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首相官邸 カテゴリー:IT戦略本部
 トップ会議等一覧IT戦略本部e-Japan重点計画-2004 印刷用(PDF形式)


3.電子商取引等の促進


(1)ITによるビジネスプロセスの構造改革


 企業の経営効率をさらに向上させるためには、取引の電子化を促進するだけでなく、企業活動のあらゆる局面にITを浸透させ、利益の出る企業体質を再構築することが重要である。そのため、民間事業者の自主的な対応を基本としつつ、政府としては、1 1)企業のIT化に関する制度の充実、2)経営改革・業務改革の促進、3)電子商取引の加速的推進の3つの視点から諸般の施策を実施し、ビジネスプロセスの構造改革を支援する。


1)企業のIT化に関する制度の充実


ア)電子署名及び認証業務に関する認定制度等の円滑な実施(総務省、法務省、経済産業省)
 2004年度まで、安全かつ信頼できる電子商取引基盤の整備及び健全な発展のために必要な電子署名・認証業務に関する最新の技術や動向についての調査研究を行うとともに、これらを利用する国民に対する普及啓発や情報提供を行う。


イ)電子署名及び認証業務に関する国際的な連携の推進(総務省、法務省、経済産業省)
<前掲 U.〔1−1〕 1.アジア等IT分野の国際戦略 (2)1)オ)>


ウ)アジア域内で運用可能な公開鍵基盤(PKI)8の整備(経済産業省)
 アジア地域の電子商取引市場の基盤整備等のため、アジア域内における公開鍵基盤(PKI)に必要な技術仕様、利用基準の明確化のための実証実験を2005年度まで実施する。また、「アジアPKIフォーラム」と協力して行われるアジア各国の法整備のあり方等について検討するアジア公開鍵基盤(PKI)整備事業を引き続き支援し、2005年度を目途にアジア域内で運用可能な公開鍵基盤(PKI)システムを構築することができるよう、支援する。


エ)e-文書イニシアティブの実現
<前掲 U.〔1−1〕4.IT規制改革の推進 (2)1)ア)>


オ)総会議決権行使の電子化(内閣府及び法務省)
<前掲 U.〔1−1〕4.IT規制改革の推進 (2)1)イ)a)>


カ)電子的手段による資格保有等証明の推進(内閣官房、総務省、法務省、経済産業省及び関係府省)
<前掲 U.〔1−1〕4.IT規制改革の推進 (2)1)ウ)a)>


キ)信用金庫における書面又は電子的方法による議決権の行使(金融庁)
 信用金庫の総会における議決権行使について、電子メール等の電子的方法でも可能となるよう、会社法制の現代化に関する商法改正の議論等も踏まえつつ2004年度中に具体的な内容について検討する。


ク)貸金業規制法に基づく書面交付の電子化(金融庁)
 2006年末までに、貸付契約締結時及び債務弁済時における貸金業者から債務者等への書面交付の電子化について、貸金業制度の在り方の検討を踏まえて検討し、結論を得る。


ケ)派遣元事業主から派遣労働者に対する書面交付の電子化(厚生労働省)
 2004年度中に、派遣元事業主から派遣労働者への就業条件に関する書面交付の電子化について、書面による場合と同等の労働者保護を確保する観点から検討し、結論を得る。


コ)電子的方法による決算公告の許容(金融庁)
 銀行が行う貸借対照表及び損益計算書の公告、定型的信託約款等の変更に係る公告及び保険会社が保険業法上の規定により行う公告について、電子的方法でも可能となるよう、2004年度中に具体的な内容について検討する。


サ)通信販売酒類小売業免許における対象品目の拡大(国税庁)
 2004年度中に通信販売酒類小売業免許における対象品目の拡大について検討し、2005年度末までに結論を得る。


シ)情報通信機器の活用も含めた医薬品販売の在り方の見直し(厚生労働省)
 2005年度中を目途に行う医薬品販売の在り方全般の見直しの中で、テレビ電話等の情報通信機器を活用した薬剤師の関与の在り方も含めて検討し、結論を得る。


ス)目論見書等の電子的方法による提供要件の明確化等(金融庁)
 証券取引法に規定する交付書類(目論見書等)の電磁的方法による提供が認められるための要件である1)当該ホームページアドレス等の顧客ファイルへの記録、2)顧客が閲覧していたことの確認については、「ホームページアドレスの記録をした旨、及び目論見書の閲覧を口頭で確認し、その会話については録音する等」の手段が可能と解されているが、法令等解釈の明確化の観点から、2004年度中に事務ガイドライン等において明確化する。また、目論見書を電磁的方法により提供する際、5年間の記載事項の維持が要件とされているが、2004年度中に、個々の投資家から当該目論見書の閲覧請求があった場合には、当該目論見書の情報を電子メールにより送信する方法、当該目論見書の情報を印刷したものを郵送する方法、その他の方法によることができることとする。


