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皇室典範に関する有識者会議(第4回)議事要旨


日 時:平成17年4月25日(月) 16:00〜18:10
 
場 所:総理大臣官邸小ホール
 
出席者:
皇室典範に関する有識者会議メンバー
吉川 弘之産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長
岩男 壽美子武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
奥田 碩日本経済団体連合会会長
久保 正彰東京大学名誉教授
笹山 晴生東京大学名誉教授
佐藤 幸治近畿大学法科大学院長、京都大学名誉教授
園部 逸夫元最高裁判所判事
古川 貞二郎前内閣官房副長官
◎=座長
政府側
細田 博之内閣官房長官
二橋 正弘内閣官房副長官
伏屋 和彦内閣官房副長官補
風岡 典之宮内庁次長
柴田 雅人内閣総務官
千代 幹也内閣審議官
角田 素文内閣審議官
鈴木 武内閣審議官
議事概要
(1)説明
 資料1「皇族制度」、資料2「皇室経済制度」、資料3「諸外国における王位継承制度の例」を事務局から説明。
 
(2)意見交換
【資料1〜3関連】
 江戸時代以前に行われていた養子とはどういうもので、いかなる趣旨で行われていたのかとの質問があり、事務局から、この場合の養子とは、いわゆる婿入りのことではなく、親子関係、直系を擬制するため、また、世襲親王家を継承するための養子が中心であったとの説明があった。
 また、明治22年に制定された旧皇室典範及び現在の皇室典範で養子をすることができないとされているのはどういう趣旨かとの質問があり、事務局から、旧皇室典範制定時に養子が禁止された理由は、養子の制度により皇位継承順位をめぐり複雑な問題が生じることが考えられ、旧皇室典範制定時には、宗系紊乱の門を塞ぐとの説明がなされていること、背景としては、永世皇族制となったことで世襲親王家を継承するために養子をするといったようなことも必要なくなったことなどが考えられるとの説明があった。
 皇室典範の制定は、安定継承のために規則を定めたという側面があり、安定継承には、継承者を増やすということだけではなく、誰が皇位に即くかという点における不確定性をなくし、皇位継承を巡っての混乱や争いをなくすという意味があったのではないか。
 ヨーロッパの王室の場合、かつては王族間の政略結婚により大帝国を築くなどの歴史があるなど、我が国の皇室とは異なる歴史を持ち、その違いを十分に踏まえておくことが重要である。
 外国王室の場合、男女平等という背景の他にも、全般的な傾向として少子化ということもあるのではないか。
 ヨーロッパでは男女平等等の理由から長子優先に改正している国が多いが、我が国の皇室の場合、男系で続いてきたということは歴史的事実であり、現代の男女平等という概念を根拠として制度を変えるべきではない。
 憲法の男女平等を天皇の制度にあてはめるという議論は無理であり、すべきでない。例えば、英国の場合は古くから女王が存在するが、これは男女平等とは関係なく王位に即かれたもの。ただし、男女平等の考え方と全く無関係ということではなく、国民の支持が重要であるという意味で関係も出てくる。
 国民の方々には、男女平等ということではなく、我が国の歴史などを十分理解した上でこの問題を考えていただきたい。
 国民の方々に理解を深めていただいて支持をしていただくことが重要であり、そのためには、この懇談会においても、ただ結論を出すのではなく、懇談会はなぜそのように考えたのかをきちんと示すことが大事である。
 天皇の制度は、主権の変動という最も根本的な変化を経ているのにも拘らず、象徴天皇として歴史的に続いてきたと認識されていることを踏まえて議論することが必要である。
 本日の事務局説明及び意見交換を通じて、次のような総括ができるのではないか。
 
