語学習への支援(文部科学省)

     日本語の普及や日本文化の発信を図るため、国内外における日本語の学習環境の整備等を促進することが重要である。
     このため、2005年度までに、インターネットを活用して教材用素材など日本語教育に関する情報等を国内外に提供することを通じて日本語学習の支援を図る総合的なネットワークシステムを構築し、広く日本語教育に関する情報を国内外に提供するとともに、日本語教員のIT指導力向上のための研修を実施して、日本語教育の推進を図る。

    ウ) IT指導力の向上(文部科学省)

     概ねすべての公立学校教員がITを活用して指導ができる能力を身につけられるようにするとともに、高等学校において教科「情報」が必修化されることに伴い必要な免許を持った教員(約9,000人)を養成することを通じて、子どもを指導する立場にある教員のITに関する指導力の向上を図る。
     また、ITに関する企業や地域の人材の専門的知識、技術等を活用し、子どもたちの情報活用能力の向上を図るとともに、インターネット等を利用した授業の一層の充実を目指す。あわせてアジア太平洋地域の教員等の養成にも協力する。

    i) 2005年度までに、約90万人の公立の小中高等学校、盲・ろう・養護学校等の概ねすべての教員がコンピュータ等のITを用いて子どもたちを指導することができるようにする。

    ii) 2004年度までに、合計1万人程度のIT関連分野の優れた知識や技術を有する人材を子どもたちのIT教育の充実のため、学校教育において積極的に活用する。

    iii) 2002年度中に、2003年度から高等学校等で実施される教科「情報」を実施するために必要な教員に対し、「情報」の免許状を授与するための現職教員等講習会を実施する。

    iv) 2002年度から2005年度まで、ユネスコ5IT教育信託基金に基づき、アジア太平洋の約35ヶ国の国や地域において、開発途上国の初等中等教育教員等を対象とするIT研修を実施する。

    エ) 教育用コンテンツの充実・普及

     各種教育用コンテンツの充実・普及を図ることを通じ、子どもたちがこれまでの学校の授業では接することが難しかった情報を提供することにより、子どもたちの学習意欲の向上を図るとともに学習内容の一層の理解を促す。

    i) 2004年度までに、様々な教育用コンテンツを授業の中で適切かつ効果的に活用するため、毎年1,000件程度の教育用コンテンツの実践事例を教育情報ナショナルセンターに登録することにより、活用事例の全国への普及を図る。(文部科学省)

    ii) 2003年度までに、産業界の協力により、産業界の知見を反映し児童・生徒の興味・関心を高める教育用コンテンツ等を3,500件以上作成するほか、学校現場においてこれらを活用した産業界の人材が参画した授業実践70時間程度行う。(経済産業省)

    iii) 2005年度までに、研究機関等が有する最先端の研究成果を素材にした教育用コンテンツの研究開発を行い、これらの成果を2005年度までに全国に普及する。また、2005年度までに学校体育・スポーツ・健康教育用コンテンツ、伝統芸能や現代舞台芸術の公演等を記録した文化デジタルライブラリー、国立科学博物館の学習資源をデジタルアーカイブ化するとともに、そのデジタル素材を用いてコンテンツを作成し、インターネット等で提供するなど、その成果を全国に普及する。(文部科学省、経済産業省)

    iv) 2005年度までに、教育用コンテンツのインターネットを介した利用を促進するため、学校における情報セキュリティ技術や簡易型インターネットアクセス網構築のための技術、ネットワーク上の教材コンテンツを自動判別して高速・容易に検索を可能とする技術、トラブルや問い合わせへの対応を迅速化・効率化して対応の質的向上を図る次世代ヘルプデスク支援システムに関する技術、学校に配備する平均的な端末から、インターネット上で3Dコンテンツ等大容量のコンテンツの閲覧を可能とする技術等を開発し、学校教育に導入する。(総務省、文部科学省)

    v) 2004年度までに、ネットワークを利用した遠隔学習等先進的な学習基盤に必要となる教育情報システム等を開発するとともに、教育用に限り著作権フリーに使用可能な画像データを蓄積、管理する教育用画像素材の管理・配信システムの素材登録等機能の高度化、未登録素材の追加登録、利用を促進するための普及広報等を行う。(経済産業省、文部科学省)

    vi) 2003年度までに、学校へのブロードバンドネットワークの普及に対応し、セキュリティの確保、認証・課金、ネットワーク配信、デジタルアーカイブからのコンテンツ利活用等の機能を提供するシステムの開発・実証等を行うことにより、教育用コンテンツの流通促進を図る。(総務省)

