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「改革加速のための総合対応策」のポイント


平成14年10月30日

前 文

 今般、政府は、最近における金融・経済情勢の不確実性の高まりを踏まえ、不良債権処理を加速することにより、金融仲介機能の速やかな回復を図るとともに、資源の新たな成長分野への円滑な移行を可能にし、金融及び産業の早期再生を図るため取組を強化することとした。
 政府は、「金融システム改革」、「税制改革」、「規制改革」及び「歳出改革」の四本柱の構造改革を加速し、日本経済を再生するための政策強化を行い、デフレを克服しながら、民需主導の自律的な経済成長の実現を目指す。取組を進めるに当たっては、不良債権処理を加速する過程における影響に対応し、地方公共団体の主体的な施策も活かしながら、雇用や中小企業のセーフティ・ネットには、万全を期す。

 このため、政府は、下記の施策を早急に具体化し、平成14年度予算の執行、平成15年度予算編成等と一体的かつ整合的に実施するとともに、雇用・中小企業のセーフティ・ネットの一層の活用・強化を図るため、今後の税収動向を踏まえて、引き続き必要な措置について検討する。今後とも、金融・経済情勢に応じて、大胆かつ柔軟な政策運営を行うこととする。

 デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を実施する。本日の日本銀行の措置は、こうした取組の一環として決定されたものである。



I.金融・産業の再生
1.不良債権処理の加速策
(1)新しい金融システムの枠組み
(2)新しい金融行政の枠組
2.産業・企業再生への早期対応
(1)整理回収機構(RCC)への不良債権売却の促進等
(2)産業再編・事業の早期再生
「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置、産業再編や早期再生に関わる「基本指針」の策定。
「産業再生機構(仮称)」の創設。
産業活力再生特別措置法(産業再生法)の抜本改正による、事業再構築、産業再編及び経営資源再生の支援。
政策金融による企業再生ファンドの充実支援。
会社更生法、民事再生法改正による手続の迅速化・合理化。
(3)創業・新規開業の支援等
最低資本金免除の特例創設、最低資本金がない企業組合の要件緩和。
中小企業等投資事業有限責任組合法を改正、プロジェクトファイナンス等に活用。
新たな事業分野創造を支援する無担保融資の創設(商工中金)。
産学官連携による研究開発・事業化等の推進。

II.経済活性化に向けた構造改革加速策
1.持続的な経済社会の活性化のための税制改革の推進
 現下の経済情勢を踏まえ、多年度税収中立の枠組みの下で、1兆円を超えるできる限りの規模を目指した減税を先行させることとし、諸項目のうち、減税に関しては以下の項目について検討。
(1)法人課税
研究開発やIT投資に対する減税等。法人税率については、マクロ経済の状況、国際的視野、税体系のあり方も勘案しつつ、引き続き検討。
(2)相続税・贈与税
相続税・贈与税の一体化、相続税の最高税率の引下げ。
(3)住宅税制
住宅取得(リフォームを含む)に係る贈与税の特例の拡大などを検討。
(4)土地、金融・証券、中小企業税制(経営基盤強化のための見直し)
都市再生等、土地有効利用の促進、課税簡素化、貯蓄から投資への改革のための見直し。
2.資産デフレの克服にも寄与する証券・不動産市場の活性化
(1)証券市場の構造改革の推進
「証券市場の改革促進プログラム(本年8月)」を迅速・着実に実施。
(2)金融・証券、土地税制(再掲)
(3)不動産流動化の促進
不動産証券化商品(J−REIT等)の普及。
マンション法の要件合理化で建替円滑化。既存オフィスビル住宅転用のための規制緩和。
3.民間投資・消費を誘発する都市再生の促進
(1)都市再生緊急整備地域の指定及び事業の支援
都市再生緊急整備地域を指定(44地域、民間投資額約7兆円、経済波及効果約20兆円)。指定地域の追加を検討、緊急かつ重点的な支援を実施。
(2)都市再生プロジェクト等の活用
「完了期間宣言路線」追加による都市計画道路の緊急整備。事業認可区間弾力化による優良民間都市開発事業にタイミングを合わせた機動的・重点的な都市計画道路の整備。
羽田空港の再拡張・国際定期便の就航、環状道路の緊急整備、電線類の地中化等。
地域経済・社会の活性化を図るため、「全国都市再生のための緊急措置〜稚内から石垣まで〜」を活用し、全国の都市再生の取組を支援。
4.潜在需要を喚起する規制改革の加速
(1)構造改革特区の早期具体化・充実
「構造改革特区推進のためのプログラム」を受け、93項目の特例を含む「構造改革特別区域法(仮称)」の早期成立を目指す。来年1月まで二次募集を実施。
(2)公的関与の強い分野を中心とした規制改革
構造改革特区の検討を受け、全国レベルで実施する項目(111項目)について、定められた時期までに措置。
国・地方が行う公的サービスのアウトソーシング等を推進。


III.セーフティ・ネットの拡充
1.雇用対策の推進
(1)不良債権処理の加速への対応
不良債権処理就業支援特別奨励金(仮称)の創設、出張相談を実施等。
再就職支援のための助成措置等の見直し。
(2)新たな雇用の創出
緊急地域雇用創出特別交付金事業の効果的活用。
定住に資する緑の雇用事業の活用。
地域中高年雇用受皿事業特別奨励金(仮称)の創設。
(3)民間による労働力需給調整の活性化・多様な就業形態への対応
有料職業紹介事業に係る手数料規制等の緩和、地方公共団体における無料職業紹介事業の実施。
労働者派遣事業の対象業務拡大(物の製造業務への拡大)、原則1年の派遣期間を延長。
有期労働契約の契約期間の上限延長、専門職の範囲拡大を実施。
(4)雇用保険制度の見直し
(5)離職者への対応
離職者向け生活資金の貸付条件の緩和。
保護者失職など家計急変時に奨学貸与を行う緊急採用奨学金制度の積極活用。
失業等による住宅公庫ローンの返済困難者への条件変更制度を着実に実施。
(6)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)
2.中小企業対策の推進
(1)中小企業貸出に対する十分な配慮
(2)セーフティ・ネット貸付・保証等の拡充
@政策金融の活用
貸し渋り無担保融資制度の限度額引上げ。
DIPファイナンスの対象に私的整理ガイドラインに沿い整理する中小企業者を追加。
零細事業者への第三者保証人要件の緩和。
A信用保証の拡充
地域金融機関再編等により融資が減少した中小企業者、RCCに債権譲渡された中小企業者で再生可能なものを新たにセーフティ・ネット保証の対象に追加。民事再生法等に従い再生中の中小企業者等に対する保証(DIP保証)を創設。
中小・中堅建設業者向け下請セーフティネット債務保証事業の拡充。
(3)下請中小企業者に対する配慮
(4)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)
3.不良債権の集中的な処理が行われる間における政策金融の活用
 政策金融については、不良債権の集中的な処理が行われる間においては、中小企業金融等金融の円滑化に万全を期すため、市場本来の機能が最大限発揮されるよう適切な配慮を行った上で、セーフティ・ネットの整備、企業再生、金融機能の再生・発展等に政策金融を積極的に活用する。この観点を含め、その在り方について、経済財政諮問会議において、「政策金融の抜本的改革に関する基本方針」に沿って、引き続き検討を進め、年内に結論を得る。