 皇族制度
 皇族の範囲は、これまでの歴史を見ると、皇位継承資格者を確保するという要請や経済的な負担などの事情から、実態が形成。
 律令では、皇族の範囲を4世までに限定し、また、天皇の子及び兄弟姉妹を親王・内親王と明文で定めていたが、実際の運用においては、天皇の意思に基づいてなされた親王宣下や、賜姓による臣籍降下により、律令の規定とは異なる実態があった。
 また、世襲親王家は、代々親王宣下を蒙った当主が宮家を世襲したので、律令の定める4世の枠を超えて皇族の身分が継承された。このため皇位継承資格者を代々にわたって確保しておく仕組みともなったと考えられるが、実際に天皇に即いたのは3世までの方。
 旧皇室典範では、皇族の範囲を世数によって限定しない永世皇族制が採用されたが、その後、皇族の増加に対応するため、明治40年、王について臣籍降下制度が導入された。
 現行の皇室典範は、永世皇族制を採用し、皇族の規模については、皇籍離脱制度の運用によって対応する仕組みをとった。
 この皇籍離脱制度による皇籍離脱の例としては、戦後の昭和22年に11宮家51方の皇族が皇籍離脱したものがある。この方々はすべて伏見宮家の系統に属しており、今から570年以上前に遡る第102代後花園天皇のところで、今上天皇に続いている系統とは分かれている。
 皇族の身分の取得は、天皇・皇族からの出生が原則。例外のうち、皇族であった方で、いったん臣籍降下をした後、皇籍に復帰し、即位した例は、第59代の宇多天皇のみ。宇多天皇は第58代光孝天皇の皇子で、臣籍降下していたのも3年間という特殊な事例。また、次の第60代醍醐天皇は、宇多天皇の皇子で、  宇多天皇が臣籍にあった間に誕生しているが、宇多天皇の即位後に親王宣下を受け、即位したもので、これも父の即位に伴う特殊な事例。
 また、明治以降、皇族でない女子が、皇族と婚姻した場合は、皇族となるとされたのも出生原則の例外。但し、皇族男子の婚姻の相手は皇族か特定の華族の女子に限られていた。しかし、このような皇族の婚姻の相手を制限する規定は現行の皇室典範では無くなっている。
 江戸時代までは養子の例があるが、主に世襲親王家の継承や直系継承の擬制などを目的としたもの。
 非嫡出子については、旧皇室典範の時代までは皇族とされていたが、現行の皇室典範で皇族とされなくなった。
 皇族の身分の喪失については、賜姓による臣籍降下、婚姻による皇族女子の皇籍離脱など多様。
 皇室経済制度
 内廷費は法律により定額が定められている。
 皇族費は、各皇族ごとに、法律が定める定額(3050万円)を基礎として算定。皇族費は、仕組みとしては、皇族の構成などにより増減し、支出される額は、性別や世数(親王か王か)で区別がある。
 近年、内廷費、皇族費の予算額に大きな変化はない。
 外国制度
 歴史、背景等が異なり単純な比較はできないが、諸外国の王位継承制度は、男子優先の国、長子優先の国、男系男子のみの国などさまざま。
 なお、ヨーロッパの王制の国は、いずれも女子に王位継承権を認めており、特に男女平等などの社会の動きを背景に、1980年代以降、長子優先に改正した国が多い。
【今後の進め方関連】
 本日までに、歴史等の事実に基づき共通認識を得る作業は一通り終了したので、皇位継承のルールには、典型的にはどのような例があり得るのかということを、女性天皇を前提とするのではなく、およそ理論上の問題として頭に入れておくと、外部の方から意見を伺う際の理解も的確になるのではないか。
 また、この典型例を見ていくことによって、それぞれの特徴、性格も見えてくるであろうから、それらを踏まえて、例えば憲法上の要請としてどのような点があるか、また、制度論としてどのような点があるか、次回、整理してはどうか。
 憲法第1条に、天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるとされているが、この象徴とは何を象徴しているのかを考えることで、何を継承するのかということにもつながるのではないか
 
(3) 外部の方をお招きして意見を伺う件等について
 皇室制度に関心のある専門家、例えば制度について専門的な意見をお持ちの方など8人程度の方を2回に分けてお招きし、意見を伺うこととなった。実施に当たっては、先方の了解が得られれば、記者の傍聴を認めることとし、事務局において、第6回(5月31日)、第7回(6月8日)を念頭に調整することとなった。 
 次回(第5回)は、5月11日開催。