    オ) 教育情報提供体制の整備等

     学校教育や生涯学習に関する情報について、全国各地から有益な情報を検索・受信できるような情報提供体制を整備拡充すること等により、ITを活用した教育及び学習の振興を図る。

    i) 2005年度までに、各種の教育用コンテンツや教育支援情報を検索したり、ダウンロードできる教育情報ポータルサイト6等の教育情報ナショナルセンター機能を整備し、国立教育政策研究所において運用する。なお、利用可能な情報数については、毎年約2万件を目標に整備を図る。(文部科学省、総務省、経済産業省)

    ii) 2005年度までに、衛星通信を活用して提供される学校教育・社会教育に関する情報・研修番組や学習番組等が全国で受信できるなど生涯学習の振興に資するために必要な受信設備の配置を行えるようにする。(文部科学省)

    カ)障害のある子どもたちへの対応(文部科学省)

     学校教育の情報化等を進めるにあたっては、身体的な条件により、ITの利用機会及び活用能力の格差が生じることがないよう、障害のある子どもたちに対して十分に配慮する。

    i) 2002年度中に、盲・聾・養護学校の児童・生徒、一人一人の障害に対応した最新のIT機器の整備を推進する。

    ii) 2002年度中に、インターネット対応となった盲学校点字情報ネットワークシステムを活用し、点字情報の一層の共有化を進める。

    iii) 盲・聾・養護学校におけるIT教育及び外国語教育の充実については、公立小中高等学校に準じて実施する。
     

    A 国民のIT活用能力の向上

     民間のIT活用能力向上のための活動等との適切な役割分担のもと、すべての国民のIT活用能力の向上を図るための必要な施策を実施することにより、例えば国民が電子政府により実現されるサービスを簡単に利用できるなど日常の生活においてITを積極的に活用できるような活力のあるIT社会の実現を目指す。

    ア) IT利用機会の継続性の確保及び利用環境の整備

     国民に対して、それぞれの立場に応じたIT学習機会を提供するとともに、自発的な学習のための環境を整備することにより、国民のIT活用能力の向上を図る。

    i) 2002年度中に、国民のIT活用能力の一層の向上を図るため、以下の事業を実施する。
    ・ 約550万人を対象としたIT基礎技能講習の成果を分析の上、地方公共団体が実施するIT講習等を支援(総務省)
    ・ 約30万人を対象とした中小企業経営者向けにITが経営に与える影響等の理解の促進するためのIT講習等(経済産業省)
    ・ 約1万人を対象とした農林漁業者、普及職員等に対するIT講習等(農林水産省)

    ii) 2004年度までに、地域住民がIT基礎技能等を習得できるよう、約25万人のIT利用をサポートする指導者を養成するなど、住民サポート事業を推進する。(総務省)

    iii) 2002年度から2006年度まで、IT関連NPO7等との連携による地域におけるIT学習等のための支援を行う。(文部科学省)

    iv) 2002年度中に、図書館を地域における「IT学習プラザ」として位置づけるべく、一般利用に供しているPCが未整備な約1,300の図書館について、必要なIT環境を整備する。(文部科学省)

    イ) 障害者・高齢者のIT利用の促進

     ITは障害者や高齢者の社会参加を促進するツールであることから、年齢・身体的な条件等に起因するITの利用機会や活用能力に格差が生じることがないよう、障害者や高齢者のIT利用の促進に、十分に配慮する。
     このため、2002年度から、毎年6件程度以上のバリアフリー型のITが利用できる施設の整備について補助を行う。また、2002年度中に、障害者のIT利用を促進するため、パソコンボランティアの養成・派遣を行う。(総務省、厚生労働省)
     

    B IT分野の専門家の育成・活用及び職業能力開発

     我が国のIT国際競争力を強化するため、教育研究機関の制度改革や専門的なIT人材がその力を発揮するための環境整備を行い、国際的に最先端の研究開発や経営、コンテンツ開発を実践できる創造的な人材を養成し確保するとともに、外国人人材の受入れを促進する。また、積極的なIT職業能力開発やIT関連業務に携わる労働者の更なる能力向上を図る。

    ア) 大学・大学院等におけるIT教育の推進(文部科学省)