2)ITによる経営改革・業務改革の促進


ア)業務・システムの最適化手法の開発(経済産業省)
 2004年度までに、業務・システムの最適化手法に関する産業界向けのガイドラインを策定する。さらに、2005年度までに、複数の業界において、上記ガイドラインに基づく情報システムの調達の普及を図る。


イ)業務・システム最適化計画におけるリファレンスモデルの作成(経済産業省)
 業務・システム最適化計画におけるデータ体系、適用処理体系及び技術体系に係る標準モデル、官民連携ポータルサイトに係る標準モデル等の各種リファレンスモデルを2004年度中に作成するとともに、これらと内外の先進事例・成功事例等からなる知的資産を官民で共有、利活用できるナレッジポータルサイトを2005年度までに構築する。


ウ)戦略的なIT利用のための投資促進(経済産業省及び関係府省)
<前掲 U.〔1−2〕6.就労・労働 (2)3)ウ)c>


エ)電子タグの商品コードの国際標準化(経済産業省)
 電子タグを利用した流通の効率化・効率的在庫管理(サプライチェーン9マネジメント)や、商品の追跡管理(トレーサビリティシステム)に関する多様なニーズに対応できるようにするため、2004年度内に、日本が国際標準化機構(ISO)に提案した電子タグの商品コード標準化案をISO規格とする。


オ)電子タグ等を活用した高度な流通システムの構築(経済産業省及び国土交通省)
 2005年度を目途に、製造・卸売・小売の各層の企業がインターネットを利用して、受発注、売上管理、物流管理、決済等のサプライチェーンの全体最適化を行うための共通プラットフォームを整備することで、消費財流通に関係する企業がプラットフォームを活用できるようにする。また、電子タグを活用したコンテナの管理・輸送システムに関する実証実験の実施により、物流情報一元管理のためのビジネスモデルを2005年度中に確立することを目指す。


カ)輸出入及び国内物流EDI10基盤の国際標準化(経済産業省及び国土交通省)
 国内物流EDI標準(JTRN)を国際標準化するため、物流EDIの普及促進及び国際機関への意見提出等を行いつつ、2005年度までに国内物流EDI標準のXML化に向けた技術開発を行う。また、2005年末までに新総合物流施策大綱に基づく物流の情報化を達成するため、2004年から、既存の国内物流EDI標準で定めている業務フローの改善、国内物流EDI標準と輸出入物流EDI標準メッセージとの整合調整等を行い、国際標準化規格であるebXML11に準拠した総合物流EDI標準を完成させる。


3)商取引の電子化の加速的推進


ア)電子商取引準則の普及及び見直し(経済産業省)
 2004年度以降も「電子商取引等に関する準則」の普及を図りつつ、さらに先端的・具体的な課題について、実務に精通した専門家からなる研究会による整理・分析等を行い、見直しを行う。


イ)アジア地域におけるebXMLの普及(経済産業省)
 アジア地域における事業者間電子商取引の基盤整備のために、XML言語を利用したEDIの国際標準化規格(ebXML)について、アジア地域内の普及促進を図る。そのために、2005年度までに、同規格について、アジア地域における技術的互換性の確保、取引ルールに関する合意及び普及促進のための環境整備などを図る。


ウ)国際的電子商取引に係る諸外国の判例実務の調査等(経済産業省)
 2004年以降、国際的な電子商取引に関する諸外国の判例や実務の動向を調査し、結果を毎年公表するとともに、国際的な取引一般に関する準拠法の検討や一般的な国際裁判管轄ルールに関する検討を踏まえ、円滑な電子商取引の推進のための方策について検討する。


エ)電子的手段による債権譲渡の推進(法務省、経済産業省及び関係府省)
<前掲 U.〔1−2〕4.中小企業金融 (2)1)ア)>


(2)ITを活用した新たなビジネスの創造
 ITを活用した新たなビジネスを創造し、我が国の産業の国際的な競争力の向上を目指す。そのため、海外で高い競争力を誇る我が国のコンテンツが、ネットワーク上で大量流通するために必要な施策を実施する。また、この他にも、高い競争力を持つ様々な商品やサービスが事業化されることを目指し、新たなビジネスの創造を促進するための取り組みを積極的に講ずる。


