西村経済再生担当大臣記者会見要旨


令和元年10月29日(火)18:21~18:33
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室

1.冒頭発言

 本日、未来投資会議を開催し、成長戦略の策定に向けて、各論の議論を行いました。
 議論の結果は、以下の通りであります。

 まず、Society 5.0時代の高齢運転者による交通事故対策についてです。第4次産業革命の新たな技術の進展を実装し、対策を進めていきます。
 このため、対歩行者の自動ブレーキの装備やペダルの踏み間違い時の加速抑制装置を装備する車を普及する必要があります。限定免許制度の導入も視野に入れつつ、年末までにサポカーの市場導入を加速化する措置を検討します。
 総理からは、梶山経済産業大臣、赤羽国土交通大臣、武田国家公安委員長に対し、具体的な検討を進めるよう御指示がありました。

 次に、ポスト5Gのあり方についてです。
 超低遅延や多数同時接続が可能な、広範な産業用途に用いられるポスト5Gの半導体・情報通信システムは、自動工場や自動運転といった、我が国の競争力の核となる技術となります。
 国際競争力を有する自動車、産業機械といった完成品メーカーとも協力し、我が国の技術力を結集した国家プロジェクトを検討したいと思います。
 総理からは、梶山経済産業大臣など関係大臣に対し、具体化するよう御指示がありました。

 第三に、地域のインフラ維持と独占禁止法の特例法制の具体化についてです。
 乗合バスや地方銀行について、認可を受けて行う合併などには、独禁法を適用しない旨を規定し、認可条件として、事業の改善に応じた地域でのサービスの維持や利用者の利益の増進などを規定いたします。
 総理からは、私を中心に、与党とも調整しつつ、国会への早期提出に向けて、法案の策定を進めるよう御指示がありました。

 第四に、中小企業の取引構造と生産性向上策についてです。
 中小企業の労働生産性向上のため、同業種の企業などとの統合・連携による規模拡大、事業再構築、設備投資の促進策を検討します。
 総理からは、私や梶山経済産業大臣を中心に具体化するよう御指示がありました。


2.質疑応答

(問)高齢運転者による交通事故対策における限定免許の必要性について、大臣のお考えをお聞きしたい。

(答)免許を返納される方も増えてきておりますが、一方で、高齢者の方々の事故も非常に多数に上っています。今日データもお示しいたしました。そうした中で、一つには、こうした新しい技術を活用して事故を防いでいくということを進めていきたいと思っております。それと併せて、こうした限定免許制度の検討も必要になってきているのではないかと思います。

(問)本日の会議で地域基盤企業(乗合バス・地銀)の合併等には独禁法を適用しない旨を規定することが示されたが、この意義について伺いたい。

(答)地方で公共交通機関が減り、自動車を運転できないと生活ができないという声もある中で、地域のインフラ維持は喫緊の課題になっていきていると思います。特に、地方の都市部では、平日の外出時の主な交通手段を聞くと、75歳以上でも、「自動車」という回答は半数を超えています。さらに田舎に行くと、自動車がなくては生活ができないということになってきております。そのような中で、公共交通機関の必要性は高まっている反面、中々経営を維持できないという声もありますので、乗合バスと地銀について、独禁法を適用しない特例法をつくることには大変意義があると考えております。
 与党でも議論を進めていただいておりますので、与党とも調整しながら、次期通常国会への提出に向けて、しっかりと作業を進めたいと思っております。

(問) 独禁法の特例法が地銀の再編に与える影響について、大臣のお考えをお聞きしたい。また附則において、「10年以内に本法を廃止するものとする旨を規定」とあるが、この狙いについても伺いたい。

(答)地方銀行においては、地方の人口が減り、企業の数も減ってくる中で、新しいビジネスモデルを模索しているところだと思います。マイナス金利の状況もそれを後押しするような格好になっていると思います。そのような中で、地銀が再編し、地域の利用者に対するサービスについて、コンサルティング等の様々な付加価値を付ける機能ももってもらうということになってくると思います。そうしたサービスの維持や、利用者の利益の増進なども前提としながら、地方銀行がビジネスモデルを確立していけるように、独禁法の特例も活用していただければと思っております。
 独禁法は、公正な競争を担保する法律であります。この法律の例外をつくるということでありますので、時限法にするというのが基本的な考え方だろうと思います。今回、10年という期限で区切っておりますが、この10年間で、乗合バスについても、地銀についても、再編を含めた産業構造の転換、新しいビジネスモデルの確立に向けて、是非努力していただきたいという思いで、与党と調整を進めているところでございます。

(問)サポカーの市場導入について、どのような方策で進めていくのか、大臣のお考えをお聞きしたい。

(答)自動ブレーキについては新車でないと装備が難しいところがある一方、ペダルの踏み間違い時の加速抑制装置については後付けも可能でありますので、そういった違いも頭に置きながら、どういう支援がそれぞれにふさわしいのか、全体として何を行うべきかということについて、これからしっかり検討を行いたいと思います。

(問)独禁法の適用除外について、今回は対象がバス・地銀に限定されましたが、今後他の業界に拡大して同様の特例法を設ける可能性について、見通しを伺いたい。

(答)これまで、地方の経済の活力を維持していくという観点から、さまざまな議論を行ってまいりました。その基本的なインフラとして乗合バスと地方銀行がこれまで議論の対象となってきましたので、そういう意味では現時点ではこの二つについてしっかりとその特例法を作りたいと思っております。それ以外現時点で考えているわけではありませんけれども、地域経済の動向で、地方の活力を維持していくという観点から議論を進めてまいりたいと考えています。

(問)ポスト5Gについてお伺いします。核となる半導体の技術について現状の日本をみますと大きなメーカーは二つしかないと思うのですが、そこを全面的に支援するということなのか、通信技術の早期実現のためには他の外国の半導体メーカーも加わるような形のプロジェクトを視野にいれているのかどちらの色合いでしょうか。

(答)超低遅延や多数同時接続が可能な、広範な産業用途に用いられるいわゆるポスト5Gの半導体・情報通信システムは、自動工場や自動運転といった、我が国の競争力の核となる技術となると認識をしております。極めて重要な技術になってくると思っております。そういう観点から、国際競争力を有する自動車、産業機械といった完成品メーカーとも協力し、さきほど言われた基盤技術を持っている電気メーカーも含めてですが、我が国の技術力を結集した国家プロジェクトを検討していく必要があると思っております。
 ポスト5Gで必要となる先端半導体の製造に関しては、ご指摘のように国内に製造能力を有していないという現実がありますので、セキュリティ確保の観点からも、脆弱な状況であります。こうした状況が続けばまさに競争力を有する材料や製造装置の産業基盤が海外に移転していく恐れがありますので、そういった観点から海外の友好国の製造企業の協力を得ることを含めて、国内で製造が可能な体制を確保することを目指していきたいと考えております。


(以上)