     大学自身による一層の自律的・機動的なマネジメントを可能とし、IT関連の教育研究活動が効果的に実施される環境をつくるため、学部・学科の設置・改廃の弾力化についての検討を行うなど、大学の組織編制の柔軟化を図る。
     あわせてIT技術者・研究者の育成に資するため、大学院のIT関連専攻の入学定員増を図る。

    i) 2005年度までに、大学・大学院等において、IT分野の人材養成を戦略的に行うことにより、基盤的ソフトウェア等の新興分野の実務者・研究者を約800人養成する。

    ii) 学部の学科の設置認可について、2003年までに結論を得るものとされている国立大学の独立行政法人化の検討と並行して検討し、結論を得る。

    iii) 2002年度中に、国立大学の大学院のIT関連専攻(修士課程及び博士課程)の入学定員を増加する。

    iv) 2005年度までに、専修学校において、企業の第一線で活躍する社会人を対象としたITスペシャリストを養成するための教育プログラムと新産業創出の担い手となる起業家精神を有する人材開発のための起業家育成プログラムの開発を推進し、その成果を逐次各専修学校において実施する。また必要な環境整備を行う。

    v) 専門高校8に専門教科「情報」を新設し、システムの設計・管理やマルチメディアなどの情報の各分野に関する知識と技術を身につける教育を、2003年度の入学者から実施する。

    イ) 外国人人材の受入れ確保

    a) 資格制度の国際標準化(経済産業省)

     「アジアITスキル標準化イニシアティブ9」に基づき、IT人材に関するスキル標準の国際的な共通化によるIT人材の技能に関する客観的な評価指標を作成することで、有能な外国人IT人材を活用するためのコストを削減するとともに、アジア域内でのIT人材市場の流動化を促し、産業界がより有能な外国人IT人材の活用が可能になるための基盤を整備する。

    i) 2003年度までに、アジア6ヶ国に対して、ノウハウの移転など資格制度創設に必要な支援を実施するとともに、その国際標準化を図るため、既に類似の試験制度を持つ4ヶ国も含め、資格の基盤となるスキル標準について相互認証を行う。

    ii) 我が国の情報処理技術者試験をコンピュータ化するのに合わせて、2003年度中を目途に、アジア各国に対してもノウハウの提供、対応する研修や教材の開発など各国の資格制度のコンピュータ化に必要な支援を行う。

    iii) 我が国産業界が必要とするIT人材を育成するため、アジア共通スキル標準に沿った必要な研修事業を我が国及びアジア諸国で実施し、2005年度までに我が国企業の採用が可能なレベルのIT人材約2,000人程度育成する。

    b) アジアにおけるe-Learningの促進(経済産業省)

     2005年度までに、「アジアe-Learningイニシアティブ10」に基づき、アジアe-Learningネットワークを形成し、e-Learning市場形成のためのシステム構築を図るとともに、アジア全体で研修の実施やコンテンツの開発を行い、e-Learningコンテンツに関するアジア発の国際標準の策定・普及を行う。

    c) 外国人受入れ関連制度の見直し(法務省)

     IT技術者などの専門的、技術的分野の業務に従事する外国人を一層積極的に受け入れていくことにより、我が国における高度な技術や知識を有する人材の確保を図る。
     このため、IT技術者に関する上陸の基準について、a)の相互認証等の状況を踏まえ、2001年に実施した制度改正の下で、引き続き外国人IT技術者受入れに係る所要の措置を2002年度中に講ずる。

    d) 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進(厚生労働省)

     IT分野等の技術者等の専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進を図るため、2002年度中に、外国人の採用及び採用後の雇用管理のノウハウに関する事業主向けマニュアル及び外国人労働者が我が国で働く際の基礎知識や好事例を内容とするパンフレットを作成・配布する。

    ウ) IT技術者研修市場の活性化

     資格取得に向けた高い意欲の醸成やより高度なIT技能取得者の育成を図るため、IT技能に関する標準の策定や資格制度の拡充を行うなど、IT技術者研修市場の活性化を図る。

    i) 2002年度中に高度なIT技術者の育成・活用を図るため、国内外の調査に基づき、IT技能に関する標準を策定し、その普及を図る。なお、その際にはITベンダ・ユーザの代表をはじめ、IT研修事業者、人材派遣事業者等の民間の知見やノウハウを積極的に活用するものとする。(経済産業省)

    ii) 2002年度中に情報通信分野の技術者の育成・活用を図るため、電気通信主任技術者資格などの電気通信に関わる資格制度の見直しについて検討を行い、結論を得るとともに、資格取得のための研修事業に対する支援措置を行う。(総務省)

    エ) コンテンツ・クリエイターの育成

     高度情報通信ネットワーク社会の実現のためには、インフラ、ハード、ソフトのみならず、インターネットを通じて提供されるコンテンツの充実が不可欠である。そこで、世界最高水準のコンテンツを制作できるクリエイターを育成して日本のコンテンツ発信能力を強化するため、制作ツールの開発や制作支援等、優秀かつモラルの高いコンテンツ・クリエイターの育成・活躍のための環境を整備するとともに、ベンチャー企業に対する支援を充実し、コンテンツ・クリエイターが起業しやすい環境を整備する。

    i) 2005年度までにデジタルコンテンツの市場規模を1999年度の約2倍にするべく、コンテンツ制作基盤ツールの開発、コンテンツ制作に対する支援、産学協力等を通じたクリエイターの育成等の施策の総合的な推進を行う。(経済産業省)

    ii) コンテンツ・クリエイターをはじめとする情報通信技術関連のベンチャー起業育成を支援するため、2003年度までに100件程度のベンチャー助成及びインターネットによる情報提供交流機能の強化を行うとともに、2005年度までに全国で合計50ヶ所のビジネスインキュベータ11の整備を行う。(総務省、経済産業省)