1)コンテンツ産業の国際競争力強化
<前掲 U.〔1−1〕3.コンテンツ政策の推進 (2)1)及び2)>
<前掲 U.〔1−2〕5.知 (2)2)及び3)>


2)ビジネス創造を促進する環境の整備


ア)ITベンチャー企業等への資金助成(総務省)
<前掲 U.〔1−2〕6.就労・労働 (2)3)ウ)a>


イ)中小ITベンチャー企業の事業化支援(経済産業省)
<前掲 U.〔1−2〕6.就労・労働 (2)3)ウ)b>


ウ)ITを活用したビジネスモデル創造の促進(総務省)
 2005年度までに、ITビジネスの振興に積極的な地方公共団体を指定し、地域の情報通信基盤の整備、アプリケーション開発等の促進、IT技術者の育成等の支援措置を講ずることで、ITビジネスにとっての魅力的なビジネス環境を先行的に実現する。あわせて、当該モデルを他地域へも展開させるため、推進計画の実施状況の分析と公表を行うなど、地域の知恵と工夫の競争に基づくITを利活用するスキームの構築を図る。


エ)次世代位置情報サービスの促進のための基盤整備(経済産業省)
 位置情報を活用した移動中の歩行者に対する情報提供、貨物の追跡等の様々なサービスの創造、普及を促進するため、2005年度までに、各種位置情報サービスに横断的に活用できる共通基盤の規格化について検討し、当該検討結果を踏まえ必要に応じて国際機関に提案を行うとともに、当該共通基盤を構築するための実証実験を行う。


オ)タイムスタンプに対する一層の信頼性の付与及び利用促進(総務省及び経済産業省)
<前掲 U.〔1−1〕4.IT規制改革の推進 (2)1)ウ)b)>


(3)安全・安心な電子商取引環境の整備


 電子商取引の促進に当たっては、個人情報保護対策の推進を図るとともに、取引に係る消費者トラブルの防止及び救済を図る措置を講ずるなど、消費者が安心して電子商取引を利用することができる環境を整備することが必要である。これには、民間団体等の自主的な対応が重要であるが、政府においても、消費者が自己責任のもとで、自らトラブルを回避できるように、情報提供や啓発活動を行う。


1)個人情報保護
<後掲 V.5.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保(8)1)及び2)>


2)消費者保護対策の充実


ア)電子商取引における表示の適正化(公正取引委員会)
 消費者取引の適正化を図り、消費者が安心して利用できる電子商取引の環境を整備するため、電子商取引監視調査システムの運用等により、BtoC取引における表示について、常時監視を行うとともに、景品表示法に違反する事案に接した場合は、厳正かつ迅速に対処する。


イ)特定商取引法の遵守状況の点検(経済産業省)
 2004年度中に、インターネット通販広告やいわゆる迷惑メール等について特定商取引法の遵守状況を点検し、違反事業者に対しては広告の改善を求める等所要の措置を講ずる。


ウ)消費者被害に関する広報・啓発活動等(警察庁)
 2004年度までに、情報セキュリティアドバイザーを設置して相談業務を強化するとともに、サイバー犯罪等に関する相談に迅速かつ的確に対応するためのネットワーク相談対応システムを構築する。また、相談内容を分析・共有するなどして、ネットワーク利用の悪質商法事犯等に係る消費者被害の未然防止のための広報・啓発活動等を行う。


エ)ADR12に関する共通的な制度基盤の整備(司法制度改革推進本部及び関係府省)
 総合的なADRの制度基盤を整備する見地から、ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律案を提出することも含めて必要な方策を検討し、2004年度中に所要の措置を講ずる。


オ)ADRに関する情報提供面・担い手の確保面での連携強化(司法制度改革推進本部及び関係府省)
 「ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議」において取りまとめられた「ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン」の趣旨に従って、2004年度中に、ADR関係者のための研修会の開催や、国民がインターネットを通じて手軽にADR等に関するきめ細やかな情報にアクセスできる体制を整備する。


カ)電子商取引に係るADRの推進(経済産業省)
 インターネット上の取引における消費者トラブルを簡易・円滑・安価に解決できるメカニズムについて2005年度までの構築を目指し、消費者向けの電子商取引に係るADRに関する実証実験を実施する。

8公開鍵基盤(PKI):Public Key Infrastructure。公開鍵暗号技術と電子署名を使って、インターネットで安全な通信ができるようにするための技術基盤。認証局を設けて電子署名による電子証明書とともに公開鍵を発行、管理し、通信相手の正当性を証明する仕組みを提供。

9サプライチェーン:供給者から消費者までを結ぶ、開発・調達・製造・物流・販売までの一連の流れのこと。

10物流EDI:運送関係・倉庫関係のメッセージの標準化等により、出荷・輸送・荷受等の情報を電子的にやりとりするための仕組み。

11eb XML:Electronic Business XML(eXtensible Markup Language)の略。XML(ウェブページを記述する際などに用いる言語)の企業間電子商取引向けの標準仕様で、アメリカの業界団体OASIS(構造化情報標準化振興機構)、国連内の部局UN/CEFACTが標準化を推進。受発注や見積もり等のビジネス上のデータ交換の手順や表現形式に関して規定。

12ADR:Alternative Dispute Resolution(裁判外の紛争解決手段)の略。