    オ) 経営者をサポートする人材の育成(経済産業省)

     経営とITの双方に通じ、経営者の立場にたって経営戦略の立案からそれを実現するシステムの構築・導入までを一貫してサポートできる人材(ITコーディネータ)を2005年度までに、約1万人育成し、認定を行う。

    カ) IT職業能力開発の推進及びIT技能の向上

     多様なIT職業能力開発を実施することにより、急速なIT化の進展に伴う雇用ミスマッチの解消を図るとともに、我が国の雇用の安定・労働生産性の向上を図る。また、情報通信分野やソフトウェア等の専門的・技術的な業務に従事する者の知識及び技術の向上を図る。

    i) 2002年度中に、急速なIT化の進展に伴う雇用ミスマッチの解消、高度なIT社会構築をリードする人材育成という観点から、約70万人の離職者及び在職者を対象に、以下のITに係る職業能力開発を推進する。(厚生労働省)
    ・ 民間教育訓練機関の機能を活用した、離職者を対象としたIT活用能力習得に資する公共職業訓練の実施
    ・ 自習用端末ソフト等を活用したIT化に対応した自発的な職業能力習得の機会の提供

    ii) 2005年度までに、ブロードバンド時代に必要とされる電気通信システムの設計、放送番組の制作等の情報通信分野の専門的な知識または技術を有する人材約1万2,000人に対して、当該専門的知識または技術の向上を図るための研修を図る。(総務省)

    iii) 2005年度までに、アプリケーションソフトウェアの開発業務に従事する者約4,000人に対して、その技能の向上を目指したソフトウェアの開発支援を行う。また、そのうち約100人については、次世代のITを担う天才的なプログラマー(スーパークリエイター)として発掘・育成を行う。(経済産業省)


1 リテラシー:読み書きの能力。識字。転じて、ある分野に関する知識・能力。

2 Eスクエア・プロジェクト:平成11年度から文部科学省及び経済産業省両省の所管法人が事務局を担当して実施した、全国の学校がインターネットを利用した教育を実践するための支援プロジェクト。

3 レイティング・フィルタリングソフトウェア:インターネットのウェブページを一定の基準で評価判別し、受信者が、設定するレベルに合ったウェブページを選択的に受信することを可能とするもの。未成年者が、不適切なウェブページにアクセスできないようにする場合等に使用。

4 総合的な学習の時間:小・中学校では2002年から、高等学校では2003年の入学者から実施される新しい学習指導要領において新設される教育課程の一つ。「総合的な学習の時間」の中では、各学校が創意工夫を活かした特色ある教育活動を展開し、国際理解、情報、環境、福祉・健康など横断的・総合的な課題についての学習が実施される。

5 ユネスコ:国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)のこと。諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の福祉の促進を目的とする国連の専門機関。

6 ポータルサイト:「ポータルサイト(portal)」は入口、玄関の意。転じて、インターネットに接続した際に最初にアクセスするウェブページのこと。分野別に情報を整理しリンク先を表示。

7 NPO:Nonprofit Organization の略。行政、企業とは別に社会的活動をする非営利の民間組織。

8 専門高校:農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報などに関する学科が置かれ、それぞれの分野の職業に関する専門的な教育を行う高等学校のこと。

9 アジアITスキル標準化イニシアティブ:アジア各国のIT技術者のレベルアップや国境を越えた雇用機会の拡大のため、アジア各国のIT技術者に関するスキル標準について各国制度間で共有化する構想。2000年10月、ASEAN+日・中・韓経済大臣会合(AEM+3)において承認された。

10 アジアe-Learningイニシアティブ:アジア各国においてe-Learningの導入が円滑に進められるよう国境を越えて教材コンテンツ及びサービスが展開される環境づくりにむけて、アジア各国で協力を行う構想。2001年9月、ASEAN+日・中・韓経済大臣会合(AEM+3)において承認された。

11 ビジネスインキュベータ:新事業の創出及び起業家の育成を目的として、公的機関等がベンチャー企業に対し、事業化・起業化に不足するリソースを総合的に補うために、低コストのオフィスや機器、経営ノウハウや特許取得者等の事業支援サービス、助成金等を提供することにより、ビジネスとして自立できるよう支援を行う施設のこと。